(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A63F5/04 631
A63F5/04 650
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2020072430
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】塩原 弘節
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200501(JP,A)
【文献】特開2017-144023(JP,A)
【文献】特開2013-042942(JP,A)
【文献】[ジャンバリ.TV]NO LIMIT -ノーリミット- 第49話(2/4)[ンゴロポポス]《トム》,YouTube [online][video],2014年03月28日,主に5:36~5:58を参照。,<https://www.youtube.com/watch?v=JmxMqyOftwc>,[2023年7月31日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
前記スタートスイッチおよび前記ストップスイッチそれぞれの操作に基づいて複数の前記回転リールの回転を制御する回転リール制御部と、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうち少なくとも1つが当せんした否かを決定する内部抽せん部と、
通常遊技状態と、リプレイの当せん確率が前記通常遊技状態よりも高い高リプレイ状態と、を含む遊技状態の切り替え制御を行う遊技状態制御部と、
を備え、
複数の前記役には、前記リプレイ、前記リプレイとは別の特別役、
遊技者による複数の前記ストップスイッチ
への操作手順に関
わらず入賞して遊技媒体が規定枚数払い出される所定役、が含まれ、
前記所定役においては、複数の前記回転リールが停止した状態で有効ライン上に配置される図柄組み合わせが複数と、複数の前記図柄組み合わせそれぞれに対応する前記規定枚数と、が予め設定されており、
前記高リプレイ状態は、前記特別役が当せんする前の第1状態と、前記特別役が当せんしたが入賞が持ち越されている状態である第2状態と、を含み、
前記回転リール制御部は、
前記第1状態の間に前記所定役が当せんした場合、前記所定役に対応する前記図柄組み合わせのうち、組み合わせ数が最も多い前記図柄組み合わせである最大組み合わせが前記有効ライン上に配置されるように、前記ストップスイッチの操作に基づいて前記回転リールを停止させる図柄数優先制御、を行い、
前記第2状態の間に前記所定役が当せんした場合、前記所定役に対応する前記図柄組み合わせのうち、前記規定枚数が前記最大組み合わせに対応する前記規定枚数よりも多い前記図柄組み合わせが前記有効ライン上に配置されるように、前記ストップスイッチの操作に基づいて前記回転リールを停止させる枚数優先制御、を行い、
前記図柄数優先制御および前記枚数優先制御により、前記第2状態における前記遊技媒体の獲得期待値は前記第1状態時よりも高い
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通常遊技状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数は、前記第2状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数と同一であって、
前記通常遊技状態の間に前記所定役が当せんした場合にも、前記回転リール制御部が前記図柄数優先制御を行うことにより、前記所定役の前記規定枚数は、前記通常遊技状態時よりも前記第2状態時の方が多くなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1状態の間には、前記特別役を含む複数の前記役のうち少なくとも1つが前記内部抽せんによって当せんするように、複数の前記役それぞれの前記第1状態での当せん確率が予め決定されており、
前記第2状態の間には、複数の前記役のうち前記特別役以外の役の少なくとも1つが前記内部抽せんによって当せんするように、複数の前記役それぞれの前記第2状態での当せん確率が決定されており、
前記第2状態の間、前記スタートスイッチが操作されるごとに当せんした前記特別役以外の役のうち少なくとも1つを入賞させる制御を前記回転リール制御部が行うことにより、前記特別役の入賞が持ち越される
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記回転リール制御部は、前記高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化された後、入賞が持ち越されている前記特別役を入賞させる、
ことを特徴とする、請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数と、前記第2状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数とを異ならせる旨の報知制御を行う演出制御部、
を更に備える
ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記特別役の当せん時には、前記特別役とは異なる役が同時に当せんしており、
前記特別役とは異なる役が前記特別役よりも優先して入賞することで、前記遊技状態は、前記第1状態から前記特別役の入賞が持ち越された前記第2状態に移行される
ことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
複数の前記役には、前記遊技状態を前記通常遊技状態から前記高リプレイ状態に移行させるための移行役、が更に含まれ、
前記遊技状態制御部は、前記通常遊技状態の間に前記内部抽せんによって前記移行役が当せんした際の、前記ストップスイッチの操作態様に応じて、前記遊技状態を前記高リプレイ状態に移行させる
ことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項8】
前記移行役は、前記高リプレイ状態への移行条件となる前記ストップスイッチの押し順が定義された役であって、
前記遊技状態制御部は、前記通常遊技状態の間に前記内部抽せんによって前記移行役が当せんした際、遊技者による前記ストップスイッチの操作順が定義された前記押し順であることに応じて、前記遊技状態を前記高リプレイ状態に移行させる
ことを特徴とする、請求項7に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、スロットマシンには、通常遊技状態と、遊技者にとって通常遊技状態よりも有利な有利遊技状態と、のいずれかによって遊技が進行されるものがある。有利遊技状態としては、AT、ART、ボーナスなどの、メダル(遊技媒体)の出玉に関する恩恵を遊技者が得ることのできる遊技形態が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有利遊技状態の際に押し順役が当せんした場合、アナウンスされた正解押し順に従ってストップスイッチを押下する操作を行うことで、遊技者は、メダル(遊技媒体)の払い出しを受ける。この操作は、有利遊技状態の間繰り返され、遊技者の手元のメダルは増えていく。
【0005】
但し、押し順役では、正解押し順通りに操作されないと、所望の枚数の払い出しがなされない。押し順の操作を行い続けると、遊技者は疲弊していく。疲弊は、遊技者の操作ミスを誘発し、メダルの獲得枚数に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、上述した疲弊がさほど生じずに遊技を行うことができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
前記スタートスイッチおよび前記ストップスイッチそれぞれの操作に基づいて複数の前記回転リールの回転を制御する回転リール制御部と、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうち少なくとも1つが当せんした否かを決定する内部抽せん部と、
通常遊技状態と、前記リプレイの当せん確率が前記通常遊技状態よりも高い高リプレイ状態と、を含む遊技状態の切り替え制御を行う遊技状態制御部と、
を備え、
複数の前記役には、前記リプレイ、前記リプレイとは別の特別役、複数の前記ストップスイッチの操作手順に関係なく入賞して遊技媒体が規定枚数払い出される所定役、が含まれ、
前記所定役においては、複数の前記回転リールが停止した状態で有効ライン上に配置される図柄組み合わせが複数と、複数の前記図柄組み合わせそれぞれに対応する前記規定枚数と、が予め設定されており、
前記高リプレイ状態は、前記特別役が当せんする前の第1状態と、前記特別役が当せんしたが入賞が持ち越されている状態である第2状態と、を含み、
前記回転リール制御部は、
前記第1状態の間に前記所定役が当せんした場合、前記所定役に対応する前記図柄組み合わせのうち、組み合わせ数が最も多い前記図柄組み合わせである最大組み合わせが前記有効ライン上に配置されるように、前記ストップスイッチの操作に基づいて前記回転リールを停止させる図柄数優先制御、を行い、
前記第2状態の間に前記所定役が当せんした場合、前記所定役に対応する前記図柄組み合わせのうち、前記規定枚数が前記最大組み合わせに対応する前記規定枚数よりも多い前記図柄組み合わせが前記有効ライン上に配置されるように、前記ストップスイッチの操作に基づいて前記回転リールを停止させる枚数優先制御、を行い、
前記図柄数優先制御および前記枚数優先制御により、前記第2状態における前記遊技媒体の獲得期待値は前記第1状態時よりも高い
ことを特徴とする遊技機である。
【0008】
また、第1の発明では、
前記通常遊技状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数は、前記第2状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数と同一であって、
前記通常遊技状態の間に前記所定役が当せんした場合にも、前記回転リール制御部が前記図柄数優先制御を行うことにより、前記所定役の前記規定枚数は、前記通常遊技状態時よりも前記第2状態時の方が多くなっている
ことができる。
【0009】
また、第1の発明では、
前記第1状態の間には、前記特別役を含む複数の前記役のうち少なくとも1つが前記内部抽せんによって当せんするように、複数の前記役それぞれの前記第1状態での当せん確率が予め決定されており、
前記第2状態の間には、複数の前記役のうち前記特別役以外の役の少なくとも1つが前記内部抽せんによって当せんするように、複数の前記役それぞれの前記第2状態での当せん確率が決定されており、
前記第2状態の間、前記スタートスイッチが操作されるごとに当せんした前記特別役以外の役のうち少なくとも1つを入賞させる制御を前記回転リール制御部が行うことにより、前記特別役の入賞が持ち越される
ことができる。
【0010】
また、第1の発明では、
前記回転リール制御部は、前記高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化された後、入賞が持ち越されている前記特別役を入賞させる、
ことができる。
【0011】
また、第1の発明では、
前記第1状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数と、前記第2状態の間に1ゲームを消化するための前記遊技媒体のベット数とを異ならせる旨の報知制御を行う演出制御部、
を更に備える
ことができる。
【0012】
また、第1の発明では、
前記特別役の当せん時には、前記特別役とは異なる役が同時に当せんしており、
前記特別役とは異なる役が前記特別役よりも優先して入賞することで、前記遊技状態は、前記第1状態から前記特別役の入賞が持ち越された前記第2状態に移行される
ことができる。
【0013】
また、第1の発明では、
複数の前記役には、前記遊技状態を前記通常遊技状態から前記高リプレイ状態に移行させるための移行役、が更に含まれ、
前記遊技状態制御部は、前記通常遊技状態の間に前記内部抽せんによって前記移行役が当せんした際の、前記ストップスイッチの操作態様に応じて、前記遊技状態を前記高リプレイ状態に移行させる
ことができる。
【0014】
また、第1の発明では、
前記移行役は、前記高リプレイ状態への移行条件となる前記ストップスイッチの押し順が定義された役であって、
前記遊技状態制御部は、前記通常遊技状態の間に前記内部抽せんによって前記移行役が当せんした際、遊技者による前記ストップスイッチの操作順が定義された前記押し順であることに応じて、前記遊技状態を前記高リプレイ状態に移行させる
ことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ストップスイッチの操作手順に関係なく遊技媒体が払い出される所定役が当せんする。その所定役入賞時の遊技媒体の払い出し数は、第1状態時よりも第2状態時の方が多い。そのため、遊技者は、ストップスイッチの操作手順を意識することなく遊技媒体を獲得できる。従って、正解押し順に従ったストップスイッチの操作を継続することによる疲弊は生じずに、遊技者は遊技を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図5】
図4におけるRT移行役の詳細を表す図である。
【
図8】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】その他の実施形態にかかるRT移行役の詳細を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0018】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0019】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20a,20b,20cそれぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0020】
リール窓200の上方には、遊技中の各種演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。
【0021】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0022】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0023】
電飾部は、演出画面の表示や役の入賞に伴って、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0024】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40a,40b,40c、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0025】
各ストップスイッチ40a,40b,40cは、各回転リール20a,20b,20cに対応して設けられている。各ストップスイッチ40a,40b,40cは、回転リール20a,20b,20cが回転している間に、各回転リール20a,20b,20cの回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0026】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を制御部6に出力する。
【0027】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0028】
レバー43は、各回転リール20a,20b,20cを回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0029】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。
【0030】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0031】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、例えば電飾部が点灯する等、演出に変化が生じる。
【0032】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0033】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図2参照)。
【0034】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0035】
回転リールユニット2は、
図1および
図2に示すように、3つの回転リール20a,20b,20cと、3つのステッピングモータ21a,21b,21cとを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20a,20b,20cそれぞれには、
図3に示すように、複数の図柄が、当該リール20a,20b,20cの周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21a,21b,21cは、各回転リール20a,20b,20cに対応して設けられており、対応する回転リール20a,20b,20cを駆動させる。
【0036】
ステッピングモータ21a,21b,21cは、回転リール20の回転中にストップスイッチ40a,40b,40cが操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる。ステッピングモータ21a,21b,21cは、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20a,20b,20cは、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0037】
これらの回転リール20a,20b,20cおよびステッピングモータ21a,21b,21cは、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0038】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0039】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。複数段階の設定値それぞれには、互いに異なる出玉率が、予め対応付けられている。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、遊技者とは別の操作者(店舗スタッフ)によって設定される。
【0040】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技の開始が可能となる。
【0041】
図1では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本のラインLが有効ラインとして有効化される場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。
【0042】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、3枚ベット(3枚掛け)にて遊技が行われるが、所定の場面において、2枚ベット(2枚掛け)にて遊技が行われる。2枚ベット(2枚掛け)の場合、有効ラインは、例えば右上がりラインと中段ラインの2本となる。
【0043】
以下では、ベルなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、リプレイやMB(ミドルボーナス)などの役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0044】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40a,40b,40cを操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0045】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20a,20b,20cの回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40a,40b,40cのいずれかが操作されると、操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cが停止する。すべての回転リール20a,20b,20cが停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0046】
また、内部抽せんの結果、いずれの役も当せんしない場合もある。この場合を、「はずれ」という。はずれの場合、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に応じて対応する回転リール20a,20b,20cが停止するものの、メダルの払い出しは行われない状態にて、1ゲームが終了する。
【0047】
遊技者は、上述したゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0048】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部62を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20a,20b,20cの制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて、演出に関する制御を行う。
【0049】
メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、遊技状態がどのような状態であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部62のRAMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0050】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、設定部614、遊技状態制御部615およびリセット部616として機能する。サブ制御部62は、演出制御部620として機能する。
【0051】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうち少なくとも1つが当せんしたか否かを決定する。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時の遊技状態(後述)を判定し、判定した遊技状態に基づいて内部抽せんテーブルを選択する。内部抽せん部610は、選択した内部抽せんテーブルと、レバー43が操作された時の乱数とに基づいて、いずれかの当せん種別における役が当せんしたか否かを決定する。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、回転リール制御部611などに送信される。
【0052】
図4は、本実施形態に係る内部抽せんテーブルの概念図である。本実施形態では、遊技状態の種類(通常遊技状態、高リプレイ状態における第1状態など)ごとに、内部抽せんにて当せんする可能性のある当せん種別(条件装置)が異なる。そのため、
図4の内部抽せんテーブルは、遊技状態の種類ごとに当せん種別を表している。
図4中の“○”は、当選する可能性があることを表し、“×”は、当せんする可能性がないことを表す。
【0053】
当せん種別には、リプレイ、ベル、2種BB、RT移行役などの役が含まれている。リプレイは、メダルをベットせずに次ゲームが再遊技できる役である。ベルは、当せんし入賞するとメダルの払い出しが行われる役であって、所定役に相当する。2種BBは、特別役に相当する。2種BBおよびRT移行役は、遊技状態の種類が切り替わることに関与する役である。
【0054】
図4において、リプレイは、遊技状態がどの種類であっても当せんし入賞するが、遊技状態の種類に応じて、リプレイの当せん確率が異なる。ベルは、遊技状態がどの種類であっても当せんして入賞するが、遊技状態の種類に応じて、入賞時の払い出し枚数が異なる。ベルの払い出し枚数については、<遊技状態について>にて詳述する。
【0055】
2種BBは、通常遊技状態の間、および、高リプレイ状態における第1状態の間は、当せんする可能性がある。一方、2種BBは、高リプレイ状態における第2状態の間、2種BB入賞待ち状態の間、および、2種BB実施状態の間は当せんしない。2種BBについては、第1状態の間に当せんしたとしても、その入賞は2種BB入賞待ち状態の間に行われる。つまり、2種BBは、第1状態の間に一旦当せんすれば当該第1状態の間に新たに重複して当せんすることはなく、既に当せんされた2種BBのフラグは持ち越し状態となる。
【0056】
通常遊技状態の間、2種BBは、ベルなどの小役の当せん確率に比べてはるかに低い確率にて、当せんする。例えば、通常遊技状態の間における2種BBの当せん確率は、“1/16384”程度となっている。通常遊技状態の間に2種BBが当せんした場合、遊技の過程で2種BBに対応する図柄が成立して消化されるが、遊技状態の移行は行われず通常遊技状態が継続される。
【0057】
本実施形態の2種BBは、遊技状態が通常遊技状態か第1状態かに拘わらず、リプレイと同時当せんする。そのため、2種BBの当せん時には、リプレイが優先して入賞され、2種BBが当せんと同時に入賞することはない。特に、第1状態の間に2種BBが当せんすると、2種BBの入賞は持ち越された状態となると共に、遊技状態は第1状態から第2状態へと移行する。
【0058】
2種BBが入賞して実施されている間、ベルやスイカなどの役が抽せんされ、その結果当せんした役は、その種類に限らずいわゆる全役の扱いとなり入賞する。全役とは、2種BBの実施中に、遊技者によるストップスイッチ40a,40b,40cの押し順および押下タイミングに関係なく入賞する役である。例えば、2種BBは、2枚掛けにて例えば2枚払い出しを2回受けることで終了する。
【0059】
このような
図4に係る当せん種別の情報には、入賞時の図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。本実施形態では、以下に述べるRT移行役を除き、ストップスイッチ40a,40b,40cの正解押し順が定められている役や押し順に応じて払い出し枚数が異なる役は、存在しない。すなわち、本実施形態のベルは、ストップスイッチ40a,40b,40cの正解押し順が定められた役ではないため、ストップスイッチ40a,40b,40cの押し順に関係なく入賞してメダルが規定枚数払い出される。
【0060】
RT移行役は、遊技状態の種類に関係なく当せん可能性があり、正解押し順が存在する役である。正解の押し順は報知されないため、遊技者は正解の押し順を知ることはできない。遊技者がストップスイッチ40a,40b,40cを押下した順番(操作手順)が正解押し順と合致していれば、1枚のメダルの払い出しがなされる。押し順が不正解であれば、1枚役を取りこぼすことになり、メダルの払い出しはなされない。
【0061】
このRT移行役は、通常遊技状態中に当せんした場合、遊技状態の移行契機役となり、通常遊技状態以外の状態にて当せんした場合、ベルなどと同じ小役の扱いとなる。なお、2種BBの入賞が持ち越されている状態中にRT移行役が当せんしたものの1枚役が取りこぼされた場合、後述する回転リール制御部611は、2種BBを入賞させない蹴飛ばし制御を行う。また、2種BB実施状態中は、他役と同様、RT移行役も当せんすれば全役扱いとなる。
【0062】
特に、通常遊技状態中に当せんするRT移行役には、
図5に示すように、3種類(RT移行役1、RT移行役2およびRT移行役3)が存在する。RT移行役1~3それぞれの正解押し順は、互いに異なる。例えば、RT移行役1は、ストップスイッチ40bまたはストップスイッチ40cのいずれかを最初に押下する押し順を正解押し順とし、RT移行役3は、ストップスイッチ40aまたはストップスイッチ40bのいずれかを最初に押下する押し順を正解押し順とする。
【0063】
ストップスイッチ40a~40cが正解押し順通りに押下された場合、有効ラインL上には赤7こぼし目が出現し(赤7は揃わない)、1枚のメダルが払い出される。ストップスイッチ40a~40cが正解押し順通りに押下されなかった場合、メダルの払い出しは行われず(1枚役を取りこぼす)、代わりに有効ラインL上には赤7が揃う。この赤7が出現した場合、後述するように遊技状態の種類が切り替わる。
【0064】
なお、既に述べたように、RT移行役1~3が当せんした場合も含め、本実施形態ではストップスイッチ40a,40b,40cの正解押し順の報知が行われることはない。
【0065】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて、各ステッピングモータ21a,21b,21cの駆動を制御し、各回転リール20a,20b,20cの回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0066】
具体的には、回転リール20a,20b,20c全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20a,20b,20c全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20a,20b,20cの回転中に、回転中の回転リール20a,20b,20cに対応するストップスイッチ40a,40b,40cが操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40a,40b,40cに対応する回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる。
【0067】
遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて、内部的に当せんした当せん種別における役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20a,20b,20cの有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させることができる。
【0068】
また、遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ40a,40b,40cが操作された時の、対応する回転リール40a,40b,40cの位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる制御である。
【0069】
内部抽せんにより2種BBが当せんした場合、回転リール制御部611は、同時当せんしたリプレイに対応する図柄を揃えてリプレイを優先して入賞させる制御を行う。そのリプレイ入賞後から所定ゲーム数が消化されたのちに、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に従って2種BBが入賞するように、回転リール制御部611は回転リール40a,40b,40cの回転を停止させる。
【0070】
つまり、2種BBが内部抽せんで当せんしても、その2種BBの実際の入賞が持ち越された状態で、所定ゲーム数消化される。所定ゲーム数の間、回転リール制御部611は、2種BBが有効ラインL上に揃わないように、回転リール20a,20b,20cの回転を制御し続ける(蹴飛ばし制御)。所定ゲーム数の消化後、回転リール制御部611は、入賞が持ち越されている2種BB、に対応する図柄を揃えさせて入賞させる制御を行う(引き込み制御)。
【0071】
また、所定役であるベルが当せんした時の遊技状態の種類が何かによって、回転リール制御部611は、回転リール20a,20b,20cの制御方法を変更する。これについては、<遊技状態について>にて詳述する。
【0072】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20a,20b,20cの回転停止制御の各結果に基づいて、遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0073】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0074】
具体的に、媒体管理部613は、遊技者の操作に基づいてメダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、遊技者の操作に基づいてメダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0075】
内部抽せんによって、メダルの払い出しのある役が当せんし、かつ、遊技者の操作に基づいて当該役が入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0076】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果、または精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0077】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0078】
―設定部―
設定部614は、店舗スタッフの操作に基づいて、複数の設定値のうちいずれかを設定する。この操作においては、設定変更ボタン72が利用される。設定された設定値は、メイン制御部61のRAM内に格納される。
【0079】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部615は、遊技状態の切り替え制御を行う。本実施形態の遊技状態には、
図4に示すように、「通常遊技状態」「高リプレイ状態」「2種BB入賞待ち状態」「2種BB実施状態」が含まれる。「高リプレイ状態」には、「第1状態」と「第2状態」とが含まれる。遊技状態は、常に、この中の1つに設定される。
【0080】
なお、遊技状態の切り替え制御については、<遊技状態について>にて詳述する。
【0081】
―リセット部―
リセット部616は、店舗スタッフの操作に基づいて、上述した遊技データをリセットするリセット処理、を行う。具体的に、リセット部616は、店舗スタッフがRAMクリアボタン71または設定変更ボタン72を押下した場合に、メイン制御部61のRAMを初期化することで、記憶中の遊技データを消去する。これにより、現在のゲーム数がゼロになり、現在の遊技状態はデフォルト設定である「通常遊技状態」に設定される。
【0082】
―演出制御部―
演出制御部620は、遊技の進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGM、音声などをスピーカ102から出力させる。
【0083】
例えば、演出制御部620は、現在の遊技状態がどのような遊技状態かの報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この報知態様としては、例えば以下が挙げられる。
(1)滞在中の遊技状態の種類に応じた静止画や動画が液晶画面3に表示される。
(2)滞在中の遊技状態の種類に応じた音声や音楽が、スピ―カ102から出力される。
(3)液晶画面3上の静止画や動画は共通しているが、滞在中の遊技状態の種類に応じた色のエフェクトが、静止画や動画の背景に現われる。
【0084】
また、演出制御部620は、滞在中の遊技状態の種類に合わせて、ベットするべきメダル枚数の報知を液晶画面3およびスピ―カ102の少なくとも1つに行わせる。詳細は<遊技状態について>で述べるが、本実施形態では、遊技者は、常時3枚掛けで遊技するのではなく、遊技状態の種類に応じて自発的に2枚掛けで遊技する必要があるからである。
【0085】
また、演出制御部620は、遊技中に、設定示唆演出の報知条件が満たされた場合、設定示唆演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1の設定値の把握材料とすることができる。前記報知条件としては、遊技状態の切り替え時、2種BB実施状態中である2種BB入賞中、などが挙げられる。
【0086】
<遊技状態について>
遊技中は、各種条件に基づいて遊技状態の種類が切り替わる。
図6は、その遊技状態の遷移態様を表す。
【0087】
既に述べたように、遊技状態制御部615は、遊技状態を、「通常遊技状態」「高リプレイ状態」「2種BB入賞待ち状態」「2種BB実施状態」のいずれかに切り替える。
【0088】
-通常遊技状態-
通常遊技状態は、遊技者がまとまった出玉の恩恵を受けることができない一般遊技、が進行する状態である。通常遊技状態の下での出玉率は、100%を下回る。通常遊技状態は、設定値のうちいずれかが設定され未だ遊技されていない場合、RAMが初期化され未だ遊技されていない場合、スロットマシン1が出荷された直後の場合に、遊技状態制御部615によって設定される。つまり、遊技状態のデフォルト設定が、通常遊技状態である。
【0089】
通常遊技状態では、3枚掛けで遊技が行われる。通常遊技状態の下では、
図4に示すように、2種BB、リプレイ、ベル、チェリー、スイカ、
図5のRT移行役1~3が、内部抽せんによる当せん候補である。このうち、リプレイは、1/7.3の確率で当せんし、RT移行役1~3それぞれは、
図5に示すように1/360の確率で当せんする。RT移行役1~3は、遊技状態の移行契機役として機能するものであり、当せんする合算確率は、1/120である。
【0090】
既に
図5を用いて説明したように、各RT移行役1~3では、当せん時のストップスイッチ40a,40b,40cの押し順に従って出目と払い出し枚数とが変化するが、演出制御部620は、その押し順の報知制御を行わない。それ故、RT移行役1~3のいずれかが当せんした際、遊技者は自力で、1枚役をとりこぼすことに成功するための押し順でストップスイッチ40a,40b,40cを押下して、赤7を有効ラインL上に揃えさせる必要がある。
【0091】
赤7が有効ラインL上に揃った場合、遊技状態制御部615は、通常遊技状態から高リプレイ状態へと、遊技状態を切り替える。つまり、1枚をこぼした代わりに赤7が有効ラインL上に揃う押し順は、通常遊技状態から高リプレイ状態へと遊技状態を移行させるための移行条件、ということができる。RT移行役が当せんし1枚役を取りこぼしたことは、
図6における、通常遊技状態から高リプレイ状態への移行条件が成立したことと同義である。
【0092】
一方、1枚役を取りこぼすことができなかった場合(赤7を揃えさせることができなかった場合)、移行条件は不成立である。この場合、遊技状態制御部615は、遊技状態を通常遊技状態にて維持する。つまり、RT移行役1~3が当せんしても、赤7が揃わずメダルが1枚支払われた場合、遊技状態を切り替える機会を逃したこととなる。
【0093】
ところで、
図3に示すように、ベルの図柄には、ベルAとベルBとがある。
図7に示すように、当せん種別“ベル”の入賞図柄組み合わせには、複数パターンがある。ここで、説明を簡単にするために、有効ラインLを1つとする。
図7において、“ベル”の入賞図柄組み合わせのパターンは、有効ラインL上にベルAまたはベルBが揃う図柄組み合わせA(「ベルA-ベルA-ベルA」「ベルA-ベルA-ベルB」など)と、回転リール20aにリプレイが停止し他の回転リール20b,20cの少なくとも1つにベルAまたはベルBが停止する図柄組み合わせB(「リプレイ-リプレイ-ベルA」「リプレイ-ベルA-リプレイ」「リプレイ-スイカA-ベルA」など)と、に大別される。
【0094】
図柄組み合わせAの数は、8つであり、この図柄組み合わせAのいずれかが入賞した場合、メダルの払い出し枚数は15枚である。一方、図柄組み合わせBの数は、図柄組み合わせAの数よりも多く、この図柄組み合わせBのいずれかが入賞した場合、メダルの払い出し枚数は3枚である。
【0095】
遊技状態いかんにかかわらず、内部抽せんにより“ベル”が当せんした際、図柄組み合わせAおよび図柄組み合わせBは同時当せんされる。但し、遊技状態の種類により、回転リール制御部611は、同時当せんした図柄組み合わせA,Bのうち、図柄組み合わせ数を優先させたリール制御および払い出し枚数を優先させたリール制御のいずれかを行う。
【0096】
通常遊技状態にて、ベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40a,40b,40cの押下タイミングなどに応じて、入賞図柄の組み合わせの数が多い図柄組み合わせBのうちいずれか1つが有効ラインL上に揃った状態で回転リール20a,20b,20cを停止させ、ベルを入賞させる制御を行う。つまり、通常遊技状態時にベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、図柄数を優先した回転リール20a,20b,20cの停止制御を行う。従って、通常遊技状態時にベルが当せんして入賞した場合、3枚のメダルが払い出される。
【0097】
例えば、通常遊技状態時、全ての回転リール20a,20b,20cが回転している状態で、ストップスイッチ40aが押下されたとする。回転リール制御部611は、有効ラインL上の一番左にリプレイが停止するように、リプレイを引き込む。次いで、回転リール制御部611は、他のストップスイッチ40b,40cが押下されたタイミングで、回転リール20b,20cの少なくとも1つにベルA,ベルBを引き込む。
【0098】
-高リプレイ状態-
高リプレイ状態とは、リプレイの当せん確率が通常遊技状態よりも高い状態である。具体的には、
図4に示すように、通常遊技状態におけるリプレイの当せん確率は1/7.3であるが、高リプレイ状態におけるリプレイの当せん確率は1/1.3である。リプレイの当せん確率が通常遊技状態に比して大幅に高まることにより、高リプレイ状態の下での出玉率は、通常遊技状態の場合よりも高い。
【0099】
図6に示すように、高リプレイ状態は、所定ゲーム数(例えば300ゲーム)の間継続される。高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化されるまでは、遊技状態は高リプレイ状態以外の状態(通常遊技状態など)へは切り替えられず、高リプレイ状態が維持される。但し、高リプレイ状態は、以下に述べる第1状態と第2状態とを含んでおり、遊技状態は、高リプレイ状態のままで第1状態から第2状態へと切り替えられることがある。
【0100】
-第1状態-
第1状態は、高リプレイ状態のうち、高リプレイ状態に移行してから特別役である2種BBが未だ当せんしていない状態である。従って、
図4に示すように、第1状態の下での当せん候補には2種BBが含まれている。具体的に、第1状態の間の当せん候補には、2種BBの他、リプレイ、ベル、チェリー、スイカ、RT移行役が含まれる。リプレイは、既に述べたように、1/1.3の確率で当せんする。
【0101】
第1状態は、高リプレイ状態ではあるが、2種BBの当せん前であり、2種BBの入賞が持ち越されている状態ではない。それ故、第1状態時にベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、通常遊技状態時と同様、図柄数を優先した回転リール20a,20b,20cの停止制御を行う。従って、通常遊技状態時にベルが当せんした場合、
図7の図柄組み合わせBのうちいずれか1つが有効ラインL上に揃うことで、図柄組み合わせBのうちいずれか1つに対応するベルが入賞し、3枚のメダルが払い出される。
【0102】
また、第1状態では、RT移行役は、通常遊技状態時とは異なり、ベルやチェリーなどと同様に単なる小役(1枚役)として取り扱われる。但し、RT移行役は押し順役である。ストップスイッチ40a,40b,40cが正解押し順通りに押下された場合は1枚のメダルが払い出され、正解押し順通りに押下されなかった場合は払い出しはなされない。
【0103】
従って、第1状態ではリプレイが当せんし易くなるため、第1状態の下での出玉率は、100%を下回っている通常遊技状態よりは上昇する。しかし、第1状態では、1ゲームの消化で払い出されるメダルの枚数は0枚、1枚または3枚程度のため、まとまった出玉を得られるとは言い難い。第1状態の間、遊技者の所有するメダルの減少が、通常遊技状態よりも緩やかになったり、遊技者の所有するメダルの枚数が概ね維持されたりする。
【0104】
また、
図6に示すように、通常遊技状態では、1ゲームを消化するためのメダルのベット数が常に3枚であるのに対し、第1状態では、1ゲームを消化するためのメダルのベット数は、基本的には2枚である。それ故、移行条件が成立したことによって遊技状態を通常遊技状態から高リプレイ状態における第1状態に切り替える時、ベット数を、3枚から2枚に変更する必要がある。
【0105】
そこで、遊技状態が、通常遊技状態から高リプレイ状態における第1状態に切り替えられた時、演出制御部620は、2枚掛けで遊技を行ってほしい旨を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを用いて遊技者に報知させる。つまり、本実施形態のスロットマシン1は、第1状態への切り替えと同時に自動で2枚掛けにベット数の切り替えを行うのではなく、遊技者が自発的に2枚掛けにて遊技を行うように促す。
【0106】
なお、第1状態の間に2種BBが当せんした時、同時当せんしたリプレイが2種BBよりも優先して入賞し、2種BBは入賞が持ち越された状態になる。この2種BBが当せんした以降のゲームで、遊技状態制御部615は、遊技状態を、高リプレイ状態における第1状態から高リプレイ状態における第2状態に切り替える。
【0107】
-第2状態-
第2状態は、高リプレイ状態のうち、2種BBが当せんした後の状態である。詳細には、第2状態は、当せんした2種BBの入賞が持ち越されている状態であって、メダルの獲得期待枚数(以下、純増枚数)が第1状態よりも多い状態、である。
【0108】
図4に示すように、第2状態の下での当せん候補では、第1状態における当せん候補から、2種BBが外れている。具体的に、第2状態の下での当せん候補には、リプレイ、ベル、チェリー、スイカ、RT移行役が含まれる。リプレイは、第1状態と同様、1/1.3の確率で当せんする。
【0109】
内部抽せんによるベルの当せん確率は、第1状態時と第2状態時とで同一である。つまり、ベルの当せん確率は、高リプレイ状態の間は一定である。既に述べたように、本実施形態のベルには、ストップスイッチ40a,40b,40cの正解押し順は存在しない。従って、ベルが当せんした場合、ストップスイッチ40a,40b,40cの押し順に関係なく当該ベルは入賞し、メダルが規定枚数払い出される。但し、当該規定枚数は、通常遊技状態時および第1状態時と、第2状態時とで、異なっている。
【0110】
第2状態の下でベルが入賞した際の規定枚数は“15枚”であって、第1状態時の規定枚数“3枚”よりも多い。
【0111】
つまり、本実施形態では、第2状態時、リプレイとベルとが第1状態時と同じ当せん確率で成立し、第1状態時および第2状態時のいずれも、概ねリプレイやベルなどの小役が毎ゲーム当せんする状態となる。但し、第2状態では、ベルの入賞に伴うメダルの払い出し枚数(規定枚数)が、第1状態時よりも増加するため、この規定枚数の増加が、結果として第2状態での純増枚数を増加させている。
【0112】
より具体的には、第2状態は、第1状態と同様に高リプレイ状態ではあるが、第1状態とは異なり2種BBの入賞が持ち越された状態となっている。この、高リプレイ状態かつ2種BB入賞持ち越し状態であるとの2つの条件が成立した場合、回転リール制御部611は、それまで行っていた図柄数を優先したリール制御から、払い出し枚数を優先させたリール制御に変更する。
【0113】
既に述べたように、ベルの当せん時、
図7の図柄組み合わせAと図柄組み合わせBとが同時当せんする。第2状態で行う払い出し枚数を優先させた制御とは、
図7において、図柄組み合わせBよりもパターン数(図柄組み合わせの数)は少ないが払い出し枚数の多い図柄組み合わせA、のいずれか1つを優先させて入賞させる制御である。通常遊技状態および第1状態では、ベル当せん時、図柄数の優先により図柄組み合わせBのいずれかが優先して入賞して規定枚数「3枚」が払い出されていたのに対し、高リプレイ状態かつ2種BB入賞持ち越し状態の2つの条件が成立している第2状態では、ベル当せん時、払い出し枚数の優先により図柄組み合わせAのいずれかが優先して入賞し、規定枚数「15枚」が払い出される。
【0114】
なお、第2状態では、RT移行役は、押し順役であって、第1状態と同様、ベルやチェリーなどと同様に単なる小役(1枚役)として取り扱われる。ストップスイッチ40a,40b,40cが正解押し順通りに押下された場合は1枚のメダルが払い出され、正解押し順通りに押下されなかった場合は払い出しはなされない。
【0115】
これにより、第2状態の下での出玉率は、通常遊技状態や第1状態よりも高く、100%を上回る。従って、第2状態において遊技者が所有するメダルの枚数は、第1状態時よりも増加する。従って、第2状態の間、遊技者はまとまった枚数のメダルを獲得できる。
【0116】
更に、この第2状態での遊技は、第1状態にて当せんした2種BBは、引き続き高リプレイ状態である第2状態にて入賞が持ち越された状態がキープされる。既に述べたように、第2状態では、概ねリプレイやベルなどの小役が毎ゲーム当せんする状態となり、2種BBの入賞可能タイミングとも言えるはずれ目は、非常に稀(例えば1/16433の出現確率)でしか出現しないためである。このように、第2状態の間、2種BBの入賞機会となるはずれ目の出現確率よりも、リプレイやベルなどの小役の当せん確率が圧倒的に高いことで、2種BBは入賞することなくゲームが消化されていく。
【0117】
なお、
図6を用いて既に述べたように、高リプレイ状態は所定ゲームで固定である。そのため、第2状態でのメダルの純増枚数が第1状態に比して増加することに鑑みると、第1状態に突入した際にはなるべく早く2種BBを当せんさせて、遊技状態が第1状態から第2状態へと切り替えられることが望ましい、と言える。
【0118】
また、
図6に示すように、第2状態では、1ゲームを消化するためのメダルのベット数は、基本的には3枚である。第1状態でのベット数は基本的には2枚であったため、2種BBが当せんしたことによって遊技状態を第1遊技状態から第2遊技状態に切り替える時、ベット数を、2枚から3枚に変更する必要がある。
【0119】
そこで、遊技状態が、第1状態から第2状態に切り替えられた時、演出制御部620は、ベット数を3枚掛けに戻してほしい旨を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを用いて遊技者に報知させる。本実施形態のスロットマシン1は、2種BBが当せんした直後に自動で3枚掛けにベット数の切り替えを行うのではなく、遊技者が自発的に3枚掛けにて遊技を行うように促す。
【0120】
-2種BB入賞待ち状態-
2種BB入賞待ち状態は、
図6に示すように、高リプレイ状態にて所定ゲーム数消化された後に切り替えられる遊技状態である。2種BB入賞待ち状態は、第2状態から引き続き2種BBの入賞が持ち越されている状態であり、2種BBが入賞するまで滞在される。
【0121】
2種BB入賞待ち状態では、第2状態と同様、3枚掛けで遊技が行われ、2種BBの入賞が促される。
図6に示すように、2種BBは、第1状態において2枚掛けにて成立しているが、3枚掛けにて入賞が可能となっている。
【0122】
図4に示すように、2種BB入賞待ち状態の下での当せん候補は、第2状態における当せん候補と同様である。但し、リプレイの当せん確率は、高リプレイ状態とは異なり、1/7.3である。つまり、リプレイ確率は、2種BB入賞待ち状態と通常遊技状態とで同一である。
【0123】
ベルは、通常遊技状態や高リプレイ状態と同様の確率で当せんして入賞するが、メダルの払い出し枚数は、第2状態と同様で15枚である。第2状態と同様、2種BBの入賞が持ち越されているためである。具体的には、第2状態と同様、図柄組み合わせBよりも組み合わせ数は少ないが払い出し枚数が多い図柄組み合わせA、のいずれか1つを優先させて入賞させる制御を、回転リール制御部611は行う。
【0124】
従って、2種BB入賞待ち状態時は、高リプレイ状態に比べてリプレイが当せんしにくくなるが、ベルの規定枚数は第2状態と同様に多い。そのため、2種BB入賞待ち状態の下での出玉率は、100%に近い。つまり、2種BB入賞待ち状態の下では、遊技者が所有するメダルの枚数は、概ね維持される。
【0125】
また、2種BB入賞待ち状態では、高リプレイ状態とは異なり、リプレイの当せん確率が第2状態に比して下がるとともに、小役が何も当せんしないはずれが第2状態に比して出現し易くなる。このはずれが出現する際に、回転リール制御部611は、持ち越し中の2種BBの入賞を優先させる制御を行う。これにより、はずれ時、遊技者が図柄を狙うことなくストップスイッチ40a,40b,40cを押下することで、有効ラインL上には、2種BBに対応する図柄が容易に揃って入賞する。2種BBは、ストップスイッチ40a,40b,40cの押し順および操作タイミングにかかわらず入賞する。
【0126】
図6に示すように、2種BBが入賞すると、遊技状態制御部615は、遊技状態を、2種BB入賞待ち状態から2種実施状態に切り替える。
【0127】
-2種BB実施状態-
2種BB実施状態は、入賞した2種BBが実施されている状態である。2種BB実施状態の下ででは、ベル、チェリー、スイカ、RT移行役が全役扱いで当せんし入賞する。
【0128】
2種BB実施状態では、2種BB入賞待ち状態と同様、2枚掛けで遊技が行われる。2種BB実施状態の下で、2枚の払い出しが2回行われると、遊技状態制御部615は、遊技状態を、2種BB遊技状態から通常遊技状態に切り替える。
【0129】
遊技状態が2種BB状態から通常遊技状態に切り替えられた時、ベット数は、自動的に3枚掛けに切り替えられる。これにより、通常遊技状態では、3枚掛けの状態下で、スムーズに遊技が行われる。
【0130】
このように、本実施形態では、遊技状態がいずれの種類に滞在していても、ストップスイッチ40a,40b,40cの正解押し順が“報知される”押し順役は、当せん対象に含まれない。従って、本実施形態のスロットマシン1には、指示機能にかかる処理を行うことができない通常区間と、指示機能にかかる処理を行うことができる有利区間と、を含む遊技区間の概念は、存在していない。
【0131】
<スロットマシン1の動作処理の流れ>
図8を用いて、本実施形態にかかるスロットマシン1の動作処理の流れを説明する。
【0132】
先ず、店舗スタッフが、RAMクリアボタン71または設定変更ボタン72を押下し、リセット部616がリセット処理を行うと、遊技状態制御部615は、遊技状態を、通常遊技状態に設定する(ステップst1)。通常遊技状態では、3枚掛けでの遊技が遊技者によって開始される。
【0133】
通常遊技状態にてゲームが消化されるごとに、内部抽せん部610は、内部抽せんを行う。この内部抽せんにて、ベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、図柄数を優先した回転リール20a,20b,20cの停止制御を行う。これにより、3枚のメダルが払い出される。
【0134】
また、通常遊技状態での内部抽せんにて、RT移行役1~3のいずれかが当せんした場合(ステップst2のYes)、RT移行役1~3が当せんしたゲームでのストップスイッチ40a,40b,40cの押下によって1枚役こぼし目(赤7)が有効ラインL上に出現したか否かを、遊技結果判定部612は判定する。1枚役こぼし目(赤7)が出現したと遊技結果判定部612が判定した場合(ステップst3のYes)、遊技状態制御部615は、遊技状態を、通常遊技状態から高リプレイ状態に切り替える(ステップst4)。特に、ステップst4では、遊技状態は、高リプレイ状態のうち第1状態に切り替えられる。
【0135】
一方、通常遊技状態にて、RT移行役1~3のいずれもが当せんしなかった場合(ステップst2のNo)、または、RT移行役1~3のいずれかが当せんしたものの赤7こぼし目が出現し1枚役が払い出された場合(ステップst3のNo)、遊技状態制御部615は、遊技状態を通常遊技状態にて維持させる。つまり、通常遊技状態の間、RT移行役1~3いずれかが当せんし赤7が出現することを、遊技者は待ち望みながら遊技する。
【0136】
ステップst4において、高リプレイ状態に切り替えられた時、演出制御部620は、2枚掛けで遊技を行う旨を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを介して報知させる(ステップst5)。
【0137】
2枚掛けの状態でレバー43がオンされることにより、遊技状態制御部615は、高リプレイ状態での消化ゲーム数のカウントを開始する。高リプレイ状態における第1状態にて遊技が開始される(ステップst6)。
【0138】
第1状態にてゲームが消化されるごとに、内部抽せん部610は、内部抽せんを行う。この内部抽せんにてベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、図柄数の優先に伴う回転リール20a,20b,20cの停止制御を行う。これにより、3枚のメダルが払い出される。
【0139】
また、第1状態での内部抽せんにて、2種BBが当せんした場合(ステップst7のYes)、回転リール制御部611は、この2種BBと同時当せんしたリプレイを、優先して入賞させる(ステップst8)。これにより、2種BBの入賞は持ち越された状態となる。
【0140】
ステップst7にて2種BBが当せんした時、遊技状態制御部615は、遊技状態を、第1状態から第2状態に切り替える(ステップst9)。演出制御部620は、メダルのベット数を3枚に戻して遊技を行う旨を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを介して報知させる(ステップst10)。
【0141】
第2状態での内部抽せんにてベルが当せんした場合、回転リール制御部611は、図柄数優先に代えて、払い出し枚数の優先に伴う回転リール20a,20b,20cの停止制御を行う。これにより、15枚のメダルが払い出される。このように、第2状態への切り替え後、ベル入賞時の払い出し枚数は、第1状態での3枚から15枚に増加するため、第2状態では、遊技者が所有するメダルの枚数が増加する。そのため、第1状態は、2種BBの当せんを待ち望みながら遊技が進められる状態と言える。
【0142】
また、第2状態では、リプレイが高確率で揃い、リプレイやベルなどの小役が毎ゲームに当せんし入賞するようになり、はずれが出現しにくくなる。そのため、2種BBは、引き続き入賞が持ち越された状態となる。
【0143】
ステップst6からカウントが開始された高リプレイ状態での消化ゲーム数が、予め定められられた所定ゲーム数に到達した場合(ステップst11のYes)、遊技状態制御部615は、遊技状態を、高リプレイ状態から2種BB入賞待ち状態に切り替える(ステップst12)。2種BB入賞待ち状態の間にてゲームが消化されるごとに、内部抽せん部610は、内部抽せんを行う。
【0144】
2種BB入賞待ち状態の間、リプレイの当せん確率は、高リプレイ状態時よりも低くなる。そのため、高リプレイ状態時には頻繁に当せんしていたリプレイは、2種BB入賞待ち状態ではさほど当せんしなくなる。高リプレイ状態の第2状態および2種BB入賞待ち状態は、ともに2種BBの入賞が持ち越されている状態のため、ベル入賞時の払い出し枚数は、依然として15枚となっている。
【0145】
2種BB入賞待ち状態の間に、内部抽せんによって何の役も当せんしなかった場合(はずれ)、遊技者が図柄を狙うことなくストップスイッチ40a,40b,40cを押下することで、回転リール制御部611は、2種BBに対応する図柄が有効ラインL上に揃うように回転リール20a,20b,20cの回転を停止させる。
【0146】
これにより、2種BBが入賞すると(ステップst13のYes)、遊技状態制御部615は、遊技状態を、2種BB入賞待ち状態から2種BB実施状態に切り替える(ステップst14)。2種BBが終了すると(ステップst15のYes)、遊技状態制御部615は、遊技状態を、2種BB実施状態から通常遊技状態に切り替える(ステップst16)。
【0147】
遊技状態が通常遊技状態に切り替えられたことで、ステップst1と同様、通常遊技状態での遊技が再開される。
【0148】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、複数の回転リール20a,20b,20cと、複数の回転リール20a,20b,20cの回転を開始させるための操作を受け付けるレバー43(スタートスイッチ)と、複数の回転リール20a,20b,20cの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチ40a,40b,40cと、レバー43(スタートスイッチ)およびストップスイッチ40a,40b,40cそれぞれの操作に基づいて複数の回転リール20a,20b,20cの回転を制御する回転リール制御部611と、レバー43(スタートスイッチ)の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうち少なくとも1つが当せんした否かを決定する内部抽せん部610と、通常遊技状態と、リプレイの当せん確率が通常遊技状態よりも高い高リプレイ状態と、を含む遊技状態の切り替え制御を行う遊技状態制御部615と、を備え、複数の役には、リプレイ、リプレイとは別の2種BB(特別役)、複数のストップスイッチ40a,40b,40cの押し順(操作手順)に関係なく入賞してメダル(遊技媒体)が規定枚数払い出されるベル(所定役)、が含まれ、ベル(所定役)においては、複数の回転リール20a,20b,20cが停止した状態で有効ラインL上に配置される図柄組み合わせが複数と、複数の図柄組み合わせそれぞれに対応する規定枚数と、が予め設定されており、回転リール制御部611は、第1状態の間にベル(所定役)が当せんした場合、ベル(所定役)に対応する図柄組み合わせのうち、組み合わせ数が最も多い図柄組み合わせである図柄組み合わせB(最大組み合わせ)が有効ライン上に配置されるように、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて回転リール20a,20b,20cを停止させる図柄数優先制御、を行い、第2状態の間にベル(所定役)が当せんした場合、ベル(所定役)に対応する図柄組み合わせのうち、規定枚数が図柄組み合わせB(最大組み合わせ)に対応する規定枚数よりも多い図柄組み合わせAが有効ライン上に配置されるように、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作に基づいて回転リール20a,20b,20cを停止させる枚数優先制御、を行い、図柄数優先制御および枚数優先制御により、第2状態におけるメダル(遊技媒体)の獲得期待値は第1状態時よりも高い、ものである。
【0149】
<効果>
本実施形態の高リプレイ状態には、特別役である2種BBが当せんする前の第1状態と、その2種BBが当せんしたが入賞が持ち越されている第2状態と、が含まれる。第1状態時には図柄優先制御が行われ、第2状態時には枚数優先制御が行われる。そのため、高リプレイ状態においては、正解押し順通りにストップスイッチを押す必要のない所定役であるベルが入賞した際のメダルの払い出し数は、第1状態時よりも第2状態時の方が多くなり、高リプレイ状態のみである第1状態よりも、高リプレイ状態で且つ2種BBの入賞が持ち越された状態となる第2状態の方が、メダルの獲得期待値(純増枚数)は高くなる。これにより、遊技者は、特に第2状態において、ストップスイッチ40a,40b,40cの押し順を意識することなくメダルを獲得できる。従って、正解押し順に従ったストップスイッチ40a,40b,40cの操作を繰り返すことによる疲弊は生じずに、遊技者は遊技を行うことができる。
【0150】
また、通常遊技状態時も高リプレイ状態時も、所定役であるベルは当せんして入賞する。このベルは、通常遊技状態の間に当せんした場合は3枚役となるが、通常遊技状態時とベット数が同じ第2状態の間に当せんした場合は15枚役となる。つまり、通常遊技状態時と第2状態時とで、ベット数は同じであるが、所定役が当せんした際の規定枚数は異なっている。
【0151】
図4に示すように、第1状態では、リプレイ、ベル、RT移行役、2種BB、チェリーおよびスイカを含む役のうち少なくとも1つが当せんするように、これらの各役の当せん確率が規定されている。第2状態では、リプレイ、ベル、RT移行役、チェリーおよびスイカといった役のうち少なくとも1つが当せんするように、これらの各役の当せん確率が規定されている。これにより、高リプレイ状態では、リプレイやベルが必ず当せんしはずれが出現しにくい状態となっている。従って、第1状態で当せんした2種BBの入賞機会を与えないような状況が、第2状態にて簡単に作り出されている。
【0152】
また、高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化された後、回転リール制御部611の制御により、入賞が持ち越されている2種BBが入賞される。
【0153】
また、演出制御部620は、第1状態の間のメダルのベット数と第2状態の間のメダルのベット数とを異ならせる旨の報知制御を行う。
【0154】
また、2種BBは、リプレイと同時当せんする。2種BBの当せん時、リプレイが優先して入賞することで、遊技状態は、第1状態から第2状態に移行される。つまり、2種BBとリプレイとを同時当せんさせることにより、2種BBを入賞の持ち越されている状態に、簡単にすることができる。
【0155】
また、
図5に示すように、内部抽せんにより当せんする役には、遊技状態を通常遊技状態から高リプレイ状態に移行させるためのRT移行役、が更に含まれる。遊技状態制御部615は、通常遊技状態の間に内部抽せんによってRT移行役が当せんした際の、ストップスイッチ40a,40b,40cの操作態様に応じて、遊技状態を高リプレイ状態に移行させる。
【0156】
特に、RT移行役には、高リプレイ状態への移行条件となるストップスイッチの押し順が定義されている。具体的に、本実施形態では、1枚役を取りこぼす押し順が、高リプレイ状態への移行条件となる押し順となっている。遊技状態制御部615は、通常遊技状態の間にRT移行役が当せんした際、遊技者によるストップスイッチ40a,40b,40cの操作順が、1枚役を取りこぼす押し順であったことに応じて、遊技状態を高リプレイ状態に移行させる。これにより、遊技者は1枚役が払い出されない代わりに、高リプレイ状態にて、メダルの投資枚数を抑制させながら遊技することができる。
【0157】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0158】
前記実施形態では、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72の両方が設けられており、いずれかのボタン71,72が押下されることで、現在の遊技状態が通常遊技状態に設定される(リセット)と説明した。しかし、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72のいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、設定変更ボタン72が押下されても遊技状態は押下前の状態が引き継がれ、RAMクリアボタン71が押下された場合にのみ、遊技状態がリセットされてもよい。
【0159】
遊技状態のリセット処理が行われるトリガは、ボタン71,72の押下以外であってもよい。例えば、メイン制御部61とサブ制御部62とを電気的につなぐハーネスを、一時的に断線させることをトリガとして、遊技状態のリセット処理が行われてもよい。
【0160】
また、遊技状態のリセット処理の実行指示を受け付けるためのボタンを、筐体10の外部に設けておき、遊技者が当該ボタンを押下することができてもよい。つまり、遊技者の意思により、滞在中の遊技状態が、デフォルト設定された「通常遊技状態」へと切り替えられてもよい。
【0161】
前記実施形態では、高リプレイ状態への切り替え(移行)時から所定ゲーム数が消化されると、遊技状態は、2種BB入賞待ち状態に切り替えらえると説明した。この「所定ゲーム数」は、設定値や滞在モードなどに関係なく一定値であってもよいし、逆に設定値や滞在モードに応じて変化してもよい。
【0162】
また、「所定ゲーム数」の長さは、高リプレイ状態への切り替え(移行)契機となったRT移行役1~3の種類に応じて異なっていてもよい。例えば、3つのRT移行役1~3それぞれに対応して、所定ゲーム数を100ゲーム、200ゲーム、300ゲームに予め設定しておくことができる。RT移行役1~3において1枚を取りこぼした場合、リール窓200から視認できる回転リール20a,20b,20cの表面上に赤7が停止する停止形が、所定ゲーム数に対応した形となる。この停止形により、遊技者は、所定ゲーム数が何ゲームであるかを把握することができる。
【0163】
また、「所定ゲーム数」の長さは、遊技者の目押しの技量に応じて異なっていてもよい。例えば、高リプレイ状態への切り替え(移行)契機となるRT移行役を1種類とし、そのRT移行役が、正解押し順のある役とする。RT移行役が当せんし、回転リール20a,20cの有効ラインL上に図柄「赤7」が揃っているリーチ状態(テンパイ状態)において、目押しによってこの有効ラインLから1コマ以内に図柄「赤7」が停止する状態でストップスイッチ40bを押下する「ビタ押し」を、遊技者が成功させた場合、遊技状態制御部615は、所定ゲーム数の長さを300ゲームに設定することができる。遊技者が「ビタ押し」を成功させることができなかった場合、遊技状態制御部615は、所定ゲーム数の長さを100ゲームに設定することができる。
【0164】
また、遊技状態が、高リプレイ状態から2種BB入賞待ち状態に切り替えられる際の条件は、高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化されたことに限定されない。例えば、高リプレイ状態における第2状態にて、2種BB入賞待ち状態への移行抽せんが、ゲームが消化される都度や当せんした役の種類に応じて行われてもよい。その転落抽せん当せんした場合に、遊技状態は、高リプレイ状態から2種BB入賞待ち状態に切り替えられてもよい。
【0165】
また、高リプレイ状態の滞在ゲーム数(所定ゲーム数)は、決まっていなくてもよい。遊技状態は、高リプレイ状態中に、はずれ役のような転落役が当せんすることで高リプレイ状態が終了して2種BB入賞待ち状態に切り替えられてもよい。遊技状態は、1枚役をこぼすことで高リプレイ状態が終了して2種BBが入賞してもよい。1枚役をこぼして2種BBが入賞する場合、遊技状態は、2種BB入賞待ち状態を介することなく、高リプレイ状態から2種BB実施状態へと切り替えられることができる。
【0166】
所定ゲーム数のカウント開始は、高リプレイ状態への移行時ではなく、第2状態への移行時や、第2状態中にレア役などの役を引いた時から、または、第2状態中にレア役などの役を引いた際に行われる抽せんに当せんした時、などであることができる。
【0167】
前記実施形態では、特別役である2種BBの当せん確率、第1状態と第2状態とで規定枚数が変化するベル(所定役)の当せん確率、リプレイ確率が、設定値に影響されない場合を例示した。しかし、これらの役の当せん確率は、設定値に応じて異なっていてもよい。例えば、特別役である2種BBの当せん確率は、設定値が低いほど低く、設定値が高いほど高くなるように定められたリ、奇数設定ほど低く偶数設定ほど高くなるように定められることができる。
【0168】
また、前記実施形態では、ベルの当せん確率が第1状態時と第2状態時とで同一である場合を例示した。しかし、ベルの当せん確率は、第1状態時と第2状態時とで異なっていてもよい。
【0169】
また、前記実施形態では、
図7に示すように、所定役であるベルが、図柄組み合わせAと図柄組み合わせBとがある役である場合を例示した。これに加えて、遊技状態の種類に関係なく常に15枚を取得でき、入賞時の図柄組み合わせが前記図柄組み合わせAと同じである特殊ベルが、小役として更に設定されていてもよい。所定役であるベルおよび特殊ベルの両方は、常に同じ当せん確率(例えば1/10)にて成立する。この場合、第1状態では、特殊ベルのみにより、有効ラインL上にベルAまたはベルBが揃った際には、1/10の確率で15枚の払い出しを受けることができる。一方で、第2状態では、ベルおよび特殊ベルにより、有効ラインL上にベルAまたはベルBが揃った際には、1/5(2/10)の確率で15枚の払い出しを受けることができるようになる。これにより、遊技者は、第2状態時には15枚役の出現確率が上昇したように感じることができる。
【0170】
また、前記実施形態では、特別役が2種BBである場合を例示した。しかし、特別役は、2種BB以外であってもよい。例えば、特別役は、1種BBやRBであることができる。
【0171】
また、前記実施形態では、2種BBの当せん時と入賞時とのベット数が異なっている場合を例示したが、これらは同一(ともに2枚掛け)であってもよい。
【0172】
また、前記実施形態では、2種BBが当せんする場合、同時にリプレイが当せんすると説明したが、これに限定されない。2種BBが当せんする場合、2種BBが単独で当せんしてもよいし、リプレイ以外の他役(チェリーなど)が2種BBと同時当せんして、2種BBよりも優先的に入賞してもよい。2種BBが単独で当せんする場合、2種BBの入賞を外す手順を、演出制御部620は液晶画面3およびスピーカ102に報知させることができる。この場合の手順としては、目押しによって特定の図柄を所定タイミングに狙って押下すること、が挙げられる。また、前記実施形態のように、2種BBとリプレイとが同時当せんした場合、リプレイの効果によって次ゲームも2枚掛けでの遊技が強制されるが、2種BBがリプレイ以外の他役と同時当せんすることにより、次ゲームでは3枚掛けで遊技することができる。
【0173】
また、前記実施形態では、第1状態時と第2状態時とで、メダルのベット数が異なる場合を説明した。しかし、メダルのベット数は、第1状態時と第2状態時とで同じであってもよい。
【0174】
前記実施形態では、スロットマシン1が液晶画面3を備えている場合を例示した。しかし、スロットマシン1は液晶画面3に代えて、絵柄を光らせるLEDなどが供えられていてもよい。
【0175】
演出制御部620は、これまでに遊技状態がどのように遷移したかや、出玉の推移を、演出や履歴画面を通じて遊技者に報知させてもよい。
【0176】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。この場合、レバー43は、ベットスイッチ42によるメダルのベット機能を兼ねたものであることができる。
【0177】
前記実施形態において、RT移行役1~3が当せんしたものの赤7が揃わずに赤7こぼし目が出現した場合、演出制御部620は、どのストップスイッチ40a,40b,40cを最も先に押下することで赤7が揃ったのかの正解を、液晶画面3およびスピ―カ102の少なくとも1つを介して遊技者に報知させてもよい。
【0178】
前記実施形態では、通常遊技状態時のみ高リプレイ状態への移行契機となるRT移行役が、通常遊技状態、高リプレイ状態および2種BB入賞待ち状態のいずれにおいても、取りこぼす可能性のある1枚役である場合を例示した。しかし、RT移行役は、
図9に示すように、通常遊技状態および高リプレイ状態の第1状態時は1枚役であるが、2種BB当せん後である高リプレイ状態の第2状態および2種BB入賞待ち状態では、15枚役に変化してもよい。つまり、RT移行役は、前記実施形態で説明したベルと同様に、2種BBの入賞が持ち越されている状態か否かに応じて、払い出しされる規定枚数が変化する役とすることができる。なお、この場合も、RT移行役の役割は、前記実施形態で説明したとおりである。そして、RT移行役は、遊技状態の種類に関係なく、常に正解押し順のある役であって、押し順正解時には規定枚数のメダルが払い出されるが、押し順不正解時には規定枚数のメダルが払い出されない。
【0179】
また、RT移行役は、1枚役に限定されない。RT移行役は、リプレイ役、3枚役などであることができる。
【0180】
前記実施形態では、RT移行役が押し順の定められた役であって、実際のストップスイッチ40a,40b,40cの押し順によっては取りこぼす役である場合を例示した。しかし、RT移行役は、押し順に代えて、遊技者がストップスイッチ40a,40b,40cを押下するタイミングに応じて取りこぼす役であってもよいし、押し順と押下するタイミングとの両方に応じて取りこぼす役であってもよい。押下するタイミングとは、特定の図柄を有効ラインL上に停止させることである。特定の図柄とは、遊技者が狙って停止させることで取りこぼすことのできる図柄であって、遊技者には報知されない状態で内部的に決められている。その図柄が有効ラインL上に停止させるように遊技者がストップスイッチ40a,40b,40cを押下させることができれば、RT移行役を取りこぼすことができる。特に、通常遊技状態時のRT移行役1~3が、押下するタイミングに応じて取りこぼす役であれば、遊技者自らが正解の図柄を当てるとともに目押しを行い遊技状態を高リプレイ状態に移行させることができる。従って、遊技者による遊技への興趣性がより向上する。
【0181】
前記実施形態では、2種BB実施状態以外では、RT移行役が、取りこぼす可能性のある役である場合を例示したが、取りこぼすことのない役であってもよい。例えば、RT移行役は、遊技状態の種類に関係なく、取りこぼすことのない役であってもよいし、遊技状態のうち一部の種類に限り、取りこぼすことのない役であってもよい。
【0182】
前記実施形態において、ベットスイッチ42に代えて、3枚掛け用のベットスイッチと、2枚掛け用のベットスイッチとが、別々に設けられていてもよい。前記実施形態では、ベット数を変更する旨の報知に従って遊技者が自発的にベット数を変更していたが、ベット数ごとに専用のベットスイッチが設けられていることで、遊技者は、メダル投入部41に投入するメダルの数を数えずともよい。従って、遊技者の利便性が向上する。
【0183】
また、上記において、3枚掛け用のベットスイッチとレバーとが一体化された3枚掛け用レバーが設けられていてもよいし、2枚掛け用のベットスイッチとレバーとが一体化された2枚掛け用レバーが設けられていてもよい。3枚掛け用レバーが操作された場合、3枚のメダルのベットと同時に、回転リール20a,20b,20cの回転開始が促される。2枚掛け用レバーが操作された場合、2枚のメダルのベットと同時に、回転リール20a,20b,20cの回転開始が促される。
【0184】
前記実施形態において、
図6の通常遊技状態での滞在ゲーム数に上限値を予め設け、通常遊技状態にて連続して消化されたゲーム数が上限値に達した際に、遊技状態制御部615は、遊技状態を強制的に高リプレイ状態に切り替え(移行させ)てもよい。つまり、通常遊技状態における天井ゲーム数が設けられる。これにより、遊技者は、天井ゲーム数に至るまでにRT移行役が非当せんであったり、RT移行役が当せんしたが取りこぼすことができなかったりした場合であっても、天井ゲーム数に到達すれば、遊技状態は確実に高リプレイ状態へと移行される。そのため、遊技への意欲が失われることを抑制できる。
【0185】
上記においては、遊技状態の種類それぞれに対応する“RT状態”を設けておき、各RT状態の滞在ゲーム数を設定することで実現できる。具体的には、遊技状態が通常遊技状態である場合のRT状態をRT0、遊技状態が高リプレイ状態である場合のRT状態をRT1とする。RT状態をRT0にて維持できる期間を、RT状態がRT1にて維持できる期間のように有限とすることで、通常遊技状態における天井ゲーム数が簡単に設けられる。通常遊技状態にてRT移行役が当せんして1枚が取りこぼされるか、またはRT状態がRT0のまま天井ゲーム数に至ることで、遊技状態制御部615は、RT状態をRT0からRT1に切り替えることができる。その後、高リプレイ状態にて所定ゲーム数が消化されることで、遊技状態制御部615は、RT状態は、RT状態を、RT1からRT0に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0186】
1 スロットマシン(遊技機)
20 回転リール
40 ストップスイッチ
43 レバー(スタートスイッチ)
610 内部抽せん部
611 回転リール制御部
615 遊技状態制御部