(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】インバータ試験装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/493 20070101AFI20240215BHJP
【FI】
H02M7/493
(21)【出願番号】P 2020034708
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 正
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195667(JP,A)
【文献】特開2017-127116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0169311(US,A1)
【文献】特開平08-009556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試インバータによって駆動されるモータを模擬することにより、前記供試インバータの試験を行うインバータ試験装置であって、
前記供試インバータによって駆動される前記モータを模擬するように、互いに並列に接続された複数のモータ模擬装置と、
前記複数のモータ模擬装置のうちそれぞれ対応するモータ模擬装置を駆動制御する複数の制御装置と、
を備え、
前記複数の制御装置のうち一つの制御装置は、入力指令に基づいて前記複数のモータ模擬装置を同期させるための同期信号を生成し、該生成した同期信号を前記複数の制御装置及び前記供試インバータに出力する、インバータ試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインバータ試験装置において、
前記複数の制御装置は、それぞれ、前記同期信号を角度信号に変換する角度変換器を有する、インバータ試験装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインバータ試験装置において、
前記一つの制御装置は、該一つの制御装置から出力された前記同期信号を前記角度変換器で変換して得られる角度信号を用いて、生成する同期信号を補正する、インバータ試験装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のインバータ試験装置において、
前記供試インバータの電流を検出する電流検出部をさらに備え、
前記複数の制御装置のうち所定の制御装置は、前記電流検出部で検出された電流値に基づいて、前記複数のモータ模擬装置のうち前記所定の制御装置に対応するモータ模擬装置を電圧制御し、
前記複数の制御装置のうち残りの制御装置は、それぞれ、前記電流検出部で検出された電流値に基づいて、前記複数のモータ模擬装置のうち前記残りの制御装置に対応するモータ模擬装置を電流制御する、インバータ試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供試インバータによって駆動されるモータを模擬することにより、前記供試インバータの試験を行うインバータ試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供試インバータによって駆動されるモータを模擬することにより、前記供試インバータの試験を行うインバータ試験装置が知られている。このようなインバータ試験装置は、モータ模擬装置と、該モータ模擬装置を駆動制御する制御装置とを備えている。すなわち、前記インバータ試験装置では、前記制御装置によって前記モータ模擬装置を駆動することにより、供試インバータによって駆動されるモータと同様の特性を実現して該モータを模擬する。
【0003】
近年では、前記供試インバータによって駆動されるモータの高出力化に伴い、前記インバータ試験装置において、複数のモータ模擬装置を用いることが考えられている。この場合、一般的には、1つのメインコントローラによって、前記複数のモータ模擬装置の駆動を制御する。
【0004】
このようにメインコントローラで複数の制御装置を制御する構成として、例えば、特許文献1に開示されている無停電電源装置が知られている。この無停電電源装置では、互いに並列接続された複数の主回路ユニットの制御を、メインコントローラが行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されている構成のように、メインコントローラから出力される1つの駆動信号によって複数の主回路ユニットの駆動を制御する場合、前記メインコントローラと前記複数の主回路ユニットとを接続する信号線が増える。そのため、上述の構成の場合、前記メインコントローラに接続される前記主回路ユニットの数を増やすと、装置全体として大型化する。
【0007】
換言すれば、前記メインコントローラに接続される前記主回路ユニットの数は、前記信号線の数によって制約を受ける。
【0008】
ところで、供試インバータによって駆動されるモータを模擬するインバータ試験装置では、複数のモータ模擬装置を並列に接続して駆動させる場合、モータを精度良く模擬するように、前記複数のモータ模擬装置を同期させて駆動することが重要である。よって、このようなインバータ試験装置では、並列に接続された複数のモータ模擬装置を、精度良く同期させることも望まれている。
【0009】
本発明の目的は、供試インバータによって駆動されるモータを模擬するインバータ試験装置において、より多くのモータ模擬装置を精度良く同期させて駆動可能な構成を、コンパクトな構成によって実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るインバータ試験装置は、供試インバータによって駆動されるモータを模擬することにより、前記供試インバータの試験を行うインバータ試験装置である。このインバータ試験装置は、前記供試インバータによって駆動される前記モータを模擬するように、互いに並列に接続された複数のモータ模擬装置と、前記複数のモータ模擬装置のうちそれぞれ対応するモータ模擬装置を駆動制御する複数の制御装置と、を備える。前記複数の制御装置のうち一つの制御装置は、入力指令に基づいて前記複数のモータ模擬装置を同期させるための同期信号を生成し、該生成した同期信号を前記複数の制御装置及び前記供試インバータに出力する(第1の構成)。
【0011】
これにより、複数のモータ模擬装置を、それぞれ、対応する複数の制御装置によって制御することができる。よって、複数の制御装置は、対応するモータ模擬装置に適した制御を行うことができる。したがって、上述の構成では、前記複数のモータ模擬装置を精度良く同期させて駆動することが可能になる。
【0012】
しかも、メインコントローラではなく、複数の制御装置のうち一つの制御装置が、他の制御装置に対して同期信号を生成して出力する。これにより、メインコントローラを設けることなく、一つの制御装置で生成した同期信号を他の制御装置でも共有することができる。よって、並列に接続されるモータ模擬装置の数が信号線の数によって制約を受けないため、インバータ試験装置を大型化することなく、より多くのモータ模擬装置を同期させて駆動することができる。
【0013】
また、前記同期信号は、供試インバータに出力する信号と同じ信号である。よって、前記供試インバータの駆動に用いる信号と前記同期信号とを別に生成する必要がない。したがって、インバータ試験装置の構成を簡略化できるとともに、前記インバータ試験装置の演算負荷を低減できる。
【0014】
以上の構成により、供試インバータによって駆動されるモータを模擬するインバータ試験装置において、より多くのモータ模擬装置を精度良く同期させて駆動可能な構成を、コンパクトな構成によって実現できる。
【0015】
前記第1の構成において、前記複数の制御装置は、それぞれ、前記同期信号を角度信号に変換する角度変換器を有する(第2の構成)。
【0016】
これにより、複数の制御装置では、同期信号を角度信号に変換して、複数のモータ模擬装置の駆動制御に用いることができる。よって、複数のモータ模擬装置を同期させて駆動することができる。
【0017】
前記第2の構成において、前記一つの制御装置は、該一つの制御装置から出力された前記同期信号を前記角度変換器で変換して得られる角度信号を用いて、生成する同期信号を補正する(第3の構成)。
【0018】
これにより、一つの制御装置で生成された同期信号を角度変換器で変換した後の角度信号が、前記生成した同期信号の位相とずれている場合には、そのずれを考慮して、前記同期信号を補正することができる。供試インバータの試験を行う際に、モータ模擬装置をより精度良く動作させることができる。
【0019】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、インバータ試験装置は、前記供試インバータの電流を検出する電流検出部をさらに備える。前記複数の制御装置のうち所定の制御装置は、前記電流検出部で検出された電流値に基づいて、前記複数のモータ模擬装置のうち前記所定の制御装置に対応するモータ模擬装置を電圧制御する。前記複数の制御装置のうち残りの制御装置は、それぞれ、前記電流検出部で検出された電流値に基づいて、前記複数のモータ模擬装置のうち前記残りの制御装置に対応するモータ模擬装置を電流制御する(第4の構成)。
【0020】
供試インバータの電流に応じてモータ模擬装置を電圧制御するインバータ試験装置では、並列に接続された複数のモータ模擬装置をそれぞれ電圧制御すると、各モータ模擬装置の制御が不安定になる。これに対して、上述のように一つ以外のモータ模擬装置に対して電流制御を行うことにより、各モータ模擬装置の制御が不安定になるのを防止できる。よって、各モータ模擬装置を精度良く制御することができる。
【0021】
しかも、上述の構成により、各モータ模擬装置に流れる電流のアンバランスが抑制されるため、より多くの電流を各モータ模擬装置に流すことができる。よって、インバータ試験装置で模擬可能なモータの出力容量をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態に係るインバータ試験装置は、互いに並列に接続された複数のモータ模擬装置と、前記複数のモータ模擬装置のうちそれぞれ対応するモータ模擬装置を駆動制御する複数の制御装置と、を備える。前記複数の制御装置のうち一つの制御装置は、入力指令に基づいて前記複数のモータ模擬装置を同期させるための同期信号を生成し、該生成した同期信号を前記複数の制御装置及び前記供試インバータに出力する。これにより、前記複数のモータ模擬装置を精度良く同期させて駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態に係るインバータ試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、インバータ試験装置が模擬する機器を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、その他の実施形態に係るインバータ試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るインバータ試験装置1の概略構成を示す図である。このインバータ試験装置1は、供試インバータ2によって駆動されるモータを模擬することにより、供試インバータ2の試験を行う装置である。
【0026】
図2は、供試インバータ2にモータM1を駆動制御させることで供試インバータ2を試験する場合の構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、供試インバータ2の試験を行う場合には、供試インバータ2によってモータM1を駆動させるとともに、モータM1に試験装置TのモータM2を駆動連結する。モータM2は、試験装置Tのインバータ3によって、回転数制御される。なお、
図2において、符号Sは、供試インバータ2及びモータM1を含む供試体を意味する。
【0027】
本実施形態のインバータ試験装置1は、
図2において、試験装置T及びモータM1を含む構成(
図2の太破線)を模擬する。すなわち、インバータ試験装置1は、供試インバータ2との間で電力の授受を行うとともに、後述するように供試インバータ2に対して供試インバータ2を駆動するために必要な回転数情報(後述の位置センサ疑似信号)を出力する。
【0028】
インバータ試験装置1は、複数のモータ模擬装置11,12,13と、複数の制御装置21,22,23とを備えている。なお、
図1において、符号31,32,33は、それぞれ、インバータ試験装置1内のリアクトルである。
【0029】
複数のモータ模擬装置11,12,13は、互いに並列に接続されている。複数のモータ模擬装置11,12,13は、それぞれ、例えばインバータ装置によって構成されている。複数のモータ模擬装置11,12,13は、供試インバータ2に電気的に接続されている。
【0030】
複数の制御装置21,22,23は、複数のモータ模擬装置11,12,13のうち対応するモータ模擬装置の駆動を制御する。具体的には、制御装置21は、モータ模擬装置11を駆動制御する。制御装置22は、モータ模擬装置12を駆動制御する。制御装置23は、モータ模擬装置13を駆動制御する。本実施形態では、複数の制御装置21,22,23は、供試インバータ2の電流に応じて、複数のモータ模擬装置11,12,13の電圧制御を行う。この電圧制御では、所定の電圧方程式を満たすように、複数のモータ模擬装置11,12,13が駆動制御される。
【0031】
このように、本実施形態のインバータ試験装置1では、複数のモータ模擬装置11,12,13は、それぞれ、別の制御装置によって駆動制御される。これにより、複数のモータ模擬装置11,12,13の動作特性が異なる場合でも、その違いに合せて制御装置をそれぞれ駆動することができる。よって、複数のモータ模擬装置11,12,13を同期させて駆動することが可能になる。
【0032】
複数の制御装置21,22,23のうち一つの制御装置21は、入力される回転数指令に基づいて位置センサ疑似信号を生成して出力する。制御装置21から出力された位置センサ疑似信号は、供試インバータ2に入力されるとともに、他の制御装置22,23にも入力される。前記回転数指令が、本発明の入力指令に対応する。なお、制御装置21に入力される入力指令は、回転数指令以外の指令信号であってもよい。
【0033】
既述のように、インバータ試験装置1は、供試インバータ2によって駆動されるモータM1を模擬している。そのため、インバータ試験装置1は、供試インバータ2によってモータM1を駆動している際にモータM1から出力される回転位置信号の代わりに、前記位置センサ疑似信号を供試インバータ2に入力する必要がある。供試インバータ2は、前記位置センサ疑似信号が入力されることにより、モータM1を駆動する動作が可能になる。
【0034】
上述のように制御装置21が前記位置センサ疑似信号を他の制御装置22,23にも出力することにより、複数の制御装置21,22,23で同期した動作が可能になる。すなわち、複数の制御装置21,22,23は、前記位置センサ疑似信号を用いて、それぞれ対応するモータ模擬装置11,12,13を同期させて駆動制御することができる。なお、前記位置センサ疑似信号が、本発明の同期信号に対応する。
【0035】
複数の制御装置21,22,23は、それぞれ、前記位置センサ疑似信号を、モータ模擬装置11,12,13に入力するための角度信号に変換する角度変換器21a,22a,23aを有する。これにより、制御装置22,23では、入力された前記位置センサ疑似信号を用いて、モータ模擬装置12,13を同期させて駆動する駆動信号を生成することができる。なお、供試インバータ2も、角度変換器2aを有する。
【0036】
角度変換器21a,22a,23aは、例えばRD(リゾルバ/デジタル)コンバータである。
【0037】
制御装置21が角度変換器21aを有することで、制御装置21は、角度変換器21aで変換された角度信号が制御装置21で生成された前記位置センサ疑似信号の位相とずれているかどうかを判定して、ずれている場合には前記位置センサ疑似信号を補正することができる。これにより、より精度の良い位置センサ疑似信号を生成することができるため、供試インバータ2の試験を精度良く行うことができる。
【0038】
なお、制御装置21は、角度変換器21aを有していなくてもよい。制御装置21が角度変換器21aを有していなくても、制御装置21から他の制御装置22,23に前記位置センサ疑似信号を出力することで、複数の制御装置21,22,23によって複数のモータ模擬装置11,12,13を同期させて駆動することができる。
【0039】
本実施形態に係るインバータ試験装置1は、供試インバータ2によって駆動されるモータを模擬することにより、供試インバータ2の試験を行うインバータ試験装置である。このインバータ試験装置1は、供試インバータ2によって駆動される前記モータを模擬するように、互いに並列に接続された複数のモータ模擬装置11,12,13と、複数のモータ模擬装置11,12,13のうちそれぞれ対応するモータ模擬装置を駆動制御する複数の制御装置21,22,23と、を備える。複数の制御装置21,22,23のうち一つの制御装置21は、回転数指令に基づいて複数のモータ模擬装置11,12,13を同期させるための位置センサ疑似信号を生成し、該生成した位置センサ疑似信号を複数の制御装置21,22,23及び供試インバータ2に出力する。
【0040】
これにより、複数のモータ模擬装置11,12,13を、それぞれ、対応する複数の制御装置21,22,23で駆動制御することができる。よって、複数の制御装置21,22,23は、対応するモータ模擬装置11,12,13に適した駆動制御を行うことができる。したがって、上述の構成では、複数のモータ模擬装置11,12,13を精度良く同期させて駆動することが可能になる。
【0041】
しかも、メインコントローラではなく、複数の制御装置21,22,23のうち一つの制御装置21が、他の制御装置22,23に対して同期信号としての位置センサ疑似信号を生成して出力する。これにより、メインコントローラを設けることなく、一つの制御装置21で生成した信号を他の制御装置22,23でも共有することができる。よって、並列に接続されるモータ模擬装置の数が信号線の数によって制約を受けないため、インバータ試験装置1を大型化することなく、より多くのモータ模擬装置11,12,13を同期させて駆動することができる。
【0042】
また、前記同期信号は、供試インバータ2に出力する信号と同じ信号である。よって、供試インバータ2の駆動に用いる位置センサ疑似信号と前記同期信号とを別に生成する必要がない。したがって、インバータ試験装置1の構成を簡略化できるとともに、インバータ試験装置1の演算負荷を低減できる。
【0043】
以上の構成により、供試インバータ2によって駆動されるモータを模擬するインバータ試験装置1において、より多くのモータ模擬装置11,12,13を精度良く同期させて駆動可能な構成を、コンパクトな構成によって実現できる。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0045】
前記実施形態では、複数の制御装置21,22,23は、供試インバータ2の電流に応じて、複数のモータ模擬装置11,12,13を電圧制御する。しかしながら、1つの制御装置のみがモータ模擬装置を電圧制御し、残りの制御装置はモータ模擬装置を電流制御してもよい。
【0046】
図3は、1つの制御装置21のみがモータ模擬装置11を電圧制御し、残りの制御装置22,23がモータ模擬装置12,13を電流制御する様子を、模式的に示す図である。1つの制御装置21のみがモータ模擬装置11を電圧制御する一方、残りの制御装置22,23がモータ模擬装置12,13を電流制御することで、モータ模擬装置11,12,13の制御が不安定になることを防止できる。これにより、複数のモータ模擬装置11,12,13を精度良く制御することができる。
【0047】
しかも、
図3に示すように複数のモータ模擬装置11,12,13を制御することで、電流検出部40で検出された電流に応じてモータ模擬装置12,13にバランス良く電流を流すことができる。これにより、複数のモータ模擬装置11,12,13により多くの電流を流すことができる。よって、インバータ試験装置1で模擬可能なモータの出力容量をより大きくすることができる。
【0048】
上述のように制御装置がモータ模擬装置を電流制御する場合、制御装置は、例えば、電流検出部40で検出された電流をモータ模擬装置の数で等分した値になるようにモータ模擬装置の電流を制御する。
【0049】
上述の例では、制御装置21が本発明の所定の制御装置に対応し、制御装置22,23が本発明の残りの制御装置に対応する。しかしながら、制御装置22,23のいずれかが本発明の所定の制御装置に対応してもよい。
【0050】
なお、複数の制御装置は、供試インバータの電圧を検出し、該検出した電圧に応じて、複数のモータ模擬装置を電流制御してもよい。
【0051】
前記実施形態では、インバータ試験装置1は、3つのモータ模擬装置11,12,13を有する。しかしながら、インバータ試験装置は、2つのモータ模擬装置を有していてもよいし、4つ以上のモータ模擬装置を有していてもよい。
【0052】
前記実施形態では、インバータ試験装置1は、3つの制御装置21,22,23を有する。しかしながら、インバータ試験装置は、2つの制御装置を有していてもよいし、4つ以上の制御装置を有していてもよい。制御装置によって各モータ模擬装置を個別に駆動制御可能であれば、インバータ試験装置が有する制御装置の数は、モータ模擬装置の数と同一でなくてもよい。
【0053】
前記実施形態では、複数の制御装置21,22,23は、角度変換器21a,22a,23aによって位置センサ疑似信号を角度信号に変換することで、複数のモータ模擬装置11,12,13を同期させて駆動している。しかしながら、複数の制御装置は、例えばゼロリセットの信号が入力されるタイミングを用いて、複数のモータ模擬装置を同期させて駆動してもよい。また、複数の制御装置は、アナログの電圧信号を用いて、複数のモータ模擬装置を同期させて駆動してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、供試インバータによって駆動されるモータを模擬することにより、前記供試インバータの試験を行うインバータ試験装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 インバータ試験装置
2 供試インバータ
3 インバータ
11、12、13 モータ模擬装置
21、22、23 制御装置
2a、21a、22a、23a 角度変換器
31、32、33 リアクトル
40 電流検出部
T 試験装置
S 供試体
M1、M2 モータ