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特許7436754SPADベースデバイスのダイナミックレンジ拡張
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】SPADベースデバイスのダイナミックレンジ拡張
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20240214BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20240214BHJP
   H04N 25/773 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
G01J1/42 H
G01J1/44 E
H04N25/773
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023513747
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021073688
(87)【国際公開番号】W WO2022043473
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】2013579.4
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521548733
【氏名又は名称】アーエムエス インターナショナル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】AMS INTERNATIONAL AG
【住所又は居所原語表記】Eichwiesstrasse 18b, Jona, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル アヴォワード アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボビー
(72)【発明者】
【氏名】ルース エリック ヤン
(72)【発明者】
【氏名】プラサンナ クマール ジャグルース
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0217965(US,A1)
【文献】特表平10-505469(JP,A)
【文献】特表2017-520134(JP,A)
【文献】特開2021-129265(JP,A)
【文献】特開2020-197523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 -G01J 1/60
G01J 11/00
H10K 30/60 -H10K 30/65
H10K 39/30
H04N 23/20 -H04N 23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -H04N 25/61
H04N 25/615-H04N 25/79
G01N 21/62 -G01N 21/74
G01T 1/00 -G01T 1/16
G01T 1/167-G01T 7/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)(105-0・・N)と、
前記複数のSPADの読み出し速度を入射放射線の強度に関連して適合させるように構成された回路(115)とを備え、
前記回路(115)は、
閾値を超える前記入射放射線の強度に応答して、前記読み出し速度を増加させ、
前記閾値以下の前記入射放射線の強度に応答して、前記読み出し速度を低下させ、
前記入射放射線の強度に関連して読み出される前記複数のSPAD(105-0・・N)のSPADの量を適合させる、ように構成され、
前記強度が高い場合、前記入射放射線の前記強度を判定するために少量のSPAD(105-0・・N)が読み出され、前記強度が比較的低い場合、前記入射放射線の前記強度を判定するために比較的多量のSPAD(105-0・・N)が読み出され、
前記複数のSPAD(105-0・・N)の各SPADが、光子衝突を記録するための関連付けられたシングルビットカウンタ(110-0・・N)を有し、
前記SPAD(105-0・・N)ごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の最大数は、
【数1】
として定義され、式中、
SPAD MAX(PHOTON/SEC) は、前記SPAD(105-0・・N)ごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の数に相当し、
Num SP は、最小放射線強度で所要のSNRを達成するために必要なSPADの数であり、
1_SPAD は、各シングルビットカウンタ(110-0・・N)の読み出し及びリセットに必要な時間であり、
DCRは暗計数率である、放射線感応性デバイス(420)。
【請求項2】
前記閾値がプログラム可能である、請求項に記載の放射線感応性デバイス(420)。
【請求項3】
前記入射放射線の強度が、前記複数のSPAD(105-0・・N)の少なくとも一部を読み出す1回以上のサイクルによって判定される、請求項1または2に記載の放射線感応性デバイス(420)。
【請求項4】
前記読み出し速度が、読み出すべきSPAD(105-0・・N)の量によって決まる、請求項1~のいずれかの1項に記載の放射線感応性デバイス(420)。
【請求項5】
前記回路(115)は、前記入射放射線の強度の1回以上の測定に基づいて、その後の1回以上の強度測定のために読み出すべきSPAD(105-0・・N)の読み出し速度及び対応する量を適合させるように構成された制御ループを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の放射線感応性デバイス(420)。
【請求項6】
複数のSPAD(105-0・・N)を含む放射線感応性デバイス(420)のダイナミックレンジを増加させる方法であって、
前記方法が、前記複数のSPADの読み出し速度を入射放射線の強度に関連して適合させること
閾値を超える前記入射放射線の強度に応答して、前記読み出し速度を増加させることと、
前記閾値以下の前記入射放射線の強度に応答して、前記読み出し速度を低下させることと、
前記入射放射線の強度に関連して読み出される前記複数のSPAD(105-0・・N)のSPADの量を適合させることと、
前記入射放射線の強度が高い場合、前記入射放射線の前記強度を判定するために、少量のSPADを読み出すことと、前記入射放射線の強度が比較的低い場合、前記入射放射線の前記強度を判定するために、比較的多量のSPAD(105-0・・N)を読み出すことと、を含み、
前記複数のSPAD(105-0・・N)の各SPADが、光子衝突を記録するための関連付けられたシングルビットカウンタ(110-0・・N)を有し、
前記SPAD(105-0・・N)ごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の最大数は、
【数1】
として定義され、式中、
SPAD MAX(PHOTON/SEC) は、前記SPAD(105-0・・N)ごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の数に相当し、
Num SP は、最小放射線強度で所要のSNRを達成するために必要なSPADの数であり、
1_SPAD は、各シングルビットカウンタ(110-0・・N)の読み出し及びリセットに必要な時間であり、
DCRは暗計数率である、方法。
【請求項7】
標本からの発光及び/または蛍光の強度を判定するための、ポイントオブケア検査もしくは診断の用途、または電子鼻用途での請求項1~のいずれかに記載の放射線感応性デバイス(420)の使用法。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の放射線感応性デバイス(420)を備えた電子鼻装置またはポイントオブケア装置であって、前記放射線感応性デバイスが、標本からの発光及び/または蛍光の強度を判定するように構成されている、装置。
【請求項9】
環境放射線検知用途での請求項1~のいずれかに1項に記載の放射線感応性デバイス(420)の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポイントオブケア検査または電子鼻の用途、及び環境放射線検知など、大きなダイナミックレンジを必要とする測定に使用するためのSPADベースデバイスの分野にある。
【背景技術】
【0002】
発光及び蛍光放射線センサの分野では、大きなダイナミックレンジ(DR)で放射線放出を検出することが必要とされる。このようなセンサは、例えば、ポイントオブケア(PoC)検査もしくは電子鼻(Electronic nose:Eノーズ)の用途タイプ、または環境放射線センサの用途に使用することができる。
【0003】
PoCの用途では、液体または空気中の生物学的物質または化学物質の存在は、化学発光または蛍光放射線の放出を生じさせ得る相補的物質との相互作用によって検出することができる。放出される放射線のレベルは、非常に低いレベルと高いレベルとの間で動的に変化し得る。信号を完全に取り込むことを可能にするために、このような用途での使用に適した放射線センサは、非常に高いダイナミックレンジを示さなければならない。
【0004】
単一光子アバランシェダイオード(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)をベースにした光子カウンタは、個々の光子をカウントすることにより、非常に低いレベルの放射線を検出する機能を提供する。検出可能な信号の最低レベルは、暗計数率(DCR)によるノイズによって制限される可能性がある。検出可能な信号の最高レベルは、SPADダイオード自体の速度、SPADと関連しているカウンタの容量、及び/または関連付けられた回路の機能によって制限され得る。いくつかの用途では、これによりSPADベースセンサのダイナミックレンジが制限される場合がある。
【0005】
いくつかのセンサ実装は、低放射線レベルでの信号対雑音比を改善するために、大量のSPADを含む場合がある。しかしながら、そのような大量のSPADは、関連回路の増加をもたらす可能性があり、達成可能なダイナミックレンジをさらに制限する可能性がある。
【0006】
他の先行技術のセンサ実装では、異なるSPAD領域に入射する放射線強度を調整するために、異なるSPAD領域を、1つ以上のピンホールと組み合わせて、単一デバイス内で使用することができる。例えば、黒色媒体内に開口部をずらされた積み重ねたピンホールを実装して、入射放射線の強度を低減させることができる。そのようなソリューションを実装するセンサは、大型になる可能性があり、追加の構成要素が必要になる可能性があり、比較的低い信号対雑音比を示す可能性がある。
【0007】
したがって、信号対雑音比を損なうことなく、または追加の構成要素を必要とせずに、もしくはデバイスサイズの大幅な増加を必要とせずに、PoC検査またはEノーズの用途に適した大きなダイナミックレンジを有する放射線センサを提供することが望ましい。
【0008】
したがって、本開示の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、上記で特定された先行技術の欠点の少なくとも1つを除去すること、または少なくとも軽減することである。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、SPADベースデバイスの分野にあり、特に、ポイントオブケア検査、電子鼻の用途、及び環境放射線検知用途での使用に適した大きなダイナミックレンジを有するSPADベースデバイスに関する。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、複数のSPADの読み出し速度を入射放射線の強度に関連して適合させるように構成された回路とを備える放射線感応性デバイスが提供される。
【0011】
有利なことに、読み出し速度を適合させることによって、所与のSPADが光子の衝突を検出するために利用できる時間を、それに応じて適合させることができる。各SPADは、各読み出しサイクルの合間に単一の光子衝突イベントしか記録できないので、例えば、比較的高強度の入射放射線の期間中に比較的長い読み出し時間があると、複数のSPADのかなりの量が光子衝突イベントを記録しないことになり、したがって測定できる放射線強度が制限される可能性がある。入射放射線の強度に関連して読み出し速度を適合させることにより、光子衝突イベントを記録していないSPADの量を最小限に抑えることができるので、適切な信号対雑音比を維持しながら、放射線感応性デバイスのダイナミックレンジを増加させることができる。
【0012】
回路は、閾値を超える入射放射線の強度に応答して、読み出し速度を増加させるように構成され得る。回路は、閾値以下の入射放射線強度に応答して、読み出し速度を低下させるように構成され得る。
【0013】
有利なことに、十分な信号対雑音比が維持され、同時に放射線感応性デバイスのダイナミックレンジの増加をも提供することを確保するために必要な読み出し速度を、閾値、例えば所定の閾値により設定することができる。例えば、読み出し速度を適合させることにより、測定可能な放射線強度の限界がそれに応じて適合される。読み出し速度を変化させることにより、所与の読み出し期間内に読み出し可能な複数のSPADのSPADの量を変化させることもできる。有益なことに、閾値を設定することで、利用可能なSPADの量と読み出し速度との間のトレードオフが可能になり、したがって達成可能な信号対雑音比とダイナミックレンジとのトレードオフを効果的に行うことができる。入射放射線の強度が高いレベルでは、より少数のSPADで十分な、したがってより高い読み出し速度、及びそれによってより広いダイナミックレンジを可能にし得る十分な信号対雑音比が存在することが認識されている。
【0014】
閾値はプログラム可能であり得る。
【0015】
有利なことに、閾値は、ユーザがプログラム可能なフィールドによって設定することができ、したがってダイナミックレンジと達成可能な信号対雑音比との間のプログラム可能なトレードオフを可能にする。例えば、デバイスは、1つ以上の閾値を設定するための1つ以上のプログラム可能なレジスタを有することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の閾値を設定することができる。例えば、入射放射線の強度が第1の閾値未満から第1の閾値を超えるまで増加するとき、複数のSPADのうちの少なくともいくつかの読み出し速度が、第1の速度から、より高い第2の速度まで増加してもよい。入射放射線の強度が第2の閾値未満から第2の閾値を超えるまでさらに増加する場合に、複数のSPADのうちの少なくともいくつかの読み出し速度が、第2の速度から、より高い第3の速度までさらに増加してもよい。入射放射線の強度が、閾値、例えば第2の閾値または第1の閾値を下回るように低下する場合、複数のSPADのうちの少なくともいくつかの読み出し速度が、それに応じて低下することが理解されよう。
【0017】
入射放射線の強度は、複数のSPADの少なくとも一部を読み出す1回以上のサイクルによって判定することができる。
【0018】
有利なことに、入射放射線の強度の判定を使用して、その後の入射放射線の強度を判定のため、読み出し速度、したがって読み出され得るSPADの量を判定することができる。
【0019】
回路は、入射放射線の強度に関連して読み出される複数のSPADのSPADの量を適合させるように構成することができる。
【0020】
有利には、必要な信号対雑音比を満たすのに必要な最小量のSPADを読み出すことができる。読み出されるSPADの量を最小限に抑えることによって、全体の読み出し速度を最大化することができる。すなわち、SPAD数「NumSPAD」を含む放射線感応性デバイスの場合、各SPADと関連しているラッチを読み出してリセットするのに必要な時間は「T1_SPAD」であり、複数のSPADの総読み出し時間はNumSPAD×T1_SPADである。各SPADは、各読み出しサイクルの合間に1つのイベントしか記録することができない。したがって、SPADごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の最大数は、暗計数率の寄与を差し引いた1/(NumSPAD×T1_SPAD)に制限される。読み出しサイクルでSPADごとに複数の光子が到着するように入射放射線の強度が増加すると、光子衝突イベントの記録に失敗する可能性がある。必要なSPADの数を最小限に抑えることで、総読み出し時間を短縮することができるので、個々のSPADを読み出すことができる速度を上げて、とらえ損なう光子衝突の量を最小限に抑えることができる。
【0021】
強度が高い場合、入射放射線の強度を判定するために少量のSPADを読み出すことができる。強度が比較的低い場合、入射放射線の強度を判定するために比較的多量のSPADを読み出すことができる。
【0022】
好都合なことに、入射放射線の強度が高いレベルでは、所望の信号対雑音比を達成するために、比較的多量のSPADを必要としない場合があり、したがって、比較的少量のSPADを使用して、SPADの全体的な読み出し速度を向上させることができる。入射放射線の強度が比較的低いレベルでも同じ原理が適用され、所望の信号対雑音比を達成するために、比較的多量のSPADが必要となる場合があり、したがって、より多くのSPADが使用され、それによってSPADの全体的な読み出し速度を低下させることができる。
【0023】
複数のSPADの各SPADは、光子衝突を記録するための関連付けられたシングルビットカウンタを有することができる。
【0024】
好都合なことに、各SPADにシングルビットカウンタのみを関連付けることによって、放射線感応性デバイスの全体サイズを最小化することができる。光子衝突イベントをとらえ損なう可能性を最小限に抑えるために、SPADごとにマルチビットカウンタを使用できる代替アーキテクチャでは、デバイス全体の面積が大きくなることに関連したコストを負う可能性がある。
【0025】
シングルビットカウンタはラッチまたはスイッチであってもよいことが理解されよう。すなわち、いくつかの実施形態では、シングルビットカウンタは、イベントを記録する、例えば信号をラッチするように構成された1つ以上の回路構成要素であってもよい。そのようなシングルビットカウンタは、SPADの読み出し速度によって定義される速度でクリア、例えばリセットすることができる。
【0026】
さらに、「読み出し(read-out)」という用語は、シングルビットカウンタがセットされているかどうか、例えばラッチが光子衝突イベントをラッチしているかどうかを判定するプロセスに対応するものと理解される。例えば、SPADのアレイを読み出すことは、SPADと関連しているシングルビットカウンタのどれが光子衝突イベントをカウントしているか、例えばラッチしているかを、回路が判定することを含むことになる。
【0027】
読み出し速度は、読み出されるSPADの量によって決まり得る。
【0028】
上記のように、読み出し速度は、1/(NumSPAD×T1_SPAD)で定義され得る。それにより、SPADの量の減少、例えばNumSPADを低下させることは、全体的な読み出し速度を増加させることになる。有利なことに、読み出し速度の増加は、とらえ損なう光子衝突イベントの量を最小限に抑えることになる。
【0029】
回路は、入射放射線の強度の1回以上の測定に基づいて、その後の1回以上の強度測定のために読み出すべきSPADの読み出し速度及び対応する量を適合させるように構成された制御ループを備えてもよい。
【0030】
有利なことに、制御ループを設けることにより、放射線感応性デバイスが変動条件に動的に適合できるようになる。例えば、入射放射線の強度が増加するとき、それに応じて本デバイスは、使用されるSPADの量及び/または読み出し速度を適合させて、入射放射線の強度の正確な測定を十分な信号対雑音比で確実に行うことができるようにする。したがって、始動期間に1つ以上の閾値を設定することにより、放射線感応性デバイスを含むシステムは、その後、入射放射線の様々なレベルの強度に応じてSPADの読み出し速度及び対応する量を動的に適合させながら、ある程度自律して動作する。
【0031】
本開示の第2の態様によれば、複数のSPADを含む放射線感応性デバイスのダイナミックレンジを増加させる方法であって、本方法が、複数のSPADの読み出し速度を入射放射線の強度に関連して適合させることを含む、方法が提供される。
【0032】
有利なことに、読み出し速度を適合させることによって、SPADが光子の衝突を検出するために利用できる時間を、それに応じて適合させることができる。入射放射線の強度に関連して読み出し速度を適合させることにより、光子衝突イベントを記録していないSPADの量を最小限に抑えることができるので、適切な信号対雑音比を維持しながら、放射線感応性デバイスのダイナミックレンジを増加させることができる。
【0033】
本方法は、入射放射線の強度に関連して読み出される複数のSPADのSPADの量を適合させることを含むことができる。
【0034】
この方法は、入射放射線の強度が高い場合、少量のSPADを読み出すことと、入射放射線の強度が比較的低い場合、比較的多量のSPADを読み出すこととを含むことができる。
【0035】
本開示の第3の態様によれば、標本からの発光及び/または蛍光の強度を判定するための、ポイントオブケア検査もしくは診断の用途、または電子鼻用途での第1の態様による放射線感応性デバイスの使用法が提供される。
【0036】
非常に広いダイナミックレンジでの放射線放出の検出は、生物学的物質または化学物質と相補的物質との間の相互作用によって放出される化学発光または蛍光放射線のレベルが、極端に低いレベルと高いレベルとの間で動的に変化し得るので、そのようなポイントオブケア検査もしくは診断の用途、または電子鼻用途で特に必要とされる。
【0037】
本開示の第4の態様によれば、第1の態様による放射線感応性デバイスを備えた電子鼻装置またはポイントオブケア装置であって、放射線感応性デバイスが、標本からの発光及び/または蛍光の強度を判定するように構成されている装置が提供される。
【0038】
本開示の第4の態様によれば、環境放射線検知用途での第1の態様による放射線感応性デバイスの使用方法が提供される。
【0039】
放射線感応性デバイスは、環境放射線レベルを判定するために、カメラ、例えばスマートフォンのカメラなどの撮像装置に実装することができる。判定された環境放射線レベルを使用して、撮像装置によって取り込まれた画像を適合させることができる。判定された環境放射線レベルは、絞り、フラッシュなどの動作を制御するなど、撮像装置を構成するために使用することができる。
【0040】
放射線感応性デバイスは、画面またはディスプレイの明るさを調整するために、環境放射線レベルを判定するためのものであり得る。
【0041】
上記の概要は、単なる例示であり、限定を意図したものではない。本開示は、1つ以上の対応する態様、実施形態、または特徴を、単独でまたは様々な組み合わせで具体的に述べられている(特許請求されていることを含む)かどうかにかかわらず、その組み合わせでまたは単独で含むものである。本開示の任意の態様に従って上記で定義された特徴、または本開示の任意の特定の実施形態に関して以下で定義された特徴は、単独でもしくは任意の他の定義された特徴と組み合わせて、任意の他の態様または実施形態で利用することができ、または本開示のさらなる態様または実施形態を形成することができることを理解されたい。
【0042】
次に、本開示のこれら及び他の態様を、添付の図面を参照しながら、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本開示の実施形態によるSPADベースセンサのアーキテクチャを示す。
図2】本発明の実施形態による、入射放射線の強度に応じて必要とされるSPADの量を示すグラフである。
図3】本発明の実施形態による、関連付けられたSPADの読み出し速度に対して必要とされるSPADの量を示すグラフである。
図4】本発明の実施形態による放射線感応性デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
いくつかの用途では、SPADベースのデバイスで信号対雑音比(SNR)を向上させるために、例えば非常に低い光レベルを正確に検出するために、かなりの量のSPADを実装することが有益であり得ることが認識されている。すなわち、そのようなデバイスは、十分なSNRで入射放射線の強度を正確に測定するために、数百または数千ものSPADを含むSPADアレイを実装することができる。
【0045】
しかしながら、所与のSPADアレイによって測定できる最大放射線強度は、その飽和レベルによって判定される可能性がある。
【0046】
飽和は、SPADデバイス自体が検出を実行できる速度の限界に光子速度が達すると発生する可能性がある。例えば、SPADベースのデバイスが光子衝突イベントをカウントできる最速速度は、光子衝突イベントとSPADの回復時間との間の時間によって判定される。回復時間は、所与のSPADが回復して再び準備ができるまでに必要な時間である。これは、「不感時間」として当技術分野で知られている。この回復時間は、実装された特定のクエンチング回路に応じて、数十ナノ秒またはそれ以上の範囲になる場合がある。例えば、不感時間が100ナノ秒の場合、理論上の最大光子数はSPADごとに1秒あたり10になる。
【0047】
飽和は、SPADと関連している回路、例えば、各SPADに取り付けられている読み取り及び計数回路が限界に達したときに、追加的または代替的に発生し得る。
【0048】
いくつかの例では、一つ一つのSPADが、光子衝突イベントを記録するための専用の読み出し帯域幅を有する。これにより、所与のアーキテクチャで測定可能な最大信号が物理的に制限されることになる。
【0049】
例えば、いくつかの例では、全てのSPADは、光子衝突イベントを格納するシングルラッチ、例えばシングルビットカウンタのみを備える。このラッチは、読み取られるたびにリセットされ得る。最小読み出し間隔は、そのようなラッチを全て読み出すために必要な時間である。
【0050】
図1は、本発明の実施形態による、SPAD及び関連付けられたシングルビットカウンタを備えるSPADベースセンサアーキテクチャ100の例を示す。図1のSPADベースセンサアーキテクチャ100は、本開示の例、すなわち、複数のSPADを備える放射線感応性デバイスを使用して、入射放射線の強度を判定することを提供し、複数のSPADの読み出し速度を入射放射線の強度に関連して適合させるように回路が構成されている。
【0051】
図1は単なる例示的実施形態であり、本開示の原理を説明する目的で提供されていることを理解されたい。例えば、他の実施形態は、SPADの実質的により大きなアレイ及び関連付けられたシングルビットカウンタを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態は、数百または数千ものSPADを有するアレイを備えることがある。さらに、PoCまたはEノーズ用途での使用に適したセンサなど、本開示を具現化する例示的なデバイスは、複数のSPADアレイを備えることができる。
【0052】
図1のSPADベースセンサアーキテクチャ100は、複数のSPAD105-0~105-Nを備える。図1の各SPADは、関連付けられたシングルビットカウンタ110-0~110-Nを有する。いくつかの実施形態では、シングルビットカウンタ110-0~110-Nは、ラッチ、スイッチなどを使用して実装され得る。
【0053】
シングルビットカウンタ110-0~110-Nは、処理回路115に結合され得る。
【0054】
そのような処理回路115は、複数のSPAD105-0~105-Nのうちの少なくとも1つを使用して入射放射線の強度を判定するように構成されてもよく、複数のSPAD105-0~105-Nの読み出し速度は、入射放射線の強度に関連して適合されてもよい。
【0055】
本開示の実施形態は、以下の原理に基づいている。すなわち、光強度を測定するために複数のSPADが共に使用される場合、(統計的)信号対雑音比は、以下の2つのパラメータの平方根に比例する。すなわち、(1)測定に使用されるSPADの数、及び(2)測定が行われる時間窓である。
【0056】
したがって、本開示の実施形態は、以下でより詳細に説明するように、高放射線レベルで過剰なSNRをダイナミックレンジと効果的にトレードオフする。測定される放射線の強度、すなわち信号レベルが増加するにつれて、測定が行われなければならない時間窓のサイズが減少することが認識されている。
【0057】
図1のSPADベースセンサアーキテクチャ100に関して、全てのSPAD105-0~105-Nは、光子衝突イベントを格納するためにシングルビットカウンタ110-0~110-Nのみを有するので、このシングルビットカウンタは、読み取られるたびにリセットされて、その後の光子衝突イベントをとらえ損なうことを避ける必要がある。読み出し間隔は、シングルビットカウンタ110-0~110-Nの全てを読み取るのに必要な時間である。
【0058】
「NumSp」は、最小放射線強度で所要のSNRを達成するために必要なSPAD105-0~105-Nの数を示す。各シングルビットカウンタ110-0~110-Nを読み出してリセットするのに必要な時間は、「T1_SPAD」によって示される。各シングルビットカウンタ110-0~110-Nの読み出し及びリセットに必要な時間を考えると、総読み出し時間はNumSP×T1_SPADである。
【0059】
各SPAD105-0~105-Nは、各読み出しサイクルの合間に1つのイベントしか記録できないため、SPAD105-0~105-Nごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の最大数は、次のように定義することができる。
【数1】
式中、
- SPADMAX(PHOTON/SEC)は、SPAD105-0~105-Nごとに1秒あたりに読み取ることができる光子の数に相当する。
- NumSPは、最小放射線強度で所要のSNRを達成するために必要なSPADの数である。
- T1_SPADは、各シングルビットカウンタ110-0~110-Nの読み出し及びリセットに必要な時間である。
- DCRは暗計数率である。
【0060】
読み出しサイクルでSPAD105-0~105-Nごとに複数の光子が到着するように入射放射線の強度が増加すると、光子衝突イベントの記録に失敗する可能性がある。
【0061】
本発明の実施形態では、処理回路115は、入射放射線の強度が、必要なSNRを達成するために全てのSPADS105-0~105-Nが必要とされる最小値を大幅に上回ったかどうかを検出するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、処理回路は、制御システム及び/または制御ループを実装することができる。
【0062】
例えば、処理回路115は、1つ以上の読み出し間隔中にセットされるシングルビットカウンタ110-0~110-Nの数量に基づいて、入射放射線の強度を判定するように構成され得る。処理回路115によって、入射放射線の強度が最小レベルを超えていると判定された場合、その時間間隔において読み出すことができるSPAD105-0~105-Nの量を適合させることができ、したがって、それに応じて、SPAD105-0~105-Nの読み出し速度を適合させることができる。
【0063】
例えば、入射放射線の強度が、SNRを満たすのに必要な最小レベルによって設定される閾値を2倍上回っている場合、処理回路115は、各時間間隔中、SPAD105-0~105-Nの4分の1のみの読み出しを開始するように構成され得る。すなわち、放射線強度レベルが2倍になった場合は、NumSp/2に等しい数のSPADからのデータがあれば十分であり得る。
【0064】
したがって、読み出し時間を4分の1に短縮することができ、すなわち読み出し速度を増加させることができる。したがって、読み取り可能な最大放射線レベルもまた、4倍に増加する。
【0065】
いくつかの実施形態では、図1を参照してより詳細に後述するように、処理回路は、複数のそのような閾値を実装して、それに応じてSPADの数及び関連した読み出し速度を減少または増加させるように構成され得る。
【0066】
図1の例示的実施形態は、放射線強度を測定するために使用されるSPAD105-0~105-Nの数が、放射線レベル自体の大きさに対して対数の関係で減少するように設計されているSPADベースセンサアーキテクチャ100を表す。例示のみを目的として、これは、64個のSPAD105-0~105-Nを含むアレイとして示され、それぞれが関連付けられたシングルビットカウンタ110-0~110-N、例えばラッチを有する。他の実施形態では、SPAD105-0~105-Nのより大きなアレイまたはより小さなアレイを実装してもよいことが理解されよう。すなわち、図1の例では、「NumSp」、例えば、必要なSNRを達成するためにSPADベースセンサアーキテクチャ100によって必要とされるSPAD105-Nの総数は、64である。各シングルビットカウンタの読み出し及びリセットに必要な時間T1_SPADは、100nsであると想定される。
【0067】
例のために、低強度の入射放射線から始まる使用事例について説明する。デフォルトでは、処理回路は、式1によって定義されるように、SPAD105-0~105-Nの全てを第1の読み出しレートで読み出すように構成され得る。読み出し間隔は、全てのシングルビットカウンタを読み取るのに必要な時間であり、64×100ns=6.4usになる。したがって、SPAD105-Nは、1秒あたり156250回の最大速度で読み出されることになる。
【0068】
入射放射線の強度が所定の閾値を超えて増加する場合、読み出されるSPAD105-Nの量を減少させることができ、対応する読み出し速度を増加させることができる。例えば、所定の閾値は、いくつかの実施形態ではユーザによってプログラムされ得、所与の読み出し間隔内で光子衝突イベントを検出するSPAD105-Nの量に対応し得る。所定の閾値は、平均化、外挿及び/または補間のプロセスを使用して、複数の読み出し間隔から光子衝突イベントを検出するSPAD105-Nの量に対応し得る。すなわち、いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明するように、SPAD105-N、またはSPADのアクティブなサブセットを読み出す1つ以上のサイクルによって、入射放射線の強度を判定することができる。
【0069】
各シングルビットカウンタ110-0~110-Nを読み出してリセットするように構成された処理回路115は、そのような閾値が満たされているか、または超えられているかを判定することができる。次いで、処理回路115は、入射放射線の強度の後続の測定のために、SPAD105-0~105-Nの第1のサブセット120を選択することができる。いくつかの実施形態では、第1のサブセット120は、強度が閾値未満であると判定されたときに入射放射線を測定するために使用されるSPAD105-0~105-Nの4分の1に対応し得る。
【0070】
すなわち、いくつかの実施形態では、処理回路115は、入射放射線の強度の1回以上の測定に基づいて、その後の1回以上の強度測定のために読み出すべきSPADの読み出し速度及び関連付けられた対応する量を適合させるように構成された制御ループを備えてもよい。
【0071】
図1は、隣り合ったSPADを含む第1のサブセット120を示しているが、これは例示のみを目的としており、他の実施形態では、第1のサブセット120、または実際にはサブセット120、125のいずれかを形成するSPADが、必ずしも互いに隣り合っていなくてもよいことが理解されよう。すなわち、いくつかの実施形態では、サブセット120、125を形成するために選択されたSPAD105-0~105-Nが、アレイ内で散在していてもよく、または別の方法でグループ化されていてもよい。
【0072】
入射放射線の強度を必要なSNRで測定するのにSPADの4分の1のみが必要ならば、読み出し間隔は16×100ns=1.6usになる。つまり、読み出し間隔も4分の1に短縮されるため、読み出し速度は1/1.6us=625000回/秒へと4倍に増加している。増加した読み出し速度は、測定可能な入射放射線の最大強度を直接増加させ、それによってSPADベースセンサアーキテクチャ100のダイナミックレンジを増加させる。
【0073】
図1の例を続けると、入射放射線の強度が所定の第2の閾値を超えて増加する場合、読み出されるSPAD105-0~105-Nの量をさらに減少させることができ、対応する読み出し速度をさらに増加させることができる。第2の閾値、及び実際に実装され得る複数の閾値のいずれかは、いくつかの実施形態では、ユーザによってプログラムされ得る。
【0074】
各シングルビットカウンタ110-0~110-Nを読み出してリセットするように構成された処理回路115は、そのような第2の閾値が満たされているか、または超えられているかを判定することができる。次いで、処理回路115は、入射放射線の強度の後続の測定のために、SPADの第2のサブセット125を選択することができる。いくつかの実施形態では、第2のサブセット125は、第1のサブセット120で使用されるSPADの4分の1に相当し得る。すなわち、第2のサブセット125は、いくつかの実施形態では、SPAD105-0~105-Nの第1のサブセット120のサブセットから形成され得る。
【0075】
入射放射線の強度を必要なSNRで測定するのに、先のSPAD量の4分の1のみ、例えば、総SPAD量の16分の1のみが必要ならば、読み出し間隔は4×100ns=0.4usになる。つまり、読み出し間隔もさらに4分の1に短縮されるため、読み出し速度は1/0.4us=2,500,000回/秒へとさらに4倍に増加している。読み出し速度のさらなる増加は、測定可能な入射放射線の最大強度を直接増加させ、それによってSPADベースセンサアーキテクチャ100のダイナミックレンジを増加させる。
【0076】
したがって、入射放射線の強度を判定するために、強度が高い場合、比較的少量のSPAD、例えばサブセット125が読み出されてもよく、入射放射線の強度を判定するために、強度が比較的低い場合、比較的多量のSPAD、例えばサブセット120または全てのSPAD105-0~105-Nが読み出されてもよい。
【0077】
この動作原理は、図2及び図3のグラフに示されている。図2は、入射放射線の強度に対する入射放射線を測定するために使用できるSPADの量を示す。例示のみを目的として、入射放射線の強度は、必要なSNRを達成するために全てのSPADが必要とされる最小値を「1」の値が表すようにスケール変更されている。
【0078】
この例では、必要なSNRで入射放射線の強度を測定するには、1024個のSPADが必要であることがわかる。
【0079】
グラフのx軸は時間を表す。入射放射線の強度が時間が経つにつれて増加するとき、入射放射線の強度の2倍の増加に対応する第1の閾値に達する。この段階で、本発明を具現化するデバイスの処理回路は、閾値が満たされているか、または超えられていると判定し、その後の測定に使用されるSPADの量が、4分の1ないし256分の1に減少することになる。対応する図3は、測定に使用されるSPADの数に応じた正規化された読み出し速度を示しており、閾値を超えると読み出し速度も4倍に増加することを示している。すなわち、使用されるSPADの数が1024から256に減少すると、読み出し速度は0.0156から0.625へと4倍に増加する。読み出し速度は、例のために、最大値が「1」になるようにスケール変更されており、実際の読み出し速度は、各SPADと関連しているラッチを読み出してリセットするのに必要な時間、例えば上記の「T1_SPAD」に依存することに留意されたい。
【0080】
図2及び3はさらに、入射放射線の強度が増加及び減少するとき、それに応じて、SPADの数、したがって関連付けられた読み出し速度が、どのように適合され得るかを示す。すなわち、複数のSPADの読み出し速度は、入射放射線の強度に関連して適合され得る。
【0081】
図4は、本発明の実施形態による放射線感応性デバイス420を含む装置400を示す。いくつかの例示的実施形態では、装置400は、ポイントオブケア(PoC)検査もしくは電子鼻(Eノーズ)の用途タイプ、または環境放射線センサの用途のための装置であり得る。
【0082】
放射線感応性デバイス420は、複数のSPAD405を備える。複数のSPAD405は、1つ以上のSPAD405のアレイとして配置され得る。
【0083】
放射線感応性デバイス420はまた、複数のシングルビットカウンタ410、例えばラッチを備える。図1を参照して先に述べたように、複数のシングルビットカウンタ410の各シングルビットカウンタは、複数のSPAD405のSPADに関連付けられる。SPAD405及び関連付けられたシングルビットカウンタ410は、図1のSPADベースセンサアーキテクチャ100に従って配置され得る。
【0084】
放射線感応性デバイス420はまた、処理回路415を備える。いくつかの実施形態では、処理回路415は、複数のSPAD405を制御するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、処理回路415は、SPAD405のクエンチング、及び/またはSPAD405のうちの1つ以上のリセットまたは有効化を制御するように構成され得る。処理回路415はまた、1つ以上の障害のあるSPAD405を検出するように構成され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、処理回路415は、シングルビットカウンタ410を読み取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、処理回路415は、必要に応じてシングルビットカウンタ410をリセットするように構成することもできる。処理回路415は、CPU、マイクロコントローラ、状態機械、組み合わせ論理などのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、処理回路415は、複数のSPAD405のうちの少なくとも1つを使用して入射放射線の強度を判定するように構成されてもよく、複数のSPADの読み出し速度は、入射放射線の強度に関連して適合される。
【0087】
いくつかの実施形態では、SPAD405と放射線源との間に、絞り、レンズ、光学カバー、回折格子、または1つ以上の他の光学デバイスが配置され得る。そのようなデバイスは、例えば、SPAD405に入射する放射線を集束及び/または拡散するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の開口部を積み重ねて、ずらされた開口部またはピンホールの積層体を形成することができる。そのような積層体は、SPAD405上またはSPAD405に近接して配置され得る。そのような実施形態では、SPAD405の少なくとも一部は、放射線感応性デバイス420の他のSPADよりも低い強度の入射放射線にさらされ得る。そのようなずらされた開口部を上記の技法のいずれかと組み合わせて使用することにより、放射線感応性デバイス420のダイナミックレンジをさらに増加させることができる。
【0088】
本開示は、上記のように特定の実施形態に関して説明されてきたが、これらの実施形態は単なる例示であり、特許請求の範囲はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。当業者は、本開示を考慮して修正形態及び代替形態を実施することができるようになるが、これらは添付の特許請求の範囲に含まれるものとして企図されている。本明細書で開示または説明された各特徴は、単独で、または本明細書で開示または説明された他の任意の特徴と任意の適切な組み合わせで、任意の実施形態に組み込むことができる。
【符号の説明】
【0089】
100 SPADベースセンサアーキテクチャ
105-0・・N SPAD
110-0・・N シングルビットカウンタ
115 処理回路
120 第1のサブセット
125 第2のサブセット
400 装置
405 SPAD
410 シングルビットカウンタ
415 処理回路
420 放射線感応性デバイス
図1
図2
図3
図4