(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20240215BHJP
A63F 13/792 20140101ALI20240215BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240215BHJP
【FI】
A63F13/69
A63F13/792
A63F13/79
A63F13/69 510
(21)【出願番号】P 2022066796
(22)【出願日】2022-04-14
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 圭史
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217485(JP,A)
【文献】特開2018-124879(JP,A)
【文献】特開2021-094151(JP,A)
【文献】特開2019-075094(JP,A)
【文献】特開2021-029909(JP,A)
【文献】特開2017-176690(JP,A)
【文献】[プリコネ]クリスマスPUガチャ,臼猫のお腹ねこパンチ [online],2020年12月10日,<URL:http://kyuku9999.livedoor.blog/archives/8539491.html>,[2023年10月20日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段と、
前記ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、前記ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定手段と、
前記需要に基づいて、前記イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果を前記ユーザに関連付ける変動手段と、
として機能させ、
前記変動手段は、前記需要が小さいほど前記効果を優遇し、又は、前記需要が大きいほど前記効果を冷遇し、
前記行動情報は、前記ユーザが所定の回数の前記イベントを除くゲームの実行において使用したゲーム媒体の種類の多さに関する情報を含む、ゲームプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段と、
前記ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、前記ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定手段と、
前記需要に基づいて、前記イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果を前記ユーザに関連付ける変動手段と、
として機能させ、
前記変動手段は、前記需要が小さいほど前記効果を優遇し、又は、前記需要が大きいほど前記効果を冷遇し、
ゲーム進行度が異なる複数のユーザの前記履歴に基づいて、前記ゲーム媒体の使用率が高いユーザの前記ゲーム進行度を特定するための使用傾向情報を前記ゲーム媒体に関連付けて記憶する記憶手段としてさらに機能させ、
前記推定手段は、前記ユーザの前記ゲーム進行度及び前記使用傾向情報に基づいてゲーム媒体の取得に関する需要を推定する、ゲームプログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段と、
前記ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、当該行動情報を特定した当該ユーザの需要を推定する推定手段であって、前記需要は、提供が開始されてから所定の期間が経過する前のゲーム媒体である新規ゲーム媒体を取得することに関する、推定手段と、
前記需要に基づいて、前記イベントのうち、前記新規ゲーム媒体を関連付ける新規イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果を前記ユーザに関連付ける変動手段と、
として機能させ、
前記変動手段は、前記需要が小さいほど前記効果を優遇する、又は、前記需要が大きいほど前記効果を冷遇し、
前記行動情報は、前記新規イベントの実行頻度に関する情報を含む
、ゲームプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
対価の支払いに応じて、一以上の特定のゲーム媒体を含む複数のゲーム媒体の少なくとも一部をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段と、
前記ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、前記ユーザが前記特定のゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定手段と、
前記需要に基づいて、前記イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果を前記ユーザに関連付ける変動手段と、
として機能させ、
前記変動手段は、前記需要が小さいほど前記効果を優遇し、又は、前記需要が大きいほど前記効果を冷遇し、
前記行動情報は、前記ユーザに関連付けられた前記特定のゲーム媒体の所有率、または、前記イベントを除くゲームにおける、前記ユーザの前記特定のゲーム媒体の使用率に関する情報を含む、ゲームプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備える、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームのキャラクタを入手するための価格を、キャラクタの人気に基づいて決定する技術が知られている(特許文献1参照)。また、アイテム取得権を所定回数購入するとアイテム取得権の価格を低下させる技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-047272号公報
【文献】特開2016-045661号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術はユーザの需要に応じた適切な効果を付与できない場合があるため、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、ユーザの需要に基づいて所定の効果をユーザに関連付けることにより、ゲームの興趣性を改善できるゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、コンピュータに、対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段と、ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定手段と、需要に基づいて、イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける変動手段と、として機能させ、変動手段は、需要が小さいほど効果を優遇する、又は、需要が大きいほど効果を冷遇する、ゲームプログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、効果は、イベントの実行に応じてゲーム媒体とともにユーザに関連付けられる特典を優遇することを含む。
【0008】
また、第1の側面において、変動手段は、イベントの提供が開始されてから基準期間においては変動を実行させない一方で、基準期間を経過した後に変動を実行させる。
【0009】
また、第1の側面において、推定手段は、初期状態のパラメータが予め関連付けられたゲーム媒体の取得に関する需要を推定する。
【0010】
また、第1の側面において、行動情報は、ユーザが所定の回数のゲームの実行において使用したゲーム媒体の種類の多さに関する情報を含む。
【0011】
また、第1の側面において、コンピュータに、ゲーム進行度が異なる複数のユーザの履歴に基づいて、ゲーム媒体の使用率が高いユーザのゲーム進行度を特定するための使用傾向情報をゲーム媒体に関連付けて記憶する記憶手段としてさらに機能させ、推定手段は、ユーザのゲーム進行度及び使用傾向情報に基づいてゲーム媒体の取得に関する需要を推定する。
【0012】
また、第1の側面において、推定手段は、提供が開始されてから所定の期間が経過する前のゲーム媒体である新規ゲーム媒体の取得に関する需要を推定し、変動手段は、新規ゲーム媒体を関連付ける新規イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける。
【0013】
また、第1の側面において、行動情報は、新規ゲーム媒体の使用頻度に関する情報を含む。
【0014】
また、第1の側面において、行動情報は、新規イベントの実行頻度に関する情報を含む。
【0015】
また、第1の側面において、イベントは、複数のゲーム媒体の中からユーザに関連付けるゲーム媒体を選択するものであり、推定手段は、ユーザが特定のゲーム媒体を取得することに関する需要を推定し、変動手段は、複数のゲーム媒体に特定のゲーム媒体が含まれるイベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる。
【0016】
また、第1の側面において、イベントは、複数のゲーム媒体のそれぞれに対して当選確率が関連付けられた抽選リストに基づいてゲーム媒体を抽選する抽選イベントであり、
特定のゲーム媒体は、抽選リストに含まれるゲーム媒体の中から、ゲーム媒体に関連付けられた希少度、又は、当選確率に基づいて決定する。
【0017】
また、第1の側面において、イベントは、複数のゲーム媒体のそれぞれに対して当選確率が関連付けられた抽選リストに基づいてゲーム媒体を抽選する抽選イベントであり、
変動手段は、抽選リストの少なくとも一部のゲーム媒体に含まれる1又は複数の特定のゲーム媒体の割合に基づいて、効果を決定する。
【0018】
第2の側面は、対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行部と、ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定部と、需要に基づいて、イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける変動部と、を備え、変動部は、需要が小さいほど効果を優遇する、又は、需要が大きいほど効果を冷遇する、ゲーム装置である。
【0019】
第3の側面は、対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行部と、ユーザがゲームを実行した履歴に関する行動情報に基づいて、ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定部と、需要に基づいて、イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける変動部と、を有し、変動部は、需要が小さいほど効果を優遇する、又は、需要が大きいほど効果を冷遇する、ゲームシステムである。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、ユーザの需要に基づいてユーザに所定の効果を関連付けることにより、ゲームの興趣性を改善できるゲームプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態におけるゲームプログラムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態におけるゲームプログラムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】ユーザの需要の推定方法の一例を示す図である。
【
図5】ユーザに関連付ける効果の決定方法の一例を示す図である。
【
図9】ユーザの需要の推定方法の一例を示す図である。
【
図10】ユーザに関連付ける効果の決定方法の一例を示す図である。
【
図11】ユーザの需要の推定方法の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態におけるゲームプログラムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
本開示の実施形態にかかるゲームシステム1について、図面を参照して説明する。
【0023】
<ゲームの説明>
図1に示すゲームシステム1では、サーバ装置10及び複数のゲーム装置20が通信ネットワーク30を介して互いに通信可能に接続され、ユーザはゲーム装置20を用いてゲームを実行する。
【0024】
本実施形態にかかるゲームは、ゲームシステム1にて実行されるオンラインのロールプレイングゲームである。このゲームでは、ゲーム装置20のユーザは、1又は複数のキャラクタ(ゲーム媒体に相当)を仮想ゲーム空間で活動させたり、キャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。
【0025】
このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器であるゲーム装置20、を用いて実行される。以下では、ゲーム装置20がスマートフォンである場合を例示する。
【0026】
<ゲームシステム1の概要>
ゲームシステム1は、サーバ装置10及び複数のゲーム装置20を含む。サーバ装置10は、ゲームプログラム及びゲームデータを記憶しており、ゲーム装置20の下記のアカウント情報毎のゲームデータの管理を行う。
【0027】
ゲーム装置20は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置20は、通信ネットワーク30を介して、サーバ装置10からゲームプログラム及びゲームデータを受信(例えば、ダウンロード及びインストール)する。各ユーザには、ゲーム装置20に対応づけて、識別情報及びパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ログインする際にゲーム装置20からサーバ装置10に送信され、サーバ装置10におけるユーザ認証に利用される。
【0028】
ユーザ認証を経て、サーバ装置10とゲーム装置20とは相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置20は、ゲーム進行に必要なデータ(例えば、ゲーム進行状況に関するデータ)をサーバ装置10から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像及びゲーム音声をディスプレイ208a及びスピーカ208bのそれぞれに出力しながら、ゲームを進行させる。
【0029】
以下、
図1を参照し、サーバ装置10及びゲーム装置20の各ハードウェア構成について説明する。なお、複数のゲーム装置20のそれぞれは、互いに同じ構成を有する。
【0030】
<サーバ装置10の構成>
図1に示すように、サーバ装置10は、制御部102、記憶部104及びネットワークインターフェース部106を有し、バス110を介して互いに電気的に接続されている。
【0031】
ネットワークインターフェース部106は、インターネット及びLAN等の通信ネットワーク30を介して各ゲーム装置20と通信可能な状態で接続されている。
【0032】
記憶部104は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びSSD(Solid State Drive)等から構成される。記憶部104に記憶される情報には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報DB(Database)104a、ゲーム媒体情報DB104b、需要推定情報DB104c、変動特定情報DB104d、抽選情報DB104e等の各種データ等が含まれる。
【0033】
ユーザ情報DB104aには、ゲームをプレイするユーザの識別情報ごとに、ユーザが操作するキャラクタに関する情報(例えば、ステータス等)、ユーザが使用可能なキャラクタに関する情報、推定手段102cにより推定されたユーザのキャラクタを取得することに関する需要(後述)、変動手段102dにより関連付けられた効果(後述)及び仮想ゲーム空間内にて使用可能な仮想通貨の額等が、関連付けて記憶されている。
【0034】
なお、「ユーザに所定の情報を関連付ける」とは、「ユーザ情報DB104aにおいて、ユーザの識別情報に対して所定の情報を関連付けて記憶する」ことと同義である。
【0035】
ここで、仮想通貨は、仮想ゲーム空間内で使用可能な通貨やポイント等であって、ゲームを進めるにあたり仮想ゲーム空間内で消費される媒体である。仮想通貨は、クエストのクリア報酬として、また、現実社会での課金により、ユーザに関連付けられる。
【0036】
なお、クエストとは、ユーザがキャラクタを操作することで特定の目標を達成するゲームモードである。特定の目標とは、例えば、対象となるノンプレイヤキャラクタと対戦し、勝利することである。クエストに成功した場合、ユーザには報酬が関連付けられる。報酬には、上述した仮想通貨の他、仮想ゲーム空間内で使用できるアイテムやキャラクタをレベルアップするための経験値も含まれる。
【0037】
さらに、ユーザ情報DB104aには、ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報が記憶される。行動情報は、行動情報取得手段102bによって各ゲーム装置20から取得される。行動情報の具体例については、
図3を用いて後に説明する。
【0038】
ゲーム媒体情報DB104bには、ゲーム媒体に関する情報が記憶されている。ゲーム媒体に関する情報には、名称、能力パラメータ、レアリティ及びレベル等が含まれる。
【0039】
ここで、ゲーム媒体とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、キャラクタ、キャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(例えば、武器、防具、道具)等が含まれる。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による直接購入やクエストクリアの他、一般にガチャと呼ばれる抽選方法によって入手することができる。入手したゲーム媒体は、そのゲーム媒体を入手したユーザの識別情報に関連付けて、ユーザ情報DB104aに記憶される。以下では、ゲーム媒体はキャラクタである場合を例示する。
【0040】
需要推定情報DB104cには、行動情報に対するキャラクタの取得に関する需要の高さに関する情報が記憶されている。需要推定情報DB104cを用いた推定手段102cによるユーザのキャラクタの取得に関する需要の推定方法については、
図4を用いて後に説明する。
【0041】
変動特定情報DB104dには、需要の大小に対するユーザに関連付ける効果に関する情報が記憶されている。変動特定情報DB104dを用いた変動手段102dによる効果を決定方法については、
図5を用いて後に説明する。
【0042】
抽選情報DB104eは、イベント実行手段102a(後述)がガチャの抽選処理を行う際に用いるものであって、選択対象となるキャラクタに関する情報を複数含む。抽選情報DB104eには、キャラクタに関する情報と、それぞれのキャラクタの抽選による当選確率とが、関連付けられている。
【0043】
なお、ガチャとは、サーバ装置10にて、抽選情報DB104eに基づいて、所定の当選確率に基づいて任意のキャラクタを抽選により選択する方法である。選択された任意のキャラクタは、ユーザに関連付けられる。「ガチャで選択したキャラクタを、ユーザに関連付ける又はユーザが所有する」とは、「抽選処理で選択されたキャラクタを、ユーザを示す識別情報と関連付ける又は関連付けられている」ことと同義である。
【0044】
なお、ガチャを実行する際には、ユーザに関連付けられた仮想通貨を消費する。本実施形態において、「ガチャを実行するための対価」とは「ガチャを実行するために消費する仮想通貨」と同義である。
【0045】
制御部102は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置10の動作を制御する。
【0046】
制御部102は、各種プログラムを実行することにより、イベント実行手段102a、行動情報取得手段102b、推定手段102c、変動手段102d及び通信手段102eとして機能する。以下、各種手段を実行した場合における処理の一例を示す。
【0047】
―イベント実行手段102a―
イベント実行手段102aは、ユーザによる対価の支払いに応じて、キャラクタをユーザに関連付けるイベントを実行する。イベントには、キャラクタの購入や、ガチャが含まれる。本実施形態において、イベントはガチャである場合を例示する。
【0048】
イベント実行手段102aはガチャの実行時に、抽選情報DB104eに含まれるキャラクタの中から、キャラクタごとの当選確率に基づいて1以上のキャラクタを抽選により選択する。イベント実行手段102aは、ガチャを実行したユーザに対して抽選により選択されたキャラクタを関連付ける。
【0049】
イベント実行手段102aは、キャラクタをユーザに関連付ける際に、これに加えて特典を関連付ける。特典とは、例えばおまけアイテムであり、おまけアイテムには、クエストを実行する際に消費するパラメータ(例えば、スタミナ)を回復させるアイテム、アイテムを購入するために仮想ゲーム空間内で使用できる仮想通貨及びキャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(例えば、武器、防具、道具)等が含まれる。
【0050】
―行動情報取得手段102b―
行動情報取得手段102bは、行動情報DB204aに蓄積された情報を自装置10へ送信することをゲーム装置20に対して要求する。自装置10は、通信ネットワーク30を介してゲーム装置20から送信された行動情報を取得し、ユーザ毎に関連付けてユーザ情報DB104aに記憶する。
【0051】
行動情報とは、ユーザ毎の、ゲームを実行した履歴に基づいて特定される各種情報である。具体的には、ユーザが所定の回数のゲームの実行において使用したキャラクタの種類の多さに関する情報、特定のキャラクタの使用頻度に関する情報、ガチャの実行頻度に関する情報、ガチャの実行のために支払った対価の額に関する情報、新規キャラクタの所有率若しくは使用率に関する情報、ゲーム進行度に関する情報等が含まれる。
【0052】
なお、新規キャラクタとは、提供が開始されてから所定の期間が経過する前のキャラクタである。
【0053】
また、ゲーム進行度とは、ユーザによるクエストの実行、アイテムの取得及びゲームの進行等により上昇する段階である。具体的には、クリアしたクエストの割合、ユーザの仮想ゲーム空間内におけるレベル(以下、「ユーザランク」という)、ユーザが所有するキャラクタの強化の度合い、ユーザが編成できるキャラクタの組み合わせによる最大戦力値等によりゲーム進行度(例えば、上位・中位・下位等)がサーバ装置10において判定される。
【0054】
―推定手段102c―
推定手段102cは、行動情報取得手段102bにより取得した行動情報に基づいて、ユーザがキャラクタを取得することに関する需要を推定する。本実施形態において、キャラクタを取得することに関する需要は、特定のキャラクタに限定しない、任意の新たなキャラクタを取得することに関する需要である。
【0055】
需要の推定に用いられる行動情報には、キャラクタを新たに取得するための行動(例えば、ガチャの実施やキャラクタの購入)に関する情報やゲーム進行度に関する情報が含まれる。
【0056】
キャラクタを取得することに関する需要は、多くの場合、ゲームに対するモチベーションに比例する。例えば、キャラクタを取得することに関する需要が小さいと推定されたユーザは、ガチャの実行頻度やクエストの実行回数等が低下しており、ゲームに対するモチベーションが低下している傾向にある場合が多い。一方で、キャラクタを取得することに関する需要が大きいと推定されたユーザは、ゲームに対するモチベーションが高い傾向にある場合が多い。
【0057】
本実施形態においては、「需要」とはキャラクタを取得することに関する需要」と同義であり、「需要が小さい又は大きい」とは「キャラクタを取得することに関する需要が小さい又は大きいと推定される」ことと同義である。
【0058】
―変動手段102d―
変動手段102dは、推定手段102cにより推定した需要に基づいて、ガチャの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける。本実施形態においては、変動手段102dは、需要が小さいほど効果を優遇し、需要が大きいほど効果を冷遇する。
【0059】
すなわち、変動手段102dは、需要を相殺する効果をユーザに関連付ける。具体的には、需要が小さいユーザに対しては需要を増加させる効果を関連付け、需要が大きいユーザに対しては需要を抑制する効果を関連付ける。
【0060】
例えば、需要が小さいユーザに対してはガチャの対価の割引やガチャ実行時のおまけアイテム付与数増加等の、ガチャを実行することに関する需要を増加させる効果をユーザに関連付ける。一方で、例えば、需要が大きいユーザに対してはガチャの対価の割増やガチャ実行時のおまけアイテム付与数減少等の、ガチャを実行することに関する需要を抑制させる効果をユーザに関連付ける。
【0061】
変動手段102dが関連付ける効果により、ユーザのゲームからの離脱を防止することができる。具体的には、需要が小さい(すなわち、ゲームに対するモチベーションが低い)ユーザに対して需要を増加させる効果を関連付けることで、ゲームに対するモチベーションを上昇させることができる。これにより、ユーザに継続的にゲームを実行させることができる。
【0062】
―通信手段102e―
通信手段102eは、自装置10と各ゲーム装置20との間で各種データを送受信する。通信手段102eが受信する主なデータとしては、ユーザの行動情報、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求情報、クエスト実行要求情報、アカウント情報等が挙げられる。通信手段102eが送信する主なデータとしては、行動情報の送信要求情報、関連付けた効果に関する情報、各種データを自装置10が受信したことを確認するための情報及びガチャにて得られたキャラクタに関する情報等が挙げられる。
【0063】
<ゲーム装置20の構成>
ゲーム装置20は、制御部202、記憶部204、ネットワークインターフェース部206、ユーザインターフェース部208を有し、それぞれは互いにバス210を介して電気的に接続されている。
【0064】
記憶部204は、物理的にはHDD、RAM、ROM及びSSD等から構成される。記憶部204には、ゲームに関する情報のうち、ダウンロードしたゲームデータを含むゲーム装置側に記憶される情報や、自装置20の識別情報及び自装置20のアカウント情報等が記憶される。
【0065】
記憶部204は、行動情報DB204aをさらに有する。行動情報DB204aには、ユーザがゲームを実行することにより蓄積される各種行動情報が記憶される。なお、記憶された行動情報は行動情報取得手段102bによりサーバ装置10に送信される。
【0066】
ユーザインターフェース部208には、ディスプレイ208a、スピーカ208b及び入力装置208cが外部接続又は内蔵される。外部接続には、有線のケーブルによる接続のほか、無線通信による接続も含まれる。
【0067】
ディスプレイ208aは、映像を出力できる機器又は部品である。ディスプレイ208aには、例えば、液晶ディスプレイ、3次元映像を映写可能なディスプレイ、画像を他の物体に対して映写できる機器(例えば、プロジェクター)等が含まれる。
【0068】
入力装置208cは、信号を入力できる機器又は部品である。入力装置208cには、例えば、タッチパネル、ボタン、アナログスティック、タッチパッド及び振動センサ等が含まれる。
【0069】
ネットワークインターフェース部206は、ゲーム装置20とサーバ装置10との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク30に通信可能な状態で接続されている。
【0070】
制御部202は、各種プログラムを実行することにより、ゲーム実行手段202a、表示制御手段202b、音声制御手段202c及び通信手段202dとして機能する。制御部202は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置20の動作を制御する。以下、各種手段を実行した場合における処理の一例を示す。
【0071】
―ゲーム実行手段202a―
ゲーム実行手段202aは、入力装置208cに入力された操作に基づいてゲームを実行する。具体的には、自装置20のユーザによる入力装置208cの操作に基づいて、仮想ゲーム空間情報及びテクスチャ等のゲームデータを記憶部204から読み出すか又はサーバ装置10から受信し、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲーム画像情報及びゲーム音声情報を生成する。なお、ゲーム画像情報及びゲーム音声情報は、それぞれ表示制御手段202b及び音声制御手段202cによって処理されることにより、ユーザインターフェース部208を介してゲーム画像及びゲーム音声が出力される。
【0072】
ゲーム実行手段202aは、ゲーム画像上に、自装置20のユーザの操作に基づいてキャラクタを配置し、そのユーザの操作及びゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。例えば、ゲーム実行手段202aは、ユーザの入力装置208cを介した操作に応じて、ゲームにおいてクエストを実行する。
【0073】
―表示制御手段202b―
表示制御手段202bは、ゲーム実行手段202aにより出力されるゲーム画像情報に基づいて、キャラクタ及び仮想ゲーム空間に関する各種情報を含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ユーザインターフェース部208を介してゲーム画像としてディスプレイ208aに表示される。
【0074】
―音声制御手段202c―
音声制御手段202cは、ゲーム実行手段202aにより出力されるゲーム音声情報に基づいて、ゲーム音声を再生及び合成する。合成された音声は、ユーザインターフェース部208を介してゲーム音声としてスピーカ208bで再生される。
【0075】
―通信手段202d―
通信手段202dは、ネットワークインターフェース部206を介してサーバ装置10との通信を行う。
【0076】
通信手段202dは、アップロード要求情報に応じて、自装置20において生成又は処理した信号をサーバ装置10に対して送信する。例えば、通信手段202dは、アカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、ガチャ実行要求、クエスト実行要求等を、サーバ装置10に送信する。また、通信手段202dは、ダウンロード要求情報に応じて、サーバ装置10から送られてきた新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたキャラクタに関する情報等を受信する。
【0077】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
ゲームシステム1の動作の流れについて、
図2~
図5を参照して説明する。
図2は、サーバ装置10とゲーム装置20が通信ネットワーク30を介して通信する際のフローチャートを示す。
図3は需要の推定に用いるユーザの行動情報の一例を示す。
図4は行動情報に基づいて需要を推定する方法の一例を示す。
図5は推定されて需要に基づいてユーザに関連付ける効果を決定する方法の一例を示す。なお、以下において、サーバ装置10及びゲーム装置20の間の通信は、通信手段102e及び通信手段202dにより行われる。
【0078】
ゲーム装置20は、ゲーム実行手段202aにより、ユーザの操作に基づいてゲームを実行する(S100)。ゲームの実行には、例えば、クエストの実行やガチャの実行等の行動情報を蓄積させる行動が含まれる。行動情報は、自装置20の行動情報DB204aに記憶される。
【0079】
次に、サーバ装置10は、行動情報取得手段102bにより、任意のタイミングでゲーム装置20に対して行動情報の送信を要求する信号を送信する(S102)。要求の信号を受け取ったゲーム装置20は、行動情報DB204aに記憶された行動情報をサーバ装置10に対して送信する(S104)。行動情報を受信したサーバ装置10は、受信した行動情報を、ゲーム装置20のユーザに関連付けてユーザ情報DB104aに記憶する。
【0080】
ユーザ情報DB104aに記憶される行動情報の一例を、
図3を用いて説明する。行動情報テーブル300及び行動情報テーブル302は、それぞれユーザA及びユーザBに関連付けられた行動情報を表すテーブルである。
【0081】
行動情報テーブル300によると、ユーザAは、ユーザランクが「ランク5」、ガチャ実行に支払った対価が「3000コイン」及び使用キャラクタ種類数が「2種類」である。
【0082】
行動情報テーブル302によると、ユーザBは、ユーザランクが「ランク10」、ガチャ実行に支払った対価が「6000コイン」及び使用キャラクタ種類数が「5種類」である。
【0083】
なお、使用キャラクタ種類数とは、所定の回数のクエストにおいて、ユーザが使用したキャラクタの種類である。例えば、ユーザAが10回のクエストのうち、キャラクタαで3回、キャラクタβで7回実行した場合、ユーザAの使用キャラクタ種類数は2種類(すなわち、キャラクタα,β)である。
【0084】
一度のクエストにおいて複数のキャラクタを使用できる場合であっても、同様である。例えば、一度のクエストにおいて2体のキャラクタを使用できる場合であって、ユーザBが3回のクエストのうち、キャラクタαとキャラクタβで1回、キャラクタγとキャラクタδで1回、キャラクタγとキャラクタεで1回のクエストを実行した場合には、ユーザBの使用キャラクタ種類数は5種類(すなわち、キャラクタα,β,γ,δ,ε)である。
【0085】
次に、サーバ装置10は、推定手段102cにより、ユーザの行動情報及び需要推定情報DB104cに記憶された情報に基づいて、ゲーム装置20のユーザのキャラクタの取得に関する需要を推定する(S106)。サーバ装置10は、推定した需要に関する情報を、ゲーム装置20のユーザの識別情報に関連付けてユーザ情報DB104aに記憶する。
【0086】
推定手段102cの動作の一例を、
図4を用いて説明する。
図4(A)~
図4(C)は、それぞれユーザランク、ガチャ実行に支払った対価及び使用キャラクタ種類数と需要ポイントの関係を表すグラフである。
【0087】
ここで、需要ポイントとは、推定した需要の大きさを数値化した値である。キャラクタを取得することに関する需要が大きい場合には需要ポイントは高く、キャラクタを取得することに関する需要が小さい場合には需要ポイントは低く算出される。すなわち、
図4(A)~(C)に相当するグラフは、典型的には横軸の値が大きくなるほど需要ポイントも大きくなるグラフである。
【0088】
本実施形態においては、ユーザAはユーザランクが「ランク5」、ガチャ実行に支払った対価が「3000コイン」及び使用キャラクタ種類数が「2種類」であるため、それぞれ「10ポイント」、「5ポイント」及び「10ポイント」の需要ポイントに換算される。すなわち、ユーザAは合計で「25ポイント」の需要ポイントを有する。
【0089】
他にも、例えば、ユーザBはユーザランクが「ランク10」、ガチャ実行に支払った対価が「6000コイン」及び使用キャラクタ種類数が「5種類」であるため、それぞれ「15ポイント」、「20ポイント」及び「15ポイント」の需要ポイントに換算される。すなわち、ユーザBは合計で「50ポイント」の需要ポイントを有する。
【0090】
なお、需要ポイントを有するとは、ユーザ情報DB104aにおいて、各ユーザに需要ポイントに関する情報が関連付けられていることを意味する。
【0091】
次に、サーバ装置10は、変動手段102dにより、推定した需要及び変動特定情報DB104dに記憶された情報に基づいて、ゲーム装置20のユーザに関連付ける効果を特定する(S108)。
【0092】
サーバ装置10は、変動手段102dにより、特定した効果をゲーム装置20のユーザに対して関連付ける(S110)。効果を関連付けることとは、具体的には、ユーザ情報DB104aにおいてユーザの識別情報に対して効果に関する情報を関連付けることである。また、効果を関連付けることには、ユーザに対して既に関連付けられている効果を変動させること及び効果が関連付けられた旨を示す情報をゲーム装置20に対して送信することを含む。
【0093】
また、効果を優遇することには、需要を高める効果を新たに関連付けることに加え、既に関連付けられている効果を優遇の度合いがさらに高いものに変動させることが含まれ、効果を冷遇することには、需要を抑制する効果を新たに関連付けることに加え、既に関連付けられている効果を優遇の度合いを低下させることが含まれる。
【0094】
変動手段102dの動作の一例を、
図5を用いて説明する。
図5(A)~
図5(C)は、それぞれ需要ポイントに対する最高レアリティのキャラクタの当選確率上昇値、ガチャの実行に要する対価の割引率及びガチャ実行時のおまけアイテム付与数変動の関係を表すグラフである。
【0095】
ここで、レアリティとは各キャラクタに設定された希少度のことであり、高いレアリティを有するキャラクタはガチャによる当選確率が低く設定されている。最高レアリティとは、複数のレアリティのうち、最も高いレアリティのことである。
【0096】
変動手段102dによれば、上記の効果の他にも様々な需要を高める効果が関連付けられ得る。例えば、関連付けられるおまけアイテムを通常より上質なものに変更する効果や、ガチャを実行するために消費する仮想通貨の種類を変更する効果等である。
【0097】
本実施形態においては、ユーザAは「25ポイント」の需要ポイントを有するため、最高レアリティキャラクタ当選確率が「4%」上昇し、ガチャの実行に要する対価が「20%割引」され、ガチャ実行時のおまけアイテム付与数が「2個」追加される効果がユーザAに関連付けられる。
【0098】
他にも、例えば、ユーザBは「50ポイント」の需要ポイントを有するため、最高レアリティキャラクタ当選確率が「2%」上昇し、ガチャ実行時のおまけアイテム付与数が「1個」追加される効果がユーザBに関連付けられる。
【0099】
ユーザAはユーザBと比較して、需要ポイントが小さく、ゲームに対するモチベーションが低いといえる。この点、関連付けられた効果はユーザBと比較してユーザAが優遇されており、ゲームに対するモチベーションを大きく向上させることができる。これにより、ユーザAがゲームから離脱してしまうことを防ぐことができる。
【0100】
一方、ユーザBは需要ポイントが大きく、ゲームに対するモチベーションが高いため、関連付けられる効果の優遇の度合いがユーザAと比較して低かったとしても、ゲームから離脱する可能性は低い。
【0101】
次に、ゲーム装置20は、効果が関連付けられた旨を示す情報をサーバ装置10から受信し、当該効果に関する情報をユーザインターフェース部208を介してユーザに提示する(S112)。
【0102】
ユーザに対する効果に関する情報の提示の一例を、
図6を用いて説明する。
図6は、ゲーム装置20のディスプレイ600に表示される本実施形態に係るゲームの画面の一例を示す。
【0103】
ディスプレイ900には、ガチャ画像表示領域604、ガチャタイトル表示領域602、提供割合確認ボタン606、効果確認ボタン608、表示ガチャ変更ボタン領域610及びガチャ実行ボタン領域612が含まれる。
【0104】
ガチャ画像表示領域604には、ガチャ画像604a~604cが含まれる。それぞれのガチャ画像には、他のガチャと比較して当該ガチャにおいて当選確率が高く設定されたキャラクタ(以下では、「ピックアップキャラクタ」という)の画像や、ガチャに関する説明文(「ピックアップキャラクタ当選確率UP!」)が含まれる。
【0105】
変動手段102dによりユーザに効果が関連付けられている場合、ガチャ画像604a~604cには当該効果に関する説明が表示される。例えば、ユーザにガチャ実行時のおまけが追加される効果が関連付けられている場合には、ガチャ画像604bは「+ユーザ限定でおまけ追加!」と表示される。効果に関する説明は、効果が関連付けられていないユーザには表示されない。
【0106】
ガチャ実行ボタン領域612には、ガチャ実行ボタン612a~612cが含まれる。ガチャ実行ボタン612aは、1日1回のみ有償仮想通貨30コインを消費してキャラクタ1体を抽選により取得できるガチャ(以下では、「回数制限ガチャ」という)を実行するボタンである。ガチャ実行ボタン612bは、有償仮想通貨100コインを消費してキャラクタ1体を抽選により取得できるガチャ(以下では、「シングルガチャ」という)を実行するボタンである。ガチャ実行ボタン612cは、有償仮想通貨1000コインを消費してキャラクタ10体を抽選により取得できるガチャ(以下では、「10連ガチャ」という)を実行するボタンである。
【0107】
なお、有償仮想通貨とは、課金により取得される仮想ゲーム空間内で使用できる仮想通貨である。また、無償仮想通貨とは、課金によらず、例えばクエストの実行や継続的なログインの報酬として取得される仮想ゲーム空間内で使用できる仮想通貨である。
【0108】
変動手段102dによりユーザに効果が関連付けられている場合、ガチャ実行ボタン612a~612cに当該効果に関する説明が表示される。例えば、通常であれば1日1回のみ実行できる回数制限ガチャを追加で1回実行できる効果がユーザに関連付けられている場合、ガチャ実行ボタン612aには「限定!」のポップアップが表示されるとともに、「1日1回→2回」と表示される。
【0109】
他にも、例えば、通常であれば有償仮想通貨を消費しなければ実行できないシングルガチャを、無償仮想通貨を代替的に消費することにより実行できる効果がユーザに関連付けられている場合、ガチャ実行ボタン612bには「限定!」のポップアップが表示されるとともに、「有償100→無償100」と表示される。
【0110】
他にも、例えば、10連ガチャの実行に要する対価を20%割引する効果がユーザに関連付けられている場合、ガチャ実行ボタン612cには「限定!」のポップアップが表示されるとともに、「有償1000→有償800」と表示される。
【0111】
図7は、あるユーザに関連付けられている効果を一覧で表示する画面である。
図7の画面には、
図6における効果確認ボタン608を選択することにより遷移できる。
図7では、一例として、「ピックアップキャラクタ当選確率UP」、「★5キャラクタ(最高レアリティのキャラクタに相当)当選確率UP」、「おまけアイテムランクアップ」、「おまけアイテム追加付与」、「10連ガチャ 50%割引」、「10連ガチャ 無償仮想通貨で実行可能」及び「回数制限ガチャ 回数+1」の効果が関連付けられていることが確認できる。
【0112】
キャラクタを取得することに関する需要はユーザ毎に各々推定されるため、一般的には、当該需要に応じて関連付けられる効果もユーザ毎に異なる。そのため、
図7の画面において表示される効果もユーザ毎に異なる。
【0113】
次に、ゲーム装置20は、ガチャを実行する際の対価の支払いに関する操作をユーザから受け付ける(S114)。対価の支払いに関する操作とは、例えばガチャ実行ボタン612cを選択し、ガチャ実行に要する仮想通貨を消費することである。ユーザに関連付けられた効果が対価を割引するものである場合には、この処理において消費される仮想通貨の量は割引後の量である。
【0114】
ゲーム装置20は、当該操作に基づいて、サーバ装置10に対してガチャの実行を要求する信号を送信する(S116)。ユーザに関連付けられた効果がキャラクタの当選確率を変動させるものである場合には、このガチャにおける当選確率は効果が適用された後の確率である。
【0115】
ガチャの実行を要求する信号を受信したサーバ装置10は、イベント実行手段102aにより、ガチャを実行してキャラクタ及びおまけアイテムをゲーム装置20のユーザに関連付ける(S120)。ユーザに関連付けられた効果がガチャ実行時のおまけアイテム数を増加するものである場合には、おまけアイテムが追加で関連付けられる。
【0116】
以上をまとめると、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、対価の支払いに応じて、ゲーム媒体をユーザに関連付けるイベントを実行するイベント実行手段102aと、ユーザがゲームを実行した履歴に基づいて特定される行動情報に基づいて、ユーザがゲーム媒体を取得することに関する需要を推定する推定手段102cと、需要に基づいて、イベントの対価及び実行結果の少なくとも一方を変動させる効果をユーザに関連付ける変動手段102dと、として機能させ、変動手段102dは、需要が小さいほど効果を優遇する、又は、需要が大きいほど効果を冷遇するものである。
【0117】
<効果>
本実施形態に係るゲームプログラムによれば、ユーザの行動情報に基づいて需要を推定し、推定された需要に基づいてガチャの対価及び実行結果を変動させる効果をユーザに関連付け、ユーザのゲームに対するモチベーションを維持することができる。
【0118】
特に、需要が小さいユーザに対して効果を優遇するだけでなく、需要が大きいユーザに対しては効果を冷遇することにより、ユーザのゲームに対するモチベーションを長期に亘って維持することができる。例えば、短期的に需要が過剰に大きいユーザは、大きな需要を長期に亘って維持することは難しく、モチベーションが「燃え尽き」てしまうことにより、ゲームから早期に離脱してしまうことが考えられる。本実施形態においては、ユーザの大きすぎる需要を適正化させることにより、ユーザのゲームに対するモチベーションを長期に亘って維持することができる。
【0119】
[第2実施形態]
第1実施形態では、任意の新たなキャラクタを取得することに対する需要を推定する例を説明した。しかし、キャラクタ全体のうち、一部のキャラクタの取得に関する需要を推定し、当該一部のキャラクタの取得に関する需要を相殺する効果を関連付けてもよい。
【0120】
具体的には、新規キャラクタ又は特定のキャラクタであるキャラクタαの取得に対する需要を推定し、新規キャラクタ又はキャラクタαの取得に関する効果を関連付けてもよい。この場合における推定手段102c及び変動手段102dの動作の一例(
図2におけるS106及びS108に相当)を、
図8~
図10を用いて説明する
【0121】
図8の行動情報テーブル800及び行動情報テーブル802は、それぞれがユーザAの新規キャラクタの取得に関する行動情報及び特定のキャラクタであるキャラクタαの取得に対する行動情報を表すテーブルである。また、行動情報テーブル804及び行動情報テーブル806は、それぞれがユーザBの新規キャラクタの取得に関する行動情報及びキャラクタαの取得に対する行動情報を表すテーブルである。
【0122】
行動情報テーブル800によると、ユーザAは新規ガチャ実行頻度が「5回/月」であり、新規キャラクタ所有率が「70%」である。ここで、新規ガチャとは、新規キャラクタが所定の確率で当選するガチャである。
【0123】
また、新規キャラクタ所有率とは、提供されている新規キャラクタ数に対する、ユーザが所有する新規キャラクタ数の割合である。例えば、提供されている新規キャラクタが「キャラクタα、キャラクタβ、キャラクタγ、キャラクタδ」の4種類である場合、キャラクタαのみ所有しているユーザの新規キャラクタ所有率は25%である。
【0124】
また、行動情報テーブル802によると、ユーザAは特定ガチャ実行頻度が「1回/月」であり、キャラクタα使用頻度が「2回/週」である。ここで、特定ガチャとは、キャラクタαが所定の確率で当選するガチャである。ここで、実行頻度及び使用頻度は、それぞれ実行回数及び使用回数を含む。
【0125】
同様に、行動情報テーブル804及び行動情報テーブル806によると、ユーザBは新規ガチャ実行頻度が「1回/月」であり、新規キャラクタ所有率が「10%」であり、特定ガチャ実行頻度が「5回/月」であり、キャラクタα使用頻度が「20回/週」である。
【0126】
行動情報には、ユーザの使用するデッキに占める新規キャラクタの割合に関する情報が含まれてもよい。なお、デッキとは、クエストを実行する際に用いるキャラクタの組み合わせである。例えば、ユーザのデッキが「キャラクタα、キャラクタβ、キャラクタγ、キャラクタδ」であり、このうち「キャラクタγ、キャラクタδ」が新規キャラクタである場合、ユーザの使用するデッキに占める新規キャラクタの割合は「50%」である。
【0127】
また、行動情報には、ユーザの所有するキャラクタに占める新規キャラクタの割合に関する情報が含まれていてもよい。
【0128】
次に、
図9を用いてユーザA及びユーザBの新規キャラクタ及びキャラクタαの取得に関する需要の推定方法の一例を説明する。
【0129】
図9(A)及び
図9(B)はそれぞれ新規ガチャ実行頻度及び新規キャラクタ所有率と需要ポイントとの関係を表すグラフであり、新規キャラクタの取得に関する需要を推定する際に用いる。
【0130】
図9(A)及び
図9(B)によると、新規ガチャ実行頻度「5回/月」に対しては「10ポイント」が、新規キャラクタ所有率「70%」に対しては「12ポイント」が対応するため、ユーザAの新規キャラクタの取得に関する需要の需要ポイントは「22ポイント」と換算することができる。
【0131】
同様に、新規ガチャ実行頻度「1回/月」に対しては「2ポイント」が、新規キャラクタ所有率「10%」に対しては「1ポイント」が対応するため、ユーザBの新規キャラクタの取得に関する需要の需要ポイントは「3ポイント」と換算することができる。
【0132】
図9(C)及び
図9(D)は、それぞれ特定ガチャ実行回数及びキャラクタα使用頻度と需要ポイントの関係を表すグラフであり、キャラクタαの取得に関する需要を推定する際に用いる。
【0133】
図9(C)及び
図9(D)によると、特定ガチャ実行回数「1回」に対しては「2ポイント」が、キャラクタα使用頻度「2回/週」に対しては「4ポイント」が対応するため、ユーザAのキャラクタαの取得に関する需要の需要ポイントは「6ポイント」と換算することができる。
【0134】
同様に、特定ガチャ実行回数「5回」に対しては「10ポイント」が、キャラクタα使用頻度「20回/週」に対しては「10ポイント」が対応するため、ユーザBのキャラクタαの取得に関する需要の需要ポイントは「20ポイント」と換算することができる。
【0135】
次に、
図10を用いてユーザA及びユーザBに関連付ける新規ガチャ及び特定ガチャの対価又は実行結果を優遇する効果の特定方法の一例を説明する。
【0136】
図10(A)及び
図10(B)は、それぞれ新規キャラクタの取得に関する需要ポイントに対する、新規ガチャ実行時の新規キャラクタ当選確率上昇値及び新規ガチャ実行に要する対価の変動の関係を表すグラフである。
【0137】
図10(A)及び
図10(B)によると、新規キャラクタの取得に関する需要の需要ポイントを「22ポイント」有するユーザAには、新規ガチャ実行に要する対価が「8%割増」される効果が関連付けられる。このように、関連付けられる効果はガチャの対価及び実行結果を優遇するものに限られず、需要ポイントによっては冷遇するものも含まれる。
【0138】
一方、新規キャラクタの取得に関する需要の需要ポイントを「3ポイント」有するユーザBには新規ガチャ実行時の新規キャラクタ当選確率が「5%」上昇し、新規ガチャ実行に要する対価が「30%割引」される効果が関連付けられる。
【0139】
図10(C)及び
図10(D)は、それぞれキャラクタαの取得に関する需要ポイントに対する、特定ガチャ実行時のおまけアイテム付与数変動及び特定ガチャ実行に要する対価の割引率の関係を表すグラフである。
【0140】
図10(C)及び
図10(D)によると、キャラクタαの取得に関する需要の需要ポイントを「6ポイント」有するユーザAには、特定ガチャ実行時のおまけアイテム付与数が「1個」増加し、特定ガチャの実行に要する対価が「10%」割引される効果が関連付けられる。
【0141】
一方、キャラクタαの取得に関する需要の需要ポイントを「20ポイント」有するユーザBには、特定ガチャ実行時のおまけアイテム付与数が「1個」減少する効果が関連付けられる。
【0142】
また、ユーザの特定のキャラクタの取得に関する需要を推定する場合、ゲーム進行度及び各キャラクタに関連付けられた使用傾向情報に基づいて推定してもよい。この推定方法について、
図11を用いて説明する。
【0143】
使用傾向情報テーブル1100及び使用傾向情報テーブル1102は、それぞれがキャラクタα及びキャラクタβに関連付けられた使用傾向情報の一例である。各使用傾向情報テーブルには、ゲーム進行度毎に、それぞれのゲーム進行度に属するユーザの間での当該キャラクタの使用傾向が関連付けられている。例えば、ゲーム進行度が「上位」であるユーザの多くが頻繁にキャラクタαを使用する場合、キャラクタαに関連付けられた使用傾向情報テーブルにおいて、「上位」のゲーム進行度には「高」の使用傾向が関連付けられる。
【0144】
使用傾向対応テーブル1104は、使用傾向と需要ポイントを対応付けている。使用傾向対応テーブルでは、典型的には、使用傾向が高いほど高い需要ポイントが対応する。
【0145】
以下では、使用傾向情報テーブル及び使用傾向対応テーブルを用いた具体的な需要の推定方法について説明する。
【0146】
ユーザAは、ゲーム進行度が中位である。使用傾向情報テーブル1100によると、ゲーム進行度が中位のユーザの間ではキャラクタαの使用傾向は「中」であり、使用傾向対応テーブル1104によると「中」の使用傾向は「10ポイント」の需要ポイントに対応するため、ユーザAのキャラクタαを取得することに関する需要ポイントは「10ポイント」と推定することができる。
【0147】
同様に、使用傾向情報テーブル1102によると、ゲーム進行度が中位のユーザの間ではキャラクタβの使用傾向は「高」であり、使用傾向対応テーブル1104によると「高」の使用傾向は「20ポイント」の需要ポイントに対応するため、ユーザAのキャラクタβを取得することに関する需要ポイントは「20ポイント」と推定することができる。
【0148】
一方、ユーザBはゲーム進行度が上位である。使用傾向情報テーブル1100によると、ゲーム進行度が上位のユーザの間ではキャラクタαの使用傾向は「高」であり、使用傾向対応テーブル1104によると「高」の使用傾向は「20ポイント」の需要ポイントに対応するため、ユーザBのキャラクタαを取得することに関する需要ポイントは「20ポイント」と推定することができる。
【0149】
同様に、使用傾向情報テーブル1102によると、ゲーム進行度が上位のユーザの間ではキャラクタβの使用傾向は「低」であり、使用傾向対応テーブル1104によると「低」の使用傾向は「5ポイント」の需要ポイントに対応するため、ユーザBのキャラクタβを取得することに関する需要ポイントは「5ポイント」と推定することができる。
【0150】
本実施形態によれば、一部のキャラクタの取得に関する需要を推定し、当該一部のキャラクタの取得に関する需要を相殺する効果を関連付けることができる。これにより、需要の推定対象及び関連付ける効果の自由度が増加し、より効果的にゲームの興趣性を高めることができる。
【0151】
また、本実施形態によれば、新規キャラクタだけではなく、過去に取得可能であったキャラクタを再度取得可能とするための、いわゆる「復刻ガチャ」に対する、ユーザの需要に対して適切に応えることができる。また、復刻ガチャにおいて、当該ユーザに対して需要が高いと見込まれるキャラクタが設定された、ユーザ毎の需要に応じた復刻ガチャを実現することも可能となる。例えば、ユーザAに対しては需要が高いキャラクタβが当選キャラクタとして設定された、又は、当選確率が高い復刻ガチャを提供する一方、ユーザBに対しては需要が高いキャラクタαが当選キャラクタとして設定された、又は、当選確率が高い復刻ガチャを提供することができる。
【0152】
[第3実施形態]
上記実施形態においては、
図2で説明したフローチャートのステップのうち、一部を繰り返し実行してもよい。また、推定された需要に関わらず効果が変動しない期間(以下では、「基準期間」という)があってもよい。
図12を用いて、これらの具体例を説明する。
【0153】
図12は、
図2のS100~S110を繰り返し実行した場合における、横軸を時間、縦軸をあるユーザに関して推定された需要の大きさ(点線で図示)及び関連付けられている効果の優遇度合い(実線で図示)を示す。すなわち、ユーザがゲームを実行することにより行動情報が蓄積され(S100~S104)、これに基づいて需要が推定され(S106)、さらに効果が関連付けられる(S108、S110)処理が繰り返し実行されたときの時間の経過による需要と効果の変動の様子を表す。
【0154】
なお、S110おいて、効果は関連付けられるのみではなく、ユーザに既に関連付けられている効果を失効又は剥奪する処理を行ってもよい。また、効果を関連付けることには、ユーザに対して既に関連付けられている効果を変動させることを含む。
【0155】
これらの処理を繰り返し実行することにより、ユーザ毎に関連付けている効果を動的に変動させることができ、ユーザのゲームからの離脱をより効率的に防止することができる。
【0156】
例えば、期間1202においては、ユーザの需要は比較的高いため、ゲームに対するモチベーションが高く、効果の優遇度合いは比較的が低いものであってユーザがゲームから離脱する可能性は低い。一方、期間1204においては、ユーザの需要が徐々に低下しており、ユーザのゲームからの離脱が懸念される。そのため、需要の低下に伴い、効果の優遇度合いの高いものに変動させることにより、期間1206では再度需要を増大させている。
【0157】
また、期間1200は基準期間であり、変動手段102dは、需要の大きさに関わらず、当該期間中は関連付けられる効果を変動させない。また、基準期間中は効果が関連付けられなくてもよい。基準期間を設けることにより、ユーザに対して公平にサービスを提供することができる。また、基準期間において、ユーザは適正価格を認識することができ、その後の期間に効果による変動を認識できる。変動手段102dは、基準期間経過後には需要に応じて効果を変動させる。
【0158】
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段及び処理手順は一例であり、本発明、その適用物、又はその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段及び処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0159】
上記実施形態では、ゲーム装置20がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置20は、ゲームセンター等に提供されるアミューズメント機器であってもよい。
【0160】
上記実施形態では、ゲームがロールプレイングゲームである場合を例示したが、これに限定されない。ゲームは、シューティングゲーム、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0161】
例えば、ゲームがカードゲームである場合、プレイヤキャラクタが描写された当該プレイヤキャラクタに対応するカードゲーム媒体が、仮想空間上のデッキに設定され、そのカードゲーム媒体に対応するプレイヤキャラクタが敵キャラクタと対戦する。
【0162】
上記実施形態では、サーバ装置10及び複数のゲーム装置20が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段、すなわち、イベント実行手段102a、行動情報取得手段102b、推定手段102c、変動手段102d等が、サーバ装置単体、ゲーム装置20単体、サーバ装置及びゲーム装置20とは別の通信端末単体、これらのうち組み合わせられる2つの装置、に備えられていてもよい。また、サーバ装置、ゲーム装置、通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかも、適宜変更が可能である。
【0163】
また、上記実施形態ではイベントをガチャ、ゲーム媒体をキャラクタとして説明したが、これに限る趣旨ではない。例えば、イベントは仮想ゲーム空間内のショップにおける抽選をしない購入であってもよく、ゲーム媒体はキャラクタに装備するアイテム等であってもよい。
【0164】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0165】
<需要の推定方法の変形例>
上記実施形態においては、需要の推定に用いる行動情報はテーブルの形式により表現される例を用いて説明したが、行動情報はテーブル以外のデータ構造により表現されていてもよい。例えば、木構造、JSON(JavaScript Object Notation)形式、YAML形式(YAML Ain’t Markup Language)及びXML(Extensible Markup Language)形式等により表されてもよい。
【0166】
上記実施形態においては、行動情報に対して需要ポイントは1対1で対応する方法を説明したが、これに限られない。例えば、複数の行動情報に基づいて一つの需要ポイントを算出してもよい。なお、上記実施形態においては需要ポイントを定義したが、需要の大小を表すための他の指標を用いてもよい。
【0167】
また、需要の大きさは他のユーザに対して相対的に決定されるものであってもよい。例えば、ユーザランクが上位10%のユーザは需要が大きく、ユーザランクが上位10%~50%のユーザは中程度であり、ユーザランクが下位50%のユーザは需要が小さいと判断してもよい。
【0168】
また、行動情報に対する需要の大きさの算出方法は、動的に変動してもよい。例えば、
図4(A)~(C)のグラフは時間の経過により変動するものであってもよい。
【0169】
また、需要の大きさは機械学習的なプロセスにより推定してもよい。例えば、所定の行動情報が関連付けられているユーザが実際に行ったキャラクタを取得するための行動の頻度に関する情報を教師データとして生成した、行動情報に基づいて需要を推定することができる統計モデルを使用してもよい。
【0170】
また、新規キャラクタ所有率等を算出する際には、少なくともユーザに関連付けられた時点においては提供が開始されてから所定の期間が経過する前であったキャラクタを新規キャラクタとして算入してもよい。例えば、ある時点においてユーザが所有する4種類のキャラクタ「キャラクタα、キャラクタβ、キャラクタγ、キャラクタδ」はいずれも提供開始から所定の期間が経過していても(すなわち、既に新規キャラクタでなくなっていたとしても)キャラクタδを取得した時点においてはキャラクタδの提供開始から所定の期間経過前であった場合には、ユーザの新規キャラクタ所有率を25%とすることができる。
【0171】
また、複数の対象の取得に関する需要を並列に推定し、それに応じて重畳的に効果を関連付けてもよい。例えば、所定の行動情報に基づいて、ユーザAの任意のキャラクタの取得に関する需要、新規キャラクタの取得に関する需要及びキャラクタαの取得に関する需要の3つをそれぞれ並列に推定し、これに対応して任意のガチャに関する効果、新規ガチャに関する効果及び特定ガチャに関する効果の3つを重畳的に関連付けてもよい。
【0172】
また、複数の需要推定方法を重畳的に用いてもよい。例えば、
図3及び
図4を用いて説明した行動情報テーブルに基づく需要の推定と、
図11を用いて説明した使用傾向情報テーブルに基づく需要の推定を組み合わせてキャラクタの取得に関する需要を推定してもよい。
【0173】
また、上記実施形態において特定のキャラクタは「キャラクタα」の1体だけであったが、複数のキャラクタが特定のキャラクタであってもよい。
【0174】
また、上記実施形態で特定のキャラクタの取得に関する需要を推定する際の当該特定のキャラクタは、予めゲームの提供者が人為的に設定するほか、ガチャにおけるレアリティ又は当選確率に基づいて決定されてもよい。ガチャにおけるレアリティ又は当選確率に基づいて決定された特定のキャラクタは、特に、目玉キャラクタということもできる。
【0175】
目玉キャラクタは、例えば、あるガチャにおける2体の最高レアリティのキャラクタ「キャラクタα、キャラクタβ」のうち、キャラクタαの当選確率が5%、キャラクタβの当選確率が2%だった場合における当選確率が高いキャラクタαである。他にも、例えば、あるガチャにおける全ての最高レアリティのキャラクタが目玉キャラクタであってもよく、当選確率が所定の範囲内にあるキャラクタが目玉キャラクタであってもよい。さらに、複数のキャラクタが目玉キャラクタであってもよい
【0176】
目玉キャラクタは、ユーザの需要が高い場合が多く、このようなキャラクタの取得に関する需要を推定し、需要に応じて効果を関連付けることで、ゲームの興趣性をより効果的に高めることができる。
【0177】
また、新たなキャラクタの中でも、特に初期状態のパラメータが予め関連付けられたキャラクタの取得に関する需要を推定してもよい。具体的には、パラメータが初期状態ではないキャラクタを他のユーザから購入することに関する需要ではなく、パラメータが初期状態のキャラクタをガチャ等によって取得することに関する需要を推定してもよい。
【0178】
<効果の関連付方法の変形例>
また、変動手段102dは、需要に応じてガチャの対価及び実行結果を優遇する効果のみを関連付け、ガチャの対価及び実行結果を冷遇する効果については関連付けないものであってもよい。同様に、ガチャの対価及び実行結果を冷遇する効果のみを関連付け、ガチャの対価及び実行結果を優遇する効果については関連付けないものであってもよい
【0179】
また、変動手段102dにより関連付けられる効果は、ガチャにより抽選されるキャラクタの少なくとも一部に含まれる特定のキャラクタの割合に基づいて決定してもよい。例えば、あるガチャにおける最高レアリティのキャラクタのうち、特定のキャラクタ(例えば、目玉キャラクタ)の割合が50%以上であるガチャの実行に要する対価及び実行結果を変動させる効果を関連付けてもよい。
【0180】
この効果が関連付けられたユーザは、例えば、最高レアリティのキャラクタが「キャラクタα、キャラクタβ、キャラクタγ」の3体であるガチャであって、そのうち「キャラクタα、キャラクタβ」が特定のキャラクタであるガチャを実行する際の対価及び実行結果が変動する。
【0181】
また、変動手段102dにより関連付けられる実行結果の変動に関する効果は、所定の目標が達成されることを条件に、ユーザがガチャの実行のために消費した仮想通貨を一部還付するものを含む。例えば、期間限定イベントの期間終了までに全ユーザの10%が目玉キャラクタを入手した場合に、特定ガチャ実行のために消費した有償仮想通貨の50%を還付するという効果を関連付けてもよい。
【0182】
また、推定された需要に対する効果の決定方法は、動的に変動してもよい。例えば、
図5(A)~(C)のグラフは時間の経過により変動するものであってもよい。
【0183】
また、関連付けられる効果は機械学習的なプロセスにより決定されてもよい。例えば、所定の効果を関連付けられたユーザが実際に行ったキャラクタを取得するための行動の頻度に関する情報を教師データとして生成した、推定された需要に基づいて効果を決定することができる統計モデルを使用してもよい。
【0184】
また、変動手段102dにより関連付けられる効果は、需要を相殺する態様に限られない。例えば、需要が小さいユーザに対して関連付ける効果がガチャの対価及び実行結果を冷遇するものであってもよく、需要が大きいユーザに対して関連付ける効果がガチャの対価及び実行結果を優遇するものであってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 ゲームシステム
10 サーバ装置
20 ゲーム装置
102a イベント実行手段
102c 推定手段
102d 変動手段
104 記憶部