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特許7436739パーソナルケア装置およびそれを備えたパーソナルケアルーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】パーソナルケア装置およびそれを備えたパーソナルケアルーム
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/06 20060101AFI20240214BHJP
   A61H 33/10 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61H33/06 C
A61H33/10 K
A61H33/10 P
A61H33/10 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023189580
(22)【出願日】2023-11-06
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022177447
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520443376
【氏名又は名称】小泉 正太
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小泉 正太
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-319427(JP,A)
【文献】特開2009-018076(JP,A)
【文献】登録実用新案第3134570(JP,U)
【文献】登録実用新案第3206934(JP,U)
【文献】特開2007-185206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/06
A61H 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の深部体温を上昇させるために利用可能なパーソナルケアルームを構成するパーソナルケア装置であって、
当該パーソナルケアルーム内の表面積に占める割合が10%以上となるように床に設置された、通気性を有していて遠赤外線を発生させる溶岩を含む岩盤と、
該岩盤をその内部または裏側から加熱する電気ヒーターと、
該電気ヒーターの底面を下方側から支持するように配置された板状の断熱材と、
該断熱材の裏面を支持するように配置された板状の保持部材と、
前記電気ヒーターの少なくとも上面に設けられた金属薄膜部材と、
前記岩盤の表面に形成された凹部に取り付けられた温度センサーと、
前記電気ヒーターに供給される電力の大きさを調整して当該電気ヒーターの発熱量を調整する温度調整部と、
前記岩盤の表面温度を38~43℃に制御する制御装置と、
使用者に音声信号を送信する音声信号送信システムと、
該音声信号送信システムから送信された音声信号に基づいて音声を出力する音声出力システムと、
を備え、
前記岩盤、前記ヒーターおよび前記断熱材のそれぞれは、前記保持部材の上方側に載置されただけで固定されていない状態になっている、パーソナルケア装置。
【請求項2】
前記金属薄膜部材と前記岩盤との間に配置される金属パネル部材をさらに備える、請求項1に記載のパーソナルケア装置。
【請求項3】
前記音声出力システムは、使用者に装着されるワイヤレスイヤホンを含むシステムである、請求項1に記載のパーソナルケア装置。
【請求項4】
前記床に設置された岩盤は、使用者が仰臥または伏臥した状態となるに足る大きさと形状に形成されている、請求項1に記載のパーソナルケア装置。
【請求項5】
前記パーソナルケアルーム内に蒸気を供給する蒸気発生装置をさらに備える、請求項1に記載のパーソナルケア装置。
【請求項6】
前記蒸気発生装置は、水または湯に生薬が投入された状態で煮立たせて該生薬の成分を含む蒸気を供給する装置である、請求項5に記載のパーソナルケア装置。
【請求項7】
前記生薬として、薬効ないしは芳香を有する薬草を用いる、請求項6に記載のパーソナルケア装置。
【請求項8】
前記薬草は、粉砕され袋詰めされたものである、請求項7に記載のパーソナルケア装置。
【請求項9】
前記蒸気発生装置が前記パーソナルケアルーム内に設けられている、請求項6に記載のパーソナルケア装置。
【請求項10】
前記蒸気発生装置から供給された生薬成分を含む蒸気を室内上部に向けて上昇させ、その後、室内の空気循環により室内上部から下降させるように送風する送風装置をさらに備える、請求項9に記載のパーソナルケア装置。
【請求項11】
前記制御装置により、前記パーソナルケアルーム内の室温を35~40℃、湿度を60%以上に制御する、請求項1に記載のパーソナルケア装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のパーソナルケア装置を備えたパーソナルケアルーム。
【請求項13】
使用者一人用の大きさと形状に形成されている、請求項12に記載のパーソナルケアルーム。
【請求項14】
使用者が一人~数人程度で入室してエクササイズをするに足る大きさと形状に形成されている、請求項12に記載のパーソナルケアルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パーソナルケア装置およびそれを備えたパーソナルケアルームに関する。
【背景技術】
【0002】
瞑想して自分自身に向き合いつつ心を穏やかにする茶室といった施設や、ヨガやストレッチにより身体の調子や自律神経を整えるための施設などが、疲労やストレスを軽減し、リラックスさせ、ヒーリング(癒し)効果をもたらし、これらによって心身をケアしてより健やかな日常を送るためのものとして広く利用されている。なお、本明細書ではこれらを目的とした施設を構成し、あるいは施設で利用される装置を「ケア装置」といい、特に個人的に利用されるものを「パーソナルケア装置」という(例えば特許文献1参照)。また、当該パーソナルケア装置を備え、一人ないしは数人程度の用途に向けて構成された獅施設ないしはその部屋を「パーソナルケアルーム」と呼ぶこととする。
【0003】
さて、こういった装置(パーソナルケア装置)や施設(パーソナルケアルーム)を利用する等により、身体の調子や自律神経を整え、疲労やストレスを軽減し、リラックスさせ、ヒーリング(癒し)効果によって心身をケアということは、ひいては、身体の免疫力の向上につながるものである。ただ、近年、日本人の平均体温が以前よりも低くなっていて、このことが免疫力や病気治癒力の低下につながっているとの知見が得られている。たとえば、ガンの対処療法は多岐に渡るが、薬剤投与などに頼るのではなく、身体の体温を1℃上げることによって治癒力が向上したとの報告がされている。ただし、これは身体の表面温度を単に上昇させればいいといった類の話ではなく、身体の深部の温度を適度に上昇させることによってもたらされる効果であることに留意しなければならない。身体の深部温度というのは身体内部の臓器などにおける温度ということであり、なかでも、こういった免疫力や治癒力との関連でいえばとくに直腸の温度が重要であると考えられている。
【0004】
身体温度を手軽に上げる手段のひとつにはサウナを利用することが挙げられるかもしれない。とくに近年はブームとなっていることもあり、レジャーや遊びの感覚で手軽にサウナに行き、心身ともにリックスしながら身体温度を上げて体調を整えるというのはたしかに健康的であるともいえる。しかし、近年のように盛り上がりを見せ、愛好者が増えているようにも見えるサウナに関していえば、利用中に一種の辛さを感じることもなく体の底から心地良さを楽しめているか、といえばそうとは言い切れないユーザーが一定割合存在するであろうことは想像に難くない。というのは、かくいう本発明者もその一人であり、ともすれば、サウナにちょっとした辛さや、熱い室内でもう少し我慢して頑張らなければ多量の汗をかいたり身体温度を上げたりすることができないというような一種の圧迫感があるからである。すなわち、サウナは例えば室内温度が90~100℃、湿度が20%程度に設定された室内に数分間ものあいだ居続けることで大量に発汗せしめるというものであり、しかもこれは室内環境が比較的穏やかといわれる「フィンランドサウナ」の場合でもそうなのであって、これがいわゆるドライタイプのサウナであれば温度80~90℃、湿度がきわめて低い数%程度というような、鼻や喉の粘膜、気道や肺を痛めるかもしれず、かつ高温・乾燥状態の中で発汗するには過酷な肉体的負荷を伴うといったような厳しい環境内に留まらなければならない。愛好者にとってみれば、このような環境に留まってこそ、その後の水風呂(温冷交代浴)や外気浴にて非日常的な多幸感が得られるのかもしれないが、その域にまで達しきれていない利用者とくに初心者にとっては高い敷居となっていることがあり得る。そうすると、従来のいわゆるサウナ施設は、身体の深部温度(とくに直腸温度)を向上させるという点でいえば適したものだということは難しい。
【0005】
かような背景や状況のもと、身体の深部温度(とくに直腸温度)を上昇させるに有用なサウナ以外の施設(たとえばパーソナルケアルーム)があれば、多くの人々の免疫力や病気治癒力の向上に資することができると考えられる。これは、本発明者が考える使命ともいうべき課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2020-500679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来、かかる課題(使命)に真正面から向き合って提案された画期的なパーソナルケア装置やパーソナルケアルームは存在しないというのが実情である。このようなパーソナルケア装置などにおいて、その特性を活かしつつ、さらに効能を高めうるような仕組みが併設されていれば、他にはない特有の付加価値をもたらすことが可能になると考えられる。
【0008】
そこで、本開示は、従来の装置や施設にはなかったアプローチで身体に対し直接的に働きかける効能を向上させ、使用者の身体の深部温度を手軽に上げることができるようにし、もって人々の免疫力や病気治癒力の向上に資することができるパーソナルケア装置およびそれを備えたパーソナルケアルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討と試験を繰り返し実施し、今までに体感したことのない心地良さを提供しつつ、身体を芯から温めることによって体内深部にまで作用を及ぼし、かつ、その特性を活かしてもっと効能を高める仕組みを新たにつくりだすという着想の下、ひとつの知見を得るに至った。
【0010】
このような知見に基づく本開示にかかるパーソナルケア装置は、使用者の深部体温を上昇させるために利用可能なパーソナルケアルームを構成するパーソナルケア装置であって、
当該パーソナルケアルーム内の表面積に占める割合が10%以上となるように床に設置された、通気性を有していて遠赤外線を発生させる溶岩を含む岩盤と、
該岩盤をその内部または裏側から加熱する電気ヒーターと、
該電気ヒーターの底面を下方側から支持するように配置された板状の断熱材と、
該断熱材の裏面を支持するように配置された板状の保持部材と、
電気ヒーターの少なくとも上面に設けられた金属薄膜部材と、
岩盤の表面に形成された凹部に取り付けられた温度センサーと、
電気ヒーターに供給される電力の大きさを調整して当該電気ヒーターの発熱量を調整する温度調整部と、
岩盤の表面温度を38~43℃に制御する制御装置と、
使用者に音声信号を送信する音声信号送信システムと、
該音声信号送信システムから送信された音声信号に基づいて音声を出力する音声出力システムと、
を備え、
岩盤、ヒーターおよび断熱材のそれぞれは、保持部材の上方側に載置されただけで固定されていない状態になっている、パーソナルケア装置。
【0011】
かかるパーソナルケア装置は、遠赤外線輻射熱を活用することで従来の装置におけるよりも心身ケア時における体感や効果を高いレベルに引き上げること、また、遠赤外線輻射熱独自の効果から体内深部への熱アプローチを可能ならしめ結果的に高い新陳代謝の活性を早めること、といった、従来のパーソナルケア装置ではなかなか奏し得なかった特有の効果を実現するために必要な構成を備えたものだということができる。これは、別言すれば、精神的、内部的な観点だけではなく、より医学的な根拠に基づき身体的、外部的な観点を併せ持つことで身体に直接的に働きかける効能を相乗的に付加したものだということができる。かかる装置によれば、使用者の身体の深部温度(とくに直腸温度)を手軽に上げることができるようになる。
【0012】
しかも、このようなパーソナルケア装置によれば、使用者は、床の上で横になったり座って瞑想したりしてリラックスしながら遠赤外線輻射熱の効果を手軽に得られることはもちろんのこと、そういった効果を得ながら、ルーム内でストレッチやヨガ、エクササイズといった軽い運動や体操をして相乗的な効果を得ようとすることもまた当然に可能である。この点、音声信号送信システムと音声出力システムとを備えた本開示のごときパーソナルケア装置によれば、使用者に癒しの音楽などを提供することができるのはもちろんのこと、軽い運動や体操のための音声(たとえばあらかじめ録音された、体操や体操の指針となるガイド音声)を流すことによって、使用者が自ら進んでする運動や体操をサポートしたり、あるいは運動や体操への誘いとして利用したりすることができ、使用者の身体の深部温度を効果的に上げるための手伝いをすることができるという、独自の装置を構築することが可能である。
【0013】
上記のごときパーソナルケア装置は、金属薄膜部材と岩盤との間に配置される金属パネル部材をさらに備えていてもよい。
【0014】
上記のごときパーソナルケア装置における音声出力システムは、使用者に装着されるワイヤレスイヤホンを含むシステムであってもよい。
【0015】
上記のごときパーソナルケア装置において床に設置された岩盤は、使用者が仰臥または伏臥した状態となるに足る大きさと形状に形成されているのがよい。
【0016】
上記のごときパーソナルケア装置は、パーソナルケアルーム内に蒸気を供給する蒸気発生装置をさらに備えていてもよい。
【0017】
上記のごときパーソナルケア装置における蒸気発生装置は、水または湯に生薬が投入された状態で煮立たせて該生薬の成分を含む蒸気を供給する装置であってもよい。
【0018】
上記のごときパーソナルケア装置においては、生薬として、薬効ないしは芳香を有する薬草を用いてもよい。
【0019】
上記のごときパーソナルケア装置において、薬草は、粉砕され袋詰めされたものであってもよい。
【0020】
上記のごときパーソナルケア装置の蒸気発生装置がパーソナルケアルーム内に設けられていてもよい。
【0021】
上記のごときパーソナルケア装置は、蒸気発生装置から供給された生薬成分を含む蒸気を室内上部に向けて上昇させ、その後、室内の空気循環により室内上部から下降させるように送風する送風装置をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記のごときパーソナルケア装置において、制御装置により、パーソナルケアルーム内の室温を35~40℃、湿度を60%以上に制御してもよい。
【0023】
本開示にかかるパーソナルケアルームは、上記のごときパーソナルケア装置を備えたものである。
【0024】
上記のごときパーソナルケアルームは、使用者一人用の大きさと形状に形成されていてもよいし、使用者が一人~数人程度で入室してエクササイズをするに足る大きさと形状に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】パーソナルケア装置の一例を示すパーソナルケアルーム全体の平面図である。
図2図1のII-II線における、使用中のパーソナルケアルームの内部の一例を示す図である。
図3】パーソナルケアルーム全体の一例を示す正面から見たイメージ図である。
図4図3に示したパーソナルケアルームの内部を示すイメージ図である。
図5】パーソナルケア装置を構成する加熱装置の構成例を概略的に示す図である。
図6】音声出力システムによる音声を聞きながら使用者がパーソナルケアルームでエクササイズをしている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本開示にかかるパーソナルケア装置とパーソナルケアルームの好適な実施形態を詳細に説明する(図1等参照)。
【0027】
[パーソナルケア装置の構成]
本実施形態のパーソナルケア装置1は、パーソナルケアルーム10内に設置された内装材16、加熱装置30、蒸気発生装置40、送風装置50、制御装置70などを含む構成となっている。
【0028】
パーソナルケアルーム10の大きさや構成は特に限定されるものではなく、使用者が一人(単独)でのみ使用する態様の大きさや構成となっていてもよいし、複数の使用者が同時に入室することが可能な大きさや構成となっていてもよい。好適な一例を示す本実施形態のパーソナルケアルーム10は、使用者一人が仰臥または伏臥した状態、座した状態、あるいは立って軽いエクササイズをするに足る大きさと形状になっており、たとえば当該パーソナルケアルーム10が3つ横並びに配置された構成となっている(図1図3等参照)。
【0029】
これらパーソナルケアルーム10は、壁11、床12、天井13、出入口14、ドア15、内装材16、隔壁17などで構成されている(図1等参照)。3つのパーソナルケアルーム10は上部のみが隣室に通じるように開口した隔壁17で仕切られている(図3等参照)。3つのパーソナルケアルーム10のそれぞれには、ドア15が併設された出入口14が設けられている(図1参照)。パーソナルケアルーム10の室内には、より快適に過ごせるようにしたり、エクササイズのティーチングをしたりするためのシステム、例えば受像機(図示省略)やスピーカー(図示省略)、間接照明装置60などが併設されていてもよい(図1図4参照)。
【0030】
パーソナルケアルーム10を構成する内装材16のうち、床12の部分には鉱石を含む岩盤16RPが配置されている(図4等参照)。岩盤16RPは、床12を占める部分のすべてに設置されていてもよいが、例えば、床12の一部にのみ、あるいは特に図示していないがさらに壁11や隔壁17の一部にも配置するといったように種々の態様で設置されていてもよい。本実施形態では、岩盤16RPとして、遠赤外線を発生させる鉱石を含むもの、具体的には、溶岩または所定の鉱石を含むものを用いる。一般的に、岩盤16RPは、通気性を有している。なお、本明細書でいうところの「所定の鉱石」とは、例えば玄武岩石といったような、遠赤外線の輻射熱効果の高い鉱石のことをいう。
【0031】
パーソナルケアルーム10の内装の一部(本実施形態の場合は、主として床12)に岩盤16RPを用いることの利点としては、一般的に知られているとおり、以下のようなものがある。
・岩盤16RPによりもたらされる遠赤外線効果により身体を間接的に温めて体温の上昇、とくに直腸温度といった深部体温の上昇を促す。一般に、低体温化によって各種の不調(風ウイルス感染、アレルギー症状、消化不良、便秘、慢性疲労、肌荒れ、ニキビ、冷え性、月経不順、不妊、睡眠の質低下、肩こり、腰痛、白髪、抜け毛、など)が引き起こされるといわれており、こういった不調の予防、改善に効果がある。
・遠赤外線の温熱効果は72時間ほど継続すると言われ、熱線という呼び方もされているように、身体が内側からしっかりと温められる。これにより血行が促進し、代謝が高められる。血行の促進は疲労を回復させたり、肝機能や冷え性を改善したりする効果にも繋がる。
・身体が内側から温められると、皮脂腺からの発汗が促される。多量の汗をかけば、体内の毒素や老廃物を外側に排出するいわゆるデトックス効果が期待できる。この際、肌の新陳代謝も促される、肌トラブルの解消や美肌などの美容効果も期待できる。
・使用の際、岩盤16RPが温められることで溶岩等に含まれるミネラルが空気中に放たれる。ミネラルの中に含まれるバナジウムは血圧や血糖値、コレステロールを低下させる効果があるとされており、生活習慣病の予防や緩和に効果をもたらす。
・溶岩等から放出されるマイナスイオンにはリラックス効果があるとも言われている。
【0032】
パーソナルケアルーム10の内装の一部(本実施形態の場合は、主として床12)に岩盤16RPを用いることの利点には、「アーシング」といわれるものがある。
・アーシングとは、靴下や靴を脱いで素足で直接大地等に触れることで体内に滞留した電気を放電させることやそれによる健康法のことをいう。これは、大地とつながることから「グラウディング(Grounding)」とも呼ばれている。人間の身体は大部分が水分でできているため電気を通しやすく、電化製品や携帯電話の電磁波に囲まれる現代社会での生活の中で、身体は知らず知らずのうちに帯電している状態になっていることがある。この状態が、多くの現代人が悩まされている頭痛や肩こり、血行不良といった現代病の原因のひとつになっているのでは、という見解が示されてもいる。先人たちは自然と触れ合うことで体内の電気を放電し、バランスをとってきたといわれているが、現代人はゴム底の靴を履いてコンクリートの上を歩いているため、それができない。そこで、素肌で大地に触れることで身体にとどまっている電気を放出し、体内の電気エネルギーのバランスをとり、身体の調子を整えていくことが提案されている。こうすることで、疲労回復、炎症や痛みの軽減、精神の安定、睡眠の質向上、高血圧の改善、血流改善、自律神経やホルモンバランスの調整などを図ることができる。本実施形態のごとく遠赤外線を発生させる鉱石を含むもの、具体的には、溶岩または所定の鉱石を含むもの等が用いられている岩盤16RPには、上記のごときアーシングの効果がある。
【0033】
上記のごとき岩盤16RPは、パーソナルケアルーム10の壁11、床12、天井13、隔壁17のすべてに設置されている必要まではないが、パーソナルケアルーム10内における各種作用や上述のような効果をより有効なものとするにあたっては、パーソナルケアルーム10内の表面積に占める岩盤16RPの割合が所定値たとえば10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。本実施形態では、種々の効果や効能などを勘案し、パーソナルケアルーム10の室内のうち、表面積の10%以上となるように床12を溶岩または所定の鉱石を含む岩盤16RPで造作することとしている。このように、床12を岩盤16RPで造作した本実施形態のパーソナルケア装置1においては、パーソナルケアルーム10内で仰臥あるいは伏臥の姿勢となった使用者が直接あるいは着衣を介して間接的に岩盤16RPに触れる面積が比較的大きくなりやすい(図4等参照)。なお、岩盤16RPの厚さは例えば2~5cm程度である。
【0034】
加熱装置30は、岩盤16RP上で仰臥あるいは伏臥の姿勢となった使用者、さらには座した状態や立った状態の使用者の身体を加熱するための装置である。図5を参照しながら、加熱装置30の構成について説明する。図5は、加熱装置30を前方側から見て描いた図である。加熱装置30は、支持部材31と、ヒーター32と、断熱材33と、保持部材34と、アルミ箔部材37と、ステンレスパネル38と、を備えている。
【0035】
支持部材31は、加熱装置30のうち最も上方側に配置された部材である。上方側から見た支持部材31の形状は長方形である。支持部材31は、その表面31a上で仰臥あるいは伏臥等の姿勢となった使用者の身体を支持する。本実施形態では、支持部材31は岩盤16RPによって構成されている。
【0036】
支持部材31の表面31aには、その中央となる位置に凹部31bが形成されている。凹部31bの深さは、一例として、支持部材31の厚さの1/2である。凹部31bの底面には温度センサー35が取り付けられている。温度センサー35は、支持部材31の温度を測定するためのセンサーであって、例えばサーミスタである。温度センサー35によって測定された温度を示す信号は、制御装置70へと入力される。凹部31bのうち温度センサー35よりも上方側の部分は、蓋31cによって塞がれている。
【0037】
ヒーター32は、支持部材31をその裏面31dから加熱する電気ヒーターである。上方側から見た場合におけるヒーター32の形状は、支持部材31の形状と同一である。ヒーター32は、シリコン製のラバーヒーターとして構成されている。ヒーター32は、その表面32aの全体を、支持部材31の裏面31dに密着させた状態となるように配置されている。ただし、支持部材31とヒーター32との間は互いに固定されていない。つまり、支持部材31は、ヒーター32の表面32aに対して上方側から載置されただけの状態となっている。
【0038】
不図示の外部電源からヒーター32に電力が供給されると、ヒーター32が発熱し、これにより支持部材31が加熱される。ヒーター32に供給される電力の大きさは、制御装置70と後述する温度調整部36によって調整される。
【0039】
断熱材33は、ヒーター32の裏面32bを下方側から支持するように配置された板状の部材である。つまり、断熱材33は、ヒーター32を間に挟んで、支持部材31とは反対側となる位置に配置されている。上方側から見た場合における断熱材33の形状は、ヒーター32の形状と同一である。断熱材33は、ケイ酸カルシウムにより形成されている。断熱材33の材料は、本実施形態のようにケイ酸カルシウムのみを含む材料であってもよいが、ケイ酸カルシウムに加えて他の成分を含む材料であってもよい。また、ケイ酸カルシウムと同等またはそれ以上の断熱性能を確保し得るのであれば、ケイ酸カルシウムを含まない材料で断熱材33が形成されていてもよい。本実施形態の断熱材33は、その表面33aの全体を、ヒーター32の裏面32bに当接させた状態となるように配置されている。ただし、ヒーター32と断熱材33との間は互いに固定されていない。つまり、ヒーター32は、断熱材33の表面33aに対して上方側から載置されただけの状態となっている。
【0040】
保持部材34は、断熱材33の裏面33bを支持するように配置された板状の部材である。上方側から見た場合における保持部材34の形状は、断熱材33の形状と同一である。保持部材34は合板により形成されている。保持部材34は、その表面34aの全体を、断熱材33の裏面33bに当接させた状態となるように配置されている。ただし、断熱材33と保持部材34との間は互いに固定されていない。つまり、断熱材33は、保持部材34の表面34aに対して上方側から載置されただけの状態となっている。本実施形態の保持部材34は、支持部材31、ヒーター32および断熱材33の全体を下方側から保持しており、これにより加熱装置30の強度を高めている。保持部材34の裏面34bは、パーソナルケアルーム10の床12の内部に設けられた不図示のフレームに対して固定されている。このため、保持部材34を床12から取り外すことはできなくなっている。一方、支持部材31、ヒーター32および断熱材33のそれぞれは、上記のように保持部材34の上方側に載置されただけで固定されてはいないので、保持部材34から取り外すことが可能となっている。
【0041】
温度調整部36は、支持部材31の温度を所定の目標温度となるように調整する装置である。温度調整部36は、ヒーター32に供給される電力の大きさを調整することでヒーター32の発熱量を調整し、温度センサー35で測定される支持部材31の温度を上記の目標温度に一致させるための信号を制御装置70に入力する。温度調整部36は、目標温度を設定するための操作を使用者等が行う入力部分となっていてもよい。この場合、制御装置70は、使用者によって操作されるリモコンとしての機能を有していることになる。制御装置70は、有線のリモコンとして構成されていてもよいし、無線のリモコンとして構成されていてもよい。使用者による操作がなされると、温度調整部36は、当該操作に基づいて目標温度を設定する。
【0042】
アルミ箔部材37は、ヒーター32の少なくとも上面に設けられた金属薄膜部材の一例である。本実施形態のアルミ箔部材37はヒーター32を覆うように設けられている。ヒーター32の少なくとも上面にこのようなアルミ箔部材(金属薄膜部材)37を設けることで、ヒーター32の熱をムラなく一様に支持部材31に伝え、より均一に加熱することが可能となる。
【0043】
ステンレスパネル38は、必要に応じてアルミ箔部材37と支持部材31との間に設けられる金属パネル部材の一例である。このようなステンレスパネル(金属パネル部材)38を設けることで、伝熱性能に影響を及ぼすことなく装置の強度を上げることが可能となる。
【0044】
蒸気発生装置40は、生薬の成分を含む蒸気をパーソナルケアルーム10内に供給するために設けられている装置である。このような蒸気発生装置40を備えた本実施形態のパーソナルケア装置1によれば、室内にて使用者の身体を蒸して高い発汗力と新陳代謝の活性を早めた状態にしたうえで生薬の成分を含む蒸気を供給することで、呼吸器や皮膚を通じて生薬成分がより一層、つらい思いをすることなく身体に取り込まれて摂取しやすくなる環境をつくることができる。
【0045】
本実施形態では、水または湯に生薬が投入された状態で煮立たせる鍋41を備えた蒸気発生装置40を採用している(図2等参照)。本実施形態の蒸気発生装置40はパーソナルケアルーム10内に設けられているが(図1等参照)、生薬の成分を含む蒸気をパーソナルケアルーム10内に供給することができる限りは、パーソナルケアルーム10の外部に設けられていても構わない。パーソナルケアルーム10内における蒸気発生装置40の配置は特に限定されることはないが、一例として本実施形態では、岩盤上で仰臥または伏臥した状態になったときの使用者の頭部側にとなる、パーソナルケアルーム10内の最奥部(出入口14から最も遠い位置)に蒸気発生装置40を配置している(図1等参照)。さらに、本実施形態では、床12上で仰臥または伏臥した状態となったときの使用者の頭部の少なくとも一部を覆う位置に覆い板44を配置している(図2等参照)。覆い板44は、蒸気発生装置40から生じた蒸気が使用者の頭部に直接的に降りかかるのを抑止する覆いとして機能する。
【0046】
鍋41は、ヒーター42を使って生薬を焚き上げるのに使用されるもので、その中に水が張られ、生薬が投入された状態で加熱される。したがって、所定の容量、耐熱性、安定性を備えている限りはどのような容器であってもこの蒸気発生装置40において鍋41として使用することが可能である。ただし、単に生薬を焚き上げるのみならず、その際に併せて遠赤外線を発生することのできる構成とすれば、生薬の薬効と遠赤外線による作用との相乗効果が期待できる。木炭を原材料に含んだ炭鍋を鍋41として使用してもよく、こうすることで、炭が持つ種々の作用、具体的には、人体の細胞老化を抑制する作用、血液や体液を弱アルカリ性に保持する作用、マイナスイオンを放出する作用、天然ミネラルを供給する作用、電磁波を遮断する作用、蒸気中に水分子を細かくして細胞の浄化力を高める作用等、種々の作用が奏することが期待できるようになる。また、生薬中に塩分が含まれている場合には、鍋41の中で当該塩分と生薬とを焚くことにより、生薬の薬効、遠赤外線の効果、ミネラル成分の作用による相乗効果が期待できる。また、図面中には特に示していないが、このような鍋41を取り囲む炭板(チャコールプレート)を用意することも好ましい。炭板で鍋41を取り囲んだ場合には、上述したように炭鍋が発揮する作用にこの炭板が発揮する作用が加わることが期待できる。
【0047】
ヒーター42は鍋41を加熱するための器具で、例えば本実施形態では鍋41を底から加熱するIHヒーターを使用しているが所定の出力と安全性を備えていればどのような器具でも使用可能である。また、過熱を防止するという観点からすれば空焚き防止機構やタイマーなどを備えている器具も好ましい。
【0048】
蒸気発生装置40にて用いられる生薬(ハーブ)としては、薬効ないしは芳香を有する薬草を挙げることができる。このような薬草の好適な具体例には、発汗を促す効果があるヨモギ(蓬)などがあるが特にこれに限られることはなく、この他、トウキ(当帰)、センキュウ(川キュウ)、チンピ(陳皮)、チョウジ(丁子)、ガイヨウ(艾葉)、カンギク(甘菊)、ハッカク(八角)、キジツ(枳実)、ビャクシ(白シ)、インチン(茵陳)、ハッカ(薄荷)、サンパクソウ(三白草)、マオウ(麻黄)といった複数種の薬草類のうち全部または一部を選択し、調合して独自のハーブを処方してもよい。
【0049】
以上の各薬草類の全部または一部を配合して処方されたハーブは、このパーソナルケア装置1にて使用された場合、各薬草類の薬効の相乗効果を奏し、使用者の身体を適度に温めて新陳代謝を活性させる。ハーブは、多くの使用者が一般的に使用できるということを念頭に、激しくはない適度な新陳代謝を促すべく刺激の少ない処方となっていることが好ましい。
【0050】
このように本実施形態のハーブは多くの使用者に適する配合と処方が施されているものであるが、中には身体を温めることにあまり適していない使用者などが存在することも想定されることから、そのような場合には、これらの者も安心しあるいは納得して使用できるように別のパッケージを用意することとしてもよい。このようなパッケージを作製する際には、薬草を粉砕し、袋詰めにした状態で使用できるようにしてもよい。
【0051】
送風装置50は、蒸気を循環させるべくパーソナルケアルーム10に設けられている装置である。送風装置50の配置は特に限定されないが、蒸気をより効率よく対流、循環させるという観点からすれば蒸気発生装置40の近傍であって上方または側方に配置されていることが好適である(図1等参照)。このような送風装置50により、蒸気をいったん上方に送ってからパーソナルケアルーム10内を循環させるように送風すれば、仰臥または伏臥した姿勢となったときの使用者の全身に上方から蒸気を送り込むことがしやすい。なお、送風装置50としては、図示したようなパーソナルケアルーム10内に設けられた送風機の代わりに、図示しない温調装置から仰臥または伏臥した姿勢になったときの使用者の頭部付近に向けて送り込まれる空気の流れを利用することとしてもよい。
【0052】
制御装置70は、パーソナルケア装置1を制御する装置である。詳細に図示することはしていないが、制御装置70は、温度や湿度を検出するセンサー、センサーの検出値に基づき温度や湿度をフィードバック制御する調整器などで構成される。本実施形態の制御装置70は、パーソナルケアルーム10の室温、湿度、および岩盤16RPの表面温度のそれぞれを調節し、快適な室内環境を提供するように制御する。
【0053】
[パーソナルケア装置による室内環境の制御および提供]
本実施形態のパーソナルケア装置1は、上記の制御装置70により、パーソナルケアルーム10の室温、湿度、および岩盤16RPの表面温度を制御し、それぞれが所定の範囲内にあることを目標としてすべて調節された室内環境を提供するように構成されている。ここでいう所定の範囲は、例えば、
・パーソナルケアルーム10内の室温:35~40℃
・パーソナルケアルーム10内の湿度:60~70%
・岩盤16RPの表面温度:38~43℃
である。湿度のより好適な値は70%前後である。このような好適な範囲は、例えば、以下のような値をそれぞれの目標値(別言すれば、最適値といってもよい)として制御することによって達成することができる。
・パーソナルケアルーム10内の室温:45℃
・パーソナルケアルーム10内の湿度:70%
・岩盤16RPの表面温度:60℃
【0054】
上記のごとき目標値ないしは所定の範囲は、室温と湿度さらには遠赤外線輻射熱といういわば3軸のアプローチで新陳代謝の効果をつくりだすことができれば従来よりも簡便かつ手軽に楽しむことができ、かつ今までに体感したことのない心地良さを提供することができるとの新たな知見に基づいている。しかも、パーソナルケアルーム10内の環境を上記のごとき目標値ないしは所定の範囲をベースとして調節しつつ遠赤外線輻射熱の活用を行うことで、その体感や効果を高いレベルに引き上げること、また、遠赤外線輻射熱独自の効果から体内深部への熱アプローチを可能ならしめ結果的に高い新陳代謝の活性を早めること、といった、従来のパーソナルケア装置ではなかなか奏し得なかった特有の効果を実現することができる。
【0055】
しかも、本実施形態のごときパーソナルケア装置1においては、身体を蒸して新陳代謝の活性を早めた状態にしたうえで生薬の成分を含む蒸気を供給することで、呼吸器や皮膚を通じて生薬成分がより一層、つらい思いをすることなく身体に取り込まれ摂取しやすくなる環境をつくることができる。加えて、使用者が仰臥または伏臥した姿勢となったときには、全身の接地面(接地領域)が多いため、身体の深部の温度を全体的に高めて蒸した状態としたうえで蒸し効果を得ることができるため新陳代謝の効果や薬効が一層高い。
【0056】
また、本実施形態のごときパーソナルケア装置1は、ここまで説明したように使用者が一人(単独)で使用する個室用の装置として適用することができるのはもちろんのこと、他人を気にすることなく複数の使用者が同時に入室してケアをしたりいわばグループエクササイズをしたりすることができる装置として適用することもできる。しかも、比較的に装置の構成が簡易であることからすれば、既存のパーソナルケア装置、さらには既存のケア施設に後から設置してパーソナルケア装置1を構築することが可能だという利点もある。
【0057】
[パーソナルケア装置によるエクササイズへの誘導とその提供]
本実施形態のパーソナルケア装置1は、さらに、使用者に音声信号を送信する音声信号送信システム81と、該音声信号送信システム81から送信された音声信号に基づいて音声を出力する音声出力システム82を備えている(図6参照)。ここまで説明したように、本実施形態のパーソナルケア装置1によれば、使用者は床の上で横になったり座って瞑想したりしてリラックスしながら遠赤外線輻射熱の効果を手軽に得られることはもちろんのこと、そういった効果を得ながら、当該パーソナルケアルーム10内でストレッチやヨガ、ピラティス、各種エクササイズといった軽い運動や体操(運動プログラム)をして相乗的な効果を得ることもまた当然に可能である。このような軽い運動や体操等をする場合において、音声信号送信システム81と音声出力システム82は、使用者に癒しの音楽などを提供するのみならず、軽い運動や体操のための音声(たとえばあらかじめ録音された、体操や体操の指針となるガイド音声)を流すことによって、使用者が自ら進んでする運動や体操をサポートしたり、あるいは運動や体操への誘いを提供したりといったいわゆる聞きトレーニングをすることができる。これによれば、使用者の身体の深部温度を効果的に上げるための手伝いをすることが可能である。音声出力システム82は、当該パーソナルケアルーム10に備え付けられたスピーカー等の装置を利用したものであってもよいし、ワイヤレスイヤホンといったようなウェアラブルなレシーバーを利用したものであってもよい。ちなみに、パーソナルケアルーム10の天井13は、立った使用者が手を伸ばして届くか届かない程度の高さ(たとえば1800以上、具体的には2300mm程度)の高さに設定されていてもよい。このようなパーソナルケアルーム10は、エクササイズ等をするのに広すぎず狭すぎずという適度であるという感覚を与えることができるうえ、当該天井13の手すりや器具などを備え付けるにも適度な高さのものであるということができる。
【0058】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、疲労やストレスを軽減し、リラックスさせ、ヒーリング(癒し)効果をもたらし、これらによって心身をケアする各種パーソナルケア装置に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0060】
1…パーソナルケア装置
10…パーソナルケアルーム
11…壁
12…床
13…天井
14…出入口
15…ドア
16…内装材
16RP…岩盤(鉱石を含む内装材)
17…隔壁
30…加熱装置
31…支持部材
31a…表面
31b…凹部
31c…蓋
31d…底面
32…ヒーター
32a…表面
32b…底面
33…断熱材
33a…表面
33b…底面
34…保持部材
34a…表面
35…温度センサー
36…温度調整部
37…アルミ箔部材(金属薄膜部材)
38…ステンレスパネル(金属パネル部材)
40…蒸気発生装置
41…鍋
42…ヒーター
44…覆い板
50…送風装置
60…間接照明装置
70…制御装置
81…音声信号送信システム
82…ワイヤレスイヤホン(音声出力システム)
【要約】
【課題】従来の装置や施設にはなかったアプローチで身体に対し直接的に働きかける効能を向上させ、使用者の身体の深部温度を手軽に上げることができるようにし、もって人々の免疫力や病気治癒力の向上に資することができるようにする。
【解決手段】通気性を有していて遠赤外線を発生させる溶岩を含む岩盤16RPと、該岩盤16RPを加熱する電気ヒーターと、板状の断熱材と、該断熱材の裏面を支持する板状の保持部材と、金属薄膜部材と、岩盤16RPに取り付けられた温度センサーと、電気ヒーターの発熱量を調整する温度調整部と、岩盤16RPの表面温度を38~43℃に制御する制御装置と、使用者に音声信号を送信する音声信号送信システム81と、音声を出力する音声出力システム82と、を備え、岩盤、ヒーターおよび断熱材のそれぞれは、保持部材の上方側に載置されただけで固定されていない状態になっている、パーソナルケア装置である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6