(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ロボットシステム、ロボット制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240214BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20240214BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 D
B23K9/12 331Q
(21)【出願番号】P 2022518018
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016423
(87)【国際公開番号】W WO2021220957
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020079429
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】若林 一貴
(72)【発明者】
【氏名】西村 斉寛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 豪
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-123536(JP,A)
【文献】特開2012-106323(JP,A)
【文献】特開昭63-256281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22
G05B 19/42
B23K 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するロボットシステムであって、
オペレータがリードスルーを用いて前記動作パターンを構成する前記特徴点の位置を教示すると、前記リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶部に記憶
し、前記リードスルーは、前記ロボットシステムを構成するロボットのアームをオペレータが掴んで前記ロボットを動かすことによってティーチングを行なう方式である、特徴点教示部と、
前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付ける入力受付部と、
前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定する姿勢決定部と、
前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、
前記ロボットのためのロボットプログラムを生成するプログラム生成部と、
を備えるロボットシステム。
【請求項2】
前記動作パターンは、複数の前記特徴点を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記動作パターンは、溶接開始点から前記ツールの位置及び/又は角度をオフセットした開始オフセット点、及び溶接終了点から前記ツールの位置及び/又は角度をオフセットした終了オフセット点の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記動作パターンは、1つの命令ブロックで表され、前記動作パターンは、前記命令ブロックの属性として、溶接開始点及び溶接開始点からオフセットされた位置及び角度、前記ツールの前記角度値、溶接終了点及び溶接終了点からオフセットされた位置及び角度、溶接条件のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記姿勢決定部は、前記特徴点間を結ぶ線を基準線とし、前記角度値に基づいて所定の基準面内における前記基準線に対する前記ツールの角度を決定し、前記ロボットの動作時における前記ツールの基準線に対する角度を決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記所定の基準面は、ユーザによって任意に定義されるユーザ定義面、前記ロボットの水平面又は前記ツールの姿勢の定義面のいずれかである、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記所定の基準面は、溶接開始点、溶接終了点、並びに前記溶接開始点及び前記溶接終了点以外の一つ以上の点によって定義される、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項8】
特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するためのロボット制御装置であって、
オペレータがリードスルーを用いて前記動作パターンを構成する前記特徴点の位置を教示すると、前記リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶部に記憶
し、前記リードスルーは、ロボットシステムを構成するロボットのアームをオペレータが掴んで前記ロボットを動かすことによってティーチングを行なう方式である、特徴点教示部と、
前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付ける入力受付部と、
前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定する姿勢決定部と、
前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、
前記ロボットのためのロボットプログラムを生成するプログラム作成部と、
を備えるロボット制御装置。
【請求項9】
特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するためのロボット制御方法であって、
オペレータがリードスルーを用いて前記動作パターンを構成する前記特徴点の位置を教示すると、前記リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶
し、前記リードスルーは、ロボットシステムを構成するロボットのアームをオペレータが掴んで前記ロボットを動かすことによってティーチングを行なう方式である、ステップと、
前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付けるステップと、
前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定するステップと、
前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、ロボットのためのロボットプログラムを生成するステップと、
を備える制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
オペレータがリードスルーを用いて動作パターンを構成する特徴点の位置を教示すると、前記リードスルーを用いて教示された動作パターンを構成する特徴点の位置を記憶
し、前記リードスルーは、ロボットシステムを構成するロボットのアームをオペレータが掴んで前記ロボットを動かすことによってティーチングを行なう方式である、ステップと、
ワークに対するツールの角度値の入力を受け付けるステップと、
前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定するステップと、
前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、
前記ロボットのためのロボットプログラムを生成するステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム、ロボット制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接用ロボットは、ロボットの動作によって安定した溶接を実現し、溶接時に発生するスパッタやヒューム等からオペレータを解放する。このような溶接ロボットの動作は、様々な手法を用いて教示される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、リードスルー(ダイレクトティーチングともいう)を用いてロボットの動作を教示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような溶接用ロボットは、溶接中に溶接ツールとワークとの相対位置及び姿勢を考慮しつつ、動作を教示する必要がある。そのため、オペレータは、溶接用ロボットの動作を教示するために高い熟練度を必要としている。そこで、より簡易にロボットの動作の教示を行うことができるロボットシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るロボットシステムは、特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するロボットシステムであって、リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶部に記憶する特徴点教示部と、前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付ける入力受付部と、前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定する姿勢決定部と、前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、ロボットのためのロボットプログラムを生成するプログラム生成部と、を備える。
【0006】
本開示に係るロボット制御装置は、特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するためのロボット制御装置であって、リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶部に記憶する特徴点教示部と、前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付ける入力受付部と、前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定する姿勢決定部と、前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、ロボットのためのロボットプログラムを生成するプログラム作成部と、を備える。
【0007】
本開示に係る制御方法は、特徴点を有する動作パターンを用いてワークを溶接するためのロボット制御方法であって、リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶するステップと、前記ワークに対するツールの角度値の入力を受け付けるステップと、前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定するステップと、前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、前記ロボットのためのロボットプログラムを生成するステップと、を備える。
【0008】
本開示に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、リードスルーを用いて教示された動作パターンを構成する特徴点の位置を記憶するステップと、ワークに対するツールの角度値の入力を受け付けるステップと、前記ツールの前記角度値に基づいて前記ツールの姿勢を決定するステップと、前記特徴点の位置及び前記姿勢に基づいて、ロボットのためのロボットプログラムを生成するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より簡易にロボットの動作の教示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るロボットシステムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るロボットシステムの機能構成を示す図である。
【
図4】角度値によってツールの角度を決定する具体例を示す図である。
【
図5】ツールの位置及び/又は角度をオフセットする具体例を示す図である。
【
図6A】教示操作盤の表示部に表示される表示例を示す図である。
【
図6B】教示操作盤の表示部に表示される表示例を示す図である。
【
図6C】教示操作盤の表示部に表示される表示例を示す図である。
【
図6D】教示操作盤の表示部に表示される表示例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るロボットシステムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るロボットシステム1の概要を示す図である。ロボットシステム1は、ロボット10によってアーク溶接を行うためのシステムである。ロボットシステム1は、ロボット10と、ロボット制御装置20と、教示操作盤30と、を備える。
ロボット10は、ロボット制御装置20の制御に従って動作する。ロボット10は、溶接ロボットであり、ツール11と、アーム12と、を備える。
【0012】
ロボット制御装置20は、ロボット10及び教示操作盤30と接続され、ロボット10の動作を制御する。例えば、ロボット制御装置20は、教示操作盤30の操作に従ってロボット10の動作を制御する。
【0013】
教示操作盤30は、ロボット制御装置20と接続され、オペレータによってロボット10を操作するために用いられる。
【0014】
図2は、本実施形態に係るロボットシステム1の機能構成を示す図である。
図2に示すように、ロボット制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、を備える。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、各種の処理を実行する。
【0015】
また、制御部21は、特徴点教示部211と、入力受付部212と、姿勢決定部213と、プログラム生成部214と、表示制御部215と、を備える。
【0016】
記憶部22は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他の各種情報を格納するハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0017】
教示操作盤30は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、を備える。
制御部31は、教示操作盤30の動作を制御することによって、各種の処理を実行する。操作部32は、ボタン、キー、スイッチ等で構成され、オペレータからの各種操作を受け付ける。表示部33は、液晶ディスプレイ等で構成され、各種の情報を表示する。
【0018】
なお、操作部32及び表示部33は、一体化されたタッチパネル等で構成されてもよい。また、教示操作盤30は、タブレット端末によって構成されてもよい。
【0019】
次に、本実施形態に係るロボットシステム1におけるロボット10の動作を教示について説明する。
特徴点教示部211は、オペレータがリードスルーを用いて動作パターンを構成する特徴点の位置を教示すると、リードスルーを用いて教示された特徴点の位置を記憶部22に記憶する。ここで、「リードスルー」とは、具体的には、ロボット10のアーム12をオペレータが掴んでロボット10を動かすことによってティーチングを行なう方式をいう。
【0020】
また、ロボット10の動作パターンは、複数の特徴点を含み、直線や円弧等で構成される。例えば、動作パターンは、特徴点として、溶接開始点及び溶接終了点を含んでもよい。
【0021】
また、動作パターンは、溶接開始点から位置及び/又は角度をオフセットした開始オフセット点、及び溶接終了点から位置及び/又は角度をオフセットした終了オフセット点の少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
また、動作パターンは、1つの命令ブロックで表される。そして、動作パターンは、命令ブロックの属性として、溶接開始点及び溶接開始点からオフセットされた位置及び角度、ツール11の角度値、溶接終了点及び溶接終了点からオフセットされた位置及び角度、溶接条件のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
ここで、溶接条件は、溶接時の電流、電圧、波形(例えば、パルス波形、正弦波等)、溶接の種類(例えば、ミグ溶接、マグ溶接等)等を含む。また、命令ブロックは、ロボットプログラムを実行する単位であり、ロボットプログラムの1行分の指令を示す。
【0024】
入力受付部212は、ワークに対するツール11の角度値の入力を受け付ける。具体的には、入力受付部212は、ワークに対するツール11の狙い角及び前進角/後退角の入力を受け付ける。また、入力受付部212は、ツール11のオフセット距離の入力を受け付ける。なお、これらの入力は、例えば、オペレータによって教示操作盤30を用いて行われる。
【0025】
ここで、ツールの進行方向に対して、アークがツール(トーチ)より先行するのがトーチ前進法とよばれ、ツールとワークに対する垂線と角度がトーチ前進角となる。一方、ツールの進行方向に対して、アークがワイヤより後行となるのがトーチ後退法であり、ツールとワークに対する垂線と角度がトーチ後退角となる。
【0026】
姿勢決定部213は、ツール11の角度値に基づいてツール11の姿勢を決定する。具体的には、姿勢決定部213は、特徴点間を結ぶ線を基準線とする。そして、姿勢決定部213は、ツール11の角度値に基づいて、所定の基準面内における基準線に対するツール11の角度を決定する。そして、姿勢決定部213は、ロボット10の動作時におけるツール11の基準線に対する角度を決定する。
【0027】
ここで、所定の基準面は、ユーザによって任意に定義されるユーザ定義面、ロボット10の水平面又はツール11の姿勢の定義面のいずれかである。また、ロボット10の水平面は、例えば、鉛直方向に直交する面であってもよい。また、ツール11の姿勢の定義面は、例えば、ツール11の初期姿勢として定義される面であってもよい。
【0028】
また、所定の基準面は、溶接開始点、溶接終了点、並びに溶接開始点及び溶接終了点以外の点によって定義されてもよい。
【0029】
プログラム生成部214は、特徴点の位置及びツール11の姿勢に基づいて、ロボットのためのロボットプログラムを生成する。すなわち、プログラム生成部214によって生成されたロボットプログラムは、動作パターンを含む。
【0030】
これにより、ロボットシステム1は、動作パターンを含むロボットプログラムを用いてワークを溶接することができる。プログラム生成部214は、生成されたロボットプログラムを記憶部22に記憶する。
【0031】
図3は、リードスルーの具体例を示す図である。
図3に示すように、オペレータは、ロボット10のアーム12を掴み、動作パターンを構成する特徴点の位置P1へロボット10のアーム12を移動する。次に、オペレータは、動作パターンを構成する特徴点の位置P2へロボット10のアーム12を移動する。
【0032】
そして、特徴点教示部211は、オペレータによるリードスルーを用いて教示された特徴点の位置P1及びP2を記憶する。例えば、教示された特徴点の位置P1は、溶接開始点であり、教示された特徴点の位置P2は、溶接終了点である。
【0033】
図4は、角度値によってツールの角度を決定する具体例を示す図である。
図4に示すように、姿勢決定部213は、角度値に基づいて、
図3に示す位置P1におけるツール11の位置を基準として、ツール11を鉛直方向に傾ける角度θ1を決定する。
【0034】
また、姿勢決定部213は、角度値に基づいて、
図3に示す位置P2におけるツール11の位置を基準として、ツール11をワークWの水平面方向(鉛直方向に直交する水平面の方向)に傾ける角度θ2を決定する。
【0035】
図5は、ツール11の位置及び/又は角度をオフセットする具体例を示す図である。ツール11の狙い角θ3は、ワークWの水平面を基準とした角度であり、ツール11の狙い角θ4は、ワークWの鉛直面を基準とした角度である。
【0036】
ツール11の狙い角θ3又はθ4の値は、オペレータによって教示操作盤30を用いて入力され、入力受付部212によって受け付けられる。そして、姿勢決定部213は、入力受付部212によって受け付けられた値に基づいて、ツール11の姿勢を決定する。
【0037】
図5に示すように、ツール11は、溶接終了後に、教示された特徴点の位置から位置をオフセットされる。また、ツール11は、溶接終了後に、教示された特徴点の位置から位置及び角度をオフセットされてもよい。
【0038】
オフセットされる位置及び/又は角度は、オペレータによって教示操作盤30を用いて入力され、入力受付部212によって受け付けられる。そして、姿勢決定部213は、入力受付部212によって受け付けられた位置及び/又は角度に基づいて、教示された特徴点の位置からツール11の位置及び/又は角度をオフセットする。
【0039】
図6Aから
図6Dは、教示操作盤30の表示部33に表示される表示例を示す図である。
図6Aに示すように、表示制御部215は、リードスルーを用いて、動作パターンを教示するための第1の表示態様331を表示部33に表示する。オペレータは、操作部32によって当該第1の表示態様331を選択することにより動作パターンの教示を開始する。
【0040】
次に、
図6Bに示すように、表示制御部215は、溶接開始点及び溶接終了点を教示するための第2の表示態様332を表示部33に表示する。オペレータは、操作部32によって当該第2の表示態様332の「カイシ」のアイコンを選択する。そして、オペレータは、例えば、リードスルーを用いてロボット10のアーム12を移動し、溶接開始点を教示する。また、同様に、オペレータは、リードスルーを用いてロボット10のアーム12を移動し、溶接終了点を教示してもよい。
【0041】
次に、
図6Cに示すように、表示制御部215は、教示された溶接開始点を記憶するための第3の表示態様333を表示部33に表示する。オペレータは、操作部32によって当該第3の表示態様333を選択する。これにより、特徴点教示部211は、教示された溶接開始点を記憶部22に記憶する。また、同様に、表示制御部215は、教示された溶接終了点を記憶するための第3の表示態様333を表示部33に表示する。オペレータは、操作部32によって当該第3の表示態様333を選択する。特徴点教示部211は、教示された溶接終了点を記憶部22に記憶する。
【0042】
次に、
図6Dに示すように、表示制御部215は、ワークに対するツール11の前進角/後進角の入力を受け付けるための第4の表示態様334を表示する。オペレータは、操作部32によってツール11の角度値を入力する。
【0043】
入力受付部212は、ワークに対するツール11の狙い角及び前進角/後退角の入力を受け付ける。また、姿勢決定部213は、入力された狙い角及び前進角/後退角に基づいて、ツール11の姿勢を決定する。
【0044】
図7は、本実施形態に係るロボットシステム1の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1において、オペレータがリードスルーを用いて動作パターンを構成する特徴点の位置を教示すると、特徴点教示部211は、リードスルーを用いて教示された前記特徴点の位置を記憶部22に記憶する。
【0045】
ステップS2において、入力受付部212は、ワークに対するツール11の角度値の入力を受け付ける。
ステップS3において、姿勢決定部213は、ツール11の角度値に基づいてツール11の姿勢を決定する。
【0046】
ステップS4において、プログラム生成部214は、特徴点の位置及びツール11の姿勢に基づいて、ロボット10のためのロボットプログラムを生成する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロボットシステム1は、リードスルーを用いて教示された特徴点の位置を記憶部22に記憶する特徴点教示部211と、ワークWに対するツール11の角度値の入力を受け付ける入力受付部212と、ツール11の角度値に基づいてツール11の姿勢を決定する姿勢決定部213と、特徴点の位置及び姿勢に基づいて、ロボット10のためのロボットプログラムを生成するプログラム生成部214と、を備える。
【0048】
このようにロボットシステム1は、リードスルーを用いて特徴点を教示するため、オペレータは、直感的に位置を教示することができる。また、ロボットシステム1は、角度値に基づいて姿勢を決定するため、ツール11の姿勢を溶接に適した角度に設定することができる。
【0049】
また、ロボットシステム1は、ツール11の角度値として、狙い角及び前進角/後進角を設定し、2点の特徴点の位置のみを教示することによって、溶接のためのロボット10の教示を完了することができる。したがって、ロボットシステム1は、より簡易にロボットの動作の教示を行うことができる。
【0050】
また、動作パターンは、直線、円弧などを構成する複数の特徴点を含む。これにより、ロボットシステム1は、動作パターンにおいて、直線や円弧などの曲線を含んでいたとしても、ツール11の進行方向を規定することができる。よって、ロボットシステム1は、より簡易にロボットの動作の教示を行うことができる。
【0051】
また、動作パターンは、溶接開始点からツール11の位置及び/又は角度をオフセットした開始オフセット点、及び溶接終了点からツール11の位置及び/又は角度をオフセットした終了オフセット点の少なくとも1つを含む。これにより、ロボットシステム1は、ツール11のオフセット位置及び/又は角度を適切に設定することができる。
【0052】
また、動作パターンは、1つの命令ブロックで表され、動作パターンは、命令ブロックの属性として、溶接開始点及び溶接開始点からオフセットされた位置及び角度、ツール11の角度値、溶接終了点及び溶接終了点からオフセットされた位置及び角度、溶接条件のうちの少なくとも1つを含む。これにより、ロボットシステム1は、命令ブロックをプログラム中に呼び出すことによって、より簡易にロボットプログラムを作成することができる。
【0053】
また、姿勢決定部213は、特徴点間を結ぶ線を基準線とする。そして、姿勢決定部213は、角度値に基づいて所定の基準面内における基準線に対するツール11の角度を決定し、ロボット10の動作時におけるツール11の基準線に対する角度を決定する。これにより、ロボットシステム1は、ツール11の角度を適切に決定することができる。
【0054】
また、所定の基準面は、ユーザによって任意に定義されるユーザ定義面、ロボット10の水平面又はツール11の姿勢の定義面のいずれかであってもよい。これにより、ロボットシステム1は、ツール11の角度を決定するために適切な基準面を用いることができる。
【0055】
また、所定の基準面は、溶接開始点、溶接終了点、並びに溶接開始点及び溶接終了点以外の一つ以上の点によって定義されてもよい。これにより、ロボットシステム1は、事前にツール11のツール座標系を定義せずに、基準面を定義することができる。また、ロボットシステム1は、溶接開始点及び溶接終了点を用いることにより、少ない教示点で基準面を定義することができる。追加する点は、少なくとも一点あればよく、容易に教示できる。点数を増やした場合、平均化などにより、より適切な面を定義することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態について主にアーク溶接について述べたが、レーザ溶接やスポット溶接などの他の溶接法や、シーリングやバリ取り、洗浄、塗装といったアプリケーションにおいても、適用が可能である。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記のロボットシステムは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のロボットシステムのそれぞれの協働により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0058】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0059】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ロボットシステム
10 ロボット
20 ロボット制御装置
30 教示操作盤
211 特徴点教示部
212 入力受付部
213 姿勢決定部
214 プログラム生成部