IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニッタン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】感知器ベースおよび感知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022539935
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029413
(87)【国際公開番号】W WO2022024338
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 諭
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 諭
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2396752(GB,A)
【文献】特開平05-303692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状をなす底板と、前記底板の周縁部に沿って設けられた周壁と、前記底板上に円周方向に所定の間隔をおいて配設された複数の接続端子と、を備え、前記複数の接続端子のそれぞれと接触可能な複数の外部端子を備えた感知器を取り付け可能に構成された感知器ベースであって、
前記複数の接続端子のいずれか2つの接続端子間に、両端にそれぞれ前記2つの接続端子と接触可能な一対の接触部を有し所定方向へ往復移動可能に配設された短絡部材を備え、
前記短絡部材には、高さの異なる2つの突出部が設けられ、
前記2つの突出部のいずれか一方の突出部に作用する力によって前記短絡部材が移動範囲の一方の側に移動されると両端の前記接触部は対応する2つの前記接続端子に接触され、
前記2つの突出部のうち他方の突出部に作用する力によって前記短絡部材が前記移動範囲の他方の側に移動されると両端の前記接触部の少なくとも一方は対応する前記接続端子から離反するように構成されていることを特徴とする感知器ベース。
【請求項2】
前記短絡部材には、前記底板の表面からの高さの異なる2つの突出部が設けられ、
前記周壁の内側に、前記短絡部材を誘導するガイド構造が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の感知器ベース。
【請求項3】
前記周壁は、外周壁および該外周壁の内側に所定の間隔を有して形成された内側壁であり、
前記複数の接続端子はそれぞれ前記内側壁の近傍まで延設され、
前記短絡部材は、円弧状をなし、前記内側壁の内周面に沿って移動可能に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の感知器ベース。
【請求項4】
前記短絡部材は、本体部が短冊状をなし、前記本体部には移動方向に細長いスリットが形成され、
前記底板には、前記スリットに係合可能に爪を有する係止片が前記本体部と平行に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の感知器ベース。
【請求項5】
前記係止片は、前記爪が前記内側壁の内周面に向き合うように形成され、
前記短絡部材の側面には、前記内側壁の内周面に接触する突部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の感知器ベース。
【請求項6】
前記内側壁の内周面の所定位置には、前記短絡部材の側面の前記突部を前記内側壁の高さ方向に誘導可能な溝が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の感知器ベース。
【請求項7】
前記内側壁の内側には、異なる接続端子間に対応して前記ガイド構造が複数設けられ、前記短絡部材は複数の前記ガイド構造のいずれか一つに選択的に配設されていることを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載の感知器ベース。
【請求項8】
前記接続端子は板状の導電材で構成され、
前記短絡部材の両端の前記接触部は、それぞれ前記接続端子を上下から挟むようにして接触する一対の湾曲片により形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の感知器ベース。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の感知器ベースと、前記感知器ベースに結合された感知器とからなる感知装置であって、
前記感知器のケースの底面には、前記複数の接続端子のそれぞれに接触可能な複数の外部端子と、前記短絡部材と対向し前記2つの突出部の間に位置しかつ感知器と感知器ベースとを嵌合させた状態で回転させた際に前記2つの突出部の少なくとも1つと干渉可能な高さを有する突起が設けられていることを特徴とする感知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火や煙等が発生する火災等の異常の感知を行う感知器を天井面や壁面に取り付けるための感知器ベースおよび感知器ベースと感知器(煙感知器、熱感知器、赤外線検知器等)とからなる感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感知器は、建物の天井面等に設置された感知器ベースに着脱可能に取り付けられるように構成されており、感知器ベースは天井裏等に敷設された感知器回線と呼ばれる配線を介して火災監視室等に設置されている受信機に接続されている。1つの感知器回線には、複数の感知器ベースが接続され、各感知器ベースにそれぞれ火災感知器が装着される。
一般に、建物内への感知器回線の敷設および感知器ベースの設置が終了した際には、回線の敷設が正しく行われているか確認するための導通検査が実施されている。感知器回線の導通試験は、感知器ベースに感知器を取り付ける前の時点で、各感知器ベースにおいてプラス側またはマイナス側の電源入出力端子間を導通状態にしておいて、回線終端の感知器ベースにて、プラス側とマイナス側の電源端子間の電圧又は電流をテスタ等により測定することで行われる。
【0003】
従来、感知器を取り付ける前の時点で、各感知器ベースにおいてプラス側またはマイナス側の一対の電源入出力端子間を導通状態にできるようにするため、同極性の端子間を短絡用線状ばねによって電気的に接続し回線の検査終了後に短絡用線状ばねを外す作業を簡単に行えるようにした感知器ベースに関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
また、導通したい端子間に円弧状金属片を設けて、この円弧状金属片をスライドさせることで一対の端子間を電気的に導通したり遮断したりすることができるようにした感知器ベースに関する発明が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平05-303692号公報
【文献】英国特許出願公開第2396752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の感知器ベースは、感知器回線の敷設後に行なわれる導通検査の際に、各感知器ベースの同極性端子間に短絡用線状ばねの端部を挿入して接続し、検査終了後に短絡用線状ばねを外す作業が必要である。また、特許文献2の感知器ベースにおいても、導通したい端子間に設けられた短絡用の円弧状金属片によって電気的な導通と遮断を行うが、円弧状金属片をスライドさせる操作は指(人手)で行う必要がある。
そのため、特許文献1と2のいずれの感知器ベースも、導通検査の際における所定の端子間の短絡手段の導通/遮断の設定作業が面倒であるとともに、短絡手段の導通/遮断設定作業が作業者に任されているため、設定ミスが起きるおそれがあるという課題がある。
【0006】
また、感知器には、感知器回線毎に複数の感知器をまとめた単位で監視されるタイプと、感知器回線に接続された複数の感知器が個別アドレスで個別に管理されるタイプがある。
具体的には、感知器回線毎に複数の感知器をまとめた単位で監視を行うシステムに使用されるコンベンショナル型と呼ばれる感知器の場合、感知器回線に接続される感知器が1つでも感知器ベースから外れた場合には、これを検知して、アラームを出すようにすることが望まれる。そのため、図11Aに示すように、感知器回線敷設後の導通検査の際に、感知器ベースDBにおいて短絡手段によって設定された導通状態「A」を、感知器の取付けで遮断状態「B」にし、感知器が外れてもそのまま遮断状態「C」を維持することが望まれる。
なお、感知器の取付けによって感知器ベースDB内でマイナス電源入力端子6とマイナス電源出力端子1との間が電気的に遮断状態にされても、感知器の内部の電源ラインを介して端子6と端子1は導通状態となる。これにより、同一感知器回線に接続されている隣接の感知器へ電源(電力)を伝達することかできる。
【0007】
一方、1つの感知器回線に接続された複数の感知器が個別アドレスで管理されるシステムに使用されるアナログ型と呼ばれる感知器の場合、感知器が感知器ベースから取り外されたとしても、取り外された感知器は通信が不能になることで特定可能である。よって、他の感知器は感知器回線を介して接続された受信機側で適切に管理することができるので、感知器回線としては監視状態を維持することが望まれる。そのため、図11Bに示すように、感知器回線敷設後の導通検査の際に、感知器ベースDBにおいて短絡手段によって設定された導通状態「A」を、感知器の取付けで遮断状態「B」にし、感知器が外れると導通状態「C」に切り替わることが望まれる。
しかしながら、特許文献1と2のいずれの感知器ベースも、短絡手段の設定は作業者の判断に任されているため、感知器を取り外した場合に、短絡手段の設定ミスが起きるおそれがあるという課題がある。
【0008】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、感知器回線敷設後の導通検査後に感知器のタイプ(種類)に応じた所定の端子間の短絡手段の導通/遮断の設定作業が簡単に行える感知器ベースおよび感知装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、感知器回線敷設後の導通検査後に感知器のタイプ(種類)に応じた所定の端子間の短絡手段の導通/遮断の設定作業の際に設定ミスが起きるのを防止することができる感知器ベースおよび感知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は、
円形状をなす底板と、前記底板の周縁部に沿って設けられた周壁と、前記底板上に円周方向に所定の間隔をおいて配設された複数の接続端子と、を備え、前記複数の接続端子のそれぞれと接触可能な複数の外部端子を備えた感知器を取り付け可能に構成された感知器ベースにおいて、
前記複数の接続端子のいずれか2つの接続端子間に、両端にそれぞれ前記2つの接続端子と接触可能な一対の接触部を有し所定方向へ往復移動可能に配設された短絡部材を備え、
前記短絡部材には、高さの異なる2つの突出部が設けられ、
前記2つの突出部のいずれか一方の突出部に作用する力によって前記短絡部材が移動範囲の一方の側に移動されると両端の前記接触部は対応する2つの前記接続端子に接触され、
前記2つの突出部のうち他方の突出部に作用する力によって前記短絡部材が前記移動範囲の他方の側に移動されると両端の前記接触部の少なくとも一方は対応する前記接続端子から離反するように構成したものである。
【0010】
上記のような構成を有する感知器ベースによれば、いずれか2つの接続端子間に、短絡部材が往復移動可能に配設されているため、短絡部材が移動されることで、対応する2つの接続端子間が電気的な導通状態または非導通状態に遷移される。また、短絡部材には、高さの異なる2つの突出部が設けられているため、これら高さの異なる突出部を利用して、短絡部材を双方向へ移動させる仕組みと、一方の側へのみ移動させる仕組みを設けることができる。
【0011】
ここで、前記短絡部材には、前記底板の表面からの高さの異なる2つの突出部が設けられ、前記周壁の内側に、前記短絡部材を誘導するガイド構造が設けられている。
かかる構成によれば、短絡部材には底板の表面からの高さの異なる2つの突出部が設けられているため、当該感知器ベースに上記2つの突出部と交差可能な突起を設けた場合に、他の部品や部位との干渉を回避し易くなる。また、ガイド構造によって短絡部材を安定した移動させることができる。
【0012】
また、前記周壁は、外周壁および該外周壁の内側に所定の間隔を有して形成された内側壁であり、
前記複数の接続端子はそれぞれ前記内側壁の近傍まで延設され、
前記短絡部材は、円弧状をなし、前記内側壁の内周面に沿って移動可能に配設されているように構成する。
かかる構成によれば、内側壁を利用して短絡部材を案内して移動させるガイド構造を実現することができるとともに、外周壁と内側壁とで、感知器ベースに結合される感知器のケースとの嵌合部を構成することができる。
【0013】
さらに、前記短絡部材は、本体部が短冊状をなし、前記本体部には移動方向に細長いスリットが形成され、
前記底板には、前記スリットに係合可能に爪を有する係止片が前記本体部と平行に設けられているようにする。
かかる構成によれば、係止片によって短絡部材が感知器ベースから抜け出さないようにすることができる。
【0014】
さらに、前記係止片は、前記爪が前記内側壁の内周面に向き合うように形成され、
前記短絡部材の側面には、前記内側壁の内周面に接触する突部が設けられているように構成する。
かかる構成によれば、短絡部材の側面に設けられた突部が短絡部材を係止片の側へ押すため、短絡部材のスリットと係止片の爪との係合が外れにくくすることができる。
【0015】
また、前記内側壁の内周面の所定位置には、前記短絡部材の側面の前記突部を前記内側壁の高さ方向に誘導可能な溝が形成されているようにする。
かかる構成によれば、短絡部材を所定の部位に正確に位置決めした状態で、容易に配設することができる。
【0016】
また、前記内側壁の内側には、異なる接続端子間に対応して前記ガイド構造が複数設けられ、前記短絡部材は複数の前記ガイド構造のいずれか一つに選択的に配設されているようにする。
かかる構成によれば、短絡部材を配設したい2つの接続端子間が異なる製品に対して、感知器ベースを共通に使用することができ、コストダウンを図ることができる。
【0017】
また、前記接続端子は板状の導電材で構成され、
前記短絡部材の両端の前記接触部は、それぞれ前記接続端子を上下から挟むようにして接触する一対の湾曲片により形成されているようにする。
かかる構成によれば、短絡部材と接続端子との間の接触面を増やして、電気的な導通状態を良好にすることができる。
【0018】
本出願の他の発明は、上記のような構成を有する感知器ベースと、前記感知器ベースに結合された感知器とからなる感知装置であって、
前記感知器のケースの底面には、前記複数の接続端子のそれぞれに接触可能な複数の外部端子と、前記短絡部材と対向し前記2つの突出部の間に位置しかつ感知器と感知器ベースとを嵌合させた状態で回転させた際に前記2つの突出部の少なくとも1つと干渉可能な高さを有する突起が設けられているように構成したものである。
上記のような構成を有する感知装置によれば、感知器を感知器ベースに嵌合させて回転させることで、短絡部材を所望の方向へ移動させて、対応する2つの接続端子間を導通状態または非導通状態に遷移させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る感知器ベースおよび感知装置によれば、感知器回線敷設後の導通検査の際における所定の端子間の短絡手段の導通/遮断の設定作業が簡単に行える。また、感知器回線敷設後の導通検査の際における所定の端子間の短絡手段の導通/遮断の設定作業の際に設定ミスが起きるのを防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る感知器ベースの一実施形態の前面側の構造を示す斜視図である。
図2】実施形態の感知器ベースの背面側の構造を示す斜視図である。
図3】実施形態の感知器ベースの第1のビス挿通用スリットの詳細を示す部分拡大底面図である。
図4】実施形態の感知器ベースの第2のビス挿通用スリットの詳細を示す部分拡大斜視図である。
図5A】実施形態の感知器ベースを構成する短絡片の具体例を示す斜視図である。
図5B図5Aに示す短絡片を他の方向から見た斜視図である。
図6A】短絡片を感知器ベース内に配設した状態を示す部分拡大斜視図である。
図6B】短絡片と接続端子との接続状態を示す部分拡大斜視図である。
図6C】短絡片を感知器ベース内に配設した状態を示す要部断面図である。
図7A】短絡片と感知器側の高さの高い突起との関係を示す部分拡大斜視図である。
図7B】短絡片と感知器側の高さの高い突起との関係を示す部分拡大斜視図である。
図8A】短絡片と感知器側の高さの低い突起との関係を示す部分拡大斜視図である。
図8B】短絡片と感知器側の高さの低い突起との関係を示す部分拡大斜視図である。
図9A】感知器の本体ケースの底面の構造を示す斜視図である。
図9B】他の種類の感知器の本体ケースの底面の構造を示す斜視図である。
図10A】実施形態の感知器ベースの接続端子の端子番号表示部の詳細を示す部分拡大斜視図である。
図10B図10Aに示す端子番号表示部を反対側から見た斜視図である。
図11A】コンベンショナル型の感知器を使用する感知器回線における感知器ベースの端子間接続状態の遷移の様子を示す回路図である。
図11B】アナログ型の感知器を使用する感知器回線における感知器ベースの端子間接続状態の遷移の様子を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る感知器ベースの実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の感知器ベース10の前面側の構造を示す斜視図、図2はその背面側の構造を示す斜視図である。
【0022】
感知器ベース10は、一般に背面側を上方に向け、正面側を下方に向けた状態で建物の天井面に固定設置され、正面側に感知器が取り付けられる。また、感知器ベースは、検知対象のエリア内の複数の感知器を集中的に管理する図示しない受信機に接続され、感知器が火炎等のイベントを検出すると、感知器からの検出信号を感知器ベースに設けられている端子および端子に接続された配線(感知器回線)を介して受信機へ通知する。
なお、上記感知器ベースに取り付けられる感知器は、サーミスタを備えた熱感知器、光電素子を備えた煙感知器、赤外線センサを備えた炎感知器などどのような検知方式の感知器であっても良い。
【0023】
本実施形態の感知器ベース10は、合成樹脂で形成されており、図1に示されているように、高さの小さい有底円筒状をなすベース本体11と、該ベース本体11の内側の円形状をなす底板11a上に放射状に並んで配設された接続端子12A~12Fと、接続端子12A~12Fを上記底板11a上に固定するためのビス13A~13Fと、配線の芯線を端子12A~12Fに電気的に接続するためのビス14A~14Fおよびセフティワッシャ15A~15Fを備える。
【0024】
上記接続端子12A~12Fは、それぞれ反L字状の形状を有しており、短い方の辺と長い方の辺との交差部に上記ビス13A~13Fが挿通される挿通孔が形成され、短い方の辺に上記ビス14A~14Fが挿通される挿通孔が形成されている。
上記底板11aの周囲には外周壁11bが設けられ、この外周壁11bの内側には、外周壁11bと僅かな隙間を有して同一高さの内側壁11cが形成されており、外周壁11bと内側壁11cとの間に、感知器のケースの底部に設けられている円形状の壁体が入ることで、ベース本体11に感知器のケースが嵌合されるように構成されている。
【0025】
また、ベース本体11の底板11a上には、上記内側壁11cよりも高さの低い円弧状の端子支持用リブ11e1,11e2が形成されており、この端子支持用リブ11e1,11e2に、上記接続端子12A~12Fの長い方の辺が接触するように接続端子12A~12Fが配設されている。これにより、接続端子12A~12Fの長い方の辺とベース本体11の底板11aの内表面との間に隙間が形成され、これらの隙間に感知器側の端子22A~22F(図9参照)が入り込んで接触し、電気的な接続がなされるように構成されている。(以上では6本の端子22A~22Fを持つ例を示しているが、感知器として利用しない端子、例えば端子22Dを利用しない場合は、その端子自体を設置しなくてもよい。)
【0026】
さらに、図2に示されているように、ベース本体11の底板11aの中央には、天井側から延びてくる配線を通過させる円形の開口11fが形成されている。また、底板11aには、当該ベース本体11の設置場所(天井面)に予め頭部が下(床面)を向いた状態で設けられている2つのビスの首部が挿通可能なスリット11g1,11g2が開口11fを挟んで、それぞれベース本体の径方向に延びるように形成されている。
なお、スリット11g1,11g2は、上記底板11aの内表面よりも一段低い位置に形成されており、上記スリット11g1,11g2の幅は、当該ベース本体11を天井面に固定するためのビスの頭部の径よりも小さくかつビスの首部の径よりも大きく設定されている。
【0027】
また、スリット11g1,11g2のうちスリット11g1は、図3に拡大して示されているように、その外側端部にて略直角に曲がり、そこに当該ベース本体11を天井面に固定するためのビスの頭部よりも若干径の大きなビス挿通孔11hが形成されている。
他方のスリット11g2の内側端部には、図4に拡大して示されているように、上記ビスの頭部を通過させることができる大きさの入り口を形成する切欠き部11iが設けられている。そして、この切欠き部11iに、ビスの頭部を頭頂面が底板11aの裏面に接触するようにして嵌め込まれると、ビスの首部がスリット11g2に沿って移動することが可能になっている。
【0028】
従って、予め天井面のベース設置位置に頭部が下を向いた状態で、所定の間隔をおいて設けられている2本のビスの頭部に、上記ビス挿通孔11hと入り口部(切欠き部11i)を一致させるように感知器ベース10を天井面に接合する。それから、入り口部(11i)を中心にして感知器ベース10を10度ほど回転させて、ビス挿通孔11h側のビスをスリット11g1へ相対的に移動させた後、スリット11g1,11g2の延設方向へ感知器ベース10を移動させる。すると、スリット11g1,11g2に沿って上記2本のビスの首部が相対的にスライドすることによって、感知器ベース10が正規位置にセットされる。その状態で2本のビスを回して締め付けることによって、感知器ベース10が天井面に固定される。
【0029】
上記のように、本実施形態の感知器ベース10は、前もって天井面等のベース設置位置に所定の間隔をおいて2本のビスを取り付けておいて、これらのビスに対して感知器ベース10のビス挿通孔11hと入り口部(11i)を合わせてスライドさせてからビスを締め付けることによって、所定位置に設置するように構成されている。そのため、感知器ベース10を先にベース設置位置に接合した状態にして、後からビスを感知器ベースに設けられているビス穴に通して締め付ける設置方法に比べて、作業効率を向上させることができる。また、感知器ベース10を交換したい場合には、ビスを外す必要がなく、緩めるだけで感知器ベース10を外し他の感知器ベースを取り付けることができるため、短時間に作業を終了することができる。
【0030】
さらに、図1に示されているように、上記接続端子12Eと12Fとの間の内側壁11cの内周面には、端子12E-12F間を電気的に接続するための円弧状の短絡片16が内周面に沿ってスライド可能に配設されている。上記短絡片16は、板バネに使用されるような板状の金属材料を打ち抜き、折り曲げることで形成されている。
また、本実施形態の感知器ベース10は、特に限定されるものでないが、接続端子12Eと12Fとの間の他に、接続端子12Fと12Aとの間の内側壁11cの内周面にも、上記短絡片16を周面に沿ってスライド可能に配設するための構造が設けられている。なお、本実施形態においては、接続端子12Fと12Aとの間に短絡片16が配設された場合、接続端子12Eと12Fとの間には短絡片16が配設されることはない。
【0031】
図5A図5Bには上記短絡片16の詳細な形状が、図6A図6Bにはこの短絡片16を内側壁11cの内周に配設した状態および短絡片16と接続端子12E,12Fとの結合状態の詳細が、また図6Cには短絡片16の抜け止め構造の例が示されている。
図5に示されているように、短絡片16は、横長プレート状の本体部16aと、本体部16aの両端にそれぞれ設けられた接触部16bと、本体部16aの上辺の中央より少し離れた位置より上方へ突出してから内側へ曲がった折曲片16cと、本体部16aの上辺の中央より上記とは逆の方へ少し離れた位置より上方へ突出してから内側へ曲がり更に先端が下方へ曲った折曲片16dとを備えている。なお、折曲片16dは、折曲片16cよりも高さが低くなるように形成されている。
【0032】
また、短絡片16の本体部16aは短冊状をなし、この本体部16aには、後述の抜け止め片11j(図6C参照)が係合する移動方向に細長いスリット16eが形成されている。本体部16aの両端の接触部16bは、両側方へ延びる一対の細長い板状片が、一部が互いに近づくように湾曲されており、最も近づいている部分の間隔が、接続端子12A~12Fの厚さよりも小さくなるように形成されている。接続端子12A~12Fは、短絡片16が長手方向へ移動されると、上記接触部16bの間を一方の側から他方の画へ通過することが可能になっている。
さらに、本体部16aの両端部の外側面には、ポンチで変形加工された一対の突部16fが形成されている。
【0033】
図6Aには、短絡片16を2つの接続端子12Eと12Fとの間に配設した状態が示されている。なお、図6Aの状態においては、短絡片16の接触部16bが接続端子12Eから外れていて接触していないので、接続端子12E-12F間は電気的に非導通である。この状態から短絡片16を接続端子12Eの方へスライドさせると、図6Bに示されているように、短絡片16の両端の接触部16bが接続端子12Eと12Fの先端を上下から挟み込む状態になるので、接続端子12E-12F間は電気的に導通された状態になる。
なお、短絡片16の両端の接触部16bは接続端子12Eと接続端子12Fの表面に接触した状態でスライド移動することになり、接触面のクリーニング効果が見込め、良好な電気的接触状態を維持できる。
【0034】
感知器ベース10には、図6Aに示すように、接続端子12Eと12Fとの間であって、図6Cに示すように、内側壁11cと端子支持用リブ11eとの間に、上端に外向きの爪を有する抜け止め片11jが底板11aから上方へ向けて立設されている。そして、短絡片16は、中心のスリット16eが抜け止め片11jの爪に係合した状態で内側壁11cの内周面に沿って配設されている。
そのため、感知器ベース10を逆さにしたり衝撃を与えたりしても、短絡片16が感知器ベース10内から抜け落ちないように保持されることとなる。しかも、本体部16aの両端部の外側面に形成された一対の突部16fが、短絡片16全体を内側へ押圧するように作用するため、スリット16eに抜け止め片11jがしっかりと進入して、短絡片16と抜け止め片11jとの係合が外れにくくなる。
【0035】
また、本実施形態においては、図6Aに示されているように、内側壁11cの内周面の所定部位に、前記突部16fの径とほぼ同じ幅を有し上方へ向かうほど幅が広くなるように形成された誘導溝11kが設けられている。これにより、短絡片16を内側壁11cの内側へ挿入する際に、突部16fを誘導溝11kの上部に合わせて下方へ押し込むことで、所定の取り付け位置に位置合わせされて、収納されるようになる。つまり、突部16fは挿入時に短絡片16を誘導する機能と、挿入後に短絡片16を内側へ押圧する機能とを有する。
【0036】
さらに、内側壁11cの内周面の前記抜け止め片11jと対向する部位に、抜け止め片11jの幅よりも若干幅の広い溝11mが形成されている。この溝11mが形成されていることにより、マイナスドライバのような工具の先端を短絡片16と抜け止め片11jとの間に差し込んで、スリット16eに引っ掛けて持ち上げることで短絡片16を内側壁11cの内側から容易に外すことができるようになる。さらに、図示しないが、内側壁11cの基部には、短絡片16の下縁が係合するガイド溝が所定長さに形成されており、このガイド溝によって、短絡片16のスライド可能範囲を制限するように構成されている。
【0037】
次に、短絡片16に設けられている折曲片16cと16dの働きと、折曲片16cと16dの高さを変えている理由について説明する。
図7A図7Bには、短絡片16の折曲片16c,16dと感知器の底面の構造が示されている。図7A図7Bにおいて、符号21が付されているのは、上記実施形態の感知器ベースに結合される感知器の本体ケースの円形状をなす底板の一部である。この底板21の、前記感知器ベースに感知器の本体ケースを結合させた際に前記短絡片16と対向しかつ短絡片16の折曲片16cと16dとの間に位置する部位に、側面視で逆L字状をなす突起21aが形成されている。
【0038】
突起21aは、その先端(図7A図7Bでは下端)が短絡片16の折曲片16c,16dと交差する位置まで達するように高さが設定されている。これにより、図7Aにおいて、底板21を右方向へ移動(回動)させると、突起21aの先端の側部が折曲片16cに接触して、短絡片16が一緒に移動する。一方、底板21を左方向へ移動(回動)させると、図7Bに示されているように、突起21aの先端の側部が折曲片16dに接触して、短絡片16が一緒に移動することとなる。
なお、突起21aの形状を逆L字状としているのは、突起21aの先端に力が作用した際に突起21aの基部に生じる曲げ応力に対する強度を高めるためである。従って、突起21aの形状は側面視逆L字状に限定されず、先端が基部側と同じ幅の矩形状すなわち全体が直方体をなすものであっても良い。
【0039】
本実施形態においては、感知器ベース10に感知器の本体ケースを結合させる際および両者を分離する際には、感知器の本体ケースを円周方向に所定角度(約10°)だけ回す操作が行われる構造になっている。そのため、感知器ベース10に感知器の本体ケースを結合させるために、感知器の本体ケースを感知器ベース10に対して所定の角度で位置合わせをして嵌合させてから、本体ケースを回転させると、その回転操作によって、短絡片16が移動される。すると、図6Aに示されているように、短絡片16の接触部16bが接続端子12E,12Fから外れて、接続端子12E-12F間が電気的に非導通の状態に設定される。
【0040】
一方、感知器ベース10から感知器の本体ケースを分離させるために、感知器の本体ケースを上記と逆の方向へ回転させると、その回転操作によって、短絡片16が移動される。すると、図6Bに示されているように、短絡片16の接触部16bが接続端子12E,12Fを挟持して接触することで、接続端子12E-12F間が電気的に導通の状態に設定される。なお、折曲片16cと16dとの位置関係を逆にすることによって、感知器の本体ケースの回転操作の方向と非導通の状態または導通の状態の設定は、上記とは逆となるようにすることも可能である。
【0041】
図8A図8Bには、突起21aの高さを図7A図7Bに比べて低くして、突起21aの先端が短絡片16の折曲片16cとは交差するものの、折曲片16dとは交差しない高さになるように設定した場合における突起21aと短絡片16の折曲片16c,16dとの関係が示されている。
突起21aの高さを上記のように設定した場合、感知器ベース10に感知器の本体ケースを結合させるために、感知器の本体ケースを感知器ベース10に対して回転させると、その回転操作によって、図8Aに示されているように、突起21aが折曲片16cに接触して短絡片16が一緒に移動される。すると、図6Aに示されているように、短絡片16の接触部16bが接続端子12E,12Fから外れて、接続端子12E-12F間が電気的に非導通の状態に設定される。
【0042】
一方、感知器ベース10から感知器の本体ケースを分離させるために、感知器の本体ケースを上記と逆の方向へ回転させると、その回転操作によって、短絡片16が移動される。すると、図8Bに示されているように、突起21aが折曲片16dに接触せずにその上を素通りすることとなり、短絡片16は移動されないこととなる。そのため、短絡片16の接触部16bが接続端子12E,12Fから外れたままとなり、接続端子12E-12F間が電気的に非導通の状態に維持される。
【0043】
本実施形態の感知器ベース10は上記のような機能を有するため、感知器のタイプ(種類)に応じて、感知器の本体ケースの底部に高さの高い突起21aを設けるか、高さの低い突起21aを設けるかを選択して形成することによって、感知器を感知器ベース10から外した後の接続端子12E-12F間の電気的接続状態(導通状態または非導通状態)を変えることができるという利点がある。
【0044】
図9Aには、感知器回線毎に複数の感知器をまとめた単位で監視を行うシステムに使用されるコンベンショナル型と呼ばれる感知器の本体ケースの底部の構成が示されている。また、図9Bには、1つの感知器回線に接続された複数の感知器が個別アドレスで管理されるシステムに使用されるアナログ型と呼ばれる感知器の本体ケースの底部の構成が示されている。
【0045】
図9A図9Bに示されているように、それぞれ感知器の本体ケース20の底板21には、前記実施形態の感知器ベース10に設けられている接続端子12A~12Fに接続される外部端子22A~22Fが設けられている。外部端子22A~22Fは、互いに近づく方向へ折曲された接触片を有する内側端子と外側端子とを備えており、接触片同士が重なるように配置され、内側端子と外側端子の接触片間に感知器ベース10の接続端子12E-12Fが挿入されることで、感知器と感知器ベースの対応する端子間が電気的に接続される。
【0046】
また、底板21の周縁部には、感知器ベース10の周縁部の外周壁11bと内側壁11cとの隙間に入る周壁部23が設けられており、この周壁部23を感知器ベース10の外周壁11bと内側壁11cとの隙間に嵌合させ、回転させることによって、外部端子22A~22Fが接続端子12E-12Fと底板11aとの間に入り込むことで、感知器が感知器ベースに結合されると同時に、対応する端子間が電気的に接続される。
なお、図9Bのアナログ型感知器が結合される感知器ベース10においては、図1に示すように、接続端子12E-12F間に短絡片16が配設され、図9Aのコンベンショナル型感知器が結合される感知器ベース10においては、図1の接続端子12F-12A間に短絡片16が配設される。
【0047】
図9Aに示されている本体ケース20の底板21には、外部端子22A(第1端子)の近傍に高さの低い突起21aが設けられ、図9Bに示されている本体ケース20の底板21には、外部端子22F(第6端子)の近傍に高さの高い突起21aが設けられている。そのため、いずれの感知器を感知器ベース10に結合しても、結合のために感知器の本体ケース20を回した際に、図6Aに示されているように、接触部16bが接続端子12F,12Aまたは12E,12Fから外れて、接続端子12F-12A間または12E-12F間が電気的に非導通の状態にされる。
この感知器を感知器ベース10に結合した状態では、感知器内の配線で接続がなされるため、感知器回線として断線はしない。
【0048】
感知器を感知器ベース10から分離する際には、高さの低い突起21aが設けられた図9Aに示されている感知器(コンベンショナル型の感知器)を、感知器ベース10から分離するために回転させると、突起21aが折曲片16dに接触せずにその上を素通りするため、短絡片16は移動されず、短絡片16の接触部16bが接続端子12F,12Aから外れたままとなり、接続端子12F-12A間が電気的に非導通の状態に維持される。
なお、図9Aに示されている感知器(コンベンショナル型の感知器)においては、接続端子12Fがマイナスの電源入力端子、接続端子12Aがマイナスの電源出力端子とされる。そのため、接続端子12F-12A間が電気的に非導通の状態にされると、感知器ベース10が接続されている回線の電圧を測定することで、感知器が外れていること(感知器回線が断線していること)を発見することができる。
【0049】
一方、高さの高い突起21aが設けられた図9Bに示されている感知器(アナログ型の感知器)を感知器ベース10から分離するために回転させると、突起21aが折曲片16dに接触して短絡片16を移動させるため、短絡片16の接触部16bが接続端子12E,12Fに接触され、接続端子12E-12F間が電気的に導通の状態に戻ることとなる。
なお、図9Bに示されている感知器(アナログ型の感知器)においては、接続端子12Fがマイナスの電源入力端子、接続端子12Eがマイナスの電源出力端子とされる。そのため、接続端子12E-12F間が電気的に導通の状態にされることで、隣接する他の感知器へ電源が伝達され、いずれかの感知器ベース10から感知器が外されたとしても残りの感知器は正常に動作して、異常を検知した場合には感知器回線を介して異常の発生を受信器が感知することができる。
【0050】
ここで、マイナスの電源入力端子やマイナスの電源出力端子として使用される接続端子12F,12Aまたは12E,12F以外の接続端子12B~12Eまたは12A~12Dの用途の例を、以下のリスト1およびリスト2にそれぞれ示す。このうち、リスト1は、接続端子12Fと12Aをマイナスの電源入力端子とマイナスの電源出力端子とするコンベンショナル型感知器の端子使用例を示す。また、リスト2は、接続端子12Eと12Fをマイナスの電源入力端子とマイナスの電源出力端子とするアナログ型感知器の端子使用例を示す。
【0051】
リスト1(コンベンショナル型感知器の使用例)
端子1:マイナス(-)電源の出力端子
端子2:未使用
端子3:プラス(+)電源の入出力端子
端子4:未使用
端子5:外部表示灯の制御端子
端子6:マイナス(-)電源の入力端子
リスト2(アナログ型感知器の使用例)
端子1:プラス(+)電源の入出力端子
端子2:リレー制御用端子
端子3:外部表示灯の制御端子
端子4:未使用
端子5:マイナス(-)電源の出力端子
端子6:マイナス(-)電源の入力端子
なお、上記リストに示されている使用例は一例であって、これに限定されるものでない。
例えば、感知器と感知器ベースの端子数を異ならせてもよい。
具体的には、上記のリスト2(アナログ型感知器の使用例)では、感知器側の端子4は、未使用であり端子金具を設けないようにすることで、部品点数の削減ができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の感知器ベース10と突起21aを有する感知器とからなる感知装置によれば、感知器の底板21に設ける突起21aの高さを、感知器のタイプ(種類)に応じて変える。この感知器のタイプ(種類)に対応した突起21aの高さの違いにより感知器を感知器ベース10から外した際の感知器ベース10の一対のマイナス電源入出力端子(同極性端子)間の電気的な導通状態を、感知器の取外しに連動させて導通または非導通に設定することができる。
また、感知器ベース10に、短絡片16を設置できる箇所を複数設けておくことで、異なるタイプ(種類)の感知器が接続される検知システムに使用される感知器ベースに対して、部品の共通化を図ることができ、コストダウンが可能になる。さらに、感知器ベース内に短絡片16を設けないことで、突起21aを有していない感知器を接続する感知器ベースとしても使用することができる。
【0053】
図10A図10Bには、本実施形態の感知器ベース10のベース本体11に設けられている端子番号表示部の具体例が示されている。
本実施形態の感知器ベースにおいては、ベース本体11の底板11aの接続端子12A~12Fの近傍に端子番号を表わす数字が、底板11aを貫通する中抜き数字として記されている。図10Aには、そのうち接続端子12Bの近傍に記された端子番号「2」が示されている。また、図示されているように、端子番号を表わす中抜き数字は、底板11aに設けられた段差部11nに形成されている。
【0054】
従来品にも接続端子12A~12Fの近傍に端子番号を表わす数字が記されているものがあるが、浮き出し数字として記されているものが一般的であった、このような浮き出し数字は、ベース本体と同一色であるため読み取りにくいという欠点がある。そこで、浮き出し数字の表面をベース本体の色と異なる色に着色することも考えられるが、工程が増えるためコストアップを招くという課題がある。これに対し、上記のように中抜き数字として記されると、合成樹脂で感知器ベースを形成する際に数字の表記を同時に形成することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0055】
また、図10Aは、感知器ベースを天井面に設置した際に下側となる面を表わしているが、端子番号を表わす数字が底板11aを貫通する中抜き数字であると、ベース本体11の上面側に、結露により生じた水が天井面を伝わって入った場合、中抜き数字の部分から下方の感知器へ水が流れ落ちて感知器の機能が低下するおそれがある。しかも、単に底板11aに中抜き数字を設けただけでは、水滴が落ちる部位が安定しないことになる。
【0056】
これに対し、上記のように、端子番号を表わす中抜き数字が段差部11nに形成されていると、感知器へ水が流れ落ちる箇所を段差部11nの縁に限定することができる。そのため、例えば感知器ケースの段差部11nに対応する部位に水抜き穴を設け、侵入した水を速やかに排出させることで、感知器の機能が低下するのを防止することができる。
さらに、本実施形態の感知器ベースにおいては、ベース本体11の図10Aと反対側の面を表わす図10Bに示されているように、中抜き数字の周囲にリブ11pが形成されている。そのため、ベース本体11の上面側に天井より侵入した水をリブ11pでせき止め、中抜き数字の貫通部分から下方の感知器へ水が流れ落ちるのを防止することができる。
【0057】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、感知器ベースに6個の接続端子を設けたものを示したが、接続端子の数は6個に限定されるものでない。
また、上記実施形態では、一対のマイナス電源入出力端子(同極性端子)間を非導通状態に設定する際に、短絡片16の両端の接触部16bが対応する接続端子からほぼ同時に離反するように構成されているが、いずれか一方の接触部16bのみが対応する接続端子から離反されるように構成されていても良い。
【0058】
さらに、上記実施形態では、短絡片16をベース本体11の内側壁11cの内周面に沿って移動するように構成されているが、ベース本体11に短絡片16のガイド部材を設けるなどして、短絡片16を直線的に移動させるように構成しても良い。
また、上記実施形態では、短絡片16の上部に高さの異なる折曲片16c,16dを設けているが、短絡片16の側面に水平方向に高さの異なる2つの折曲片を設け、感知器の本体ケースには上記折曲片の少なくとも一方と交差可能な水平方向に長さの異なる突起21aを設けるようにしても良い。
また、上記実施形態では、感知器ベースの底板の周縁部に沿って外周壁と内側壁とが設けられた2重壁構造が示されているが1つの周壁が形成されている構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、火炎感知を行う感知器に限定されず有害ガスを検知する感知器その他の感知器を建物に取り付けるための感知器ベースおよび感知装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 感知器ベース
11 ベース本体
11a 底板
11b 外周壁
11c 内側壁
11e 端子支持用リブ
11j 係止片
12A~12F 接続端子
13A~13F 固定用ビス
14A~14F 配線接続用ビス
15A~15F セフティワッシャ
16 短絡片
16a 本体部
16b 接触部
16c 折曲片
16d 折曲片
16e ガイド用スリット
16f 突部
20 感知器の本体ケース
21 底板
21a 突起
22A~22F 外部端子
23 周壁部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B