(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】フィラー及びその生成方法、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20240215BHJP
C25D 21/18 20060101ALI20240215BHJP
C25B 3/23 20210101ALI20240215BHJP
C25B 3/01 20210101ALI20240215BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240215BHJP
【FI】
C25D1/04 311
C25D21/18 C
C25B3/23
C25B3/01
C25B9/00 G
(21)【出願番号】P 2022554789
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2022093416
(87)【国際公開番号】W WO2022247694
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】202110565990.3
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522359291
【氏名又は名称】江蘇銘豊電子材料科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518357254
【氏名又は名称】常州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳智棟
(72)【発明者】
【氏名】曽乾瑩
(72)【発明者】
【氏名】王文昌
(72)【発明者】
【氏名】呉敏賢
(72)【発明者】
【氏名】明小強
(72)【発明者】
【氏名】王朋挙
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/007987(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/030179(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110479220(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109402678(CN,A)
【文献】特開2001-329390(JP,A)
【文献】特開2001-295090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/04
C25D 21/18
C25B 3/23
C25B 3/01
C25B 9/00
B01J 20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラーの生成方法であって、
前記フィラーは、
電解銅箔の添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされた結晶状のフィラーであって、
原料として、
塩化鉄(III)六水和物:3g、
鋳型分子:0.15~3g、
N,N-ジメチルホルムアミド:60g、
2-アミノテレフタル酸:1g、
多孔質セラミックス:6~30g、を含み、
前記鋳型分子は、電解銅箔の添加剤分解生成物分子であることを特徴とするフィラー
の生成方法。
【請求項2】
フィラーの生成方法であって、
ステップS01:塩化鉄(III)六水和物と鋳型分子を水中に溶解して反応溶液を形成し、
ステップS02:反応溶液にN,N-ジメチルホルムアミドを加え、攪拌して溶解させ、
ステップS03:反応溶液に2-アミノテレフタル酸を加え、攪拌して溶解させ、
ステップS04:多孔質セラミックスを反応溶液に浸漬して攪拌し、
ステップS05:水熱法で反応溶液を処理し、添加剤分解生成物分子を除去して、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされた結晶状のフィラーを生成する、との反応ステップを含むことを特徴とする
請求項1に記載のフィラーの生成方法。
【請求項3】
前記ステップS05は、
ステップS05.1:ステップS04で攪拌した反応溶液をポリテトラフルオロエチレンライニングボトルに投入したあと反応釜に移し、送風乾燥炉に配置して反応させ、
ステップS05.2:反応終了後に冷却し、反応溶液を取り出して遠心分離にかけてから、上清液を廃棄して生成物を収集し、
ステップS05.3:N,N-ジメチルホルムアミドで生成物を一次洗浄し、未配位の反応前駆体を洗い流し、
ステップS05.4:メタノールで生成物を二次洗浄し、生成物中の鋳型分子-添加剤分解生成物を洗い流し、
ステップS05.5:2回洗浄した生成物を遠心分離にかけて収集し、真空乾燥させて、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたフィラーを取得する、とのステップを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィラーの生成方法。
【請求項4】
前記フィラーの生成過程において、2-アミノテレフタル酸、塩化鉄(III)六水和物、N,N-ジメチルホルムアミド及び水の質量パーセント濃度は、
2-アミノテレフタル酸:塩化鉄(III)六水和物:N,N-ジメチルホルムアミド:水=1:3:60:200であることを特徴とする請求項2に記載のフィラーの生成方法。
【請求項5】
前記鋳型分子の生成方法では、
添加剤と濃硫酸を含む混合溶液を調製し、
電解反応に関与しない2つの材料を陽極及び陰極として混合溶液中に配置し、
混合溶液を電気分解し、
NaOH溶液で電解液を中和したあと、アセトン有機溶媒で抽出することで鋳型分子を取得することを特徴とする請求項2に記載のフィラーの生成方法。
【請求項6】
前記多孔質セラミックスには、酸化アルミニウム多孔質セラミックス、ジルコニア多孔質セラミックス、又は窒化アルミニウム多孔質セラミックスのいずれかを採用することを特徴とする請求項2に記載のフィラーの生成方法。
【請求項7】
前記多孔質セラミックスの粒径は、100μmよりも大きく、且つ1000μmよりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のフィラーの生成方法。
【請求項8】
高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法であって、
添加剤分解生成物吸着カラムを電解槽に接続し、
添加剤分解生成物吸着カラムを用いて電解槽内の銅電解液を濾過することで、銅電解液中の添加剤分解生成物の除去を実現しつつ、添加剤は残留させて、高周波信号伝送用電解銅箔を製造する、とのステップを含み、
前記添加剤分解生成物吸着カラムは、
フィラーを収容するガラス管と、
ガラス管内に設置されてフィラーの両端を閉塞する2つのメッシュ状ナイロン、を含み、
前記フィラーは請求項2で記載した方法で生成されることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤分解生成物の技術分野に属し、具体的に、フィラー及びその生成方法、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅箔は、回路基板における電子及び信号伝送路のキャリアとして、回路基板(PCB)の製造にとって最も重要な原料の一つとなっている。5Gの登場によって、伝送信号の周波数が増大するのに伴い、高周波信号が伝送路の銅箔表面に発生させる「表皮効果」はますます顕著になっている。伝送信号が5Gの場合、導線表面における信号の伝送厚さは0.93μm程度である。つまり、信号の伝送は表面粗さの厚さ範囲内で行われるため、自ずと信号の深刻な「定常波」や「反射」等が発生することで、信号に損失が生じ、ひいては、深刻な或いは完全な歪みが形成される。銅箔の表面が粗くなるほど、信号損失は増大する。そのため、5G技術の普及及び信号伝送の絶え間ない高周波化に伴って、高周波PCBの表面に適用される低表面粗さのロープロファイル電解銅箔に注目が集まっている。
【0003】
ロープロファイル電解銅箔を製造するためには、銅電着液に添加剤(光沢剤及びレベリング剤)を加える必要がある。しかし、銅電着の進行に伴って、一部の添加剤が酸化して分解される。また、一般的に、電着温度は50℃よりも高いが、この温度では、添加剤が生箔装置のタンクを通過したあと、どうしても一部が酸化されて分解してしまう。これらの添加剤分解生成物は銅の電着に役立たないだけでなく、銅の電着に伴って銅の電着層に混入することがある。これにより、銅箔の展延性や引張強さを低下させるなど、かえって電解銅箔の品質に影響を及ぼすこともあるため、直ちに除去せねばならない。そこで、現行のプロセスでは、電解液の循環過程において、管路に活性炭を添加することで、添加剤分解生成物を除去している。しかし、活性炭は有機物の除去において選択性を有さないため、添加剤分解生成物を除去するだけでなく、添加剤も除去してしまう。結果として、添加剤と活性炭が大量に浪費される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高周波信号伝送用電解銅箔の生産プロセスにおいて、銅電解液中の添加剤分解生成物を除去することで、電解銅箔の展延性を向上させ、銅箔の表面粗さを低下させるとの技術的課題を解決するために、フィラー及びその生成方法、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、原料として、FeCl3・6H2O:3g、鋳型分子:0.15~3g、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF):60g、2-アミノテレフタル酸(BDC):1g、多孔質セラミックス(PC):6~30gを含むフィラーを提供する。
【0006】
別の局面において、本発明は、更に、フィラーの生成方法を提供する。当該生成方法は以下を含む。
【0007】
ステップS01:塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)と鋳型分子を水中に溶解して反応溶液を形成する。
【0008】
ステップS02:反応溶液にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して溶解させる。
【0009】
ステップS03:反応溶液に2-アミノテレフタル酸(BDC)を加え、攪拌して溶解させる。
【0010】
ステップS04:多孔質セラミックス(PC)を反応溶液に浸漬して攪拌する。
【0011】
ステップS05:水熱法で反応溶液を処理し、添加剤分解生成物分子を除去して、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされた結晶状のフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を生成する。
【0012】
更に、前記ステップS05は以下を含む。
【0013】
ステップS05.1:ステップS04で攪拌した反応溶液をポリテトラフルオロエチレンライニングボトルに投入したあと反応釜に移し、送風乾燥炉に配置して反応させる。
【0014】
ステップS05.2:反応終了後に冷却し、反応溶液を取り出して遠心分離にかけてから、上清液を廃棄して生成物を収集する。
【0015】
ステップS05.3:DMFで生成物を一次洗浄し、未配位の反応前駆体を洗い流す。
【0016】
ステップS05.4:メタノールで生成物を二次洗浄し、生成物中の鋳型分子-添加剤分解生成物を洗い流す。
【0017】
ステップS05.5:2回洗浄した生成物を遠心分離にかけて収集し、真空乾燥させて、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を取得する。
【0018】
更に、前記フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成過程において、BDC、FeCl3・6H2O、DMF及びH2Oの質量パーセント濃度は、BDC:FeCl3・6H2O:DMF:H2O=1:3:60:200である。
【0019】
更に、前記鋳型分子の生成方法は以下を含む。
【0020】
添加剤と濃硫酸を含む混合溶液を調製する。次に、電解反応に関与しない2つの材料を陽極及び陰極として混合溶液中に配置し、混合溶液を電気分解する。そして、NaOH溶液で電解液を中和したあと、アセトン有機溶媒で抽出することで鋳型分子を取得する。
【0021】
更に、前記多孔質セラミックス(PC)には、酸化アルミニウム多孔質セラミックス、ジルコニア多孔質セラミックス、又は窒化アルミニウム多孔質セラミックスのいずれかを採用する。
【0022】
更に、前記多孔質セラミックス(PC)の粒径は、100μmよりも大きく、且つ1000μmよりも小さい。
【0023】
第3の局面において、本実施例は、更に、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法を提供する。当該製造方法は以下を含む。
【0024】
添加剤分解生成物吸着カラムを電解槽に接続する。添加剤分解生成物吸着カラムを用いて電解槽内の銅電解液を濾過することで、銅電解液中の添加剤分解生成物の除去を実現しつつ、添加剤は残留させて、高周波信号伝送用電解銅箔を製造する。
【0025】
更に、前記添加剤分解生成物吸着カラムは、フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を収容するガラス管と、ガラス管内に設置されてフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の両端を閉塞する2つのメッシュ状ナイロン、を含む。
【0026】
前記フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)は上述した方法で生成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の有益な効果は以下の通りである。即ち、本発明のフィラー及びその生成方法、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法では、鋳型分子、フィラー及び添加剤分解生成物吸着カラムをそれぞれ作製することで、銅電着液中の添加剤から分解された生成物を十分に吸着処理する。これにより、強酸や大量の銅イオンが存在する条件であっても、効果的に添加剤分解生成物の選択的吸着が可能となり、効果的に添加剤分解生成物が除去され、銅の電着薄膜に上記の分解生成物が混入せず、陰極及び陽極に対する電流の均一な分布が実現され、電解銅箔の品質が向上し、高周波信号伝送用電解銅箔が製造されるとの効果が達成される。
【0028】
本発明におけるその他の特徴及び利点については、後述の明細書で詳述するほか、一部は明細書から自明であるか、本発明を実施することで理解される。
【0029】
本発明における上記の目的、特徴及び利点を更に明瞭簡潔とするために、以下では、好ましい実施例を挙げるとともに、図面を組み合わせて詳細に説明する。
【0030】
本発明の具体的実施形態又は従来技術の技術方案について更に明瞭に説明するために、次に、具体的実施形態又は従来技術の記載において使用を要する図面について簡単に述べる。記載する図面は本発明の一部の実施形態であって、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提にこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明における添加剤分解生成物吸着カラムの好ましい実施例の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明瞭とするために、以下に、図面を組み合わせて本発明の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、言うまでもなく、ここで記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を要さないことを前提に取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【実施例1】
【0033】
本実施例のフィラーは、原料として、FeCl3・6H2O:3g、鋳型分子:0.15~3g、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF):60g、2-アミノテレフタル酸(BDC):1g、多孔質セラミックス(PC):6~30gを含む。
【実施例2】
【0034】
本実施例におけるフィラーの生成方法は、以下を含む。
【0035】
ステップS01:塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)と鋳型分子を水中に溶解して反応溶液を形成する。
【0036】
ステップS02:反応溶液にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して溶解させる。
【0037】
ステップS03:反応溶液に2-アミノテレフタル酸(BDC)を加え、攪拌して溶解させる。
【0038】
ステップS04:多孔質セラミックス(PC)を反応溶液に浸漬して攪拌する。
【0039】
ステップS05:水熱法で反応溶液を処理し、添加剤分解生成物分子を除去して、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされた結晶状のフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を生成する。
【0040】
本実施例において、ステップ05は以下を含む。
【0041】
ステップS05.1:ステップS04で攪拌した反応溶液をポリテトラフルオロエチレンライニングボトルに投入したあと反応釜に移し、送風乾燥炉に配置して反応させる。
【0042】
ステップS05.2:反応終了後に冷却し、反応溶液を取り出して遠心分離にかけてから、上清液を廃棄して生成物を収集する。
【0043】
ステップS05.3:DMFで生成物を一次洗浄し、未配位の反応前駆体を洗い流す。
【0044】
ステップS05.4:メタノールで生成物を二次洗浄し、生成物中の鋳型分子-添加剤分解生成物を洗い流す。
【0045】
ステップS05.5:2回洗浄した生成物を遠心分離にかけて収集し、真空乾燥させて、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を取得する。
【0046】
本実施例において、フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)は2つの部分から構成される。即ち、添加剤分子の分解生成物分子における鋳型構造を有するMI-Fe-MOFsと、MI-Fe-MOFsの担体であるセラミックス材料(PC)から構成される。鉄を中心イオンとする有機構造体Fe-MOFsの基本構成は、FeCl3・6H2O、DMF、BDC及び反応溶媒H2Oである。フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成過程において、BDC、FeCl3・6H2O、DMF及びH2Oの質量パーセント濃度は、BDC:FeCl3・6H2O:DMF:H2O=1:3:60:200である。
【0047】
前記有機構造体Fe-MOFsに鋳型分子を加えて溶出することで、鋳型分子の鋳型構造を有するMI-Fe-MOFsを取得可能である。一般的に、鋳型分子の使用量は塩化鉄の0.1~1倍とする。MI-Fe-MOFsの生成時に鋳型分子を加えない場合には、この合成で生成されるものは鋳型分子の鋳型構造を有さないFe-MOFsとなる。また、鋳型分子の使用量が0.1倍未満の場合には、鋳型分子の濃度が低すぎるため、MI-Fe-MOFs材料中の鋳型分子の鋳型構造が少なくなり、後の添加剤分解生成物の吸着能力に支障をきたす。また、鋳型分子の使用量が塩化鉄の1倍よりも大きい場合には、鋳型分子が無駄となる。通常、鋳型分子の最適使用量は、塩化鉄の使用量の0.3倍程度である。
【0048】
MI-Fe-MOFsで作製される吸着カラムに電解液を円滑に通し、銅箔電解液中の添加剤分解生成物を除去するとの目的を実現するために、MI-Fe-MOFsを大顆粒の多孔質セラミックス(PC)に担持させることは非常に有効な方法である。通常、MI-Fe-MOFsを生成する合成溶液に加えるPCの量は、塩化鉄量の0.5~10倍とする。加えるPCの量が余りに少なく、塩化鉄量の0.5倍未満の場合には、PC表面に担持されるMI-Fe-MOFs膜が厚くなりすぎて、添加剤分解生成物の吸着効率が低下する。反対に、PCの添加量が余りに多く、塩化鉄の添加量の10倍を超える場合には、PC表面のMI-Fe-MOFs膜が薄くなりすぎて、同様に添加剤分解生成物の吸着能力が低下する。一般的に、PCの最適添加量は塩化鉄量の約5倍である。
【0049】
本実施例において、鋳型分子の生成方法は以下を含む。
【0050】
添加剤と濃硫酸を含む混合溶液を調製する。次に、電解反応に関与しない2つの材料を陽極及び陰極として混合溶液中に配置し、電気化学法により鋳型分子を生成する。使用する陰極及び陽極は、電解反応に関与しない材料であればよく、例えば、金、白金、炭素及びチタン電極等とする。また、電流密度や電解温度といった電解条件は、電解銅箔の生成時の条件と一致させる。そして、混合溶液を電気分解し、NaOH溶液で電解液を中和したあと、アセトン有機溶媒で抽出することで鋳型分子を取得する。具体的には、50mL/Lの添加剤及び100mL/Lの濃硫酸を含む混合溶液を調製し、2枚のチタンプレートをそれぞれ陽極及び陰極として当該溶液中に配置する。温度50℃、電流密度70A/dm2条件において、電解時間は一般的に6~12hとする。電気化学法で鋳型分子を生成する際の電解時間は、添加剤を全て分解するのに必要な時間とすべきであり、通常は、電解銅箔生時の電流密度で12hとするのが一般的である。鋳型分子生成時の電解条件については、同じ添加剤分解生成物が得られるよう、電流密度及び温度に電解銅箔生成時の操作条件を採用すべきである。電解時間とは、電解液中の添加剤を全て分解するための時間である。また、添加剤が全て分解したか否かの判断には、液体クロマトグラフィー分析を使用して特定すればよい。一般的に、電解時間は6~12hとする。電解時間が短すぎる場合には、添加剤の分解物が余りにも少ないため、鋳型分子の濃度が過度に低くなる。また、添加剤分子も大量に存在することから、次の分子インプリンティングに影響する。反対に、電解時間が長すぎる場合には、不要に時間を浪費してしまう。NaOH溶液で電解液を中和したあと、アセトン有機溶媒で抽出すれば、添加剤分解生成物分子(即ち、鋳型分子)を取得可能である。
【0051】
本実施例において、多孔質セラミックス(PC)には、酸化アルミニウム多孔質セラミックス、ジルコニア多孔質セラミックス、又は窒化アルミニウム多孔質セラミックスのいずれかを採用する。当然ながら、多孔質セラミックス(PC)としてその他の材質を選択してもよく、当該多孔質セラミックス(PC)が耐酸腐食性を有していれば選択可能である。
【0052】
本実施例において、多孔質セラミックス(PC)の粒径は、100μmよりも大きく、且つ1000μmよりも小さい。多孔質セラミックス(PC)の粒径が小さすぎる場合には、生成されるフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の流動抵抗が大きくなりすぎて、銅電解液の流動に支障をきたす。また、多孔質セラミックス(PC)の粒径が大きすぎる場合には、銅電解液の流動が速くなりすぎて、添加剤分解生成物に対する吸着効果が低下する。
【0053】
本実施例におけるフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の具体的生成方法については、以下の実施例2.1~実施例2.9、比較例1及び比較例2を参照する。また、以下で提示する9つの実施例の原料配合比率表については表1を参照する。
【0054】
実施例2.1
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0055】
3gのFeCl3・6H2Oと0.15gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0056】
上記の均一に混合した溶液を500mLのポリテトラフルオロエチレンライニングボトルに投入したあと、500mLのステンレス製反応釜に移し、送風乾燥炉内に配置して120℃で24h反応させた。反応終了後は室温まで自然冷却させた。そして、溶液を取り出して3000rpmで10min遠心分離にかけたあと、上清液を廃棄して生成物を収集した。生成物は、まずDMFで3回洗浄した。これは、未配位の反応前駆体を洗い流すためである。次に、約50mLのメタノールを用い、攪拌状態で生成物を合計2回(各回約12h)洗浄した。これは、フィラー中の鋳型分子-添加剤分解生成物を十分に洗い流すためである。その後、洗浄した生成物を遠心分離にかけて収集し、60℃で12h真空乾燥させることで、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)を取得した。
【0057】
実施例2.2
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0058】
3gのFeCl3・6H2Oと0.2gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0059】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0060】
実施例2.3
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0061】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0062】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0063】
実施例2.4
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0064】
3gのFeCl3・6H2Oと2.4gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0065】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0066】
実施例2.5
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0067】
3gのFeCl3・6H2Oと3gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0068】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0069】
実施例2.6
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0070】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を1.5g加えて、十分に1h攪拌した。
【0071】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0072】
実施例2.7
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0073】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を6g加えて、十分に1h攪拌した。
【0074】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0075】
実施例2.8
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0076】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を24g加えて、十分に1h攪拌した。
【0077】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0078】
実施例2.9
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0079】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を30g加えて、十分に1h攪拌した。
【0080】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0081】
比較例1
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0082】
3gのFeCl3・6H2Oと0gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸(BDC)を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を15g加えて、十分に1h攪拌した。
【0083】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0084】
比較例2
フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の生成方法は以下の通りとした。
【0085】
3gのFeCl3・6H2Oと0.9gの鋳型分子をそれぞれ取得し、200gの水中に溶解したあと、60gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、攪拌して全てを溶解させた。次に、1gの2-アミノテレフタル酸を当該溶液に加え、攪拌して溶解させたあと、多孔質セラミックス(PC)を0g加えて、十分に1h攪拌した。
【0086】
その後の操作手順は実施例2.1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【実施例3】
【0087】
本実施例における高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法は、以下を含む。
【0088】
添加剤分解生成物吸着カラムを電解槽に接続する。添加剤分解生成物吸着カラムを用いて電解槽内の銅電解液を濾過することで、銅電解液中の添加剤分解生成物の除去を実現しつつ、添加剤は残留させて、高周波信号伝送用電解銅箔を製造する。吸着カラムと電解銅箔の電解槽を接続し、電解液をMI-Fe-MOFs/PC吸着カラムに通して絶えず循環させることで、銅電解液中の添加剤分解生成物の除去を実現する。
【0089】
本実施例では、実験を簡略化するために、電解銅箔生産時の実際の環境を模倣した。当該システムにおいて、電解液中の添加剤の分解生成物を効果的に除去できれば、実際の生産時の電解銅箔生産プロセスでも添加剤の分解生成物を効果的に除去可能である。前記銅電解液は、蠕動ポンプでMI-Fe-MOFs/PC吸着カラムに通し、流速を100mL/min、MI-Fe-MOFs/PC吸着カラムの内部体積を約10mLとした。また、銅箔電解液がMI-Fe-MOFs/PC吸着カラムを通る前後の添加剤分解生成物の含有量をそれぞれ測定した。添加剤の分解生成物の測定には液体クロマトグラフィーを使用した。
【0090】
模擬溶液については、硫酸銅を硫酸溶液に溶解し、硫酸銅の濃度を300g/L、硫酸の濃度を100g/Lとした。添加剤の添加量は、各社指定の添加量とした。各社によって添加剤は異なるため、添加剤の分解生成物も異なる。本発明の実施例では、2社の添加剤を代表的に選択し、それぞれをA及びBで示した。また、定量分析操作を簡略化するために、液体クロマトグラフィーを使用して分析し、MI-Fe-MOFs/PCカラムで処理していない銅電解液の添加剤分解生成物のクロマトグラフィーピーク面積を100とした。そして、MI-Fe-MOFs/PC吸着カラムで処理したあと、添加剤分解生成物の濃度をピーク面積の低下から比率に基づき算出した。MI-Fe-MOFs/PC吸着カラムで処理したあと、クロマトグラフィー分析において、添加剤分解生成物のピーク発生が示されない場合には、当該添加剤分解生成物は未検出として0と記録した。上記の具体的実施例2.1~実施例2.9、比較例1及び比較例2は、本願のフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)の具体的生成方法であるが、上記の実施例及び比較例で列挙した反応条件及び原料濃度に限定しない。また、MI-Fe-MOFs/PC吸着カラムで処理する前後のA及びBの添加剤分解生成物の濃度変化については表2を参照する。
【0091】
図1に示すように、本実施例において、添加剤分解生成物吸着カラムは、フィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)を収容するガラス管1と、ガラス管1内に設置されてフィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)の両端を閉塞する2つのメッシュ状ナイロン3、を含んでいた。また、フィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)は上述した方法で生成した。本実施例では、添加剤分解生成物分子がインプリンティングされたMI-Fe-MOFsを担持する多孔質セラミックス(PC)粉体をフィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)として使用した。フィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)で製造した吸着カラムは、添加剤の分解生成物に対し良好な選択的除去能力を有するとともに、電解銅溶液の添加剤については除去しなかった。これにより、電解銅箔の生産プロセスで添加剤の分解生成物の選択的除去を実現しつつ、添加剤については除去しなかった。当然ながら、選択的に、フィラー2(MI-Fe-MOFs/PC)を充填及び収容するガラス管1の代わりにステンレス管を使用してもよい。
【0092】
【0093】
【0094】
表1及び表2における実施例2.1~実施例2.9から明らかなように、MI-Fe-MOFs/PC吸着カラムは銅電解液中の添加剤分解生成物の除去にとって非常に有効であった。また、表2の比較例1及び比較例2の結果から明らかなように、添加剤分解生成物分子がインプリンティングされていないFe-MOFs/PC吸着カラムは添加剤分解生成物をほぼ吸着しなかった。
【0095】
以上述べたように、本発明のフィラー及びその生成方法、高周波信号伝送用電解銅箔の製造方法を使用する場合には、銅電解液中の有機添加剤分解生成物を鋳型分子とし、塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、2-アミノテレフタル酸(BDC)及び多孔質セラミックス(PC)を原料として使用することで、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたFe-MOFs材料を生成する。なお、当該材料をMI-Fe-MOFsと記載する。そして、MI-Fe-MOFsをガラス管に充填し、添加剤分解生成物吸着カラムを製造して、銅電解液中の添加剤の分解生成物を吸着するために用いる。当該吸着カラムは、銅電解液中の添加剤分解生成物に対し良好な除去能力を有するため、銅電着液中の添加剤から分解された生成物を十分に吸着処理可能である。よって、銅の電着薄膜に上記の分解生成物が混入せず、陰極及び陽極に対する電流の均一な分布が実現されて、電解銅箔の品質が向上する結果、高周波信号伝送用電解銅箔が製造されるとの効果が達成される。
【0096】
本発明は、電解銅箔の生産プロセスにおいて添加剤の分解生成物を選択的に除去するとともに、添加剤には影響を及ぼさない方法を提供する。当該方法では、添加剤分解生成物分子の鋳型構造がインプリンティングされたMI-Fe-MOFsを担持する多孔質セラミックス(PC)粉体をフィラー(MI-Fe-MOFs/PC)として用いる。フィラー(MI-Fe-MOFs/PC)で製造した吸着カラムは、添加剤の分解生成物に対し良好な選択的除去能力を有するとともに、電解銅溶液の添加剤については除去しない。これにより、銅電解液中の添加剤分解生成物の濃度を低下させて、ロープロファイル電解銅箔の展延性を効果的に向上させる。
【0097】
本願で選択した各デバイス(具体的構造を説明していない部品)は、いずれも汎用標準部品又は当業者が周知する部品であって、その構造及び原理は、いずれも当業者が技術マニュアルを通じて知り得るか、一般的な実験方法を通じて知り得るものである。
【0098】
本発明の実施例の記載において、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部品内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0099】
本発明の記載において、説明すべき点として、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと解釈すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきではない。
【0100】
本願で提供するいくつかの実施例において、理解すべき点として、開示するシステム、装置及び方法は、その他の方式で実現してもよい。上記で記載した装置の実施例は概略的なものにすぎない。例えば、上記ユニットの区分は、論理機能の区分にすぎず、実際に実現する際には別の区分方式が存在し得る。また、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは、組み合わせてもよいし、別のシステムに集積してもよい。或いは、いくつかの特徴を省略してもよいし、実行しなくてもよい。そのほか、提示又は議論した相互の連結又は直接的な連結、或いは通信接続は、いくつかの通信インターフェース、装置又はユニットを介する間接的な連結又は通信接続としてもよいし、電気的、機械的又はその他の形式としてもよい。
【0101】
上記の別々の部品として説明したユニットは、物理的に分離されていてもよいし、いなくてもよい。また、ユニットとして提示した部品は、物理ユニットであってもよいし、なくてもよい。即ち、1つの場所に位置していてもよいし、複数のネットワークユニット上に分布していていもよい。また、実際のニーズに応じて、一部又は全部のユニットを選択して本実施例の方案の目的を実現してもよい。
【0102】
そのほか、本発明の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積してもよいし、各ユニットが独立して物理的に存在してもよいし、2つ又は2つ以上のユニットを1つのユニットに集積してもよい。
【0103】
上述した本発明に基づく理想的実施例を示唆として、上記の説明の内容から、関連の実施者は本発明の技術思想を逸脱しない範囲で様々な変更及び修正を完全に実施可能である。本発明の技術範囲は明細書の内容に限定されず、特許請求の範囲に基づいて技術範囲を特定せねばならない。
【符号の説明】
【0104】
1 ガラス管
2 フィラー
3 メッシュ状ナイロン