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特許7436634バイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/00 20240101AFI20240214BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20240214BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20240214BHJP
   A47K 10/16 20060101ALN20240214BHJP
   A47K 7/00 20060101ALN20240214BHJP
   A47L 13/16 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
B08B1/00
D04H1/4374
D04H1/4382
A47K10/16 C
A47K7/00 E
A47L13/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022510130
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 US2020070422
(87)【国際公開番号】W WO2021035249
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】19192574.2
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド、ジェイムシナ・アン
(72)【発明者】
【氏名】シェリー、アラン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、ジュリー・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ポリチッチオ、ニコラ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アイベリ、ヴィグター
(72)【発明者】
【氏名】パラシオマンチェノ、パオロ・エフライン
(72)【発明者】
【氏名】ダフレン、トム・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】バオ、ヘイリン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ビア、アントニウス・ランベルトゥス
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028032(JP,A)
【文献】特表2016-539178(JP,A)
【文献】特表2018-522643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250668(US,A1)
【文献】国際公開第2018/005461(WO,A1)
【文献】特表2001-527455(JP,A)
【文献】特表2018-510030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00-17/06
A47L13/00-13/62
D04H 1/4374
D04H 1/4382
A47K10/16
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維構造体を使用して表面からバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を低減する方法であって、前記方法は、
i)前記表面又は前記繊維構造体に水を付着させる工程であって、前記水が、給水から来るものを除いて、重量で、5%未満の化学物質を含む、工程と、
ii)前記繊維構造体を用いて前記表面を拭き取る工程と、を含み、
前記繊維構造体は、
a)コア及びスクリムを含む二次元繊維構造体であって、前記コアは前記スクリムよりも親水性が高い、二次元繊維構造体、又は
b)シートと、前記シートに接合されたギャザーストリップ要素とを含む三次元繊維構造体であって、前記ギャザーストリップ要素は、互いに折り重ねられた複数の重畳された層を含み、複数の前記層は、外側に向かって延びる複数のストリップを有する、三次元繊維構造体である、方法。
【請求項2】
前記二次元繊維構造体の前記コアは2つのスクリムの間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次元繊維構造体の前記コアはパルプと疎水性ポリマーとの混合物を含み、前記パルプと疎水性ポリマーとは、60:40~90:10の重量比である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記二次元繊維構造体の前記外表面はエンボス加工されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二次元繊維構造体の前記コアは、50gsm~200gsmの坪量を呈し、前記二次元繊維構造体の前記スクリムは、5gsm~20gsmの坪量を呈する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記三次元繊維構造体の前記外側に向かって延びるストリップは、自由に動くストリップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記三次元繊維構造体の前記シートは不織布シートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ギャザーストリップ要素は親水性であり、セルロース繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
三次元繊維構造体の前記ギャザーストリップ要素は、少なくとも3つの重畳された層を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記三次元繊維構造体は、前記シートに接合されたコア要素を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記水は、噴霧によって前記表面に付着される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維構造体及び水を使用して、表面からバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない微生物による表面のバイオフィルム及び浮遊汚染物質は、問題となり得る。表面からバイオフィルム及び浮遊汚染物質を低減又は除去するために、強力な化学物質を使用することができる。バイオフィルム及び浮遊汚染物質を除去するための、より穏やかな方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、表面からバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を低減する方法に関する。方法は、
i)表面又は繊維構造体に水を付着させる工程と、
ii)繊維構造体を用いて表面を拭き取る工程と
を含む。
繊維構造体は、
a)コア及びスクリムを含む二次元繊維構造体であって、コア組成物はスクリムよりも親水性が高い、二次元繊維構造体、又は
b)シートと、シートに接合されたギャザーストリップ要素とを含む三次元繊維構造体であって、ギャザーストリップ要素は、互いに折り重ねられた複数の重畳された層を含み、複数の層は、外側に向かって延びる複数のストリップを有する、三次元繊維構造体
のいずれかである。
【0004】
繊維構造体は、水で湿らせるか、又は繊維構造体上若しくは表面上に水分を分配若しくは噴霧させて使用することができる。好ましくは、水は、給水から来るものを除いて添加される化学物質を含まない。本明細書では、添加される化学物質を含まないとは、水が、給水から来るものを除いて、重量で、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、特に1%未満の化学物質を含むことを意味する。
【0005】
使用中に化学物質への曝露が少なく、使用後に表面上に化学残留物がなく、表面の腐食性又は損傷が少なく、食品調理領域にとって安全であるなどの追加の利点によって衛生状態を改善するために強力な化学物質が必要ではないので、本発明の方法は、ユーザ及び環境にとって安全である。
【0006】
本発明の方法は又、微生物防御機構の強化(例えば、バイオフィルムスライムのレベルの増加、毒素生成、及び運動性の増強)、並びに耐性の発達又は発現に関連し得る強力な抗菌性化学物質(例えば、次亜塩素酸ナトリウム及び他の酸化剤、四級アンモニウム化合物など)が使用されないか又は必要とされないので、環境及びその居住者のマイクロバイオームに対する抗菌ストレスも低減できる。
【0007】
本発明の方法は、無生物及び生物表面(皮膚、毛皮、羽毛など)を含む硬質及び軟質の表面からの浮遊物及びバイオフィルムバイオバーデンの大幅な減少、洗浄における相互汚染又は新しい表面へのバイオバーデンの移動の減少、洗浄中の手の汚れを低減し、これにより他者及び環境への微生物の拡散を低減すること、並びにより安全な廃棄及びより衛生的なゴミの管理のために微生物バイオバーデンを基材の中に閉じ込め又は保持する能力の増強を提供する。
【0008】
本発明の方法は、手への細菌の移動を阻害するようである。
【0009】
本明細書で使用するとき、「二次元繊維構造体」とは、主として二次元(すなわち、XY平面)であり、基材の長さ(X方向)及び幅(Y方向)に比べて、厚さ(Z方向)が比較的小さい(すなわち、1/10以下)繊維構造体を意味する。本明細書で使用するとき、「三次元繊維構造体」とは、主として三次元であり、基材の長さ(X方向)及び幅(Y方向)に比べて、厚さ(Z方向)が小さすぎない(すなわち、1/9以上)繊維構造体を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
二次元繊維構造体
二次元繊維構造体は、コア及びスクリムを含む。好ましくは、コアは2つのスクリムによって囲まれている。好ましくは、コア組成物は、スクリムよりも親水性であり、すなわち、以下に記載される方法を使用して測定したときにより多くの水を吸収する。好ましくは、コアは親水性であり、スクリムは疎水性である。理論に拘束されるものではないが、スクリムの疎水性は、細菌を捕捉するバイオフィルム獲得の深さを増加させ、コア組成物の親水性は、バイオフィルムの引力を増加させ、一方向弁のように細菌を閉じ込めると考えられる。
【0011】
親水性と疎水性との特性の対比は、以下のように測定してもよい。1グラムの材料サンプルを、約110℃にて12時間オーブンで乾燥させ、その後、相対湿度65%/21℃で5日間調湿する。その後、サンプルを110℃で12時間再乾燥する。得られた水分の量を、水分率のパーセンテージで測定する。
水分率=[(相対湿度65%で調湿したサンプルの総重量-乾燥後のサンプルの重量)÷乾燥したサンプルの重量]×100%。
【0012】
本明細書で使用するとき、「親水性材料」は、65%での水分率が約2%、3%、4%、5%より多く、好ましくは約6%より多い。本明細書で使用するとき、「疎水性材料」は、65%での水分率が約1%、0.8%よりも低く、又は0.5%よりも低い。
【0013】
コア
コアは、通常、本発明の繊維構造体を用いて最大の坪量を呈する組成物である。好ましくは、コアは、本明細書に記載される繊維構造体坪量試験方法に従って測定したときに、50gsm超、より好ましくは60gsm超及び200gsm未満の坪量を呈する。
【0014】
好ましくは、繊維構造体中に存在するコア組成物は、本明細書に記載される繊維構造体坪量試験方法に従って測定したときに、本発明の繊維構造体の総坪量の50%超及び/又は55超及び/又は60超及び/又は65超及び/又は70超及び/又は98未満及び/又は95未満及び/又は90未満の坪量を呈する。
【0015】
好ましくは、コアは、複数のフィラメント及び複数の固体添加物を含む。固体添加物は、任意の天然、セルロース系、及び/又は完全合成材料で構成され得る。天然繊維の例は、広葉樹源、針葉樹源、又は他の非木材植物からの繊維などのセルロース系天然繊維を含み得る。天然繊維は、セルロース、デンプン、及びこれらの組合せを含んでもよい。適切なセルロース系天然繊維の非限定的な例は、木材パルプ、典型的な北部針葉樹クラフト、典型的な南部針葉樹クラフト、典型的なCTMP、典型的な脱墨コーンパルプ、アカシア、ユーカリ、ポプラ、葦パルプ、カバノキ、カエデ、ラジアータマツ、及びこれらの組合せを含む。植物由来の天然繊維の他の供給源は、アルバーディン(albardine)、エスパルト、小麦、米、トウモロコシ、サトウキビ、パピルス、黄麻、葦、サビア(sabia)、ラフィア、竹、サイダル(sidal)、ケナフ、アバカ、レーヨン(ビスコースとしても知られる)、リヨセル、綿、大麻、亜麻、ラミー、及びこれらの組合せを含む。更に別の天然繊維は、ダウン、羽毛、絹、綿、及びこれらの組合せなど、他の天然の非植物源からの繊維を含むことができる。天然繊維は、所望の特性を提供するために、機械的又は化学的に処理又は別の方法で変性されてもよく、あるいは自然界で見られる形態と概ね同様の形態であってもよい。天然繊維の機械的及び/又は化学的操作は、本明細書に記載される開発に関して天然繊維と見なされるものから除外されるものではない。好ましくは、コアはパルプ、より好ましくはセルロース系パルプを含む。
【0016】
コアは、好ましくはフィラメントを含み、フィラメントは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖、及びこれらの組合せからなる群から選択されたものなどの任意の材料で作製することができる。フィラメントは、繊維の任意の所望の性質を変化させるために、製造の前、最中、又は後に処理されてもよい。基材は、親水性繊維、疎水性繊維、又はこれらの組合せを含み得る。コアは、好ましくはポリプロピレンを含む。本発明のフィラメントを作製するのに適したポリプロピレンの非限定的な例は、Lyondell-Basell及びExxon-Mobilから市販されている。
【0017】
好ましくは、コアは、パルプ、好ましくはセルロース系パルプ、及びポリマー、好ましくはポリプロピレンを含む。好ましくは、パルプとポリマーとは、約60:40~約90:10の重量比である。
【0018】
コアは、螺旋状の接着剤を含むことができる。これは、コアが更に広がり、繊維構造体全体を通じてバイオフィルム及び浮遊汚染物質を閉じ込め、細菌のための経路及び堆積領域を作製するのに役立つように見える。
【0019】
コアは、複数のフィラメント及び複数の固体添加物、例えばパルプ繊維を含む、コフォーム(coform)繊維構造体であってもよい。
【0020】
コアは、固化領域の形態であってもよい。本明細書で使用される「固化領域」は、非固化状態にある同じ領域、又は圧縮若しくは成形圧力を受けない別の領域と比較してその領域を強化するために、フィラメント、及び任意選択的に固体添加物が圧力及び任意選択的に熱(150°F超)で圧縮、成形、及び/又は充填された、繊維構造体の中の領域を意味する。領域は、パターニングされた成形部材上の繊維構造体の中に非固化領域を形成し、非固化領域を1つ以上の固化領域に圧縮するために、パターニングされた成形部材上で圧力を有する加熱金属アンビルロール(約275°F)及びゴムアンビルロールなどの加圧ニップに通しながら、繊維構造体の中の非固化領域を通過させることによって、固化することができる。一例では、例えば加熱されたロールに接触する繊維構造体の側の固化領域に存在するフィラメントは、繊維構造体の表面に皮膚を作り出す溶融フィラメントを含み、これはSEM画像を介して見ることができる。
【0021】
スクリム
本発明の繊維構造体は、スクリムを更に含む。本明細書で使用される「スクリム」は、複数のフィラメントを含む繊維構造体を意味する。好ましくは、繊維構造体中に存在するスクリムは、本明細書に記載される繊維構造体坪量試験方法に従って測定したときに、本発明の繊維構造体の総坪量の25%未満、より好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満及び1%超の坪量を呈する。別の例では、スクリム組成物は、繊維構造体坪量に従って測定したときに、約2gsm~20gsm、好ましくは約3gsm~15gsm未満、より好ましくは約5gsm~12gsm未満の坪量を呈する。
【0022】
本明細書に記載される試験方法。
スクリムのフィラメントは、コアのものと同じであっても異なっていてもよい。フィラメントは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖、及びこれらの組合せからなる群から選択されたものなどの任意の材料で作製することができる。フィラメントは、繊維の任意の所望の性質を変化させるために、製造の前、最中、又は後に処理されてもよい。基材は、親水性繊維、疎水性繊維、又はこれらの組合せを含み得る。スクリムは、好ましくはポリプロピレンを含む。本発明のフィラメントを作製するのに適したポリプロピレンの非限定的な例は、Lyondell-Basell及びExxon-Mobilから市販されている。
【0023】
繊維構造体は、スクラブ組成物(scrubby component)を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「スクラブ組成物」は、繊維構造体にスクラブ品質を付与する繊維構造体の部分を意味する。スクラブ組成物は、コア及びスクリム組成物の中及び/又は上に存在し得るとしても、スクラブ組成物は、コア及びスクリム組成物とは別個で異なる。スクラブ組成物は、消費者による使用中に繊維構造体がスクラブ特性を呈するようにするパターン、例えば表面パターン、又はテクスチャなどの特徴であってもよい。別の例では、スクラブ組成物は、材料、例えば粗いフィラメント(コア及び/又はスクリム組成物内のフィラメントの大部分よりも大きい平均直径を呈する)であってもよい。一例では、スクラブ組成物は、複数のフィラメントを含む繊維構造体である。一例では、本発明の繊維構造体中に存在する総スクラブ組成物は、本明細書に記載される繊維構造体坪量試験方法に従って測定したときに、本発明の繊維構造体の総坪量の25%未満及び/又は20%未満及び/又は15%未満及び/又は10%未満及び/又は7%未満及び/又は5%未満及び/又は0%超及び/又は1%超の坪量を呈する。
【0024】
繊維構造体の表面は、エンボス加工することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、エンボスパターンは、バイオフィルム及び浮遊汚染物質のより効率的な深さ及び径方向の分布に寄与する。エンボス加工は、バイオフィルム及び浮遊汚染物質が繊維構造体全体を通じて浸透及び分布するための複数の溝及び経路の表面積を増加させる。
【0025】
好ましくは、繊維構造体は二重プライ構造である。これは、1プライと比較して、吸収されるバイオフィルム及び浮遊汚染物質の総量を増加させる。
【0026】
繊維構造体坪量試験方法
坪量は、任意の最終使用ローション、洗浄溶液、又は他の液体組成物などを繊維構造体又はワイプに付着させる前に測定され、本明細書で以下に記載される修正EDANA 40.3-90(1996年2月)方法に従う。
1.予め切り出された金属ダイ及びダイプレスを使用して、繊維構造体又はワイプの少なくとも3つの試験片を特定の既知の寸法に切断する。各試験片は、少なくとも0.01mの面積を有するように切断される。
2.各試験片の質量をグラム単位で決定するために天秤を使用する。式(1)を使用して、グラム毎平方メートル(gsm)で坪量(単位面積当たりの質量)を計算する。
【0027】
【数1】
3.繊維構造体又はワイプサンプルについて、全ての試験片の数値平均坪量を報告する。
4.限られた量の繊維構造体又はワイプしか入手できない場合、坪量は、可能な限り大きい矩形の1つの試験片の坪量として測定及び報告してもよい。
5.コア層(コア組成物)、スクリム層(スクリム組成物)、又はコア層とスクリム層との組合せを測定する場合、それぞれの層は、他の層を伴わずに作製操作中に収集され、次いで、それぞれの層の坪量が、上記で概説されたように測定される。
【0028】
三次元繊維構造体
三次元繊維構造体は、少なくとも1つのシート及び少なくとも1つのギャザーストリップ要素の構造を含む。シート及びギャザーストリップ要素は、好ましくは、積層体を形成するために、少なくとも1つの永久ボンドで向かい合わせに接合される。適切な三次元繊維構造体の例は、米国特許第9,833,118(B2)号に示されている。
【0029】
シートは、ギャザーストリップ要素を取り付けるためのシャーシとして機能し得る。本発明から逸脱しない限りにおいて、他の薄層及び特徴が、シートとギャザーストリップ要素との間に配置されてもよい。
【0030】
具体的には、シートは合成不織布シートを含んでもよい。合成繊維を有するシートは、ギャザーストリップ要素の好都合な接合を提供する。当技術分野で知られているように、不織布には、スパンボンド方式、カード方式、及びエアレイド方式の材料が含まれ、不織布は、合成繊維から作製されている。適切な不織布シートは、米国特許第6,797,357号に従って作製されてもよい。
【0031】
好ましくは、シートは、吸収力を提供するために、セルロースを含む。当技術分野で知られているように、セルロース系シートには、永続的な湿潤強度を有する樹脂を添加してもよい。あるいは、吸収性及びバリア性の両方を提供するために、及びギャザーストリップ要素を接合するのに便利なように、シートは、好ましくは、セルロース系繊維及び合成繊維の混合物を含んでもよい。「セルロース系」とは、構成要素において、大部分の重量パーセントを、セルロース系繊維が占めていることを意味する。
【0032】
シート及び/又はギャザーストリップ要素は、親水性であってもよい。これにより、洗浄対象である表面から水分を有利に吸収する。「親水性」とは、概して、構成要素が、使用中に水分を吸収し、かつ過剰な圧縮力をかけられることのない通常の使用中において、その水分を保持することを意味する。
【0033】
例えば、ギャザーストリップが100%セルロースである場合、湿潤摩擦係数が高くなりすぎて、ユーザが、特定の標的表面を横切って繊維構造体を移動させることが困難になり得る。異なる材料を混合することにより、汚れを集めるための表面積を維持しつつ、湿潤摩擦係数を最適化することができる。同様に、材料が同じでも、長さが異なるギャザーストリップを使用することにより、湿潤摩擦係数を過度に増加させることなく、洗浄表面積を増加させることができ、それによって、標的表面を横切る移動が容易になる。
【0034】
キャリアシートは、2つ、3つ、又はそれ以上のプライの積層体を含んでもよい。具体的には、積層体は、外側に向いたプライ、吸収用の中央プライ/コア、及びギャザーストリップ要素と接合するために内側に向いたプライの3つのプライを含んでもよい。
【0035】
外側に向いたプライは、20~80gsmの坪量を有する水流交絡スパンボンド不織布を含んでもよい。Avgol Nonwovens(Tel-Aviv、Israel)の45gsmの不織布が好適であることがわかっている。本明細書においては、不織布は、織りあわされていない、エアレイド及び/又はウェットレイド繊維の混合物を有する構成要素である。
【0036】
中央プライ/コアは、ギャザーストリップ要素によって標的表面から収集されたバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を吸収及び保持するための貯水槽として機能し得る。中央プライ/コアは、複合セルロース/合成エアレイドを含んでもよい。85:15セルロースを含む135gsmのエアレイド、Suominen(Helsinki、Finland)から入手可能な複合繊維が適している。
【0037】
当技術分野で知られているように、中央プライ/コアは、吸収性ゲル材料(AGM)を更に含んでもよい。AGMは、吸収した液体の保持力を高め、洗浄能力を高めることができる。
【0038】
内側に向いたプライは、スパンレース、すなわち水流交絡法などのプロセスを使用して合成不織布に接合された薄織物(tissue)として形成されたウェットレイド繊維の混合物を含んでもよい。内側に向いたプライは、Suominen(Helsinki、Finland)によってGenesis tissueという名称で販売されている、23gsmの薄織物(tissue)及び17gsmのポリプロピレンスパンボンドの複合材料を含んでもよい。
【0039】
望ましければ、専用のコアが繊維構造体に組み込まれてもよい。専用のコアは、シートのプライのいずれかの間にあってもよく、又はシートの内側及び外側に配向された面の上に配置されてもよい。具体的には、コアは、中央プライを含んでもよい。コア及び/又は追加的/代替的な中央プライは、外側に向いたプライ及び内側に向いたプライよりも細くてもよい。コア及び中央プライは、外側に向いたプライ及び内側に向いたプライの約半分の幅であってもよく縦軸を中心としていてもよい。
【0040】
コア及び/又はシート及びギャザーストリップ要素の幅は、以下のように測定される。繊維構造体を、平坦で水平な表面上に配置する。しわ及び一般的な平坦性に対するその他の乱れを取り除く。洗浄用品を指先できちんと保持する。L.S.Starrett Co.(Athol,MA.)から一般的に入手可能なスチールルール、スライドキャリパ、又はツールメーカーのグレードスクエアを使用して、ギャザーストリップ及びコアの両端の間の幅を測定する。測定に障害のないアクセスを提供するために、必要に応じて外側に向いたプライ及び層を除去してもよい。
【0041】
コアの幅を、横軸に平行な横方向に測定する。コアが可変幅を有する場合、最も狭い点において幅を測定する。ギャザーストリップ要素の幅も又、横方向に測定する。ギャザーストリップ要素の幅は、縦軸を横切って対向して設けられ、XY平面内にある、対向するギャザーストリップの遠位端の間で測定する。ギャザーストリップ要素、特にギャザーストリップの両端が可変幅を有する場合、最も広い点において幅を測定する。(長手方向軸を挟んで等分される)少なくとも4、6、8、10、12、又は14cmの幅の差異が、本明細書に記載の実施形態に好適であると考えられる。
【0042】
対向するギャザーストリップとコアとの間の幅の差は、ギャザーストリップ要素から送られてくる液体を保持するための、コア及び/又は中央プライの安定性を促進すると考えられる。更に、このジオメトリにより、吸収された液体がギャザーストリップから排水されやすくなると考えられる。更に、このジオメトリにより、ギャザーストリップの移動を促進すると考えられるギャップが生じ、通常の使用時にユーザが繊維構造体を動かすと、標的表面に対して異なる部分を呈する。
【0043】
3つのプライは、シートを形成するための当該技術分野において知られているように、接着剤及び/又はサーマルボンドを使用して、互いに恒久的に接合され得る。
【0044】
繊維構造体は、ギャザーストリップ要素内に設けられた親水性ギャザーストリップを更に含んでもよい。本明細書で使用するとき、ギャザーストリップとは、近位端からそれぞれの遠位端まで外側に向かって延びる片持ちストリップを指す。個々のギャザーストリップは、繊維構造体の縦中心線に、又はそこからずれた近位端を有し、少なくとも1、任意選択的に2~20、及び任意選択的に5~15のアスペクト比を提供するために、(縦方向で測定した)対応する幅よりも大きい(横方向で測定した)長さを有してもよい。ギャザーストリップは、接合部と並置されたそれぞれの近位端から、洗浄用品の横縁と並置され得るそれぞれの遠位端までの長さが、3~15cm、4~12cm、又は特に5~8cmであってもよく、幅が、3~20mm、4~15mm、又は特に6~8mmであってもよい。これらの特定の寸法は、本発明の方法での使用に適していることがわかっている。
【0045】
製造によって意図されるように、ギャザーストリップはXY面内にあるが、使用前の毛羽立て、及び/又は、標的表面に対して動かすことにより使用中に生じる変形によって、XY面外へと変形する場合がある。ギャザーストリップは、本明細書に記載されているシートのうちの1つに組み込まれていてもよく、又は分離されたシートの上に配置されていてもよい。ギャザーストリップは、用品の幅方向に対して平行に延びていてもよく、又は用品の幅方向に対して鋭角の関係に配置されていてもよい。図示されるように、ギャザーストリップは、直線的であってもよく、湾曲していてもよく、蛇行していてもよく、又は任意の所望の形状であってもよい。
【0046】
ギャザーストリップ要素は、内側に向いたプライに関して上述したものと同じ材料を含んでもよく、具体的には親水性であり、より具体的にはセルロースであってもよい。ギャザーストリップ要素及び/又はシートは、当技術分野で知られるように、代替的又は追加的に、マイクロファイバーを含んでもよい。
【0047】
ギャザーストリップ要素は、蛇行してその上に折り返された1つ以上のプライを含んでもよい。この構成により、少なくとも二重、三重、又はそれ以上の厚さとなる。層が全体的に横方向に配向された個々のギャザーストリップに切断されると、二重の厚さは、それぞれのストリップの遠位端にループを提供する。ループは、Z方向に重ねられたストリップを離間するのに役立つので、有利であると考えられる。
【0048】
折り重ねられた構成は、C折りで完成される場合がある。当業者であれば、C折りを多段に繋いで(cascade)、当技術分野で知られているZ折り、W折り、又は他の複数層折り(C折りを含む)を得ることができることを理解するだろう。
【0049】
ギャザーストリップ要素は、所望の吸収力及び意図する標的表面のテクスチャに応じて、ギャザーストリップの層27として2~25層、5~20層、具体的には約10層を含み得る。各縁に、具体的には縦縁に配置されたギャザーストリップは、遠位端におけるループと、ギャザーストリップの遠位端における一重の厚さを有する自由端とを有利に含むことができ、洗浄中に反応差を提供し、洗浄中により多くのデブリに予測的に到達し、かつそれを保持する。
【0050】
具体的には、ギャザーストリップの反応差により、通常の使用条件下において、洗浄中に、標的表面に対して動的に変化する表面積が提供されると考えられる。表面積を変化させることにより、より多くのバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を除去することができる。
【0051】
標的表面に比較的長いギャザーストリップを提供し、その内側に向かって短いギャザーストリップを提供する配置は、利益を提供することができる。長さが異なるギャザーストリップを有することにより、ギャザーストリップを互いに独立して動かすことができ、又、互いを分離することができ、その結果、除去効果が向上する。ギャザーストリップ間のこのような分離、及び具体的には重畳された層のギャザーストリップを提示することは、バイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質を効果的に持ち上げ、かつ繊維構造体によって保持するために、洗浄される表面に十分な面積を提供する上で重要であると考えられる。このため、層は、1つ折り、複数折り、又は折り目無しで単純に重ね合わせることにより作製され得る。
【0052】
ギャザーストリップ要素は、全てまとめて蛇行状接合部と呼ばれる正弦曲線状接合部、ジグザグ接合部、又はその他の非直線接合部を使用して、シートに接合され得る。これらの接合パターンは、比較的長い個々のギャザーストリップ、及び比較的短い個々のギャザーストリップの両方を提供する。又、ギャザーストリップは各々、縦軸と平行ではないそれぞれの近位端を有する。このジオメトリは、除去中のギャザーストリップの捻れ及び乱れを促進すると考えられる近位端を提供する。
【0053】
あるいは、中央接合部は、離散接合部のアレイを含んでもよい。離散接合部は、通常の使用中に標的表面に対するギャザーストリップ要素の動的に変化する提示を促進すると考えられる。
【0054】
長さの異なるギャザーストリップは、使用中に標的表面に対して異なるストリップ及び/又はその部分を提示すると考えられる。ギャザーストリップの不規則な近位端も又、使用中に標的表面に対して異なるストリップ、又はその部分を提示すると考えられる。
【0055】
概して、使用中に標的表面に対して異なるギャザーストリップ及び/又はギャザーストリップの異なる部分を提示することにより、洗浄用品の飽和部分は標的表面と接触しないままであると考えられる。使用中にギャザーストリップ要素の異なる部分が提示されると、再堆積が最小限となり、ギャザーストリップ要素の不飽和部分が標的表面からの液体に接触し、吸収し、保持することができる。標的表面に接触するギャザーストリップ要素の有効部分を動的に変化させることにより、改善された洗浄が行われると考えられる。意義深いことに、ギャザーストリップ要素の有効部分を動的に変化させることは、自動的に、通常の洗浄の一部である前後ストローク以外にユーザの介入なしに、行われる。
【0056】
好ましくは、繊維構造体は、トウ繊維を含まない。
【0057】
望ましければ、シートは、外側に向いた液体不透過バリアによって覆われてもよい。このバリアにより、吸収された液体が、使用者の手、器具などに接触するのを防ぐ。好適なバリアには、当技術分野で知られているように、LDPEフィルムが挙げられる。
【0058】
ギャザーストリップ要素は、ギャザーストリップ要素の遠位縁に近づくほど減少する幅を有する、蛇行状に折り重ねられた部材を含んでもよい。このジオメトリにより、使用時に逆ピラミッド形構造が提供される。ギャザーストリップ要素のこのような構造は、複数の幅を有するギャザーストリップ要素の複数の層を提供することができる。幅は、第1の層から遠位層に向かって減少し、具体的には、第1の層から遠位層に向かって単調に幅が減少してもよい。逆ピラミッド形構造は、洗浄中に、標的表面に対してより多くの縁を有利に提示すると考えられる。
【0059】
繊維構造体は、ギャザーストリップ要素の全ての層をシートに接合する共通接合部を含まなくてもよい。代わりに、第1の接合部が1つ以上の近位層をシートに接合し得る。第2の接合部は、遠位層をシートに直接接合することなく、1つ以上の遠位層を近位層に接合し得る。この配置は、繊維構造体がZ方向で特に厚い場合に、その全ての構成要素を通る接合が回避されるという利点を提供する。
【0060】
ギャザーストリップ要素は2つのシート材を含み、各シートは開放したC折りを有してもよい。この配置は、概ね対称に対向するジオメトリを有利に提示すると考えられ、これは一般的な前後運動によるバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質の除去に役立ち、概ね均等な厚さの繊維構造体を提供する。
【0061】
ギャザーストリップ要素は2つのシート材を含み、各シートは、外脚が短いZ折りを有してもよい。この配置は、概ね対称に対向するジオメトリを有利に提供すると考えられる。繊維構造体の各縦縁は、ループギャザーストリップ及びギャザーストリップの2つの自由端を提供する、2つのC折りを有する。ギャザーストリップの自由端及びループ端の両方、並びに概ね一定の厚さを提供するこの配置は、一般的な前後運動によるバイオフィルム及び/又は浮遊汚染物質の除去に役立つと考えられる。
【実施例
【0062】
本発明の使用準備済みの組成物及び物理的パラメータを表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表2は、繊維構造体A~Fのバイオフィルム除去性能を示し、実施例A及びBは比較例である。これらは市販のワイプを表す。実施例C~Gは、本発明の方法の二次元繊維構造体を表し、実施例Fは、本発明の方法の二次元繊維構造体を表す。浮遊物除去、浮遊汚染物質、及び浮遊物移動の3つの測定が使用される。
【0065】
浮遊物除去
この方法は、各基材/システムによって捕捉又は洗浄されるバイオバーデンの量を立体的に示すために、ベースライン浮遊汚染物質(ワイプを用いた洗浄の前後の汚染タイルの計数及び印象)に対する、表面から浮遊微生物を「捕捉して閉じ込める」ために水を用いたその物理的洗浄能力に関して、ワイプ基材の洗浄性能を測定する。
【0066】
パートI:基材洗浄性能
この調査は、基材洗浄及び微生物移動対浮遊汚染物質で構成された。ガラスシャワードアをシミュレートするガラスタイルに、浮遊性のグラム陰性桿菌(Gram-negative bacillus)、霊菌(Serratia marcescens)の24時間培養したものを植え付けた。霊菌(S. marcescens)の視覚的検出により、微生物移動の確認表示が提供され、通常は非滅菌基材の使用に関連付けられ、「ジュース」又はローション(水、Clean-Shield-and-Enhance、及びLysol(登録商標)/Quats)を拭き取るバイオバーデンから、相互汚染を区別した。各基材を摩耗ボートの寸法に切断し、3.2グラム毎平方メートル(gsm)のローションで予飽和し、試験の前に4日間接触させておいた。5つの基材技術の各々について、浮遊汚染されたガラスタイルの複製セットを調製した。Gardner摩耗試験機を使用して洗浄アッセイの全てを実行したが、これは、残留敵対作用の評価についてCloroxによって指定された方法論と同様に、手の圧力をシミュレートするために重量測定し、5秒アップアンドバック単回洗浄パスで設定した。基材洗浄に続いて、ガラスタイルを以下のように処理した。1)従来の微生物計数(連続希釈及びめっき)、又は2)残りの微生物が全て移動し、その成長が周囲室内条件で一晩培養された後に視覚的に検出されるように、ガラスタイルの洗浄済み表面を微生物用培地に静かに触れることによって、固体培地プレート上に物理的にインプリントした。ベースラインタイル対照の寒天印象に対して洗浄性能比較を視覚的に評価した。
【0067】
霊菌(Serratia marcescens)(ATCC 14756)をTBSの10(10)ミリメートルチューブ内に植え付け、37℃で24時間培養した。個々のガラスチャンバスライドに、24時間霊菌(Serratia marcescens)(ATCC 14756)培養懸濁液を30(30)マイクロリットル植え付けた。種菌を、滅菌接種ループを介してガラススライドの表面全体に広げ、次いでおよそ10(10)分間にわたって空気乾燥させた。ワイプ技術の各々を2×8.5インチのストリップに切断し、4.5×8.75インチのステンレス鋼の蒸発皿に入れた。重量で、各ワイプにおよそ3.2グラムのプロトタイプローションを添加した。ワイプ技術を、個々の滅菌ストマッカー袋に入れ、およそ一週間にわたってプロトタイプローションと接触させておいた。自宅の表面に繰り返し直面する微生物チャレンジ及び物理的相互作用をシミュレートするために、摩耗試験機を使用した。浮遊物チャレンジに続いて、ガラスチャンバスライド上のワイプ技術の「洗浄」を評価した。洗浄の前に、各ガラスチャンバスライドを分解した。2つのガラススライド(セラチア菌(Serratia)を予め植え付けたもの)を同時に洗浄した。一方のスライドは微生物計数で定量化し、他方は視覚化を通じて定性片として使用した。摩耗試験機を、1回の完全なサイクルについて、およそ4~5秒の総表面接触時間にわたって2.25~2.5の速度に設定した。摩耗試験機に1回通すと、およそ7(7)秒の各タイルとの接触時間が得られた。サイクルパスは、標準化された摩耗試験機を使用する、左へのパス及び右への戻りパスに等しい。最初の洗浄の後、スライドを取り出し、適切に評価した。第2のサイクルパスの前に、Gardner試験機上に2つの滅菌ガラスタイルを載置し、第1のサイクルパスからのワイプ基材を、潜在的な微生物移動を評価するために第2のサイクルパスのために摩耗試験機上に残しておいた。各洗浄の間に、フォーム及びワイプ基材を交換した。各ワイプ基材及びフォームワイパを摩耗ボートアセンブリに取り付けることにより、各チャンバスライドをサイクルパスのために調製した。試験物の妥当な類似性及び相関性を保証するために、摩耗ボートアセンブリの前にワイプ基材を重量測定した。予め湿らせた摩耗ボートを、摩耗試験機装置に取り付けた。
【0068】
キャリーオーバー汚染を防止するために、表面摩耗の各セットの間にDispatch(登録商標)病院クリーナ(0.65%次亜塩素酸ナトリウム)を用いてGardner装置上で表面ホルダを噴霧することにより、技術間で摩耗試験機を除染した。Dispatch(登録商標)消毒剤を完全に乾燥させ、続いて、次の技術に進む前に水ですすいだ(少なくとも5分)。
【0069】
浮遊微生物レベルの定量化
浮遊汚染されたガラスチャンバスライド/タイルを洗浄(ベースライン)の前に評価し、その直後に各ワイプ技術を洗浄した。微生物レベルのために計数される各スライド/タイルを取り出し、9(9)ミリリットルの滅菌生理食塩水を含む50(50)ミリリットル遠心管の中に載置した。微生物を分散させるためにチューブをおよそ20秒攪拌し、1mLのアリコートを9mLの滅菌生理食塩水(10-1~10-7)に移動させるために、連続希釈を調製した。次いで、101、10-3、10-5、及び10-7希釈の1ミリリットルアリコート(1mL)を、滅菌接種ループを介して別個の固体栄養培地プレート(TSA)上に載置した。TSA成長プレートを、35℃の温度で24時間培養し、検出限界に対する統計的表示のために30~300コロニーを有するプレートのみを数えて、手作業で計数した。
【0070】
浮遊汚染物質
この方法は、汚染されたワイプの後処理から新しい滅菌表面に移動した微生物の量を測定することにより、これらの同じワイプ基材の相互汚染の可能性を測定する。
【0071】
パートII:滅菌表面への微生物移動
手の圧力をシミュレートするために重量測定し、5秒アップアンドバック単回洗浄パスで設定したGardner摩耗試験機を介して、新しい滅菌ガラスタイルをワイプするために、洗浄(パート1)で採用された試験物基材の各々を使用した。各使用されたワイプ機材から滅菌タイルに移動したあらゆる微生物が可視化されるように、これらのガラスタイルを固体成長プレートにインプリントした。固体培地プレート上のガラスタイル印象を周囲温度で一晩培養し、赤色の霊菌(S. marcescens)コロニーの存在を視覚的に評価したが、これは使用済みワイプから滅菌表面への浮遊汚染物質の基材/ローション移動を示すものである。
【0072】
浮遊汚染物質は、汚染されたワイプの後処理から新しい滅菌表面に移動した微生物の量を測定することにより、これらの同じワイプ基材の相互汚染の可能性を測定する。第2のサイクルパスの前に、Gardner試験機上に2つの滅菌ガラスタイルを載置し、第1のサイクルパスからのワイプ基材を、潜在的な微生物移動を評価するために第2のサイクルパスのために摩耗試験機上に残しておいた。各洗浄の間に、フォーム及びワイプ基材を交換した。各ワイプ基材及びフォームワイパを摩耗ボートアセンブリに取り付けることにより、各チャンバスライドをサイクルパスのために調製した。試験物の妥当な類似性及び相関性を保証するために、摩耗ボートアセンブリの前にワイプ基材を重量測定した。予め湿らせた摩耗ボートを、摩耗試験機装置に取り付けた。
【0073】
キャリーオーバー汚染を防止するために、表面摩耗の各セットの間にDispatch(登録商標)病院クリーナ(0.65%次亜塩素酸ナトリウム)を用いてGardner装置上で表面ホルダを噴霧することにより、技術間で摩耗試験機を除染した。Dispatch(登録商標)消毒剤を完全に乾燥させ、続いて、次の技術に進む前に水ですすいだ(少なくとも5分)。
【0074】
浮遊物移動
この方法は、ワイプが使用中媒介物になる危険性を評価するために、各ワイプから手袋を着用した指への微生物移動(各ワイプの使用前後の手袋を着用した指の印象)を定性的に測定する。
【0075】
パートIII.手への微生物汚染の基材移動
5つの基材(水又はClean-Shield-and-Enhance、又はLysol(登録商標)万能クリーナで飽和したもの)の衛生的な洗浄性能を、浮遊汚染物質に対して測定した。ガラスシャワードアをシミュレートするガラスタイルに、浮遊性のグラム陰性桿菌(Gram-negative bacillus)、霊菌(Serratia marcescens)の24時間培養したものを植え付けた。ニトリル手袋を着用した手を使用して、ワイプの上に手袋を着用した4本の指を置き、穏やかな手の圧力で、タイルを5秒アップアンドバック単回洗浄パスで洗浄することにより、各試験物基材の新しいサンプルを用いて汚染された1セットのガラスタイルを物理的に洗浄した。洗浄に続いて、ワイプ基材を廃棄し、手袋を着用した指を栄養寒天プレート(TSA-総好気性細菌)上に押しつけた。これらの寒天印象を周囲室内条件で一晩培養し、この時に、手袋を着用した指に移動した表面汚染物質内に元々存在していた霊菌(Serratia marcescens)(ATCC 14756)を示す、任意の赤色コロニーの存在が認められた。
【0076】
【表2】
【0077】
上記の表からわかるように、本発明の繊維構造体(実施例C及びG)と比較して、本発明の範囲外の繊維構造体(実施例A及びB)が使用されるとき、浮遊物除去は低く、移動する浮遊汚染物質は高い。
【0078】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。