(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】γ-アミノ酪酸及びその類似体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 227/22 20060101AFI20240214BHJP
C07C 229/08 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C07C227/22
C07C229/08
(21)【出願番号】P 2022548730
(86)(22)【出願日】2021-02-13
(86)【国際出願番号】 IN2021050141
(87)【国際公開番号】W WO2021161346
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202011006475
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】306017184
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レディ,キャダ ラジ
(72)【発明者】
【氏名】パティル,アモル ドゥニャンデブ
(72)【発明者】
【氏名】サバラオ,マッピディ
(72)【発明者】
【氏名】スピニバス,ボダス
(72)【発明者】
【氏名】スクマール,ゲンジ
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセクハール,スリヴァリ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャマナール,セナティ
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-504252(JP,A)
【文献】国際公開第2006/110783(WO,A2)
【文献】特開2017-160158(JP,A)
【文献】国際公開第2007/066828(WO,A1)
【文献】特開2003-128638(JP,A)
【文献】特開2005-112729(JP,A)
【文献】特開2002-241358(JP,A)
【文献】特開平04-211034(JP,A)
【文献】国際公開第2010/061403(WO,A2)
【文献】特表2015-535003(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093411(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/062460(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/141362(WO,A2)
【文献】Organic & Biomolecular Chemistry,2012年,Vol.10,pp.7863-7868
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 227/22
C07C 229/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
(i)式VIの化合物と式VIIのメチルケトン化合物とのマイケル付加反応をアミン塩基及び酸の存在下において0~20℃の温度範囲で0.5~2時間行い、式Vの化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり
、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(ii)式VIIIのオキシアミン化合物を添加して極性溶媒中で30~75℃の温度範囲で1~4時間にわたって塩基性試薬を用いることにより、工程(i)で得られた式Vの化合物にオキシムの半体を付与し、式IVa及びIVbの少なくとも一方の化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり
、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
4はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、又は一つ以上の置換基を有するヘテロアリールであり、E/Zオキシム構成比は2より大きく、最大で20である。)
(iii)非プロトン溶媒中で0~40℃の温度範囲で1~5時間にわたって酸性試薬を用いることにより、工程(ii)で得られた式IVa及びIVbの少なくとも一方の化合物のベックマン転移を行い、式IIIの化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり
、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(iv)極性のプロトン溶媒中で25~120℃の温度範囲で18~30時間にわたって無機塩基を用いることにより、工程(iii)で得られた式IIIの化合物を環化して、式IIの環状アミド中間体化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
(v)極性溶媒中で25~150℃の温度範囲で18~30時間にわたって酸を用いることにより、工程(iv)で得られた式IIの環状アミド中間体化合物を開環して、式Iの化合物を得る工程と、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記アミン塩基は、第2級アミン、第3級アミン、複素環式アミン、それらのカルバメート及び尿素誘導体からなる群から選択される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記酸は、無機酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記オキシアミンはヒドロキシルアミン塩酸塩である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記塩基性試薬は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸
塩及びそれらの混合物から選択される無機塩基である、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記塩基性試薬は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム及びそれらの混合物から選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記極性溶媒は、水、アルコール、エステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及びそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法の全ての工程は中間体を単離することなく実施される、方法。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記式Iの化合物はγ-アミノ酪酸又はその誘導体である、方法。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記方法は連続法である、方法。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記方法は、キラルなγ-アミノ酪酸誘導体に向かう遺伝毒性のキラル分解剤なしで実施される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの化合物の製造方法に関する。式Iの化合物は、マイケル付加及びベックマン転移法により製造される、γ-アミノ酪酸(BABA、4-アミノ酪酸)、又は、プレガバリン、バクロフェン、3,3-置換GABA誘導体等の類似体である。式Iは以下のように表される。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルから個々に選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3,又は4炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1はHであり、R
2はHである。)
【背景技術】
【0002】
置換されたγ-アミノ酸は、創薬において中心的役割を果たし、臨床的な経路に多数の分子を含むてんかん、神経障害性疼痛、痙攣などのいくつかの医薬品の開発をもたらした。この研究分野における成功率は際立っており、薬物候補として選択的なγ-アミノ酪酸を同定することによる大きな進歩が報告されている。
【0003】
今日まで、選択的なγ-アミノ酪酸、特にプレガバリン、バクロフェン及び関連類似体の合成及び適用に関する複数の方法が、種々のレベルの成功と共に文献に報告されている。本発明者の方法によれば、活性メチレン基とのイソベルアルデヒドのクネーフェナーゲル縮合後に、(シアン基を用いた)マイケル付加、加水分解及び還元により、コア骨格の形成をもたらした。その後、毒性のシアン化カリウムを避けるために、複数の一般的な手順が開発された。ある特許(WO2012093411)は、テトラエステル中間体の加水分解からR-(-)-3-(カルボモイルメチル)-5-メチルヘキサン酸の調製を報告している。
【0004】
次に、DBUの存在下でニトロメタンを1,4-付加反応のためのマイケル供与体として使用した後に、ギ酸アンモニウムPd/Cを用いて還元して3-(アミノメチル)-5-メチルヘキサ-4-エン酸エステルを得て、得られた化合物を加水分解すると、3-(アミノメチル)-5-メチルヘキサ-4-エン酸中間体(US20090137842;US20110144383)が得られた。ある特許(US5616793)によれば、クネーフェナーゲル縮合がエチルイソシアネートを用いて行われた後に、脱カルボキシル化が行われ、キーとなるプレガバリン中間体である3-イソブチルグルタル酸がもたらされた。さらに、ベンジルオキシS-キラルエポキシド(US9422230)、4-メチル吉草酸(US6197819)及びロイシン(CN103833562)等の多様な出発物質から開始されるS-プレガバリンの合成の新規な経路が開発された。また、キラルプレガバリン中間体の合成のため、チオ尿素触媒の存在下におけるニトロアルケンとジエチルマロネートとの不斉マイケル付加が開発された(Tetrahedron、2011、67、636)。再利用可能なポリマー結合相転移触媒が6段階のプレガバリンの調製に使用され、全体収率は54%であった(Organic Process Research & Development、2015、19、1274)。γ-ラクタム及びγ-アミノ酸の合成に向けたアルキルアミンのパラジウム触媒直接C(sp3)-Hカルボニル化が開発され、この方法は、rac-プレガバリンの簡単な全合成に適用された(Organic Letters、2015、17、3698)。また、フロー反応法も、不均一系触媒の存在下で、市販のイソバレルアルデヒド及びマロン酸メチルから開始されるプレガバリンの調製に使用された(European Journal of Organic Chemistry、2017、44、6491)。可視光レドックス触媒によるカルボン酸のラジカルマイケル付加が開発され、この技術は薬剤であるプレガバリンの3段階合成に適用された(JACS、2014、136、10886)。
【0005】
これらの方法及び/又は工程のいくつかは実験室レベルで実用的であるが、そのいくつかは工業的な製造において有用である。報告された方法は、低い原子経済と、より長い時間及びより高い温度を必要とする更なる処理、つまりエネルギー負荷とをもたらした。例えば、金属触媒を用いた水素化におけるシアノ基又はニトロ基の還元、縮合反応等におけるホスホネートの使用が必要である。場合によっては、(i)一酸化炭素を含む金属介在酸化反応、(ii)イソオキサゾール系ニトロ化合物、(iii)ニトロ官能基の触媒的水素化、(iv)ニトロ基の還元のための不均一触媒の使用、(v)シアノ官能基の使用がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、γ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及びその類似体の効率的な製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、γ-アミノ酪酸の多様なライブラリーの合成のため、マイケル付加とベックマン転移法を採用することにより実施される方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、マイケル付加工程中に適切なキラル触媒を使用することにより、いずれかのエナンチオ選択性のキラル誘導を伴うGABA類似体のための方法をもたらす、キラルなγ-アミノ酪酸の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、γ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及びそれらの新規類似体の製造方法を提供する。
【0010】
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
(i)式VIの化合物と式VIIのメチルケトン化合物とのマイケル付加反応を、アミン塩基及び酸の存在下において0~20℃の温度範囲で0.5~2時間行い、式Vの化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(ii)式VIIIのオキシアミン化合物を添加して極性溶媒中で30~75℃の温度範囲で1~4時間にわたって塩基性試薬を用いることにより、工程(i)で得られた式Vの化合物にオキシムの半体を付与し、式IVa及び/又はIVbの化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
4はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、又は一つ以上の置換基を有するヘテロアリールであり、E/Zオキシム構成比は2より大きく、最大で20である。)
(iii)非プロトン溶媒中で0~40℃の温度範囲で1~5時間にわたって酸性試薬を用いることにより、工程(ii)で得られた式IVa及び/又はIVbの化合物のベックマン反応を行い、式IIIの化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(iv)極性のプロトン溶媒中で25~120℃の温度範囲で18~30時間にわたって無機塩基を用いることにより、工程(iii)で得られた式IIIの化合物を環化して、式IIの環状アミド中間体化合物を得る工程と、
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
(v)極性溶媒中で25~150℃の温度範囲で18~30時間にわたって酸を用いることにより、工程(iv)で得られた式IIの環状アミド中間体化合物を開環して、式Iの化合物を得る工程と、
を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態では、アミン塩基は、第2級アミン、第3級アミン、複素環式アミン、それらのカルバメート及び尿素誘導体からなる群から選択される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、酸は、無機酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸(pTSA)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明の別の実施形態では、オキシアミンはヒドロキシルアミン塩酸塩である。
【0014】
本発明の一実施形態では、塩基性試薬は、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム及びそれらの混合物から選択される無機塩基である。
【0015】
本発明の一実施形態では、極性溶媒は、水、アルコール、エステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
本発明の一実施形態では、方法の全ての工程は中間体を分離することなく実施される。
【0017】
本発明の一実施形態では、式Iの化合物はγ-アミノ酪酸又は立体選択的なγ-アミノ酪酸の誘導体(エナンチオマー又はジアステレオマー)である。
【0018】
本発明の別の実施形態では、方法は連続法である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、方法は、キラルなγ-アミノ酪酸誘導体に向かう遺伝毒性のキラル分解剤なしで実施される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、γ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及びその類似体を製造するための効率的で新規な方法を提供する。本発明の方法は、マイケル付加及びベックマン転位を使用して行われ、プレガバリン、バクロフェン及び類似体等のγ-アミノ酪酸誘導体の多様なライブラリーの所望の類似体を高い収率及び純度でもたらし、工業的規模で経済的である新規の方策を提供する。この新たに開発された方法は、式VIの化合物から開始して5段階の反応工程を含み、単純及び容易に大規模作業で再現できる以下の工程:
図1に示されるマイケル付加、オキシム形成、ベックマン転位、塩基媒介環化、及び酸媒介開環を含み、式Iの所望の化合物をもたらす。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
【0022】
図1において、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
4は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、又は1つ以上の置換基を有するヘテロアリールである。
【0023】
本発明の方法は、短い反応時間の計5つの工程において非常に効果的に実施され、γ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及び類似体の工業的規模の生産に最も適した非常に実施可能な方策である。さらに、この方法は、興味深い特性を見出すことができる中間体の大きなライブラリーの生成に最も適している。この方法の第1工程はマイケル付加を含み、基質スクリーニング法を使用することにより多様な官能基化が可能である。一方、これらのマイケル付加物は、オキシアミンでの処理時にオキシム化合物の別のライブラリーを生成するのに有用な中間体として機能し得る。さらに、ベックマン転位は、結果物である転位生成物を高収率で得るために、多様な試薬を使用して実施可能である。次に、塩基媒介環化に続いて酸媒介アミド開環を極性溶媒中で行い、種々の官能基の修飾を有するγ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及び類似体の膨大なライブラリーを生成及び構築することができる。全ての反応工程は、方法の各段階においてそれぞれの反応生成物の精製及び系統的特徴付けを含むため、生産規模に非常に適している。
【0024】
さらに、方法に固有の利点、すなわち均質な反応及び方法の終了時に不純物を除去できる特性のために、この方法は各工程で中間体を単離することなく連続モードで実施するのに非常に適している。
【0025】
図1に示されるように、γ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェン及び中間体の製造のための本発明の方法は、以下のように記載される。この方法は、キーとなる単純な出発物質及び以下の工程を含む反応パラメータを使用する5段階の反応工程を含む最も便利で実行可能な方法である。
(i)方法の第1工程は、式VIの化合物と式VIIのメチルケトン化合物とのマイケル付加反応であり、アミン塩基及び酸の存在下において0~20℃の温度範囲で0.5~2時間反応させることで、式Vの化合物を得る。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(ii)方法の第2工程は、式VIIIのオキシアミン化合物を添加して極性溶媒中で30~75℃の温度範囲で1~4時間にわたって塩基性試薬を用いることにより、工程(i)で得られた式Vの化合物にオキシムの半体を付与し、式IVa及び/又はIVbの化合物を得る(E/Zオキシム構成比は2より大きく、最大で20である)。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
4はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、又は一つ以上の置換基を有するヘテロアリールである。)
(iii)方法の第3工程は、非プロトン溶媒中で0~40℃の温度範囲で1~5時間にわたって酸性試薬を用いることにより、工程(ii)で得られた式IVa及び/又はIVbの化合物のベックマン転移を行い、式IIIの化合物を得る。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHであり、A及びBはCN又はCOORからそれぞれ選択され、RはC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルであり、R
3はC
1-C
6のアルキル又はシクロアルキルである。)
(iv)方法の第4工程は、極性のプロトン溶媒中で25~120℃の温度範囲で18~30時間にわたって無機塩基を用いることにより、式IIIの化合物を環化して、式IIの環状アミド中間体化合物を得る。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子の場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
(v)方法の第5であり最後の工程は、極性溶媒中で25℃の温度範囲で約18時間にわたって酸を用いることにより、式IIの環状アミド中間体化合物を開環して、式Iの化合物を得る。
(式中、X及びYは、H、C
1-C
12の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル又はシクロアルキルからそれぞれ選択され、X及びYは一緒に環Mを形成してもよく、(n=1,2,3又は4個の炭素原子である場合)Mは単環、二環、又は多環であり、R
1及びR
2はHである。)
【0026】
本発明の別の実施形態では、アミン塩基は、第2級アミン、第3級アミン、複素環式アミン、それらのカルバメート及び尿素誘導体からなる群から選択される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、酸は、無機酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
本発明の別の実施形態では、オキシアミンはヒドロキシルアミン塩酸塩である。
【0029】
本発明の一実施形態では、塩基性試薬は、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム及びそれらの混合物から選択される無機塩基である。
【0030】
本発明の一実施形態では、極性溶媒は、水、アルコール、エステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
本発明の一実施形態では、方法の全ての工程は中間体を単離することなく実施される。
【0032】
本発明の別の実施形態では、式Iの化合物はγ-アミノ酪酸又は立体選択的なγ-アミノ酪酸の誘導体(エナンチオマー又はジアステレオマー)である。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、方法は連続法である。
【0034】
本発明の別の実施形態では、方法は連続法である。
【0035】
本発明の別の実施形態では、方法は、キラルなγ-アミノ酪酸誘導体に向かう遺伝毒性のキラル分解剤なしで実施される。
【0036】
以下の実施例は例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0037】
【0038】
工程1
化合物4(式V)の調製:アセトン(200 mL、4 vol、式VII)を10℃で丸底フラスコに入れ、続いてピロリジン(1モル)を同じ温度で添加した。トリフルオロ酢酸(0.1モル)を反応混合物に同じ温度で添加し、その後30分間攪拌した。オレフィン化合物3(50g、1モル、式VI)をアセトンに溶解し、反応混合物に添加し、30分間撹拌した。反応混合物を水(5vol)及び酢酸エチル(5 vol)で希釈し、有機層を分離して、水層を酢酸エチル(2 vol×1)で抽出した。合わせた有機層を1NのHCl(3 vol×2)及び水(5 vol)で洗浄して、有機層を分離し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(3 vol)及び飽和食塩水(5 vol)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後、減圧下で濃縮して粗化合物V(4、57g、純度>95%)を得た。
分子式C15H26O5;1H NMR(500MHz、CDCl3):δ4.21-4.16(m、4H)、3.55-3.52(m、1H)、2.80-2.72(m、2H)、2.50(td、J=8.0、3.0Hz、1H)、2.14(s、3H)、1.58-1.51(m、1H)、1.28-1.24(m、comprising of t、dd、dd、8H)、0.91(d、J=6.6、Hz、3H)、0.89(d、J=6.5、3H);13CNMR(126MHz、CDCl3):δ207.5、169.0、168.7、61.2、61.1、53.9、45.4、41.4、31.3、30.3、25.3、22.7、22.3、14.1(2C);HRMS(ESI):C15H26O5Na(M+H)+のm/z計算値:309.1678、実測値:309.1679
【0039】
工程1はまた、第2級アミン、第3級アミン、複素環式アミン、それらのカルバメート及び尿素誘導体からなる群から選択される他のアミン塩基と、無機酸、p-トルエンスルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される他の酸とを用いて実施される。
【0040】
工程2
化合物5(式IVa及び/又はIVb)の調製:化合物4(1.0モル)をメタノール(5 vol)が入った丸底フラスコに入れ、外気温でヒドロキシルアミン塩酸塩(1.2モル)を添加し、酢酸ナトリウム(1.6モル)を加えた。反応混合物を65℃に加熱し、2時間撹拌した。反応混合物を減圧下50℃で濃縮し、水(3 vol)及び酢酸エチル(5 vol)で希釈し、室温で15分間撹拌した。層を分離して、水層を酢酸エチル(2 vol×2)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合物5(IVa及び/又はIVb)を得た(50gの化合物4は45.7gの化合物5をもたらした、純度>94%、淡黄色の油)。
分子式C15H27NO5;1H NMR(400MHz、CDCl3):δ4.23-4.16(m、4H)、3.49(d、J=5.1Hz、1H)、2.52-2.44(m、1H)、2.37(dd、J=24.4、6.3Hz、1H)、2.22(dd、J=14.4、7.2Hz、1H)、1.89(s、3H)、1.67-1.57(m、2H)、1.29-1.25(m、8H)、0.9(d、J=6.5Hz、3H);0.87(d、J=6.5Hz、3H);13C NMR(126MHz、CDCl3):δ168.9、168.7、157.0、61.2(2C)、54.6、54.3、40.7、38.3、33.1、25.3、22.7、22.4、14.1、13.6;HRMS(ESI):C15H28NO5 (M+H)+のm/z計算値:302.1967、実測値:302.1967
【0041】
工程2はまた、ヒドロキシルアミン塩酸塩の誘導体やその無機又は有機塩基を用いて実施される。
【0042】
工程3
化合物6(式III)の調製:化合物5(1.0モル)を丸底フラスコに入れた酢酸エチル(5vol)に外気温で溶解した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化チオニル(1.0モル)を20分かけて滴下して添加した後に、反応混合物を室温にして3時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液でクエンチし(滴下添加)、2層を分離して、水層を酢酸エチル(2 vol×2)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗化合物6(式III)を得た(45gの化合物5は32.8gの化合物6をもたらした、純度>95%、淡黄色の油)。
分子式C15H27NO5;1H NMR(500MHz、CDCl3)δ6.14(s、1H)、4.25-4.11(m、4H)、3.44(d、J=5.7Hz、1H)、3.41-3.26(m、1H)、3.32-3.25(m、1H)、2.48-2.40(m、1H)、1.96(s、3H)、1.74-1.64(m、1H)、1.28(td、J=7.1、1Hz、6H)、1.25-1.23(m、1H)、1.19-1.12(m、1H)、0.93-0.9(t、J=6.7Hz、6H);13 C NMR(126MHz、CDCl3):δ170.1、169.3、169.0、61.6(2C)、54.3、40.7、39.6、36.2、25.2、23.3、23.0、22.0、14.1(2C);HRMS(ESI):C15H28NO5(M+H)+のm/z計算値:302.1967、実測値:302.1965
【0043】
工程3はまた、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの塩化物、金属ハロゲン化物又はそれらの有機酸等の他のルイス酸又はブレンステッド酸を用いて実施される。
【0044】
工程4
化合物7(式II)の調製:化合物6(1.0モル)を、室温で水(10 vol)が入った丸底フラスコに入れた。水酸化カリウム(3.0モル)を同じ温度で反応混合物に添加し、100℃に加熱して24時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、2NのHClを用いてpHを2に調整した。反応混合物を酢酸エチル(5.0 vol×3)で抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水(5 vol)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗化合物7(式II)を得た(32gの化合物6は18.9gの化合物7をもたらした、純度>95%、淡褐色油)。
分子式C9H15NO3;1HNMR(400MHz、CDCl3)δ6.95(s、1H)、3.58(t、J=8.9Hz、1H)、3.07-3.01(m、2H)、2.94-2.84(m、1H)、1.70-1.54(m、2H)、1.41-1.35(m、1H)、0.93(d、J=6.4Hz、6H);13CNMR(101MHz、CDCl3):δ175.2、171.6、53.3、47.1、43.3、36.7、25.9、22.9、22.1;HRMS(ESI):C9H16NO3 (M+H)+のm/z計算値:186.1130、実測値:186.1128
【0045】
工程3はまた、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの他の無機塩基や、アミンなどの有機塩基を使用して実施される。
【0046】
工程5
化合物8(式I)の調製:水(10 vol)及び6NのHCl(10 vol)が入った丸底フラスコに化合物7を室温で入れた。反応混合物を120℃に加熱して24時間撹拌した。反応混合物を25℃に冷却し、MTBE(3vol×3)で洗浄した。水層を減圧下で濃縮して粗化合物を得た。粗化合物を0-5℃に冷却し、アセトン(5vol)を加え、5分間攪拌した後、得られた混合物をアンモニア水溶液を用いて中和することで(pH6まで)、固体が混合物中に生成した。固体化合物を濾別し、アセトン(1.0 vol)で洗浄した。固体化合物を減圧下で乾燥して純粋なプレガバリン(ラセミ混合物)である化合物8(式I)を得た(18gの化合物7は14.2gの化合物8をもたらした、純度>99%、全体収率51%、無色の固体、融点166-168℃)。
分子式C8H17NO2;1HNMR(400MHz、D2O)δ2.95(dd、J=13.0、5.5Hz、1H);2.89(dd、J=13.0、6.7Hz、1H);2.27(dd、J=14.8、6.0Hz、1H)、2.19(dd、J=14.8、7.2 Hz、1H)、2.13-2.07(m、1H)、1.59(m、1H)、1.15(dd=t、J=7.1Hz、2H)、0.83(d、J=5.2Hz、3H);0.81(d、J=5.2Hz、3H);13C NMR(126MHz、D2O)δ180.8、43.7、40.6、40.4、31.6、24.4、22.0、21.5;HRMS(ESI):C8H18NO2 (M+H)+のm/z計算値:160.1338、実測値:160.1343
【0047】
工程5はまた、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの塩化物、金属ハロゲン化物又はそれらの有機酸等の他のルイス酸又はブレンステッド酸を用いて実施される。
【0048】
全体として、上記の工程は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択される無機塩基と、水、アルコール、エステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又はこれらの混合物からなる群から選択される極性溶媒とを用いて実施される。
【0049】
γ-アミノ酪酸は大量に必要とされ、例えばガバペンチン及びプレガバリンはトン単位で消費される。従って、工業的規模でのそれらの効率的な製造方法は非常に重要である。当該技術分野で公知な既存の大規模化可能な方法は、毒性のある原料(例えばKCN又はAc2O)を必要とする。さらに、公知の方法の多くは、約140℃の高温で長い反応時間(エネルギーが増強された工程)が必要であり、製造中には中間体の単離を必要とする。従って、当該技術分野で公知である既存の大規模化可能な方法は、より長い反応時間を伴う高度にエネルギーを集約する方法である。
【0050】
本発明の方法は、安価で危険性の少ない試薬を用いて実施される。さらに、全6工程の方法は、低温で反応時間が短い反応を用いて(方法中の3つの中間体を単離することなく)3段階で達成される。全体として、本発明の方法は、エネルギー及び溶媒消費が少ない環境に優しいものであり、工業的製造にとって魅力的である。
【0051】
本発明の様々な利点を以下に示す。
1.本発明の方法は、複数の硬化症患者におけるてんかん、神経障害性疼痛及び痙攣の治療薬としてFDAに認可されたγ-アミノ酸誘導体、具体的にはプレガバリン、バクロフェンの調製のための、非常に効率的で、大規模化可能な、商業的に実行可能であり、原子経済が改善された方法として機能する。
2.本発明の利点は、方法が、変形のための試薬としてアルカリ及び酸を使用するマイケル付加及びベックマン転位法のような穏やかな条件及び高度に実行可能な方法を必要とするだけでなく、単純な係合によって実施することができることである。
3.本発明の別の利点は、この方法が新規な反応工程及び中間体化合物をもたらすことである。
4.生成物の単離及び/又は精製は、高い収率及び純度に直結する。
5.これは、γ-アミノ酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェンの製造のための魅力的で経済的な方法である。
6.この方法は、方法の中間体及びγ-アミノ酪酸誘導体、特にプレガバリン、バクロフェンの類縁体の大きなライブラリーを生成するために採用することができる。
7.キラル合成又はγ-アミノ酪酸及び両エナンチオマーの誘導体に適している。
8.さらに別の利点は、方法に連続製造法を採用することである。
9.単離を行わない全体収率は51%である。
10.新規ラクタム中間体は、置換及びスピロ-類似体を製造するための経路を開放する。