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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】光学読取システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240215BHJP
   G06K 7/015 20060101ALI20240215BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240215BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240215BHJP
【FI】
G06K7/10 412
G06K7/015
G06K7/10 372
G06K7/14 017
G06F3/0481
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020068445
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165895
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】神野 翔
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-092205(JP,A)
【文献】特開2010-003264(JP,A)
【文献】特開2017-130144(JP,A)
【文献】特開2010-286947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/015
G06K 7/14
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学コード(O)が表示された表示媒体(M)の前記光学コードが表示された表示面(Mf)を撮影した撮影画像(I)を1枚以上取得するカメラ(11)を備え、前記撮影画像に含まれている前記光学コードから符号を読み取る光学読取装置(10)と、
前記表示媒体において前記表示面の反対側の面である裏面(Mb)に画像を投影する投影装置(20)と、
前記撮影画像を基に前記裏面に投影させる投影画像(P)を生成し、生成した前記投影画像を前記投影装置に投影させる投影画像生成部(35)とを備え、
前記投影画像は、前記裏面において前記表示面に表された前記光学コードと対向する位置に、前記光学コードに関連するコード関連図形を表示する画像である、光学読取システム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の光学読取システムであって、
前記コード関連図形が、前記表示面に表示されている前記光学コードが前記裏面から透けて見えたとした場合の図形である、光学読取システム。
【請求項3】
請求項2に記載の光学読取システムであって、
前記投影画像に、前記コード関連図形に加えて、前記光学コード以外に前記表示面に表されている形態が、前記裏面から透けて見えたとした場合の図形が含まれている、光学読取システム。
【請求項4】
請求項1に記載の光学読取システムであって、
前記コード関連図形が予め決めておいた図形である、光学読取システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の光学読取システムであって、
前記投影画像生成部は、前記コード関連図形に加えて、前記光学読取装置が前記光学コードを読み取ることができる領域を示す読取領域の輪郭(C)を示す図形が含まれた前記投影画像を生成する、光学読取システム。
【請求項6】
請求項5に記載の光学読取システムであって、
前記投影画像生成部は、前記表示媒体に投影されない部分の前記輪郭も含んだ前記投影画像を生成する、光学読取システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学読取システムであって、
前記カメラは、撮影視野(V)が上方に向かうように設置され、
前記投影装置は、前記表示媒体を所持するユーザーが前記光学コードを読み取らせる動作をする際に立つ位置がある方向とは異なる方向に、前記カメラの光軸から外れた位置に設置されている、光学読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学コードを読み取る光学読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、読取対象物を読取装置に近づけて、読取対象物に付された光学コードを読取装置に認識させる据え置き型の光学読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-219797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
据え置き型の光学読取装置に、表示媒体に表示された光学コードをかざす際に、光学コードが表示された面は光学読取装置に向けられる。ユーザーに見える面は光学コードが表示された面の裏側であり、ユーザーは光学コードが付された面を視認できない。したがって、表示媒体を光学読取装置にかざしたときに位置合わせが難しいこともあった。
【0005】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、表示媒体を、光学コードが読み取れる位置に合わせしやすい光学読取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するための1つの開示は、光学コード(O)が表示された表示媒体(M)の光学コードが表示された表示面(Mf)を撮影した撮影画像(I)を1枚以上取得するカメラ(11)を備え、撮影画像に含まれている光学コードから符号を読み取る光学読取装置(10)と、
表示媒体において表示面の反対側の面である裏面(Mb)に画像を投影する投影装置(20)と、
撮影画像を基に裏面に投影させる投影画像(P)を生成し、生成した投影画像を投影装置に投影させる投影画像生成部(35)とを備え、
投影画像は、裏面において表示面に表された光学コードと対向する位置に、光学コードに関連するコード関連図形を表示する画像である、光学読取システムである。
【0008】
この光学読取システムは、投影装置を備えており、投影画像生成部は、投影装置に投影させる投影画像を生成する。この投影画像は、表示媒体の裏面において表示面に表示された光学コードに対向する位置に、光学コードに関連するコード関連図形を表示する画像である。
【0009】
したがって、投影画像が投影されることで、ユーザーは、裏面からでも、表示面のどこに光学コードがあるかを理解しやすい。よって、表示媒体の位置を、光学読取装置が光学コードを読み取れる位置に合わせやすい。
【0010】
コード関連図形は、表示面に表示されている光学コードが裏面から透けて見えたとした場合の図形とすることができる。
【0011】
投影画像にこの図形が含まれることで、ユーザーは、説明がなくても、投影画像の意味を理解することができる場合が多くなる。したがって、この光学読取システムの利用に慣れていないユーザーであっても、投影画像を利用して、表示媒体の位置を光学読取装置が二次元コードを読み取れる位置に合わせることができる場合が多くなる。
【0012】
また、投影画像に、コード関連図形に加えて、光学コード以外に表示面に表されている形態が、裏面から透けて見えたとした場合の図形が含まれている、とすることもできる。
【0013】
このようにすれば、投影画像の意味を、より容易に理解することができる場合が多くなる。
【0014】
また、コード関連図形が予め決めておいた図形であってもよい。このようにすれば、投影画像を生成する処理を簡素化できる。
【0015】
また、投影画像生成部は、コード関連図形に加えて、光学読取装置が光学コードを読み取ることができる領域を示す読取領域の輪郭(C)を示す図形が含まれた投影画像を生成してもよい。
【0016】
このようにすると、表示媒体の裏面に、コード関連図形に加えて、読取領域の輪郭も投影されることになる。よって、ユーザーは表示面における光学コードの位置と光学コードを読取できる読取領域とを裏面から確認することができるため、光学コードを読取領域の領域内に位置合わせしやすい。
【0017】
また、投影画像生成部は、表示媒体に投影されない部分の輪郭も含んだ投影画像を生成してもよい。このようにすると、表示媒体が一部しか読み取り領域に入っていないときにも、読取領域の全体の輪郭を見ることができるので、光学コードを読取領域の領域内に位置合わせすることが、より容易になる。
【0018】
また、カメラは、撮影視野(V)が上方に向かうように設置され、
投影装置は、表示媒体を所持するユーザーが光学コードを読み取らせる動作をする際に立つ位置がある方向とは異なる方向に、カメラの光軸から外れた位置に設置されていてもよい。
【0019】
投影装置がこの位置に設置されていると、表示媒体を所持するユーザーが光学コードを読み取らせる動作をする際に、投影装置が邪魔になり、ユーザーから投影画像が見づらくなってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】光学読取システム100を説明するための図
図2】光学読取装置10の構成を示すブロック図
図3】光学読取装置10の撮影視野V、読取視野Q、読取領域Rを説明する図
図4】読取対象の二次元コードOを表示した表示媒体Mの表示面を示す図
図5】表示媒体Mの裏面を示す図
図6】実施形態において制御装置30が実行する読取処理を示す図
図7】背景削除処理後の撮影画像Iを例示する図
図8】実施形態における投影画像Prを示す図
図9】変形例2における投影画像Pmを示す図
図10】変形例2における投影画像Pcを示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の光学読取システム100を説明する図である。
【0022】
図1に記載の通り、光学読取システム100は、紙媒体やスマートフォンなどの表示媒体Mに表された二次元コードO(図4参照)を読み取るための光学読取装置10と、画像を投影するための投影装置20を備える。
【0023】
光学読取装置10は、載置台40に載置されている据え置き型の装置であり、内部にカメラ11を備える。ユーザーUは、手に持っている表示媒体Mに表された二次元コードOを光学読取装置10にかざすことで、二次元コードOを光学読取装置10に読み取らせる。
【0024】
載置台40において光学読取装置10が設置されている設置面41は平面であって、図1に記載のY軸方向においてユーザーU側向かうほど下側になる傾斜をしている。光学読取装置10は、設置面41の中央に設置されている。なお、図1とは異なり、光学読取装置10を壁に固定してもよい。
【0025】
投影装置20は、画像を物体に投影することにより表示する装置である。例として、光を液晶パネルに透過させ、レンズで拡大投射する液晶プロジェクタである。本実施形態の投影装置20は、光学読取装置10の真上に設置されている。なお、真上は鉛直方向上側であり、図1に示すZ方向である。投影装置20は図示していない支持部材により固定することができる。その支持部材は載置台40に連結させてもよいし、壁などの他の部材に連結させてもよい。また、載置台40を、連結部材の機能を備えた形状としてもよい。
【0026】
投影装置20は、電気的には、光学読取装置10が備える制御装置30と接続されている。制御装置30は、投影装置20に投影させる画像(以下、投影画像P)を示すデジタルデータ(以下、投影画像データ)を投影装置20に送信する。投影装置20は、制御装置30から送信された投影画像データをもとに投影画像Pを生成して投影する。
【0027】
図2は、光学読取装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、光学読取装置10は、画像を撮影するカメラ11と、記憶部13と、距離センサー14とを備える。
【0028】
カメラ11は、かざし検知部31が物体の接近を検知したときに、1枚以上の画像(以下、撮影画像)Iを撮影する。図3に示すように、撮影画像Iに写る視野の範囲を撮影視野Vとする。撮影画像Iに二次元コードOが写っている場合に、二次元コードOを読取することができる範囲を読取視野Qとする。撮影視野Vおよび読取視野Qはカメラ11から上方に向かっている。
【0029】
二次元コードOが撮影視野V内にあり、撮影画像Iに二次元コードO写っていた場合であっても、光学レンズによって歪曲収差が現れるなど、撮影画像Iの端部は歪みによって読取ができない場合がある。このため、読取視野Qは撮影視野Vよりも狭い。
【0030】
撮影視野Vおよび読取視野Qは、角度範囲を規定したものであるので、光学読取装置10からの距離により、撮影視野Vおよび読取視野Qに入る実空間は広くなる。この読取視野Qの範囲を空間的な領域に当てはめたもの、言い換えると、二次元コードOがその領域に位置したときに、後述の復号部32によって読取されうる領域を読取領域Rという。
【0031】
設置面41が傾斜しているため、光学読取装置10の真上に設置された投影装置20は、ユーザーUが二次元コードOを読み取らせる動作をする際に立つ位置よりも、カメラ11の光軸AXから遠い側に設置されていることになる。なお、ユーザーUが二次元コードOを読み取らせる動作をする際に立つ位置は、図3では設置面41よりも右側になる。
【0032】
記憶部13は、フラッシュメモリなどの書き込み可能な記憶部である。記憶部13は、距離別読取領域情報と、背景画像Bを記憶している。距離別読取領域情報とは、カメラ11からの距離別の読取領域Rの位置と大きさの情報である。図3は、光学読取装置10と投影装置20をX方向から見た図である。この図3に示すように、カメラ11から読取領域Rまでの距離、つまり、カメラ11とカメラ11に近づけられた表示媒体Mとの距離によって、撮影画像Iに二次元コードOが写ったときに、復号部32によって読取可能な読取領域Rは異なる。背景画像Bは、カメラ11に物体が近づけられていない状態、つまり、光学読取装置10と投影装置20との間に何もない状態でカメラ11により撮影される画像である。
【0033】
距離センサー14は、光学読取装置10においてカメラ11が設置される側面と同じ面に設置される。距離センサー14は、カメラ11に近づいた物体と距離センサー14との距離を測定し、カメラ11と物体との距離を取得する。距離センサー14は、例として、物体に対して光を照射して、物体からの反射光の角度の違いで距離を検出する光学式センサーである。距離センサー14が物体までの距離を測定できる範囲は、撮影視野Vと同程度以上になっている。
【0034】
また、本実施形態の距離センサー14には、撮影視野V内の複数箇所において距離が測定できるものを用いる。表示面Mfの傾きを算出するためである。複数箇所における距離を測定するために複数の距離センサー14を備えてもよい。
【0035】
制御装置30は、かざし検知部31、復号部32、投影画像生成部35を備える。制御装置30は、プロセッサ、ROMなどを備えており、かざし検知部31、復号部32、投影画像生成部35は、プロセッサがROMなどに記憶されたプログラムを実行することにより実現できる。
【0036】
かざし検知部31は、距離センサー14からの信号に基づき、物体までの距離を検出する。その距離が、投影装置20よりも近い場合に、何らかの物体が光学読取装置10かざされたことを検知する。
【0037】
かざされる物体には、二次元コードOを表示した表示媒体Mがある。ユーザーUは表示媒体Mの二次元コードOが表示された面である表示面Mfをカメラ11に向けて近づける。なお、物体に光学コードが表示されていなかった場合の処理については省略する。
【0038】
復号部32は、カメラ11が取得した撮影画像Iに写った二次元コードOを光学的に読み取り、二次元コードOから符号を読み取る。二次元コードOが、上述の読取領域Rの領域内にある状態で撮影画像Iに写ったときに、復号部32は、二次元コードOから符号を復号することができる。
【0039】
投影画像生成部35は、撮影画像Iを基に、投影装置20によって投影される投影画像Pを生成する。投影画像生成部35は、表示媒体Mの接近をかざし検知部31が検知したときにカメラ11が取得した撮影画像Iと、記憶部13に記憶された背景画像Bとを比較し、撮影画像Iにのみ写っている物体が投影されるように投影画像Pを生成する。そして、この投影画像Pを表す投影画像データを、投影装置20に出力する。
【0040】
投影装置20は、投影画像データをもとに投影画像Pを生成して投影する。投影装置20は、表示媒体Mが光学読取装置10にかざされたときに、表示媒体Mにおいて表示面Mfの反対側の面である裏面Mbと対向する。したがって、投影画像Pは裏面Mbに投影される。
【0041】
図4図5は、二次元コードOを表示した表示媒体Mを示す図であり、図4は表示媒体Mの表示面Mfを示し、図5は表示媒体Mの裏面Mbを示す。二次元コードOは、情報を符号化し、その符号を光学的に読み取り可能な形態に変換したものであり、白または黒のセルが二次元的に配列されている。
【0042】
図4図5に示す表示媒体Mは、紙製の入場チケットである。二次元コードOは表示面Mfにのみ示されており、裏面Mbには二次元コードOは示されていない。なお、表示媒体Mは、二次元コードOが表示されているものであればよく、スマートフォンなどのディスプレイを備える携帯端末に、二次元コードOが表示されているものであってもよい。
【0043】
図6は、本実施形態の制御装置30が実行する読取処理を示すフローチャートである。制御装置30は、電源が入っている間、図6に示す処理を周期的に実行する。また、図6に記載のとおり、S11において、かざし検知部31は、撮影視野Vに物体がかざされたかどうかを逐次判断する。撮影視野Vに物体がかざされたことを検知すると、S12に進む。カメラ11は、電源オン状態である間、あるいは、かざし検知部31が、物体がかざされたことを検知した以降、繰り返し、撮影画像Iを取得する。
【0044】
S12において、投影画像生成部35は、カメラ11から撮影画像Iを取得する。S13において、投影画像生成部35は、投影画像Pを生成する。投影画像生成部35は、投影画像Pを生成するために、背景削除処理を実行する。背景削除処理では、記憶部13に記憶された背景画像Bを参照し、S12で取得した撮影画像Iのうち、背景画像Bに写る物体は削除して投影画像Pを生成する。例として、撮影画像Iにはカメラ11の撮影視野V内にある投影装置20が写る場合があるが、これを削除することで、投影画像Pに表示媒体Mの背景にある余分な物体が投影されない。
【0045】
また、投影画像生成部35は、投影画像Pを生成するために、反転処理を実行する。反転処理を実行する理由を説明する。図7には、背景削除処理後の撮影画像Iを例示している。また、図8には、実施形態における具体的な投影画像Pである投影画像Prを示している。なお、図示の便宜上、図7図8ともユーザーUの手は省略している。
【0046】
図8に示す投影画像Prは、表示面Mfから強い光を当てたときに裏面Mbに透けて見える、表示面Mfに表示された図形であるということもできる。図8において、二次元コードOの形状をしている図形が、実施形態におけるコード関連図形である。このコード関連図形は、表示面Mfに表示されている二次元コードOが裏面Mbから透けて見えたとした場合の図形ということもできる。図7図8を比較すれば分かるように、裏面Mbに透けて見える、表示面Mfに表示された図形を投影画像Prに示そうとすると、反転処理が必要になるのである。
【0047】
さらに、投影画像生成部35は、反転処理後の撮影画像Iを投影する範囲すなわち、投影する位置と大きさを決定する投影範囲決定処理を実行する。位置と大きさは、投影画像Prにおいて二次元コードOを示す部分が、表示面Mfにおいて二次元コードOが表示されている部分の真裏になるように決定する。投影範囲決定処理では、距離センサー14により測定した複数箇所の距離から表示面Mfを含む平面の位置を計算する。距離センサー14が距離を測定する方位は既知である。複数の方位において距離がそれぞれ測定できれば、表示面Mfを含む平面の傾斜は決定できる。
【0048】
表示面Mfを含む平面の傾斜が計算できれば、撮影画像Iに撮影されている二次元コードOの実空間での座標を決定することができる。表示媒体Mの厚さを考慮しなければ、表示面Mfを含む平面を投影平面としたときに、このようにして決定した二次元コードOの実空間での座標に、投影画像Prにおける二次元コードOの部分が投影される投影画像Prを生成する。
【0049】
表示媒体Mがスマートフォンである場合には、上述の計算において仮定している投影平面と、実際に投影画像Pが投影される平面との間に、スマートフォンの厚さ分のずれが生じる。しかし、この程度のずれは、投影画像Pの目的上、ほとんど問題にならない。また、投影装置20側にも距離センサー14を設けることで、スマートフォンの厚さを測定し、スマートフォンの厚さを考慮した投影平面に投影画像Pを投影するようにしてもよい。
【0050】
S14において、投影画像生成部35は、S13で生成した投影画像Prを投影装置20に投影させるための投影画像データを投影装置20に出力する。投影画像データが入力された投影装置20は、投影画像生成部35が生成した投影画像Prを投影する。投影画像Prは、表示面Mf上において二次元コードOが表示されている位置の丁度裏側に投影画像Prにおける二次元コードOが投影される。これにより、図8に示すように、表示媒体Mの裏面Mbに、表示面Mfにある二次元コードOの位置が分かる投影画像Prが投影される。
【0051】
S15において、再びS12と同様に、撮影画像Iを取得する。S16において、復号部32は、S15で取得した撮影画像Iを復号する。言い換えると、取得した画像の読取を実行する。フローチャートでは示していないが、読取に失敗した場合は、S12の処理に戻る。読取に成功した場合、S17において、投影を終了し、読取処理を終了する。
【0052】
〔実施形態のまとめ〕
この光学読取システム100が備える光学読取装置10は据え置き型であるため、二次元コードOが表示された表示媒体Mを光学読取装置10にかざす必要がある。表示媒体Mを光学読取装置10にかざすとき、ユーザーUは、二次元コードOを見ることができない。したがって、二次元コードOが読取領域Rに入っているかどうかを、直接には確認することができない。
【0053】
しかし、この光学読取システム100は、投影装置20を備えており、投影画像生成部35は、投影装置20に投影させる投影画像Pを生成する。この投影画像Pは、表示媒体Mの裏面Mbにおいて表示面Mfに表示された二次元コードOに対向する位置に、二次元コードOに関連するコード関連図形を表示する画像である。
【0054】
したがって、投影画像Pが投影されることで、ユーザーUは、裏面Mbからでも、表示面Mfのどこに二次元コードOがあるかを理解しやすい。よって、表示媒体Mの位置を、光学読取装置10が二次元コードOを読み取れる位置に合わせやすい。
【0055】
また、本実施形態の投影画像Prのコード関連図形は、表示面Mfに表示されている二次元コードOが裏面Mbから透けて見えたとした場合の図形である。また、投影画像Prには、二次元コードO以外に表示面Mfに表示されている形態、具体的には「入場券」という文字が、裏面Mbから透けて見えたとした場合の図形も含まれる。
【0056】
この投影画像Prが投影されると、ユーザーUは、特に説明がなくても、投影画像Prの意味を理解することができる場合が多くなる。したがって、この光学読取システム100の利用に慣れていないユーザーUであって、速やかに投影画像Prを利用して、表示媒体Mの位置を、光学読取装置10が二次元コードOを読み取れる位置に合わせることができる場合が多くなる。
【0057】
また、投影装置20は、ユーザーUが二次元コードOを読み取らせる動作をする際に立つ位置よりも、カメラ11の光軸AXから遠い側に設置されている。したがって、ユーザーUが二次元コードOを読み取らせる動作をする際に、投影装置20が邪魔になり、ユーザーUから投影画像Prが見づらくなってしまうことを抑制できる。
【0058】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。なお、以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である、また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0059】
(変形例1)
実施形態では、S13において撮影画像Iを反転して投影画像Prを生成している。しかし、撮影画像Iを反転しなくても、撮影画像Iから二次元コードOが表示されている部分を切り出して生成した投影画像Pを、表示媒体Mの二次元コードOが表示された箇所の裏側に投影してもよい。
【0060】
この変形例1において投影画像生成部35は、カメラ11が取得した撮影画像Iから、表示面Mf上での座標によって表示面Mf上の二次元コードOの位置を取得する。
【0061】
投影画像生成部35は、撮影画像Iから二次元コードOが表示されている部分を抽出し、表示面Mfの二次元コードOが表示された位置の反対側に投影される投影画像Pを生成する。投影画像Pは、二次元コードOの写る部分を切り出し、それ以外を削除した二次元コードOの画像である。
【0062】
投影装置20は、表示面Mfの反対側の裏面Mbへ向けて、表示面Mfにおいて二次元コードOが表示された位置に対向する位置、言い換えると、表示面Mfにおいて二次元コードOが表示された位置の丁度裏側の同じ位置に、投影画像Pを投影する。
【0063】
(変形例2)
また、投影画像Pは、実際の二次元コードOが表された画像でなくても、二次元コードOの位置を示すための印すなわちマーカをなど、予め決めておいたコード関連図形を含む投影画像Pmであってもよい。この投影画像Pmは、その位置の反対側に二次元コードOが存在することを認識させるための画像であり、コード関連図形は二次元コードOに似せた図柄であってもよい。また、図9のように「二次元コードはココ」といった文字やメッセージが表示された画像であってもよい。
【0064】
このようなコード関連図形は予め決めておくことができる。そして、コード関連図形を予め決めておくことで、投影画像Pを生成する処理を簡素化できる。
【0065】
(変形例3)
投影画像Pとして、読取領域Rの輪郭Cを含んだ投影画像Pcを生成してもよい。図10にこの投影画像Pcを示す。図10は、変形例3において表示媒体Mを光学読取装置10にかざすところを示す図である。図10が示すように、投影画像Pcには、読取領域Rの輪郭Cと、実施形態で説明した投影画像Prが含まれている。
【0066】
読取領域Rは、図3から分かるように、光学読取装置10から離れるほど大きくなる。ただし、読取領域Rの中心位置は、光学読取装置10からの距離によらず、常にカメラ11の光軸上である。したがって、輪郭Cは、実施形態で説明した、表示面Mfを含む平面が定まれば、投影画像Pcにおける輪郭Cの位置は決定できる。
【0067】
図3には、この輪郭Cも示している。図3に示すように、輪郭Cは、読取視野Qと表示媒体Mを含む平面が交差する線分となる。なお、図10では、輪郭Cは、表示媒体Mの裏面Mbに示された部分と、光学読取装置10上に示された部分との間が不連続になっている。この理由は、図10の例は表示媒体Mが図3の位置にある例だからである。図3において、表示媒体Mを含む平面は、光学読取装置10の上面を含む平面よりも投影装置20に近い位置にある。投影装置20に近いほど、投影される画像が小さくなるので、図10では、輪郭Cは、表示媒体Mの裏面Mbに示された部分と、光学読取装置10上に示された部分との間が不連続になっているのである。
【0068】
図10では、二次元コードOを示す投影画像Prは、一部が輪郭Cの外側に投影されている。これは表示面Mfにおいて二次元コードOの一部が読取領域Rの外側に設置されていることを意味する。このため、ユーザーUは表示面Mfにおいて二次元コードOの一部が読取領域Rの外側に設置されていることを裏面Mbから理解することができる。
【0069】
(変形例4)
距離センサー14は、投影装置20側にあってもよい。投影装置20と光学読取装置10との距離は変動せず既知の距離である。したがって、投影装置20側に距離センサー14を設置しても、光学読取装置10から表示媒体Mまでの距離を算出することができる。また、かざし検知部31も投影装置20が備えていてもよい。
【0070】
(変形例5)
投影装置20が投影画像生成部35を備えていてもよい。また、サーバなど、投影装置20および光学読取装置10とは別の装置が投影画像生成部35を備えていてもよい。
【0071】
(変形例6)
実施形態では、距離センサー14を備えており、距離センサー14により測定した距離から投影画像Pを投影する平面を決定していた。しかし、光学読取装置10に表示媒体Mが接触して使用されることが多い場合には、光学読取装置10から表示媒体Mまでの距離は一定とみなすことができる。この場合には、距離センサー14を備えている必要はない。
【0072】
また、二次元コードOのサイズおよび形状が既知であれば、撮影画像I上での二次元コードOの大きさおよび形状をもとに、光学読取装置10から表示媒体Mまでの距離および表示媒体Mの傾斜を算出することもできる。このようにする場合にも距離センサー14は不要である。
【0073】
(変形例7)
実施形態では、光学コードとして二次元コードを示したが、光学コードとして一次元コードを用いることもできる。
【符号の説明】
【0074】
10:光学読取装置 11:カメラ 13:記憶部 14:距離センサー 20:投影装置 30:制御装置 31:検知部 32:復号部 35:投影画像生成部 40:載置台 41:設置面 100:光学読取システム AX:光軸 B:背景画像 C:輪郭 I:撮影画像 M:表示媒体 Mb:裏面 Mf:表示面 O:二次元コード(光学コード) P、Pc、Pm、Pr:投影画像 Q:読取視野 R:読取領域 U:ユーザー V:撮影視野
図1
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図10