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特許7436925コンピュータ、及びコンピュータに拡張カードをセットする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】コンピュータ、及びコンピュータに拡張カードをセットする方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240215BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G06F1/16 312N
F16B5/02 E
G06F1/16 312D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022555726
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2021056871
(87)【国際公開番号】W WO2021185930
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】102020107646.0
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】レスラー・ルッツ
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-103866(JP,A)
【文献】特開2009-059064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0049701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0145858(US,A1)
【文献】特開2006-092458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前パネルと、後パネルと、拡張カードスロットを有するメインボードと、前記拡張カードスロットに取り付けられ、前記前パネルに対向する前面を有する拡張カードとを備えているコンピュータであって、
前記拡張カードを前記前パネルに固定する保持装置が、前記前面に取り付けられ、
前記保持装置は、
前記拡張カードに固定されている台部と、
前記前パネルに設けられた孔に挿入されているボルトとを含み、
前記台部は湾曲部を含み、前記湾曲部は、前記拡張カードのエッジに形状で適合し、前記台部の位置を前記拡張カードに固定する、コンピュータ。
【請求項2】
前記台部は、前記拡張カードにネジで固定されている、請求項1記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記ボルトは、その前面にブラインド嵌合要素を含む、請求項1又は2記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記ボルトは、ゴム部材を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載のコンピュータ。
【請求項5】
前記メインボードは、前記メインボードの下部と後部とで、支持要素に固定されている、請求項1ないしのいずれか1項に記載のコンピュータ。
【請求項6】
前記支持要素は、前記メインボードが固定されている水平区間と、前記水平区間に垂直であり、コンピュータの前記後パネルに挿入される垂直区間とを含む、請求項記載のコンピュータ。
【請求項7】
前記前パネルは、前記ボルトを受け入れるU字形の孔を有する、請求項1ないしのいずれか1項に記載のコンピュータ。
【請求項8】
取り付け開口が、前記拡張カードの取り付けを容易にするために、前記前パネルの中に形成され、前記取り付け開口は、U字形の前記孔の直線の辺に隣接する、請求項記載のコンピュータ。
【請求項9】
前記取り付け開口はカバー要素で覆われている、請求項記載のコンピュータ。
【請求項10】
前記カバー要素は対向ラッチ要素を含み、前記対向ラッチ要素は、前記ボルトをU字形の前記孔にロックする、請求項記載のコンピュータ。
【請求項11】
前記前パネルはカバーで覆われている、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のコンピュータ。
【請求項12】
請求項記載のコンピュータに拡張カードを取り付ける方法であって、以下のステップ、即ち、
メインボードを支持要素に取り付けるステップと、
前記拡張カードを前記メインボードのスロットに取り付けるステップと、
前記メインボードと、前記メインボードに取り付けられた前記拡張カードとを含むアセンブリとともに、前記支持要素を、前記コンピュータの後パネルに目的を持って設けられた挿入開口に挿入するステップとを備え、
ボルトは、背面から前記コンピュータの前パネルでの孔に挿入され、
前記支持要素の垂直区間は、前記挿入開口を覆う、方法。
【請求項13】
請求項10記載のコンピュータに拡張カードを取り付ける方法であって、以下のステップ、即ち、
コンピュータハウジングの側面パネルの側面開口から、側面カバーを取り外すステップと、
カバー要素を取り付け開口から取り外すステップと、
前記側面開口を介して前記拡張カードを前記コンピュータに挿入するステップと、
前記拡張カードをメインボードのスロットに取り付けるステップであり、ボルトは、前記取り付け開口を介して、前記コンピュータの前パネルでの孔に上から挿入される、取り付けるステップと、
前記取り付け開口を前記カバー要素で覆うステップであり、対向ラッチ要素は前記ボルトを固定する、覆うステップと、
前記コンピュータの前記前パネルをカバーで覆うステップと、
前記側面開口を前記側面カバーで覆うステップとを備えている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前パネルと、後パネルと、メインボードとを有するコンピュータに関する。メインボードには拡張カードスロットがあり、前面が前パネルに対向するようにして、拡張カードが拡張カードスロットに取り付けられている。
【背景技術】
【0002】
拡張カードは一般には、メインボードに接続するために、メインボードの専用スロットにプラグ接続される。プラグ式の差し込み接続により、拡張カードはメインボードに電子的かつ機械的に接続される。しかしながら、そのようなプラグ式の差し込み接続は、通常、コンピュータハウジング内で拡張カードを適切に固定するためには不十分である。
【0003】
コンピュータハウジング内に拡張カードを固定するために、従来技術ではほとんどの場合に、コンピュータハウジングに取り付けられた追加の保持部材が使用される。例えば、米国特許出願US2011/0128710A1のように、保持部材はレールを含み、レールの中に、拡張カードが挿入可能である。これに加えて、米国特許第5,914,854号のように、拡張カードを固定するための複雑な機械的クランプ機構が、保持部材内に設けられることがある。
【発明の概要】
【0004】
これらの記載される保持部材は、コンピュータハウジング内に設置するためのスペースを必要とし、これは、特に非常に小型のハウジングモデルではほとんど利用できない。さらに、ハウジング内に保持部材を取り付けることは、追加の組み立て工程を意味し、これは、通常、メインボードの取り付け後であって、コンピュータ内に拡張カードを取り付ける前に行われる。
【0005】
従って、本発明の課題は、コンピュータでの拡張カードの取り付け及び固定を簡素化することである。
【0006】
本発明によれば、拡張カードをコンピュータの前パネルに固定する保持装置を拡張カードの前面に取り付けることによって、この課題は解決される。この点に関し、保持装置は、拡張カードに取り付けられている台部と、この目的のために前パネルに設けられた孔に挿入されているボルトとを含む。
【0007】
取り付ける拡張カードは、プラグ式の差し込み接続を介してメインボードの拡張カード用のスロットに接続されている。プラグ式の差し込み接続は、例えば、拡張カードの下側に設けられている。プラグ式の差し込み接続は、この側の区間のみを占める。
【0008】
保持装置は、拡張カードの前面に固定して取り付けられている。一実施形態では、保持装置の台部は、ネジによって拡張カードに固定されている。別の実施形態では、台部は、複数のネジによって拡張カードに固定されている。この目的のために、拡張カードの前面は、ネジが固定されたネジ孔を含む。
【0009】
台部は、例えば、拡張カードの前面にある平坦な金属シートである。一実施形態では、台部は、実質的に矩形の形状を有する。一実施形態では、台部の長辺は垂直に配置される。様々な実施形態では、台部は、1つ以上の湾曲部又は突起を有する。台部の面積は、台部が前面の一部のみを覆うように、拡張カードの前面の面積よりも小さくてよい。
【0010】
例えば、ボルトは、台部の前面に適合される金属ボルトである。一実施形態では、金属ボルトは、丸みのある円筒形状を有する。
【0011】
ボルトは、この目的のためにコンピュータの前パネルに設けられた孔に正確に嵌合して挿入することができる。丸みのある金属ボルトの場合に、孔は、最小限で金属ボルトよりも大きな直径の丸みのある形状をしている。
【0012】
この部分及び以下では、コンピュータの前パネルは、メインボードと拡張カードとを含む記載されるアセンブリを取り囲むコンピュータハウジングの前パネルであると、理解される。この部分及び以下では、前は、前パネルの方向に配向された個々の構成要素の側と、常に称される。コンピュータの後パネルと個々の構成要素の背面とにも同じことが言える。
【0013】
拡張カードに直接取り付けられる、記載される保持装置の1つの利点は、スペースをほとんど必要としないことである。台部が拡張カードに直接取り付けられている実施形態では、保持装置は、拡張カードと比較して、コンピュータハウジング内の追加スペースをほとんど必要としない。
【0014】
保持装置は拡張カードに取り付けられているので、コンピュータを組み立てる際に保持装置を固定するために、それ以上の組み立て工程は必要とされない。従って、保持装置を取り付けるためにコンピュータハウジング内にスペースを必要としない。保持装置は外部からアクセス可能である必要はない。
【0015】
一実施形態では、台部は湾曲部を含み、湾曲部は、拡張カードのエッジに整合するように成形され、かつ拡張カード上の台部の位置を規定する。
【0016】
一実施形態では、湾曲部は片側のものであり、台部の全幅に影響を及ぼす。例えば、台部が拡張カードの前部に位置し、その下端が拡張カードの前部と底部との間のエッジに位置するように、台部の下端は湾曲している。一実施形態では、湾曲部は垂直であり、拡張カードの前面と底面とに配置される台部の2つの平坦区間を接続する。
【0017】
保持装置がネジで拡張カードに取り付けられている場合に、拡張カードの前面のネジ孔の位置と、台部の湾曲部の位置とが、台部の位置を一意に規定する。
【0018】
一実施形態では、ボルトは、その前面にブラインド嵌合要素を含む。ここで、端面は、拡張カードから離れる向きに向いているボルトの側面である。コンピュータハウジングの前パネルにこの目的のために設けられた孔に、ボルトを容易かつ確実に挿入することを、ブラインド嵌合要素は可能にする。一実施形態では、ブラインド嵌合要素は、ボルトのテーパ状の面又は尖った面を含む。例えば、ブラインド嵌合要素は、円錐台の形状を有する。
【0019】
一実施形態では、ボルトは、ゴム部材を含むことを特徴とする。ボルト全体又はボルトの前方部分は、ゴム材料から形成されてよい。ゴム部材は、例えば、金属製のソケットを介して台部に取り付けられ、その結果、ボルトは、金属部材とゴム部材とを含む。金属部材は、例えば、台部にリベット止めされる。
【0020】
ゴム部材は、金属部材と比較して高い柔軟性及び弾性などの特性を有する。従って、ゴム部材は、ボルトの孔への容易かつ安全な挿入を容易にする。さらに、弾性のゴム部材は、振動及び衝撃を減衰させる。例えば、ボルトは、回転換気装置のような可動部品によって生じる振動を減衰させる。従って、ボルトは、拡張カードとコンピュータハウジングとの間の推移部での振動又は共振効果の伝達を低減する。
【0021】
一実施形態では、メインボードは、メインボードの底部と後部とで、支持要素に固定される。支持要素は、例えば、金属シートである。
【0022】
一実施形態では、支持要素は、メインボードが固定されている水平区間と、それに垂直であり、コンピュータの後パネルに挿入されている垂直区間とを含むことを特徴とする。
【0023】
水平区間は、例えば、この場合にさらに水平方向に配向されているメインボードの下側を固定した金属シートである。拡張カードのスロットは、メインボードの上側にある。
【0024】
支持要素の垂直区間は、例えば、支持要素の水平区間に対して垂直に配置された第2の金属シートである。金属シートは、コンピュータの他の構成要素に対して高い電磁両立性を有する。
【0025】
2つの区間は、水平区間が底部を形成し、垂直区間が、仮想的な開放した直方体(Quader)の後部を形成するように配置される。2つの区間は、例えば、リベット接続又はネジ接続によって、互いにしっかりと接続されている。
【0026】
さらに垂直区間は、コンピュータハウジングの後パネルの区間である。一実施形態では、垂直区間は、コンピュータハウジングの後パネル全体を含む。従って、垂直区間は、コンピュータハウジングの後パネルに典型的な構造を含む。これらは、例えば、拡張カードスロット,換気開口,及びUSB,HDMI(登録商標),VGA,又はイーサネット(登録商標)コネクタのような、種々のコネクタ用の開口を含む。
【0027】
一実施形態では、前パネルは、ボルトを受け入れるU字形の孔を含む。この場合に、孔の丸みを帯びた部分の直径はボルトの直径よりもわずかに大きいので、ボルトは孔に容易かつ確実に挿入できる。
【0028】
別の実施形態では、拡張カードの取り付けを容易にするために、コンピュータハウジングの前パネルの中に取り付け開口が形成され、取り付け開口は、U字形の孔の直線の辺に隣接する。一実施形態では、取り付け開口は、矩形の形状を有する。
【0029】
後パネルを開放せずに、前パネルでの取り付け開口を介して、拡張カードは、取り付け及び取り外しが行われてよい。そのために拡張カードとメインボードのプラグ接続を解除する。
【0030】
一実施形態では、メインボードの上部にプラグ接続されている拡張カードは、上方に持ち上げることによってメインボードから分離することができる。この目的のために、ボルトを収容する孔は、孔が取り付け開口に接続されるように上向きの開口を有するものとする。その結果、孔はU字形となり、その丸みのあるエッジはボルトに適合され、直線の辺は取り付け開口に隣接する。次いで、孔は、取り付け開口のすぐ下にある前パネルに位置決めされる。
【0031】
取り付け開口は、拡張カードの挿入及び取り外しが容易にできるサイズになっている。
【0032】
一実施形態では、取り付け開口はカバー要素で覆われている。カバー要素は、コンピュータの動作中に取り付け開口を閉鎖する。
【0033】
カバー要素は、平坦な前面と4つの狭い側部とから構成されている。一実施形態では、カバー要素の前面は、実質的に矩形の形状を有する。カバー要素は、前面のエッジに、前面に対して垂直に配置された4つの狭い側部を有する。側部を介して、カバー要素は、この目的のために取り付け開口のエッジに設けられた4つの台部にスナップ留めができ、従って固定できる。
【0034】
カバー要素は、換気開口を含んでよい。一実施形態では、カバー要素は、ハウジングを換気する換気装置を含む。カバー要素は、例えば、金属シートで作られている。金属シートは高い電磁両立性を示す。
【0035】
一実施形態では、カバー要素は、ボルトをU字形の孔に固定する対向ラッチ要素を有する。
【0036】
一実施形態では、対向ラッチ要素は弾性金属部材であり、弾性金属部材は、円筒形ボルトの側面に上から載置され、ボルトを下方にU字形の孔の中へ押圧する
【0037】
対向ラッチ要素は、例えば、カバー要素の下側部分の一部である。
【0038】
一実施形態では、コンピュータの前パネルは、追加パネルによって覆われる。追加パネルは、例えば、液体又は塵からの、コンピュータハウジングの前パネルへの追加の保護を提供するように機能する。
【0039】
本発明はさらに、コンピュータに拡張カードを取り付ける方法を備えている。この方法は、以下のステップを特徴とする。
【0040】
・支持要素にメインボードを取り付ける。
【0041】
支持要素は、垂直区間と水平区間とを有し、互いに垂直である。水平区間は、例えば、金属シートを含む。メインボードは、コンピュータハウジングの外側に水平に揃えられてよく、底部を水平区間上にして固定されてよい。この目的のために、メインボードは、支持要素にネジ止めされてよい。一実施形態では、支持要素は、この目的に適したネジ山を有する。
【0042】
・拡張カードをメインボードのスロットに取り付ける。
【0043】
メインボードは、拡張カード用のスロットを有する。拡張カードはこのスロットに挿入されるため、メインボードに電気的かつ機械的に接続される。従って、拡張カードはさらに、メインボードを介して支持要素に接続される。これに加えて、さらに、拡張カードは、例えば、ネジ接続又はプラグ式の差し込み接続によって、支持要素の垂直区間に取り付けてよい。
【0044】
・メインボードと拡張カードとを含むアセンブリが取り付けられた状態で、支持要素をスライドさせて、コンピュータの背面にこの目的のために設けられた挿入開口に挿入する。ボルトは、背面からコンピュータの前パネルでの孔に挿入される。
【0045】
ボルトを孔に挿入することによって、拡張カードはコンピュータハウジングに固定される。
【0046】
水平区間に加えて、支持要素は、後部に垂直区間を含む。この垂直区間は挿入後の挿入開口を覆っている。従って、垂直区間はさらに、コンピュータハウジングの後パネルの区間である。一実施形態では、垂直区間は、コンピュータハウジングの後パネル全体を含む。
【0047】
記載される方法は、メインボードと、拡張カードと、コンピュータハウジングの外側のコンピュータの任意の他の構成要素とを含む、アセンブリの組み立てを容易にする。これにより、組立中の部品へのアクセスが容易になる。
【0048】
次いで、支持要素上に取り付けられたアセンブリ全体が、背面からコンピュータハウジング内に挿入される。保持装置のボルトは、アセンブリが押し込まれたときにコンピュータハウジングの前パネルでの孔に挿入される。この保持装置のボルトがあるので、押し込まれた後に拡張カードを取り付けるためにそれ以上の組み立て工程は必要でない。従って、拡張カードのアクセス可能性又は取り付けのために、コンピュータハウジング内に余分なスペースを保持する必要はない。これにより、特に小型コンピュータハウジングで、スペースの一層効率的な利用が可能になる。
【0049】
本発明は、コンピュータに拡張カードを取り付ける別の方法を備えている。この方法は、以下のステップを特徴とする。
【0050】
・コンピュータハウジングの側面パネルの側面開口から、側面カバーを取り外す。
【0051】
側面パネルはコンピュータハウジングのパネルであり、これは、前パネルと後パネルとの間に配置され、これらを接続する。側面パネルは、側面開口を含む。一実施形態では、側面開口は、側面パネルの全面を占める。コンピュータの作動中には、側面パネルは側面カバーで覆われる。
【0052】
さらに一実施形態では、側面カバーは、コンピュータの前パネルに追加パネルをロックする。従って、側面カバーは追加パネルよりも前に取り外すものとする。
【0053】
・カバー要素を取り付け開口から取り外す。
【0054】
追加パネルがある場合は、まずコンピュータの前パネルから取り外すものとする。その後、カバー要素が取り付け開口から取り外される。
【0055】
・側面開口を介して、拡張カードをコンピュータに挿入する。
【0056】
好ましくは、拡張カードは、側面開口を介して挿入される。別の実施形態では、拡張カードは、コンピュータハウジングの前面での取り付け開口を介して挿入される。
【0057】
取り付け開口は、側面開口を介して拡張カードを挿入するためのスロットが容易にアクセスできるように、配置されている。
【0058】
挿入後、拡張カードはメインボードの指定されたスロットの上に配置され、ボルトはコンピュータハウジングから前面の取り付け開口を通って突き出ている。
【0059】
・拡張カードをメインボードのスロットに取り付ける。同時に、保持装置のボルトは、取り付け開口の上部からコンピュータの前パネルでの孔に挿入される。
【0060】
この目的のために、孔はU字形を有し、その直線の辺が取り付け開口に接続される。孔は、取り付け開口の下で、コンピュータハウジングの前パネルに位置する。
【0061】
拡張カードは、メインボードのスロットにプラグ接続して、取り付けられる。
【0062】
取り付け開口は、拡張カードをスロットに挿入することと、ボルトを孔に挿入することとを、同時に可能にする。
【0063】
一実施形態では、拡張カードは、コンピュータの後パネルに追加的に取り付けられる。この目的のために、拡張カードは、例えば、コンピュータの後パネルにネジ止めされる。あるいは、拡張カードは、プラグ式の差し込み接続によってコンピュータの後パネルに取り付けてよい。拡張カードを後パネルに取り付けるために、側面開口は、拡張カードに到達することを可能にする。
【0064】
・カバー要素で取り付け開口を覆う。ここで、対向ラッチ要素は、ボルトを固定する。
【0065】
対向ラッチ要素は、例えば、カバー要素の下側部分にあるバネ要素である。
【0066】
再度、コンピュータの前パネルは、カバー要素で覆われてよい。
【0067】
・側面カバーで側面開口を覆う。
【0068】
コンピュータの動作中に側面カバーを開放しなければ前パネルから取り外せないように、側面カバーは前パネルを所定の位置にロックする。
【0069】
本発明は、以下、図面を参照して、例示的な実施形態でさらに詳細に説明される。本発明は、例示的な実施形態に限定されるものではない。図面は、以下のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】メインボードと拡張カードとのアセンブリが取り付けられた支持要素の一実施形態の正面斜視図である。
図2】アセンブリを含まない支持要素の実施形態の正面斜視図である。
図3】保持装置の一実施形態の正面斜視図である。
図4】支持要素とその上に取り付けられたアセンブリとを備えている、コンピュータの一実施形態の正面斜視図である。
図5】取り付け開口が覆われたコンピュータの実施形態の正面斜視図である。
図6】コンピュータの実施形態の横断面図であり、前パネルはパネルで覆われている。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図中で、類似する要素又は明らかに同一の要素は、同一の参照符号で示される。図と、図中の比率とは、縮尺通りとはなっていない。
【0072】
図1は、支持要素1の第1実施形態を示す。支持要素1は、水平区間2と垂直区間3とを有する。垂直区間3は、その背面側で水平区間2に取り付けられている。
【0073】
支持要素1は、図2に詳細に示す。垂直区間3は、水平区間2に対して垂直であり、コンピュータハウジングの後パネルの一部である。水平及び垂直区間は、例えば、金属シートである。
【0074】
垂直区間3は、換気開口3Aを含む。さらに、垂直区間は、拡張カード用のスロット3Bと、コネクタ用の開口3Cとを含む。
【0075】
水平区間はネジ山4(内ネジ又はネジ軸)を有し、ネジ山4は、ネジ6(ネジ軸又は内ネジ)によってメインボード5を固定する。メインボードを図1に示す。
【0076】
メインボード5は、水平方向に揃えられ、支持要素1の水平区間2に位置する。メインボード5は、この区間にネジ6で固定されている。別の実施形態では、メインボード5は、垂直区間3の背面に追加的に固定される。
【0077】
メインボード5はスロットを含み、拡張カード7がスロットにプラグ接続される。拡張カード7は、例えばグラフィックカードである。拡張カード7は、メインボード5に対して垂直に配置され、かつコンピュータハウジングの垂直区間3に対して垂直に配置される。
【0078】
拡張カード7は、換気及び冷却のための換気装置8を含む。保持装置10は、拡張カード7の前面9に取り付けられている。保持装置10は、2つのネジ結合部11によって拡張カードの前面9に取り付けられている。
【0079】
コンピュータの第1実施形態の保持装置10は、図3に詳細に示されている。
【0080】
保持装置10は、台部(Leiste)12とボルト13とを含む。2つのネジ結合部11が、台部12に設けられている。台部12は、ボルト13のための金属ソケット15を含む突出区間14を有する。2つの湾曲部14A及び14Bを介して、突出区間14は台部12の残りの部分に一体化される。
【0081】
本実施形態では、ボルト13は、金属ソケットを介して台部に取り付けられた円筒形ゴム部材を含む。可撓性の弾性ゴムは、拡張カード7とコンピュータハウジングとの間の振動又は衝撃の伝達を緩和する。
【0082】
ボルト13の面は、ブラインド嵌合要素16を有する。このようなブラインド嵌合要素16は、ボルト13の安全かつ容易な挿入を確実にする。本実施形態では、ブラインド嵌合要素16は、ボルト13の端面に円錐台の形状を有する。
【0083】
さらに、台部12は、拡張カード7上の台部12の位置を規定する湾曲部17を有する。湾曲部17の形状は、拡張カード7の前面9の下端と一致する。従って、湾曲部17の位置と拡張カード7の下端とが一致するように、台部12は、1つの姿勢のみで拡張カード7に固定できる。
【0084】
図4は、コンピュータの一実施形態を示す。これは、図1に示すように、メインボード5と拡張カード7とが取り付けられた支持要素の上述した実施形態を備えている。さらに、コンピュータは前パネル18を備えている。本発明に関係しないコンピュータの他の構成要素は、図では部分的に無視される。
【0085】
前パネル18は、拡張カード7を取り付ける際に使用される矩形の取り付け開口19を含む。カバー要素を取り付けることができる取り付け開口19のエッジには、台部20が設けられている。取り付け開口19の下方で、U字形の孔21が取り付け開口19と隣接する。U字形の孔の直線の辺は、取り付け開口19に隣接する。
【0086】
コンピュータを組み立てる際に、コンピュータの背面からアセンブリを挿入すると、ボルト13が背面からU字形の孔21に挿入される。この目的のために、前パネル18の孔21は、適切に位置決めされるものとする。
【0087】
ボルト13をU字形の孔に挿入した後、拡張カード7が前パネル18に固定される。コンピュータに取り付けた後、拡張カード7は、前パネル18に直接当接し、又は、前パネルから小さい距離にある。
【0088】
コンピュータの動作中に拡張カード7の取り外し又は交換が行われる場合に、コンピュータハウジングの後部を介して取り付けられたアセンブリを用いて支持要素1全体を取り外す必要はない。むしろ、拡張カード7は、コンピュータハウジングの側面パネルに図示しない側面開口を介して、取り付けのために個々に挿入され、取り外しのために取り外される。側面パネルはコンピュータハウジングの壁であり、これは、前パネルと後パネルとの間に配置され、これらを接続する。
【0089】
別の実施形態では、拡張カード7は、取り付け開口19を介して挿入及び取り外しが行われる。
【0090】
拡張カード7は挿入後に、拡張カード7のためにメインボード5に設けられたスロットに、上方からプラグ接続される。同時に、ボルト13は、取り付け開口19を介して上方からU字形の孔21に押し込まれ、拡張カード7をさらに固定する。
【0091】
作用では、図5に示すように、前パネル18での取り付け開口19はカバー要素22で閉鎖される。カバー要素22は、矩形の前面22Aを有する。この実施形態では、カバー要素22は金属で作られている。カバー要素22は、前面のエッジに狭い側部22Bが設けられ、前面に対して垂直に後方に対向し、これによりカバー要素22は、開口した後面とともに平行六面体を形成する。側部22Bは、この形態でカバー要素22を固定するために、取り付け開口19のエッジで台部20上にスナップ止めすることができる。
【0092】
図示の実施形態では、カバー要素22は2つの換気装置23を含み、これは、コンピュータの換気及び冷却を行う。
【0093】
カバー要素22は、さらに、下側部分に、対向ラッチ要素24を含み、対向ラッチ要素24は、円筒ボルト13の側面に対して上方から押圧し、これによって前パネル18にそれを固定する。本実施形態では、対向ラッチ要素24は、カバー要素22に固定接続された弾性金属ブレードである。
【0094】
さらに前パネル18は、換気開口18A、又は挿入スロット18B、又は接続部18Cのための開口のような、追加の開口を含む。
【0095】
図6は、横から、説明した実施形態に係るコンピュータを通る断面を示す。拡張カード7は、支持要素1の水平区間2上に水平に固定されたメインボード5上に垂直にプラグ接続されている。この目的のために、支持要素は、複数のネジ山4を含む。
【0096】
支持要素の垂直区間3は、コンピュータハウジングの後パネル25に挿入される。垂直区間3は、メインボードを外部に接続する複数の開口から構成されている。
【0097】
拡張カード7は、冷却用の換気装置8を含む。拡張カード7は、保持装置10を介して前パネル18に固定されている。保持装置10はネジ結合部11によって拡張カードに取り付けられている。この目的のために、ボルト13が、前パネル18のこの目的のために設けられた孔21に挿入される。
【0098】
前パネル18はさらに、カバー要素22によって閉鎖される取り付け開口19を含む。カバー要素22は、コンピュータを換気するための換気装置23を含む。前パネル18はカバー(Blende,カバーパネル)26で覆われ、カバー26は、コンピュータを、例えば、環境からのごみや液体から保護する。
【0099】
側面カバーは、閉鎖したときに追加のカバー26をロックするので、側面カバーは、最初に取り外されなければならず、次に追加のカバーが取り外されなければならない。
【0100】
本実施形態のコンピュータを組み立てた際、拡張カード7とメインボード5とからなるアセンブリ全体を支持要素1に取り付け、後者をコンピュータの後パネル25の開口25Aに挿入した。
【0101】
後に拡張カード7の取り付け又は取り外しが行われた場合に、図示されていない側面カバーがまず取り外されなければならず、次いで、コンピュータハウジングの側面パネル上の追加のカバー26とカバー要素22とが取り外されなければならない。
【符号の説明】
【0102】
1 支持要素
2 支持要素1の水平区間
3 支持要素1の垂直区間
3A 換気開口
3B 挿入スロット
3C コネクタ用の開口
4 水平区間2のネジ山
5 メインボード
6 ネジ山4を伴うメインボード5のネジ接続部
7 拡張カード
8 拡張カードの換気装置
9 拡張カード7の前面
10 保持装置
11 拡張カード7を伴う保持装置10のネジ結合部
12 台部
13 ボルト
14 台部12の突出区間
14A,14B 突出区間での台部12の湾曲部
15 ボルト13のための金属ソケット
16 ボルト13のためのブラインド嵌合要素
17 台部12の湾曲部
18 コンピュータの前パネル
18A 換気開口
18B スロット
18C コネクタ用の開口
19 前パネル18での取り付け開口
20 取り付け開口19のエッジでの台部
21 前パネル18のU字形の孔
22 カバー要素
22A カバー要素22の前面
22B カバー要素22の側部
23 カバー要素22での換気装置
24 対向ラッチ要素
25 コンピュータの後パネル
25A 後パネル25の開口
26 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6