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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】アデノシン受容体拮抗薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240214BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C07D487/04 141
C07D487/04 CSP
A61K31/53
A61K45/00
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P31/12
A61P25/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022506061
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2020105429
(87)【国際公開番号】W WO2021018173
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】201910695723.0
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522038167
【氏名又は名称】シァメン バイオタイム バイオテクノロジー シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN BIOTIME BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヂーヨン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シーフェン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,メン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ヨンクァン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,メン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-512959(JP,A)
【文献】特開2005-023064(JP,A)
【文献】特開平05-097855(JP,A)
【文献】国際公開第2018/161910(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/53
A61K 45/00
A61K 39/395
A61P 43/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 37/06
A61P 31/12
A61P 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物。
【化1】
(式中、R1は、C3-C12シクロアルキル基、C6-C12アリール基、又は5-12員のヘテロアリール基を表し、
2は、5-12員のヘテロアリール基を表し、
ここで、前記R1、R2は任意選択でそれぞれ独立してR4(ここで、R4はC1-C6アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6アルキル基)-、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C6-C12アリール基、5-12員のヘテロアリール基、C1-C6ハロアルキル基、ハロゲン、オキソ、ニトロ基、シアノ基、-NRab、-ORa、-SRa、-SORa、-SO2a、-SO3a、-NRaC(O)Ra、-NRaC(O)ORa、-NRaS(O)2a、-C(O)ORa、-C(O)NRab、-C(O)Ra、-(CRabm-ORa、-(CRabm-NRab、-(CRabm-NRa-(CRabn-ORa、-(CRabm-O-(CRabn-NRab、-(CRabm-O-(CRabn-ORa、及び-(CRabm-NRa-(CRabn-NRabから選ばれる)から選ばれる0、1個、2個、3個、4個又は5個の置換基によって置換され、又は置換基の数が2で、且つ該2つの置換基が互いに隣接する位置にある場合に、それらが任意選択で環化して飽和又は不飽和の4-7員環になり、且つさらに、該環にはO、S、Nから選ばれる0、1個又は2個のヘテロ原子が任意選択で含まれ、
3はC1-C6アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6アルキル基)-、C3-C6シクロアルキル基、C6-C12アリール基、ハロゲン、-NRab、-ORa、-C(O)ORa、又は-(CRabm-ORaを表し、
ここで、Ra、Rbはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C6アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、-(C0-C6アルキレン基)-(C6-C12)アリール基を表し、又は、Ra、Rbが同じ原子に連結されている場合に、それらがそれらに相接する原子と一緒に任意選択で環化して飽和又は不飽和の3-7員環になり、且つ該環にはN、O、Sから選ばれる0、1個又は2個のヘテロ原子が任意選択で含まれ、
n、mはそれぞれ独立して0、1、2、3又は4を表す。)
【請求項2】
下記の式(II)の構造を有する請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物。
【化2】
(式中、W1はCR5、Nから選ばれ、R5はR4と同じように定義され、R2、R3、及びR4は請求項1に定義されている通りであり、oは0、1、2又は3である。)
【請求項3】
下記の式(III)の構造を有する請求項1又は2に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物。
【化3】
(式中、R6は水素、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロゲン、ニトロ基、-NRcd、シアノ基、-SO2c、-SO3cから選ばれ、W1はCR5、Nから選ばれ、R5はR4と同じように定義され、R3とR4は請求項1に定義されている通りであり、oは0、1、2又は3であり、
ここで、Rc、Rdはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C6アルキル基又はC3-C6シクロアルキル基を表し、
又は、Rc、Rdが同じ原子に連結されている場合に、それらがそれらに相接する原子と一緒に任意選択で環化して飽和又は不飽和の3-7員環になり、且つ該環にはN、O、Sから選ばれる0、1個又は2個のヘテロ原子が任意選択で含まれる。)
【請求項4】
以下から選ばれる化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体もしくはその溶媒和物。
【表1】
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物と、任意選択的な薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項6】
他の治療薬及び/又はチェックポイント阻害薬をさらに含み、
前記他の治療薬はクロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ダカルバジン、テモゾロミド、プロカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、フルダラビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、トラベクテジン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノマイシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、イクサベピロン、タモキシフェン、フルタミド、ゴナドレリン類似体、メゲストロール、プレドニゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、インターフェロンα、ロイコボリンカルシウム、シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、アファチニブ、アリサーチブ(alisertib)、アムバチニブ(amuvatinib)、アパチニブ、アキシチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カボザンチニブ、セディラニブ、クレノラニブ(crenolanib)、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダヌセルチブ、ダサチニブ、ドビチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ(foretinib)、ガネテスピブ(ganetespib)、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イマチニブ、イニパリブ(iniparib)、ラパチニブ、レンバチニブ(lenvatinib)、リニファニブ(linifanib)、リンシチニブ(linsitinib)、マシチニブ、モメロチニブ(momelotinib)、モテサニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ(niraparib)、オプロゾミブ(oprozomib)、オラパリブ(olaparib)、パゾパニブ、ピクチリシブ(pictilisib)、ポナチニブ、キザルチニブ(quizartinib)、レゴラフェニブ、リゴサチブ(rigosertib)、ルカパリブ(rucaparib)、ルキソリチニブ、サラカチニブ、サリデジブ(saridegib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テラチニブ、チバンチニブ(tivantinib)、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベリパリブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、ボラセルチブ(volasertib)、アレムツズマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、カツマキソマブ、セツキシマブ、デノスマブ、ゲムツズマブ、イピリムマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブから選ばれ、
前記チェックポイント阻害薬は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、LAG3抗体、TIM-3抗体、抗CTLA-4抗体から選ばれる請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アデノシン受容体の阻害により腫瘍、がん、ウイルス感染、臓器移植の拒絶反応、神経変性疾患、注意欠陥関連疾患又は自己免疫疾患を予防又は治療に使用するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物、あるいは請求項5~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記アデノシン受容体が、A2A受容体及びA2B受容体から選ばれる、請求項7に記載の使用のための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物、あるいは医薬組成物。
【請求項9】
前記腫瘍又はがんは皮膚がん、膀胱がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、骨がん、脳がん、神経細胞腫、直腸がん、結腸がん、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、食道がん、唇がん、喉頭がん、下咽頭がん、舌がん、唾液腺がん、胃がん、腺がん、甲状腺髄様がん、乳頭状甲状腺がん、腎臓がん、腎実質がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、子宮内膜がん、絨毛がん、膵臓がん、前立腺がん、精巣がん、泌尿器がん、黒色腫、脳腫瘍(例えば、膠芽腫、星細胞腫、髄膜腫、髄芽腫、末梢性神経外胚葉性腫瘍)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、成人T細胞白血病リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん、胆嚢がん、気管支がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、多発性骨髄腫、基底細胞がん、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜黒色腫、セミノーマ、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫、形質細胞性腫瘍から選ばれる、請求項7又は8に記載の使用のための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物、あるいは医薬組成物。
【請求項10】
腫瘍、がん、ウイルス感染、臓器移植の拒絶反応、神経変性疾患、注意欠陥関連疾患又は自己免疫疾患の予防又は治療に使用するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物、あるいは請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アデノシン受容体の活性の阻害に使用するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物。
【請求項12】
前記アデノシン受容体が、A2A受容体、A2B受容体から選ばれる、請求項11に記載の使用のための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、同位体誘導体、もしくはその溶媒和物、あるいは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願には、2019年7月30日に中国国家知識産権局へ提出された発明の名称が「アデノシン受容体拮抗薬」である中国特許出願第201910695723.0号の優先権が主張され、その全体の内容が引用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一群の新規な複素環式化合物、その製造方法及びアデノシン受容体(特にA2A及び/又はA2B受容体)拮抗薬としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫療法分野ではチェックポイント阻害薬をめぐっていくつかの飛躍的な進展が遂げられ、多くの臨床研究から、PD-1/PDL-1抗体が様々な腫瘍(小細胞肺がん、黒色腫、頭頸部がん、腎臓がんなど)にある程度は臨床効果を有するものの、単剤応答率が20-40%と一般的に低いということが判明した。固形腫瘍は腫瘍細胞成分だけでなく、腫瘍組織内に存在する多くの他の非腫瘍細胞成分を含み、これらの細胞成分はいわゆる腫瘍微小環境を構成し、腫瘍の浸潤、増殖及び転移に重要な役割を果たす。関連の研究から、PD-1/PDL-1抗体と(腫瘍微小環境の免疫寛容を解消する)他の小さな免疫調節分子の併用投与は応答率の低さを解決する効果的な手段の1つであることが明らかになった。
【0004】
通常の状況では、人体は完全な免疫メカニズムを利用して腫瘍細胞を効果的に制御することができ、T細胞、NK細胞、マクロファージはいずれも腫瘍細胞に殺傷効果があるが、がん細胞自体又は前記免疫細胞の機能が変化する場合は、体の免疫系の排除を逃れて、悪性新生物から腫瘍を形成させる可能性がある。アデノシンは、炎症や免疫応答を制限するために体内で使用されるシグナル分子で、代謝障害や細胞損傷の場合は大幅に増加する。活性化されたアデノシン受容体は体の免疫調節に関与し、様々なタイプの腫瘍微小環境では高レベルが維持される。腫瘍から産生されるアデノシンは侵入する免疫細胞の表面にあるアデノシン受容体と相互に作用することができ、アデノシン受容体にはA1、A2A、A2B、A3の4つのサブタイプがあり、それらはいずれもGタンパク質結合受容体ファミリーに属し、主にGsとGαタンパク質と結合する。各受容体はアデノシンに異なる親和性を示しており、A1R、A2AR及びA3Rは高親和性受容体で、低濃度(250-700nM)のアデノシンによって活性化されるのに対し、A2BRは低親和性受容体で、活性化には高いアデノシン濃度(25μM)が必要である。アデノシン受容体は、その下流のシグナルを引き起こす小分子cAMPによって分類することもでき、A2A及びA2B受容体が活性化されると、受容体のコンフォメーション変化により、活性化されたGsタンパク質が放出され、アデニル酸シクラーゼが活性化され、ATPのcAMPへの変換が加速される。cAMP濃度の上昇は、一般に強力な免疫抑制を伴い、活性化されたA1及びA3受容体がcAMPの産生を阻害するため、一般にはA1及びA3受容体の活性化が免疫の活性化につながると考えられている。
【0005】
アデノシンA2A受容体は主に脳の線条体、脾臓、胸腺、リンパ球及び血小板に発現され、心臓、肺、血管でもその発現が認められ、免疫系の一部の細胞、例えば、T細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞には常に発現している。A2A受容体拮抗薬は最初には主に例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、注意欠陥関連疾患、精神病などの神経疾患の治療に用いられていた。最近の研究から、A2A受容体拮抗薬は樹状細胞の抗原提示、T細胞及びナチュラルキラー細胞の活性化と殺傷能力を向上させ、制御性T細胞(T-regs)、MDSC及びTAMを阻害し、腫瘍免疫寛容を解消して、抗腫瘍免疫応答の発生を促進することによって、腫瘍の退縮を引き起こすということが判明したから、A2A受容体拮抗薬は腫瘍を治療するための効果的な方法の1つになる可能性がある。A2A受容体拮抗薬は単独で投与されてもよいし、他の抗腫瘍薬と併用されてもよく、特に免疫チェックポイント阻害薬との併用投与は今のところ臨床研究でホットスポットとなっている。
【0006】
アデノシンA2B受容体は、血管系、脳、小腸、腫瘍などの様々な組織に発現され、免疫系のマスト細胞、樹状細胞、好中球、マクロファージ、リンパ球などや内皮細胞、神経細胞、グリア細胞を含め様々な細胞でも発現する。A2B受容体は幅広く発現するため、心血管疾患、肺疾患、糖尿病、がんなどをはじめとする様々な疾患で研究の標的となっている。また、A2B拮抗薬は腫瘍(膀胱がん、乳がん)の成長を止められること、トリプルネガティブ乳がん患者のA2B高発現はその治療生存率の低下につながることが関連の研究から判明した。
【0007】
国際特許出願公開WO2018/178338、WO2011/095625、WO2001/92264、WO2003/048165、WO2004/09443、WO2002/055083などにはA2A受容体拮抗薬としての化合物が、国際特許出願公開WO2005/040155、WO2016/164838、WO2016/150901、WO20161/35048、WO2015/05206、WO2012/076974、WO2011/005871、中国特許出願公開第CN102532137号、米国特許出願公開第US20140142113号などにはA2B受容体拮抗薬としての化合物が開示されている。しかしながら、アデノシン受容体に対してより優れた阻害効果を有する阻害薬はなおも必要である。特に、A2A及びA2B受容体を同時に阻害できる拮抗薬は臨床的にも治療的にも価値が大きいが、それらに関する報告はまだ少ない。従来技術では、より優れた阻害効果を有するアデノシン阻害薬、特にA2A及びA2B受容体を同時に阻害できる新規な拮抗薬化合物が要望される。
【発明の概要】
【0008】
本発明者は踏み込んだ研究を重ねてきたところ、良好なA2A及び/又はA2B受容体阻害活性を有する一群の複素環式化合物の発見にたどり着いた。
【0009】
上記の発見に基づく本発明の第1の態様として、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、同位体誘導体、水和物、異性体、溶媒和物、もしくはその代謝産物が提供される。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、C3-C12シクロアルキル基、3-12員のヘテロシクロアルキル基、C6-C12アリール基、5-12員のヘテロアリール基を表し、
前記R1、R2は任意選択でそれぞれ独立してR4から選ばれる0、1個、2個、3個、4個又は5個の置換基によって置換され、R4はC1-C6アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6アルキル)-基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C6-C12アリール基、5-12員のヘテロアリール基、C1-C6ハロアルキル基、ハロゲン、オキソ、ニトロ基、シアノ基、-NRab、-ORa、-SRa、-SORa、-SO2a、-SO3a、-NRaC(O)Ra、-NRaC(O)ORa、-NRaS(O)2a、-C(O)ORa、-C(O)NRab、-C(O)Ra、-(CRabm-ORa、-(CRabm-NRab、-(CRabm-NRa-(CRabn-ORa、-(CRabm-O-(CRabn-NRab、-(CRabm-O-(CRabn-ORa、-(CRabm-NRa-(CRabn-NRabから選ばれ、又は置換基の数が2で、且つ当該2つの置換基が互いに隣接する場合に、それらが任意選択で環化して飽和又は不飽和の4-7員環になり、且つさらに、当該環には任意選択でO、S、Nから選ばれる0、1つ又は2つのヘテロ原子が含まれ、
3は水素、C1-C6アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6アルキル)-基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C6-C12アリール基、5-12員のヘテロアリール基、C1-C6ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、-NRab、-ORa、-SRa、-SORa、-SO2a、-SO3a、-NRaC(O)Ra、-NRaC(O)ORa、-NRaS(O)2a、-C(O)ORa、-C(O)NRab、-C(O)Ra、-(CRabm-ORa、-(CRabm-NRab、-(CRabm-NRa-(CRabn-ORa、-(CRabm-O-(CRabn-NRab、-(CRabm-O-(CRabn-ORa又は-(CRabm-NRa-(CRabn-NRabを表し、Ra、Rbはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C6アルキル基、C3-C6シクロアルキル基又は-(C0-C6アルキレン)-(C6-C12)アリール基を表し、
又は、Ra、Rbが同じ原子に接続されている場合に、それらが任意選択でそれらに接続されている原子と環化して飽和又は不飽和の3-7員環になり、且つ当該環には任意選択でN、O、Sから選ばれる0、1個又は2個のヘテロ原子が含まれ、
n、mはそれぞれ独立して0、1、2、3又は4を表す。)
【0012】
好ましくは、前記式(I)化合物は下記の式(II)の構造を有する。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、W1はCR5、Nから選ばれ、R5はR4と同じ定義であり、R2、R3とR4には式(I)に記載の定義が適用され、oは0、1、2又は3である。)
【0015】
好ましくは、前記式(I)化合物は下記の式(III)の構造を有する。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R6は水素、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロゲン、ニトロ基、-NRcd、シアノ基、-SO2c、-SO3cから選ばれ、W1はCR5、Nから選ばれ、R5はR4と同じ定義であり、R3とR4には式(I)に記載の定義が適用され、oは0、1、2又は3である。
c、Rdはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C6アルキル基又はC3-C6シクロアルキル基を表す。
又は、Rc、Rdが同じ原子に接続されている場合に、それらが任意選択でそれらに接続されている原子と環化して飽和又は不飽和の3-7員環になり、且つ当該環には任意選択でN、O、Sから選ばれる0、1個又は2個のヘテロ原子が含まれる。)
【0018】
好ましくは、本発明に係る化合物は以下の構造から選ばれる。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明に係る化合物は薬学的に許容される塩の形態として製造されてもよく、前記薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸から選ばれる無機酸又は有機酸を用いて生成することができる。
【0021】
本発明に係る薬学的に許容される塩は従来の方法より製造することができ、例えば、本発明に係る化合物を水混和性有機溶媒(例えば、アセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル)に溶解して、過剰量の有機酸又は無機酸の水溶液を加えて、混合物から塩を沈殿させ、その中から溶媒及び余剰の遊離酸を除去して、その後、沈殿した塩を分離する。
【0022】
本発明に係る化合物(又は薬学的に許容されるその塩)は溶媒和物の形態を含んでもよく、好ましくは、前記溶媒和物は水和物である。
【0023】
本発明はまた、アデノシン受容体の活性阻害により調節できる疾患を予防又は治療するための薬物を製造するための、本発明に係る化合物の使用を提供する。好ましくは、前記疾患はがん、腫瘍、炎症性疾患、自己免疫疾患、免疫介在性疾患から選ばれる。
【0024】
さらに、本発明はがん、腫瘍、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、注意関連疾患又は免疫介在性疾患を予防又は治療するために用いられ、本発明に係る式(I)化合物を有効成分として含む医薬組成物を提供する。
【0025】
さらに、本発明は、アデノシン受容体を本発明に係る化合物に曝露させることを含むアデノシン受容体の阻害方法を提供する。好ましくは、本発明は、A2A及び/又はA2B受容体を本発明に係る化合物に曝露させることを含むA2A及び/又はA2B受容体の阻害方法を提供する。さらに、本発明は、これを必要とする哺乳動物に本発明に係る化合物を投与することを含む、がん、腫瘍、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、注意関連疾患又は免疫介在性疾患を予防又は治療するための方法を提供する。
【0026】
がん又は腫瘍の代表的な例は、皮膚がん、膀胱がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、骨がん、脳がん、神経細胞腫、直腸がん、結腸がん、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、食道がん、唇がん、喉頭がん、下咽頭がん、舌がん、唾液腺がん、胃がん、腺がん、甲状腺髄様がん、乳頭状甲状腺がん、腎臓がん、腎実質がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、子宮内膜がん、絨毛がん、膵臓がん、前立腺がん、精巣がん、泌尿器がん、黒色腫、脳腫瘍(例えば、膠芽腫、星細胞腫、髄膜腫、髄芽腫、末梢性神経外胚葉性腫瘍)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、成人T細胞白血病リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん、胆嚢がん、気管支がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、多発性骨髄腫、基底細胞がん、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜黒色腫、セミノーマ、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫、形質細胞性腫瘍を含み、ただしそれらに限定されない。
【0027】
本発明に係る化合物又は薬学的に許容されるその塩が、がん又は腫瘍を治療するための他の抗がん薬又はチェックポイント阻害薬と組み合わせて投与される場合に、本発明に係る化合物又は薬学的に許容されるその塩は増強された抗がん効果を示す。
【0028】
がん又は腫瘍を治療するための抗がん薬の代表的な例は、細胞シグナル伝達阻害薬、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ダカルバジン、テモゾロミド、プロカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、フルダラビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、トラベクテジン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノマイシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、イクサベピロン、タモキシフェン、フルタミド、ゴナドレリン類似体、メゲストロール、プレドニゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、インターフェロンα、ロイコボリン、シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、アファチニブ、アリサーチブ(alisertib)、アムバチニブ(amuvatinib)、アパチニブ、アキシチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カボザンチニブ、セディラニブ、クレノラニブ(crenolanib)、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダヌセルチブ、ダサチニブ、ドビチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ(foretinib)、ガネテスピブ(ganetespib)、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イマチニブ、イニパリブ(iniparib)、ラパチニブ、レンバチニブ(lenvatinib)、リニファニブ(linifanib)、リンシチニブ(linsitinib)、マシチニブ、モメロチニブ(momelotinib)、モテサニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ(niraparib)、オプロゾミブ(oprozomib)、オラパリブ(olaparib)、パゾパニブ、ピクチリシブ(pictilisib)、ポナチニブ、キザルチニブ(quizartinib)、レゴラフェニブ、リゴサチブ(rigosertib)、ルカパリブ(rucaparib)、ルキソリチニブ、サラカチニブ、サリデジブ(saridegib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テラチニブ、チバンチニブ(tivantinib)、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベリパリブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、ボラセルチブ(volasertib)、アレムツズマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、カツマキソマブ、セツキシマブ、デノスマブ、ゲムツズマブ、イピリムマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブを含み、ただしそれらに限定されず、チェックポイント阻害薬は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、LAG3抗体、TIM-3抗体、抗CTLA-4抗体、又はそれらの任意の組み合わせを含み、ただしそれらに限定されない。
【0029】
炎症性疾患、自己免疫疾患及び免疫介在性疾患の代表的な例は、関節炎、リウマチ性関節炎、脊椎関節炎、痛風性関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、他の関節炎性症状、狼瘡、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連疾患、乾癬、湿疹、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、痛み、肺疾患、肺部炎症、成人急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺サルコイドーシス、慢性肺炎症性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心筋虚血再灌流障害、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、喘息、シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺疾患、じんま疹(風疹)、多発性硬化症、強皮症、器官移植拒絶反応、異種移植、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病関連疾患、炎症、骨盤内炎症性疾患、アレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支炎、アレルギー性副鼻腔炎、白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、骨髄腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄異形成腫瘍(MPN)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫を含み、ただしそれらに限定されない。
【0030】
本発明に係る化合物又は薬学的に許容されるその塩が、炎症性疾患、自己免疫疾患又は免疫介在性疾患を治療するための他の治療薬と組み合わせて投与される場合に、本発明に係る化合物又は薬学的に許容されるその塩は増強された治療効果を示す。
【0031】
炎症性疾患、自己免疫疾患又は免疫介在性疾患の治療薬の代表的な例は、ステロイド薬(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コルチゾン、ヒドロキシコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンなど)、メトトレキサート、レフルノミド、抗TNFα薬(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリズマブなど)、カルシニューリン阻害薬(例えば、タクロリムス、ピメクロリムスなど)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、ロラタジン、エバスチン、ケトチフェン、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジンなど)を含み、ただしそれらに限定されず、それらの中から選ばれる少なくとも1種の治療薬が本発明に係る医薬組成物に含まれてもよい。
【0032】
本発明に係る化合物又は薬学的に許容されるその塩は有効成分として経口又は非経口に投与されてもよく、その有効量の範囲はヒトをはじめとする哺乳動物(体重約70kg)の場合は0.1-2000mg/kg体重/日であり、1-1000mg/kg体重/日であることが好ましく、且つ1日に一度でもしくは4回に分けて投与され、又は所定の時刻もしくは任意の時刻で投与される。有効成分の用量は複数の関連要因(例えば、治療対象の状況、疾患のタイプ及び重症度、投与頻度及び医師の意見)に基づいて調整されてもよい。場合によっては、上記より少ない用量が適切になる場合がある。有害な副作用が出現しない限り、上記より多い用量が1日に数回に分けて投与されてもよい。
【0033】
通常の方法のいずれかで本発明に係る医薬組成物を経口投与又は非経口投与(筋肉内、静脈内、皮下を含む)用の剤形、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル、シロップ、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液又は懸濁液として製剤化することができる。
【0034】
経口投与用の本発明に係る医薬組成物は有効成分を、セルロース、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、デキストロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルク、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、希釈剤などの担体と混合して製造されてもよい。本発明に係る注射用組成物に用いる担体の例としては、水、塩溶液、グルコース溶液、グルコース様溶液、アルコール、グリコール、エーテル(例えば、ポリエチレングリコール400)、油、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤が挙げられる。
【0035】
本発明では、例示的な実施形態の説明により、本発明の他の特徴が明瞭になり、それらの実施形態は本発明を非限定的に説明するものに過ぎず、下記の実施例では本発明が開示する方法を利用して、合成、分離及び特性評価を行う。
【0036】
有機合成分野の技術者に知られる様々な手法を用いて本発明に係る化合物を合成することができ、有機合成化学分野で周知される合成方法、又は当業者の知っている代替的な形態で本発明に係る化合物を合成することができる。使用するキットの材料と所望の変換の実現に適する溶媒又は溶媒混合物において所定の反応を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明者は踏み込んだ研究を重ねてきたところ、アデノシン受容体阻害活性、特にA2A及び/又はA2B阻害活性を有する式(I)に示す一群の複素環式化合物の発見にたどり着いた。当方は上記の発見に基づいて本発明を完成させた。
【0038】
「用語」
特段の説明がない限り、本出願の明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、次の定義を有する。なお、明細書及び特許請求の範囲において、特段の説明がない限り、数量詞が付いていない名詞には一般にその複数形の意味が含まれる。特段の説明がない限り、質量分析、核磁気共鳴、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、薬理学分野の従来の方法を用いる。
【0039】
明細書及び特許請求の範囲では、記載された化学式又は名称には全ての立体異性体、光学異性体及び前記異性体が存在するラセミ体が含まれる。特に説明がない限り、全てのキラル分子(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びラセミ体が本発明の範囲に含まれる。前記化合物にはC=C二重結合、C=N二重結合、環系などの様々な幾何異性体が存在してもよく、前記安定的な異性体も本発明に含まれる。本発明では、本発明に係る化合物のシス-及びトランス-(又はE-及びZ-)幾何異性体であって、異性体の混合物又は個別の異性体として分離され得るものが開示される。本発明に係る化合物は光学活性又はラセミ化により分離できる。本発明に係る化合物の合成方法及びその中間体の合成方法はいずれも本発明の内容と見なされる。鏡像異性体又はジアステレオマー生成物を合成する場合に、従来の方法(例えば、クロマトグラフィー又は分別晶析)により分離できる。方法の条件によって、本発明に係る最終生成物が遊離(中性)の形態又は塩として得られる。遊離形態及び塩であるこれらの最終生成物も本発明の範囲に含まれる。必要ならば、化合物を1種の形態から別の形態に変換してもよい。遊離塩基もしくは酸を塩に変換し、又は塩を遊離化合物もしくは別の塩に変換してもよいし、本発明に係る化合物の異性体の混合物を個別な異性体に分離できる。本発明に係る化合物、その遊離形態及び塩は、水素原子が分子の他の部位に転位されることで当該分子の原子間の化学結合が再配置される様々な互変異性体として存在する。なお、存在する互変異性体の形態の全てが本発明に含まれる。
【0040】
特に定義される場合を除いて、置換基について「任意選択で置換される」と記載される場合は、前記置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ、アルカノイル基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基、二置換アミノ基(2個のアミノ置換基はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基から選ばれる)、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基、アラルカノイルアミノ基、置換アルカノイルアミノ基、置換アリールアミノ基、置換アラルカノイルアミノ基、チオ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基、アリールチオカルボニル基、アリールアルキルチオカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールアルキルスルホニル基、スルホニルアミノ基(例えば、-SO2NH2)、置換スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基(例えば、-CONH2)、置換カルバモイル基(例えば、-CONHアルキル基、-CONHアリール基、-CONHアリールアルキル基、又は窒素にはアルキル基、アリール基、アリールアルキル基から選ばれる2個の置換基を有するもの)、アルコキシカルボニル基、アリール基、置換アリール基、グアニジノ基、複素環基(例えば、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基など)及び置換複素環基から選ばれる。
【0041】
本明細書で使用される用語「アルキル基」又は「アルキレン基」は、所定の炭素原子数を有する分岐及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図するものである。例えば、「C1-C6アルキル基」は1-6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルキル基の例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(例えば、n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基)、ペンチル基(例えばn-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)を含み、ただしそれらに限定されない。アルキル基として好ましいのはC1-C6アルキル基であり、アルキル基としてより好ましいのはC1-C4アルキル基である。
【0042】
用語「アルケニル基」は1又は複数の二重結合を有し、且つ一般に炭素原子数が2-20の直鎖又は分岐の炭化水素基を表す。例えば、「C2-C8アルケニル基」は2-8個の炭素原子を有する。アルケニル基の例は、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、1-メチル-2-ブテン-1-イル基、ヘプテニル基、オクテニル基などを含み、ただしそれらに限定されない。アルケニル基として好ましいのはC2-C8アルケニル基であり、アルケニル基としてより好ましいのはC2-C6アルケニル基である。
【0043】
用語「アルキニル基」は1又は複数の三重結合を有し、且つ一般に炭素原子数が2-20の直鎖又は分岐の炭化水素基を表す。例えば、「C2-C8アルキニル基」は2-8個の炭素原子を有する。アルキニル基として好ましいのはC2-C8アルキニル基であり、アルキニル基としてより好ましいのはC2-C6アルキニル基である。代表的なアルキニル基の例は、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、ヘプチニル基、オクチニル基などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0044】
用語「アルコキシ基」又は「アルキルオキシ基」は-O-アルキル基を表す。「C1-C6アルコキシ基(又はアルキルオキシ基)」はC1、C2、C3、C4、C5及びC6アルコキシ基を含むことを意図する。アルコキシ基として好ましいのはC1-C6アルコキシ基であり、アルコキシ基としてより好ましいのはC1-C4アルコキシ基である。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例えば、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基)、t-ブトキシ基を含み、ただしそれらに限定されない。同様に、「アルキルチオ基」又は「チオアルコキシ基」は上記で定義したアルキル基のうち所定の数の炭素原子が硫黄架橋によって接続されたものを表し、例えば、メチル-S-、エチル-S-である。
【0045】
用語「カルボニル基」は炭素と酸素の2種の原子が二重結合によって接続された有機官能基(C=O)を指す。
【0046】
用語「アリール基」は、それ自体で又は例えば、「アラルキル基」、「アラルコキシ基」又は「アリールオキシアルキル基」の一部として、合計で5-12の環上原子からなる単環、二環又は三環の環系を指し、ただし前記環系中の少なくとも1つの環は芳香族環で、且つ前記環系中の各環は3-7の環上原子を有する。単環の芳香族基はフェニル基を指し、二環以上の芳香族基はナフチル基、アントラセニル基などを指し、なお、当該二環のアリール基はベンゼン環に1個のシクロアルキル基、1個のシクロアルケニル基又は1個のシクロアルキニル基が縮合されたものであってもよい。アリール基として好ましいのはC6-C12アリール基である。本発明のいくつかの実施形態では、「アリール基」は、フェニル基、ビフェニル基、インダニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、テトラヒドロナフチル基を含みただしそれらに限定されない芳香族環系を指す。用語「アラルキル基」又は「アリールアルキル基」は芳香族環に接続されたアルキル残基を指す。非限定的な例として、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。縮合アリール基はシクロアルキル環又は芳香族環の適切な位置で他の基に接続されたものであってもよい。例えば、環系から引いた矢印は、結合が任意の適切な環上原子に接続されてもよいことを意味する。
【0047】
用語「シクロアルキル基」は単環又は二環の環状アルキル基を指す。単環の環状アルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルナニル基を含みただしそれらに限定されないC3-C8の環状アルキル基を指す。1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基などの分岐シクロアルキル基も「シクロアルキル基」の定義に含まれる。二環の環状アルキル基は架橋環、スピロ環及び縮合環のシクロアルキル基を含む。シクロアルキル基として好ましいのはC3-C6シクロアルキル基である。
【0048】
用語「シクロアルケニル基」は単環又は二環の環状アルケニル基を指す。単環の環状アルケニル基はシクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基を含みただしそれらに限定されないC3-C8の環状アルケニル基を指す。1-メチルシクロプロペニル基、2-メチルシクロプロペニル基などの分岐シクロアルケニル基も「シクロアルケニル基」の定義に含まれる。二環の環状アルケニル基は架橋環、スピロ環及び縮合環の環状アルケニル基を含む。
【0049】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。「ハロアルキル基」は所定の炭素原子数を有し、且つ1又は複数のハロゲンによって置換された分岐及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図するものである。ハロアルキル基の例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタクロロプロピル基を含み、ただしそれらに限定されない。ハロアルキル基には、所定の炭素原子数を有し、且つ1又は複数のフッ素原子によって置換された分岐及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図された「フルオロアルキル基」が例として含まれる。
【0050】
用語「ハロアルコキシ基」又は「ハロアルキルオキシ基」は上記で定義したハロアルキル基のうち所定の数量の炭素原子が酸素架橋によって接続されたものを表す。例えば、「C1-C6ハロアルコキシ基」はC1、C2、C3、C4、C5及びC6ハロアルコキシ基を含むことを意図するものである。ハロアルコキシ基の例は、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基を含み、ただしそれらに限定されない。同様に、用語「ハロアルキルチオ基」又は「チオハロアルコキシ基」は上記で定義したハロアルキル基のうち所定の数量の炭素原子が硫黄架橋によって接続されたものを表し、例えば、トリフルオロメチル-S-、ペンタフルオロエチル-S-である。
【0051】
用語「ヘテロアリール基」は、安定的な3員、4員、5員、6員、もしくは7員の芳香族単環もしくは芳香族二環、又は7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員もしくは14員の芳香族多環式複素環であって、炭素原子及びN、O、Sから独立して選ばれる1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を有する完全に不飽和の又は部分的に不飽和のもので、上記で定義した任意の複素環にベンゼン環が縮合されてなる多環式基を含むものを意味する。窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択に酸化されてもよい。窒素原子が置換されてもよいし置換されなくてもよい(即ちN又はNRで、ここでRはH、又は定義がある場合は他の置換基である)。複素環は、安定的な構造にできる任意のヘテロ原子又は炭素原子においてペンダント基に接続されてもよい。得られた化合物が安定的なものである場合に、本明細書に記載の複素環基は炭素原子又は窒素原子において置換されてもよい。複素環における窒素原子は任意選択に四級化されてもよい。なお、複素環でSとO原子の総数が1を超えた場合には、これらのヘテロ原子が互いに隣接しないことが好ましい。複素環でSとO原子の総数が1以下であることが好ましい。ヘテロアリール基として好ましいのは5-12員のヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の例は、アクリジニル基、アゼチジニル基、アゾシニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾテトラゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリニル基、カルバゾリル基、4aH-カルバゾリル基、カルボリニル基、クロマニル基、クロメニル基、シンノリニル基、デカヒドロキノリニル基、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル基、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフリル基、フリル基、フラザニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリル基、1H-インダゾリル基、イミダゾピリジル基、インドレニル基(indolenyl)、ジヒドロインドリル基、インダジニル基、インドリル基、3H-インドリル基、イサチノイル基(isatinoyl)、イソベンゾフリル基、イソクロマニル基、イソインダゾリル基、イソジヒドロインドリル基、イソインドリル基、イソキノリニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾロピリジル基、イソオキサゾリル基、イソキサゾロピリジル基、メチレンジオキシフェニル基、モルホリニル基、フタラジニル基、オクタヒドロイソキノリニル基、オキサジアゾリル基、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,5-オキサジアゾリル基、1,3,4-オキサジアゾリル基、オキサゾリジニル基、オキサゾリル基、オキサゾピリジル基、オキサゾリジニル基、ペリミジニル基、インドキシル基、ピリミジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイニル基、フェノキサジニル基、フタラジニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、ピペリドニル基、4-ピペリドニル基、ピペロニル基、プテリジニル基、プリニル基、ピラニル基、ピラジニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾロピリジル基、ピラゾリル基、ピリダジニル基、ピリドオキサゾリル基、ピリドイミダゾリル基、ピリドチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、2-ピロリドニル基、2H-ピロリル基、ピロリル基、キナゾリニル基、キノリニル基、4H-キノリジジニル基、キノキサリル基、キヌクリジニル基、テトラゾリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、6H-1,2,5-チアジアジニル基、1,2,3-チアジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,2,5-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、チアントレニル基、チアゾリル基、チエニル基、チアゾロピリジル基、チエノチアゾリル基、チエノオキサゾリル基、チエノイミダゾリル基、チエニル基、トリアジニル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、1,2,5-トリアゾリル基、1,3,4-トリアゾリル基、キサンテニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、インドリル基、イソインドリル基、ジヒドロインドリル基、1H-インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル基、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリニル基、2,3-ジヒドロ-ベンゾフリル基、クロマニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノキサリル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-キナゾリニル基を含み、ただしそれらに限定されない。本発明は、上記のような複素環を有する縮合環化合物及びスピロ環化合物をさらに含む。
【0052】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキル基」は単環のヘテロシクロアルキル基系、又は二環のヘテロシクロアルキル基系を指し、スピロヘテロシクロアルキル基及び架橋ヘテロシクロアルキル基をさらに含む。単環のヘテロシクロアルキル基は3-8員でO、N、S、Pから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の非芳香族の環状アルキル基系を指す。二環のヘテロシクロアルキル基系は1つのヘテロシクロアルキル基が1つのフェニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、又はヘテロアリール基に縮合されたものを指す。ヘテロシクロアルキル基として好ましいのは3-12員のヘテロシクロアルキル基である。
【0053】
本明細書で使用される用語「置換」は少なくとも1つの水素原子が水素以外の基に置き換えられることを意味し、ただし正常な原子価が維持され且つ前記置換より安定的な化合物が得られることが条件である。本明細書で使用される「環二重結合」は2つの隣り合う環上原子において形成された二重結合である(例えば、C=C、C=N又はN=Nである)。
【0054】
本発明に係る化合物に窒素原子が存在する(例えば、アミンである)場合には、酸化剤(例えば、m-CPBA及び/又は過酸化水素)で処理してこれらの窒素原子をN-オキシドに変換して、本発明に係る他の化合物を得ることができる。したがって、窒素原子が表示された又はその保護を求める場合は、本発明に係る誘導体を得るために窒素及びそのN-オキシドの両方が含まれる。
【0055】
変数が化合物の任意の組成又は化学式に1回以上出現する場合には、その都度、互いに関係なく独立して定義される。したがって、例えば、0、1個、2個又は3個のRによって置換された基と記載された場合には、前記基は任意選択に最大3個までのR基によって置換されてもよく、しかもRは出現するたびにそれぞれ独立してRの定義から選ばれる。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、当該組み合わせから安定的な化合物が得られる場合にのみ、その存在が許容される。
【0056】
用語「溶媒和物」は本発明に係る化合物が(有機分子か無機分子は問わず)1又は複数の溶媒分子と物理的に結合されたものを意味する。当該物理的結合には水素結合が含まれる。特定の状況において、例えば、1又は複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれた場合に、溶媒和物を分離することができる。溶媒和物中の溶媒分子は規則的に配置されてもよいし、無秩序に配置されてもよい。溶媒和物には化学量論的に溶媒分子を含んでもよいし、又は非化学量論的に溶媒分子を含んでもよい。「溶媒和物」には溶液相及び分離可能な溶媒和物が含まれる。溶媒和物の例としては、水和物、エタノラート、メタノラート、イソプロパノラートを含み、ただしそれらに限定されない。溶媒和化の方法は本分野で周知される内容である。
【0057】
本明細書で使用される用語「患者」は、本発明の方法で治療される生物を指す。このような生物は哺乳動物(例えば、ネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を非限定的に含むことが好ましく、ヒトであることが最も好ましい。
【0058】
本明細書で使用される用語「有効量」は組織、系、動物又はヒトにおいて研究者や臨床医師が期待する生物学的又は医学的応答を引き起こせる薬物もしくは薬剤(本発明に係る化合物)の量を意味する。また、用語「治療有効量」は、当該量の投与を受けない被験者と比べて、治療効果、治癒、予防効果の改善が見られ、又は疾患、症状もしくは副作用の軽減が見られ、又は疾患もしくは症状の進行速度の低減が見られるような量を意味する。有効量は特定の製剤又は投与経路に限定されることなく、一度でもしくは複数回に分けて又は1もしくは複数の用量で投与されてもよい。当該用語には、正常な生理学的機能を増強できる範囲という意味での有効量をさらに含む。
【0059】
本明細書で使用される用語「治療」には、症状、疾患、障害などの改善などの任意の効果、例えば、軽減、減少、調節、改善、解消、又は症状の改善をもたらすことを含む。本明細書に記載の特定の化合物又は医薬組成物は、投与された後、特定の疾患、症状もしくは状態を改善させ、特に重症度を軽減し、発症を遅延させ、疾患の進行を遅らせ、又は疾患の持続期間を短縮させる。一定用量の投与か一時的な投与に関わらず、連続投与か間欠投与に関わらず、投与の結果と認められる。本明細書で使用される用語「予防」は疾患又は症状の発生前に疾患の発生を防止、遮断、解消し又は疾患の進行を干渉又は緩和することを指す。
【0060】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、前記組成物が特にインビボ又はエクスビボでの診断もしくは治療に適するようにするための、活性剤と不活性もしくは活性担体との組み合わせを指す。塩基の例は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)の水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)の水酸化物、アンモニアなどを含み、ただしそれらに限定されない。治療用途に関しては、本発明に係る化合物の塩は薬用であるものが望ましい。なお、非薬用の酸及び塩基の塩も、薬用化合物の製造又は精製に利用することができる。
【0061】
本明細書で使用される用語「薬用」は、合理的な医学的判断では、ヒト及び動物の組織と接触して使用することに適し、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応及び/又は他の問題や合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合う化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指す。
【0062】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される担体」、「薬用担体」は薬用物質、組成物又はビヒクルを意味し、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、各種助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛もしくはステアリン酸)又は溶媒封入物質であって、対象化合物を担持しながら特定の器官又は身体の部分から他の器官又は身体の部分に輸送するように機能するものを意味する。各担体は製剤の他の成分に適合し、患者に無害であるという意味で「許容され」なければならない。
【0063】
「薬学用語及び医学用語」
本明細書で使用される用語「許容される」は、配合成分又は有効成分は治療対象の健康には一般的に過度の不利な影響がないことを指す。
【0064】
本明細書で使用される用語「がん」は、制御できない状態で、しかも特定の条件では転移(拡散)できる細胞の異常な成長を指す。がんには、固形腫瘍(例えば、膀胱、腸、脳、胸部、子宮、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、他の内分泌器官(例えば、甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫))又は血液系腫瘍(例えば、非白血性白血病)を含み、ただしそれらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される用語「組み合わせて投与」又は類似する用語は、所定の複数種の治療薬物を、同じ又は異なる投与方式で同じ又は異なる時刻に同一の患者に投与することを指す。
【0066】
本明細書で使用される用語「増強」又は「増強できる」は、期待される結果は効能が増し又は持続期間が延長されることを指す。したがって、薬物の治療効果の増強に関する文脈で使用される場合、用語「増強できる」は薬物がその投与対象に効能を増し又は持続期間を延長させる能力を有することを指す。本明細書で使用される用語「相乗効果」は、理想的な環境において他の治療薬物の効果を最大限に高められる能力を指す。
【0067】
用語「免疫疾患」は内因性又は外因性の抗原に対して好ましくない又は有害な反応が生じる疾患又は症状を指す。結果的には、一般に細胞の機能障害、破壊もしくは機能不全、又は免疫応答を引き起こす器官もしくは組織の破壊が生じる。
【0068】
用語「キット」と「製品包装」は同じ意味である。
【0069】
用語「被験者」又は「対象」には哺乳動物及び非哺乳動物が含まれる。哺乳動物は、哺乳類(ヒト、ヒト以外の霊長類、例えば、オランウータン、サル)、産業動物(例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、家畜(ウサギ、イヌ)、実験動物(げっ歯類、例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を含み、ただしそれらに限定されない。非哺乳類動物は、鳥類、魚類などを含み、ただしそれらに限定されない。好ましい一例では、哺乳動物はヒトである。
【0070】
「投与経路」
適切な投与経路は、経口、静脈注射、経直腸、エアゾール剤、非経口投与、眼内投与、肺内投与、経皮投与、経膣投与、耳道内投与、鼻腔投与、局所投与を含み、ただしそれらに限定されない。また、例示的に、非経口投与は、筋肉内注射、皮下注射、静脈注射、髄内注射、心室注射、腹腔内注射、リンパ内注射、鼻腔内注射を含む。
【0071】
ここで、化合物の投与方式というのは全身投与ではなく局所投与である。特定の実施例では、長時間作用型製剤は注入(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射より投与される。また、別の特定の一実施例では、薬物は標的薬物送達システム、例えば、器官特異的抗体によって内包されたリポソームより投与される。このような実施例では、前記リポソームは選択的に特定の器官にガイドされて吸収される。
【0072】
「医薬組成物及び用量」
本発明は、1種又は複数種の薬用担体(添加剤)及び/又は希釈剤と配合された治療有効量の1種又は複数種の本発明の化合物と、任意選択に1種又は複数種の上記のその他治療薬とを含む薬用組成物をさらに提供する。上記の任意の用途で用いるために、任意の適切な方式で、例えば、経口(例えば、錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液(ナノ懸濁液、マイクロ懸濁液、噴霧乾燥された分散液を含む)、シロップ、乳濁液)、舌下、頬側、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術(例えば、注射用の無菌水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液))、経鼻(例えば、鼻膜への投与(例えば、吸入スプレー))、局所(例えば、クリーム剤もしくは軟膏剤)、経直腸(例えば、坐剤)により本発明の化合物を投与することができる。また、単独で投与することができるが、一般には所定の投与経路及び標準的な薬学実験に基づいて医薬担体を選んで投与する。
【0073】
薬用担体は当業者が知っている範囲で様々な要因を考慮して調製される。前記要因には、配合する活性剤のタイプ及び特性、活性剤を有する組成物の投与対象、組成物の所定の投与経路、適応症を含み、ただしそれらに限定されない。薬用担体は水性と非水性の液体媒体、及び各種の固体と半固体剤形を含む。
【0074】
上記の担体には活性剤の他に様々な成分及び添加剤が含まれてもよく、前記他の成分、例えば、安定活性剤、接着剤などは当業者に周知される各種の要因から製剤に使用される。適切な薬用担体及び担体の選択に関わる要因の説明は多くの文献を参照できる(例えば、Allen L.V.Jr. et al.Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2Volumes),22nd Edition(2012),Pharmaceutical Press)。
【0075】
なお、本発明に係る化合物の投与計画は既知の要因、例えば、薬剤の薬力学的特性、投与頻度及び経路、投与対象の生物種、年齢、性別、健康状態、病状及び重量、症状の特徴及び程度、同時に実施する治療の種類、治療頻度、投与経路、患者の腎機能と肝機能及び期待効果によって変わる。一般には、所定の効果が得られるように、各有効成分の1日経口用量は約0.001mg/日-約10-5000mg/日であり、約0.01mg/日-約1000mg/日であることが好ましく、約0.1mg/日-約250mg/日であることが最も好ましい。定速注入投与の場合には、静脈内用量は約0.01mg/kg/分-約10mg/kg/分であることが最も好ましい。本発明に係る化合物は1日用量を一度で投与してもよいし、又は1日用量を2回、3回もしくは4回に分けて一日中に投与してもよい。
【0076】
前記化合物は一般に所望の投与経路(例えば、経口の錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤)に応じて、且つ一般的な薬学的実験に基づいて適切に選ばれた薬物希釈剤、賦形剤、担体(本明細書ではこれらを一括して医薬担体と称する)との混合物として投与される。
【0077】
投与用剤形(医薬組成物)には約1mg-約2000mgの有効成分/単位用量を含んでもよい。このような医薬組成物には、組成物の総重量に対し、有効成分が一般に約0.1-95重量%の割合で存在する。
【0078】
経口投与用の典型的なカプセル剤は少なくとも1種の本発明に係る化合物(250mg)と、ラクトース(75mg)と、ステアリン酸マグネシウム(15mg)とを含む。当該混合物を60メッシュのスクリーンで選別した後、#1ゼラチンカプセルに充填する。
【0079】
典型的な注射用製剤の製造方法は以下のとおりである。無菌の状態で少なくとも1種の本発明に係る化合物(250mg)をボトルに入れ、無菌の状態で凍結乾燥させて密封する。使用時は、ボトルの内容物を生理食塩水2mLと混合して、注射用製剤を得る。
【0080】
本発明には、(単独で又は医薬担体との組み合わせとして)治療有効量の少なくとも1種の本発明に係る化合物を有効成分とする医薬組成物が含まれる。任意選択に、本発明に係る化合物は単独で使用され、又は本発明に係る他の化合物と組み合わせて使用され、又は1種又は複数種の他の治療薬(例えば、抗がん剤もしくは他の薬学活性物質)と組み合わせて使用される。
【0081】
選択された投与経路に関係なく、当業者の知っている従来の方法で本発明に係る化合物(適切な水和物でもよい)及び/又は本発明に係る医薬組成物を薬用用量で配合する。
【0082】
本発明に係る医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルを調整して、特定の患者に期待される治療応答、組成及び投与方式を効果的に実現でき、しかも患者に毒性がない有効成分の量を得る。
【0083】
用量レベルは、使用される本発明に係る化合物、そのエステル、塩又はアミドの活性、投与経路、投与期間、使用される化合物の代謝速度、吸収の速度及び程度、治療の持続期間、使用される化合物と組み合わせて投与される他の薬物、化合物及び/又は物質、治療患者の年齢、性別、体重、状態、基本健康状態及び病歴など医学分野の多くの既知の要因により決定される。
【0084】
当業者である医師又は獣医は、容易にも有効量の医薬組成物を決定及び処方することができる。例えば、所望の治療効果を達成するために、医師又は獣医は目標レベルより低い量の本発明に係る化合物を含む医薬組成物から、期待効果が出現するまで段階的に用量を増やすことができる。一般に、本発明に係る化合物の適切な1日用量は治療効果を達成するための最低限の化合物の量である。当該有効用量は一般に上記の要因により決定される。一般に、患者に対する本発明に係る化合物の経口、静脈内、脳室内又は皮下用量の範囲は約0.01-約50mg/kg体重/日である。必要ならば、1日有効用量の活性化合物は2、3、4、5、6以上の分割用量で1日中に適切な間隔で投与されてもよく、任意選択に単位剤形で投与される。本発明のいくつかの実施形態では、薬物は1日1回で投与される。
【0085】
本発明に係る化合物は単独で投与されてもよいが、薬物製剤(組成物)として化合物を投与することが好ましい。
【0086】
「キット/製品包装」
ここで、上記の適応症を治療するために使用されるキット/製品包装を説明する。これらのキットは輸送装置、薬品パック又はコンテナーボックスから構成され、コンテナーボックスはいくつかの部分に分割されて、1種又は複数種の容器(例えば、バイアル、試験管など)を収容することができ、各容器には前記方法に係る1種の成分が含まれる。適切な容器はボトル、バイアル、注射器、試験管などを含む。容器は使用が許容されるガラス又はプラスチックなどの材料から製造される。
【0087】
例えば、容器には1種又は複数種の前記化合物が含まれてもよく、化合物は薬物の成分として存在してもよいし、本明細書に記載の他の成分との混合物として存在してもよい。容器には1つの無菌送出口が設けられてもよい(例えば、容器は栓の部分を皮下注射器の針先で穿破できる点滴静脈注射用薬剤バッグ又はボトルである)。このような製品包装は化合物、及び本明細書に記載の使用方法の説明、ラベル又はマニュアルを備えてもよい。
【0088】
典型的なキットは1種又は複数種の容器を含んでもよく、販売上及び化合物の使用上の要求事項を満たすように、各容器には1種又は複数種の材料(例えば、試薬、濃縮された母液、及び/又は機器)が含まれる。これらの材料、例えば、バッファ、希釈剤、フィルタ、針先、注射器、輸送装置、バッグ、容器、ボトル及び/又は試験管は内容リスト及び/又は取扱い説明書とともに提供され、内部の包装にも取扱い説明書が提供される。説明として提供される内容は、漏れなく提供されなければならない。
【0089】
ラベルは容器に貼り付けられ、又は容器に関連付けられるように設置される。ラベルが容器に設置される場合は、文字、数字又は他の特徴が容器に貼り付けられ、成形され、刻印されることである。また、ラベルは例えば、製品の説明として、複数種の容器を含むコンテナーボックス又は配送箱内に設置されてもよい。ラベルは内容物の特定の治療用途を示す。また、上記の方法で説明されるように、ラベルは内容物の使用方法を示してもよい。
【0090】
本明細書で説明される全ての特徴(特許請求の範囲、要約書及び図面の任意の内容を含む)、及び/又は任意の方法もしくは手順に関連する全てのステップは、一つの組み合わせで一部の特徴もしくはステップが互いに矛盾するものでなければ、いずれも任意の組み合わせで存在してもよい。
【0091】
本発明に係る上記の特徴、又は実施例に係る特徴は任意に組み合わせることができる。本明細書に記載の全ての特徴は適切な組成物の形態で提供されることが可能で、明細書に記載の各特徴は、同一の、均等な又は類似する目的を達成できる代替的な特徴に置き換えられてもよい。したがって、特に説明がない限り、記載された特徴は均等な又は類似する特徴の一例に過ぎない。
【0092】
次に、特定の実施例と結び付けて、本発明をさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではなく本発明の説明に過ぎない。次の実施例で具体的な条件を示さない実験方法は、通常の条件又はメーカーが推奨する条件で行われる。特に説明がない限り、パーセンテージ、割合、比率、部数はいずれも重量に基づく。
【0093】
本発明では、重量体積百分率を示す時に使用される単位は当業者に知られる事項であり、例えば、100mLの溶液中の溶質の重量を指す。特に定義がない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語はいずれも当業者が理解している通常の意味である。また、記載された内容に類似する又は均等な方法及び材料はいずれも本発明の方法に利用できる。本明細書に記載の好ましい実施形態及び材料は例示的なものに過ぎない。
【0094】
本発明の好ましい例として、以下の化合物が提供され、ただしそれらに限定されない。
次に、特定の実施例と結び付けて、本発明をさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではなくその説明に過ぎない。次の実施例で具体的な条件を示さない実験方法は、通常の条件又はメーカーが推奨する条件で行われる。特段の説明がない限り、パーセンテージ、部数はいずれも重量に基づくものである。
【0095】
「実施例」
合成手順が示されない中間体は、市販品であってもよい(例えば、シグマーアルドリッチ社やAlfa社の製品)。
【0096】
「一般合成手順」
市販試薬を使用する場合は精製が不要である。室温は20-27℃を指す。1H NMRスペクトルはブルカー社製の核磁気共鳴装置を用いて500MHzにおいて記録される。化学シフト値、即ちδ値は、百万分率で示す。次の略号はNMR信号の多重度を示す。sは一重線、brsは幅広線、dは二重線、tは三重線、mは多重線である。スピン結合定数はJ値で記載され、単位はHzである。NMR及び質量分析の結果はバックグラウンドに基づいて補正される。クロマトグラフィーとは窒素加圧(フラッシュクロマトグラフィー)において100メッシュのシリカゲルを用いて行われるカラムクロマトグラフィーを指す。反応を監視するために用いるTLCは、特定の移動相及びメルク社製のシリカゲルF254を固定相として行われるTLCを指す。
【0097】
LC-MS実験は次の条件下で行われる。
装置:Thermo U3000、ALLtech ELSD、MSQ、ELSDとMSDを組み合わせたUV検出器(溶出比4:1)。カラム:Waters X-Bridge C-18、3.5μm、4.6×50mm、カラム温度:30℃。勾配[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/5.0、0.70/95、1.40/95、1.41/5、1.50/5。(溶媒A=水中の0.01%トリフルオロ酢酸、溶媒B=アセトニトリル中の0.01%トリフルオロ酢酸)。UV検出:214/254/280/300nm、DAD検出:200-400nm、流量:4mL/min、MS:ESI、100-1500m/z。
【0098】
分取HPLCは一般にThermo U3000 AFC-3000を用いる酸性法(アセトニトリルと水の勾配で、それぞれ0.1%ギ酸を含む)を利用する。カラムはGlobalsil C-18 12nm、250×20mm、10μm、又は同等なもので、流量は20mL/minで分離する。
【0099】
「中間体の合成」
化合物INT-1の合成:
【0100】
【化4】
【0101】
2-メチルフラン(3.28g、40.0mmol)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(17.0g、146mmol)を無水テトラヒドロフラン(80mL)に溶解した。-78℃の窒素保護下でゆっくりとn-ブチルリチウム(2.5Mのn-ヘキサン溶液、16mL)を滴加して、反応液を得て-40℃から-20℃の温度範囲で3時間攪拌し、次に-78℃下で塩化トリブチルスズ(13.0g、40.0mmol)を加え、反応液を得てゆっくりと室温に上げて一晩反応させた。飽和塩化アンモニウム(60mL)で反応をクエンチして、酢酸エチルで抽出した(100mL×3)。合わせた有機相を飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液をシリカゲル(100g)とフッ化カリウム(10g)を組み合わせたクロマトグラフィーカラムに通して、酢酸エチル(300mL)で溶出し、溶出液を減圧下で濃縮して化合物INT-1を得た(12.1g、収率81%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 6.44(d,J=3.0Hz,1H),6.05-5.94(m,1H),2.33(s,3H),1.62-1.48(m,6H),1.37-1.29(m,6H),1.12-0.98(m,6H),0.94-0.87(m,9H)。
【0102】
化合物INT-2の合成:
【0103】
【化5】
【0104】
氷浴下で、化合物INT-2a(1.31g、10.0mmol)をアンモニアのエタノール溶液(2M、7.50mL)に加えた。反応液を得て氷浴下で1時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物INT-2bを得、精製する必要がなくそのまま次のステップに使用した(1.31g、収率88%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 9.20(s,1H),8.29(s,1H),7.11(s,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),1.32(t,J=7.1Hz,3H)。
【0105】
氷浴下で、ヨードメタン(721mg、5.08mmol)、ナトリウムエトキシド(109mg、1.60mmol)をこの順に、化合物INT-2b(215mg、1.45mmol)を溶解したエタノール溶液(5mL)に加えた。反応液を得て25℃下で1時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して、水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出した(20mL×3)。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)で精製して橙黄色の油性化合物INT-2を得た(200mg、収率85%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 4.19(q,J=7.1Hz,2H),2.50(s,3H),1.33(t,J=7.1Hz,3H)。
【0106】
化合物INT-3の合成:
【0107】
【化6】
【0108】
氷浴下で、エトキシカルボニルイソチオシアナート(9.47g、72.2mmol)を、INT-3aの5-アミノピラゾール(6.00g、72.2mmol)を溶解した酢酸エチル溶液(180mL)に加え、反応液を得て氷浴下で2時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して橙黄色の固体化合物INT-3bを得(15.5g、収率>99%)、当該粗生成物を精製する必要がなくそのまま次のステップの反応に使用した。
MS:179.1[M+H]+
【0109】
水酸化ナトリウム水溶液(2M、144mL)を、粗生成物の化合物INT-3b(15.5g)を入れた反応フラスコに加え、15℃下で1時間攪拌し、次にエタノール(72mL)及びヨードメタン(10.3g、72.2mmol)を加え、反応液を得て15℃下で1時間攪拌した。沈殿した白色の固体を濾過し、フィルターケーキを乾燥した後、白色の固体化合物INT-3cを得た(12.9g、収率87%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.58(s,1H),5.83(s,1H),2.33(s,3H)。
【0110】
塩化ホスホリル(75.1g、45.5mL)を、化合物INT-3c(5.00g、24.5mmol)を入れた反応フラスコに加え、次に2,6-ルチジン(10.5g、98.0mmol)を加え、反応液を得て100℃下で1時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮し、次に酢酸エチル(200mL)を加え、懸濁液を得て氷水(350mL)に注いで、抽出して、分液し、水相を酢酸エチルで抽出した(150mL×2)。合わせた有機相を水(100mL)で洗浄し、飽和ブライン(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して赤色の固体化合物INT-3dを得た(4.22g、収率86%)。
MS:200.9[M+H]+
【0111】
化合物INT-3d(4.30g、21.4mmol)、化合物INT-1(8.75g、23.6mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(376mg、536μmol)を反応フラスコに加え、次にN-メチルピロリドン(43mL)を加え、反応液を得て85℃の液体窒素保護下で1時間攪拌した。反応液を冷却した後、水(400mL)に注いで、酢酸エチルで抽出した(150mL×3)。合わせた有機相を水(100mL)で洗浄し、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、粗生成物を得て酢酸エチル(45mL)で再結晶させて黄色の固体化合物INT-3eを得た(3.62g、収率68%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.33(d,J=2.0Hz,1H),8.30(d,J=3.5Hz,1H),6.60(d,J=3.5Hz,1H),6.58(d,J=2.0Hz,1H),2.56(s,3H),2.49(s,3H)。
MS:247.2[M+H]+
【0112】
15℃下で、N-ブロモスクシンイミド(1.45g、8.12mmol)を化合物INT-3e(2.00g、8.12mmol)のジクロロメタン懸濁液(60mL)に加え、反応液を得て15℃下で30分間攪拌した。ジクロロメタン(150mL)を加え、水(50mL)で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物INT-3fを得た(2.62g、収率99%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.35(d,J=3.5Hz,1H),8.07(s,1H),6.38(d,J=3.5Hz,1H),2.68(s,3H),2.54(s,3H)。
MS:325.0[M+H]+
【0113】
氷浴下で、メタクロロ過安息香酸(1.80g、8.86mmol、純度85%)を、化合物INT-3f(2.62g、8.06mmol)を溶解したジクロロメタン溶液(80mL)に加え、反応液を得て氷浴下で10分間攪拌した。ジクロロメタン(150mL)を加え、次に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、そして飽和ブライン(100mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物INT-3gを得た(2.63g、収率95%)。
MS:341.1[M+H]+
【0114】
化合物INT-3g(2.63g、7.71mmol)を入れた反応フラスコにアンモニアの1,4-ジオキサン溶液(0.4M、154mL)を加え、反応液を得て55℃下で30分間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得て1,4-ジオキサン(50mL)で再結晶させて黄色の固体化合物INT-3を得た(1.70g、収率75%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.14(s,1H),8.13(d,J=3.5Hz,1H),7.52(s,2H),6.53(d,J=3.5Hz,1H),2.44(s,3H)。
MS:294.0[M+H]+
【0115】
化合物INT-4の合成:
【0116】
【化7】
【0117】
化合物INT-3の合成方法を参照し、化合物INT-4は化合物INT-4aから同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.16(d,J=3.5Hz,1H),7.44(s,2H),6.52(d,J=3.5,1H),2.43(s,3H),2.31(s,3H)。
MS:308.1[M+H]+
【0118】
化合物INT-5の合成:
【0119】
【化8】
【0120】
5-メチル-2-フル酸(200mg、1.59mmol)を塩化チオニル(3mL)に加え、反応液を得て温度を上げて還流下で1時間反応させた。反応液を減圧下で濃縮して塩化アシルを得て無水アセトニトリル(2mL)に溶解し、次にそれをゆっくりとチオシアン酸カリウム(200.6mg、1.98mmol)のアセトニトリル溶液(10mL)に滴加し、窒素保護下で、室温下で攪拌しながら2時間反応させた。さらに5-クロロ-1H-ピラゾール-3-アミン(186.4mg、1.59mmol)を前記反応液に加え、窒素保護下で引き続き室温下で攪拌しながら2時間反応させ。反応液を減圧下で濃縮して粗生成物を得、水(15mL)でスラリー化し、濾過して、乾燥した後、黄色の固体化合物INT-5aを得た(434mg、純度67%、収率64%)。
MS:284.9[M+H]+
【0121】
水素化ナトリウム(純度60%、鉱油分散、53.1mg、1.33mmol)を、化合物INT-5a(434mg、純度67%、1.02mmol)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に加え、室温下で10分間攪拌し、さらにヨードメタン(145mg、1.02mmol)を加え、引き続き室温下で攪拌しながら1時間反応させ、次に窒素保護下で、温度を150℃に上げて一晩反応させた。反応を冷却した後、減圧下で濃縮して粗生成物を得、水(10mL)でスラリー化し、濾過して、乾燥した後、淡黄色の固体化合物INT-5bを得た(140mg、収率48%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.18(d,J=3.5Hz,1H),6.73(s,1H),6.60(d,J=3.5Hz,1H),2.55(s,3H),2.49(s,3H)。
MS:281.1[M+H]+
【0122】
室温下で、N-ブロモスクシンイミド(88.8mg、0.498mmol)を化合物INT-5b(140mg、0.498mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)に加え、反応液を得て室温下で30分間攪拌した。ジクロロメタン(60mL)で希釈した後、水(15mL)で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、そして飽和ブライン(15mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物INT-5cを得た(179mg、収率99%)。
MS:359.2[M+H]+
【0123】
氷浴下で、メタクロロ過安息香酸(106mg、0.523mmol、純度85%)を、化合物INT-5c(179mg、0.498mmol)を溶解したジクロロメタン溶液(5mL)に加え、反応液を得て氷浴下で10分間攪拌した。ジクロロメタン(60mL)を加え、次に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、そして飽和ブライン(15mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物の粗生成物INT-5dを得た(195mg、純度92%、収率95%)。
MS:374.5[M+H]+
【0124】
化合物INT-5d(195mg、純度92%、0.473mmol)を入れた反応フラスコにアンモニアの1,4-ジオキサン溶液(0.4M、10mL)を加え、反応液を得て55℃下で30分間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得て1,4-ジオキサン(6mL)で再結晶させて黄色の固体化合物INT-5を得た(123mg、収率74%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.06(d,J=3.5Hz,1H),7.69(brs,2H),6.56(d,J=3.5Hz,1H),3.57(s,3H),2.46(s,3H)。
MS:329.1[M+H]+
【0125】
化合物INT-6の合成:
【0126】
【化9】
【0127】
化合物INT-5の合成方法を参照し、化合物INT-6は化合物INT-6aから同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.99(d,J=3.5Hz,1H),7.66(brs,2H),6.53(d,J=3.5Hz,1H),3.55(s,3H),2.43(s,3H)。
MS:312.2[M+H]+
【0128】
化合物INT-7の合成:
【0129】
【化10】
【0130】
ヨードメタン(2.79g、19.6mmol)、炭酸カリウム(2.47g、17.8mmol)をこの順に、化合物INT-7a(1.00g、8.92mmol)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に加えた。反応液を得て50℃下で一晩反応させた。反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:7)で精製して無色の油性化合物INT-7bを得た(424mg、収率33%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.80(d,J=2.2Hz,1H),6.71(d,J=2.2Hz,1H),3.90(s,3H),3.76(s,3H)。
【0131】
水酸化リチウム(145mg、6.05mmol)の水溶液(3.5mL)を、化合物INT-7b(424mg、3.03mmol)を溶解したメタノール(3.5mL)とテトラヒドロフラン(3.5mL)の混合溶液に加えた。反応液を得て室温下で2時間攪拌した。水(15mL)を加え、1M希塩酸で反応液のpHを5-6に調整し、次に酢酸エチルで抽出し(20mL×5)、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して白色の固体化合物INT-7cを得た(292mg、収率76%)。
【0132】
化合物INT-5の合成方法を参照し、化合物INT-7は化合物INT-7c及び化合物INT-2aから同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.13(s,1H),7.94(d,J=2.3Hz,1H),7.53(d,J=2.3Hz,1H),7.50(s,2H),4.00(s,3H)。
MS:294.0[M+H]+
【0133】
「実施例化合物の合成」
実施例1:
【0134】
【化11】
【0135】
化合物1a(2.07g、10.2mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、続いて0℃下でトリメチルシリルシアニド(1.52g、15.3mmol、1.91mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム(1Mテトラヒドロフラン溶液、15.0mL)を加えた。反応液を70℃下で40分間攪拌し、反応液を20mLの水に加えて、50mLの酢酸エチルで抽出した。分離して有機相を得て50mLの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)で精製して無色の油性化合物1bを得た(1.22g、収率81%)。
【0136】
化合物1b(800mg、5.36mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、続いて化合物1c(1.40g、8.04mmol)を加えた。反応液を110℃下で1時間攪拌し、反応液を50mLの水に加えて、50mLの酢酸エチルで抽出した。分離して有機相を得て水(50mL×2)、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:5)で精製して黄色の固体1dを得た(0.75g、収率69%)。
MS:205.6[M+H]+
【0137】
化合物1d(650mg、3.18mmol)をエタノール(6mL)に溶解し、続いてヒドラジン水和物(3.19g、31.8mmol)を加えた。反応液を100℃下で48時間攪拌し、反応液を真空下で濃縮して黄色油性の目的粗生成物1eを得た(600mg、収率99%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 11.27(s,1H),7.26-7.23(m,2H),7.10-7.06(m,3H),4.42(s,2H),3.60(s,2H)。
MS:192.6[M+H]+
【0138】
化合物1e(600mg、3.14mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶解し、続いて0℃下で化合物1f(412mg、3.14mmol)の酢酸エチル溶液(5mL)に滴加した。反応液を0℃下で2時間攪拌し、反応液を真空下で濃縮した後、スラリー化(酢酸エチル:石油エーテル=1:1、15mL)して白色固体の目的生成物1gを得た(523mg、収率52%)。
MS:323.3[M+H]+
【0139】
化合物1g(523mg、1.62mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(2M、10.5mL)に溶解した。反応液を室温下で30分間攪拌し、1M塩酸で反応系のpHを6に調整した後、大量の固体が沈殿した。当該固体を濾過して真空下で乾燥した後、白色固体の目的生成物1hを得た(448mg、収率99%)。
MS:277.4[M+H]+
【0140】
化合物1h(224mg、811μmol)をエタノール(3mL)に溶解し、続いて水酸化ナトリウム水溶液(2M、3.24mL)、ヨードメタン(115mg、811μmol、75.2μL)をこの順に加えた。反応液を室温下で1時間攪拌し、1M塩酸で反応系のpHを5に調整して、50mLの酢酸エチルで抽出した。分離して有機相を得て飽和ブライン(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して白色固体の目的粗生成物1iを得た(235mg、収率99%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 12.79(s,1H),7.89(s,1H),7.32-7.29(m,2H),7.11-7.08(m,2H),3.87(s,2H),2.55(s,3H)。
MS:291.3[M+H]+
【0141】
化合物1i(242mg、832μmol)を塩化ホスホリル(5.11g、33.3mmol、3.09mL)に加え、続いてN,N-ジメチルアニリン(478mg、3.94mmol、0.5mL)を加えた。反応液を90℃下で2時間攪拌して反応液をゆっくりと50mLの氷水に滴加した後、氷浴下で、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを8に調整して、50mLの酢酸エチルで抽出した。分離して有機相を得て希塩酸(50mL)、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して黄色油性の目的粗生成物1j(262mg)を得、精製する必要がなくそのまま次のステップに使用した。
MS:309.2[M+H]+
【0142】
窒素保護下で、化合物1j(262mg、848μmol)、INT-1(472mg、1.27mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(59.6mg、84.7μmol)をN-メチルピロリドン(4mL)に加えた。反応系を窒素で3回繰り返し置換した後、80℃下で40分間攪拌した。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:4)で精製して黄色の固体1kを得た(175mg、収率58%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.34(d,J=3.5Hz,1H),7.92(s,1H),6.99-6.95(m,1H),6.35(d,J=3.5Hz,1H),4.05(s,2H),2.63(s,3H),2.53(s,3H)。
MS:355.3[M+H]+
【0143】
化合物1k(100mg、282μmol)をジクロロメタン(3mL)に加え、続いてメタクロロ過安息香酸(143mg、705μmol、純度85%)を加えた。反応液を室温下で1時間攪拌し、ジクロロメタン(50mL)を加えて希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して白色固体の目的粗生成物1lを得(109mg、収率99%)、精製する必要がなくそのまま次のステップに使用した。
MS:387.3[M+H]+
【0144】
化合物1l(109mg、282μmol)をアンモニアメタノール溶液(7M、4mL)に溶解した。反応液を60℃下で30分間攪拌し、反応液を真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体1を得た(16mg、収率18%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.19(d,J=3.0Hz,1H),7.94(s,1H),7.30-7.23(m,2H),7.20(s,2H),7.12-7.05(m,2H),6.53(d,J=3.0Hz,1H),3.85(s,2H),2.46(s,3H)。
MS:324.4[M+H]+
【0145】
実施例2:
【0146】
【化12】
【0147】
化合物2a(4.00g、28.8mmol)を1,4-ジオキサン(80mL)に溶解し、続いて二酸化セレン(1.59g、14.4mmol)を加えた。反応液を65℃下で48時間攪拌した。反応液を濾過して濾液を得て真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)で精製して白色の固体2bを得た(3.12g、収率79%)。
【0148】
化合物2c(3.55g、20.1mmol)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、続いて0℃下でカリウムtert-ブトキシド(2.25g、20.1mmol)を加えた。反応液を0℃下で30分間攪拌した後、化合物2b(2.62g、19.1mmol)を加え、引き続き0℃下で30分間攪拌した。水(100mL)を加えて、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して黄色の固体で1対のZ/E異性体の混合物2dを得た(3.82g)。
MS:161.3[M+H]+
【0149】
化合物2d(1.00g、6.24mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、続いて0℃下で水素化ナトリウム(375mg、9.36mmol、純度60%)を加えた。反応液を0℃下で30分間攪拌した後、ヨードメタン(975mg、6.87mmol、428μL)を加え、反応液を室温下で18時間攪拌した。水(100mL)を加えて酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮した後、黄色油性の目的粗生成物2eを得た(1.07g、収率98%)。
MS:175.1[M+H]+
【0150】
化合物2e(1.07g、6.14mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、続いてパラジウム(活性炭に10%吸着したもの、100mg)を加えた。反応液を室温の水素雰囲気下で18時間攪拌し、濾過して、真空下で濃縮した後、黄色油性の目的粗生成物2fを得た(1.06g、収率98%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.69(t,J=7.7Hz,1H),7.34(d,J=7.7Hz,1H),7.15(d,J=7.7Hz,1H),4.58(s,2H),3.51(s,3H),3.14(t,J=7.4Hz,2H),2.86(t,J=7.4Hz,2H)。
MS:177.6[M+H]+
【0151】
化合物2f(3.05g、17.3mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、続いて化合物1c(4.52g、26.0mmol、5.36mL)を加えた。反応液を140℃下で1.5時間攪拌した。反応液を水(100mL)に加えて、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て水(100mL)、そして飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:5)で精製して黄色の油性液体2gを得た(3.86g、収率96%)。
MS:232.6[M+H]+
【0152】
化合物2g(3.86g、16.7mmol)をエタノール(30mL)に溶解し、続いてヒドラジン一臭化水素酸塩(2.83g、25.0mmol)を加えた。反応液を80℃下で1時間攪拌した。反応液を真空下で濃縮した後、0℃下で注意深く飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)を加えてジクロロメタン/メタノール混合溶液(10:1、50mL×3)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥して、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=1:10)で精製して黄色の油性液体2hを得た(1.37g、収率38%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.69(t,J=7.7Hz,1H),7.20(d,J=7.7Hz,1H),7.13(s,1H),7.11(d,J=7.7Hz,1H),4.46(s,2H),3.72(s,2H),3.35(s,3H)。
MS:219.6[M+H]+
【0153】
化合物2h(500mg、2.29mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、続いて化合物INT-2(743.21mg、4.58mmol)を加えた。反応液を95℃下で18時間攪拌した後、真空下で濃縮し、続いて2M水酸化ナトリウム水溶液(11.45mL)を加え、反応液を室温下で5時間攪拌した。1M塩酸水溶液で反応液のpHを6に調整して、固体が沈殿した。反応液を濾過して固体を得て真空下で乾燥した後、黄色固体の化合物2iを得た(190mg、収率29%)。
MS:287.4[M+H]+
【0154】
化合物2i(20mg、63.0μmol)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶解し、続いて化合物2j(38.2mg、81.9μmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(24.4mg、189μmol)を加えた。反応液を50℃下で2時間攪拌した後、室温に戻し、続いてINT-1(46.8mg、126μmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(4.42mg、6.30μmol)を加えて、窒素で3回置換した後、温度を80℃に上げて1時間反応させた。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体2を得た(5mg、収率21%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.28(d,J=3.5Hz,1H),7.91(s,1H),7.73(t,J=7.8Hz,1H),7.33(d,J=7.8Hz,1H),7.22(d,J=7.8Hz,1H),6.47(d,J=3.5Hz,1H),4.56(s,2H),4.12(s,2H),3.48(s,3H),2.51(s,3H)。
MS:351.5[M+H]+
【0155】
実施例3:
【0156】
【化13】
【0157】
化合物2i(50mg、175μmol)を1,4-ジオキサン(6.5mL)に溶解し、続いて化合物2j(106mg、227μmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(67.7mg、524μmol、92.8μL)を加えた。反応液50℃下で40分間攪拌した後、室温に戻し、続いて3a(130mg、175μmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(12.3mg、17.5μmol)を加えて、窒素で3回置換した後、温度を100℃に上げて1時間反応させた。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体3を得た(7.5mg、収率12%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.87(d,J=3.9Hz,1H),7.93(d,J=5.0Hz,1H),7.92(s,1H),7.71(t,J=7.7Hz,1H),7.31(d,J=7.7Hz,1H),7.30-7.28(m,1H),7.21(d,J=7.7Hz,1H),4.54(s,2H),4.11(s,2H),3.45(s,3H)。
MS:353.3[M+H]+
【0158】
実施例4:
【0159】
【化14】
【0160】
化合物2i(30mg、105μmol)を1,4-ジオキサン(4mL)に溶解し、続いて化合物2j(63.5mg、136μmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(40.6mg、314μmol、55.7μL)を加えた。反応液50℃下で40分間攪拌した後、室温に戻し、続いて4a(130mg、175μmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(12.1mg、125μmol)を加えて、50℃下で2時間反応させた。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体4を得た(15mg、収率29%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 9.28(d,J=3.0Hz,1H),8.01(s,1H),7.67(t,J=7.7Hz,1H),7.34(s,2H),7.20(d,J=7.7Hz,1H),7.10(d,J=7.7Hz,1H),6.53(d,J=3.0Hz,1H),4.45(s,2H),3.98(s,2H),3.34(s,3H),2.31(s,3H)。
MS:351.4[M+H]+
【0161】
実施例5、6:
【0162】
【化15】
【0163】
化合物2(33mg、94.2μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、続いて0℃下で三臭化ホウ素(1Mジクロロメタン溶液、188μL)を滴加した。反応液を0℃下で15分間攪拌し、水(30mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを8に調整して、酢酸エチル(25mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体5(10mg、収率32%)及び黄色の固体6(7mg、収率19%)を得た。化合物5及び6のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物5:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.25(d,J=3.5Hz,1H),7.89(s,1H),7.71(t,J=7.8Hz,1H),7.36(d,J=7.8Hz,1H),7.16(d,J=7.8Hz,1H),6.44(d,J=3.5Hz,1H),4.68(s,2H),4.09(s,2H),2.48(s,3H)。
MS:337.3[M+H]+
化合物6:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.25(d,J=3.5Hz,1H),7.91(s,1H),7.70(t,J=7.8Hz,1H),7.36(d,J=7.8Hz,1H),7.21(d,J=7.8Hz,1H),6.44(d,J=3.5Hz,1H),4.59(s,2H),4.11(s,2H),2.48(s,3H)。
MS:399.1[M+H]+
【0164】
実施例7:
【0165】
【化16】
【0166】
化合物5(183mg、544μmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、続いて0℃下で塩化チオニル(3.24g、27.20mmol、1.97mL)を滴加した。反応液を40℃下で1.5時間攪拌し、水(10mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを8に調整して、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)で精製して黄色の固体7aを得た(41mg、収率21%)。
MS:355.2[M+H]+
【0167】
化合物7b(72.9mg、958μmol)をテトラヒドロフラン(8mL)に溶解し、続いて0℃下で水素化ナトリウム(46.0mg、1.15mmol、純度60%)を加えた。反応液を0℃下で5分間攪拌した後、化合物7a(34mg、95.8μmol)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)を加え、反応液を室温下で1時間攪拌した。水(10mL)を加えて酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体7を得た(4.4mg、収率12%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.28(d,J=3.5Hz,1H),7.92(s,1H),7.73(t,J=7.7Hz,1H),7.39(d,J=7.7Hz,1H),7.22(d,J=7.7Hz,1H),6.47(d,J=3.5Hz,1H),4.66(s,2H),4.12(s,2H),3.76-3.72(m,2H),3.65-3.61(m,2H),3.40(s,3H),2.51(s,3H)。
MS:395.4[M+H]+
【0168】
実施例8:
【0169】
【化17】
【0170】
化合物7a(6.35mg、84.6μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.9mg、84.6μmol、14.0μL)をアセトニトリル(2mL)に溶解し、続いて化合物8a(15.0mg、42.3μmol)を加えた。反応液を80℃下で3時間攪拌した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体8を得た(5.0mg、収率30%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.17(d,J=3.5Hz,1H),7.97(s,1H),7.61(t,J=8.0Hz,1H),7.20(d,J=8.0Hz,1H),7.18(s,2H),7.04(d,J=8.0Hz,1H),6.55-6.49(m,1H),3.97(s,2H),3.80(s,2H),3.40(t,J=5.5Hz,2H),3.22(s,3H),2.71(t,J=5.5Hz,2H),2.44(s,3H)。
MS:394.4[M+H]+
【0171】
実施例9:
【0172】
【化18】
【0173】
化合物7a(114.59mg、1.97mmol)をテトラヒドロフラン(8mL)に溶解し、続いて0℃下で水素化ナトリウム(94.7mg、2.37mmol、純度60%)を加えた。反応液を0℃下で5分間攪拌した後、化合物9a(70mg、197μmol)を加え、反応液を室温下で4時間攪拌した。水(15mL)を加えて酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体9を得た(4.4mg、収率5%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.25(d,J=3.5Hz,1H),7.89(s,1H),7.70(t,J=7.5Hz,1H),7.30(d,J=7.5Hz,1H),7.19(d,J=7.5Hz,1H),6.44(d,J=3.5Hz,1H),4.64(s,2H),4.10(s,2H),3.48-3.43(m,1H),2.48(s,3H),0.65-0.61(m,2H),0.54-0.47(m,2H)。
MS:377.4[M+H]+
【0174】
実施例10:
【0175】
【化19】
【0176】
化合物2hの合成方法を参照し、化合物10bは化合物10aから同等なステップで合成することができる。化合物10bのスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.15(s,1H),7.13-7.09(m,1H),6.82-6.78(m,2H),5.05(s,2H),3.68(s,2H)。
【0177】
化合物1の合成方法を参照し、化合物10は化合物10bから同等なステップで合成することができる。化合物10のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.50(d,J=3.6Hz,1H),7.92(s,1H),7.49-7.42(m,1H),6.83-6.76(m,2H),6.45(d,J=3.6Hz,1H),4.02(s,2H),2.56(s,3H)。
MS:342.3[M+H]+
【0178】
実施例11:
【0179】
【化20】
【0180】
化合物10の合成方法を参照し、化合物11は化合物11aから同等なステップで合成することができる。化合物11のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.36(d,J=3.5Hz,1H),7.69(s,1H),7.29(s,2H),7.18-7.10(m,1H),6.93-6.88(m,1H),6.87-6.80(m,1H),6.38(d,J=3.5Hz,1H),3.91(s,2H),2.56(s,3H),2.34(s,3H)。
MS:338.3[M+H]+
【0181】
実施例12:
【0182】
【化21】
【0183】
化合物10の合成方法を参照し、化合物12は化合物12aから同等なステップで合成することができる。化合物12のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.32(d,J=3.5Hz,1H),7.79(s,1H),6.69-6.61(m,2H),6.34(d,J=3.5Hz,1H),5.26(s,2H),3.95(s,2H),2.52(s,3H)。
MS:360.3[M+H]+
【0184】
実施例13:
【0185】
【化22】
【0186】
化合物10の合成方法を参照し、化合物13は化合物13aから同等なステップで合成することができる。化合物13のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.25(d,J=3.5Hz,1H),7.84(s,1H),6.44(d,J=3.5Hz,1H),2.48(s,3H),2.46(d,J=7.0Hz,2H),2.21-2.16(m,1H),2.05-2.00(m,1H),1.72-1.70(m,3H),1.66-1.63(m,1H),1.60-1.55(m,1H),1.23-1.18(m,2H),1.02-0.87(m,2H)。
MS:312.5[M+H]+
【0187】
実施例14:
【0188】
【化23】
【0189】
化合物10の合成方法を参照し、化合物14は化合物14aから同等なステップで合成することができる。化合物14のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.38(d,J=3.5Hz,1H),7.90(s,1H),6.38(d,J=3.5Hz,1H),5.42(s,2H),2.55(s,3H),2.20(m,2H),1.89-1.49(m,9H)。
MS:298.4[M+H]+
【0190】
実施例15:
【0191】
【化24】
【0192】
化合物10の合成方法を参照し、化合物15は化合物15aから同等なステップで合成することができる。化合物15のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.37(d,J=3.5Hz,1H),7.87(s,1H),6.37(d,J=3.5Hz,1H),5.26(s,2H),2.72(d,J=7.5Hz,2H),2.66(m,1H),2.55(s,3H),2.15-2.07(m,2H),1.91-1.85(m,2H),1.78-1.74(m,2H)。
MS:284.4[M+H]+
【0193】
実施例16:
【0194】
【化25】
【0195】
化合物10の合成方法を参照し、化合物16は化合物16aから同等なステップで合成することができる。化合物16のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.36(d,J=3.4Hz,1H),8.04(s,1H),7.45(t,J=7.7Hz,1H),6.76(d,J=7.7Hz,1H),6.55(d,J=7.7Hz,1H),6.35(d,J=3.4Hz,1H),5.32(s,2H),4.04(s,2H),3.94(s,3H),2.53(s,3H)。
MS:337.4[M+H]+
【0196】
実施例17:
【0197】
【化26】
【0198】
化合物17b(1.55g、17.6mmol)をテトラヒドロフラン(45mL)に溶解し、続いて0℃下で水素化ナトリウム(1.06g、26.4mmol、純度60%)を加えた。反応液を0℃下で1時間攪拌した後、化合物17a(3.10g、17.6mmol)を加え、反応液を60℃下で18時間攪拌した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を加えて酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーで精製して黄色油性の化合物17cを得た(1.93g、収率48%)。
MS:228.6[M+H]+
【0199】
化合物17c(930mg、4.08mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、続いて0℃下でN-メチルモルホリンN-オキシド(957mg、8.17mmol)、ヨウ化カリウム(67.8mg、408μmol)を加えた。反応液を70℃下で6時間攪拌し、真空下で濃縮し、水(50mL)を加えて、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して黄色油性の目的粗生成物17dを得た(560mg、収率66%)。
MS:208.8[M+H]+
【0200】
化合物2hの合成方法を参照し、化合物17eは化合物17dから同等なステップで合成することができる。化合物17eのスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.64(t,J=7.7Hz,1H),7.31(d,J=7.7Hz,1H),7.26(s,1H),7.09(d,J=7.7Hz,1H),4.66-4.59(m,2H),4.31-4.28(m,1H),4.00-3.93(m,2H),3.89-3.88(m,3H),3.52(s,2H),2.11-2.03(m,2H)。
MS:275.7[M+H]+
【0201】
化合物1の合成方法を参照し、化合物17は化合物17eから同等なステップで合成することができる。関連する中間体17f及び化合物17のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物17f:MS:437.3[M+H]+
化合物17:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.27(d,J=3.5Hz,1H),8.02(s,1H),7.54(d,J=7.8Hz,1H),7.46(t,J=7.8Hz,1H),7.26(d,J=7.8Hz,1H),6.45(d,J=3.5Hz,1H),4.85(d,J=11.0Hz,1H),4.78(d,J=11.0Hz,2H),4.41-4.40(m,1H),4.22(s,2H),3.96-3.91(m,2H),3.87-3.82(m,2H),2.49(s,3H),2.14-2.10(m,2H)。
MS:423.3[M+H]+
【0202】
実施例18:
【0203】
【化27】
【0204】
化合物2の合成方法を参照し、化合物18は化合物17eから同等なステップで合成することができる。化合物18のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.28(d,J=3.5Hz,1H),7.92(s,1H),7.73(t,J=7.7Hz,1H),7.36(d,J=7.7Hz,1H),7.22(d,J=7.7Hz,1H),6.47(d,J=3.5Hz,1H),4.66-4.60(m,2H),4.35-4.33(m,1H),4.12(s,2H),3.95-3.90(m,2H),3.86-3.85(m,2H),2.51(s,3H),2.05-2.04(m,2H)。
MS:407.1[M+H]+
【0205】
実施例19:
【0206】
【化28】
【0207】
化合物19a(5.00g、25.0mmol)を無水ジエチルエーテル(80mL)に溶解し、続いて0℃下でメチルマグネシウムブロミド(3Mテトラヒドロフラン溶液、12mL)に滴加した。反応液を0℃下で1時間攪拌した後、水(100mL)を加えて酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮した後、黄色油性の目的生成物19bを得た(5.25g、収率97%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.55(t,J=7.7Hz,1H),7.38-7.34(m,2H),4.07(s,1H),1.54(s,6H)。
MS:216.3[M+H]+
【0208】
化合物19b(3.95g、18.3mmol)及び化合物19c(1.94g、36.6mmol、2.41mL)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(3.70g、36.6mmol、5.07mL)、トリス(2-メチルフェニル)ホスフィン(1.11g、3.66mmol)及び酢酸パラジウム(410mg、1.83mmol)を加えた。反応系を窒素で3回繰り返し置換した後、100℃下で18時間攪拌した。反応液を珪藻土で濾過した後、水(100mL)を加えて、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合わせた有機相を水(100mL×2)、そして飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:2)で精製して黄色の油性液体19dを得た(3.2g、収率93%)。
MS:189.5[M+H]+
【0209】
化合物2の合成方法を参照し、化合物19は化合物19dから同等なステップで合成することができる。化合物19のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.28(d,J=3.5Hz,1H),7.96(s,1H),7.68(t,J=7.8Hz,1H),7.43(d,J=7.8Hz,1H),7.14(d,J=7.8Hz,1H),6.47(d,J=3.5Hz,1H),4.13(s,2H),2.51(s,3H),1.55(s,6H)。
MS:365.4[M+H]+
【0210】
実施例20:
【0211】
【化29】
【0212】
化合物20a(7.00g、37.2mmol)をジメチルスルホキシド(30mL)に溶解し、続いて2-ヨードキシ安息香酸(11.0g、39.1mmol)を加えた。反応液を室温下で2時間攪拌した後、水(100mL)を加えて濾過した。濾液を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)、水(100mL×2)、そして飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して白色固体の目的粗生成物20bを得た(6.0g、収率87%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 9.90(s,1H),8.04-7.96(m,3H)。
【0213】
化合物2c(5.48g、31.0mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、続いて0℃下でカリウムtert-ブトキシド(3.47g、31.0mmol)を加えた。反応液を0℃下で30分間攪拌した後、化合物20b(5.70g、30.6mmol)を加え、引き続き0℃下で30分間攪拌した。水(100mL)を加えて、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して黄色の固体で1対のZ/E異性体の混合物20cを得た(6.40g、収率99%)。
MS:209.3[M+H]+
【0214】
化合物20c(5.55g、26.6mmol)をイソプロパノール(15mL)に溶解し、続いて水素化ホウ素ナトリウム(2.01g、53.1mmol)を加えた。反応液を80℃下で10時間攪拌した後、水(100mL)を加えて酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)で精製して黄色の油性液体20dを得た(4.0g、収率52%)。
MS:211.3[M+H]+
【0215】
化合物20d(500mg、2.37mmol)、ベンジルアミン(381mg、3.55mmol、388μL)をトルエン(10mL)に溶解し、続いて触媒20e(108mg、118μmol)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフタレン(148mg、237μmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(319mg、3.32mmol)を加えた。反応系を窒素で3回繰り返し置換した後、100℃下で1.5時間攪拌した。反応液を珪藻土で濾過した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:2)で精製して黄色の油性液体20fを得た(522mg、収率93%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.38-7.35(m,5H),7.31-7.29(m,1H),6.52(d,J=7.2Hz,1H),6.29(d,J=8.2Hz,1H),4.88(s,1H),4.54(d,J=5.8Hz,2H),2.97(t,J=7.4Hz,2H),2.78(t,J=7.4Hz,2H)。
MS:238.5[M+H]+
【0216】
化合物1の合成方法を参照し、化合物20は化合物20fから同等なステップで合成することができる。化合物20のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.36(d,J=3.5Hz,1H),7.95(s,1H),7.44-7.40(m,3H),7.37-7.34(m,2H),7.28(t,J=7.3Hz,1H),6.55(d,J=3.5Hz,1H),6.54(d,J=7.3Hz,1H),6.42(d,J=7.3Hz,1H),4.59(s,2H),4.00(s,2H),2.59(s,3H)。
MS:412.4[M+H]+
【0217】
実施例21:
【0218】
【化30】
【0219】
化合物20の合成方法を参照し、化合物21は化合物20d及び化合物21aから同等なステップで合成することができる。詳細なスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.36(d,J=3.5Hz,1H),8.02(s,1H),7.48(t,J=8.0Hz,1H),6.57-6.55(m,2H),6.50(d,J=8.5Hz,1H),4.02(s,2H),3.66(t,J=5.4Hz,2H),3.57(t,J=5.4Hz,2H),3.44(s,3H),2.59(s,3H)。
MS:380.4[M+H]+
【0220】
実施例22:
【0221】
【化31】
【0222】
化合物20の合成方法を参照し、化合物22aは化合物20d及び4-メトキシベンジルアミンから同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
MS:442.5[M+H]+
【0223】
化合物22a(40mg、90.6μmol)をトリフルオロ酢酸(1mL)に溶解した。反応液を25℃下で2時間攪拌し、反応液を真空下で濃縮した後、酢酸エチル(30mL)を加えて希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、分離して有機相を得て飽和ブライン(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体22を得た(15mg、収率52%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.27(d,J=3.5Hz,1H),7.93(s,1H),7.62(t,J=8.0Hz,1H),6.65(d,J=8.0Hz,1H),6.60(d,J=8.0Hz,1H),6.45(d,J=3.5Hz,1H),4.00(s,2H),2.48(s,3H)。
MS:322.3[M+H]+
【0224】
実施例23:
【0225】
【化32】
【0226】
化合物22の合成方法を参照し、化合物23は市販試薬から合成することができる。詳細なスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.35(d,J=3.5Hz,1H),7.98(s,1H),7.97(d,J=1.8Hz,1H),7.66(t,J=8.0Hz,1H),6.81(dd,J=3.5,1.8Hz,1H),6.69(d,J=8.0Hz,1H),6.63(d,J=8.0Hz,1H),4.02(s,2H)。
MS:308.3[M+H]+
【0227】
実施例24:
【0228】
【化33】
【0229】
化合物24a(500mg、4.06mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、続いて二炭酸ジ-tert-ブチル(975mg、4.47mmol、1.03mL)を加えた。反応液を30℃下で18時間攪拌した後、水(40mL)を加えて、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して黄色油性の粗生成物24bを得た(906mg、収率99%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.45(s,1H),7.28(t,J=7.5Hz,1H),7.22(d,J=7.5Hz,1H),7.04(d,J=7.5Hz,1H),6.49(s,1H),4.67(s,2H),1.52(s,9H)。
【0230】
化合物24b(150mg、672μmol)及び四臭化炭素(290mg、874μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、続いてトリフェニルホスフィン(229mg、874μmol)を加えた。反応液を30℃下で3時間攪拌した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)で精製して白色の固体24cを得た(140mg、収率73%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.51(s,1H),7.27-7.25(m,1H),7.21-7.19(m,1H),7.07-7.05(m,1H),6.48(s,1H),4.46(s,2H),1.52(s,9H)。
【0231】
窒素保護下で、亜鉛粉末(48.0mg、734μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)懸濁液にヨウ素(8.99mg、35.43μmol)を加え、30℃下で溶液が無色に退色するまで攪拌し、続いて化合物24c(140mg、489μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)溶液を滴加した。反応液を30℃下で1時間攪拌した。化合物INT-3(71.94mg、244.61μmol)、酢酸パラジウム(71.9mg、244.6μmol)及び配位子24d(23.3mg、48.9μmol)を反応系に加えた。反応系を窒素で3回繰り返し置換した後、30℃下で40分間攪拌した。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)で精製して黄色の固体24eを得た(32mg、収率31%)。
MS:421.5[M+H]+
【0232】
化合物24e(32mg、76.1μmol)をジクロロメタン(0.5mL)に溶解し、続いて4M塩酸ジオキサン溶液(1.52mL)を滴加した。反応液を25℃下で3時間攪拌し、反応液を真空下で濃縮した後、スラリー化(酢酸エチル、10mL)して黄色固体の目的生成物24を得た(18mg、収率66%)。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.47(d,J=3.7Hz,1H),7.97(s,1H),7.49(t,J=7.8Hz,1H),7.43(d,J=7.8Hz,1H),7.32(t,J=1.9Hz,1H),7.25(d,J=7.8Hz,1H),6.58(d,J=3.7Hz,1H),4.10(s,2H),2.52(s,3H)。
MS:321.3[M+H]+
【0233】
実施例25:
【0234】
【化34】
【0235】
化合物24の合成方法を参照し、化合物25は市販試薬から同等なステップで合成することができる。化合物25のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.48(d,J=3.5Hz,1H),8.10(d,J=1.8Hz,1H),7.98(s,1H),7.51-7.43(m,2H),7.30(s,1H),7.28-7.22(m,1H),6.89(dd,J=3.5,1.8Hz,1H),4.09(s,2H)。
MS:306.9[M+H]+
【0236】
実施例26:
【0237】
【化35】
【0238】
化合物24の合成方法を参照し、化合物26は化合物26aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体26b及び化合物26のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物26b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.38-7.29(m,4H),6.50(s,1H),4.48(s,2H),1.51(s,9H)。
化合物26:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.48(d,J=3.7Hz,1H),7.95(s,1H),7.49-7.45(m,2H),7.36-7.32(m,2H),6.58(d,J=3.7Hz,1H),4.07(s,2H),2.52(s,3H)。
MS:320.9[M+H]+
【0239】
実施例27:
【0240】
【化36】
【0241】
化合物24の合成方法を参照し、化合物27は化合物27aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体27b及び化合物27のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物27b:MS:285.9[M+H]+
【0242】
化合物27:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.17(d,J=3.5Hz,1H),7.89(s,1H),7.20(s,2H),6.89-6.81(m,2H),6.61-6.56(m,1H),6.51(d,J=3.5Hz,1H),6.46-6.40(m,1H),4.95(s,2H),3.62(s,2H),2.44(s,3H)。
MS:321.2[M+H]+
【0243】
実施例28:
【0244】
【化37】
【0245】
化合物28a(500mg、2.67mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(811mg、8.02mmol、1.11mL)、4-ジメチルアミノピリジン(326mg、2.67mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(700mg、3.21mmol、737μL)を加えた。反応液を30℃下で2時間攪拌した。反応液を真空下で濃縮して黄色油性の粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:4)で精製して白色の固体28bを得た(598mg、収率78%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.64(s,1H),6.93-6.90(m,1H),6.60(s,1H),3.91(s,3H),1.53(s,9H)。
【0246】
化合物28b(100mg、348μmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、続いて0℃下で数回に分けて注意深く水素化リチウムアルミニウム(14.5mg、383μmol)を加えた。反応液を0℃下で2時間攪拌した後、反応液に注意深く水(0.1mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)、水(0.3mL)をこの順に加えた。反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、濃縮した後、白色の固体28cを得た(90mg、収率99%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.13(s,1H),6.85-6.81(m,1H),6.57(s,1H),4.70(s,2H),1.86(s,1H),1.52(s,9H)。
【0247】
化合物28c(90mg、347μmol)及び四臭化炭素(173mg、521μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、続いてトリフェニルホスフィン(109mg、417μmol)を加えた。反応液を30℃下で3時間攪拌した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)で精製して白色の固体28dを得た(85mg、収率76%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.17(s,1H),6.87-6.83(m,1H),6.60(s,1H),4.46(s,2H),1.53(s,9H)。
【0248】
化合物24の合成方法を参照し、化合物28は化合物28dから同等なステップで合成することができる。化合物28のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.18(d,J=3.5Hz,1H),7.88(s,1H),7.20(s,2H),6.97-6.91(m,1H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.50-6.44(m,1H),4.83(s,2H),3.72(s,2H),2.44(s,3H)。
MS:357.2[M+H]+
【0249】
実施例29:
【0250】
【化38】
【0251】
化合物28の合成方法を参照し、化合物29は化合物29aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体29b及び化合物29のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物29b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.84(d,J=7.2Hz,1H),7.24-7.16(m,2H),6.29(s,1H),4.46(s,2H),2.23(s,3H),1.52(s,9H)。
化合物29:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.50(d,J=3.5Hz,1H),7.96(s,1H),7.34-7.25(m,3H),6.59(d,J=3.5Hz,1H),4.03(s,2H),2.52(s,3H),2.38(s,3H)。
MS:335.3[M+H]+
【0252】
実施例30:
【0253】
【化39】
【0254】
化合物29の合成方法を参照し、化合物30は化合物29b及びINT-4から同等なステップで合成することができる。化合物30のスペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.19(d,J=3.6Hz,1H),7.05(s,2H),6.72(s,1H),6.69(d,J=7.9Hz,1H),6.50(d,J=3.6Hz,1H),6.45(d,J=7.9Hz,1H),4.55(s,2H),3.62(s,2H),2.43(s,3H),2.18(s,3H),1.95(s,3H)。
MS:349.5[M+H]+
【0255】
実施例31:
【0256】
【化40】
【0257】
化合物28の合成方法を参照し、化合物31は化合物31aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体31b及び化合物31のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物31b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.71(d,J=7.7Hz,1H),7.16(t,J=7.7Hz,1H),7.09(d,J=7.7Hz,1H),6.27(s,1H),4.52(s,2H),2.27(s,3H),1.52(s,9H)。
化合物31:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.16(d,J=3.5Hz,1H),7.78(s,1H),7.19-7.03(m,3H),6.51(d,J=3.5Hz,1H),3.85(s,2H),2.44(s,3H),2.24(s,3H)。
MS:335.3[M+H]+
【0258】
実施例32:
【0259】
【化41】
【0260】
化合物28の合成方法を参照し、化合物32は化合物32aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体32b及び化合物32のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物32b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.13-7.98(m,1H),7.15-7.08(m,2H),6.72(s,1H),4.44(s,2H),1.52(s,9H)。
化合物32:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.16(d,J=3.5Hz,1H),7.88(s,1H),7.18(s,2H),6.84-6.80(m,1H),6.74-6.70(m,1H),6.66-6.60(m,1H),6.51(d,J=3.5Hz,1H),4.87(s,2H),3.68(s,2H),2.43(s,3H)。
MS:339.4[M+H]+
【0261】
実施例33:
【0262】
【化42】
【0263】
化合物28の合成方法を参照し、化合物33は化合物33aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体33b及び化合物33のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物33b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.72(s,1H),7.08-6.99(m,2H),6.52(s,1H),4.44(s,2H),1.53(s,9H)。
化合物33:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.19(d,J=3.5Hz,1H),8.04(s,1H),7.59-7.53(m,1H),7.17-7.11(m,1H),7.09-7.05(m,1H),6.54(d,J=3.5Hz,1H),4.00(s,2H),2.44(s,3H)。
MS:339.4[M+H]+
【0264】
実施例34:
【0265】
【化43】
【0266】
化合物28の合成方法を参照し、化合物34は化合物34aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体34b及び化合物34のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物34b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.15(d,J=8.6Hz,1H),7.38(s,1H),7.26(d,J=6.5Hz,1H),7.03(s,1H),4.42(s,2H),1.53(s,9H)。
化合物34:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.43(d,J=3.6Hz,1H),7.96(s,1H),7.47(s,1H),7.32-7.28(m,2H),6.55(d,J=3.6Hz,1H),4.00(s,2H),2.51(s,3H)。
MS:355.2[M+H]+
【0267】
実施例35:
【0268】
【化44】
【0269】
化合物28の合成方法を参照し、化合物35は化合物35aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体35b及び化合物35のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物35b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.44(s,1H),7.16-7.05(m,2H),6.42(s,1H),4.47(s,2H),2.34(s,3H),1.51(s,9H)。
化合物35:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.18(d,J=3.5Hz,1H),7.76(s,1H),7.16(s,2H),6.76(d,J=7.9Hz,1H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.28(dd,J=7.9,2.3Hz,1H),6.24(d,J=2.3Hz,1H),4.67(s,2H),3.65(s,2H),2.44(s,3H),2.11(s,3H)。
MS:335.4[M+H]+
【0270】
実施例36:
【0271】
【化45】
【0272】
化合物36a(500mg、3.03mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、続いて0℃下で数回に分けて注意深く水素化リチウムアルミニウム(345mg、9.08mmol)を加えた。反応液を0℃下で2時間攪拌した後、反応液に注意深く水(0.34mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.34mL)、水(1.02mL)をこの順に加えた。反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、濃縮した後、白色の固体36bを得た(410mg、収率98%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 6.99-6.91(m,2H),6.59(t,J=7.5Hz,1H),4.58(s,2H),2.17(s,3H)。
【0273】
化合物36b(400mg、2.92mmol)を1,2-ジクロロエタン(8mL)に溶解し、続いて二炭酸ジ-tert-ブチル(700mg、3.21mmol、0.74mL)を加えた。反応液を85℃下で一晩攪拌した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)で精製して白色の固体36cを得た(534mg、収率77%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.25(d,J=7.2Hz,1H),7.21-7.14(m,2H),6.38(s,1H),4.57(s,2H),2.28(s,3H),1.51(s,9H)。
【0274】
化合物28の合成方法を参照し、化合物36は化合物36cから同等なステップで合成することができる。関連する中間体36d及び化合物36のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物36d:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.25-7.19(m,2H),7.18-7.12(m,1H),6.21(s,1H),4.52(s,2H),2.29(s,3H),1.52(s,9H)。
化合物36:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.17(d,J=3.5Hz,1H),7.87(s,1H),7.21(s,2H),6.78(d,J=7.5,2H),6.51(d,J=3.5Hz,1H),6.39(t,J=7.5Hz,1H),4.64(s,2H),3.65(s,2H),2.44(s,3H),2.04(s,3H)。
MS:335.2[M+H]+
【0275】
実施例37:
【0276】
【化46】
【0277】
化合物37a(190mg、1.15mmol)をクロロホルム(2mL)に溶解し、続いて0℃下で無水酢酸(270.07mg、2.65mmol、250.06μL)を加えた。反応液を0℃下で5分間攪拌した後、室温に上げて1時間攪拌した。その後、酢酸カリウム(0℃下で)、亜硝酸イソアミル(288mg、2.46mmol、0.33mL)を加えて、加熱して20時間還流させた。反応液を濃縮し、濃塩酸(0.5mL)を加えて50℃下で2時間攪拌した。氷浴下で50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを14に調整した後、大量の固体が沈殿した。当該固体を濾過し、水で洗浄して真空下で乾燥した後、白色の固体化合物37bを得た(100mg、収率49%)。
MS:177.2[M+H]+
【0278】
化合物37b(200mg、1.14mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、続いてp-トルエンスルホン酸(21.6mg、114μmol)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(143mg、1.70mmol、155μL)を加えた。反応液を70℃下で1時間攪拌した後、反応液を濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:15)で精製して白色の固体37cを得た(200mg、収率68%)。
MS:261.1[M+H]+
【0279】
化合物37c(630mg、2.42mmol)をテトラヒドロフラン(12mL)に溶解し、続いて0℃下で数回に分けて注意深く水素化リチウムアルミニウム(138mg、3.63mmol)を加えた。反応液を0℃下で2時間攪拌した後、反応液に注意深く水(0.14mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.14mL)、水(0.42mL)をこの順に加えた。反応液を珪藻土で濾過して濾液を得、濃縮した後、白色の固体37dを得た(560mg、収率99%)。
【0280】
化合物37d(250mg、1.08mmol)、四臭化炭素(393mg、1.18mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、続いてトリフェニルホスフィン(339mg、1.29mmol)を加えた。反応液を30℃下で1時間攪拌した後、真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)で精製して白色の固体37eを得た(100mg、収率31%)。
MS:297.1[M+H]+
【0281】
窒素保護下で、亜鉛粉末(66.5mg、1.02mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)懸濁液にヨウ素(860μg、3.39μmol)を加え、30℃下で溶液が無色に退色するまで攪拌し、続いて化合物37e(200mg、677.57μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)溶液を滴加した。反応液を30℃下で1時間攪拌した。化合物INT-3(99.6mg、339μmol)、酢酸パラジウム(7.61mg、33.9μmol)及び配位子24e(32.3mg、67.8μmol)を反応系に加えた。反応系を窒素で3回繰り返し置換した後、30℃下で40分間攪拌した。反応液を水(50mL)に注いで、水相を酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)で精製して黄色の固体37fを得た(60mg、収率41%)。
【0282】
化合物37f(49mg、114.17μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、続いてトリフルオロ酢酸(1mL)を滴加した。反応液を30℃下で3時間攪拌し、反応液を真空下で濃縮した後、酢酸エチル(20mL)を加えて希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、分離して有機相を得て飽和ブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮して粗生成物を得、分取高速液体クロマトグラフィーで精製して黄色の固体37を得た(15mg、収率38%)。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 13.01(s,1H),8.19(s,1H),8.15(d,J=3.5Hz,1H),7.92(s,1H),7.35-7.30(m,1H),7.23(s,2H),7.23-7.17(m,1H),6.90-6.87(m,1H),6.50(d,J=3.5Hz,1H),4.13(s,2H),2.43(s,3H)。
MS:346.3[M+H]+
【0283】
実施例38:
【0284】
【化47】
【0285】
化合物38a(1.0g、6.25mmol)を硫酸(11.6g、118mmol、6mL)に溶解し、続いて0℃下で硝酸(6.25mmol、4mL)を滴加した。反応液を0℃下で2時間攪拌した。反応液を氷水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を真空下で濃縮して黄色固体の粗生成物38bを得た(1.25g、収率98%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 10.11(s,1H),7.91-7.85(m,1H)。
【0286】
化合物38b(1.88g、9.17mmol)をメタノール(6mL)とテトラヒドロフラン(6mL)の混合溶液に溶解し、続いて水素化ホウ素ナトリウム(694mg、18.3mmol)を加えた。反応液を0℃下で1時間攪拌した。水(10mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。分離して有機相を得て無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空下で濃縮して黄色油性の粗生成物38cを得た(1.77g、収率98%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 6.93-6.89(m,1H),4.80(s,2H)。
MS:328.3[M+H]+
【0287】
化合物38c(1.1g、5.31mmol)をエタノール(12mL)に溶解し、続いて10%パラジウム炭素(200mg、1.65mmol)を加えた。反応液を室温の水素雰囲気下で一晩攪拌した。反応液を濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:4)で精製して白色の固体38dを得た(413mg、収率44%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 6.70-6.63(m,1H),4.73(s,2H),3.58(s,2H)。
【0288】
化合物28の合成方法を参照し、化合物38は化合物38dから同等なステップで合成することができる。関連する中間体38e及び化合物38のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物38e:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 6.71-6.64(m,1H),4.49(s,2H),3.59(s,2H)。
化合物38:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.16(d,J=3.5Hz,1H),7.73(s,1H),7.08-6.94(m,1H),6.53(d,J=3.5Hz,1H),3.80(s,2H),2.45(s,3H)。
MS:375.2[M+H]+
【0289】
実施例39:
【0290】
【化48】
【0291】
氷浴下で、塩化チオニル(0.53mL,7.31mmol)を、化合物39a(500mg、2.44mmol)を溶解したメタノール溶液(10mL)に滴加した。反応液を得て70℃下で3時間攪拌した。反応液を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加え、酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して白色の固体化合物39bを得た(520mg、収率97%)。
MS:200.1[M+H]+
【0292】
氷浴下で、水素化ナトリウム(純度60%、鉱油分散、54.8mg、1.37mmol)を、化合物39b(200mg、0.913mmol)を溶解したテトラヒドロフラン溶液(3mL)に加えた。反応液を得て氷浴下で1時間攪拌し、次に二炭酸ジ-tert-ブチル(239mg、1.10mmol)を加え、反応液を得て20℃下で16時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を加え、酢酸エチルで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し後、粗生成物を得てカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製して白色の固体化合物39cを得た(60mg、収率20%)。
【0293】
化合物28の合成方法を参照し、化合物39は化合物39cから同等なステップで合成することができる。関連する中間体39d及び化合物39のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物39d:MS:353.7[M+H]+
化合物39:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.25(d,J=3.5Hz,1H),7.82(s,1H),7.26(d,J=2.0Hz,1H),7.22-7.17(m,1H),6.76(d,J=8.0Hz,1H),6.45-6.42(m,1H),3.83(s,2H),2.48(s,3H)。
MS:389.3[M+H]+
【0294】
実施例40:
【0295】
【化49】
【0296】
化合物36の合成方法を参照し、化合物40は化合物40aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体40b及び化合物40のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物40b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.49(d,J=7.0Hz,1H),7.23-7.17(m,1H),7.00-6.94(m,1H),6.45(s,1H),4.47(s,2H),1.51(s,9H)。
化合物40:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.18(d,J=3.5Hz,1H),7.87(s,1H),7.17(s,2H),6.77(dd,J=9.9,8.6Hz,1H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.38-6.30(m,1H),6.30-6.20(m,1H),4.77(s,2H),3.72(s,2H),2.44(s,3H)。
MS:339.2[M+H]+
【0297】
実施例41:
【0298】
【化50】
【0299】
酢酸パラジウム(48.8mg、0.217mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(61.0mg、0.217mmol)及びリン酸カリウム(1.38g、6.52mmol)を、化合物41a(500mg、2.17mmol)を溶解したトルエン(10mL)/水(2mL)混合溶液に加えた。反応液を得て窒素保護、100℃下で4時間攪拌した。反応液を冷却した後、珪藻土で濾過し、濾液を減圧下で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で精製して黄色の固体化合物41bを得た(400mg、収率96%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.79-7.73(m,2H),6.71(d,J=9.0Hz,1H),5.01(brs,2H),3.91-3.81(m,3H),1.71-1.64(m,1H),0.98-0.91(m,2H),0.69-0.62(m,2H)。
MS:192.2[M+H]+
【0300】
二炭酸ジ-tert-ブチル(753mg、3.45mmol)、トリエチルアミン(397mg、3.92mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(192mg、1.57mmol)を、化合物41b(300mg、1.57mmol)を溶解したテトラヒドロフラン溶液(5mL)に加えた。反応液を得て20℃下で2時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮し後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製して白色の固体化合物41cを得た(480mg、収率78%)。
【0301】
氷浴下で、水素化リチウムアルミニウム(58.2mg、1.53mmol)を、化合物41c(300mg、0.766mmol)を溶解したテトラヒドロフラン溶液(3mL)に加えた。反応液を得て氷浴下で30分間攪拌し、次に水(0.06mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.06mL)、水(0.18mL)をこの順に加えて反応をクエンチし、珪藻土で濾過した。濾液を減圧下で濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で精製して白色の固体化合物41dを得た(150mg、収率74%)。
MS:263.9[M+H]+
【0302】
氷浴下で、三臭化リン(103mg、0.38mmol)を、化合物41d(100mg、0.38mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液(3mL)に滴加した。反応液を得て氷浴下で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(30mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)、そして飽和ブライン(30mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して白色の固体化合物41eを得た(70mg、収率56%)。
【0303】
化合物28の合成方法を参照し、化合物41は化合物41eから同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.23(d,J=3.5Hz,1H),7.75(s,1H),6.90-6.82(m,2H),6.67-6.61(m,1H),6.43(d,J=3.5,1H),3.77(s,2H),2.48(s,3H),1.67-1.60(m,1H),0.92-0.81(m,2H),0.56-0.44(m,2H)。
MS:361.3[M+H]+
【0304】
実施例42:
【0305】
【化51】
【0306】
化合物41の合成方法を参照し、化合物42は化合物42aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体42b及び化合物42のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物42b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.03(s,1H),7.01-6.95(m,1H),5.96(s,1H),4.39(s,2H),2.28(s,3H),1.49(s,9H)。
化合物42:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.16(d,J=3.5Hz,1H),6.74-6.67(m,1H),6.53-6.49(m,1H),4.57(s,2H),3.66(s,2H),2.44(s,3H),2.04(s,3H)。
MS:353.2[M+H]+
【0307】
実施例43:
【0308】
【化52】
【0309】
化合物28の合成方法を参照し、化合物43は化合物43aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体43b及び化合物43のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物43b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.25(s,1H),7.10(s,1H),6.88(s,1H),6.42(s,1H),4.42(s,2H),2.31(s,3H),1.51(s,9H)。
化合物43:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.17(d,J=3.5Hz,1H),7.86(s,1H),7.14(s,2H),6.51(d,J=3.5Hz,1H),6.20(s,1H),6.17(s,1H),6.15(s,1H),4.81(s,2H),3.64(s,2H),2.44(s,3H),2.07(s,3H)。
MS:335.2[M+H]+
【0310】
実施例44:
【0311】
【化53】
【0312】
化合物36の合成方法を参照し、化合物44は化合物44aから同等なステップで合成することができる。関連する中間体44b及び化合物44のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物44b:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.65(d,J=8.5Hz,1H),7.14(d,J=8.5Hz,1H),7.10(s,1H),6.57(s,1H),4.47(s,2H),2.29(s,3H),1.53(s,9H)。
化合物44:1H NMR(500MHz,MeOH-d4)δ 8.23(d,J=3.6Hz,1H),7.81(s,1H),6.92(s,1H),6.80(d,J=8.4Hz,1H),6.64(d,J=8.4Hz,1H),6.43(d,J=3.6Hz,1H),3.77(s,2H),2.48(s,3H),2.18(s,3H)。
MS:335.2[M+H]+
【0313】
実施例45:
【0314】
【化54】
【0315】
化合物24の合成方法を参照し、化合物45は化合物24c及び化合物INT-4から同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.20(d,J=3.5Hz,1H),7.05(s,2H),6.89-6.82(m,1H),6.50(d,J=3.5Hz,1H),6.34(d,J=7.6Hz,1H),6.33-6.29(m,2H),4.87(s,2H),3.66(s,2H),2.43(s,3H),2.20(s,3H)。
MS:335.3[M+H]+
【0316】
実施例46:
【0317】
【化55】
【0318】
化合物24の合成方法を参照し、化合物46は化合物24c及び化合物INT-5から同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.12(d,J=3.5Hz,1H),7.40(s,2H),6.89(t,J=7.8Hz,1H),6.56(d,J=3.5,1H),6.39(d,J=7.8Hz,1H),6.35(d,J=7.6Hz,2H),4.92(s,2H),3.69(s,2H),2.47(s,3H)。
MS:355.4[M+H]+
【0319】
実施例47:
【0320】
【化56】
【0321】
化合物24の合成方法を参照し、化合物47は化合物24c及び化合物INT-6から同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.02(d,J=3.5Hz,1H),7.35(s,2H),6.87(t,J=7.8Hz,1H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.39-6.31(m,3H),4.93(s,2H),3.61(s,2H),2.43(s,3H)。
MS:339.4[M+H]+
【0322】
実施例48:
【0323】
【化57】
【0324】
化合物24の合成方法を参照し、化合物48は化合物24c及び化合物INT-7から同等なステップで合成することができる。スペクトルデータは次のとおりである。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.92(d,J=2.5Hz,1H),7.86(s,1H),7.58(d,J=2.5Hz,1H),7.13(s,2H),6.87(t,J=7.7Hz,1H),6.41-6.36(m,2H),6.33(dd,J=7.7,2.2Hz,1H),4.89(s,2H),3.99(s,3H),3.69(s,2H)。
MS:321.4[M+H]+
【0325】
実施例49:
【0326】
【化58】
【0327】
-10℃下で、濃硝酸(451mg、4.87mmol、純度68%)を化合物49a(500mg、3.24mmol)の濃硫酸懸濁液(3mL)に滴加した。反応液を得て-10℃から0℃の温度範囲内で3時間攪拌し、次に氷水(40mL)に注いで、酢酸エチルで抽出した(20mL×3)。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物49bを得た(644mg、収率99%)。
MS:198.1[M-H]-
【0328】
0℃下で、塩化チオニル(575mg、0.351mmol)を、化合物49b(642mg、3.22mmol)を溶解したメタノール溶液(10mL)に滴加した。反応液を得て還流下で一晩反応させた。反応液を減圧下で濃縮して黄色の固体化合物49cを得た(675mg、収率98%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 8.65(dd,J=5.8,3.0Hz,1H),8.27(dd,J=5.8,3.0Hz,1H),3.98(s,3H),2.43(d,J=2.5Hz,3H)。
【0329】
パラジウム/炭素(11mg、パラジウム含有量10%)を、化合物49c(105mg、0.492mmol)を溶解したメタノール溶液に加えた。反応液を得て水素雰囲気、室温下で2時間攪拌した。反応液を珪藻土で濾過し、濾液を減圧下で濃縮して白色の固体化合物49dを得た(84mg、収率93%)。
1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.01(dd,J=5.8,3.0Hz,1H),6.68(dd,J=5.8,3.0Hz,1H),3.90(s,3H),2.22(d,J=2.5Hz,3H)。
【0330】
化合物28の合成方法を参照し、化合物49は化合物49dから同等なステップで合成することができる。関連する中間体49e及び化合物49のスペクトルデータは次のとおりである。
化合物49e:1H NMR(500MHz,CHCl3-d)δ 7.25-7.22(m,1H),7.13(dd,J=5.9,2.8Hz,1H),6.37(s,1H),4.46(d,J=1.3Hz,2H),2.25(d,J=2.3Hz,3H),1.51(s,9H)。
化合物49:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 8.18(d,J=3.5Hz,1H),7.85(s,1H),7.17(s,2H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.25-6.17(m,1H),6.13-6.03(m,1H),3.70(s,2H),2.44(s,3H),2.07(d,J=1.9Hz,3H)。
MS:353.3[M+H]+
【0331】
「実験例」
A2A/A2B受容体拮抗機能実験:
A2A細胞株はPerkinElmer(製品番号ES-011-C)から、A2B細胞株はPerkinElmer(製品番号ES-013-C)から提供される。実験ステップはACS Medicinal Chemistry Letters(2011)2,213-218を参照する。実際には北京康龍化成新薬技術有限公司が、次のステップのとおりに実施した。室温下で、10nLの化合物のDMSOストック溶液(10mM)、10μLのA2A又はA2B細胞懸濁液(3万個の細胞/mL)をこの順に384ウェルプレートの試験ウェルに移し、室温下で20分間インキュベートした。EC80活性化濃度に対応する5'-N-エチルカルボキサミドアデノシン(5'-N-ethylcarboxamidoadenosine)の量を各試験ウェルに注入し、37℃と5%CO2と湿度95%の条件下でさらに30分間インキュベートした後、Eu-cAMPトレーサーワーキングソリューション、Ulight-anti-cAMPワーキングソリューションをこの順に5μL/ウェルで細胞培養プレートに加え、Envisionにおいて細胞培養プレートから蛍光値を読み取った(励起波長320nm、発光波長665nmと615nm)。下式から各ウェルに対応する阻害率を得て、非線形回帰モデルで用量-阻害率S字曲線を作成してIC50値を算出した。
【0332】
【数1】
【0333】
【表2】