(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】リラックスチェア
(51)【国際特許分類】
A47C 7/00 20060101AFI20240214BHJP
A47C 1/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A47C7/00 B
A47C1/02
(21)【出願番号】P 2023200763
(22)【出願日】2023-11-28
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】松藤 竜一郎
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-48428(JP,U)
【文献】特開2011-160977(JP,A)
【文献】特開昭61-20488(JP,A)
【文献】特開2018-68969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00-16/04
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部と、前記座面部の後端に前後方向に回動可能に接続された背もたれ部とを備える椅子本体と、前記椅子本体を支持するフレーム体とからなるリラックスチェアであって、
前記フレーム体は左右に配置される二組のフレーム構造体を連結杵によって接続することで構成されており、
それぞれの前記フレーム構造体は、
前後方向に延設され載置面に接地する略水平の接地板部、前記接地板部の上方において前後方向に延設される肘置き部、及び、前記接地板部の前端と前記肘置き部の前端とを接続するよう上下方向に延設される縦杵部からなり、側面視略コ字状に一体成形される第一部材、及び、
前記接地板部と前記肘置き部の間の高さにおいて前後方向に延設される座面保持部、前記座面保持部の前端から上下方向に屈曲するとともに前記縦杵部に固定される第一接続部が形成される縦片部、及び、前記座面保持部の後端から斜め後方に屈曲するとともに前記肘置き部に固定される第二接続部が形成される後方片部からなる第二部材、
によって構成され、
前記連結杵は前記接地板部及び前記縦杵部に配設される、
リラックスチェア。
【請求項2】
前記フレーム体が前記椅子本体を支持する椅子支持部を前記第一部材及び前記第二部材に設けた、
請求項1に記載のリラックスチェア。
【請求項3】
前記縦杵部に配設される前記連結杵を前記第一部材における前記椅子支持部の直下であって前記椅子本体と当接するよう設けた、
請求項2に記載のリラックスチェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リラックスチェアに関するものであり、単にリクライニング機能を備えるだけでなく、ロッキング機能をも備える椅子を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リビングでの過ごし方が多様化し、脚部を備える椅子としての機能を持ちながら、背もたれ部が座面部に対して後方に傾動するリクライニング機能を備える椅子が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1に示されるようなリクライニング機能を持つ椅子は、脚部を有する椅子本体のフレームに対し、背部体が前後方向に回動可能なリクライニング機能を有するクッション体を備える(特許文献1)。
【0004】
特許文献1によると、背部体が前後方向に回動可能なリクライニング機能を有するクッション体を備えるため、必要に応じて背部体を所望の角度に保持することができ、椅子に座りながらもリラックスした姿勢を取ることができる。
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術によると、背部体のリクライニングは可能である。しかしながら、載置面に接する接地板と肘置きとなるアームレストとの間を上下につなぐ幅広の肘掛け板にクッション体が固定されているため、フレーム自体がたわみ難く、座り心地として固さを感じることがある。
【0006】
固い座り心地を軽減し、椅子に座りながらも浮遊感を得るための椅子として、ロッキング機能を有する椅子が存在する。ロッキング機能を有する椅子としては、椅子が置かれる載置面に接地する接地板部を弓形に湾曲するよう形成することで、前後に揺動可能としたものが一般的である。または、座面を支持する脚部にバネを仕込み、バネによる弾性力を利用してロッキング機能を実現するものもある。
【0007】
しかしながら、一般的なロッキング機能を有する椅子は重心が後方に移動した際の構造が弱く、リクライニング機能を持たせるための構造を採用することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、リクライニング機能とロッキング機能を同時に備えることができ、しかも、強度を保持することが可能なリラックスチェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係るリラックスチェアは、座面部と、座面部の後端に前後方向に回動可能に接続された背もたれ部とを備える椅子本体と、椅子本体を支持するフレーム体とからなるリラックスチェアである。フレーム体は左右に配置される二組のフレーム構造体を連結杵によって接続することで構成されており、それぞれのフレーム構造体は、前後方向に延設され載置面に接地する略水平の接地板部、接地板部の上方において前後方向に延設される肘置き部、及び、接地板部の前端と肘置き部の前端とを接続するよう上下方向に延設される縦杵部からなり、側面視略コ字状に一体成形される第一部材、及び、接地他部と肘置き部の間の高さにおいて前後方向に延設される座面保持部、座面保持部の前端から上下方向に屈曲するとともに縦杵部に固定される第一接続部が形成される縦片部、及び、座面保持部の後端から斜め後方に屈曲するとともに肘置き部に固定される第二接続部が形成される後方片部からなる第二部材、によって構成され、連結杵は接地板部及び縦杵部に配設される。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、連結杵が接地板部及び縦杵部に配設されるため、椅子本体の背もたれ部の前後方向の回動を妨げることがなく、リクライニング機能が得られる。また、側面視略コ字状に一体成形される第一部材を備え、しかも、ともに前後方向に延設される肘置き部と接地板部を上下方向に接続する部材が前端の縦杵部のみであるため、リラックスチェアに使用者が腰を掛けると、第一部材を形成する素材のしなりによって背部が下方に若干沈む。このように、素材の撓みを活かしたロッキング機能が得られる。しかも、側面視略コ字状の第一部材のみでフレーム体を形成すると強度的に劣るところ、第二部材が縦杵部と肘置き部を接続することで補強材として機能するため、リクライニング機能とロッキング機能を両立させながら強度も保持することができる。
【0013】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、フレーム体が椅子本体を支持する椅子支持部を第一部材及び第二部材に設けた。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、フレーム体が椅子本体を支持する椅子支持部を第一部材及び第二部材に設けたため、使用者の体重を第一部材と第二部材に分散させることができ、リクライニング機能とロッキング機能を保持しながらも強度を確保することができる。
【0015】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、縦杵部に配設される連結杵を第一部材における椅子支持部の直下であって椅子本体と当接するよう設けた。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、縦杵部に配設される連結杵を第一部材における椅子支持部の直下であって椅子本体と当接するよう設けたため、椅子本体と使用者の体重を縦杵部に配設した連結杵で支えることができる。そのため、縦杵部自体の剛性を利用して十分な強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リクライニング機能とロッキング機能を同時に備えることができ、しかも、強度を保持することが可能なリラックスチェアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係るリラックスチェア1の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るリラックスチェア1のフレーム体200の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る椅子本体100を形成する内部フレーム140について示す模式図であり、
図3(a)は側面図を、
図3(b)は平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0020】
図1~
図3を用いて、本実施形態に係るリラックスチェア1の全体構成について説明する。なお、本発明において、前後方向とは、リラックスチェア1を正面から見た際の手前側と奥側の方向を指し、上下方向とは重力方向を指し、幅方向とは、リラックスチェア1を正面から見た際の左右方向を指す。
【0021】
図1は、本発明に係るリラックスチェア1の全体構成を示す模式図である。
図2は本発明に係るリラックスチェア1のフレーム体200の構成を示す模式図である。
図3は本実施形態に係る椅子本体100を形成する内部フレーム140について示す模式図である。
図3(a)は側面図であり、
図3(b)は平面図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、本発明に係るリラックスチェア1は、使用者が座する椅子本体100と、椅子本体100を載置面よりも上方で支持するフレーム体200とを接合することによって構成される。
【0023】
椅子本体100は、使用者の臀部及び大腿部を支持する座面部110と、使用者の背部を支持する背もたれ部120と、使用者の脹脛を支持する足置き部130によって構成される。
図3(a)に示すように、椅子本体100はクッション体の内部に骨組みとなる金属パイプによって構成される内部フレーム140を備えており、背もたれ部120は座面部110の後端に座面部110に対して段階的に角度を切り替えることができるよう前後方向に回動可能に接続される。足置き部130は座面部110の前端に上下方向に回動可能に接続される。
【0024】
フレーム体200は、幅方向左右に配設される二組のフレーム構造体200A、200Bを連結杵230によって接続することで構成される。なお、
図2においては、側面視であるため、一組のフレーム構造体しか見えていない。
【0025】
それぞれのフレーム構造体200A、200Bは第一部材210及び第二部材220を接合することで構成される。
【0026】
第一部材210は、前後方向に延設され載置面に接地する略水平の接地板部211、接地板部211の上方において前後方向に延設される肘置き部212、及び、接地板部211の前端と肘置き部212の前端とを接続するよう上下方向に延設される縦杵部213によって構成され、側面視略コ字状に一体成形される。なお、
図2に示すように、肘置き部212は斜め後方に傾斜するよう形成してもよい。
【0027】
第二部材220は、接地板部211と肘置き部212の間の高さにおいて前後方向に略水平に延設される座面保持部221、座面保持部221の前端から上方に屈曲するとともに縦杵部213に固定される第一接続部222aが形成される縦片部222、及び、座面保持部221の後端から斜め後方に屈曲されるとともに肘置き部212に固定される第二接続部223aが形成される後方片部223によって構成される。なお、
図2においては、縦片部222は上方に屈曲しているが、下方に屈曲したものであってもよい。
【0028】
第一部材210と第二部材220は、第一接続部222aと第二接続部223aの二か所において接続される。第一接続部222aは、第一部材210においては縦杵部213の略上端の位置で、第二部材220においては縦片部222の略上端の位置に形成される。第二接続部223aは、第一部材210においては肘置き部212の略後端の位置で、第二部材220においては後方片部223の略後端の位置に形成される。つまり、
図2に示すように、第二部材220が第一部材210の後方から当接され、第一接続部222a及び第二接続部223aにおいて締結手段を用いて接続される。これを二つ製作することによって二組のフレーム構造体200A、200Bが形成される。
【0029】
このように形成したフレーム構造体200A、200Bを、連結杵230によって接続することで、フレーム体200が形成される。
図2に示すように、連結杵230は、それぞれのフレーム構造体200A、200Bにおける第一部材210の接地板部211の略後端の位置、及び、縦杵部213の略中間の位置の二か所を接続するよう配設される。それぞれの連結杵230は、周知の締結手段によって第一部材210と接続される。なお、本実施形態においては、連結杵230は上記二箇所のみに配設されるものであり、他の箇所には配設されない。特に、第一部材210の肘置き部212、及び、第二部材220の後方片部223には、リクライニング機能の妨げとなるため配設されず、リクライニング機能の妨げとならない接地板部211及び縦杵部213に配設される。
【0030】
椅子本体100のフレーム構造体200A、2000Bへの固定は、椅子本体100を第一部材210の縦杵部213における第一椅子支持部213a、及び、第二部材220の座面保持部221における第二椅子支持部221aにおいて締結手段を用いて接続することによって行われる。つまり、椅子本体100の内部フレーム140においては、第一椅子支持部213a及び第二椅子支持部221aに相当する位置において締結手段を接続可能な箇所が設けられており、当該箇所において締結手段を用いてフレーム構造体200A、2000Bに固定される。なお、第一椅子支持部213a及び第二椅子支持部221aのいずれにおいても、椅子本体100の座面部110が接続される。
【0031】
なお、椅子本体100をフレーム構造体200A、2000Bに接続するに際して、縦杵部213に配設された連結杵230上に椅子本体100が当接するよう、特に椅子本体100の座面部110が当接するよう、第一椅子支持部213aの位置を縦杵部213上の連結杵230が配設される位置の直上に設定すると、連結杵230で椅子本体100を支持することができるため、より安定性が向上して好ましい。
【0032】
以上のように構成されたリラックスチェア1によると、左右のフレーム構造体200A、2000Bを連結する連結杵230が接地板部211及び縦杵部213に配設されるため、椅子本体100の背もたれ部120の前後方向の回動を妨げることがなく、椅子本体100によるリクライニング機能が得られる。
【0033】
このとき、側面視略コ字状に形成される第一部材210が木製材料によって一体成形され、継手や接続部などを設けないため、材料の持つ剛性と延性を活かした部材を形成することができる。また、ともに前後方向に延設される肘置き部212と接地板部211を上下方向に接続する部材が前端の縦杵部213のみであるため、本実施形態に係るリラックスチェア1に使用者が腰を掛けると、第一部材210を形成する素材のしなりによって背部が下方に若干沈む。このように、素材の撓みを活かしたロッキング機能が得られる。
【0034】
しかも、側面視略コ字状の第一部材210のみでフレーム体200を形成すると強度的に劣るところ、第二部材220が縦杵部213と肘置き部212を接続することで補強材として機能するため、リクライニング機能とロッキング機能を両立させながら強度も保持することができる。
【0035】
さらに、フレーム体200が椅子本体100を支持する椅子支持部(第一椅子支持部213a及び第二椅子支持部221a)を第一部材210と第二部材220に設けるため、使用者の体重を第一部材210と第二部材220に分散させることができ、リクライニング機能とロッキング機能を保持しながらも強度を確保することができる。
【0036】
そして、縦杵部213上の連結杵230を第一椅子支持部213aの直下であって椅子本体100と当接するよう設けるため、椅子本体100と使用者の体重を縦杵部213に配設した連結杵230で支えることができる。そのため、縦杵部213自体の剛性を利用して十分な強度を得ることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0038】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明のリラックスチェアは、家庭用やオフィス用の椅子として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 リラックスチェア
100 椅子本体
110 座面部
120 背もたれ部
130 足置き部
140 椅子フレーム
200 フレーム体
200A フレーム構造体
200B フレーム構造体
210 第一部材
211 接地板部
212 肘置き部
213 縦杵部
213a 第一椅子支持部
220 第二部材
221 座面支持部
221a 第二椅子支持部
222 縦片部
222a 第一接続部
223 後方片部
223a 第二接続部
230 連結杵
【要約】
【課題】リクライニング機能とロッキング機能を同時に備えることができ、しかも、強度を保持することが可能なリラックスチェアを提供する。
【解決手段】本発明のリラックスチェアは、座面部と、座面部の後端に前後方向に回動可能に接続された背もたれ部とを備える椅子本体と、椅子本体を支持するフレーム体とからなるリラックスチェアである。フレーム体は左右に配置される二組のフレーム構造体を連結杵によって接続することで構成されており、それぞれのフレーム構造体は、前後方向に延設され載置面に接地する略水平の接地板部、接地板部の上方において前後方向に延設される肘置き部、及び、接地板部の前端と肘置き部の前端とを接続するよう上下方向に延設される縦杵部からなり、側面視略コ字状に一体成形される第一部材、及び、接地他部と肘置き部の間の高さにおいて前後方向に延設される座面保持部、座面保持部の前端から上下方向に屈曲するとともに縦杵部に固定される第一接続部が形成される縦片部、及び、座面保持部の後端から斜め後方に屈曲するとともに肘置き部に固定される第二接続部が形成される後方片部からなる第二部材、によって構成され、連結杵は接地板部及び縦杵部に配設される。
【選択図】
図1