(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20240215BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240215BHJP
F24F 3/147 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
F24F7/08 101P
F24F13/22 222
F24F3/147
(21)【出願番号】P 2022128672
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】平野 朋美
(72)【発明者】
【氏名】酒井 岳人
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141443(WO,A1)
【文献】特開2000-130815(JP,A)
【文献】実開昭56-047421(JP,U)
【文献】国際公開第2016/194257(WO,A1)
【文献】特開2016-023889(JP,A)
【文献】特開2023-092148(JP,A)
【文献】実開昭63-139436(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 13/22
F24F 3/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路(16)及び給気通路(17)を有するケーシング(11)と、
前記排気通路(16)に設置され当該排気通路(16)に排気流を生成する排気ファン(13)と、
前記給気通路(17)に設置され当該給気通路(17)に給気流を生成する給気ファン(14)と、
前記排気通路(16)を流れる空気と、前記給気通路(17)を流れる空気との間で熱交換させる熱交換素子(12)と、
前記熱交換素子(12)の下方に配置され、前記熱交換素子(12)を長手方向に沿って前記ケーシング(11)内に出し入れする際に、前記熱交換素子(12)を案内するレール(40)と、
前記熱交換素子(12)の下方に配置され、前記熱交換素子(12)の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、前記熱交換素子(12)の一方の側に配置される第1水受け部(31)と、前記熱交換素子(12)の他方の側に配置される第2水受け部(32)と、前記第1水受け部(31)と前記第2水受け部(32)との間に配置され、前記レール(40)を保持する保持部(33)と、前記保持部(33)に形成され、前記第1水受け部(31)と前記第2水受け部(32)とを連通する通路(35)と、を有する水受け皿(30)と、
前記通路(35)に配置され、前記通路(35)を介した前記第1水受け部(31)と前記第2水受け部(32)との間の空気の流通を阻害するシール材(50)と、を備え、
前記シール材(50)は、前記通路(35)に接触しており、
前記通路(35)の底面(35a)又は側面(35b,35c)と前記シール材(50)との間に、前記第1水受け部(31)と前記第2水受け部(32)との間で水が流通する水路(36)が形成される、換気装置(10)。
【請求項2】
前記第1水受け部(31)の底面(31a)及び前記第2水受け部(32)の底面(32a)はほぼ水平であり、
前記通路(35)は前記熱交換素子(12)の長手方向において2つ以上設けられ、前記各通路(35)には前記シール材(50)が配置され、前記各通路(35)の底面(35a)又は側面(35b,35c)と前記シール材(50)との間に、前記第1水受け部(31)と前記第2水受け部(32)との間で水が流通する前記水路(36)が形成される、請求項1に記載の換気装置(10)。
【請求項3】
前記水受け皿(30)は、その長手方向及び前記長手方向及び上下方向と直交する方向において、前記熱交換素子(12)の一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている、請求項1又は請求項2に記載の換気装置(10)。
【請求項4】
前記水受け皿(30)は、前記レール(40)の長手方向における一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている、請求項1又は請求項2に記載の換気装置(10)。
【請求項5】
前記通路(35)は、前記熱交換素子(12)の長手方向において、前記保持部(33)の端部に設けられ、
前記レール(40)の長手方向における端部は前記通路(35)上に位置する、請求項1又は請求項2に記載の換気装置(10)。
【請求項6】
前記水受け皿(30)は、上下対称の形態として前記熱交換素子(12)の上方にさらに配置される、請求項1又は請求項2に記載の換気装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の空気を屋内へ給気すると共に、屋内の空気を屋外へ排気し、さらに熱交換素子によって給気と排気との間で熱交換を行う換気装置が知られている(特許文献1参照)。前記換気装置では、熱交換素子において結露が発生する場合があり、熱交換素子で生じた結露水を受けて装置の外部へ排出するためのドレンパンを有する。前記ドレンパンは、熱交換素子における給気流の吹出側に設置された給気側ドレンパンと、熱交換素子における排気流の吹出側に設置された排気側ドレンパンと、第1水受け部と第2水受け部とを接続する通路とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記換気装置では、通路を通じて給気側ドレンパンと排気側ドレンパンとの間で空気が流通する。前記換気装置では、通路を流通する空気量を抑制するため、給気通路と排気通路との間の圧力差を調整したり、通路内に圧力損失を高めるための壁を設けたり、通路内にトラップ部を設けたりする必要があった。
【0005】
本開示は、熱交換素子の下部に設けられた水受け皿において、前記熱交換素子の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、前記熱交換素子の一方の側に配置される第1水受け部と、前記熱交換素子の他方の側に配置される第2水受け部との間の通路を流通する空気量を簡易に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の換気装置は、排気通路及び給気通路を有するケーシングと、前記排気通路に設置され当該排気通路に排気流を生成する排気ファンと、前記給気通路に設置され当該給気通路に給気流を生成する給気ファンと、前記排気通路を流れる空気と、前記給気通路を流れる空気との間で熱交換させる熱交換素子と、前記熱交換素子の下方に配置され、前記熱交換素子を長手方向に沿って前記ケーシング内に出し入れする際に、前記熱交換素子を案内するレールと、前記熱交換素子の下方に配置され、前記熱交換素子の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、前記熱交換素子の一方の側に配置される第1水受け部と、前記熱交換素子の他方の側に配置される第2水受け部と、前記第1水受け部と前記第2水受け部との間に配置され、前記レールを保持する保持部と、前記保持部に形成され、前記第1水受け部と前記第2水受け部とを連通する通路と、を有する水受け皿と、前記通路に配置され、前記通路を介した前記第1水受け部と前記第2水受け部との間の空気の流通を阻害するシール材と、を備え、前記通路の底面又は側面と前記シール材との間に、前記第1水受け部と前記第2水受け部との間で水が流通する水路が形成される。
【0007】
以上のような構成では、通路に配置したシール材によって、通路を通じて各水受け部の間における空気の流通を抑制することができる。これにより、通路を流通する空気量を簡易に抑制することができる。さらに、通路の底面又は側面とシール材との間に水路が形成されるようにシール材の構造や素材を工夫することにより、通路における空気の流通を抑制しつつ、第1水受け部と第2水受け部との間で水を流通させることができる。
【0008】
(2)本開示の前記(1)の形態に係る換気装置において、前記第1水受け部の底面及び前記第2水受け部の底面はほぼ水平であり、前記通路は前記熱交換素子の長手方向において2つ以上設けられ、前記各通路には前記シール材が配置され、前記各通路の底面又は側面と前記シール材との間に、前記第1水受け部と前記第2水受け部との間で水が流通する前記水路が形成されると好ましい。
この構成によれば、水受け皿において、第1水受け部及び第2水受け部の全体に結露水を溜めることができる。このような構成において、複数の通路を設けることで、第1水受け部及び第2水受け部の間の結露水の行き来が容易になる。このため、本開示の換気装置では、水受け皿において、結露水を、第1水受け部及び第2水受け部の全体に拡げることができる。この場合、水受け皿上の結露水が蒸発しやすくなり、水受け皿の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0009】
(3)本開示の前記(1)又は(2)の形態に係る換気装置において、前記水受け皿は、その長手方向及び前記長手方向及び上下方向と直交する方向において、前記熱交換素子の一側及び他側の端部より外側の位置まで延びていると好ましい。
この構成によれば、水受け皿の受水面積を拡大することで、水受け皿の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置の高さ方向の寸法を抑えることができる。この場合、水受け皿によって、熱交換素子から滴下する結露水を漏らさず受けることができる。
【0010】
(4)本開示の前記(1)~(3)のうち何れか1つの形態に係る換気装置において、前記水受け皿は、前記レールの長手方向における一側及び他側の端部より外側の位置まで延びていると好ましい。
この構成によれば、レールの端部から滴下する結露水を、水受け皿で漏らさず受けることができる。
【0011】
(5)本開示の前記(1)~(4)のうち何れか1つの形態に係る換気装置において、前記通路は、前記熱交換素子の長手方向において、前記保持部の端部に設けられ、前記レールの端部は前記通路上に位置すると好ましい。
この構成によれば、レールの端部から滴下する結露水を、通路で受けることができる。このような構成の換気装置では、通路で受けた結露水を第1水受け部及び第2水受け部の両側へ流すことができ、これにより、第1水受け部及び第2水受け部に溜まる結露水の偏りを抑制することができる。
【0012】
(6)本開示の前記(1)~(5)のうち何れか1つの形態に係る換気装置において、前記水受け皿は、上下対称の形態として前記熱交換素子の上方にさらに配置されると好ましい。
この構成によれば、換気装置を上下に反転させて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係る換気装置を上から見た場合の概略的な断面説明図である。
【
図2】
図1のA-A線における換気装置の概略的な断面説明図である。
【
図3】
図1のB-B線における換気装置の概略的な断面説明図である。
【
図5】水受け皿を上から見た場合の概略的な模式図である。
【
図6】長手方向における水受け皿の一端部を示す拡大模式図である。
【
図7】
図6のC-C線における水受け皿の概略的な断面説明図である。
【
図8】換気装置における熱交換素子及び水受け皿の設置状況を示す部分拡大断面図である。
【
図9】水受け皿の保持部に対するレール及び熱交換素子の設置状況を示す概略的な断面説明図である。
【
図10】第1実施形態に係るシール材の配置状況及び水路の形成状況を示す断面説明図である。
【
図11】第2実施形態に係るシール材の配置状況及び水路の形成状況を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る換気装置を上から見た場合の概略的な断面説明図である。
図2は、
図1のA-A線における換気装置の概略的な断面説明図である。
図3は、
図1のB-B線における換気装置の概略的な断面説明図である。なお、以下の説明において、上、下、前、後、左、及び右という記載は、
図1~
図3にこれらの用語とともに示された矢印に従っている。特に、
図1において矢印Xが示す第1方向を左右方向、
図1~
図3において矢印Yが示す第2方向を前後方向、
図2及び
図3において矢印Zが示す第3方向Zを上下方向としている。ただし、これらの記載は一例にすぎず、例えば、第1方向Xを前後方向、第2方向Yを左右方向と読み替えてもよい。
【0015】
(換気装置の全体構成)
図1~
図3に示す換気装置10は、屋外の空気と屋内の空気とを入れ換えることで屋内の換気を行う。換気装置10は、屋内に設置される。換気装置10は、ダクトD1,D4を介して屋内に接続され、ダクトD2,D3を介して屋外に接続される。
【0016】
図1~
図3に示すように、換気装置10は、略直方体の箱形状を有するケーシング11を有する。ケーシング11の内部には、熱交換素子12、排気ファン13、給気ファン14、及び水受け皿30が収容される。ケーシング11には、還気取入口21、排気吹出口22、外気取入口23、及び給気吹出口24が設けられる。
【0017】
(給気通路及び排気通路の構成)
図1~
図3に示すように、還気取入口21は、屋内からの空気(還気)RAをケーシング11内に取り入れるために用いられる。排気吹出口22は、ケーシング11内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして屋外に排出するために用いられる。外気取入口23は、屋外からの空気(外気)OAをケーシング11内に取り入れるために用いられる。給気吹出口24は、ケーシング11内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして屋内に供給するために用いられる。
【0018】
図1及び
図2に示すように、還気取入口21は、ダクトD1を介して屋内に繋がっている。排気吹出口22は、ダクトD2を介して屋外に繋がっている。以下の説明では、これらのダクトD1,D2によって、ケーシング11を介して、屋内と屋外とを繋ぐ風路を排気通路(後述する排気通路16)ともいう。
【0019】
図1及び
図3に示すように、外気取入口23は、ダクトD3を介して屋外に繋がっている。給気吹出口24は、ダクトD4を介して屋内に繋がっている。以下の説明では、これらのダクトD3,D4によって、ケーシング11を介して、屋内と屋外とを繋ぐ風路を給気通路(後述する給気通路17)ともいう。
【0020】
図1~
図3に示すように、ケーシング11の内部において、還気取入口21から取り入れられた還気RAは熱交換素子12を通過し、排気EAとして排気吹出口22から屋外へ排気される。以下、この空気の流れを「第1の空気流F1」ともいう。外気取入口23から取り入れられた外気OAは熱交換素子12を通過し、給気SAとして給気吹出口24から屋内へ供給される。以下、この空気の流れを「第2の空気流F2」ともいう。
【0021】
(熱交換素子12の構成)
図4は、熱交換素子の概略的な斜視図である。本実施形態の換気装置10は、
図4に示す熱交換素子12を有する。熱交換素子12は、第1の空気流F1と、第2の空気流F2とがほぼ直交するように構成された直交型の全熱交換器である。熱交換素子12は、仕切板12aと、隔壁板12bとを有している。仕切板12aと隔壁板12bとは適宜の接着剤により交互に積層されている。熱交換素子12は、全体としてほぼ四角柱形状に形成されている。なお、以下の説明では、仕切板12a及び隔壁板12bの積層方向を、熱交換素子12の長手方向ともいう。
【0022】
仕切板12aは、伝熱性及び透湿性を有し、平板状に形成されている。隔壁板12bは、ほぼ三角形状の断面が連続して形成された波板状に形成されている。隔壁板12bは、隣り合う2枚の仕切板12aの間に空気の通路を形成する。隔壁板12bは、仕切板12aと隔壁板12bとの積層方向(
図4に示す長手方向)で1枚ごとに90度角度を変えて積層されている。これにより、1枚の仕切板12aを挟んでその両側に、第1の空気流F1を通すための排気側通路12cと第2の空気流F2を通すための給気側通路12dとが互いに直交して形成される。排気側通路12cを流れる空気と、給気側通路12dを流れる空気とは、伝熱性及び透湿性を有する仕切板12aを介して顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)が行われるようになっている。熱交換素子12は、長手方向が左右方向に平行となる姿勢で、ケーシング11(
図1~
図3参照)の内部に設置される。すなわち、第1方向X及び左右方向とは、熱交換素子12の長手方向を意味する。
【0023】
図1~
図3に示すように、ケーシング11の内部は、熱交換素子12によって屋内側と屋外側との2つの領域に区画されている。
図1及び
図2に示すように、ケーシング11内には、熱交換素子12よりも第1の空気流F1の上流側に上流側排気通路16aが形成され、熱交換素子12よりも第1の空気流F1の下流側に下流側排気通路16bが形成されている。上流側排気通路16aと下流側排気通路16bとによって、屋内と屋外とを熱交換素子12を経由して連通させる排気通路16が構成される。
【0024】
図1及び
図3に示すように、ケーシング11内には、熱交換素子12よりも第2の空気流F2の上流側に上流側給気通路17aが形成され、熱交換素子12よりも第2の空気流F2の下流側に下流側給気通路17bが形成されている。上流側給気通路17aと下流側給気通路17bとによって、屋内と屋外とを熱交換素子12を経由して連通させる給気通路17が構成されている。なお、本開示の換気装置10は、
図1~
図3に示す排気通路16及び給気通路17の他に、熱交換素子12を通さずに屋内と屋外とを繋ぐバイパス通路を有していてもよい。
【0025】
図2及び
図3に示すように、上流側排気通路16aと下流側給気通路17bとの間には、区画壁18が設けられている。下流側排気通路16bと上流側給気通路17aとの間には、区画壁19が設けられている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、下流側排気通路16bにおいて、排気吹出口22の近傍には排気ファン13が配置されている。この排気ファン13が運転されることによって第1の空気流F1が生成され、屋内からの還気RAが排気通路16を通り排気EAとして屋外に排出される。
【0027】
図1及び
図3に示すように、下流側給気通路17bにおいて、給気吹出口24の近傍には給気ファン14が配置されている。この給気ファン14が運転されることによって第2の空気流F2が生成され、屋外の外気OAが給気通路17を通り、給気SAとして屋内に供給される。
【0028】
(水受け皿)
図1~
図3に示すように、水受け皿30は、熱交換素子12で生じた結露水を受ける皿状の部材であり、熱交換素子12の下方に配置された状態で使用される。水受け皿30は、第1水受け部31、第2水受け部32、及び保持部33を備える。
【0029】
特許文献1の換気装置では、熱交換素子で生じた結露水を受けて装置の外部へ排出するためのドレンパンと、ドレンパンに接続されたドレン排水管とを有し、ドレンパンで受け止めた結露水を自然勾配によってドレン排水管へ向けて流して、ケーシングの外部へ排水する構成としている。本開示の換気装置10が有する水受け皿30は、受けた水を排水するためのドレン排水管に接続されておらず、受けた水を蒸発させて処理する。本開示の換気装置10が備える水受け皿30は、発生した結露水をケーシング11の内部で処理することを前提としており、前記ドレンパンとは異なっている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、本実施形態の換気装置10は、熱交換素子12の下方に配置される水受け皿30(以下、第1水受け皿30Aともいう)と、熱交換素子12の上方に配置される水受け皿30(以下、第2水受け皿30Bともいう)とを備える。本開示の換気装置10では、第1水受け皿30A及び第2水受け皿30Bのうち、熱交換素子12の下方に位置する一方が水受け皿30として使用され、熱交換素子12で生じた結露水を受ける。以下の説明において、単に「水受け皿30」という場合は、第1水受け皿30A及び第2水受け皿30Bで共通する構成についての説明である。このように、換気装置10は、熱交換素子12の下方及び上方にそれぞれ水受け皿30を備えることにより、上下をひっくり返して設置することが可能となる。なお、本開示の換気装置は、熱交換素子の上方に配置される第2水受け皿を省略してもよい。
【0031】
図1~
図3に示すように、第1水受け皿30Aは、熱交換素子12の下方に配置され、熱交換素子12の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、熱交換素子12の一方の側に配置される第1水受け部31と、熱交換素子12の他方の側に配置される第2水受け部32と、第1水受け部31と第2水受け部32との間に配置される保持部33とを有する。
図2及び
図3に示すように、第2水受け皿30Bは、熱交換素子12の上方に配置され、熱交換素子12の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、熱交換素子12の一方の側に配置される第1水受け部31と、熱交換素子12の他方の側に配置される第2水受け部32と、第1水受け部31と第2水受け部32との間に配置される保持部33とを有する。
【0032】
第1水受け部31は、熱交換素子12の長手方向(左右方向)及び上下方向に対して垂直な方向において、熱交換素子12の一方側(前方側)に配置される。第2水受け部32は、熱交換素子12の長手方向(左右方向)及び上下方向に対して垂直な方向において、熱交換素子12の他方側(後方側)に配置される。保持部33は、熱交換素子12の長手方向(左右方向)及び上下方向に対して垂直な方向において、第1水受け部31と第2水受け部32との間に配置される。保持部33は、後で説明するレール40(
図9参照)を保持する部位である。保持部33は、前記レール40を介して、熱交換素子12を保持する部位でもある。
【0033】
図1~
図3に示すように、水受け皿30は、熱交換素子12の長手方向(左右方向)及び上下方向と直交する方向(前後方向)において、熱交換素子12の一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている。換気装置10では、このように水受け皿30の受水面積(上から見た場合の水を受ける部分の面積)を拡大することで、水受け皿30の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置10の高さ方向の寸法を抑えることができる。このような構成の水受け皿30によれば、熱交換素子12から滴下する結露水を漏らさず受けることができる。なお、第2方向Y及び前後方向とは、熱交換素子12の長手方向及び上下方向と直交する方向を意味する。
【0034】
なお、本開示の換気装置10が、排気通路16及び給気通路17の他に、熱交換素子12を通さずに屋内と屋外とを繋ぐ排気側又は給気側のバイパス通路を備える場合、排気側のバイパス通路は左右方向における排気通路16の外側に設けられ、給気側のバイパス通路は給気通路17の外側に設けられる。この場合、排気側のバイパス通路の下方を左右方向における排気通路16外側に向けて凹ませ、又は、給気側のバイパス通路の下方を左右方向における給気通路17の外側に向けて凹ませることにより、排気通路16又は給気通路17の下方を左右方向に拡大させ、水受け皿30を左右方向に拡大させることが好ましい。この場合、水受け皿30の受水面積をさらに拡大することができる。
【0035】
(水受け皿の詳細構成)
図5は、水受け皿を上から見た場合の概略的な模式図である。
図6は、長手方向における水受け皿の一端部を示す拡大模式図である。
図7は、
図6のC-C線における水受け皿の概略的な断面説明図である。ここでは、水受け皿30の構成をさらに詳細に説明する。
図5に示すように、水受け皿30は、上下方向から見た場合に略矩形状の形態を有する。水受け皿30は、外周縁部に立ち上がり部34を有する。水受け皿30は、立ち上がり部34で囲まれた範囲の内側に水を溜めることができる。水受け皿30は、立ち上がり部34で囲まれた範囲が、保持部33によって、前後方向について2つの範囲に区切られている。これら2つの範囲のうち、前側の一方が第1水受け部31であり、後側の他方が第2水受け部32である。水受け皿30は、第1水受け部31及び第2水受け部32において、水を溜めることができる。第1水受け部31は、底面31aを有し、第2水受け部32は、底面32aを有する。
【0036】
換気装置10は、第1水受け部31の底面31a、及び第2水受け部32の底面32aがほぼ水平となる姿勢に設置して使用される。このため、換気装置10では、第1水受け部31及び第2水受け部32に溜まった水は、各底面31a,32aの何れか一方に偏ることなく、各底面31a,32aの全範囲に拡散する。なお、ここでいう「ほぼ水平」とは、完全な水平でなくてもよいことを意味している。本実施形態の換気装置10における水受け皿30は、各水受け部31,32に溜まった水が各底面31a,32aの全範囲に拡散されるのであれば、各底面31a,32aが水平方向に対して若干の傾斜を有する姿勢に設置されてもよい。
【0037】
図5~
図7に示すように、水受け皿30は、通路35を有する。通路35は、第1水受け部31と第2水受け部32とを連通する。水受け皿30では、通路35が、第1水受け部31に溜まった水と第2水受け部32に溜まった水との行き来(
図6に示す水の流れFw)を可能とする。
図7に示すように、通路35は、底面35aと、左右方向において対面する一対の側面35b,35cによって3方を囲まれた溝部である。本開示の換気装置10では、通路35の底面35aと、各底面31a,32aとは、上下方向における同じ位置(高さ)に形成される。なお、底面35aの上下方向における位置は、各底面31a,32aの上下方向における位置と同じか、又は、低いと好ましい。
【0038】
図5に示すように、本開示の換気装置10において、水受け皿30は、熱交換素子12の長手方向(左右方向)における保持部33の一端部及び他端部に、合計2箇所(複数)の通路35を備えている。本開示の換気装置10では、水受け皿30に複数の通路35を設けることで、第1水受け部31及び第2水受け部32の間の結露水の行き来を容易にすることができる。本開示の換気装置10において、水受け皿30は、各底面31a,32aがほぼ水平である。このような構成の換気装置10では、水受け皿30において、第1水受け部31及び第2水受け部32の一部に偏らせることなく全体に結露水を溜めることができる。このため、換気装置10では、水受け皿30で受けた結露水を、第1水受け部31及び第2水受け部32の全体に拡げることができる。この場合、水受け皿30上の結露水が蒸発しやすくなり、水受け皿30の高さ(深さ)を高くしなくても、結露水が水受け皿30からあふれ出しにくくなる。このため、本開示の換気装置10では、水受け皿30の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置10の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0039】
通路35は、第1水受け皿30Aの場合、
図1~
図3に示す外気OAが流れる上流側排気通路16aと、還気RAが流れる上流側給気通路17aとの間で、さらに空気の流通を可能にする。また、通路35は、第2水受け皿30Bの場合、排気EAが流れる下流側排気通路16bと、給気SAが流れる下流側給気通路17bとの間で、さらに空気の流通を可能にする。換気装置10において、外気OA及び還気RA又は排気EA及び給気SAのコンタミネーションは抑制することが好ましい。このため、換気装置10では、後で説明するシール材50(
図10及び
図11参照)を、
図5~
図7に示す通路35に設置する。換気装置10において、前記シール材50は、通路35における空気の流通を阻害する。
【0040】
図5~
図7に示すように、保持部33は、水受け皿30の立ち上がり部34によって囲まれた範囲の一部を、底面31a,32aから上下方向へ隆起させた部位である。保持部33は、第1水受け部31と第2水受け部32との間において熱交換素子12の長手方向(左右方向)に沿って設けられる。保持部33の左右方向における一端部及び他端部は、立ち上がり部34から離間している。保持部33の左右方向における一端部及び他端部と立ち上がり部34との間に通路35が形成される。
【0041】
保持部33は、隆起部33a、レール用溝部33b、及びフィルタ用溝部33c,33dを有する。レール用溝部33bは、後で説明するレール40(
図9参照)を嵌め入れるための溝部であり、隆起部33aの前後方向の中央において、熱交換素子12の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。フィルタ用溝部33c,33dは、熱交換素子12に流入する空気を濾過するフィルタ(
図8に示すフィルタ37参照)を保持するための溝部である。なお、本実施形態の換気装置10では、保持部33の一部にフィルタ用溝部33c,33dを設けているが、フィルタ用溝部33c,33dは、保持部33の一部でなくてもよい。本実施形態の換気装置10は、フィルタ用溝部33c,33d及びフィルタ37(
図8参照)を省略してもよい。
【0042】
なお、
図5に示す水受け皿30では、熱交換素子12の長手方向(左右方向)における保持部33の一端部及び他端部に、合計2箇所(複数)の通路35を設けているが、本開示の換気装置における通路の箇所数はこれに限定されず、1箇所であってもよく、あるいは、3箇所以上であってもよい。
図5に示す水受け皿30では、熱交換素子12の長手方向(左右方向)における保持部33の端部(一端部及び他端部と立ち上がり部との間)に、通路35を設けているが、本開示の換気装置は、熱交換素子の長手方向(左右方向)における保持部の中間位置に通路を設けてもよい。
【0043】
(熱交換素子、レール、及び水受け皿の設置状態について)
図8は、換気装置における熱交換素子及び水受け皿の設置状況を示す部分拡大断面図である。
図9は、水受け皿の保持部に対するレール及び熱交換素子の設置状況を示す概略的な断面説明図である。
図8に示すように、熱交換素子12は、長手方向から見て正方形状の形態を有し、正方形の各頂点(合計4箇所)から対角線方向の外側へ突出する矩形状の凸部12eを有する。凸部12eは、熱交換素子12の長手方向の全長にわたって設けられている。
【0044】
熱交換素子12は、4箇所の凸部12eのうちの下方に位置する凸部12eが、第1水受け皿30Aの保持部33によって保持され、上方に位置する凸部12eが、第2水受け皿30Bの保持部33によって保持される。
【0045】
図8に示すように、換気装置10は、ケーシング11内の熱交換素子12を配置する空間の前方側及び後方側に、熱交換素子12を保持するための保持部15をさらに備える。以下の説明では、保持部15のうち前方に位置する保持部15を前側保持部15Aと称し、後方に位置する保持部15を後側保持部15Bと称する。熱交換素子12は、4箇所の凸部12eのうちの前方に位置する凸部12eが、前側保持部15Aによって保持され、後方に位置する凸部12eが、後側保持部15Bによって保持される。
【0046】
図9に示すように、保持部33のレール用溝部33bと熱交換素子12の凸部12eとの間には、レール40が設けられる。レール40は、長さ方向に直交する断面が略U字状の形態を有する鋼製の部材である。レール40は、熱交換素子12の凸部12eを挿入可能な溝部41を有する。レール40は、レール用溝部33bに嵌め込まれて、熱交換素子12の長手方向に沿って設けられる。レール40は、その長手方向の長さが保持部33の長手方向の長さよりも長く、左右方向において通路35の上部の一部を覆っている(
図10参照)。レール40の左右方向の一端及び他端は、通路35上に位置する。なお、通路35が熱交換素子12の長手方向における保持部33の中間位置に設けられる場合、レール40は通路35の上部全体を覆う。レール40は、熱交換素子12を長手方向に沿ってケーシング11内に出し入れする際に、熱交換素子12を長手方向へ案内する役割を果たす。レール40は、熱交換素子12と保持部33とを直接接触させない役割も有し、保持部33の傷つき及び摩耗を防止する。なお、説明の便宜上、
図1~
図4に示す換気装置10では、レール40の図示を省略している。
【0047】
(シール材について)
図10は、第1実施形態に係るシール材の配置状況及び水路の形成状況を示す断面説明図である。
図11は、第2実施形態に係るシール材の配置状況及び水路の形成状況を示す断面説明図である。換気装置10は、
図10に示すように、水受け皿30の通路35に配置したシール材50を有する。シール材50は、通路35の底面35a及び各側面35b、35cと、レール40とで囲まれた空間に配置される。
【0048】
図10に示す場合には、通路35の底面35aとシール材50との間に水路36が形成される。水路36は、通路35の一部である。なお、
図10に示す形態では、各側面35b,35cとシール材50との間には隙間を設けていない。シール材50は、通路35における水路36以外の部分を封止して、通路35における空気の流通を阻害すると共に、水路36を介して、第1水受け部31及び第2水受け部32の間の水の行き来を許容する。シール材50は、例えばレール40に対して接着により固定されていてもよいし、あるいは、他の部材に対して固定されずに通路35に押し込められていてもよい。
【0049】
本開示の換気装置10において、シール材50は、
図11に示すような形態で通路35に配置されてもよい。
図11に示す形態では、通路35の側面35bとシール材50との間、及び、側面35cとシール材50との間に、それぞれ水路36が形成されている。なお、
図11に示す形態では、底面35aとシール材50との間には隙間を設けていない。なお、
図10及び
図11に示すシール材50は、前後方向からみて略矩形状であるが、通路35に配置するシール材50の形状はこれに限定されず、シール材50の形状を変更することによって、通路35及び水路36の形状を変更してもよい。シール材50は、通路35に対する形状を調整することによって、通路35における空気の流れと水路36における水の流れとのバランスを調整することが可能となる。
【0050】
図10及び
図11に示すシール材50は、弾性を有する材料により構成される。シール材50は、前記材料を、通路35の一部を封止可能な形状に成形して構成される。シール材50を構成する材料としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、EPDMフォーム等が採用し得る。シール材50は、例えば、連続気泡を有するスポンジ状の材料を用いて構成してもよい。この場合、シール材50内部に形成された連続気泡を通じて、第1水受け部31及び第2水受け部32の間の水の行き来を許容するとともに、水が溜まった連続気泡によって、第1水受け部31及び第2水受け部32の間の空気の流通を阻害する。なお、シール材50は、例えば、独立気泡を有するスポンジ状の材料や、気泡を有さない材料を用いて構成してもよい。
【0051】
本開示の換気装置10において、シール材50は、通路35の底面35a及び各側面35b、35cとの間に、隙間を設けずに配置してもよい。この場合、シール材50は、連続気泡を有する材料で構成し、シール材50内の連続気泡に水路36としての役割を担わせると好ましい。本開示の換気装置10において、シール材50は、通路35の底面35a及び各側面35b、35cとの間に、隙間を設けて配置してもよい。この場合、シール材50は、レール40に固定すると好ましい。
【0052】
このような構成の換気装置10では、通路35に配置したシール材50によって、通路35を通じて各水受け部31,32の間における空気の流通を抑制し、これにより、通路35を流通する空気量を抑制すると共に、通路35の底面35a又は側面35b,35cとシール材50との間に水路36が形成されるようにシール材50の構造や素材を工夫することによって、通路35における空気の流通を抑制しつつ、第1水受け部31と第2水受け部32との間で水を流通させることができる。なお、熱交換素子12の長手方向において、通路35以外の部分において排気通路16と給気通路17との間の空気の流通が生じないように、ケーシング11と熱交換素子12の長手方向の両端部との間は密閉されている。
【0053】
(レールの端部に対する水受け皿の配置について)
図10及び
図11に示すように、本開示の換気装置10では、水受け皿30が、熱交換素子12の長手方向(左右方向)において、レール40の一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている。このような構成の換気装置10では、レール40の端部から滴下する結露水を、水受け皿30で漏らさず受けることができる。
【0054】
(レールの端部に対する通路の配置について)
図10及び
図11に示すように、本開示の換気装置10では、通路35が、熱交換素子12の長手方向(左右方向)において、保持部33の端部に設けられ、レール40の端部が通路35上に位置する。このような構成の換気装置10では、レール40の端部から滴下する結露水を通路35で受けることができる。本開示の換気装置10では、第1水受け部31及び第2水受け部32がほぼ水平であるため、通路35で受けた結露水を第1水受け部31及び第2水受け部32の両側へ略均等に流すことができる。このため本開示の換気装置10では、第1水受け部31及び第2水受け部32に溜まる結露水の量の偏りを抑制することができ、これにより、第1水受け部31及び第2水受け部32の全体に結露水を拡散させて受けることができる。
【0055】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の換気装置10は、排気通路16及び給気通路17を有するケーシング11と、排気通路16に設置され当該排気通路16に排気流を生成する排気ファン13と、給気通路17に設置され当該給気通路17に給気流を生成する給気ファン14と、排気通路16を流れる空気と、給気通路17を流れる空気との間で熱交換させる熱交換素子12と、熱交換素子12の下方に配置され、熱交換素子12を長手方向に沿ってケーシング11内に出し入れする際に、熱交換素子12を案内するレール40と、熱交換素子12の下方に配置され、熱交換素子12の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向において、熱交換素子12の一方の側に配置される第1水受け部31と、熱交換素子12の他方の側に配置される第2水受け部32と、第1水受け部31と第2水受け部32との間に配置され、レール40を保持する保持部33と、保持部33に形成され、第1水受け部31と第2水受け部32とを連通する通路35と、を有する水受け皿30と、通路35に配置され、通路35を介した第1水受け部31と第2水受け部32との間の空気の流通を阻害するシール材50と、を備え、通路35の底面35a又は側面35b,35cとシール材50との間に、第1水受け部31と第2水受け部32との間で水が流通する水路36が形成される。
【0056】
上記構成の換気装置10によれば、通路35に配置したシール材50によって、通路35を通じて各水受け部31,32の間における空気の流通を抑制することができる。これにより、通路35を流通する空気量を抑制することができる。さらに、通路35の底面35a又は側面35b,35cとシール材50との間に水路36が形成されるようにシール材50の構造や素材を工夫することにより、通路35における空気の流通を抑制しつつ、第1水受け部31と第2水受け部32との間で水を流通させることができる。このような換気装置10によれば、熱交換素子12の下部に設けられた第1水受け皿30Aにおいて、熱交換素子12の長手方向及び上下方向に対して垂直な第2方向Y(前後方向)において、熱交換素子12の一方の側に配置される第1水受け部31と、熱交換素子12の他方の側に配置される第2水受け部32との間の通路35を流通する空気量を簡易に抑制することができる。
【0057】
(2)上記実施形態の換気装置10において、第1水受け部31の底面31a及び第2水受け部32の底面32aはほぼ水平である。通路35は、熱交換素子12の長手方向において2つ設けられ、各通路35にはシール材50が配置される。各通路35の底面35a又は側面35b,35cとシール材50との間に、第1水受け部31と第2水受け部32との間で水が流通する水路36が形成される。
上記構成の換気装置10によれば、水受け皿30において、第1水受け部31及び第2水受け部32の全体に結露水を溜めることができる。このような構成において、複数の通路35を設けることで、第1水受け部31及び第2水受け部32の間の結露水の行き来が容易になる。このため、上記実施形態の換気装置10では、水受け皿30において、結露水を、第1水受け部31及び第2水受け部32の全体に拡げることができる。この場合、水受け皿30上の結露水が蒸発しやすくなり、水受け皿30の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置10の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0058】
(3)上記実施形態の換気装置10において、水受け皿30は、その長手方向及び長手方向及び上下方向と直交する前後方向において、熱交換素子12の一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている。
上記構成の換気装置10によれば、水受け皿30の受水面積を拡大することで、水受け皿30の高さ(深さ)を抑制することができ、これにより、換気装置10の高さ方向の寸法を抑えることができる。この場合、水受け皿30によって、熱交換素子12から滴下する結露水を漏らさず受けることができる。
【0059】
(4)上記実施形態の換気装置10において、水受け皿30は、レール40の長手方向における一側及び他側の端部より外側の位置まで延びている。
上記構成の換気装置10によれば、レール40の端部から滴下する結露水を、水受け皿30で漏らさず受けることができる。
【0060】
(5)上記実施形態の換気装置10において、通路35は、熱交換素子12の長手方向において、保持部33の端部に設けられ、レール40の端部は通路35上に位置する。
上記構成の換気装置10によれば、レール40の端部から滴下する結露水を、通路35で受けることができる。このような構成の換気装置10では、通路35で受けた結露水を第1水受け部31及び第2水受け部32の両側へ流すことができ、これにより、第1水受け部31及び第2水受け部32に溜まる結露水の偏りを抑制することができる。
【0061】
(6)上記実施形態の換気装置10において、水受け皿30(第1水受け皿30A)は、上下対称の形態の第2水受け皿30Bとして、熱交換素子12の上方にさらに配置される。
上記構成の換気装置10は、設置場所に制約がある場合等において、換気装置10を上下に反転させて使用することができる。
【0062】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10 :換気装置
11 :ケーシング
12 :熱交換素子
13 :排気ファン
14 :給気ファン
16 :排気通路
17 :給気通路
30 :水受け皿
30A :第1水受け皿
30B :第2水受け皿
31 :第1水受け部
31a :底面
32 :第2水受け部
32a :底面
33 :保持部
35 :通路
35a :底面
35b :側面
35c :側面
36 :水路
40 :レール
50 :シール材
【要約】
【課題】第1水受け部と第2水受け部との間の通路を流通する空気量を簡易に抑制する。
【解決手段】換気装置10は、ケーシング11、排気ファン13、給気ファン14、排気通路16を流れる空気と給気通路17を流れる空気との間で熱交換させる熱交換素子12、熱交換素子12を案内するレール40、熱交換素子12の長手方向及び上下方向に対して垂直な方向における熱交換素子12の一方の側に配置される第1水受け部31及び他方の側に配置される第2水受け部32と、第1水受け部31と第2水受け部32との間に配置されレール40を保持する保持部33と、第1水受け部31と第2水受け部32とを連通する通路35と、を有する水受け皿30、通路35に配置され第1水受け部31と第2水受け部32との間の空気の流通を阻害するシール材50、を備え、通路35とシール材50との間に、各水受け部31,32の間で水が流通する水路36が形成される。
【選択図】
図10