(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 5/02 20060101AFI20240215BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240215BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240215BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240215BHJP
F25D 21/06 20060101ALI20240215BHJP
B60P 3/20 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
F25B5/02 530C
F25B47/02 550C
F25B47/02 540D
F25B1/00 304W
F25D11/00 101D
F25D21/06 B
B60P3/20 Z
(21)【出願番号】P 2022157408
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染川 和摩
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
(72)【発明者】
【氏名】盛島 明元
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-042910(JP,A)
【文献】特開2020-128857(JP,A)
【文献】特開平07-071844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 5/02
F25B 47/02
F25B 1/00
F25D 11/00
F25D 21/06
B60P 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(12)と、
前記圧縮機(12)と直列に設けられる熱源側熱交換器(13)と、
前記圧縮機(12)および前記熱源側熱交換器(13)と直列に設けられるとともに第1膨張機構(23)および第1利用側熱交換器(21)を有する第1冷媒流路(P1)と、
前記第1冷媒流路(P1)と並列に設けられるとともに第2膨張機構(33)、第2利用側熱交換器(31)、圧力調節機構(34)を有する第2冷媒流路(P2)と
を備えた冷媒回路(R)と、
前記熱源側熱交換器(13)が放熱器として機能し、前記第1利用側熱交換器(21)および前記第2利用側熱交換器(31)が蒸発器として機能するとともに、前記第1利用側熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、前記第2利用側熱交換器(31)が着霜しないように前記第2膨張機構(33)および前記圧力調節機構(34)を制御する制御器(60)とを備え
、
前記第2利用側熱交換器(31)は、バッテリ(B)の温度を調節し、
前記第1利用側熱交換器(21)は、庫内の空気を冷却し、
前記制御器(60)は、前記冷媒回路(R)の冷媒によって前記第1利用側熱交換器(21)の霜を融かすデフロスト運転を実行するように前記冷媒回路(R)を制御し、
前記冷媒回路(R)は、前記デフロスト運転において前記第2利用側熱交換器(31)に冷媒が流れるのを抑制するように構成される
冷凍装置。
【請求項2】
前記制御器(60)は、前記デフロスト運転として、
前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を前記熱源側熱交換器(13)をバイパスさせて前記第1利用側熱交換器(21)に流す第1動作、
または前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を前記第1利用側熱交換器(21)で放熱させ、前記熱源側熱交換器(13)で蒸発させる第2動作、
または前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を、対応するファン(14)が停止中の前記熱源側熱交換器(13)、前記第1利用側熱交換器(21)の順に流す第3動作を行うように、
前記冷媒回路(R)を制御する
請求項
1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記制御器(60)は、前記デフロスト運転として、前記第1動作を実行するように構成され、
前記冷媒回路(R)には、一端が前記圧縮機(12)の吐出側に接続し、他端が前記第1冷媒流路(P1)における前記第1膨張機構(23)と前記第1利用側熱交換器(21)の間に接続するとともに、前記第1動作において前記圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒が流れるバイパス流路(36)を備える
請求項
2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記第1冷媒流路(P1)には、前記バイパス流路(36)と該第1冷媒流路(P1)の接続端と、該第1冷媒流路(P1)および前記第2冷媒流路(P2)の分岐部との間に、該接続端から該分岐部(17)への冷媒の流れを禁止する逆止弁(39)が設けられる
請求項
3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記制御器(60)は、前記デフロスト運転において、前記第2膨張機構(33)としての第2膨張弁(33)の開度を小さくする
請求項
1に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記制御器(60)は、前記デフロスト運転において、前記圧力調節機構としての圧力調節弁(34)の開度を小さくする
請求項
1に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記第1膨張機構(23)は、電子膨張弁、感温式膨張弁、キャピリーチューブのいずれかである
請求項
1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、輸送用の冷凍装置が開示されている。冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器を含む冷媒回路と、冷凍装置の電源となる二次電池(バッテリ)とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、冷凍装置によってバッテリの温度を調節する構成を創出した。具体的には、冷媒回路に第1利用側熱交換器および第2利用側熱交換器を並列に設ける。蒸発器として機能する第1利用側熱交換器によって、第1対象物を冷却し、同時に蒸発器として機能する第2利用側熱交換器によって第2対象物の温度を調節する。
【0005】
一方、このような運転においては、第1利用側熱交換器が着霜し得る運転条件になることがある。この運転条件下では、第1利用側熱交換器の蒸発温度が比較的低くなるので、これに併せて第2利用側熱交換器の蒸発温度も低くなる。その結果、第1利用側熱交換器だけでなく、第2利用側熱交換器も着霜し、第2対象物に悪影響を及ぼす問題があった。
【0006】
本開示の目的は、第2利用側熱交換器の着霜を抑制できる冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の冷凍装置は、冷媒回路(R)と制御器(60)とを備える。冷媒回路(R)は、圧縮機(12)と、前記圧縮機(12)と直列に設けられる熱源側熱交換器(13)と、前記圧縮機(12)および前記熱源側熱交換器(13)と直列に設けられるとともに第1膨張機構(23)および第1利用側熱交換器(21)を有する第1冷媒流路(P1)と、前記第1冷媒流路(P1)と並列に設けられるとともに第2膨張機構(33)、第2利用側熱交換器(31)、圧力調節機構(34)を有する第2冷媒流路(P2)とを備える。
【0008】
制御器(60)は、前記熱源側熱交換器(13)が放熱器として機能し、前記第1利用側熱交換器(21)および前記第2利用側熱交換器(31)が蒸発器として機能するとともに、前記第1利用側熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、前記第2利用側熱交換器(31)が着霜しないように前記第2膨張機構(33)および前記圧力調節機構(34)を制御する。
【0009】
第1の態様では、第1利用側熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、制御器(60)は、第2膨張機構(33)および圧力調節機構(34)を制御する。これにより、第1利用側熱交換器(21)の蒸発温度と、第2利用側熱交換器(31)の蒸発温度を個別に調節でき、第2利用側熱交換器(31)の着霜を抑制できる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記第2利用側熱交換器(31)は、バッテリ(B)の温度を調節する。
【0011】
第2利用側熱交換器(31)が着霜してしまうと、第2利用側熱交換器(31)によるバッテリ(B)の温度を所定温度に保つことが困難となる。第2の態様では、第2利用側熱交換器(31)の着霜を抑制できるので、バッテリ(B)の温度調節の信頼性を確保できる。
【0012】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記第1利用側熱交換器(21)は、庫内の空気を冷却する。
【0013】
第3の態様では、第1利用側熱交換器(21)が庫内の空気を冷却するので、第1利用側熱交換器(21)の蒸発温度が比較的低くなり易く、第1利用側熱交換器(21)が着霜し易くなる。これに対して、制御器(60)は、第2利用側熱交換器(31)が着霜しないように、第2膨張機構(33)および圧力調節機構(34)を制御するので、第1利用側熱交換器(21)によって庫内の温度を低温としつつ、第2利用側熱交換器(31)の着霜を抑制する運転を行うことができる。
【0014】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記制御器(60)は、前記冷媒回路(R)の冷媒によって第1利用側熱交換器(21)の霜を融かすデフロスト運転を実行するように前記冷媒回路(R)を制御し、前記冷媒回路(R)は、前記デフロスト運転において前記第2利用側熱交換器(31)に冷媒が流れるのを抑制するように構成される。
【0015】
第4の態様では、第1利用側熱交換器(21)の霜を融かすデフロスト運転において、冷媒回路(R)は、第2利用側熱交換器(31)に冷媒が流れることを抑制する。このため、冷媒によって第2利用側熱交換器(31)の温度が上昇すること、さらには第2利用側熱交換器(31)の温調の対象物の温度が上昇することを抑制できる。
【0016】
第5の態様は、第4の態様において、前記制御器(60)は、前記デフロスト運転として、第1動作、第2動作、または第3動作を行うように冷媒回路(R)を制御する。
【0017】
第1動作は、前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を前記熱源側熱交換器(13)をバイパスさせて前記第1利用側熱交換器(21)に流す動作である。第2動作は、前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を前記第1利用側熱交換器(21)で放熱させ、前記熱源側熱交換器(13)で蒸発させる第2動作である。第3動作は、前記圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を、対応するファン(14)が停止中の前記熱源側熱交換器(13)、前記第1利用側熱交換器(21)の順に流す動作である。
【0018】
第6の態様は、第5の態様において、前記冷媒回路(R)には、一端が前記圧縮機(12)の吐出側に接続し、他端が前記第1冷媒流路(P1)における前記第1膨張機構(23)と前記第1利用側熱交換器(21)の間に接続するとともに、前記第1動作において前記圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒が流れるバイパス流路(36)を備える。
【0019】
第6の態様では、デフロスト運転の第1動作において、圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒が、バイパス流路(36)を介して第1利用側熱交換器(21)を流れる。これにより、第1利用側熱交換器(21)の霜を高圧冷媒によって融かすことができる。
【0020】
第7の態様は、第6の態様において、記第1冷媒流路(P1)には、前記バイパス流路(36)と該第1冷媒流路(P1)の接続端と、該第1冷媒流路(P1)および前記第2冷媒流路(P2)の分岐部(17)との間に、該接続端から該分岐部(17)への冷媒の流れを禁止する逆止弁(39)が設けられる。
【0021】
第7の態様では、第1動作において、バイパス流路(36)を流出した冷媒が、第2冷媒流路(P2)に流れることを、逆止弁(39)によって抑制できる。これにより、デフロスト運転において第2利用側熱交換器(31)に高圧冷媒が流れることを抑制できる。
【0022】
第8の態様は、前第4~第7のいずれか1つの態様において、前記制御器(60)は、前記デフロスト運転において、前記第2膨張機構(33)としての第2膨張弁(33)の開度を小さくする。なお、ここでいう「第2膨張弁の開度を小さくする」は、第2膨張弁(33)の開度をゼロとする、言い換えると第2膨張弁を全閉とすることも含む。
【0023】
第8の態様では、デフロスト運転において第2膨張弁(33)の開度が小さくなることで、冷媒が第2利用側熱交換器(31)を流れることを抑制できる。
【0024】
第9の態様は、第4~第8のいずれか1つの態様において、前記制御器(60)は、前記デフロスト運転において、前記圧力調節機構としての圧力調節弁(34)の開度を小さくする。なお、ここでいう「圧力調節弁の開度を小さくする」は、圧力調節弁(34)の開度をゼロとする、言い換えると圧力調節弁を全閉とすることも含む。
【0025】
第9の態様では、デフロスト運転において圧力調節弁(34)の開度が小さくなることで、冷媒が第2利用側熱交換器(31)を流れることを抑制できる。
【0026】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、第1膨張機構(23)は、電子膨張弁、感温式膨張弁、キャピリーチューブのいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両および冷凍装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路の概略構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る冷凍装置の主要機器のブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る冷凍装置の制御フローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例1に係る冷凍装置の冷媒回路の概略構成図である。
【
図6】
図6は、変形例2に係る冷凍装置の冷媒回路の概略構成図である。
【
図7】
図7は、変形例3に係る冷凍装置の冷媒回路の概略構成図である。
【
図8】
図8は、変形例4に係る冷凍装置の冷媒回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0029】
(1)車両
図1に示すように、実施形態に係る車両(1)はトラックである。車両(1)は、キャビン(2)と、キャビン(2)の後方に設けられる保冷庫(3)とを有する冷凍車両である。キャビン(2)内には、運転室(2a)が形成される。保冷庫(3)内には、荷室(3a)が形成される。荷室(3a)には、食料品などの対象物が貯蔵される。車両(1)は、保冷庫(3)の庫内空気を冷却するための冷凍装置(10)を有する。
【0030】
(2)冷凍装置の全体構成
本実施形態の冷凍装置(10)は、バッテリ(B)を有し、該バッテリ(B)を駆動源とする。冷凍装置(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(R)を有する。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷凍装置(10)は、第1ユニット(11)、第2ユニット(20)、および第3ユニット(30)を有する。第1ユニット(11)は、キャビン(2)の上方に配置される。第1ユニット(11)は、室外空間(O)に位置する熱源ユニットを構成する。第2ユニット(20)は、荷室(3a)に配置される。第2ユニット(20)は、冷却ユニットを構成する。第3ユニット(30)は、仕切部材(4)によって荷室(3a)と区画されたバッテリ室(30a)に配置される。第3ユニット(30)は、バッテリ温調ユニットを構成する。
【0031】
第1ユニット(11)は、圧縮機(12)、室外熱交換器(13)、および室外ファン(14)を有する。第2ユニット(20)は、庫内熱交換器(21)および庫内ファン(22)を有する。第3ユニット(30)は、バッテリ(B)、バッテリ側熱交換器(31)、およびバッテリ側ファン(32)を有する。なお、第3ユニット(30)は、バッテリ側ファン(32)を有しない構成であってもよい。
【0032】
(2-1)冷媒回路の構成
図2に示すように、冷媒回路(R)は、主要な機器として、圧縮機(12)、室外熱交換器(13)、庫内熱交換器(21)、およびバッテリ側熱交換器(31)を有する。冷媒回路(R)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、および圧力調節弁(34)を有する。
【0033】
圧縮機(12)は、吸入した冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(12)は、スクロール型、ロータリー型、揺動ピストン型などの圧縮機である。圧縮機(12)は、吐出管(15)を介して室外熱交換器(13)のガス端部と直列に接続する。
【0034】
室外熱交換器(13)は、熱源側熱交換器の一例である。室外熱交換器(13)は、室外空間(O)、あるいは室外空気が流れる流路に設置される。室外熱交換器(13)は、室外空気と冷媒とを熱交換させる。室外熱交換器(13)は、フィンアンドチューブ式である。室外熱交換器(13)の液端部は、主液管(16)を介して第1管(P1)および第2管(P2)に接続する。
【0035】
室外ファン(14)は、室外熱交換器(13)の近傍に配置される。室外ファン(14)は、室外空気が室外熱交換器(13)を流れるように、室外空気を搬送する。
【0036】
第1管(P1)および第2管(P2)は、冷媒回路(R)において互いに並列に接続される。第1管(P1)および第2管(P2)の一端は、主液管(16)の端部である分岐部(17)に接続する。第1管(P1)および第2管(P2)の他端は、圧縮機(12)の吸入管(18)と接続する。第1管(P1)は、第1冷媒流路の一例である。第2管(P2)は、第2冷媒流路の一例である。
【0037】
第1管(P1)には、液側からガス側に向かって順に、第1膨張弁(23)、庫内熱交換器(21)が接続される。第1膨張弁(23)は、第1膨張機構の一例である。第1膨張弁(23)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0038】
庫内熱交換器(21)は、第1利用側熱交換器の一例である。庫内熱交換器(21)は、荷室(3a)に設置される。庫内熱交換器(21)は、荷室(3a)の空気と冷媒とを熱交換させる。庫内熱交換器(21)は、フィンアンドチューブ式である。
【0039】
庫内ファン(22)は、庫内熱交換器(21)の近傍に配置される。庫内ファン(22)は、荷室(3a)の空気が庫内熱交換器(21)を流れるように、荷室(3a)の空気を搬送する。
【0040】
第2管(P2)には、液側からガス側に向かって順に、第2膨張弁(33)、バッテリ側熱交換器(31)、圧力調節弁(34)が接続される。第2膨張弁(33)は、第2膨張機構の一例である。第2膨張弁(33)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。圧力調節弁(34)は、バッテリ側熱交換器(31)の蒸発圧力を調節する圧力調節機構の一例である。圧力調節弁(34)は、例えば電子膨張弁で構成される。
【0041】
バッテリ側熱交換器(31)は、第2利用側熱交換器の一例である。バッテリ側熱交換器(31)は、第3ユニット(30)のケーシング(35)の内部に設置される。バッテリ側熱交換器(31)は、バッテリ側ファン(32)が搬送する空気と、冷媒とを熱交換させる。なお、バッテリ側ファン(32)を省略し、バッテリ側熱交換器(31)とバッテリ(B)を接触する構成としてもよい。この場合、バッテリ側熱交換器(31)とバッテリ(B)との間では、空気を介さず直接的に熱交換が行われる。
【0042】
(2-2)第3ユニットの詳細
本実施形態の第3ユニット(30)は、バッテリ室(30a)に配置される。第3ユニット(30)は、ケーシング(35)を有する。ケーシング(35)は、中空の箱状に形成される。ケーシング(35)は、断熱部材によって構成される。ケーシング(35)は、バッテリ(B)、バッテリ側熱交換器(31)およびバッテリ側ファン(32)を収容する。バッテリ側熱交換器(31)は、バッテリ(B)と離れて配置されてもよいし、バッテリ(B)と接触するように配置されてもよい。
【0043】
バッテリ(B)は、冷凍装置(10)の電源として機能する。バッテリ(B)は、圧縮機(12)、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、およびバッテリ側ファン(32)に電力を供給する。バッテリ(B)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、圧力調節弁(34)、および各種のセンサ(詳細は後述する)に電力を供給する。
【0044】
バッテリ(B)の種類としては例えばリチウムイオンバッテリがある。バッテリ(B)は、その温度を適正な温度範囲内に維持することが求められる。この温度範囲は、例えば10℃~30℃の範囲である。特に、リチウムイオンバッテリでは、その温度管理の必要性が大きくなる。バッテリ(B)の温度が低くなり過ぎると、充放電特性が悪化する。また、バッテリ(B)の温度が高くなると、バッテリ(B)の劣化が促進される。
【0045】
(2-3)センサ
冷凍装置(10)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、庫内温度センサ(51)、バッテリ側温度センサ(52)、吸入温度センサ(53)、および吸入圧力センサ(54)を含む。
【0046】
庫内温度センサ(51)は、荷室(3a)に配置され、保冷庫(3)の庫内空気の温度を検出する。バッテリ側温度センサ(52)は、バッテリ側熱交換器(31)の表面に取り付けられる。バッテリ側温度センサ(52)は、バッテリ側熱交換器(31)の表面の温度を検出する。
【0047】
吸入温度センサ(53)は、吸入管(18)に設けられる。吸入温度センサ(53)は、圧縮機(12)に吸入される冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ(54)は、圧縮機(12)に吸入される冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(53)および吸入圧力センサ(54)は、庫内熱交換器(21)を流出した冷媒の過熱度を求めるための過熱度検出部を構成する。
【0048】
(2-4)コントローラ
図2および
図3に示すように、冷凍装置(10)は、コントローラ(60)を有する。コントローラ(60)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0049】
コントローラ(60)は、冷媒回路(R)を制御する。具体的には、コントローラ(60)は、圧縮機(12)のON/OFF、および圧縮機(12)の回転数を制御する。コントローラ(60)は、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、およびバッテリ側ファン(32)のON/OFFを制御する。コントローラ(60)は、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、およびバッテリ側ファン(32)の回転数を制御する。コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、および圧力調節弁(34)の開度を制御する。
【0050】
コントローラ(60)は、吸入温度センサ(53)および吸入圧力センサ(54)の検出値に基づいて庫内熱交換器(21)を流出した冷媒の過熱度を求める。ここで、過熱度は、吸入温度センサ(53)の検出温度から、吸入圧力センサ(54)の検出圧力に相当する飽和温度を引いた値である。
【0051】
コントローラ(60)は、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、バッテリ側熱交換器(31)が着霜しないように、第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)を制御する。この制御の詳細は後述する。
【0052】
(3)運転動作
冷凍装置(10)の基本的な運転動作について
図2を参照しながら説明する。
【0053】
冷凍装置の運転時には、コントローラ(60)が圧縮機(12)、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、およびバッテリ側ファン(32)を運転させる。コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)および第2膨張弁(33)の開度を調節する。
【0054】
圧縮機(12)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(13)を流れる。室外熱交換器(13)では、冷媒が室外空気に放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、主液管(16)を流れ、第1管(P1)と第2管(P2)とに分流する。
【0055】
第1管(P1)に流入した冷媒は、第1膨張弁(23)で減圧された後、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、冷媒が荷室(3a)内の空気から吸熱して蒸発する。荷室(3a)内の空気は、庫内熱交換器(21)によって冷やされる。
【0056】
第2管(P2)を流入した冷媒は、第2膨張弁(33)で減圧された後、バッテリ側熱交換器(31)を流れる。バッテリ側熱交換器(31)では、冷媒がケーシング(35)内の空気から吸熱して蒸発する。ケーシング(35)内の空気は、バッテリ側熱交換器(31)によって冷やされる。これにより、バッテリ(B)の温度が所定温度に調節される。
【0057】
庫内熱交換器(21)およびバッテリ側熱交換器(31)でそれぞれ蒸発した冷媒は、吸入管(18)から圧縮機(12)に吸入され、再び圧縮される。
【0058】
(4)特徴
(4-1)課題
冷凍装置(10)の運転では、上述したように、庫内熱交換器(21)によって庫内を冷却すると同時に、バッテリ側熱交換器(31)におってバッテリ(B)の温度を調節する。ここで、庫内熱交換器(21)は、冷蔵庫や冷凍庫の保冷庫(3)に設けられ、庫内の空気を比較的低温まで冷却する。このため、上述した運転では、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転条件になることがある。具体的には、庫内熱交換器(21)の蒸発温度が0度以下の運転となることがある。したがって、室外熱交換器(13)が放熱器(凝縮器)として機能し、庫内熱交換器(21)およびバッテリ側熱交換器(31)が蒸発器として機能するとともに、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下では、バッテリ側熱交換器(31)の蒸発温度も0度以下となり、バッテリ側熱交換器(31)が着霜してしまうという問題が生じる。
【0059】
バッテリ側熱交換器(31)の表面が霜で覆われると、バッテリ側熱交換器(31)の熱交換性能が低下してしまう。その結果、バッテリ(B)の温度を所定温度に調節することができず、バッテリ(B)の性能が損なわれてしまう。
【0060】
これに対して、バッテリ側熱交換器(31)を除霜するための対策を講じることもできるが、この対策により冷凍装置の構造や制御が複雑となる。
【0061】
さらに、何らかの対策により、バッテリ側熱交換器(31)を加熱すると、バッテリ(B)の温度が上昇してしまう。その結果、バッテリ(B)の寿命が短くなり、バッテリ(B)の交換頻度が高くなったり、冷凍装置(10)の信頼性が損なわれたりする問題も生じる。
【0062】
(4-2)バッテリ側熱交換器の着霜を抑制する制御
上記の課題を解決するため、制御器(60)は以下の制御を行う。この制御について
図4を参照しながら説明する。
【0063】
ステップS11では、コントローラ(60)は、庫内の空気温度(Ti)および庫内目標温度(Tis)に基づいて圧縮機(12)の回転数を調節する。ここで、空気温度(Ti)は、庫内温度センサ(51)によって検出される。庫内目標温度(Tis)は、冷凍装置の冷蔵モード/冷凍モードなどの運転モード、ユーザが入力した設定温度に応じて決定される。コントローラ(60)は、例えば空気温度(Ti)と庫内目標温度(Tis)との差ΔT(=Ti-Tis)に基づいて、圧縮機(12)の回転数を調節する。言い換えると、コントローラ(60)は庫内の冷却負荷に基づいて、圧縮機(12)の回転数を調節する。なお、コントローラ(60)は、庫内熱交換器(21)の蒸発温度(Te1)が目標蒸発温度(Tes)に近づくように圧縮機(12)の回転数を調節してもよい。この場合、目標蒸発温度(Tes)は、空気温度(Ti)および庫内目標温度(Tis)に基づいて決定される。蒸発温度(Te1)は、例えば吸入圧力センサ(54)によって検出される圧力に相当する飽和温度である。
【0064】
ステップS12では、コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)の開度を調節する。第1膨張弁(23)の開度は、圧縮機(12)に吸入される冷媒の過熱度(SH)に応じて調節される。具体的には、コントローラ(60)は、過熱度(SH)が目標過熱度に維持されるように、第1膨張弁(23)の開度を調節する。過熱度は、上述したように吸入温度センサ(53)および吸入圧力センサの検出値によって求められる。
【0065】
ステップS13では、コントローラ(60)は、第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)の開度を調節する。具体的には、コントローラ(60)は、バッテリ側熱交換器(31)の温度(バッテリ温度(Tb))がバッテリ目標温度(Tbs)に近づくように第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)の開度を調節する。ここで、バッテリ温度(Tb)は、バッテリ側温度センサ(52)によって検出される。バッテリ目標温度(Tbs)は、バッテリ(B)の最適温度である。バッテリ目標温度(Tbs)は、バッテリ側熱交換器(31)が着霜する温度(例えば0℃)よりも高い所定温度である。バッテリ目標温度(Tbs)は、庫内目標温度よりも高い所定温度であり、例えば20℃に設定される。
【0066】
図4のステップS11において、例えば庫内目標温度(Tis)が-5℃である場合、庫内熱交換器(21)の蒸発温度(Te1)は、-5℃よりも低い所定温度となる。この場合、冷凍装置(10)は、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転を行うことになる。これに対し、ステップS13では、コントローラ(60)は、バッテリ温度(Tb)がバッテリ目標温度(Tbs)に近づくように、第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)の開度を制御する。ここで、バッテリ目標温度(Tbs)は、バッテリ側熱交換器(31)が着霜する温度よりも高い。したがって、本実施形態では、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、バッテリ側熱交換器(31)が着霜することを抑制できる。
【0067】
なお、ステップ13においては、例えばコントローラ(60)は、バッテリ側熱交換器(31)を流出した冷媒の過熱度が所定の目標値となるように、第2膨張弁(33)の開度を調節する。同時に、コントローラ(60)は、バッテリ目標温度(Tbs)が目標バッテリ温度(Tb)となるように、圧力調節弁(34)の開度を調節する。
【0068】
(4-3)実施形態の効果
上記実施形態では、コントローラ(60)は、室外熱交換器(13)が放熱器として機能し、庫内熱交換器(21)およびバッテリ側熱交換器(31)が蒸発器として機能するとともに、庫内熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、バッテリ側熱交換器(31)が着霜しないように第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)の開度を制御する。
【0069】
このため、庫内熱交換器(21)により庫内の空気を低い温度まで冷却するとともに、バッテリ側熱交換器(31)の着霜を抑制できる。その結果、バッテリ側熱交換器(31)によってバッテリ(B)の温度を所望の温度に調節でき、バッテリ(B)の性能を維持できる。
【0070】
さらに、バッテリ側熱交換器(31)のデフロストを行うための手段が不要になるので、冷凍装置(10)の簡素化、低コスト化を図ることができる。加えて、デフロストによりバッテリ側熱交換器(31)の温度が高くなることを抑制できるので、バッテリ側熱交換器(31)の温度上昇に起因してバッテリ(B)の寿命が短くなることを回避できる。その結果、冷凍装置(10)の信頼性を確保できる。
【0071】
(5)実施形態の変形例
上記実施形態については、以下の変形例の構成としてもよい。なお、以下では、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0072】
(5-1)変形例1
図5に示す変形例1の冷凍装置(10)は、実施形態の冷媒回路(R)にバイパス流路(36)が付加されている。バイパス流路(36)は、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を、室外熱交換器(13)をバイパスさせて、庫内熱交換器(21)に送るための流路である。
【0073】
バイパス流路(36)の一端は、吐出管(15)に接続される。変形例1のバイパス流路(36)の他端は、第1管(P1)に接続される。具体的には、バイパス流路(36)の他端は、第1膨張弁(23)と庫内熱交換器(21)の間に接続される。
【0074】
冷媒回路(R)は、第1開閉弁(37)と第2開閉弁(38)とを有する。第1開閉弁(37)は、圧縮機(12)と室外熱交換器(13)の間のガスラインに設けられる。具体的には、第1開閉弁(37)は、ガスラインにおける、バイパス流路(36)の接続端と、室外熱交換器(13)のガス端との間に設けられる。第2開閉弁(38)は、バイパス流路(36)に設けられる。第1開閉弁(37)および第2開閉弁(38)は、それぞれ電磁開閉弁で構成される。第1開閉弁(37)および第2開閉弁(38)は、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を室外熱交換器(13)に送る流路と、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒をバイパス流路(36)に送る流路とを切り換える切換機構を構成する。切換機構は、例えば三方弁であってもよい。
【0075】
変形例1の冷凍装置(10)は、庫内熱交換器(21)の霜を融かすデフロスト運転を行う。変形例1の冷凍装置(10)は、デフロスト運転として第1動作を行う。第1動作は、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を、室外熱交換器(13)をバイパスさせて庫内熱交換器(21)に流す動作である。第1動作は、いわゆるホットガスデフロスト動作である。
【0076】
冷凍装置(10)の通常の運転では、コントローラ(60)は、第1開閉弁(37)を開け、第2開閉弁(38)を閉じる。これにより、冷媒回路(R)は、上述した実施形態と同様の冷凍サイクルを行う。
【0077】
冷凍装置(10)のデフロスト運転(第1動作)では、コントローラ(60)は、第1開閉弁(37)を閉じ、第2開閉弁(38)を開ける。コントローラ(60)は、圧縮機(12)および庫内ファン(22)を運転し、室外ファン(14)およびバッテリ側ファン(32)を停止する。コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、および圧力調節弁(34)を閉じる。
【0078】
第1動作において、圧縮機(12)から吐出された冷媒は、バイパス流路(36)を流れ、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、高圧冷媒が庫内熱交換器(21)の表面に熱を放出する。これにより、庫内熱交換器(21)の表面の霜が融ける。庫内熱交換器(21)を通過した冷媒は、圧縮機(12)に吸入される。
【0079】
変形例1の冷媒回路(R)は、デフロスト運転(第1動作)においてバッテリ側熱交換器(31)に冷媒が流れるのを抑制するように構成される。具体的には、冷媒回路(R)は、以下の1)~構成により、冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流れることを抑制する。
【0080】
1)バイパス流路(36)の他端は、第1管(P1)に接続する。例えば第1管(P1)の他端を、主液管(16)に接続すると、高圧冷媒が、第2管(P2)に流れ易くなる。これに対し、バイパス流路(36)の他端を、第1管(P1)に接続することで、高圧冷媒が第2管(P2)に流れることを抑制できる。
【0081】
2)冷媒回路(R)は、デフロスト運転において、開度が小さくなる第1膨張弁(23)を有する。第1膨張弁(23)の開度を小さくすることで、バイパス流路(36)を流れた冷媒が、第1管(P1)から第2管(P2)へ流れることを抑制できる。コントローラ(60)は、デフロスト運転において、第1膨張弁(23)を全閉としてもよいし、その開度をゼロよりも大きい所定開度まで小さくしてもよい。
【0082】
3)冷媒回路(R)は、デフロスト運転において、開度が小さくなる第2膨張弁(33)を有する。第2膨張弁(33)の開度を小さくすることで、バイパス流路(36)を流れた冷媒が、第1管(P1)から第2管(P2)へ流れることを抑制できる。コントローラ(60)は、デフロスト運転において、第2膨張弁(33)を全閉としてもよいし、その開度をゼロよりも大きい所定開度まで小さくしてもよい。
【0083】
4)冷媒回路(R)は、デフロスト運転において、開度が小さくなる圧力調節弁(34)を有する。圧力調節弁(34)の開度を小さくすることで、第1管(P1)を流れた冷媒が、第2管(P2)へ流れることを抑制できる。コントローラ(60)は、デフロスト運転において、圧力調節弁(34)を全閉としてもよいし、その開度をゼロよりも大きい所定開度まで小さくしてもよい。
【0084】
なお、冷媒回路(R)は、上記1)~4)の少なくとも1つを満たす構成でればよい。
【0085】
コントローラ(60)は、圧縮機(12)が運転される直前に、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、または圧力調節弁(34)の開度を小さくするのが好ましい。これにより、圧縮機(12)から吐出した冷媒が、バッテリ側熱交換器(31)に流れることを抑制できる。
【0086】
デフロスト運転において、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)を流れると、バッテリ(B)の温度が上昇し、バッテリ(B)の寿命が短くなる。これに対し、変形例1では、デフロスト運転において、上記1)~4)の抑制部により、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流れることを抑制できる。その結果、バッテリ(B)の寿命を長くでき、冷凍装置(10)の信頼性を確保できる。
【0087】
(5-2)変形例2
図6に示す変形例2の冷凍装置(10)は、変形例1の第1管(P1)に逆止弁(39)が付加されている。逆止弁(39)は、バイパス流路(36)と第1管(P1)の接続端と、第1管(P1)および第2管(P2)の分岐部(17)との間に設けられる。逆止弁(39)は、バイパス流路(36)と第1管(P1)の接続端から、分岐部(17)への冷媒の流れを禁止する。逆止弁(39)は、分岐部(17)から、バイパス流路(36)と第1管(P1)の接続端への冷媒の流れを許容する。
【0088】
逆止弁(39)は、デフロスト運転において、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流れることを抑制する抑制部である。具体的には、第1動作において、逆止弁(39)は、バイパス流路(36)を流出した冷媒が第2管(P2)側へ流れることを禁止する。その結果、デフロス運転に起因して、バッテリ側熱交換器(31)の温度が上昇することを確実に抑制できる。
【0089】
(5-3)変形例3
図7に示す変形例3の冷凍装置(10)では、バイパス流路(36)の他端が、変形例1は異なる箇所に接続される。具体的に、バイパス流路(36)の他端は、主液管(16)に接続される。一方、デフロスト運転(第1動作)では、コントローラ(60)が第1膨張弁(23)を所定開度(例えば全開開度)で開放し、且つ第2膨張弁(33)を全閉する。圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒は、バイパス流路(36)、第1膨張弁(23)を通過した後、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、その表面の霜が冷媒によって融かされる。庫内熱交換器(21)を流れた冷媒は、圧縮機(12)に吸入される。
【0090】
変形例3では、コントローラ(60)が第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)を閉じることで、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流れることを抑制できる。
【0091】
(5-4)変形例4
図8に示す変形例4の冷凍装置(10)は、実施形態の冷媒回路(R)に四方切換弁(40)が設けられる。四方切換弁(40)は、冷媒回路(R)の正サイクルと逆サイクルとを切り換えるための流路切換機構である。正サイクルは、上述した実施形態の通常の運転時に冷凍サイクルに対応する。逆サイクルは、詳細は後述するデフロスト運転の第2動作の冷凍サイクルに対応する。四方切換弁(40)は、正サイクルにおいて第1状態(
図8の実線で示す状態)に切り換えられ、逆サイクルにおいて第2状態(
図8の破線で示す状態)に切り換えられる。
【0092】
第1状態の四方切換弁(40)は、圧縮機(12)の吐出管(15)と室外熱交換器(13)のガス端側とを連通させ、且つ圧縮機(12)の吸入管(18)と庫内熱交換器(21)およびバッテリ側熱交換器(31)のガス端側とを連通させる。第2状態の四方切換弁(40)は、圧縮機(12)の吐出管(15)と庫内熱交換器(21)およびバッテリ側熱交換器(31)のガス端側とを連通させ、且つ圧縮機(12)の吸入管(18)と室外熱交換器(13)のガス端側とを連通させる。
【0093】
変形例4では、コントローラ(60)は、デフロスト運転として、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を庫内熱交換器(21)で放熱させ、室外熱交換器(13)で蒸発させる第2動作を行うように冷媒回路(R)を制御する。第2動作は、いわゆる逆サイクルデフロスト動作である。
【0094】
冷凍装置(10)のデフロスト運転(第2動作)では、コントローラ(60)は、四方切換弁(40)を第2状態とする。コントローラ(60)は、圧縮機(12)、室外ファン(14)、および庫内ファン(22)を運転し、バッテリ側ファン(32)を停止する。コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)の開度を適宜調節する。コントローラ(60)は、第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)を閉じる。
【0095】
第2動作において、圧縮機(12)から吐出された冷媒は、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、高圧冷媒が庫内熱交換器(21)の表面に熱を放出する。これにより、庫内熱交換器(21)の表面の霜が融ける。庫内熱交換器(21)を通過した冷媒は、第1膨張弁(23)で減圧された後、室外熱交換器(13)を流れる。室外熱交換器(13)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(13)を通過した冷媒は、圧縮機(12)に吸入される。
【0096】
変形例4の冷媒回路(R)は、デフロスト運転(第2動作)においてバッテリ側熱交換器(31)に冷媒が流れるのを抑制するように構成される。具体的には、圧力調節弁(34)の開度を小さくすることで、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流入することが抑制される。第2膨張弁(33)の開度を小さくすることで、冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流入することが抑制される。
【0097】
(5-5)変形例5
変形例5の冷凍装置(10)は、
図2に示す上記実施形態と同様の冷媒回路(R)において、コントローラ(60)は、デフロスト運転として、第3動作を行うように冷媒回路(R)を制御する。第3動作は、圧縮機(12)から吐出した高圧冷媒を、対応する室外ファン(14)が停止中の室外熱交換器(13)、庫内熱交換器(21)の順に流す動作を行う。第3動作は、いわゆる正サイクルデフロスト動作である。
【0098】
冷凍装置(10)のデフロスト運転(第3動作)では、コントローラ(60)は、圧縮機(12)および庫内ファン(22)を運転し、室外ファン(14)およびバッテリ側ファン(32)を停止する。コントローラ(60)は、第1膨張弁(23)を全開とする。コントローラ(60)は、第2膨張弁(33)および圧力調節弁(34)を閉じる。
【0099】
第3動作において、圧縮機(12)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(13)および第1膨張弁(23)を通過した後、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、高圧冷媒が庫内熱交換器(21)の表面に熱を放出する。これにより、庫内熱交換器(21)の表面の霜が融ける。庫内熱交換器(21)を通過した冷媒は、圧縮機(12)に吸入される。
【0100】
変形例5の冷媒回路(R)は、デフロスト運転(第3動作)においてバッテリ側熱交換器(31)に冷媒が流れるのを抑制するように構成される。具体的には、第2膨張弁(33)の開度を小さくすることで、冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流入することが抑制される。圧力調節弁(34)の開度を小さくすることで、高圧冷媒がバッテリ側熱交換器(31)に流入することが抑制される。
【0101】
(6)その他の実施形態
上記実施形態および各変形例においては、以下の構成を採用してもよい。
【0102】
冷凍装置(10)は、車両(1)に適用されているが、鉄道、飛行機などの輸送体に適用されてもよい。冷凍装置(10)は、必ずしも輸送体に適用されていなくてもよく、据置式であってもよい。冷凍装置(10)は、室内などの空調を行う空気調和装置であってもよい。
【0103】
バッテリ(B)は、冷凍装置以外に電力を供給してもよい。バッテリ(B)は、例えば車両(1)の駆動装置に電力を供給してもよいし、運転室(2a)を空調する空気調和装置に電力を供給してもよい。
【0104】
第1利用側熱交換器は、運転室(2a)の空気を冷却したり、加熱したりする空調熱交換器であってもよい。
【0105】
第2利用側熱交換器は、バッテリ以外の対象物の温度を調節してもよい。この対象物としては、コンバータやパワーデバイスなどの電気部品がある。この電気部品は、冷凍装置(10)の電源供給回路に設けられるのが好ましい。
【0106】
第1膨張機構は、電子膨張弁でなくてもよく、感温式膨張弁やキャピラリーチューブであってもよい。第1膨張機構は、シリンダの内部で冷媒を膨張させる膨張機であってもよい。
【0107】
第2膨張機構は、電子膨張弁でなくてもよく、感温式膨張弁やキャピラリーチューブであってもよい。第2膨張機構は、シリンダの内部で冷媒を膨張させる膨張機であってもよい。
【0108】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上に説明したように、本開示は、冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0110】
10 冷凍装置
12 圧縮機
13 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
17 分岐部
21 庫内熱交換器(第1利用側熱交換器)
23 第1膨張弁(第1膨張機構)
31 バッテリ側熱交換器(第2利用側熱交換器)
33 第2膨張弁(第2膨張機構)
34 圧力調節弁(圧力調節機構)
36 バイパス流路
39 逆止弁
60 コントローラ
B バッテリ
P1 第1管(第1冷媒流路)
P2 第2管(第2冷媒流路)
R 冷媒回路
【要約】
【課題】第2利用側熱交換器の着霜を抑制できる冷凍装置を提供する。
【解決手段】制御器(60)は、熱源側熱交換器(13)が放熱器として機能し、第1利用側熱交換器(21)および前記第2利用側熱交換器(31)が蒸発器として機能するとともに、第1利用側熱交換器(21)が着霜し得る運転条件下において、第2利用側熱交換器(31)が着霜しないように第2膨張機構(33)および圧力調節機構(34)を制御する。
【選択図】
図2