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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】排水デバイス
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/284 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E03C1/284
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022533359
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084300
(87)【国際公開番号】W WO2021110758
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】A51068/2019
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519116218
【氏名又は名称】ラートハマー、アンドレ
(73)【特許権者】
【識別番号】519116229
【氏名又は名称】フェヒター、ハラルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラートハマー、アンドレ
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1450461(KR,B1)
【文献】中国実用新案第205875290(CN,U)
【文献】特開2016-217096(JP,A)
【文献】実開平05-073069(JP,U)
【文献】国際公開第2015/044650(WO,A1)
【文献】米国特許第01634530(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 - 1/33
E03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水デバイス、特にトラップであって、
衛生器具に接続可能な入口開口(1)と、
下水管に接続可能な排水開口(2)と、
前記入口開口(1)と前記排水開口(2)の間に配置される閉鎖部(3)と
を有し、
前記入口開口(1)と前記排水開口(2)の間のガスの通過が、前記閉鎖部(3)を液体で満たすことによって防止され得、
作動手段(4)及び通気開口(5)が設けられ、前記作動手段(4)は、休止位置において、前記通気開口(5)を閉鎖し、動作位置において、前記通気開口(5)を開放し、また前記動作位置において、前記排水開口(2)と前記通気開口(5)の間のガスの通過が可能になる、排水デバイスにおいて、
前記作動手段(4)は、前記排水デバイスを通して流れる前記液体によって前記動作位置にされ得、前記通気開口は、前記排水デバイスのハウジングに配置され、且つ前記排水デバイスの周囲と、前記入口開口及び前記排水開口の間に配置される接続管との間のガスの通過を可能にすることを特徴とする、排水デバイス。
【請求項2】
前記作動手段(4)は、旋回軸(6)を中心に旋回され得る作動レバー(7)として設計されることを特徴とする、請求項1に記載の排水デバイス。
【請求項3】
前記作動手段(4)は、角度配置された流入部(8)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の排水デバイス。
【請求項4】
接続管(12)が、前記入口開口(1)と前記排水開口(2)の間に配置され、前記接続管(12)が前記閉鎖部(3)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の排水デバイス。
【請求項5】
前記接続管(12)が、第1の下降部(13)、第2の下降部(14)、及び前記第1の下降部(13)と前記第2の下降部(14)の間に配置される上昇部(15)を有することを特徴とする、請求項4に記載の排水デバイス。
【請求項6】
前記閉鎖部(3)が、前記第1の下降部(13)及び前記上昇部(15)の領域に配置されること、及び前記作動手段(4)が、前記第2の下降部(14)の領域に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の排水デバイス。
【請求項7】
前記閉鎖部(3)が、前記第1の下降部(13)と前記上昇部(15)の間の湾曲接続部の領域に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の排水デバイス。
【請求項8】
前記排水デバイスを他の構成要素に固定するために固定デバイス(9)が設けられることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の排水デバイス。
【請求項9】
衛生器具の取付デバイス、特に埋込式ボックス(10)を備えた、請求項1から8までのいずれか一項に記載の排水デバイスの構成。
【請求項10】
前記固定デバイス(9)が、前記取付デバイスの保持領域(11)に接続されることを特徴とする、請求項8を引用する請求項9に記載の構成。
【請求項11】
前記構成が、衛生器具、特に洗面台をさらに有することを特徴とする、請求項9又は10に記載の構成。
【請求項12】
前記衛生器具の排水口が、前記排水デバイスの入口開口(1)に接続されることを特徴とする、請求項11に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項の前提部分による排水デバイス、特にトラップ、及び衛生器具の取付デバイスを備えた排水デバイスの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、トラップは様々な衛生器具、例えば洗面台、シャワー、浴槽、便器、又は小便器と共に使用することが公知である。そのようなトラップ、一般には排水デバイスは、とりわけ下水管から外気へのガスの通過を確実に防止するとされている。特にこれは、不快な臭気の衛生器具の周囲、すなわち特に外気への放出を防止する目的に役立つ。
【0003】
トラップの異なる実施例が公知である。しばしば使用される形態は、いわゆるPトラップであり、受水領域が、下水管と外気との間のガスの通過を防止するために設けられる。
【0004】
Pトラップを含む多くのトラップは、衛生器具から排水される液体が低い水頭を有する設計において欠点を有する。特に液体の排水を可能にするために、ある一定の静圧を超えなければならないので、連続した即時の液体の排水は、そのような設計において問題となる。しかしながらこれは、液体がある一定の水準までの蓄積し、その後、断続的にのみ排水されることを意味し、それは、特に洗面台、シャワーなどの場合に望ましくない。特に省スペースのトラップ設計でさえも、しばしば液体の排水に関して不適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、連続した即時の液体の排水を可能にし、さらに、排水される液体の水頭が低い場合、及び/又は排水デバイスの設計が小さい場合でさえも、トラップが確実に機能する排水デバイス、特にトラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のこの及び他の目的は、独立特許請求項の構成を有する排水デバイスによって解決される。
【0007】
本発明はしたがって、衛生器具に接続可能な入口開口、及び下水管へ接続可能な排水開口を有する排水デバイス、特にトラップに関する。さらに、デバイスは、入口開口と排水開口との間に配置される、閉鎖部(closure section)を有する。入口開口と排水開口との間のガスの通過は、閉鎖部を液体で満たすことによって防止され得る。
【0008】
本発明によると、作動手段及び通気開口が設けられ、休止位置において、作動手段が通気開口を閉鎖し、動作位置において、通気開口を開放し、動作位置において、排水開口と通気開口との間のガスの通過が可能になることが、もたらされ得る。
【0009】
作動手段は、したがって、互いに異なる少なくとも2つの位置を想定する。休止位置と動作位置との間の切換えは、特に排水デバイスを通して流れる液体によって行われ得る。
【0010】
任意選択で、作動手段が、排水デバイスを通して流れる液体によって動作位置にされ得ることが、もたらされる。
【0011】
任意選択で、作動手段が、旋回軸を中心に旋回され得る作動レバーとして設計されることが、もたらされる。作動レバーはまた、特に、旋回軸の両側に配置される2つのレバー部を有し得る。
【0012】
任意選択で、作動手段は、休止位置において通気開口にもたれかかり、それを閉鎖する、閉鎖要素を有し得る。特に、閉鎖要素は、作動レバーのレバー部の一部であり得る。
【0013】
任意選択で、作動手段が、角度配置された流入部を有することが、もたらされる。流入部は、任意選択で、作動手段又は作動レバーの端部に配置され得る。
【0014】
任意選択で、接続管が、入口開口と排水開口との間に配置され、閉鎖部を有することが、もたらされる。
【0015】
任意選択で、接続管が、第1の下降部、第2の下降部、及び第1の下降部と第2の下降部との間に配置される上昇部を有することが、もたらされる。
【0016】
任意選択で、閉鎖部が、第1の下降部及び上昇部の領域に配置されること、及び作動手段が、第2の下降部の領域に配置されることが、もたらされる。
【0017】
湾曲接続部が、任意選択で、下降部と上昇部との間に配置され得る。好ましくは、下降部及び上昇部は、互いに実質的に平行に延びる。
【0018】
任意選択で、固定デバイスが、排水デバイスをさらなる構成要素へ固定するために設けられることが、もたらされる。固定デバイスは、掛止デバイス又は締付デバイスとして設計され得る。
【0019】
任意選択で、固定デバイスが、さらなる構成要素の保持領域が挿入され得る凹部を有することが、もたらされる。
【0020】
任意選択で、排水デバイスが、Pトラップであることが、もたらされる。
【0021】
任意選択で、通気開口が、排水デバイスのハウジングに配置され、排水デバイスの周囲と、入口開口と排水開口との間に配置される接続管との間の、ガスの通過を可能にすることが、もたらされる。
【0022】
任意選択で、接続管が、入口開口の領域において入口部、及び排水開口の領域において排水部を有し、入口部及び排水部が互いに実質的に直交して配置されることが、もたらされる。
【0023】
任意選択で、閉鎖部が、入口部と排水部との間に配置されることが、もたらされる。
【0024】
任意選択で、閉鎖部が、第1の下降部と上昇部との間の湾曲接続部の領域に配置されることが、もたらされる。
【0025】
本発明は、さらに、衛生器具の取付デバイスを有する、特に埋込式ボックスを有する、本発明による排水デバイスの構成(arrangement;配置、装置)に関する。始めに説明された流入する液体の低い水頭の問題は、埋込式ボックスが通例は特に小型の設計のものであるので、これらと共に生じる。
【0026】
任意選択で、固定デバイスが、取付デバイスの保持領域へ接続されることが、もたらされる。例えば、保持領域は、固定デバイスへ着実に接続され得る領域として、設計され得る。
【0027】
任意選択で、構成が、追加的に衛生器具、特に洗面台を有することが、もたらされる。
【0028】
任意選択で、衛生器具の排水口が、排水デバイスの入口開口へ接続されることが、もたらされる。
【0029】
本発明のさらなる任意選択の特徴は、従属特許請求項、図面、及び例示的実施例の説明から明らかになる。
【0030】
以下において、本発明が、例示的実施例に基づいて詳細に論じられる。この例示的実施例は、単に、本発明の好ましい構成(feature)を有するデバイスの機能を実例として示す役割を果たすにすぎず、特許請求項の保護範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の例示的実施例による排水デバイスの側面断面図である。
図2】本発明の例示的実施例による排水デバイスのさらなる側面断面図である。
図3】埋込式ボックス上の、例示的実施例による排水デバイスの配置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び図2は、本発明の例示的実施例による排水デバイスの2つの側面断面図を示し、対応する断面が各々、互いにほぼ直交して配置される。
【0033】
排水デバイスは、入口開口1及び排水開口2を有する。入口開口1は、衛生器具、例えば洗面台へ接続されるように設計される。排水開口2は、下水管へ、又はより一般的には、下水道へ接続されるように設計される。
【0034】
接続管12は、入口開口1と排水開口2との間に配置され、液体が入口開口1から排水開口2へ通過するのを可能にする。この例示的実施例に示される排水デバイスは、Pトラップとして設計される。したがって、接続管12は、第1の下降部13、第2の下降部14、及び下降部13、14間に配置される上昇部15を有する。個々の部分は、互いに実質的に平行に延びる。その部分は、ひと続きで、すなわち、連続して配置され、各々が湾曲接続部を介して互いに接続される。特に、この例示的実施例における接続管12は、実質的にS字型設計のものである。
【0035】
この例示的実施例では、接続管12は、互いに実質的に直交して配置される、入口部18及び排水部19を有する。入口部18は、入口開口1の領域に配置され、一方で、排水部19は、排水開口2の領域に配置される。この例示的実施例では、閉鎖部3、下降部13、14、及び上昇部15は、入口部18と排水部19との間に配置される。
【0036】
図1及び図2に示されるトラップの意図される使用において、排水開口2へ接続される排水管から、入口開口1へ接続される衛生器具の外気への、ガスの通過が防止されることになる。特に、これは、下水道からの不快な臭気の放出を防止する目的に役立つ。したがって、排水デバイスは、この例示的実施例において第1の下降部13から上昇部15への移行部に配置される、閉鎖部3を有する。閉鎖部3は、液体で、特に、衛生器具から排水される液体で満たされ得、閉鎖部3を満たす水準が十分であると、液体は、排水開口2から入口開口1へのガスの通過を防止する。
【0037】
入口開口1の位置付けにより、水頭及び、したがって、入り込む液体の流圧は低い。衛生器具からの即時の連続した液体の排水を可能にするために、この例示的実施例の本発明の排水デバイスは、作動レバー7として設計される作動デバイス4を備える。作動レバー7は、旋回軸6を中心に旋回するように取り付けられ、少なくとも休止位置及び動作位置を想定することができる。
【0038】
作動レバー7は、液体が排水デバイスを通して流れない場合に、休止位置を想定する。休止位置において、作動レバー7の閉鎖要素16は、排水デバイスのハウジング17における通気開口5を閉鎖する。通気開口5は、ハウジング17の内部、すなわち、接続管12と排水デバイスの周囲との間のガス透過性接続をもたらす。
【0039】
作動レバー7は、液体が排水デバイスを通して流れる場合に、動作位置を想定する。作動レバー7の旋回運動により、閉鎖要素16は、通気開口5を開放し、排水開口2と通気開口5/排水デバイスの外気との間で、ガスの通過が可能になる。これは、結果として、排水デバイスの内部と外気との間の均圧をもたらし、液体の連続した排水が確実になる。
【0040】
通気開口5は、とりわけ、接続管12と外気との間の均圧器として働く。
【0041】
作動レバー7の動作性を改善するために、作動レバー7は、この例示的実施例において、角度配置された流入部8を有する。流入部8は、広げられた断面を有し、作動レバーの一端に配置される。
【0042】
液体が排水デバイスを通して流れるのを止めた直後、例えば、衛生器具への液体の供給が止められた後に、作動レバーは、液体からの流圧がない状態で休止位置へ後退し、その結果、通気開口5を通したガスの通過及び、したがって、外気における不快な臭気の生成が防止される。液体の流れが再び始まると、作動レバーは、上記の動作位置へ戻る。
【0043】
図1及び図2に示される排水デバイスはまた、固定デバイス9を有する。固定デバイス9は、排水デバイスのハウジング17に配置され、排水デバイスをさらなる構成要素へ、例えば取付デバイスへ固定する役割を果たす。特に、この例示的実施例による固定デバイス9は、排水デバイスを埋込式ボックスへ固定する役割を果たす。
【0044】
図3は、埋込式ボックス上の、例示的実施例による排水デバイスの配置の断面図を示す。入口開口1、排水開口2、及び入口開口1と排水開口2との間に配置される接続管12を有する排水デバイスは、固定デバイス9を介して埋込式ボックス10の壁部へ装着される。壁部は、固定デバイス9の凹部に挿入され得る、保持領域11を有する。これにより、本発明による排水デバイスの取付けが容易になる。
【0045】
図説を簡素化するために、図1及び図2に示されたいくつかの要素は、図3に示されない。
【0046】
本明細書に記載の例示的実施例は、Pトラップを示すが、本発明はまた、他のトラップ設計、例えば、ボトル・トラップ、椀トラップなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 入口開口
2 排水開口
3 閉鎖部
4 作動手段
5 通気開口
6 旋回軸
7 作動レバー
8 流入部
9 固定デバイス
10 埋込式ボックス
11 保持領域
12 接続管
13 第1の下降部
14 第2の下降部
15 上昇部
19 閉鎖要素
17 ハウジング
18 入口部
19 排水部
図1
図2
図3