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特許7436751電力変換装置の組立冶具、および電力変換装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電力変換装置の組立冶具、および電力変換装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H01L23/40 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023507955
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2022034774
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元林 大昂
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 育篤
(72)【発明者】
【氏名】中林 重幸
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-73983(JP,A)
【文献】特開平10-154790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34-23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に直交する第1方向に対向して配置された一対の固定部と、
前記上下方向および前記第1方向に直交する第2方向に対向するように前記一対の固定部に固定された一対の絶縁フレームに下方側から取付可能に設けられ、一対の絶縁フレームに取り付けられた取付状態において、一対の絶縁フレームの間で前記第1方向に交互に積層配置される放熱プレートと電力用半導体素子とを支持するための支持具と、を備え、
前記支持具は、積層配置された放熱プレートと電力用半導体素子とを前記第1方向に圧接する際に、放熱プレートおよび電力用半導体素子の前記第1方向への移動を案内するガイド部を含む、電力変換装置の組立冶具。
【請求項2】
前記支持具に取り外し可能に取り付けられ、前記支持具に取り付けられた状態において少なくとも放熱プレートを配置する位置を決定する位置決め部材をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置の組立冶具。
【請求項3】
前記一対の固定部を支持する土台部をさらに備え、
前記土台部には、前記支持具を取り付けて保管するための支持具用取付部と、前記位置決め部材を取り付けて保管するための位置決め部材用取付部とが設けられている、請求項2に記載の電力変換装置の組立冶具。
【請求項4】
前記一対の固定部を支持する土台部をさらに備え、
前記土台部は、前記第1方向の一方側に位置し、前記一対の固定部のうちの一方を支持する第1ユニットと、前記第1方向の他方側に位置し、前記一対の固定部のうちの他方を支持する第2ユニットと、ロック機構と、を含み、
前記第1ユニットは、前記第2ユニットに対して相対的に前記第1方向にスライド移動可能に設けられており、
前記ロック機構は、前記第1ユニットの相対的なスライド移動を可能にする状態と、前記第1ユニットの相対的なスライド移動を不能にする状態とを切替可能に設けられている、請求項1または2に記載の電力変換装置の組立冶具。
【請求項5】
前記一対の固定部を支持する土台部をさらに備え、
前記土台部は、前記取付状態において、前記支持具の下方に位置する部分を有し、
一対の絶縁フレームの間において、前記第1方向における前記支持具の両端部側に圧接機構が取り付けられ、かつ、前記第1方向における圧接機構の間で放熱プレートと電力半導体素子とが前記第1方向に圧接された圧接状態において、
前記第1方向における一方側に位置する部分の圧接機構と前記一対の固定部のうち前記第1方向における前記一方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて前記第1方向に並べられており、
前記第1方向における他方側に位置する部分の圧接機構と前記一対の固定部のうち前記第1方向における前記他方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて前記第1方向に並べられており、
前記放熱プレートと前記土台部のうち前記支持具の下方に位置する前記部分とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が前記上下方向に確保されて配置されている、請求項1または2に記載の電力変換装置の組立冶具。
【請求項6】
上下方向に直交する第1方向に対向して配置された一対の固定部に、前記上下方向および前記第1方向に直交する第2方向に対向するように一対の絶縁フレームを固定する工程と、
前記一対の固定部に固定された前記一対の絶縁フレームに下方側から支持具を取り付ける工程と、
前記一対の絶縁フレームの間において、前記第1方向における前記支持具の両端部側に、圧接機構を取り付ける工程と、
前記一対の絶縁フレームの間、かつ、前記第1方向における前記圧接機構の間で、放熱プレートと電力用半導体素子とを前記第1方向に交互に前記支持具上に積層配置する工程と、
前記圧接機構によって、前記支持具上に積層配置された前記放熱プレートと前記電力用半導体素子とを前記第1方向に圧接する工程と、を備え、
前記圧接する工程において、前記支持具に含まれるガイド部によって前記放熱プレートおよび前記電力用半導体素子の前記第1方向への移動が案内される、電力変換装置の製造方法。
【請求項7】
前記一対の絶縁フレームに取り付けられた前記支持具に、少なくとも前記放熱プレートを配置する位置を決定する位置決め部材を取り付ける工程を備え、
前記積層配置する工程は、前記位置決め部材を用いて、所定の間隔で前記第1方向に沿って前記放熱プレートを配置する工程と、前記第1方向に互いに隣り合う前記放熱プレートの間の隙間の各々に前記電力用半導体素子を配置する工程を含む、請求項6に記載の電力変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記圧接する工程の前に、前記位置決め部材を前記支持具から取り外す工程をさらに備える、請求項7に記載の電力変換装置の製造方法。
【請求項9】
前記電力用半導体素子は、前記第1方向に突出する突出部を有し、
前記放熱プレートは、前記上下方向に延在する溝部を有し、
前記第1方向に互いに隣り合う前記放熱プレートの間の隙間の各々に前記電力用半導体素子を配置する工程において、前記溝部に前記突出部が挿入されて、前記電力用半導体素子の前記上下方向への移動が案内される、請求項7または8に記載の電力変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記一対の絶縁フレームを固定する工程において、前記一対の固定部と前記一対の固定部を支持する土台部を有する組立冶具を用い、
前記土台部は、前記一対の絶縁フレームに前記支持具が取り付けられた取付状態において、前記支持具の下方に位置する部分を有し、
前記圧接する工程で、前記圧接機構によって、前記支持具上に積層配置された前記放熱プレートと前記電力用半導体素子とが前記第1方向に圧接された圧接状態において、
前記第1方向における一方側に位置する部分の圧接機構と前記一対の固定部のうち前記第1方向における前記一方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて前記第1方向に並べられており、
前記第1方向における他方側に位置する部分の圧接機構と前記一対の固定部のうち前記第1方向における前記他方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて前記第1方向に並べられており、
前記放熱プレートと前記土台部のうち前記支持具の下方に位置する前記部分とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が前記上下方向に確保されて配置されている、請求項7または8に記載の電力変換装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置の組立冶具、および電力変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大電力を取り扱う電力変換装置として、特開2003-168778号公報(特許文献1)には、複数の半導体素子と複数のヒートシンクとが上下方向に交互に積層された積層体を、上部加圧支持板と下部加圧支持板とで挟み込む構成が知られている。
【0003】
積層体と上部加圧支持板との間には球面座と皿バネとが配置されており、積層体の外側には、上部加圧支持板と下部加圧支持板とを貫通する絶縁ロッドが配置されている。当該絶縁ロッドを上部加圧支持板および下部加圧支持板に締結する締結部材の締結力を調整することにより、上部加圧支持板および下部加圧支持板によって積層体を圧接する圧接力が調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-168778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の電力変換装置にあっては、複数の半導体素子と複数のヒートシンクとが上下方向に交互に積層する。このため、電力変換装置の組立時において、積層途中あるいは積層後に複数の半導体素子および複数のヒートシンクが倒れることが懸念される。また、複数の半導体素子および複数のヒートシンクが倒れないようにバランスを取りながら積層するため、組立が困難であった。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、組立の安全性および作業性を向上させることができる電力変換装置の組立冶具、および電力変換装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電力変換装置の組立冶具は、上下方向に直交する第1方向に対向して配置された一対の固定部と、上記上下方向および上記第1方向に直交する第2方向に対向するように上記一対の固定部に固定された一対の絶縁フレームに、下方側から取付可能に設けられ、一対の絶縁フレームに取り付けられた取付状態において、一対の絶縁フレームの間で上記第1方向に交互に積層配置される放熱プレートと電力用半導体素子とを支持するための支持具と、を備える。上記支持具は、積層配置された放熱プレートと電力用半導体素子とを上記第1方向に圧接する際に、放熱プレートおよび電力用半導体素子の上記第1方向への移動を案内するガイド部を含む。
【0008】
上記本開示の電力変換装置の組立冶具は、上記支持具に取り外し可能に取り付けられ、上記支持具に取り付けられた状態において少なくとも放熱プレートを配置する位置を決定する位置決め部材をさらに備えていてもよい。
【0009】
上記本開示の電力変換装置の組立冶具にあっては、上記一対の固定部を支持する土台部をさらに備えていてもよい。この場合には、上記土台部には、上記支持具を取り付けて保管するための支持具用取付部と、上記位置決め部材を取り付けて保管するための位置決め部材用取付部とが設けられていてもよい。
【0010】
上記本開示の電力変換装置の組立冶具は、上記一対の固定部を支持する土台部をさらに備えていてもよい。この場合には、上記土台部は、上記第1方向の一方側に位置し、上記一対の固定部のうちの一方を支持する第1ユニットと、上記第1方向の他方側に位置し、上記一対の固定部のうちの他方を支持する第2ユニットと、ロック機構と、を含んでいてもよい。さらにこの場合には、上記第1ユニットは、上記第2ユニットに対して相対的に上記第1方向にスライド移動可能に設けられていることが好ましく、上記ロック機構は、上記第1ユニットの相対的なスライド移動を可能にする状態と、上記第1ユニットの相対的なスライド移動を不能にする状態とを切替可能に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記本開示の電力変換装置の組立冶具は、上記一対の固定部を支持する土台部をさらに備えていてもよく、上記土台部は、上記取付状態において、上記支持具の下方に位置する部分を有していてもよい。この場合には、一対の絶縁フレームの間において、上記第1方向における上記支持具の両端部側に圧接機構が取り付けられ、かつ、上記第1方向における圧接機構の間で放熱プレートと電力半導体素子とが上記第1方向に圧接された圧接状態において、上記第1方向における一方側に位置する部分の圧接機構と上記一対の固定部のうち上記第1方向における上記一方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて上記第1方向に並べられていることが好ましい。また、上記第1方向における他方側に位置する部分の圧接機構と上記一対の固定部のうち上記第1方向における上記他方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて上記第1方向に並べられていることが好ましい。さらに、上記放熱プレートと上記土台部のうち上記支持具の下方に位置する上記部分とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が上記上下方向に確保されて配置されていることが好ましい。
【0012】
本開示の電力変換装置の製造方法は、上下方向に直交する第1方向に対向して配置された一対の固定部に、上記上下方向および上記第1方向に直交する第2方向に対向するように一対の絶縁フレームを固定する工程と、上記一対の固定部に固定された上記一対の絶縁フレームに下方側から支持具を取り付ける工程と、上記一対の絶縁フレームの間において、上記第1方向における上記支持具の両端部側に、圧接機構を取り付ける工程と、上記一対の絶縁フレームの間、かつ、上記第1方向における上記圧接機構の間で、放熱プレートと電力用半導体素子とを上記第1方向に交互に上記支持具上に積層配置する工程と、上記圧接機構によって、上記支持具上に積層配置された上記放熱プレートと上記電力用半導体素子とを上記第1方向に圧接する工程と、を備える。上記圧接する工程において、上記支持具に含まれるガイド部によって上記放熱プレートおよび上記電力用半導体素子の上記第1方向への移動が案内される。
【0013】
上記本開示の電力変換装置の製造方法は、上記一対の絶縁フレームに取り付けられた上記支持具に、少なくとも放熱プレートを配置する位置を決定する位置決め部材を取り付ける工程を備えていてもよい。この場合には、上記積層配置する工程は、上記位置決め部材を用いて、所定の間隔で上記第1方向に沿って上記放熱プレートを配置する工程と、上記第1方向に互いに隣り合う上記放熱プレートの間の隙間の各々に上記電力用半導体素子を配置する工程を含んでいてもよい。
【0014】
上記本開示の電力変換装置の製造方法は、上記圧接する工程の前に、上記位置決め部材を上記支持具から取り外す工程をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
上記本開示の電力変換装置の製造方法にあっては、上記電力用半導体素子は、上記第1方向に突出する突出部を有していてもよく、上記放熱プレートは、上記上下方向に延在する溝部を有していてもよい。この場合には、上記第1方向に互いに隣り合う上記放熱プレートの間の隙間の各々に上記電力用半導体素子を配置する工程において、上記溝部に上記突出部が挿入されて、上記電力用半導体素子の上記上下方向への移動が案内されることが好ましい。
【0016】
上記本開示の電力変換装置の製造方法にあっては、上記一対の絶縁フレームを固定する工程において、上記一対の固定部と上記一対の固定部を支持する土台部を有する組立冶具を用いてもよい。上記土台部は、上記一対の絶縁フレームに上記支持具が取り付けられた取付状態において、上記支持具の下方に位置する部分を有していてもよい。この場合には、上記圧接する工程で、上記圧接機構によって、上記支持具上に積層配置された上記放熱プレートと上記電力用半導体素子とが上記第1方向に圧接された圧接状態において、上記第1方向における一方側に位置する部分の圧接機構と上記一対の固定部のうち上記第1方向における上記一方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて上記第1方向に並んで配置されていることが好ましい。また、上記第1方向における他方側に位置する部分の圧接機構と上記一対の固定部のうち上記第1方向における上記他方側に位置する固定部とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が確保されて上記第1方向に並んで配置されていることが好ましい。さらに、上記放熱プレートと上記土台部のうち上記支持具の下方に位置する上記部分とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離が上記上下方向に確保されて配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
組立の安全性および作業性を向上させることができる電力変換装置の組立冶具、および電力変換装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具の斜視図である。
図2】実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具における支持ユニットの分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る支持具を裏面側から見た図である。
図4】実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具の土台部を小さくまとめる際の動作を説明する図である。
図5】実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具を小さくまとめた状態を示す図である。
図6】実施の形態に係る電力変換装置の製造工程を示すフロー図である。
図7図6に示す一対の絶縁フレームを固定する工程を示す図である。
図8図6に示す支持具を取り付ける工程を示す図である。
図9図6に示す位置決め部材を取り付ける工程を示す図である。
図10図6に示す補強フレームを固定する工程を示す図である。
図11図6に示す圧接機構を取り付ける工程の第1工程を示す図である。
図12】実施の形態に係る電力変換装置に用いられる放熱プレートを示す斜視図である。
図13図6に示す圧接機構を取り付ける工程の第2工程を示す図である。
図14図6に示す放熱プレートと電力用半導体素子とを積層配置する工程の第1工程を示す図である。
図15】実施の形態に係る電力変換装置に用いられる電力用半導体素子を示す斜視図である。
図16図6に示す放熱プレートと電力用半導体素子とを積層配置する工程の第2工程を示す図である。
図17図6に示す位置決め部材を取り外す工程を示す図である。
図18図6に示す積層配置された放熱プレートと電力用半導体素子を圧接する工程を示す図である。
図19図6に示す圧接する工程の後状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
(電力変換装置の組立冶具)
図1は、実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具の斜視図である。図1を参照して、実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具1について説明する。
【0021】
組立冶具1は、一対の固定部11,15、支持ユニット20、および土台部30を備える。
【0022】
一対の固定部11,15は、後述する電力変換装置200(図19参照)の一対の絶縁フレーム121,122(図7参照)を固定するための部位である。一対の固定部11,15は、上下方向に直交する第1方向(DR1方向)に対向して配置されている。一対の固定部11,15は、第1方向に離間して配置されている。一対の固定部11,15は、土台部30に支持されている。
【0023】
固定部11は、第1方向の一方側に位置する。固定部11は、平板部12、および側壁部13,14を含む。
【0024】
平板部12は、上下方向に厚みを有し、上下方向および第1方向に直交する第2方向(DR2方向)に延在する。側壁部13は、第2方向に厚みを有し、第2方向における平板部12の一端から上方に向けて延在する。側壁部14は、第2方向に厚みを有し、第2方向における平板部12の他端から上方に向けて延在する。側壁部13,14は、第2方向に対向するように配置されている。側壁部13,14は、第2方向に離間して配置されている。
【0025】
固定部15は、第1方向の他方側に位置する。固定部15は、平板部16、および側壁部17,18を含む。
【0026】
平板部16は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。側壁部17は、第2方向に厚みを有し、第2方向における平板部16の一端から上方に向けて延在する。側壁部18は、第2方向に厚みを有し、第2方向における平板部16の他端から上方に向けて延在する。側壁部17,18は、第2方向に対向するように配置されている。側壁部17,18は、第2方向に離間して配置されている。
【0027】
土台部30は、一対の固定部11,15を支持する。土台部30は、第1ユニット31と、第2ユニット32と、接続部材33と、複数のキャスター71,72,73とを含む。土台部30は、複数のキャスター71,72,73によって移動可能となっている。
【0028】
第1ユニット31は、第1方向の一方側に位置し、一対の固定部のうちの一方である固定部11を支持する。第1ユニット31は、基礎部41、支持台44、および一対の長手部材48,49を含む。
【0029】
基礎部41は、支持台44を支持する。基礎部41は、平板部42、および側壁部43を有する。平板部42は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。側壁部43は、第1方向に厚みを有し、第1方向の一方側における平板部42の端部から下方に向けて延在する。平板部42の下面側には、キャスター71が固定されている。側壁部43は、第1方向の外側からキャスター71に対向する。
【0030】
支持台44は、底板部45、起立壁部46、および上板部47を有する。底板部45は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。底板部45は、平板部42の上面に固定されている。上板部47は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。上板部47は、底板部45と上下方向に対向する。上板部47は、底板部45の上方に配置されている。上板部47の上面には、固定部11が固定されている。
【0031】
起立壁部46は、第1方向に厚みを有し、第1方向における底板部45の中央部から上方に向けて延在する。起立壁部46は、第1方向における底板部45の中央部と、第1方向における上板部47の中央部とを接続する。
【0032】
起立壁部46には、位置決め部材用取付部51および支持具用取付部53が設けられている。位置決め部材用取付部51は、後述する位置決め部材27(図2参照)を取り付けて保管するためのものである。支持具用取付部53は、後述する支持具21(図2参照)を取り付けて保管するためのものである。
【0033】
位置決め部材用取付部51および支持具用取付部53は、位置決め部材27および支持具21を取り付けた状態で、互いに位置決め部材27および支持具21が干渉しないように設けられている。
【0034】
具体的には、位置決め部材用取付部51は、第2方向の一方側に位置する起立壁部46の端部側に設けられている。支持具用取付部53は、第2方向の他方側に位置する起立壁部46の端部側に設けられている。
【0035】
一対の長手部材48,49は、第1方向に沿って延在する。一対の長手部材48,49は、第2方向に対向して配置されている。一対の長手部材48,49は、第2方向に離間して配置されている。
【0036】
第1方向における一対の長手部材48,49の一端は、締結部材81によって平板部42に固定されている。第1方向における一対の長手部材48,49の他端は、締結部材82によって、接続部材33に固定されている。具体的には、上記一対の長手部材48,49の他端は、第1方向の一方側に位置する接続部材33の端部に固定されている。
【0037】
上記締結部材82は、ロック機構として機能する。ロック機構は、第2ユニットに対する第1ユニット31の相対的なスライド移動を可能にする状態と、第1ユニット31の相対的なスライド移動を不能にする状態とを切替可能に設けられている。
【0038】
すなわち、締結部材82によって一対の長手部材48,49の他端が接続部材33に締結されている状態では、第1ユニット31の相対的なスライド移動は不能となる。一方で、締結部材82による一対の長手部材48,49の締結が解除された状態では、第1ユニット31の相対的なスライド移動が可能となる。
【0039】
第2ユニット32は、第1方向の他方に位置し、一対の固定部のうちの他方である固定部15を支持する。第2ユニット32は、基礎部61、支持台64、および一対の長手部材68,69を含む。
【0040】
基礎部61は、支持台64を支持する。基礎部61は、平板部62、および側壁部63を有する。平板部62は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。側壁部63は、第1方向に厚みを有し、第1方向の他方側における平板部62の端部から下方に向けて延在する。平板部42の下面側には、キャスター73が固定されている。側壁部63は、第1方向の外側からキャスター73に対向する。
【0041】
支持台64は、底板部65、起立壁部66、および上板部67を有する。底板部65は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。底板部65は、平板部62の上面に固定されている。上板部67は、上下方向に厚みを有し、第2方向に延在する。上板部67は、底板部65と上下方向に対向する。上板部67は、底板部65の上方に配置されている。上板部67の上面には、固定部15が固定されている。
【0042】
起立壁部66は、第1方向における底板部65の中央部から上方に向けて延在する。起立壁部66は、第1方向における底板部65の中央部と、第1方向における上板部67の中央部とを接続する。
【0043】
起立壁部66には、位置決め部材用取付部52および支持具用取付部54が設けられている。位置決め部材用取付部52は、位置決め部材27(図2参照)を取り付けて保管するためのものである。支持具用取付部54は、支持具21(図2参照)を取り付けて保管するためのものである。
【0044】
位置決め部材用取付部52および支持具用取付部54は、位置決め部材27および支持具21を取り付けた状態で、互いに位置決め部材27および支持具21が干渉しないように設けられている。
【0045】
具体的には、位置決め部材用取付部52は、第2方向の一方側に位置する起立壁部66の端部側に設けられている。支持具用取付部54は、第2方向の他方側に位置する起立壁部66の端部側に設けられている。
【0046】
一対の長手部材68,69は、第1方向に沿って延在する。一対の長手部材68,69は、第2方向に対向して配置されている。一対の長手部材68,69は、第2方向に離間して配置されている。
【0047】
第1方向における一対の長手部材68,69の一端は、第1方向の他方側に位置する接続部材33の端部に固定されている。第1方向における一対の長手部材68,69の他端は、締結部材84によって、平板部62に固定されている。
【0048】
第1方向における一対の長手部材68,69の一端側には、傾斜部68a,69aが設けられている。傾斜部68a,69aは、第1方向の一方側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。傾斜部68a,69aは、第1ユニット31を第2ユニット32側に向けて移動させる際に、一対の長手部材48,49の移動を案内する。
【0049】
接続部材33は、第1ユニット31と第2ユニット32とを接続する。具体的には、上述のように、第1方向における一対の長手部材48,49の他端、および第1方向における一対の長手部材68,69の一端が接続部材33に固定されていることで、接続部材33は、第1ユニット31と第2ユニット32とを接続する。接続部材33の下面側には、キャスター72が固定されている。
【0050】
接続部材33は、上下方向に厚みを有する平板形状を有する。接続部材33は、後述するように、電力変換装置200が組立冶具1を用いて組み立てられた状態において、支持具21の下方に位置する。
【0051】
図2は、実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具における支持ユニットの分解斜視図である。図2を参照して、支持ユニット20について説明する。
【0052】
支持ユニット20は、支持具21と位置決め部材27と、一対の固定部材91,92とを含む。すなわち、組立冶具1は、支持具21と位置決め部材27と一対の固定部材91,92とを備える。
【0053】
支持具21は、一対の固定部11,15に固定された一対の絶縁フレーム121,122に、下方側から取付可能に設けられている。支持具21は、一対の絶縁フレーム121,122に取り付けられた取付状態において、第1方向に交互に積層配置される放熱プレート150(図12参照)と電力用半導体素子(図15参照)とを支持するものである。
【0054】
支持具21は、本体部22、圧接機構支持部23,24、ガイド部25,26を含む。本体部22は、板状部220、側壁部221,222、およびフランジ部223,224を有する。
【0055】
板状部220は、第1方向に沿って延在する。後述するように、板状部220には、放熱プレート150(図13参照)と電力用半導体素子(図15参照)とが交互に並べて配置される。板状部220には、複数の穴部220hが設けられている。複数の穴部220hは、第1方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数の穴部220hは、放熱プレート150を配置する位置に設けられている。複数の穴部220hには、後述する放熱プレート150の突出片152が挿入される。
【0056】
側壁部221は、第2方向における板状部220の一端から上方に起立するように設けられている。側壁部222は、第2方向における板状部220の他端から上方に起立するように設けられている。
【0057】
フランジ部223は、側壁部221の上端から第2方向の一方側に向けて突出するように設けられている。フランジ部223は、一対の絶縁フレーム121,122に支持具21を取り付ける際に、絶縁フレーム121に固定される。
【0058】
フランジ部224は、側壁部222の上端から第2方向の他方側に向けて突出するように設けられている。フランジ部224は、一対の絶縁フレーム121,122に支持具21を取り付ける際に、絶縁フレーム122に固定される。
【0059】
圧接機構支持部23,24は、後述する圧接機構130(図11参照)、圧接機構140(図13参照)を支持するための部位である。圧接機構支持部23,24は、板状部220に固定されている。
【0060】
圧接機構支持部23,24は、第1方向に間隔をあけて並んで配置されている。圧接機構支持部23は、第1方向の一方側に位置する板状部220の一端側に配置されている。圧接機構支持部24は、第1方向の他方側に位置する板状部220の他端側に配置されている。第1方向において、圧接機構支持部23,24の間には、複数の穴部220hが配置されている。
【0061】
ガイド部25,26は、第1方向に沿って延在する。ガイド部25,26は、側壁部221,222の内側で本体部22(より特定的には板状部220)に固定されている。ガイド部25,26は、側壁部221,222から離れて配置されている。
【0062】
ガイド部25は、第2方向に側壁部221に対向するように配置されており、ガイド部25と側壁部221との間には、隙間S1が設けられている。ガイド部26は、第2方向に側壁部222に対向するように配置されており、ガイド部26と側壁部222との間には、隙間S2が設けられている。
【0063】
ガイド部25,26は、第2方向に厚みを有し、第1方向に沿って延在する平板部を有する。ガイド部25,26は、第2方向に間隔をあけて並んで配置されている。電力変換装置200を製造する際には、ガイド部25,26の間に、放熱プレート150と電力用半導体素子160とが、第1方向に積層配置される。ガイド部25,26は、積層配置された放熱プレート150と電力用半導体素子160とを第1方向に圧接する際に、放熱プレート150および電力用半導体素子160の第1方向への移動を案内する。
【0064】
ガイド部25の上記平板部には、複数の穴部25hが設けられている。複数の穴部25hは、第1方向に間隔をあけて並んで配置されている。ガイド部26の上記平板部には、複数の穴部26hが設けられている。複数の穴部26hは、複数の穴部25hに対応する位置に設けられている。複数の穴部26hは、第2方向に複数の穴部25hに対向するようにして、第1方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0065】
位置決め部材27は、支持具21に取り外し可能に設けられている。位置決め部材27は、支持具21に取り付けられた状態において、少なくとも放熱プレート150を配置する位置を決定する。位置決め部材27は、第1部材28と、第2部材29とを含む。
【0066】
第1部材28は、第2方向に厚みを有する平板形状を有し、第2方向に沿って延在する。第1部材28は、取付状態において、ガイド部25の平板部に対向する主面28aを有する。当該主面28aには、複数のピン28Pが設けられている。
【0067】
複数のピン28Pは、当該主面28aの法線方向に突出するように設けられている。複数のピン28Pは、第2方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数のピン28Pは、取付状態において複数の穴部25hに挿入される。
【0068】
第2部材29は、第2方向に厚みを有する平板形状を有し、第2方向に沿って延在する。第2部材29は、取付状態において、ガイド部26の平板部に対向する主面29aを有する。当該主面29aには、複数のピン29Pが設けられている。
【0069】
複数のピン29Pは、当該主面29aの法線方向に突出するように設けられている。複数のピン29Pは、第2方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数のピン29Pは、複数のピン28Pと対応する位置に設けられている。複数のピン29Pは、取付状態において複数の穴部26hに挿入される。
【0070】
第1方向に隣り合うピン28Pの間、および第1方向に隣り合うピン29Pの間に、放熱プレート150、または電力用半導体素子160が配置されることにより、放熱プレート150および電力用半導体素子160が位置決めされる。
【0071】
一対の固定部材91は、第1部材28がガイド部25に組み付けられた状態において、第2方向における第1部材28の位置を固定するための部材である。具体的には、上記複数の穴部25hに複数のピン28Pが入り込むように上記ガイド部25に第1部材28が組み付けられた状態において、一対の固定部材91が、上記側壁部221と第1部材28との間に配置される。
【0072】
また、一対の固定部材91は、第1方向における第1部材28の一端側および他端側に設けられた取付孔部28hに取付可能に設けられている。一対の固定部材91は、後述する組立冶具1の保管状態においては、当該取付孔部28hに固定される。
【0073】
同様に、一対の固定部材92は、第2部材29がガイド部26に組み付けられた状態において、第2方向における第2部材29の位置を固定するための部材である。具体的には、上記複数の穴部26hに複数のピン29Pが入り込むように上記ガイド部26に第1部材29が組み付けられた状態において、一対の固定部材92が、上記側壁部222と第2部材29との間に配置される。
【0074】
また、一対の固定部材92は、第1方向における第2部材29の一端側および他端側に設けられた取付孔部29hに取付可能に設けられている。一対の固定部材92は、組立冶具1の保管状態においては、当該取付孔部29hに固定される。
【0075】
図3は、実施の形態に係る支持具を裏面側から見た図である。図3に示すように、支持具21の裏面側には一対の取手225が設けられている。一対の取手225を用いて支持具21を把持して移動させることができる。これにより、支持具21の取付け、取外しを容易に行なうことができる。
【0076】
図4は、実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具の土台部を小さくまとめる際の動作を説明する図である。
【0077】
土台部30を小さくまとめる際には、まず、締結部材82による一対の長手部材48,49と接続部材33との締結を解除する。これにより、上述のように、第2ユニット32に対する第1ユニット31の相対的なスライド移動が可能となる。
【0078】
当該状態において、第2ユニット32に近づくように、第1ユニット31を第1方向の他方側に向けて移動させる。この際、矢印AR1に示すように、上述の傾斜部68a,69aによって、一対の長手部材48,49が第2ユニット32の一対の長手部材68,69の上方に乗り上げるように、一対の長手部材48,49の移動が案内される。この状態で、矢印AR2に示すように、さらに第1ユニット31を第1方向の他方側に向けて移動させることで、一対の長手部材68,69の上方に一対の長手部材48,49を重ねて配置することができる。なお、一対の長手部材68,69の上方に一対の長手部材48,49を重ねて配置した後は、転倒防止のため、長手部材48と長手部材68とをボルト等の締結部材によって締結固定することが好ましい。長手部材48および長手部材68は、接続部材33に締結される。同様に、長手部材49と長手部材69と締結固定してもよく、この場合においても、長手部材49および長手部材69は接続部材33に締結される。
【0079】
図5は、実施の形態に係る電力変換装置の組立冶具を小さくまとめた状態を示す図である。図5に示すように、一対の長手部材68,69の上方に一対の長手部材48,49を重ねて配置した状態で、位置決め部材用取付部51,52および支持具用取付部53,54に、位置決め部材27および支持具21を取り付ける。
【0080】
具体的には、位置決め部材27は、第2方向の一方側において、支持台44と支持台64とに跨がるように位置決め部材用取付部51,52に取り付けられる。この際、位置決め部材27における第1部材28は、一対の固定部材91が固定された状態で位置決め部材用取付部51,52に取り付けられる。同様に、位置決め部材27における第2部材29は、一対の固定部材92が固定された状態で、位置決め部材用取付部51,52に取り付けられる。
【0081】
支持具21は、第2方向の他方側において、支持台44と支持台64とに跨がるように支持具用取付部53,54に取り付けられる。
【0082】
このように組立冶具1を小さくまとめることにより、電力変換装置200の製造前あるいは製造後に、スペースをとらずに所定の場所に組立冶具1を保管することができる。
【0083】
(電力変換装置の製造方法)
図6は、実施の形態に係る電力変換装置の製造工程を示すフロー図である。図7から図19は、図6に示す各製造工程、所定の工程の後状態、あるいは、電力変換層に用いられる放熱プレートまたは電力用半導体素子を示す図である。なお、図7から図10においては、便宜上組立冶具1のキャスター71,72,73を省略している。
【0084】
図6から図19を参照して、実施の形態に係る電力変換装置200の製造方法について説明する。
【0085】
図6に示すように、電力変換装置の製造方法は、一対の絶縁フレーム121,122を固定する工程(S10)、支持具21を取り付ける工程(S11)、位置決め部材27を取り付ける工程(S13)、圧接機構を取り付ける工程(S14)、放熱プレート150と電力用半導体素子160とを積層配置する工程(S15)、位置決め部材27を取り外す工程(S16)、および、積層配置された放熱プレート150と電力用半導体素子160とを圧接する工程(S17)を備える。
【0086】
図7は、図6に示す一対の絶縁フレームを固定する工程を示す図である。図6および図7に示すように、電力変換装置200を製造するに際して、まず、工程(S10)において、第1方向に対向して配置された一対の固定部11,15に、第2方向に対向するように一対の絶縁フレーム121,122を固定する。
【0087】
具体的には、上記のように一対の固定部11,15と当該一対の固定部11,15を支持する土台部30を有する組立冶具1を準備し、第1ユニット31の相対的なスライド移動が不能となった状態で、第1方向に離間して配置された一対の固定部11,15に一対の絶縁フレーム121,122を固定する。
【0088】
絶縁フレーム121は、側壁部13、側壁部17の外側において、側壁部13および側壁部17に跨がるように固定される。絶縁フレーム122は、上述の側壁部14および側壁部18の外側において、側壁部14および側壁部18に跨がるように固定される。
【0089】
一対の絶縁フレーム121,122は、たとえば、繊維強化プラスチック(FRP)等の絶縁部材によって構成されている。
【0090】
図8は、図6に示す支持具を取り付ける工程を示す図である。図6および図8に示すように、工程(S11)において、一対の固定部11,15に固定された一対の絶縁フレーム121,122に下方側から支持具21を取り付ける。
【0091】
具体的には、絶縁フレーム121,122の下方に支持具21のフランジ部223,224を重ね合わせ、これらを締結部材に締結する。
【0092】
図9は、図6に示す位置決め部材を取り付ける工程を示す図である。図6および図9に示すように、工程(S12)において、一対の絶縁フレーム121,122に取り付けられた支持具21に、位置決め部材27を取り付ける。
【0093】
具体的には、支持具21の上記隙間S1に位置決め部材27の第1部材28を配置し、複数のピン28Pを、ガイド部25に設けられた複数の穴部25hに挿入する。この状態で、第1方向における第1部材28の両端側において、第1部材28と上述の側壁部221との間に固定部材91を配置し、第1部材28を固定する。
【0094】
同様に、支持具21の上記隙間S2に位置決め部材27の第2部材29を配置し、複数のピン29Pを、ガイド部26に設けられた複数の穴部26hに挿入する。この状態で、第1方向における第1部材28の両端側において、第2部材29と上述の側壁部222との間に固定部材92(図11参照)を配置し、第2部材29を固定する。
【0095】
図10は、図6に示す補強フレームを固定する工程を示す図である。図6および図10に示すように、工程(S13)において、一対の絶縁フレーム121,122に補強フレーム123,124を固定する。具体的には、第1方向において支持具21の両外側で、一対の補強フレーム123,124を固定する。
【0096】
補強フレーム123は、第1方向の一方側に位置する支持具21の端部と固定部11との間に配置される。補強フレーム123は、固定部11から絶縁距離を確保した状態で一対の絶縁フレーム121,122に固定される。補強フレーム123は、第2方向に沿って延在し、一対の絶縁フレーム121,122を接続するように固定される。
【0097】
補強フレーム124は、第1方向の他方側に位置する支持具21の端部と固定部15との間に配置される。補強フレーム124は、固定部15から絶縁距離を確保した状態で一対の絶縁フレーム121,122に固定される。補強フレーム124は、第2方向に沿って延在し、一対の絶縁フレーム121,122を接続するように固定される。
【0098】
補強フレーム123,124は、金属部材によって構成されている。補強フレーム123,124は、後述するように、圧接された放熱プレート150と電力用半導体素子160からの反力に対して十分な強度を有する。
【0099】
続いて、再び図6に示すように、工程(S14)において、一対の絶縁フレーム121の間において、第1方向における支持具21の両端部側に圧接機構130,140を取り付ける。
【0100】
図11は、図6に示す圧接機構を取り付ける工程の第1工程を示す図である。図11に示すように、工程(S14)においては、まず第1工程において、第1方向の一方側における支持具21の端部側に圧接機構130を取り付ける。
【0101】
圧接機構130は、第1押さえ部材131、第2押さえ部材132、弾性付勢部材133、締結部材135を有する。第1押さえ部材131は、補強フレーム123を貫通するピン131Pと、弾性付勢部材133を支持する支持部とを有する。弾性付勢部材133としては、たとえば、皿バネを採用することができる。
【0102】
圧接機構130を取り付けるに当たり、第1押さえ部材131に弾性付勢部材133を組み付けた状態で、当該第1押さえ部材131を補強フレーム123に固定する。第1押さえ部材131は、補強フレーム123に当接した状態で固定される。具体的には、ピン131Pを補強フレーム123に設けられた貫通孔に挿入し、締結部材135を用いて第1押さえ部材131を補強フレーム123に固定する。
【0103】
また、放熱プレート150と第2押さえ部材132とを組み合わせた状態で、第1押さえ部材131と第2押さえ部材132とによって弾性付勢部材133を挟み込むように、放熱プレート150を支持具21に位置合わせする。
【0104】
図12は、実施の形態に係る電力変換装置に用いられる放熱プレートを示す斜視図である。図12に示すように、放熱プレート150は、略直方体状の本体部151と、突出片152とを含む。
【0105】
本体部151は、厚さ方向に相対する第1主面151aおよび第2主面151bを有する。なお、厚さ方向は、放熱プレート150が支持具21に配置(支持)された状態において第1方向と略平行となる。
【0106】
第1主面151aおよび第2主面151bの各々には、幅方向の中央部に、高さ方向の略中央にまで延びる溝部151cが設けられている。なお、幅方向は、放熱プレート150が、支持具21に配置(支持)された状態においては、第2方向と略平行となる。高さ方向は、放熱プレート150が、支持具21に配置(支持)された状態においては、上下方向と略平行となる。すなわち、溝部151cは、上下方向に延在する。
【0107】
放熱プレート150は、熱伝導性および導電性の良好な金属部材によって構成されている。当該金属部材としては、たとえば、アルミニウム、銅等の金属、あるいはこれらの合金等を採用することができる。
【0108】
上述のように、放熱プレート150と押さえ部材132とを組み合わせる場合には、押さえ部材132側に位置する第1主面151aに設けられた溝部151cに、押さえ部材132に設けられた突起部(不図示)を挿入する。
【0109】
また、上述のように、押さえ部材131と押さえ部材132とによって弾性付勢部材133を挟み込むように放熱プレート150を支持具21に位置合わせする場合には、第1方向の最も一方側に位置する穴部220hに、放熱プレート150の突出片152を挿入する。この際、第1方向の最も一方側に位置するピン28Pおよびピン29Pと、最も一方側に位置するピン28Pおよびピン29Pに隣り合うピン28Pおよびピン29Pとの間に、放熱プレート150(より特定的には本体部151)を配置する。
【0110】
図13は、図6に示す圧接機構を取り付ける工程の第2工程を示す図である。図13に示すように、工程(S14)の第2工程においては、第1方向の一方側における支持具21の端部側に圧接機構140を取り付ける。
【0111】
圧接機構140は、第3押さえ部材141、ピン部材142、締結部材145を有する。ピン部材142は、頂部142aとシャフト部142Pとを有する。頂部142aは、たとえば、球面座を有する。
【0112】
圧接機構140を取り付けるにあたり、ピン部材142を補強フレーム124に固定する。具体的には、頂部142aが補強フレーム124よりも第1方向の一方側(支持具21側)に位置するように、シャフト部142Pを補強フレーム124に設けられた貫通孔に挿入し、締結部材145を用いてピン部材142を補強フレーム124に固定する。この際、上述のように頂部142aは球面座を有しているため、ピン部材142は、第1方向の他方側にずらしておくことが好ましい。
【0113】
また、放熱プレート150と第3押さえ部材141とを組み合わせた状態で、放熱プレート150と頂部142aとによって第3押さえ部材141を挟み込むように、放熱プレート150を支持具21に位置合わせする。
【0114】
具体的には、放熱プレート150と第3押さえ部材141とを組み合わせた状態で、第1方向の最も他方側に位置する穴部220hに、放熱プレート150の突出片152を挿入する。この際、第1方向の最も他方側に位置するピン28Pおよびピン29Pと、最も他方側に位置するピン28Pおよびピン29Pに隣り合うピン28Pおよびピン29Pとの間に、放熱プレート150(より特定的には本体部151)を配置する。この際、ピン部材142を第1方向の一方側に移動させ、所定の位置に圧接機構140を位置合わせする。
【0115】
続いて、再び図6に示すように、工程(S15)において、一対の絶縁フレーム121,122の間、かつ、第1方向における圧接機構130,140の間で、放熱プレート150と電力用半導体素子160とを第1方向に交互に支持具21上に積層配置する。
【0116】
図14は、図6に示す放熱プレートと電力用半導体素子とを積層配置する工程の第1工程を示す図である。
【0117】
図14に示すように、工程(S15)においては、まず第1工程において、位置決め部材27を用いて、所定の間隔で第1方向に沿って放熱プレート150を配置する。具体的には、複数の穴部220hに複数の放熱プレート150の突出片152を挿入する。この際、複数の放熱プレート150の各々は、所定のピン28Pおよびピン29Pと、当該所定のピン28Pおよびピン29Pに第1方向の一方側に隣り合うピン28Pおよびピン29Pとの間に配置される。これにより、複数の放熱プレート150が位置決めされる。
【0118】
図15は、実施の形態に係る電力変換装置に用いられる電力用半導体素子を示す斜視図である。
【0119】
図15に示すように、電力用半導体素子160は、略円柱形状を有する。電力用半導体素子は、厚さ方向に相対する第1主面160aおよび第2主面160bを有する。なお、厚さ方向は、電力用半導体素子160と放熱プレート150とを支持具21上で積層配置した場合に、第1方向に略平行となる。
【0120】
第1主面160aおよび第2主面160bには、中心部に突出部160cが設けられている。当該突出部160cは、放熱プレート150(より特定的には溝部151c)と係合するように設けられている。
【0121】
図16は、図6に示す放熱プレートと電力用半導体素子とを積層配置する工程の第2工程を示す図である。
【0122】
図16に示すように、工程(S15)の第2工程においては、第1方向に互いに隣り合う放熱プレート150の間の隙間の各々に電力用半導体素子160を配置する。
【0123】
具体的には、互いに隣り合う放熱プレート150において、第1方向に向かい合う第1主面151aと第2主面151bとに設けられた溝部151cの各々に、電力用半導体素子160の第1主面160aおよび第2主面160bの各々に設けられた突出部160cを上方から挿入する。その後、突出部160cが溝部151cの基端に突き当たるまで、電力用半導体素子160を下方に向けて移動させる。
【0124】
このように、工程(S15)の第2工程においては、溝部151cに突出部160cが挿入されて、電力用半導体素子160の下方への移動が案内される。また、当該溝部151cによって、電力用半導体素子160が位置決めされる。なお、電力用半導体素子160は、上述の位置決め部材27によって位置決めされてもよい。
【0125】
図17は、図6に示す位置決め部材を取り外す工程を示す図である。図6および図17に示すように、工程(S16)において、位置決め部材27を支持具21から取り外す。当該工程(S16)は、工程(S15)の後、工程(S17)の前に実施される。
【0126】
位置決め部材27を支持具21から取り外す際には、第2方向の一方側において、第1部材28と上述の側壁部221との間に配置された固定部材91を取り外し、第1部材28を第2方向の一方側に移動させて、ガイド部25に設けられた複数の穴部25hから複数のピン28Pを抜き出す。その後、第1部材28を上方に移動させる。
【0127】
第2方向の他方側において、第2部材29と上述の側壁部222との間に配置された固定部材92を取り外し、第2部材29を第2方向の他方側に移動させて、ガイド部26に設けられた複数の穴部26hから複数のピン29Pを抜き出す。その後、第2部材29を上方に移動させる。
【0128】
図18は、図6に示す積層配置された放熱プレートと電力用半導体素子を圧接する工程を示す図である。
【0129】
図6および図18に示すように、工程(S17)において、圧接機構130,140によって、支持具21上に積層配置された放熱プレート150と電力用半導体素子160とを第1方向に圧接する。
【0130】
具体的には、上述の締結部材135,145の締結力が所定の基準値に到達するように、当該締結力を高める。この際、放熱プレート150と電力用半導体素子160とが第1方向(たとえば図18中)矢印AR3方向)に圧接され、ガイド部25,26によって放熱プレート150および電力用半導体素子160の第1方向への移動が案内される。これにより、放熱プレート150および電力用半導体素子160の姿勢を安定して維持することができる。
【0131】
図19は、図6に示す圧接する工程の後状態を示す側面図である。図19に示すように、工程(S17)の後状態、すなわち、支持具21上に積層配置された放熱プレート150と電力用半導体素子160とが第1方向に圧接された圧接状態では、接続部材33は、支持具21の下方に位置し、複数の放熱プレート150のいずれかの突出片152と距離を持って上下方向に対向する。この際、対向する放熱プレート150(より特定的には突出片152)と接続部材33とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離L1が上下方向に確保されるように、配置されている。
【0132】
また、上記圧接状態において、第1方向における一方側に位置する部分の圧接機構130と一対の固定部11,15のうち第1方向における一方側に位置する固定部11とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離L2が確保されるように、第1方向に並んで配置されている。
【0133】
同様に、上記圧接状態において、第1方向における他方側に位置する部分の圧接機構140と一対の固定部11,15のうち第1方向における他方側に位置する固定部15とは、互いに異なる電位の部位同士を絶縁させる空間距離以上の距離L3が確保されるように、第1方向に並んで配置されている。
【0134】
このように、電力変換装置200と組立冶具1との絶縁が確保されるため、組立冶具1に電力変換装置200を配置した状態で、通電試験を行なうことができる。また、組立冶具1の土台部30にキャスター71,72,73を設け、土台部30が移動可能に設けられている。このため、組立てられた電力変換装置200を組立冶具1に配置した状態で、組立冶具1ごと移動させることができる。これにより、電力変換装置200を所定の場所に容易に移動させることができる。たとえば、組立位置から通電試験位置へ電力変換装置200を容易に移動させることができる。
【0135】
以上のような工程を経て電力変換装置200を製造することができる。上記のように組立冶具1を用いて電力変換装置200を製造することにより、水平方向に放熱プレート150と電力用半導体素子160とを積層配置することができるため、上下方向に放熱プレート150と電力用半導体素子160とを積層配置する場合と比較して、積層された放熱プレート150と電力用半導体素子160とが倒壊することを抑制することができる。これにより、組立の安全性を確保することができる。
【0136】
また、上下方向に放熱プレート150と電力用半導体素子160とを積層配置する場合と比較して、倒壊しないようにバランスを取りながら積層配置することがなくなるため、組立の作業性を向上させることができる。
【0137】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0138】
1 組立冶具、11 固定部、12 平板部、13,14 側壁部、15 固定部、16 平板部、17,18 側壁部、20 支持ユニット、21 支持具、22 本体部、23,24 圧接機構支持部、25,26 ガイド部、25h,26h 穴部、27 位置決め部材、28 第1部材、28a 主面、28P ピン、29 第2部材、29a 主面、29P ピン、30 土台部、31 第1ユニット、32 第2ユニット、33 接続部材、41 基礎部、42 平板部、43 側壁部、44 支持台、45 底板部、46 起立壁部、47 上板部、48,49 長手部材、51,52 位置決め部材用取付部、53,54 支持具用取付部、61 基礎部、62 平板部、63 側壁部、64 支持台、65 底板部、66 起立壁部、67 上板部、68,69 長手部材、68a,69a 傾斜部、71,72,73 キャスター、81,82,84 締結部材、91,92 固定部材、121,122 絶縁フレーム、123,124 補強フレーム、130 圧接機構、131 第1押さえ部材、131P ピン、132 第2押さえ部材、133 弾性付勢部材、135 締結部材、140 圧接機構、141 第3押さえ部材、142 ピン部材、142P シャフト部、142a 頂部、145 締結部材、150 放熱プレート、151 本体部、151a 第1主面、151b 第2主面、151c 溝部、152 突出片、160 電力用半導体素子、160a 第1主面、160b 第2主面、160c 突出部、200 電力変換装置、220 板状部、220h 穴部、221,222 側壁部、223,224 フランジ部、225 取手、L1,L2,L3 距離、S1,S2 隙間。
【要約】
電力変換装置の組立冶具は、上下方向に直交する第1方向に対向して配置された一対の固定部(11,15)と、上下方向および第1方向に直交する第2方向に対向するように一対の固定部(11,15)に固定された一対の絶縁フレーム(121,122)に、下方側から取付可能に設けられ、一対の絶縁フレーム(121,122)に取り付けられた取付状態において、一対の絶縁フレーム(121,122)の間で第1方向に交互に積層配置される放熱プレートと電力用半導体素子とを支持するための支持具(21)と、を備え、支持具(21)は、積層配置された放熱プレートと電力用半導体素子とを第1方向に圧接する際に、放熱プレートおよび電力用半導体素子の第1方向への移動を案内するガイド部を含む。
図1
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