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特許7437001反応溶液、エマルション重合方法、エマルション重合用添加剤及びエマルション重合用の添加剤キット
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  • 特許-反応溶液、エマルション重合方法、エマルション重合用添加剤及びエマルション重合用の添加剤キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】反応溶液、エマルション重合方法、エマルション重合用添加剤及びエマルション重合用の添加剤キット
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20240215BHJP
   C08F 2/24 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C08F2/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019019705
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020125424
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】大道 正明
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 典明
(72)【発明者】
【氏名】前川 康成
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-296018(JP,A)
【文献】特開平06-136038(JP,A)
【文献】特開2007-190470(JP,A)
【文献】特開平07-278232(JP,A)
【文献】特開2003-055409(JP,A)
【文献】特開2017-125106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/24
C08F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルション重合に用いるための、脱酸素操作における発泡を抑制することができる、反応溶液であって、水、モノマー、界面活性剤及びオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有し、
前記有機溶媒が、炭素原子数4以上のアルコール、又はトルエンから選択される1種以上であって、
前記有機溶媒の含有量は、前記反応溶液において10質量%以下であり、下記式において算出される値が0.5以上となるように含有し、
式;Log Kow×Log Kow×A
(Log Kow:有機溶媒のオクタノール/水分配係数、A:有機溶媒の添加量(質量%))
前記界面活性剤の含有量は、前記反応溶液中において0.01~5質量%であって、
前記モノマーの含有量は、前記反応溶液中において0.1~40質量%であって、
前記エマルション重合は、高分子基材へのエマルショングラフト重合であることを特徴とする、反応溶液。
【請求項2】
前記エマルション重合において、エマルションを形成するミセルの平均粒子径は1μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の反応溶液。
【請求項3】
前記オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒が、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応溶液。
【請求項4】
脱酸素操作における発泡を抑制することができる、エマルション重合方法であって、水、モノマー及び界面活性剤を含有する溶液にオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を添加した、反応溶液を調製し
前記有機溶媒が、炭素原子数4以上のアルコール、又はトルエンから選択される1種以上であって、
前記有機溶媒の含有量は、前記反応溶液において10質量%以下であり、下記式において算出される値が0.5以上となるように含有し、
式;Log Kow×Log Kow×A
(Log Kow:有機溶媒のオクタノール/水分配係数、A:有機溶媒の添加量(質量%))
前記界面活性剤の含有量は、前記反応溶液中において0.01~5質量%であって、
前記モノマーの含有量は、前記反応溶液中において0.1~40質量%であって、
前記エマルション重合方法は、高分子基材へのエマルショングラフト重合法であることを特徴とする、エマルション重合方法。
【請求項5】
前記エマルション重合方法において、エマルションを形成するミセルの平均粒子径は1μm以下であることを特徴とする、請求項4に記載のエマルション重合方法。
【請求項6】
前記オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒が、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノールから選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のエマルション重合方法。
【請求項7】
水、モノマー、界面活性剤及び有機溶媒からなる反応溶液を用いて行うエマルション重合用添加剤であって、
界面活性剤と有機溶媒とを含む、脱酸素操作における発泡を抑制することができる、エマルション重合用添加剤であって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であって、
前記有機溶媒が、炭素原子数4以上のアルコール、又はトルエンから選択される1種以上であって、
前記有機溶媒の含有量は、前記反応溶液において10質量%以下であり、下記式において算出される値が0.5以上となるように含有し、
式;Log Kow×Log Kow×A
(Log Kow:有機溶媒のオクタノール/水分配係数、A:有機溶媒の添加量(質量%))
前記界面活性剤の含有量は、前記反応溶液中において0.01~5質量%であって、
前記モノマーの含有量は、前記反応溶液中において0.1~40質量%であることを特徴とする、高分子基材へのエマルショングラフト重合用添加剤。
【請求項8】
水、モノマー、界面活性剤及び有機溶媒からなる反応溶液を用いて行うエマルション重合において使用される、
界面活性剤を含むA剤と、有機溶媒を含むB剤とを備えた、脱酸素操作における発泡を抑制することができる、エマルション重合用の添加剤キットであって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であって、
前記有機溶媒が、炭素原子数4以上のアルコール、又はトルエンから選択される1種以上であって、
前記有機溶媒の含有量は、前記反応溶液において10質量%以下であり、下記式において算出される値が0.5以上となるように含有し、
式;Log Kow×Log Kow×A
(Log Kow:有機溶媒のオクタノール/水分配係数、A:有機溶媒の添加量(質量%))
前記界面活性剤の含有量は、前記反応溶液中において0.01~5質量%であって、
前記モノマーの含有量は、前記反応溶液中において0.1~40質量%であることを特徴とする、高分子基材へのエマルショングラフト重合用の添加剤キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応溶液、エマルション重合方法、エマルション重合用添加剤及びエマルション重合用の添加剤キットに関する。更に詳しくは、本発明は、エマルション重合用の反応溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルション重合は、ラジカル重合反応の一種であり、水等の溶媒中にモノマーと界面活性剤等を含むミセルを形成させた、エマルションモノマー溶液を用いて重合を行う方法である。
【0003】
また、エマルション重合の一つとして、エマルション放射線グラフト重合反応が知られている。例えば、特許文献1には、グラフト重合反応系に多くの酸素が存在すると、グラフト重合反応に先立ち行う放射線照射により発生したラジカル活性点が活性を失い、グラフト重合反応が進行しない可能性があることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-31294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線グラフト重合反応等のラジカル反応では、溶媒中に溶解した酸素を除去するため、不活性ガスのバブリング操作や、化学合成用の真空ラインや重合管を利用した脱気操作等の脱酸素操作を行っている。しかし、エマルション重合では、反応溶液に界面活性剤を含んでいることから、不活性ガスのバブリング等の脱酸素操作を行うことにより、反応溶液が発泡しがちであった。反応溶液が発泡すると、反応溶液の吹きこぼれや、真空ライン等への反応溶液の流入等のトラブルを引き起こすため、慎重な脱酸素操作を必要としていた。
【0006】
そこで、本発明の課題は、エマルション重合に用いるための反応溶液であって、不活性ガスのバブリング操作や脱気操作等の脱酸素操作における発泡が抑制された反応溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、エマルション重合に用いるための反応溶液に、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有させることで、脱酸素操作における発泡を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の反応溶液、エマルション重合方法、エマルション重合用添加剤及びエマルション重合用の添加剤キットである。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の反応溶液は、エマルション重合に用いるための反応溶液であって、水、モノマー、界面活性剤及びオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有することを特徴とするものである。
本発明の反応溶液によれば、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有しているため、脱酸素操作における発泡を抑制することができる。さらには、反応溶液にオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有することにより、反応率(グラフト率)が向上するという効果がある。
【0009】
また、本発明の反応溶液の一実施態様としては、エマルション重合は、エマルショングラフト重合であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、エマルションを形成するミセル内はモノマー濃度が高いため、グラフト基材に対して、高濃度のモノマー溶液を接触させることができる。その結果、グラフト率を向上させることができるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明の反応溶液の一実施態様としては、エマルション重合は、高分子基材へのエマルショングラフト重合であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、高分子基材に対して、様々な機能を有するグラフト鎖を形成することができるため、モノマーの置換基や機能にあわせた高分子材料を提供することができる。
【0011】
また、本発明の反応溶液の一実施態様としては、エマルション重合において、エマルションを形成するミセルの平均粒子径は1μm以下であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、より小さい粒子径のエマルション重合体を得ることができ、また、高分子基材に対して、前記ミセルが高効率で接触できるためグラフト率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の反応溶液の一実施態様としては、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒が、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノールから選択される1種以上であることを特徴とするものである。
この特徴によると、反応溶液の発泡をより抑制することができる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明のエマルション重合方法は、水、モノマー、界面活性剤を含有する溶液にオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を添加することを特徴とするものである。
この特徴によれば、不活性ガスのバブリング操作や脱気操作等の脱酸素操作による反応溶液の発泡が抑制されるため、慎重な操作を行う必要がなく、簡単にエマルション重合を行うことができる。
【0014】
また、本発明のエマルション重合方法の一実施態様としては、エマルション重合方法は、エマルショングラフト重合法であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、グラフト重合におけるグラフト率を向上させることができるという効果を奏する
【0015】
また、本発明のエマルション重合方法の一実施態様としては、エマルション重合方法は、高分子基材へのエマルショングラフト重合法であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、様々な高分子基材に対して、様々な機能を有するグラフト鎖を形成することができる。
【0016】
また、本発明のエマルション重合方法の一実施態様としては、エマルションを形成するミセルの平均粒子径は1μm以下であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、より小さい粒子径のエマルション重合体を得ることができ、また、高分子基材に対して、高効率で接触できるためグラフト率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明のエマルション重合方法の一実施態様としては、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒が、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノールから選択される1種以上であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、反応溶液の発泡をより抑制することができ、簡単にエマルション重合を行うことができる。
【0018】
上記課題を解決するための本発明のエマルション重合用添加剤は、界面活性剤と有機溶媒とを含むエマルション重合用添加剤であって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、脱酸素操作における発泡を抑制することができるエマルション重合溶液を簡単に作成することができるエマルション重合用添加剤を提供することができる。
【0019】
上記課題を解決するための本発明のエマルション重合用の添加剤キットは、界面活性剤を含むA剤と、有機溶媒を含むB剤とを備えたエマルション重合用の添加剤キットであって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、脱酸素操作における発泡を抑制することができるエマルション重合溶液を簡単に作成することができるキットを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エマルション重合に用いるための反応溶液であって、不活性ガスのバブリング操作や脱気操作等の脱酸素操作における発泡が抑制された、反応溶液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例のエマルション重合に用いる脱気装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[エマルション重合に用いるための反応溶液]
本発明の反応溶液は、エマルション重合に用いるための反応溶液である。エマルション重合とは、水に対して不溶性であるモノマーを水性溶媒中に液滴として分散した状態(エマルションの状態)で重合を行う重合反応のことである。エマルションを形成するミセルの径は、特に限定されず、マイクロエマルションやナノエマルションでもよい。
ここで、前記マイクロエマルションやナノエマルションにおけるミセルの平均粒子径については、好ましくは1μm以下である。上限値としては、より好ましくは700nm以下である。
一般的なエマルショングラフト重合は、エマルションを形成するミセルの平均粒子径を小さくすることで、下記に示す高分子基材に対して、高効率で接触できるため反応率(グラフト率)を向上させることができる。
一方、本発明の如く、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を添加した場合は、溶液界面より液体中においてエマルションの崩壊を抑制することができ、ミセルの安定性を向上させることができる。このとき、ミセルの平均粒子径はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を添加しない場合と比較して一般的に大きく測定される。ミセルの安定性向上の観点からは、例えば、50nm以上の平均粒子径のミセルが好適であり、100nm以上の平均粒子径のミセルがより好ましい。さらに、500nm以上の平均粒子径であれば、よりグラフト率を向上させることができる。
上記平均粒子径は、メディアン径であり、大塚電子株式会社製、濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000)を用いて動的光散乱法で測定することができる。
【0023】
また、本発明の反応溶液は、エマルション重合に用いるための反応溶液として、水、モノマー、界面活性剤及びオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有することを特徴とする。
【0024】
<オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒>
本発明の反応溶液は、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有する。下限値としては、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.5以上である。上限値としては、5.0以下であり、より好ましくは4.0以下である。
オクタノール/水分配係数(Log Kow)は、物質の極性を示す指標であり、オクタノールと水の2相系において、所定の物質がオクタノール相に溶解している濃度と、水に溶解している濃度の比(Kow)の常用対数値(Log Kow)として定義される値である。
【0025】
オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を反応溶液に含有させることで、不活性ガスのバブリング操作や脱気操作等の脱酸素操作によって発泡が抑制された反応溶液を提供することができる。発泡を抑制することができる原理としては、溶液界面より空気側に発生する泡は、界面活性剤がその周りに整列することによって、泡膜をより安定化させている。しかしながら、そこに上記有機溶媒が割り込むことで界面活性剤による泡膜の安定性を阻害し、発泡を抑制できると考えられる。
【0026】
さらには、反応溶液にオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有することにより、グラフト率が向上するという効果がある。グラフト率が向上する理由としては、上記有機溶媒を含有させることで、溶液界面より液体中においてエマルションの崩壊を抑制することができ、ミセルの安定性が向上することが考えられる。
【0027】
本発明のオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒としては、特に限定されず、好ましくはアルコールである。
アルコールとしては、炭素原子数4以上のアルコールであればよく、具体的には、1-ブタノール(0.88)、1-ペンタノール(1.51)、1-ヘキサノール(2.03)、1-ヘプタノール(2.62)、1-オクタノール(3.00)、1-ノナノール(3.77)等の第一級アルコール、2-ブタノール(0.61)、2-ペンタノール(1.19)、3-ペンタノール(1.21)、2-ヘキサノール(1.76)、3-ヘキサノール(1.65)等の第二級アルコールが挙げられる。アルコール以外では、トルエン(2.73)等の炭化水素が挙げられる。なお、前記有機溶媒の名称の後ろのカッコ内の数値は、各有機溶媒のLog Kowの値を示す。
なお、本発明におけるオクタノール/水分配係数(Log Kow)は、室温(25℃)で測定した値である。
【0028】
本発明の反応溶液における前記Log Kowが0.5以上の有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、下記式において算出される値が0.5以上となるように含有することが好ましい。
式;Log Kow×Log Kow×A
(Log Kow:有機溶媒のオクタノール/水分配係数、A:有機溶媒の添加量(質量%))
上記式から、反応溶液における前記有機溶媒の含有量は、好ましくは0.1質量%以上である。下限値としては、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。さらに、有機溶媒とミセル溶液とが相分離を起こさない限りにおいて、有機溶媒の添加量の上限値は限定されないが、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。前記オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒の含有量を上記範囲内とすることで、より発泡を抑え、よりグラフト率が向上した反応溶液を提供することができる。
【0029】
<モノマー>
本発明の反応溶液におけるモノマーは、ラジカル重合反応を行う物質である。本発明に用いるモノマーとしては、ラジカル重合反応が進行するものであれば限定されないが、好ましくは不飽和炭化水素基を有するモノマーである。
不飽和炭化水素基としては、より好ましくはアリル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
【0030】
前記不飽和炭化水素基を有するモノマーの具体的としては、例えば、メタクリル酸グリシジル、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するモノマーは、予め機能性官能基としてスルホン基、カルボキシル基、シアノ基、リン酸基、ホスホン酸基、あるいは、アミノ基等から選択される1種または2種以上の官能基を有するビニルモノマー類を用いることができる。具体的には、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル、4-アミノメチルスチレン、2-(アミノメチル)エチルメタクリル酸等が挙げられる。
【0031】
本発明の反応溶液におけるモノマーの含有量は、特に限定されないが、反応溶液中において好ましくは0.1~40質量%である。下限値としては、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。上限値としては、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
反応溶液におけるモノマーの含有量を上記範囲内とすることで、エマルションを維持しつつ、効率良く反応を行うことができる。
【0032】
<界面活性剤>
本発明の界面活性剤は、水性溶媒中に、モノマーの液滴としてミセルを形成するものである。界面活性剤としては、特に限定されないが、好ましくは陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。さらに、界面活性剤のHydrophile―Lipophile Balance(HLB)は限定されない。
【0033】
陰イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、好ましくはアルキルベンゼン系、アルコール系、オレフィン系、リン酸系、アミド系の界面活性剤等であり、より好ましくはドデシル硫酸ナトリウムである。陽イオン系界面活性剤は、特に限定はされないが、好ましくはオクタデシルアミン酢酸塩、トリメチルアンモニウムクロライド等である。非イオン系界面活性剤は、特に限定されないが、好ましくはエトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸エステル等であり、より好ましくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20)、ソルビタンモノラウリレート(Span20、Span85)、BriJ S 100等である。両性イオン系界面活性剤は、特に限定されないが、好ましくはベタイン系両性界面活性剤を主成分とするラウリルヒドロキシスルホベタイン(アンヒトール)である。上記界面活性剤の中でも、より好ましくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリレートである。
【0034】
本発明の反応溶液における界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、反応溶液中において、好ましくは0.01~5質量%である。下限値としては、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.04質量%以上である。上限値としては、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
反応溶液における界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることで、エマルション溶液を形成することができ、効率良く反応を行うことができる。
【0035】
<水>
本発明の反応溶液に用いる水としては、特に限定されないが、好ましくは蒸留水、イオン交換水、純水、超純水である。
【0036】
<その他の成分>
本発明の反応溶液は、エマルション重合を阻害しない限り上記の物質以外にも、例えば、上記オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒以外の有機溶媒、分散剤など、エマルション重合に利用可能な物質を添加してもよい。
【0037】
さらに、本発明の反応溶液は、エマルショングラフト重合に用いることができる。
グラフト重合とは、幹となる高分子重合体に対して、枝となるモノマーもしくは高分子化合物を反応させて、側鎖を有する重合体を形成させる重合方法である。
【0038】
前記グラフト重合において、幹となる高分子重合体としては、特に限定されないが、好ましくは高分子基材である。
高分子基材としては、高分子化合物から成形された材料であれば、形態等は限定されない。具体的には、例えば、繊維、繊維の集合体である織布又は不織布、フィルム、多孔質体等の形態が挙げられ、材料の表面積が大きくなるほど、溶液との接触面積も大きくでき、効率的に金属吸着を行えるという理由から、好ましくは繊維、繊維の集合体である織布、又は不織布である。
繊維の平均繊維径としては、特に限定されないが、好ましく0.1~200μmである。下限値としては、より好ましくは1.0μm以上であり、さらに好ましくは2.0μm以上である。上限値としては、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
【0039】
高分子基材に用いられる高分子化合物としては、特に限定されず、上記形態に成形できるものであればよい。例えば、石油系高分子および天然高分子等を採用し得る。具体的には、石油系高分子として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、環状オレフィン系樹脂、キチン等が挙げられる。或いはまた、キトサン、セルロース、デンプン等の天然高分子等が挙げられる。高分子基材に用いられる高分子化合物として、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂である。
【0040】
[エマルション重合方法]
次に、本発明のエマルション重合方法について説明する。
本発明のエマルション重合方法は、上記反応溶液を用いて重合反応を行えばよく、重合条件や工程等は適宜設定することができる。
前記反応溶液は、上記で説明したものと同様のものが含まれるものであるため、説明を省略する。
【0041】
そして、本発明のエマルション重合方法の工程としては、特に限定されないが、下記の工程(1)~(4)を備えることが好ましい。
(1)水、モノマー、界面活性剤及びオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を反応容器に添加して、反応溶液前駆体とする工程
(2)前記反応溶液前駆体をエマルション化させて、エマルション化した反応溶液とする工程
(3)前記エマルション化した反応溶液から酸素を除く工程
(4)重合反応を行う工程
【0042】
工程(1)では、水、モノマー、界面活性剤及びオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を準備し、容器に加え、反応溶液前駆体を作成する。それぞれの添加方法は特に限定されず、一斉に加えてもよく、又は順番に加えてもよい。さらに、反応溶液における前記有機溶媒の添加量は、好ましくは0.1質量%以上である。
【0043】
工程(2)は、前記工程(1)で作成した反応溶液前駆体をエマルション化させる工程である。
エマルション化の方法としては、特に限定されないが、好ましくは前記反応溶液前駆体を攪拌装置等で攪拌する方法である。
エマルション化に用いることができる攪拌装置としては、例えば、ホモジナイザー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられ、好ましくはホモジナイザーである。
また、攪拌装置の攪拌速度としては、エマルションを形成できる速度であればよく、好ましくは10rpm~10000rpmである。前記攪拌装置を前記攪拌速度で攪拌させることで、エマルションを形成するミセルのサイズを制御することができる。
【0044】
工程(3)は、前記エマルション化した反応溶液から酸素を除く工程である。エマルション重合は、ラジカル重合の一種であることから、溶液中に酸素が存在すると反応を阻害することとなる。そのため、反応溶液に対して、溶液中に存在する酸素が反応に影響を及ぼさないように脱酸素操作を行う必要がある。
脱酸素操作の方法としては、前記エマルション化した反応溶液に対して、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスをバブリングする方法や、前記エマルション化した反応溶液を減圧して脱気する方法が挙げられる。或いはまた、エマルション化した反応溶液をバブリングした後で、当該バブリング後の溶液を脱気しても良い。
本発明の反応溶液は、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有しているため、上記脱気操作において、発泡を抑制することができる。
【0045】
溶液を減圧して脱気する方法としては、溶液を液体窒素などで凍結させて、直接的に減圧脱気を行う凍結脱気や、三方コック等を備えた容器を真空ポンプ等と繋げ、コックの操作により直接減圧する方法や、図1に示す脱気装置を用いて、間接的に脱気を行う方法が挙げられる。図1に示す脱気装置を用いて、間接的に脱気を行う方法は、簡単な操作で溶液の突沸についても防止することができるため好ましい。
【0046】
図1には、脱気装置を用いて、間接的に脱気を行う方法に係る、脱気容器2及びそれを含む脱気装置1の構造を示す。
脱気容器1は、液体中の反応溶液から酸素を脱気するための脱気容器である。脱気容器1は、反応溶液を保持するための保持容器23と、前記保持容器の開口部24を封するための蓋部21と、前記保持容器の開口部と前記蓋部とを密封するための密封材22を具備する。
そして、前記脱気容器2を含む脱気装置1は、前記脱気容器2を、減圧口5を備えた脱気器具6の内部に備えた構造の装置であり、前記減圧口5を用いて、脱気器具6を減圧することで、保持容器23の周囲の空間4が減圧されることになる。
【0047】
前記脱気容器の蓋部には0.5gf/cmの圧力が加わっており、保持容器の周囲の空間を減圧すると、保持容器周囲の空間が大気圧より低くなる。そして、その時に保持容器の周囲の空間に生じる圧力と蓋部にかかる圧力の和が、保持容器の内部の気圧より小さくなると、蓋部が開いて、保持容器の内部が減圧される。そして、保持容器の内部が減圧されることで、反応溶液中の酸素が保持容器の内部空間に放出されて反応溶液中の酸素が除かれる。
【0048】
工程(4)は、前記反応溶液を用いてエマルション重合を行う工程である。
エマルション重合は、前記溶液に重合開始剤を添加する、物理的な刺激を反応溶液に与える、もしくは活性化した高分子基材を前記溶液と接触させて開始することができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合に用いることできるものであれば限定されず、好ましくは有機過酸化物、アゾ化合物、金属ヨウ化物、金属アルキル化合物、過硫酸化物が挙げられる。また、物理的な刺激として反応溶液に直接、放射線等を照射する方法や、電気化学的にラジカルを発生させることもできる。
【0049】
さらに、前記活性化した高分子基材とは、上記高分子基材にグラフト重合が可能なラジカル等の活性化点を生成させた高分子基材のことをいう。活性化点を生成させる方法としては、特に限定されないが、好ましくは放射線を照射する方法であり、放射線としてはα線、β線、γ線、電子線、紫外線等が挙げられ、好ましくは電子線又はγ線である。
照射線量としては、活性化点を生成させるのに十分な線量であればよく、好ましくは1~200kGyであり、より好ましくは5~100kGyである。照射線量を大きくすることで、グラフト率を向上させることができる。
また、照射の条件としては、例えば、予め窒素置換した空間で照射することが好ましく、室温又は冷却下で照射を行うことが好ましい。
【0050】
上述したとおり、エマルション重合は、ラジカル重合の一種であることから、溶液中に酸素が存在すると反応を阻害することとなる。そのため、反応中も不活性ガスをバブリングしつつ反応を行うことが好ましい。
反応時間は通常30分~12時間であるが、得られる重合体の分子量や、グラフト重合体のグラフト率に合わせて適宜設定することができる。
反応温度は、モノマーの反応性によって、適宜設定することができ、通常35℃~70℃である。
【0051】
また前記エマルション重合方法では、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を工程(1)において添加しているが、工程(1)で添加を行わず、工程(2)において添加を行ってもかまわない。
工程(2)において、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を添加する場合は、エマルション化の最中またはエマルション化させた後の溶液に添加することが好ましい。
【0052】
[エマルション重合用添加剤]
本発明のエマルション重合用添加剤は、界面活性剤と有機溶媒とを含むエマルション重合用添加剤であって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であることを特徴とするものである。
本発明のエマルション重合用添加剤は、前記界面活性剤とオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有していることから、脱酸素操作における発泡を抑制できるエマルション重合溶液を、簡単に作成することができるエマルション重合用添加剤として使用することができる。
【0053】
[エマルション重合用の添加剤キット]
本発明のエマルション重合用の添加剤キットは、界面活性剤を含むA剤と、有機溶媒を含むB剤とを備えたエマルション重合用の添加剤キットであって、前記有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒であることを特徴とするものである。
本発明のエマルション重合用の添加剤キットは、界面活性剤を含むA剤と有機溶媒はオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含むB剤とを備えてなることから、簡易的な実験セット等に用いることができる。
【実施例
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0055】
[発泡抑制評価]
<実施例1~6>
ガラスバイアルに0.075gのTween20と3.0gのメタクリル酸グリシジル(GMA)をはかり取り、さらに0.75gのオクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒をそれぞれ添加し、全量が150gになるように水を加えて、5分間ホモジナイザー(10000rpm)で撹拌してモノマー溶液を調製した。調製したモノマー溶液を1Lのメスシリンダーに移し替え、ケラミフィルターを用いて流速150mL/minで3分間窒素バブリングを行い、その時に生じた泡の体積によって有機溶媒の添加がモノマー溶液の発泡に及ぼす影響を評価した。使用した有機溶媒及び評価結果について表1に示す。
【0056】
<比較例1~4>
有機溶媒を用いないか、もしくは、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5未満の有機溶媒を用いて、上記実施例と同様に発泡に及ぼす影響を評価した。使用した有機溶媒及び評価結果について表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有する実施例1~6は、有機溶媒を含有しない比較例1や、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5未満の有機溶媒を含有する比較例2~4に比べて、発泡を抑制できることがわかった。さらに、実施例1と実施例3~6を対比すると、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が2.0以上の有機溶媒を含有することで、より発泡を抑制できることがわかった。
【0059】
<実施例7~12、比較例1、5~8>
次に、界面活性剤のHLBによる違い、または有機溶媒の違いを確認するために、HLBの異なる界面活性剤またはオクタノール/水分配係数(Log Kow)の違う有機溶媒を用いて、発泡に及ぼす影響の評価を行った。HLBの異なる界面活性剤を用いた以外は、上記実施例1~6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。比較例としては、有機溶媒を用いずに前記実施例と同様に発泡に及ぼす影響を評価した。
【0060】
【表2】
【0061】
表2の結果より、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有することで、界面活性剤のHLBに関係することなく、発泡を抑制できることがわかった。
【0062】
[本発明の反応溶液を用いたグラフト重合]
<実施例13~実施例22>
ガラスバイアルに0.06gのTween20(0.05質量%)と2.4gのメタクリル酸グリシジル(GMA)(2質量%)をはかり取り、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒をそれぞれ添加し、全量が120gになるように水を加えて、反応溶液前駆体を調製した。得られた反応溶液前駆体に対して、5分間ホモジナイザー(10000rpm)で撹拌することで、エマルション状態のGMA反応溶液を調製した。前記調製されたGMA反応溶液に15分間窒素バブリングを行い、GMA反応溶液内の酸素を脱気した。50kGyの電子線を照射したポリプロピレン/ポリエチレン(PP/PE)不織布(倉敷繊維加工株式会社製、EX-02、大きさ 3×5cm)を保持した反応容器に、脱気したGMA反応溶液を注入し、真空下、40℃で1時間グラフト重合を行った。重合後、反応容器からPP/PE不織布を取り出し、水とメタノールでそれぞれ3回洗浄後、一晩真空乾燥を行い、グラフト率を求めた。
グラフト重合体のグラフト率は、グラフト重合反応前後の不織布の質量から以下に示す式により算出した。
式;グラフト率:Dg(%)={(W-W)/W}×100
(W:グラフト重合前の不織布の質量、W:グラフト重合後の不織布の質量)
結果を表3に示す。
【0063】
<比較例9~12>
有機溶媒を用いないか、もしくは、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5未満の有機溶媒を用いて、上記実施例と同様にグラフト重合性を評価した。使用した有機溶媒及び評価結果について表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
表3の結果より、オクタノール/水分配係数(Log Kow)が0.5以上の有機溶媒を含有する本発明の反応溶液は、グラフト率が高く、反応性に優れていることがわかった。これは、上記有機溶媒を含有させることで、溶液界面より液体中においてミセルの崩壊を抑制し、ミセルの安定性を向上させることができたものであることから、反応性が向上する結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の反応溶液は、不活性ガスのバブリングや脱気操作等の脱酸素操作によって泡が発生しない。そのため、簡単にエマルション重合に用いるために反応溶液を提供することである。加えて、バブリングにより飛沫が散布されるため安全対策が必要なくなるため、工業的規模で製造を行う際にはより有利に活用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…脱気装置、2…脱気容器、21…蓋部、22…密封材、23…保持容器、24…開口部、3…減圧槽、31…減圧口、Os…保持容器の周囲の空間、Is…保持容器の内部の空間、L…液体


図1