(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】測定システム、測定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240215BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2022050019
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大澤 正典
(72)【発明者】
【氏名】岸田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝也
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112508885(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0184440(US,A1)
【文献】特開昭62-145106(JP,A)
【文献】特開平9-318351(JP,A)
【文献】実開平4-131711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
F25B 39/00
F28D 1/00-13/00
F28F 1/00
G01B 11/00-11/30
G01N 21/17
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の曲げ寸法を測定する制御部と、画像センサとを備えた測定システムであって、
前記制御部は、
曲げ加工後の前記熱交換器を前記画像センサで撮像し、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力する、
測定システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記熱交換器の撮像位置の端面に沿うように設置したキャリブレーションボードを前記画像センサで撮像し、
前記画像センサで撮像した前記キャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記キャリブレーションボードは、既知の大きさのグリッドで構成され、
前記制御部は、
前記画像センサで撮像した前記キャリブレーションボードの撮像画像から、前記グリッドの間隔の画素数を求め、
前記グリッドの間隔の画素数と、前記キャリブレーションボードにおける前記グリッドの間隔の長さから、前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める、
請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記熱交換器の第1の撮像位置の端面に沿うように設置した第1のキャリブレーションボードと、前記熱交換器の第2の撮像位置の端面に沿うように設置した第2のキャリブレーションボードとを前記画像センサで撮像し、
前記画像センサで撮像した前記第1のキャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記第1の撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求め、
前記画像センサで撮像した前記第2のキャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記第2の撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像から、前記熱交換器の曲げ位置と前記熱交換器が備える構造部品の位置とを検出し、
前記熱交換器の曲げ位置と、前記構造部品の位置と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報と、を用いて前記熱交換器の曲げ寸法を算出する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、予め用意した前記構造部品のテンプレート画像とを照合し、
前記熱交換器の撮像画像において、前記テンプレート画像と最も類似度が高い個所を前記構造部品の位置として検出する、
請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像から、前記熱交換器が備えるフィンの直線部分を近似する近似直線を求め、
前記近似直線に基づいて、前記熱交換器の曲げ位置を検出する、
請求項5に記載の測定システム。
【請求項8】
熱交換器の曲げ寸法を測定する測定装置が、
曲げ加工後の前記熱交換器を画像センサで撮像し、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力する、
測定方法。
【請求項9】
熱交換器の曲げ寸法を測定するコンピュータに、
曲げ加工後の前記熱交換器を画像センサで撮像させ、
前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力させる、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定システム、測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器を撮像して、画像処理により熱交換器の外観検査を行う技術がある。例えば、フィンとチューブとを具備する熱交換器のコアを撮像し、画像処理によりチューブ寸法を求めて、閾値と比較して、チューブの不良を判別する熱交換器のコアの外観検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器を曲げ加工した後に、画像処理で熱交換器の曲げ寸法を測定したいという要求がある。しかし、特許文献1に開示された技術は、熱交換器のチューブの幅と長さとから熱交換器の寸法を測定しているため、熱交換器の曲げ加工後の曲げ寸法の測定に適用することができないという課題がある。
【0005】
本開示は、画像処理で熱交換器の曲げ加工後の曲げ寸法を測定できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る測定システムは、熱交換器の曲げ寸法を測定する制御部と、画像センサとを備えた測定システムであって、前記制御部は、曲げ加工後の前記熱交換器を前記画像センサで撮像し、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力する。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、画像処理で熱交換器の曲げ加工後の曲げ寸法を測定できるようになる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の測定システムであって、前記制御部は、前記熱交換器の撮像位置の端面に沿うように設置したキャリブレーションボードを前記画像センサで撮像し、前記画像センサで撮像した前記キャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める。
【0009】
本開示の第3の態様は、第2の態様に記載の測定システムであって、前記キャリブレーションボードは、既知の大きさのグリッドで構成され、前記制御部は、前記画像センサで撮像した前記キャリブレーションボードの撮像画像から、前記グリッドの間隔の画素数を求め、前記グリッドの間隔の画素数と、前記キャリブレーションボードにおける前記グリッドの間隔の長さから、前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める。
【0010】
本開示の第4の態様は、第1の態様~第3の態様のいずれかに記載の測定システムであって、前記制御部は、前記熱交換器の第1の撮像位置の端面に沿うように設置した第1のキャリブレーションボードと、前記熱交換器の第2の撮像位置の端面に沿うように設置した第2のキャリブレーションボードとを前記画像センサで撮像し、前記画像センサで撮像した前記第1のキャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記第1の撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求め、前記画像センサで撮像した前記第2のキャリブレーションボードの撮像画像を画像処理して前記第2の撮像位置に対応する前記1画素当たりの縦横の長さ情報を求める。
【0011】
本開示の第5の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかに記載の測定システムであって、前記制御部は、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像から、前記熱交換器の曲げ位置と前記熱交換器が備える構造部品の位置とを検出し、前記熱交換器の曲げ位置と、前記構造部品の位置と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報と、を用いて前記熱交換器の曲げ寸法を算出する。
【0012】
本開示の第6の態様は、第5の態様に記載の測定システムであって、前記制御部は、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、予め用意した前記構造部品のテンプレート画像とを照合し、前記熱交換器の撮像画像において、前記テンプレート画像と最も類似度が高い個所を前記構造部品の位置として検出する。
【0013】
本開示の第7の態様は、第5の態様に記載の測定システムであって、前記制御部は、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像から、前記熱交換器が備えるフィンの直線部分を近似する近似直線を求め、前記近似直線に基づいて、前記熱交換器の曲げ位置を検出する。
【0014】
本開示の第8の態様に係る測定方法は、熱交換器の曲げ寸法を測定する測定装置が、曲げ加工後の前記熱交換器を画像センサで撮像し、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力する。
【0015】
本開示の第9の態様に係るプログラムは、熱交換器の曲げ寸法を測定するコンピュータに、曲げ加工後の前記熱交換器を画像センサで撮像させ、前記画像センサで撮像した前記熱交換器の撮像画像と、前記熱交換器の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報とを用いて、前記熱交換器の曲げ寸法を出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る測定システムの構成例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る熱交換器の構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る熱交換器の曲げ寸法の例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る測定装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る曲げ寸法の測定処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態に係る構造部品の検出処理について説明するための図である。
【
図7】一実施形態に係る近似直線の検出処理について説明するための図である。
【
図8】第1の実施形態に係る較正処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る較正時の測定システムの構成例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る較正処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。また、本明細書及び図面において、平行、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を含む。
【0018】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る測定システムのシステム構成の例を示す図である。測定システム1は、曲げ加工後の熱交換器10を撮像するカメラ(画像センサ)101と、熱交換器10の曲げ寸法を測定する測定装置100とを含む。
図1の例では、曲げ加工後の熱交換器10は、曲げ加工用の曲げ装置の台20(又は測定用の台20)等の上に置かれている。
【0019】
測定システム1は、例えば、空気調和システムの熱交換器10の製造過程において、曲げ加工後の熱交換器10をカメラ101で撮像し、撮像した撮像画像を画像処理して、熱交換器10の曲げ加工後の寸法である曲げ寸法を測定するシステムである。
【0020】
図2は、一実施形態に係る熱交換器の構成例を示す図である。この図は、曲げ加工前の熱交換器10の構成の一例を示している。熱交換器10は、例えば、フィンアンドチューブタイプの熱交換器であり、
図2に示すように、複数のチューブ(冷媒管)202、チューブ202の外面に取り付けられた複数のフィン201、及びチューブ202の両端に接続する構造部品210、220等を備える。
【0021】
各フィン201は、例えば、矩形の板状に形成された部材であり、一定の間隔で、互いに平行となるように並べて配置される。
図2の例では、各フィン201は、長辺の方向がY軸と平行な方向に沿って配置されている。
【0022】
チューブ202は、例えば、直線状の円管であり、一例として、両端が構造部品210、220に接続されている。構造部品210は、例えば、チューブ202を接続する配管、又はチューブ202を構造的に支持する部材等である。
図2の例では、チューブ202は、フィン201と直交するように、X軸方向に沿って配置されている。熱交換器10の曲げ加工では、例えば、
図2に破線A、Bで示すような、所定の曲げ位置で、熱交換器10を所定の角度(例えば90度)に折り曲げる。
【0023】
図3は、一実施形態に係る熱交換器の曲げ寸法の例を示す図である。この図は、曲げ加工後の熱交換器10を、
図2の矢印203の方向から見たイメージを示している。
【0024】
測定装置100は、コンピュータの構成を有しており、所定のプログラムを実行することにより、曲げ加工後の熱交換器10をカメラ101で撮像した撮像画像を画像処理して、例えば、
図3のL1、L2、L3の寸法を熱交換器10の曲げ寸法として測定する。なお、曲げ寸法の測定方法については、具体的な処理内容を例示して後述する。
【0025】
カメラ101は、例えば、
図3に示すような、曲げ加工後の熱交換器10を撮像できる位置に設置される。なお、熱交換器10の大きさが大きい場合等、測定システム1は、複数のカメラ101を用いて、曲げ加工後の熱交換器10を撮像してもよい。このように、測定システム1が備えるカメラ101の数は、1台以上の任意の数であってよい。
【0026】
なお、
図2、3で説明した熱交換器10の構成は一例である。熱交換器10は、曲げ加工を行うものであれば、他の構成であってよい。
【0027】
<ハードウェア構成>
図4は、一実施形態に係る測定装置のハードウェア構成の例を示す図である。測定装置100は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、制御部401、メモリ402、ストレージデバイス403、通信装置404、表示装置405、入力装置406、ドライブ装置407、及びバス409等を含む。
【0028】
制御部401は、例えば、ストレージデバイス403、又はメモリ402等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、様々な機能を実現するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。なお、制御部401は、CPU以外にも、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含んでいてもよい。また、制御部401は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のデバイスであってもよい。
【0029】
メモリ402は、例えば、制御部401のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、及び制御部401の起動用のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等を含む。ストレージデバイス403は、OS(Operating System)、アプリケーション等のプログラム、及び各種のデータ、情報等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)等によって実現される。
【0030】
通信装置404は、例えば、カメラ101等と外部装置と通信するための通信インタフェース、又はデバイスである。例えば、通信装置404は、測定装置100を通信ネットワーク2に接続して、他の装置と通信するためのNIC(Network Interface Card)等のデバイスを含む。或いは、通信装置404は、例えば、測定装置100にカメラ101を接続するための各種のインタフェースを含む。
【0031】
表示装置405は、表示画面を表示する表示デバイス、又は装置であり、熱交換器10の曲げ寸法を出力する出力装置の一例である。入力装置406は、例えば、タッチパネル、キーボード、又はポインティングデバイス等の外部からの入力を受け付ける入力デバイスである。なお、表示装置405と入力装置406は、例えば、タッチパネルディスプレイのように、一体化された表示入力装置であってもよい。
【0032】
ドライブ装置407は、記憶媒体408を測定装置100に接続するためのデバイスである。ここでいう記憶媒体408には、例えば、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体408には、例えば、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。バス409は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0033】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る熱交換器10の曲げ寸法の測定方法の流れについて説明する。
【0034】
(曲げ寸法の測定処理)
図5は、一実施形態に係る曲げ寸法の測定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図4に示したハードウェア構成を備える測定装置100が実行する、熱交換器10の曲げ寸法の測定処理の一例を示している。例えば、測定装置100の制御部401は、ストレージデバイス403等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、
図4に示した曲げ寸法の測定処理を実行する。
【0035】
ステップS501において、測定装置100の制御部401は、カメラ101で、曲げ加工後の熱交換器10を撮像して、例えば、
図6に示すような撮像画像600を取得する。なお、制御部401は、複数のカメラ101で熱交換器10を撮像して、撮像した画像を合成して、
図6に示すような撮像画像600を作成してもよい。
【0036】
ステップS502において、制御部401は、曲げ加工後の熱交換器10を撮像した撮像画像600から、テンプレートマッチングにより、構造部品210、220を検出し、構造部品210、220の座標を取得する。
【0037】
図6は、一実施形態に係る構造部品の検出処理について説明するための図である。例えば、制御部401は、
図6に示すような、構造部品210のテンプレート画像611、及び構造部品220のテンプレート画像612を、ストレージデバイス403等の記憶部に予め記憶(用意)しておく。また、制御部401は、公知のテンプレートマッチング技術により、撮像画像600とテンプレート画像611、612とを照合し、撮像画像600において、テンプレート画像611、612と最も類似度が高い個所を構造部品210、220の位置として検出する。
【0038】
また、制御部401は、検出した構造部品210から、例えば、
図3に示すような点211a、点211bの撮像画像600上の座標を取得する。同様に、制御部401は、検出した構造部品220から、例えば、
図3に示すような点221a、点221bの撮像画像600上の座標を取得する。
【0039】
ステップS503において、制御部401は、撮像画像600から、フィン201のエッジを検出して、フィン201の直線部分の近似直線を検出する。
【0040】
図7は、一実施形態に係る近似直線の検出処理について説明するための図である。例えば、制御部401は、撮像画像600から、公知のエッジ検出技術により、フィン201のエッジ701を検出し、検出した複数のエッジ701から、フィン201の直線部分を近似する近似直線(回帰直線)302を求める。同様にして、制御部401は、フィン201の他の直線部分を近似する近似直線301、303を求める。
【0041】
ステップS504において、制御部401は、熱交換器10の撮像位置に対応する、1画素当たりの縦横の長さ情報を用いて、熱交換器の曲げ寸法L1、L2、L3を算出する。制御部401は、例えば、
図3に示すように、構造部品210の点211aと点211bとを通る直線から、近似直線302までの近似直線301上の距離である曲げ寸法L1を算出する。また、制御部401は、例えば、
図3に示すように、構造部品220の点221aと点221bとを通る直線から、近似直線302までの近似直線303上の距離である曲げ寸法L2を算出する。
【0042】
さらに、制御部401は、近似直線301と近似直線302との交点を第1の曲げ位置304とし、近似直線303と近似直線302との交点を第2の曲げ位置305とし、第1の曲げ位置304と第2の曲げ位置との間の距離である曲げ寸法L2を算出する。
【0043】
なお、制御部401は、後述する較正処理により、熱交換器10の撮像位置に対応する1画素当たりの縦横の長さ情報を算出し、例えば、ストレージデバイス403、又はメモリ402等の記憶部に記憶している。この縦横の長さ情報には、熱交換器10の撮像位置において、カメラ101で撮像した撮像画像600の各画素の横方向の長さ(mm/px)と、縦方向の長さ(mm/px)とを示す情報が含まれる。
【0044】
従って、制御部401は、例えば、近似直線302上の第1の曲げ位置304と第2の曲げ位置305との間にある各画素と、各画素の縦横の長さ情報(mm/px)とを用いて、曲げ寸法L2を算出することができる。また、制御部401は、例えば、近似直線301上の構造部品210の点211aと点211bを通る直線と、近似直線302との間にある各画素と、各画素の縦横の長さ情報(mm/px)とを用いて、曲げ寸法L1を算出することができる。さらに、制御部401は、例えば、近似直線303上の構造部品220の点221aと点221bを通る直線と、近似直線302との間にある各画素と、各画素の縦横の長さ情報(mm/px)とを用いて、曲げ寸法L3を算出することができる。
【0045】
ステップS505において、制御部401は、算出した熱交換器10の曲げ寸法を出力する。例えば、制御部401は、算出した熱交換器10の曲げ寸法を表示する表示画面を、表示装置405、又は曲げ加工の現場等に設けられた別の表示装置等に出力して表示する。或いは、制御部401は、算出した熱交換器10の曲げ寸法を、ストレージデバイス403等の記憶部に出力して記憶してもよいし、外部の情報処理装置等に送信(出力)してもよい。
【0046】
<較正処理>
続いて、測定装置100の制御部401が、前述した熱交換器10の撮像位置に対応する、1画素当たりの縦横の長さ情報を算出する較正(校正)処理について説明する。
【0047】
[第1の実施形態]
図8は、第1の実施形態に係る較正処理を示すフローチャートである。この処理は、
図5で説明した曲げ寸法の測定処理の前に、測定装置100の制御部401が実行する較正処理の一例を示している。測定装置100を利用する測定者等は、例えば、
図9に示すようなキャリブレーションボード900を、熱交換器10のカメラ101側の端面に沿うように設置して、
図8に示す較正処理を開始させる。なお、キャリブレーションボード900は、既知の大きさのグリッド(マス目)901で構成されており、チェスボードパターン等とも呼ばれる。
【0048】
ステップS801において、測定装置100の制御部401は、カメラ101で、熱交換器10の端面に沿うように設置したキャリブレーションボード900を撮像する。
【0049】
ステップS802において、制御部401は、撮像画像から、各画素の1画素当たりの縦横の長さ情報(撮像画像における各画素の縦方向の長さ情報と横方向の長さ情報)を算出する。例えば、制御部401は、撮像画像からグリッドの間隔の画素数を求め、当該グリッドの間隔の画素数と、キャリブレーションボード900におけるグリッドの間隔の長さとから、1画素当たりの縦横の長さを求めてもよい。
【0050】
或いは、制御部401は、撮像画像におけるグリッドの内の1つの画素が当該グリッドの横方向において占める割合と、キャリブレーションボード900におけるグリッドの横方向の長さとにより、当該画素の横方向の長さを算出してもよい。同様に、制御部401は、撮像画像におけるグリッドの内の1つの画素が当該グリッドの縦方向において占める割合と、キャリブレーションボード900におけるグリッドの縦方向の長さとにより、当該画素の縦方向の長さを算出してもよい。
【0051】
ステップS803において、制御部401は、算出した1画素当たりの縦横の長さ情報を、例えば、ストレージデバイス403等の記憶部に記憶する。ここで記憶した1画素当たりの縦横の長さ情報は、カメラ101で、曲げ加工後の熱交換器10を撮像したときに、撮像した撮像画像600上の各画素の横方向の長さと、縦方向の長さとを示す情報を含む。
【0052】
図8の処理により、測定装置100の制御部401は、熱交換器10の撮像位置に対応する、1画素当たりの縦横の長さ情報を算出し、記憶する。
【0053】
なお、本実施形態では、キャリブレーションボード900で、カメラ101の撮像方向、及び画像歪み等を較正している。従って、カメラ101の光軸が熱交換器10の端面に対して垂直である必要がないため、撮像方向を自由に決定することができる。また、広角レンズを備えたカメラ101を用いて、熱交換器10との間の距離を短く設定することができる。
【0054】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、曲げ寸法の測定対象物(例えば熱交換器10)との位置が複数ある場合の較正処理の例について説明する。
【0055】
図10は、第2の実施形態に係る較正処理の例を示す図である。ここでは、一例として、カメラ101と、熱交換器10との間の距離が、距離A、B、Cの3つのパターンがある場合の例について説明する。
【0056】
ステップAにおいて、カメラ101から距離Aの位置(第1の撮像位置)にある熱交換器10の端面に沿ってキャリブレーションボード(第1のキャリブレーションボード)900を設置した状態で、制御部401は、
図8で説明した較正処理を実行する。これにより、制御部401は、
図5で説明した曲げ寸法の測定処理を実行して、カメラ101から距離Aの位置にある熱交換器10の曲げ寸法を測定できるようになる。
【0057】
ステップBにおいて、カメラ101から距離Bの位置(第2の撮像位置)にある熱交換器10の端面に沿ってキャリブレーションボード(第2のキャリブレーションボード)900を設置した状態で、制御部401は、
図8で説明した較正処理を実行する。これにより、制御部401は、
図5で説明した曲げ寸法の測定処理を実行して、カメラ101から距離Bの位置にある熱交換器10の曲げ寸法を、さらに測定できるようになる。
【0058】
ステップCにおいて、カメラ101から距離Cの位置にある熱交換器10の端面に沿ってキャリブレーションボード900を設置した状態で、制御部401は、
図8で説明した較正処理を実行する。これにより、制御部401は、
図5で説明した曲げ寸法の測定処理を実行して、カメラ101から距離Cの位置にある熱交換器10の曲げ寸法を、さらに測定できるようになる。
【0059】
このように、第2の実施形態によれば、複数の熱交換器10の撮像位置に対して、それぞれ、熱交換器10の曲げ寸法を測定できるようになる。
【0060】
以上、本開示の各実施形態によれば、画像処理で熱交換器の曲げ加工後の曲げ寸法を測定できるようになる。また、本開示の各実施形態によれば、カメラ101の撮像方向、及びカメラ101の撮像距離を自由に決定することができる。
【0061】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0062】
1 測定システム
10 熱交換器
100 測定装置(コンピュータ)
101 カメラ(画像センサ)
401 制御部
600 撮像画像
900 キャリブレーションボード
901 グリッド
L1、L2、L3 曲げ寸法