(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ロボットのプログラム作成支援装置
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240215BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 D
(21)【出願番号】P 2019226195
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松堂 杏菜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊孝
(72)【発明者】
【氏名】三間 優人
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/021130(WO,A1)
【文献】特開平09-091017(JP,A)
【文献】特開2018-051653(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072979(WO,A1)
【文献】特開2007-242054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
G05B 19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
を備え
、
前記第2記号は、前記各目標位置において実行する非移動命令の数に対応した数字を含む、ロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項2】
前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の数を、前記共通目標位置に対応させて移動命令毎に前記第2記号で表示する、請求項
1に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項3】
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
を備え、
前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の数を、前記共通目標位置に対応させて移動命令毎に前記第2記号で表示する、ロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項4】
前記第2処理部は、移動命令毎に前記第2記号を一部重ねて表示する、請求項
2又は3に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項5】
前記第2処理部は、移動命令を実行する順に手前から奧へ、移動命令毎に前記第2記号を表示する、請求項4に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項6】
前記第2処理部は、前記共通目標位置に対応する前記第2記号を選択可能に表示し、いずれかの前記第2記号が選択された場合に、選択された前記第2記号に対応する移動命令及び非移動命令を編集可能とする、請求項
2~5のいずれか1項に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項7】
複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置が目標位置になる回数を、前記共通目標位置に対応させて第3記号で表示する第3処理部を備える、請求項
1に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項8】
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置が目標位置になる回数を、前記共通目標位置に対応させて第3記号で表示する第3処理部と、
を備える、ロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項9】
前記第3処理部は、前記第3記号を選択可能に表示し、
前記第2処理部は、前記第3記号が選択された場合に、前記共通目標位置を目標位置とする前記各移動命令とその後に実行する非移動命令の数とを対応付けて表示する、請求項7
又は8に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項10】
前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の合計数を、前記共通目標位置に対応させて前記第2記号で表示する、請求項
1に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項11】
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
を備え、
前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の合計数を、前記共通目標位置に対応させて前記第2記号で表示する、ロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項12】
前記第2処理部は、前記第2記号を選択可能に表示し、前記第2記号が選択された場合に、前記共通目標位置を目標位置とする前記各移動命令とその後に実行する非移動命令とを対応付けて表示する、請求項
10又は11に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項13】
前記第2処理部は、前記プログラムの実行中に、前記各目標位置において実行する非移動命令の数に対応した数字と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字とを、前記各目標位置に対応させて表示する、請求項1~
12のいずれか1項に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項14】
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
を備え、
前記第2処理部は、前記プログラムの実行中に、前記各目標位置において実行する非移動命令の数に対応した数字と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字とを、前記各目標位置に対応させて表示する、ロボットのプログラム作成支援装置。
【請求項15】
視点を変更して前記動作軌道を前記表示部に表示可能であり、
前記第2処理部は、前記視点が変更された場合も、前記第2記号を常に正面から視た状態で表示する、請求項1~
14のいずれか1項に記載のロボットのプログラム作成支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットのプラグラム作成を支援する支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの動作を作業者に対して適切に認識させるために、ロボットの動作軌跡、分岐元位置、及び分岐先位置を、視覚的に把握可能な図形で、ロボットと重なるように表示する装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットに対する命令には、ロボットを移動させる移動命令と、移動命令でない非移動命令とがある。特許文献1に記載の装置を、ロボットのプログラム作成の支援に用いようとすると、以下の問題が生じることに本願発明者は着目した。すなわち、ロボットのプログラムでは、移動命令の目標位置にロボットが移動した後に、その目標位置で複数の非移動命令が実行されることが多い。このため、非移動命令の作成及び編集のために個々の非移動命令を個々の図形で表示すると、目標位置に複数の図形が重なって表示されることとなり、非移動命令の実態を把握することが難しくなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、ロボットの非移動命令が存在することを表示するプログラム作成支援装置において、作業者が非移動命令の実態を把握し易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
ロボットに対応した位置に前記ロボットの動作軌道を表示する表示部を備え、前記ロボットを移動させる各移動命令、及び前記各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、前記表示部を用いて支援する支援装置であって、
前記各移動命令の各目標位置を、前記動作軌道に重ねて前記各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する第1処理部と、
前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、前記各目標位置に対応させて第2記号で表示する第2処理部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、表示部は、ロボットに対応した位置にロボットの動作軌道を表示する。ロボットのプログラム作成支援装置は、ロボットを移動させる各移動命令、及び各移動命令でない各非移動命令を含むプログラムの作成を、表示部を用いて支援する。
【0008】
ここで、第1処理部は、各移動命令の各目標位置を、ロボットの動作軌道に重ねて各目標位置に対応する位置に第1記号で各々表示する。このため、作業者は、ロボットの動作軌道において各移動命令の各目標位置を、第1記号の位置により容易に把握することができる。第2処理部は、前記各目標位置において実行する非移動命令の数を、各目標位置に対応させて第2記号で表示する。このため、作業者は非移動命令の数を第2記号に基づいて把握することができ、個々の非移動命令を個々の図形で表示する必要がない。したがって、目標位置に複数の図形が重なって表示されることを抑制することができ、作業者は非移動命令の実態を把握し易くなる。
【0009】
第2の手段では、前記第2記号は、前記各目標位置において実行する非移動命令の数に対応した数字を含む。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令の数に対応した数字により、非移動命令の数を明確に把握することができる。
【0010】
複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置となる場合がある。この場合、共通目標位置に移動する毎に実行される非移動命令を、どのように表示するかが問題となる。
【0011】
この点、第3の手段では、前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の数を、前記共通目標位置に対応させて移動命令毎に前記第2記号で表示する。こうした構成によれば、共通目標位置において実行される非移動命令の数が、共通目標位置に対応させて移動命令毎に第2記号で表示される。このため、どの移動命令後にいくつの非移動命令が実行されるかを、作業者が把握しやすくなる。この場合であっても、個々の非移動命令を個々の図形で表示する必要がないため、共通目標位置に表示される図形の数を抑制することができる。
【0012】
第4の手段では、前記第2処理部は、移動命令毎に前記第2記号を一部重ねて表示する。こうした構成によれば、複数の第2記号を表示する領域が大きくなることを抑制するとともに、作業者は個々の第2記号を把握し易くなる。
【0013】
第5の手段では、前記第2処理部は、移動命令を実行する順に手前から奧へ、移動命令毎に前記第2記号を表示する。こうした構成によれば、作業者は、各移動命令の後に実行される非移動命令が、各移動命令に対応してどのような順で実行されるかを把握し易くなる。
【0014】
第6の手段では、前記第2処理部は、前記共通目標位置に対応する前記第2記号を選択可能に表示し、いずれかの前記第2記号が選択された場合に、選択された前記第2記号に対応する移動命令及び非移動命令を編集可能とする。
【0015】
上記構成によれば、第2処理部は、共通目標位置に対応する第2記号を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置への複数の移動命令及びその後にそれぞれ実行される非移動命令のいずれかを編集したい場合に、編集対象の命令に対応する第2記号を選択することができる。そして、第2処理部は、いずれかの第2記号が選択された場合に、選択された第2記号に対応する移動命令及び非移動命令を編集可能とする。したがって、作業者は、編集対象の命令を選択し易くなり、編集対象の命令を容易に編集することができる。
【0016】
第7の手段では、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置が目標位置になる回数を、前記共通目標位置に対応させて第3記号で表示する第3処理部を備える。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令が実行される前提となる共通目標位置への移動の回数を、第3記号に基づいて把握することができる。したがって、作業者は非移動命令の実態を把握し易くなる。
【0017】
第8の手段では、前記第3処理部は、前記第3記号を選択可能に表示し、前記第2処理部は、前記第3記号が選択された場合に、前記共通目標位置を目標位置とする前記各移動命令とその後に実行する非移動命令の数とを対応付けて表示する。
【0018】
上記構成によれば、第3処理部は、第3記号を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置で実行される非移動命令の詳細を知りたい場合に、第3記号を選択することができる。そして、第2処理部は、第3記号が選択された場合に、共通目標位置を目標位置とする各移動命令とその後に実行する非移動命令の数とを対応付けて表示する。したがって、作業者は、各移動命令後に共通目標位置で実行する非移動命令の数を把握することができる。
【0019】
第9の手段では、前記第2処理部は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置である場合に、前記共通目標位置において実行する非移動命令の合計数を、前記共通目標位置に対応させて前記第2記号で表示する。こうした構成によれば、作業者は、共通目標位置で実行する非移動命令の合計数を第2記号に基づいて把握することができ、共通目標位置で実行する非移動命令の実態を把握し易くなる。
【0020】
第10の手段では、前記第2処理部は、前記第2記号を選択可能に表示し、前記第2記号が選択された場合に、前記共通目標位置を目標位置とする前記各移動命令とその後に実行する非移動命令とを対応付けて表示する。
【0021】
上記構成によれば、第2処理部は、第2記号を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置で実行される非移動命令の詳細を知りたい場合に、第2記号を選択することができる。そして、第2処理部は、第2記号が選択された場合に、共通目標位置を目標位置とする各移動命令とその後に実行する非移動命令とを対応付けて表示する。したがって、作業者は、各移動命令後に共通目標位置で実行する非移動命令を把握することができる。
【0022】
第11の手段では、前記第2処理部は、前記プログラムの実行中に、前記各目標位置において実行する非移動命令の数に対応した数字と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字とを、前記各目標位置に対応させて表示する。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令を実行している目標位置と、その目標位置で実行する非移動命令の数と、実行中の非移動命令とを把握することができる。
【0023】
第12の手段では、視点を変更して前記動作軌道を前記表示部に表示可能であり、前記第2処理部は、前記視点が変更された場合も、前記第2記号を常に正面から視た状態で表示する。
【0024】
上記構成によれば、ロボットのプログラム作成支援装置は、視点を変更してロボットの動作軌道を表示部に表示可能である。このため、作業者は、動作軌道を視る視点を変更して動作軌道の表示状態を変更しながら、プログラムを作成することができる。ここで、動作軌道を視る視点が変更された場合に、動作軌道と共に第2記号の表示状態が変化すると、非移動命令の数を第2記号に基づいて把握することが困難になるおそれがある。
【0025】
この点、第2処理部は、動作軌道の視点が変更された場合も、第2記号を常に正面から視た状態で表示する。このため、作業者は、動作軌道を視る視点にかかわらず、非移動命令の数を第2記号に基づいて把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】プログラム完成までの工程を示すフローチャート
【
図4】ロボット、動作軌道、及び目標位置を表す図形の画像を示す図
【
図5】動作軌道、目標位置を表す丸印、及び非移動命令の数を表すアイコンの画像を示す模式図
【
図6】ティーチングペンダントのディスプレイによる表示態様を示す図
【
図7】プログラム実行中のロボットの動作状態を示す模式図
【
図8】第2実施形態における動作軌道及びアイコンの画像を示す模式図
【
図9】第3実施形態における動作軌道、アイコン、及び表の画像を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、機械組立工場などで用いられるロボットシステムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット10、コントローラ20、及びティーチングペンダント30等を備えている。
【0028】
ロボット10は、例えば6軸の垂直多関節型ロボットである。ロボット10では、各軸に設けられているモータによって、各軸のアームが駆動される。第6軸アームの先端部に取り付けられたハンド(ツール)等により、作業対象物であるワークに対して作業が行われる。
【0029】
コントローラ20(制御装置)は、ロボット10を制御する主体であり、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータを備えている。コントローラ20は、例えばROM等の記憶部に記憶しているプログラムを実行することにより、ロボット10を動作させる。コントローラ20は、ティーチングペンダント30から、作業者により作成されたプログラムを記憶部に読み込む。また、コントローラ20は、作業者が操作するティーチングペンダント30からの指示に応じて、ロボット10を動作させる。
【0030】
コントローラ20は、ロボット10の動作状態、例えばロボット10の現時点での目標位置がどこであるか、どのような動作軌跡を描いて目標位置まで到達するか等の動作情報を把握している。また、コントローラ20は、上記プログラムを記憶および実行していることから、現時点で実行されている命令や、その命令の後に実行される命令を把握している。コントローラ20は、ロボット10の動作状態を示す各種の動作情報を、ティーチングペンダント30に出力する。
【0031】
ティーチングペンダント30(教示装置)は、コントローラ20と同様のマイクロコンピュータ、各種のキースイッチ、及びディスプレイ31(
図6参照)等を備えている。作業者は、キースイッチにより種々の入力操作を行う。ディスプレイ31(表示部)には、例えばポインタが表示されており、作業者はポインタを移動させて画面上のアイコン等を選択可能である。また、ディスプレイ31は、作業者の操作を検知可能なタッチパネルになっている。作業者は、タッチパネルをタッチすることにより、画面上のアイコン等を選択可能である。
【0032】
作業者は、ティーチングペンダント30(ロボットのプログラム作成支援装置)を操作して、プログラムの作成を行うことができる。ティーチングペンダント30は、作成されたプログラム及びコントローラ20から出力されたロボット10の動作状態に基づいて、ロボット10のシミュレーション画像及び動作軌道L1~L3(
図4参照)を作成し、ディスプレイ31に表示する。ティーチングペンダント30は、第1処理部、第2処理部、及び第3処理部の機能を実現する。
【0033】
図2は、プログラム完成までの工程を示すフローチャートである。この一連の工程は、ティーチングペンダント30を用いて作業者によって行われる。
【0034】
同図に示すように、まずプログラムの作成及び編集を行う。プログラムは、ロボット10を移動させる各移動命令と、各移動命令でない非移動命令とを含んでいる。作業者は、これらの命令を順に記述することでプログラムを作成する。また、作成したプログラムの実行結果等に基づいて、プログラムを編集する。
【0035】
続いて、ロボット10に実行させる作業に基づいて、ロボット10の各目標位置を教示する。作業者は、プログラム中の各移動命令の各目標位置を直接記述するか、ロボット10のシミュレーション画像において各目標位置を指示することにより、各目標位置を教示する。
【0036】
続いて、プログラムの実行及び確認を行う。作業者は、プログラムを実行させることによりロボット10を実際に動作させるか、シミュレーション画像においてロボット10の動作を確認することにより、プログラムの実行及び確認を行う。
【0037】
本実施形態のプログラム作成支援では、これらの全ての工程を支援する。すなわち、ティーチングペンダント30は、ロボット10の動作を認識可能とすることに限らず、プログラムの作成及び編集、目標位置の教示についても支援する。
【0038】
図3は、プログラムの一部を示す図である。なお、ロボット10のプログラムは、数千行に及ぶ命令により記述されることがある。
【0039】
「Move P1」は、ロボット10の制御点(第6軸アームの先端部中央)を、目標位置P1まで移動させる移動命令である。「Wait IO[10]=ON」は、IOポート[10]がONになるまで、ロボット10を待機させる待機命令(非移動命令、非判断命令)である。「IF I1>5 Then」は、変数I1が5よりも大きいか否か判断する判断命令(非移動命令、判断命令)である。「IO[11]=OFF」は、IOポート[11]にOFFを出力する出力命令(非移動命令、非判断命令)である。「Move P2」は、ロボット10の制御点を、目標位置P2まで移動させる移動命令である。「Else」は、IF条件不成立時の処理を指示する指示命令(非移動命令、非判断命令)である。「Move P3」は、ロボット10の制御点を、目標位置P3まで移動させる移動命令である。「End if」は、IF条件の終わりを指示する指示命令(非移動命令、非判断命令)である。
【0040】
このように、ロボット10のプログラムは、移動命令の割合よりも高い割合の非移動命令を含んでいる。そして、ロボット10のプログラムでは、移動命令の目標位置にロボット10が移動した後に、その目標位置で複数の非移動命令が実行されることが多い。
【0041】
ロボット10のシミュレーション画像において、移動命令の目標位置を図形で表示することは従来行われている。
【0042】
図4は、ロボット10、動作軌道L1~L3、及び目標位置P0~P3を表す図形の画像を示す図である。
図4は、
図3のプログラムを作成及び編集する際に、ティーチングペンダント30のディスプレイ31(
図6参照)に表示される画像を示している。
【0043】
ティーチングペンダント30は、ロボット10の画像10Aと共にロボット10の動作軌道L1~L3をディスプレイ31に表示する。表示する動作軌道の範囲は、作業者が指定することができる。例えば丸印P0は、ロボット10の動作開始位置である。丸印P1~P3(第1記号)は、ロボット10の各移動命令(Move)の各目標位置である。すなわち、ティーチングペンダント30(第1処理部)は、各移動命令の各目標位置P1~P3を、動作軌道L1~L3に重ねて各目標位置P1~P3に対応する位置に丸印で各々表示する。
【0044】
各移動命令の各目標位置P1~P3を表す丸印に加えて非移動命令を表す図形を表示すると、以下の問題が生じることに本願発明者は着目した。すなわち、非移動命令の作成及び編集のために個々の非移動命令を個々の図形で表示すると、目標位置に複数の図形が重なって表示されることとなり、非移動命令の実態を把握することが難しくなる。そこで、本実施形態では、各目標位置において実行する非移動命令の数を、各目標位置に対応させてアイコンで表示する。
【0045】
図5は、動作軌道L1~L3、目標位置を表す丸印P0~P3、及び非移動命令の数を表すアイコン41~48の画像を示す模式図である。こごては、ロボット10が、動作開始位置P0→目標位置P1→目標位置P2→目標位置P1→目標位置P3→目標位置P1→目標位置P0→目標位置P1の順で移動する場合を例に説明する。
【0046】
ティーチングペンダント30は、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数を、各目標位置P0~P3に対応させてアイコン41~48(第2記号)で表示する。
【0047】
例えば、アイコン41は、長円形状であり、目標位置P2から所定範囲内、詳しくは目標位置P2の隣(近傍)に表示されている。アイコン41は、目標位置P2への移動命令の後に、目標位置P2で実行される非移動命令の数を表す数字を含んでいる。アイコン41は、目標位置P2への移動命令の後に、目標位置P2で実行される非移動命令の数が2であることを表している。同様に、アイコン42は、目標位置P3への移動命令の後に、目標位置P3で実行される非移動命令の数が0であることを表している。なお、例えばアイコン42が含む数字は、目標位置P3への移動命令の数「1」と、目標位置P3で実行される非移動命令の数「0」とを加えた数字「1」であってもよい。すなわち、アイコン41,42が含む数字は、各目標位置P2,P3において実行する非移動命令の数に対応した数字、ひいては非移動命令の数を把握可能な数字であればよい。
【0048】
目標位置P1は、複数の移動命令の目標位置である共通目標位置になっている。すなわち、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置P1である。この場合、ティーチングペンダント30は、共通目標位置P1において実行する非移動命令の数を、共通目標位置P1に対応させて移動命令毎にアイコン43~46で表示する。アイコン43~46は、アイコン41,41と同様の構成であり、共通目標位置P1への各移動命令の後に、共通目標位置P1でそれぞれ実行される非移動命令の数を表す数字を含んでいる。ティーチングペンダント30は、移動命令毎にアイコン43~46を一部重ねて表示する。詳しくは、アイコン43~46は、右上へ所定量ずつずらして表示されており、先に表示されたアイコンの右上部分と次に表示されたアイコンの左下部分とが重なっている。ティーチングペンダント30は、移動命令を実行する順に手前から奧へ、移動命令毎にアイコン43~46を表示する。詳しくは、共通目標位置P1への1番目の移動命令に対応するアイコン43から、共通目標位置P1への4番目の移動命令に対応するアイコン46まで、順に手前から奧へ表示する。
【0049】
ティーチングペンダント30は、視点を変更してロボット10の動作軌道をディスプレイ31に表示可能である。このため、作業者は、動作軌道を視る視点を変更して動作軌道の表示状態を変更しながら、プログラムを作成することができる。ここで、動作軌道を視る視点が変更された場合に、動作軌道と共にアイコン41~48の表示状態が変化すると、非移動命令の数をアイコン41~48に基づいて把握することが困難になるおそれがある。この点、ティーチングペンダント30は、動作軌道の視点が変更された場合も、アイコン41~48を常に正面から視た状態(
図5に示す状態)で表示する。すなわち、動作軌道の視点が変更された場合も、アイコン41~48を斜めから視た状態で表示することはない。
【0050】
ティーチングペンダント30(第2処理部)は、丸印P0~P3,アイコン41~48を選択可能に表示し、いずれかが選択された場合に、選択された記号に対応する命令をプログラムにおいて編集可能とする。詳しくは、
図6を参照して説明する。
【0051】
図6は、ティーチングペンダント30のディスプレイ31による表示態様を示す図である。
【0052】
ティーチングペンダント30は、プログラムのうち上記選択された記号に対応する命令を含む部分を、ディスプレイ31に編集可能な状態で表示する。例えば、
図5の動作軌道L1又はアイコン43が選択された場合は、
図6の左部分に示すプログラムを表示する。作業者は、ティーチングペンダント30の各種のキースイッチを操作することにより、表示されたプログラムを編集可能である。
【0053】
ティーチングペンダント30は、作業者がボタンB1(タッチパネルで構成)を押すことにより、プログラムの表示する部分を進める。ティーチングペンダント30は、作業者がボタンB2を押すことにより、プログラムの表示する部分を戻す。すなわち、ティーチングペンダント30は、プログラムの一部を選択してディスプレイ31に表示可能とする。そして、ティーチングペンダント30は、表示されたプログラムの一部により規定されるロボット10の動作軌道及び各命令を、ディスプレイ31に表示してもよい。すなわち、ティーチングペンダント30は、ロボット10の動作軌道、及びプログラムの各命令を表す記号のうち、プログラムの選択された一部に対応する部分をディスプレイ31に表示してもよい。
【0054】
作業者が表示されたプログラムを直接編集するだけでなく、作業者が表示された目標位置の位置を変更することでプログラムを書き換えることもできる。すなわち、ティーチングペンダント30は、表示された丸印の位置を変更可能とし、丸印の位置が変更されることで、変更された丸印に対応するプログラムにおける移動命令の目標位置を、変更された位置に書き換える。
【0055】
ティーチングペンダント30は、作成したプログラムをシミュレーション又は実動作により実行し、ロボット10の動作状態をディスプレイ31に表示させることができる。
図7は、プログラム実行中のロボット10の動作状態を示す模式図である。
【0056】
ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数に対応した数字と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字とを、各目標位置に対応させて表示する。ここでは、1回目に目標位置P1に移動後に、目標位置P1において実行する非移動命令の数に対応した数字「5」と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字「2」とを、目標位置P1に対応させて表示している。また、ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、実行中の命令に対応する各目標位置P0~P3の表示状態を、非実行時の表示状態から変更する。ここでは、実行中の命令に対応する目標位置P1の枠を太枠に変更して表示している。なお、ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、移動命令及び非移動命令を実行していない各目標位置P0,P2,P3においては、非移動命令の数に対応した数字を表示しない。
【0057】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0058】
・ティーチングペンダント30(第1処理部)は、各移動命令(Move)の各目標位置P0~P3を、ロボット10の動作軌道L1~L3に重ねて各目標位置P0~P3に対応する位置に丸印P0~P3で各々表示する。このため、作業者は、ロボット10の動作軌道L1~L3において各移動命令の各目標位置P0~P3を、丸印P0~P3の位置により容易に把握することができる。
【0059】
・ティーチングペンダント30は、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数を、各目標位置P0~P3に対応させてアイコン41~48で表示する。このため、作業者は非移動命令の数をアイコン41~48に基づいて把握することができ、個々の非移動命令を個々の図形で表示する必要がない。したがって、目標位置に複数の図形が重なって表示されることを抑制することができ、作業者は非移動命令の実態を把握し易くなる。
【0060】
・アイコン41~48は、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数に対応した数字を含む。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令の数に対応した数字により、非移動命令の数を明確に把握することができる。
【0061】
・ティーチングペンダント30は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置P1である場合に、共通目標位置P1において実行する非移動命令の数を、共通目標位置P1に対応させて移動命令毎にアイコン43~46で表示する。こうした構成によれば、共通目標位置P1において実行される非移動命令の数が、共通目標位置P1に対応させて移動命令毎にアイコン43~46で表示される。このため、どの移動命令後にいくつの非移動命令が実行されるかを、作業者が把握しやすくなる。この場合であっても、個々の非移動命令を個々の図形で表示する必要がないため、共通目標位置P1に表示される図形の数を抑制することができる。
【0062】
・ティーチングペンダント30は、移動命令毎にアイコン43~46、47~48を一部重ねて表示する。こうした構成によれば、複数のアイコン43~46、47~48を表示する領域が大きくなることを抑制するとともに、作業者は個々のアイコン43~48を把握し易くなる。
【0063】
・ティーチングペンダント30は、移動命令を実行する順に手前から奧へ、移動命令毎にアイコン43~46、47~48を表示する。こうした構成によれば、作業者は、各移動命令の後に実行される非移動命令が、各移動命令に対応してどのような順で実行されるかを把握し易くなる。
【0064】
・ティーチングペンダント30は、共通目標位置P1に対応するアイコン43~46を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置P1への複数の移動命令及びその後にそれぞれ実行される非移動命令のいずれかを編集したい場合に、編集対象の命令に対応するアイコン43~46を選択することができる。そして、ティーチングペンダント30は、いずれかのアイコン43~46が選択された場合に、選択されたアイコン43~46に対応する移動命令及び非移動命令を編集可能とする。したがって、作業者は、編集対象の命令を選択し易くなり、編集対象の命令を容易に編集することができる。
【0065】
・ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数に対応した数字と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字とを、各目標位置P0~P3に対応させて表示する。例えば、
図7に示すように、ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、1回目の移動命令後に、共通目標位置P1において実行する非移動命令の数に対応した数字「5」と、実行中の非移動命令の番号に対応した数字「2」とを、目標位置P1に対応させて表示する。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令を実行している目標位置と、その目標位置で実行する非移動命令の数と、実行中の非移動命令とを把握することができる。
【0066】
・ティーチングペンダント30は、視点を変更してロボット10の動作軌道L1~L3をディスプレイ31に表示可能である。このため、作業者は、動作軌道L1~L3を視る視点を変更して動作軌道L1~L3の表示状態を変更しながら、プログラムを作成することができる。そして、ティーチングペンダント30は、動作軌道L1~L3の視点が変更された場合も、アイコン41~48を常に正面から視た状態で表示する。このため、作業者は、動作軌道L1~L3を視る視点にかかわらず、非移動命令の数をアイコン41~48に基づいて把握することができる。
【0067】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0068】
・ティーチングペンダント30は、プログラムの実行中に、各目標位置P0~P3において実行する非移動命令の数に対応した数字のみを各目標位置P0~P3に対応させて表示し、実行中の非移動命令の番号に対応した数字の表示を省略することもできる。
【0069】
・ティーチングペンダント30は、移動命令毎にアイコン43~46、47~48を、重なる部分がない状態で表示することもできる。こうした構成によっても、作業者は個々のアイコン43~48を把握し易くなる。
【0070】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0071】
図8に示すように、ティーチングペンダント30(第3処理部)は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置P1である場合に、共通目標位置P1において目標位置が重なっていることをアイコン51で表示する。アイコン51は、目標位置の重なりがあることを示す図形である。ティーチングペンダント30は、共通目標位置P1が目標位置になる回数を、共通目標位置P1に対応させてアイコン52で表示する。アイコン52(第3記号)は、共通目標位置P1が目標位置になる回数を表す数字「2」を含んでいる。こうした構成によれば、作業者は、非移動命令が実行される前提となる共通目標位置P1への移動の回数を、アイコン52に基づいて把握することができる。したがって、作業者は非移動命令の実態を把握し易くなる。
【0072】
ティーチングペンダント30、アイコン52を選択可能に表示し、アイコン52が選択された場合に、共通目標位置P1を目標位置とする各移動命令を表す「Move1」,「Move3」と、その後にそれぞれ実行する非移動命令の数を表すアイコン53,54とを対応付けて表示する。アイコン53,54は、それぞれ非移動命令の数を表す数字「5」,「5」を含んでいる。アイコン53,54は、作業者により選択可能になっている。ここでは、アイコン53が選択されており、それに対応するアイコン55が共通目標位置P1に表示されている。同様に、アイコン56~58は、各目標位置P0,P2,P3で実行する非移動命令の数を表している。
【0073】
上記構成によれば、ティーチングペンダント30(第3処理部)は、共通目標位置P1が目標位置になる回数を表すアイコン52を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置P1で実行される非移動命令の詳細を知りたい場合に、アイコン52を選択することができる。そして、ティーチングペンダント30は、アイコン52が選択された場合に、共通目標位置P1を目標位置とする各移動命令「Move1」,「Move3」と、その後にそれぞれ実行する非移動命令の数「5」,「5」とを対応付けて表示する。したがって、作業者は、各移動命令「Move1」,「Move3」後に、共通目標位置P1でそれぞれ実行する非移動命令の数「5」,「5」を把握することができる。
【0074】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、ティーチングペンダント30(第2処理部)は、複数の移動命令の目標位置が共通の共通目標位置P1である場合に、共通目標位置P1において実行する非移動命令の合計数を、共通目標位置P1に対応させてアイコン61で表示する。アイコン61は、共通目標位置P1において実行する非移動命令の合計数を表す数字「10」を含んでいる。ここでは、共通目標位置P1へ移動する各移動命令「Move1」,「Move3」の後に、それぞれ実行する非移動命令の数「5」の合計数「10」を表示している。こうした構成によれば、作業者は、共通目標位置P1で実行する非移動命令の合計数「10」をアイコン61に基づいて把握することができ、共通目標位置P1で実行する非移動命令の実態を把握し易くなる。同様に、アイコン62~64は、各目標位置P0,P2,P3で実行する非移動命令の合計数を表している。
【0076】
ティーチングペンダント30、アイコン61を選択可能に表示し、アイコン61が選択された場合に、共通目標位置P1を目標位置とする各移動命令を表す「Move1」,「Move3」と、その後にそれぞれ実行する非移動命令とを対応付けて表で表示する。ここでは、移動命令「Move1」に対応する1つ目の非移動命令「Move1-1」として「Wait 100」が表示され、移動命令「Move1」に対応する2つ目の非移動命令「Move1-2」として「分岐」が表示され、移動命令「Move3」に対応する1つ目の非移動命令「Move3-1」として「Wait 100」が表示されている。
【0077】
上記構成によれば、ティーチングペンダント30(第2処理部)は、共通目標位置P1において実行する非移動命令の合計数を表すアイコン61を選択可能に表示する。このため、作業者は、共通目標位置P1で実行される非移動命令の詳細を知りたい場合に、アイコン61を選択することができる。そして、ティーチングペンダント30は、アイコン61が選択された場合に、共通目標位置P1を目標位置とする各移動命令「Move1」,「Move3」と、その後にそれぞれ実行する非移動命令「Wait 100」,「分岐」等とを対応付けて表示する。したがって、作業者は、各移動命令「Move1」,「Move3」後に、共通目標位置P1でそれぞれ実行する非移動命令「Wait100」,「分岐」等を把握することができる。
【0078】
なお、
図10に示すように、ティーチングペンダント30は、アイコン61を選択可能に表示し、アイコン61が選択された場合に、共通目標位置P1を目標位置とする各移動命令を表す「Move1」,「Move3」と、その後にそれぞれ実行する非移動命令とを対応付けて、グループ化したアイコンで表示してもよい。ここでは、移動命令「Move1」に対応する非移動命令を表すアイコン71~75が同じグループで表示され、移動命令「Move3」に対応する非移動命令を表すアイコン76~80が同じグループで表示されている。
【0079】
なお、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0080】
・ティーチングペンダント30は、アイコンの種類毎にアイコンを表示状態と非表示状態とに切り替え可能にしてもよい。
【0081】
・目標位置を丸印とは別の任意の記号(第1記号)で表示してもよい。記号とは、文字やマーク、絵など、意味を付された図形全般を指すものとする。
【0082】
・非移動命令の数は、数字に限らず、記号の形状や色で表示することもできる。例えば、ティーチングペンダント30(第2処理部)は、非移動命令の数を表す突起をアイコンに設け、非移動命令の数が多いほど、突起の数を増やしてもよい。また、ティーチングペンダント30は、非移動命令の数に応じて、アイコンの色を変化させてもよい。そして、非移動命令の数に応じてアイコンの色を変化させる場合、アイコンを斜めから視た状態で表示しても、その色を把握することは可能である。そこで、ティーチングペンダント30は、動作軌道の視点が変更された場合に、変更された視点から視た状態でアイコン表示してもよい。
【0083】
・上記の各実施形態では、ティーチングペンダント30によりロボットのプログラム作成支援装置を実現した。これに対して、コントローラ20に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)とモニタ(表示部)により、ロボットのプログラム作成支援装置を実現することもできる。
【0084】
・現実の景色に重ねて仮想画像を表示する眼鏡型表示装置において、ロボット10の動作軌道L1~L3、各目標位置P0~P3、及び非移動命令の数を表すアイコン41~48、53~58、61~64(第2記号)を、ロボット10に対応した位置に表示することもできる。具体的には、ロボットのプログラム作成支援装置は、眼鏡型表示装置から作業者の視点位置を取得し、コントローラ20やティーチングペンダント30あるいは予め設定されているデータ等からロボット10の設置位置および姿勢を取得し、作業者の視点位置、ロボット10の設置位置および姿勢に基づいて、作業者の視野に重なるように仮想画像を表示する。
【0085】
・ロボット10は、垂直多関節型ロボットに限らず、水平多関節型ロボット等であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…ロボット、30…ティーチングペンダント(ロボットのプログラム作成支援装置)、31…ディスプレイ(表示部)。