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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】回転振動機及び振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/10 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B65G27/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020003118
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021109746
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】田邉 喜文
(72)【発明者】
【氏名】犬井 智三
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-069676(JP,U)
【文献】特開平09-165113(JP,A)
【文献】実開平05-001719(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102991969(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00-27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、
前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて前記第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて前記第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造とし、このうち少なくとも前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を前記対向軸に平行な方向に沿って連結具で連結され、前記板バネは前記対向軸に沿って延在し、且つ、前記対向軸の方向に沿った前記第1連設部の投影断面内に配置されていることを特徴とする、回転振動機。
【請求項2】
第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、
前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて前記第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて前記第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造とし、このうち少なくとも前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を前記対向軸に平行な方向に沿って連結具で連結するとともに、
前記第2連設部と前記第2質量体の本体部との間を、前記対向軸方向と交差する第1方向、並びに前記対向軸方向及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って連結していることを特徴とする回転振動機。
【請求項3】
前記第2連設部と前記第2質量体の本体部との間も前記対向軸方向に沿って連結している、請求項1に記載の回転振動体。
【請求項4】
前記第2質量体が固定側であり、前記第1質量体が可動側である、請求項1~3の何れかに記載の回転振動機。
【請求項5】
前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を少なくとも2箇所において前記対向軸方向に沿って連結している、請求項1~4の何れかに記載の回転振動機。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の回転振動機と、前記第1質量体上に固定され螺旋状の搬送路を備えた搬送体とを具備することを特徴とする、振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振特性を決定づける主機械要素の取付状態を適正化することで振動機としての高周波数、大振幅化を図った、回転振動機及び振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の回転振動機として、例えば図10に示すような構造が従来より一般的である。この回転振動機100は、第1質量体である振動盤101と、この振動盤101に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台102と、前記振動盤101と前記基台102を前記対向軸m回りに相対振動させる加振源103と、前記振動盤101と前記基台102の間を接続する位置に配置される第1弾性体104と、を備えて構成されている。
【0003】
このような回転振動機100の振動盤101上に図10のように搬送路105を取り付けて例えば物品搬送装置であるパーツフィーダPFとして用いるとき、搬送速度を高めるためにも、かかる回転振動機100に高周波数、大振幅化が求められる。
【0004】
回転振動機100は、主として第1弾性体104が共振特性を決定する要因になる。例えば第1弾性体104が図示のような板バネである場合、板バネ104を厚く、長くすれば、近時の高周波数、大振幅化の要請に応えることができる。
【0005】
特許文献1は、振動盤と基台を接続する板バネを改良した重ね板バネ構造を示している。従来は単体の板バネで構成されていたため、厚肉にすることで折れ易くなるという不具合があった。これに対して同文献のものは、複数の板バネで一枚の板バネの機能を実現しており、個々の板バネは曲がり易くなっているので、全体として板バネが折れることが解消されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-96853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、高周波数、大振幅を実現するためには、加振ロスを極力低減することが求められる。加振ロスとは、ばねと固定部材との間の内部摩擦などによる加振エネルギーの損失をさす。
【0008】
図10は、第1弾性体104が長方形の板バネによって構成されている。板バネ104は長方形状であり、振動盤101と基台102の対向軸mの周囲において当該対向軸mと傾斜する方向に延在して配置されている。
【0009】
図11のように、板バネ104の基台固定側βの厚み方向・幅方向中心に原点Oをとり、長手方向をz軸、厚み方向をx軸、幅方向をy軸、対向軸mを回転軸とする。
【0010】
今、図10に示すパーツフィーダPFにおいて振動盤101と基台102が互いに異なる方向に回転した場合、外周に縦向きに設置された板バネ104には、図12に示すように原点O側及び反対側のバネ両固定端にx方向の力Fx、F´xと、y軸回りの固定モーメントMy、M´yからなる長手方向の曲げであるAモードのたわみが発生する。つまり、板バネ104を両端で固定接続している振動盤101、基台102にもFx、F´xとMy、M´yが作用する。
【0011】
従来において例えば原点Oと反対側の板バネの留め方として、図13(a)に示すようにy軸方向への留め方と、図13(b)に示すようにx軸方向への留め方がある。
【0012】
図13(a)の場合、y軸方向ボルト留めのため、y軸回りの曲げモーメントMyが発生すると板バネ104がボルトvの回りで回転滑りが発生する。この滑りが生じた際、摩擦によるエネルギー損失につながり、共振倍率が下がる結果、小さい加振力で大振幅を達成できなくなる。
【0013】
一方、図13(b)の場合、x軸方向のボルト留めのため、図12に示したx軸方向の力Fxに対しては直交方向にボルト固定しているので、問題はない。しかし、図13(c)のようにy軸回りの曲げモーメントMyが例えば回転盤側固定部αに伝達される。すなわち、板バネ104が変形すると、本来なら同図13(c)に破線で示すようにバネが片持ち梁的に撓むところ、これを回転盤側固定部αに保持するために図中矢印で示すようなy軸回りのモーメントMyが回転盤側固定部αに伝達される。このとき、接続される振動盤101が軽量化のために薄い円盤型になっている場合等には、回転盤側固定部αが曲げモーメントに負けてしまい、図13(d)のように振動盤101が波打つように撓んでしまう。すると、バネがS字に曲がらず、周波数が上がらないため、高周波数を実現できなくなる。また、振動盤101が波打つことで、振動盤101の上に配置される搬送体Bと接触干渉や摩擦が生じ、やはり、加振ロスが生じ、大振幅化を実現できなくなる。ばねがS字に曲がらない場合、第1弾性体の弾性係数計算に、振動盤101などのたわみによるばね固定端条件を追加する必要があり、より複雑な計算式となってしまう。
【0014】
さりとて、第1質量体である振動盤101を厚くすると、慣性モーメントが上がり、外周が厚くなると回りにくくなる。したがって、これによっても高周波数、大振幅化を実現することは難しい。
【0015】
このような不具合は、重ね板バネの前身である単一板バネ構造であっても全く同様である。重ね板バネ構造の場合にはさらに、板バネ同士の間にも滑りの問題がある。
【0016】
本発明は、共振特性を決定づける主機械要素である第1弾性体を質量体に適切に取り付けることで、部品間の滑りやばね固定部材のたわみによる加振ロスを解消して、振動機としての高周波数、大振幅化を実現可能とした、回転振動機及び振動搬送装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0018】
すなわち、本発明に係る回転振動機は、第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて前記第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて前記第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造とし、このうち少なくとも前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を前記対向軸に平行な方向に沿って連結具で連結され、前記板バネは前記対向軸に沿って延在し、且つ、前記対向軸の方向に沿った前記第1連設部の投影断面内に配置されていることを特徴とする。
【0019】
板バネの厚み方向をx方向、幅方向をy方向、長手方向をz方向とすると、板バネの両端を第1質量体と第2質量体に固定してS字状に変形させたときにy軸回りの曲げモーメントが掛かる。しかし、上記のように構成すると、連結具の軸力が対向方向すなわち軸回りの曲げモーメントに直交するので、固定部回りのすべりが発生しにくい。また、少なくとも第1弾性体が第1連設部を介して第1質量体の一部と一体になることで、固定モーメントを部材剛性で受けることができ、第1質量体の撓みの発生が抑えられ、第1質量体の適切な平行移動が実現できる。これにより、第1連設部と第1質量体の間の滑りや第1質量体の撓みによる加振ロスを解消して共振倍率があがり、小さな加振力でも高周波数、大振幅化を適切に実現できるようになる。
【0020】
また、本発明に係る回転振動機は、第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて前記第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて前記第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造とし、このうち少なくとも前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を前記対向軸に平行な方向に沿って連結具で連結するとともに、前記第2連設部と前記第2質量体の本体部との間を、前記対向軸方向と交差する第1方向、並びに前記対向軸方向及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って連結していることが好適である。
【0021】
このようにすると、第2質量体側において第1弾性体のねじり応力に対して強い留め方を第2連設部との間で実現することが可能になる。
【0022】
或いは、前記第2連設部と前記第2質量体の本体部との間も前記対向軸方向に沿って連結しているものも好適である。
【0023】
このようにすると、第2連設部と第2質量体との間においても、第1連設部と第1質量体との間におけると同様に、部品間の滑りやばね固定部材のたわみによる加振ロスを解消することができる。
【0024】
上記において、前記第2質量体が固定側であり、前記第1質量体が可動側であることが好適である。ここで、可動側とは、搬送体などの加振対象が具備される側であり、固定側とは、可動側のカウンターウェイトとしての働きをする側である。
【0025】
このように、第1質量体を可動側に設定することで、可動部側での滑りやばね固定部材のたわみが優先的に解消されることになる。
【0026】
特に、前記第1連設部と前記第1質量体の本体部との間を少なくとも2箇所において前記対向軸方向に沿って連結していることが好適である。
【0027】
このようにすれば、第1連設部を介して板バネが第1質量体の本体部に複数箇所でしっかり保持されるので、第1質量体が撓んだり傾いたりすることなく第2質量体に対して平行移動できるようになる。
【0028】
そして、上記何れかに記載の回転振動機と、前記第1質量体上に固定され螺旋状の搬送路を備えた搬送体とにより振動搬送装置を構成すれば、搬送体上での物品の搬送速度を有効に向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明した本発明によれば、共振特性を決定づける主機械要素である第1弾性体を質量体に適切に取り付けることで、部品間の滑りやばね固定部材のたわみによる加振ロスを解消して高周波数、大振幅を実現可能とした、新規有用な回転振動機及び振動搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る回転振動機及び振動搬送装置を示す斜視図。
図2図1の分解図。
図3図2の要部説明図。
図4】同実施形態を構成する第1弾性体を示す斜視図。
図5】同第1弾性体の構成及び取付説明図。
図6】同第1弾性体の作用説明図。
図7】本発明の変形例を示す図。
図8】本発明の他の変形例を示す図。
図9】本発明のさらに他の変形例を示す図。
図10】従来例に係る回転振動機及び振動搬送装置を示す斜視図。
図11】同従来例の第1弾性体に関する説明図。
図12】同第1弾性体の振動モードの説明図。
図13】同従来例の不具合を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態を、図1図6を参照して説明する。
【0032】
この実施形態の回転振動機Aは、第1質量体である振動盤1と、この振動盤1に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台2と、これら振動盤1と基台2を対向軸m回りに相対振動させる加振源3と、振動盤1と基台2の間を接続する位置に配置される第1弾性体4と、を備える。回転振動機Aには螺旋状に立ち上がる搬送路を有する搬送体Bが取り付けられて、振動搬送装置たるパーツフィーダPFが構成される。この実施形態の搬送体Bは、例えばICチップのような微小物品を整列、供給するために構成されるものである。
【0033】
振動盤1は、第1質量体の主体をなす円盤状の振動盤本体10と、この振動盤本体10に取り付けられて第1質量体の一部をなす後記の第1連設部41とから構成される。振動盤本体10の外周位には、等角複数箇所すなわち本実施形態では3箇所に第1弾性体と接続される振動盤側第1接続部11と、これら振動盤側第1接続部11とは位相のずれた等角複数箇所すなわち本実施形態では3箇所に加振源3と接続される振動盤側第2接続部12とが設けてある。振動盤側第1接続部11は、下方及び径外方向に肉盗みされた形状、具体的には側方からみて下向きU字状で有底をなす凹部である。振動盤側第2接続部12は、振動盤本体10から下向きに突出する突部である。
【0034】
基台2は、第2質量体の主体をなす切頭円錐状の基台本体20と、この基台本体20に取り付けられて第2質量体の一部をなす後記の第2連接部42とから構成される。基台本体20は設置面に防振部材2aを介して配置される。基台2の外周位には、前記振動盤側第1接続部11と対応する位置にあって第1弾性体4と接続される基台側第1接続部21と、前記振動盤側第1接続部12と対応する位置にあって加振源3と接続される基台側第2接続部22とが設けてある。基台側第1接続部21は、図2及び図3(a)に示すように、上方及び径外方向に肉盗みされた形状、具体的には側方からみてU字溝状で有底をなす凹部である。基台側第2接続部22は、図2及び図3(b)に示すように、振動盤側第2接続部12を遊動可能に配置する空間の内奥に位置して、後記の第2板バネ収容部23及び接続部材当接部24から構成される。
【0035】
加振源3は、第2質量体である基台2の一部を構成する接続部材31と、この接続部材31に基端を接続され先端側が半径方向に延びる横型配置の第2弾性体たる第2板バネ32と、この第2板バネ32の両面または片面に貼り付けられて振動によって第2板バネ32をたわませるバイモルフまたはユニモルフ型の圧電素子駆動部33と、を備える。基台2には、図3(b)に示すように、上から見て中心から3方向にスター状に延び上方及び径外方向に開口する前記第2板バネ収容部23と、隣接する第2板バネ収容部23同士の間に位置するL字形の前記接続部材当接部24とが設けてあり、第2板バネ32の基端を取り付けた接続部材31は、2面を接続部材当接部24に当接させた状態で対向軸z方向すなわち上方向から止着具であるボルトv1によって基台2の底面に締結される。
【0036】
そして、第2板バネ32の基端部を接続部材31に止着具であるボルト21によって水平方向に連結し、第2板バネ32の先端部を、振動盤本体10から下方に突出させて設けた振動盤側第2接続部12に止着具であるボルトv22によって水平方向に連結している。
【0037】
第1弾性体4は、振動盤1と基台2とを接続することによって主たる共振バネとして機能するもので、図4に示すように複数(本実施形態では2枚)の板バネ40と、各板バネ40の一端側に連設されて振動盤1の一部をなす前記第1連設部41と、各板バネ40の他端側に連設されて基台2の一部をなす前記第2連設部42とを含む一体型板バネ構造(さらに言えば一体型重ね板バネ構造)をなす。
【0038】
板バネ40は、互いに平行に配置されている。図11に示したと同様、板バネ40の厚み方向・幅方向中心に原点Oをとり、長手方向をz、厚み方向をx、幅方向をyとした場合、図1及び図4等に示す板バネ40は、厚み方向xを回転振動機Aの円周方向に向け、幅方向yを回転振動機Aの径方向に向け、長手方向zを回転振動機Aの対向軸mと傾斜する方向に延在させて配置される。個々の板バネ40を見ると、図5(c)に示すように、そのy方向の幅寸法Wは長手方向に沿って想像線で示すように一端40e1から他端40e2まで一律な長方形状ではなく、実線で示すように上下端40e1、40e2から中央部40mに向かって漸次幅狭となるように滑らかに括れた形状をなしている。この形状は、ばね素材であるばね鋼や炭素鋼等にくびれ加工を施すことによって付与されている。
【0039】
図4に示す第1連設部41は各板バネ40の上端部と一体をなす直方体状のもので、図1及び図2に示すように振動盤側第1接続部である凹部11内に緊密に配置される。図4に示す第2連接部42は各板バネ40の下端部と一体をなす底部42aと、この底部42aの両側に各板バネ40を包囲するように配置される右側部42b及び左側部42cとが一体に構成されたU字状のもので、図1図3に示すように基台側第1接続部である凹部21内に緊密に配置される。
【0040】
すなわち第1弾性体4は、第1質量体である回転盤1及び第2質量体である基台2に対して外部から着脱可能に嵌め込むことができる位置関係に配置される。
【0041】
図1図2及び図4に示すように、第1連設部41と振動盤本体10との間は、2箇所において対向軸mに平行な方向に沿って連結具v3で連結されている。図2及び図4において符合h3で示すものはそのための連結用孔である。
【0042】
また、第2連設部42の右側部42bと基台本体20との間は、2箇所において前記対向軸m方向と交差(直交)する第1方向sに沿ってボルトv4で連結され、第2連接部32の左側部32cと基台本体20との間は、2箇所において前記対向軸m方向及び前記第1方向sと交差(直交)する第2方向uに沿ってボルトv5で連結されている。図4において符合h4、h5で示すものはそのための連結用孔である。この実施形態の場合、第1方向sは対向軸mの円周上の接線方向であり、第2方向uは対向軸mを通る半径方向である。また、板バネの長手方向zは対向軸mに対して若干傾斜しており、板バネ30の厚み方向xは第1方向sにほぼ合致し、板バネの幅方向yは第2方向uはほぼ合致している。
【0043】
この実施形態では、振動盤本体10を、慣性モーメント低減を図るためにアルミで作成する。しかし、振動盤本体10にばねを直接結合するとアルミ素材のヤング率は鉄よりも低いため、結合部の曲げ剛性が下がる。そこで、図5(b)で示すように、第1質量体の一部である第1連設部41を板バネ40とともにばね鋼や炭素鋼等のばね素材で作っている。このため、第1弾性体4を構成する板バネ40と回転盤本体10との結合部の曲げ剛性を高める効果がある。これは、第1弾性体を構成する板バネ40と第2質量体の本体である基台本体20との結合部においても同様、板バネ40と一体をなす第2連設部42をばね鋼や炭素鋼等のばね素材で作っており、板バネ40と基台本体20との結合部の曲げ剛性を高める効果がある。なお、図5(b)は説明の便宜上、1枚の板バネ40で表してあるが、本実施形態の板バネ40は図5(a)のように2枚であるため、その各々の板バネ40において上記の構成を有し同様の効果がある。
【0044】
そして、圧電素子駆動部33に所要周波数の電圧を繰り返し印加することによって、第2板バネ32を通して振動盤1を正逆方向に加振する。これに伴い、第1弾性体である板バネ40が撓み振動する。
【0045】
その撓み振動のうち、図6(a)に示す長手方向の曲げが発生する。この曲げは共振特性を決定づける支配的要因となる。この曲げに伴い、原点O側及び反対側のバネ両固定端にはx方向の力Fx、F´xと、y軸回りの固定モーメントMy、M´yを生じる。これをAモードのたわみとする。
【0046】
またこれに伴い、図6(b)に示すz軸回りのねじれが発生する。このねじれに伴い、原点Oの回りにz軸方向から見てモーメントMzを生じる。これをBモードのたわみとする。
【0047】
さらこれに伴い、図6(c)に示す幅方向の曲げが発生する。この曲げに伴い、原点と反対側には、y方向の力Fyと、x軸回りの固定モーメントMxを生じる。これはつまり、基台101に対して振動盤102が回転すると、板バネ104の振動盤側固定部αの位相が基台側固定部βの位相に対して変化するため、例えばこれをy-z平面に投影したとき、振動盤側固定部αが幅方向(径外方向)に持ち出される。これをCモードのたわみとする。
【0048】
このうち、主としてAモードの撓みによって、共振点若しくは共振点近くで必要な周波数、振幅に増幅され、振動盤1を効率良く駆動することができる。
【0049】
その際、第1弾性体である第1板バネ40は対向軸mに対して斜めの方向であるz軸方向に配置されていることによって、振動盤1は上下方向の並進運動(振動)と円周方向の回転運動(振動)を行う。その結果、振動盤1上に螺旋状の搬送路を備えた搬送体Bを取り付けた振動搬送装置であるパーツフィーダPFは、搬送路上の物品が螺旋状の搬送路に沿って搬送体Bの底部から上部に向かって搬送されることになる。
【0050】
以上のように、本実施形態の回転振動機Aは、第1質量体である回転盤1と、この回転盤1に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台2と、回転盤1と基台2を対向軸m回りに相対振動させる加振源3と、回転盤1と基台2の間を接続する位置に配置される第1弾性体4と、を備える。
【0051】
そしてその第1弾性体4を、板バネ40と、前記板バネ40の一端側に連設されて回転盤1の一部をなす第1連設部41と、前記板バネ40の他端側に連設されて基台2の一部をなす第2連設部42とを含む一体型板バネ構造とし、このうち少なくとも第1連設部41と回転盤本体10との間を対向軸mに平行な方向に沿って連結具であるボルトv3によって連結したものである。
【0052】
このような、いわゆる対向軸方向留めを採用すると、図6(a)に示すように板バネ40の両端を回転盤1と基台2に固定してS字状に変形させたときにy軸回りの曲げモーメントMyが掛かっても、図5(b)に示す連結具であるボルトv3の軸力が対向方向すなわち軸回りの曲げモーメントMyに直交するので、固定部回りのすべりが発生しにくい。また、板バネ40の端部が回転盤1の一部である第1連設部10と一体になることで、固定モーメントMyをその部材剛性で受けることができ、振動盤1の撓みの発生が抑えられ、x、y方向に適切な平行移動が実現できる。これにより、第1連設部41と板バネ40の間の滑りや回転盤1のたわみによる加振ロスを解消して共振倍率があがり、小さな加振力でも高周波数、大振幅化を適切に実現できるようになる。
【0053】
また、第2連設部42と第2質量体の本体部である基台本体20との間を、対向軸m方向と交差する第1方向s、並びに対向軸m方向及び前記第1方向sと交差する第2方向uに沿って連結しているので、第2質量体である基台2側において第1弾性体3のねじり応力に対して強い留め方を当該基台2と第2連設部42との間で実現することが可能になる。
【0054】
特に、第2質量体が固定側の基台2であり、第1質量体が可動側の回転盤1であり、少なくとも回転盤1側において上記の対向軸方向留めを採用しているので、可動部側での滑りやばね固定部材のたわみが優先的に解消されることになる。
【0055】
また、第1連設部41と第1質量体の一部である回転盤本体10との間を少なくとも2箇所において対向軸m方向に沿って連結しており、第1連設部41を介して板バネ40が回転盤本体10に複数箇所でしっかり保持されるので、回転盤10が撓んだり傾くことなく基台2に対して平行移動できるようになる。
【0056】
そして、このような回転振動機Aと、第1質量体である回転盤1上に固定され螺旋状の搬送路を備えた搬送体Bとにより振動搬送装置たるパーツフィーダPFを構成しているので、搬送体B上での物品の搬送速度を有効に向上させることが可能となる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0058】
例えば、上記実施形態の第1質量体を基台、第2質量体を振動盤となるように上下反転して用いても構わない。この場合、第1弾性体の下に位置する上向きU字状の第2連設部が上に位置して下向きU字状として配置され、反対に上に位置する第1連設部が下に位置することになり、対向軸方向の連結は基台と第1弾性体との間で優先的に行われることになる。第1質量体や第2質量体の形状等は適宜変更すればよい。
【0059】
また、上記実施形態では板バネ40を、端部から中央部に向かって幅狭となるような括れ形状としたが、図7に示す板バネ40´のように長方形状のものにしてもよい。他の基本的な構成は上記実施形態と同様であり、対応する部分には同一符合が付してある。このようにすると、板バネ40´自体の剛性が高くなるため、高周波数化に重点をおいた設計を行うことが可能になる。
【0060】
また、上記実施形態では第1連設部41と回転盤本体10との間を2箇所において対向軸mに平行な方向に沿って連結具であるボルトv3によって連結したが、図8(a)に示すように1箇所においてボルトv3によって連結してもよい。この場合、ボルトv3による連結箇所が2枚の板バネ40´(あるいは40)の中間点にあればより好ましく、y軸回りのモーメントMyが軸力と略直交することですべりを防止できる点、当該モーメントMyを第1連設部41の部材剛性で受けることで振動盤のたわみを防止できる点で、同様の効果が奏される。
【0061】
また、図8(b)に示すように、第1連設部41と回転盤本体10との間を2箇所において対向軸mに平行な方向に沿って連結具であるボルトv3によって連結する際、連結用孔h3をボルトv5の締結方向uにずらして締結することも有効である。このようにすることで、板バネ40´(あるいは40)の曲げ強度を高めることができる。
【0062】
また、上記実施形態では2枚の板バネ40を用いたが、図9(a)に示すように1枚の板バネ40´(あるいは40)のみを用いた構成や、図示しないが3枚以上の板バネを用いた構成で実施することも勿論可能である。
【0063】
また、上記実施形態では第1質量体である回転盤1と第1連設部41の間を対向軸m方向に締結し、第2質量体である基台2と第2連設部42の間をこれと直交するs軸方向、さらにm軸及びs軸と直交するu軸方向に締結したが、図9(b)に示すように第2質量体である基台2と第2連設部42との間も対向軸m方向に沿って連結してもよい。このようにすると、基台2と第2連設部42との間においても、回転盤1と第1連設部41との間におけると同様に、部品間の滑りやばね固定部材のたわみによる加振ロスを解消することができる。
【0064】
その他、板バネを対向軸方向に対して傾斜させずに構成するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…第1質量体(回転盤)
2…第2質量体(基台)
3…加振源
4…第1弾性体
20…第2質量体の本体部(基台本体)
40…板バネ
41…第1連設部
42…第2連設部
A…回転振動機
B…搬送体
m…対向軸
PF…振動搬送装置(パーツフィーダ)
s…第1方向
u…第2方向
v3…連結具(ボルト)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
図13