(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B25J15/08 S
(21)【出願番号】P 2020023092
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】平井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】王 忠奎
(72)【発明者】
【氏名】巻山 結
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-256582(JP,A)
【文献】特開2002-160198(JP,A)
【文献】特開2019-147224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持本体と、柔軟膜部と、針部と、固定プレートと、前記柔軟膜部を伸縮する手段から構成され、
前記把持本体の
内部が空洞であって下面部が前記柔軟膜部からなり、
前記把持本体の内部に繋がり流体を出し入れできるように流体経路管が接続され、
前記把持本体の上面部が前記固定プレートからなり、
前記柔軟膜部上に前記針部が配列され、
前記針部が対象物に突刺動作を行い、前記柔軟膜部が伸縮することにより把持動作を行う
ものであって、
前記柔軟膜部を伸縮する手段が、前記流体経路管を通して前記流体を出し入れすることにより前記把持本体内部の前記空洞内の圧力を変化させて前記柔軟膜部を伸縮し、
前記把持本体内部の加圧により前記柔軟膜部が前記対象物の方向に膨らむことで前記針部が外に向けて放射状方向に開き、または前記把持本体内部の圧力低下により前記柔軟膜部が前記把持本体内部方向に膨らむことで前記針部の先端が一点方向に向き、把持動作を行うことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
把持本体と、柔軟膜部と、針部と、固定プレートと、前記柔軟膜部を伸縮する手段から構成され、
前記把持本体の内部が空洞であって下面部が前記柔軟膜部からなり、
前記柔軟膜部の前記把持本体内部側の面に磁性体を有し、
前記把持本体上面部の前記把持本体内部側の面に電磁石を有し、
前記把持本体の上面部が前記固定プレートからなり、
前記柔軟膜部上に前記針部が配列され、
前記針部が対象物に突刺動作を行い、前記柔軟膜部が伸縮することにより把持動作を行うものであって、
前記柔軟膜部を伸縮する手段
が、前記磁性体と前記電磁石との磁力の引き寄せ又は反発により前記柔軟膜部を伸縮し、
前記針部が、前記柔軟膜部の伸縮に伴い外に向けて放射状方向に開き、または前記針部の先端が一点方向に向くことで、把持動作を行うことを特徴とす
る把持装置。
【請求項3】
前記針部は
前記柔軟膜部に等間隔距離に円形状に配列していることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記針部の素材は金属、合金、硬質樹脂、セラミック素材からなることを特徴とする請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記柔軟膜部に風圧孔を有しており、
前記対象物の解放動作をする際に前記風圧孔から圧力空気により
前記対象物が押し出されることを特徴とする
請求項2に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を順に突刺動作、把持動作および解放動作をして対象物を移動させることができる把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物を把持するためのエンドエフェクタの開発が進められている。把持装置が対象物を把持する方法として、対象物を挟み込んで挟持する方法、対象物を指部で掴む方法または対象物を吸着する方法等が知られている。例えば食品工場での検品作業等において不良品を取り除く場合には確実に不良品を把持する必要がある。しかし、対象物を挟み込んで挟持する方法や掴む方法用いると、対象物間に指部などの挟持するものを入れるための対象物間距離が必要となり、隙間なく対象物が流れてきた場合、指部等が入り込むことが困難となり確実に対象物を把持することが難しい。また、吸着する方法においても対象物の表面状態の影響が大きく把持できる種類が限定され、確実に把持できるとは言えなかった。
【0003】
そこで、確実に不良品等を取り除くための把持をする方法として、以下に示すように、針を有したエンドエフェクタが対象物に突刺動作を行うことによる把持方法が知られている。
【0004】
特許文献1では、ピストンロッドの先端部にピンを有しており、空気シリンダが作動することによりピンが食材を挿入し把持動作を行っている。
【0005】
特許文献2では、把持本体と把持本体の中に粉粒体を有しており、把持本体は、掌部と、掌部の周囲に突出して設けられ掌部を厚さ方向に変形させることで掌部に向かって倒れる複数の指部を有している。さらに指部に爪部を有していることで対象物の把持動作の正確性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-333827
【文献】特開2017-185553
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の把持装置においては、把持装置の構造から把持できる対象物の形状が限られ、またピンの突き出し方向やピンの本数を鑑みると、対象物の真上に把持装置を移動させる必要がある。また、特許文献2に記載の把持装置においても同様に対象物の真上に把持装置を移動させないと把持動作をすることができない。検品作業等において、食材搬送コンベア上の不良品は流れて移動しているため、移動中の不良品の真上に把持装置を移動させて確実に把持動作を行うことは困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を鑑みて、構造が簡易で軽量であり、隙間なく流れてくる移動中の対象物でも確実に取り除くことができ、また把持できる対象物の形状が限定されない把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、把持本体と、柔軟膜部と、針部と、固定プレートと、前記柔軟膜部を伸縮する手段から構成され、前記把持本体の下面部が前記柔軟膜部からなり、前記把持本体の上面部が固定プレートからなり、前記柔軟膜部上に前記針部が配列され、前記針部が対象物に突刺動作を行い、前記柔軟膜部が伸縮することにより把持動作および解放動作を行うことを特徴としたことにある。
【0010】
前記柔軟膜部を伸縮する手段は、前記把持本体に前記把持本体内部に繋がるように流体経路管が接続され、流体を出し入れすることにより前記把持本体の内部の圧力を変化させ、前記柔軟膜部を伸縮することを特徴としたことにある。
【0011】
前記柔軟膜部を伸縮する手段は、前記柔軟膜部の前記把持本体内部側の面に磁性体を有し、把持本体上面部の把持本体内部側に電磁石を有し磁力により前記柔軟膜部を伸縮することを特徴としたことにある。
【0012】
前記針部は柔軟膜部に等間隔距離に円形状に配列していることを特徴としたことにある。
【0013】
前記針部の素材は金属、合金、硬質樹脂、セラミック素材からなることを特徴としたことにある。
【0014】
前記柔軟膜部に風圧孔を有しており、解放動作をする際に風圧孔から空気により対象物が押し出されることを特徴としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特徴によれば、当該把持装置は把持本体と、柔軟膜部と、針部と、前記柔軟膜部を伸縮する手段から構成されており把持本体の下面部が柔軟膜部からなり、前記柔軟膜部上に前記針部が配列された簡易構造かつ小型の把持装置とすることができる。針部が略垂直方向に対象物に向いており、対象物に突刺動作を行った後に柔軟膜部が対象物方向に略半楕円体状に伸びることにより前記針部が前記略半楕円体の中心から外方向に向けて放射状に針部が向くことで対象物と針部の摩擦力が生じ、把持動作が可能となる。対象物に対しては複数ある針部のうち少なくとも2本の針部が刺されば把持動作等が可能となるため、対象物の真上に当該把持装置を正確に移動することができなくても、動いている対象物に対して把持できる確率を上げることができる。また、逆に柔軟膜部が把持本体内部方向に略半楕円体状に膨らむことで、各針部の先端が一点方向に向いて、対象物を掬うように把持動作が可能になる。所定の位置に対象物を移動させた後は柔軟膜部を縮ませるまたは伸びることにより針部が突刺動作時と同方向に向くことで、重力により対象物が自然落下して移動が完了する。
【0016】
把持本体に把持本体内部に繋がるように接続された流体経路管を有することで流体が把持本体内部へと出し入れ可能となり、把持本体内部は空気が遮断された空間であるため、流体物の流入および流出により圧力を調節することができる。つまり、圧力を調整することで柔軟膜部の伸縮をコントロールすることができる。柔軟膜部の伸縮を圧力でコントロールすることで、把持動作等を行うことができる。
【0017】
柔軟膜部の把持本体側の面に磁性体を有しており、把持本体上面に電磁石等の一時的に磁力を発生させる装置を置くことで、柔軟膜部が把持本体上面方向に磁力により引き寄せられまたは反発し結果的に柔軟膜部の伸縮をコントロールすることができる。よって柔軟膜部の伸縮をすることで、把持動作等を行うことができる。
【0018】
針部が柔軟膜部に等間隔で円形状に2列になって配列することで、針部間距離が縮まり、細かい対象物を把持することに優れている。よって、一度の把持動作で多量の対象物を掬うようにして把持することができる。
【0019】
針部の素材を金属、合金、硬質樹脂、セラミック素材から形成され、対象物の種類や把持装置を使うときの環境に合わせて素材を変更できる。例えば、湿度が高い環境下等では錆びる恐れのある金属は好ましくなく、ステンレスや硬質樹脂、セラミック素材からなることが望ましい。当該把持装置のサイズを大きくするときは、密度の低くて加工がしやすい硬質樹脂等を用いることで軽量化を図ることができ、様々な形状とすることも容易である。
【0020】
把持本体内部の圧力を調節して柔軟膜部の伸縮を行うときは、把持本体内部は空気を遮断する空間にする必要があるが、磁力により柔軟膜部を調節するときは、柔軟膜部に風圧孔を有していても、柔軟膜部を伸縮には影響がない。解放動作の際に、流体経路管から圧力空気を把持本体内部に流入させることで当該風圧孔から圧力空気を吹き出され、圧力空気が対象物を解放する補助をすることができる。また、当該風圧孔を有していないと、柔軟膜部が伸縮する際に把持本体内部の体積が変化するため圧力も同様に変化し、風圧孔がないため圧力調節ができず、その結果柔軟膜部がうまく伸縮できない恐れがある。よって、風圧孔が外気と把持本体内部の空気の出し入れを調節することでスムーズに柔軟膜部を伸縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る把持装置の突刺動作時の正面図である。
【
図2】(a)本発明に係る把持装置の底面図と(b)底面図のA-A断面による断面図である。
【
図3】本発明に係る把持装置の柔軟膜部が対象物方向に膨らんだ把持動作時の(a)正面図および(b)断面図である。
【
図4】本発明に係る把持装置の柔軟膜部が把持本体内部方向に膨らんだ把持動作時の(a)正面図および(b)断面図である。
【
図5】本発明に係る把持装置の対象物の把持動作の一連の流れ(a)突刺動作前、(b)突刺動作後および(c)把持動作における正面図でる。
【
図6】本発明に係る把持装置における針部が円形状に2列に配列した実施形態で突刺動作時の(a)正面図と(b)底面図および(c)柔軟膜部が把持本体内部方向に膨らんだ把持動作時の正面図である。
【
図7】本発明に係る把持装置における柔軟膜部を伸縮する手段として磁力により伸縮させる実施形態における(a)底面図と(b)底面図においてB-B断面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態について以下図面を参照にしながら説明をする。
図1は本発明の把持装置1の正面図を示している。当該把持装置1は、把持本体2、流体経路管3、針部4、柔軟膜部5および固定プレート6から構成されている。また、簡易な構造であるため、破損しても部品交換等による修理が容易となり、軽量であるため素早い動作が可能になる。把持装置1の大きさは限定されず、対象物7の大きさによって最適な大きさに変更することができる。
【0023】
流体経路管3は固定プレート6を通り把持本体上面8に連結されており、把持本体内部9へと空気を流すための管である。図面には記載されていないが、シリンダやポンプ等に接続されていることで圧力空気を送ることができる。圧力空気でなくても、把持本体内部9に圧力をかけられる流体であれば空気に限定されず、水や油、粉粒体でも構わない。そして流体経路管3の素材は、主にシリコン等から出来ているが、流体の種類によって最適な素材を決定することができる。
【0024】
図2に示すように、把持本体2の中は、流体経路管3から圧力空気が把持本体内部9に流れるように空洞になっている。また、把持本体上面8は固定プレート6が設けられており、把持本体2とアクチュエータとが固定プレート6のねじ孔10介してねじ等の連結部材により固定される。把持本体2の形状は円形に限らず、対象物7の形状により変更することができる。例えば、底が深い三角形の形状のパッケージの中にある対象物7を把持したい場合は、突刺動作を容易にするために当該把持本体2の形状は三角形の形状又は三角形の形状のパッケージよりも小さい把持本体2を用いる方が望ましい。また、把持本体内部9空間の容量は対象物7の表面の硬さにより変更することができる。つまり、表面が硬ければ硬いほど把持本体内部9の空間を大きくすることで、把持本体内部9の空間に圧力をかけやすくなり把持動作等が容易となる。
【0025】
図2に示すように、把持本体2の下面側は柔軟膜部5を有している。当該柔軟膜部5は伸縮可能で流体物を通さない素材で作られており、主にゴム素材等である。柔軟膜部5の膜厚は対象物7の表面の硬さにより変更することができる。すなわち、膜厚を厚くすればするほど把持本体内部9の圧力が大きくなるので硬い対象物7でも突刺動作をすることができ、逆に表面が柔らかい対象物7であれば薄い柔軟膜部5で足りる。
【0026】
柔軟膜部5には、複数箇所針部4が柔軟膜部5の面上に垂直方向に固定されている。針部4の本数、長さ、直径、形状および設置箇所等は対象物7の種類によりそれぞれ最適なものに変更することができる。すなわち、針部4の本数は少なくとも2以上が好ましく本数および長さは対象物7の体積が大きければ大きいほど増やす又は長くする必要がある。また、対象物7の表面が硬いものは、針部4の直径を短くして細くする必要があり、形状は角錐状のものよりも円錐状の方が突刺動作は容易ではあるが、角錐状の針部4の方が摩擦力は大きいため対象物7を確実に把持することができる。他にも対象物7をあまり傷つけたくないときは、針部4の形状を円錐にして針部4の直径を短くし、最低限把持できる程度の摩擦力を生じさせるための長さにする必要がある。設置箇所は少なくとも対象物7を安定に把持するために針部4を等間隔に設置する必要があるが、等間隔に針部4を並べれば設置するパターンは対象物7の形状に合わせて針部4の最適な設置箇所に変更することができる。このように対象物7に合わせて最適な把持装置1とすることができる。
【0027】
把持動作を行う手順を
図5(a)~(c)を用いて説明する。
図5(a)および
図5(b)に示すように、突刺動作をするときは、把持本体内部9の圧力が加圧されずに大気圧と同一のとき柔軟膜部5は伸縮せずに水平である。よって、針部4は柔軟膜部5に対して垂直方向に設置されているため、エビフライの対象物7に対しても針部4は略垂直方向を向いている。その後アクチュエータを作動させて、針部4が対象物7に突刺動作を行う。対象物7に対して針部4は略垂直方向に向いているため、容易に突刺動作を行うことができる。本実施例のようにエビフライのような表面が油で滑りやすい対象物7でも、掴む方法や掬う方法だとうまく把持できない恐れがあるが、突刺すことによって確実に把持をすることができる。
【0028】
図5(c)に示すように突刺動作後は、ポンプ等により押し出された圧力空気が流体経路管3を通って把持本体内部9へと流れ、把持本体内部9の圧力が上がる。把持本体内部9の圧力が増大することにより、柔軟膜部5が対象物7方向に略半楕円体状に膨らむことで、各針部4が略半楕円体の中心11から外に向けて放射状方向に開こうとする。よって、針部4と対象物7との摩擦力が上がり、針部4が対象物7を把持する状態になる。この状態を維持したまま、アクチュエータを作動させて所定位置に対象物7を移動する。
【0029】
所定位置に対象物7を移動した後は、対象物7の解放動作を行う。解放動作を行う際は、把持本体内部9の圧力をポンプ等により下げて、大気圧と同程度の圧力にする。よって、略半楕円状に膨らんだ柔軟膜部5は水平方向となり、
図5(b)の状態となる。針部4は対象物7に対して垂直方向を向くので、重力により対象物7が自然落下する。これにより、解放動作が完了する。
【0030】
また、例えば刻まれたネギ等の細かい対象物7を把持したい場合は、
図6に示すような把持装置を用いることができる。同様に対象物7に突刺動作を行った後に把持本体内部9の圧力を低下させ、柔軟膜部5が把持本体内部9方向に略半楕円体状に膨らむことで、各針部4の先端が一点方向に向き、細かい対象物7を針部4が掴むように把持することができる。この把持動作は最初に突刺動作を行っているので、細かい対象物7間に指部等を入れるための細かい対象物7間距離を必要としない。また、細かい対象物7を把持しやすいように、針部4間の距離を短くし、針部4の本数を増やし、直径を短くして、長さを長くすることで、細かい対象物7と針部4との接触箇所が増えることにより一回の把持動作で多量の細かい対象物7を把持することができる。
【0031】
対象物7の解放動作を行う際には先程と同様に、把持本体内部9の圧力をポンプ等により下げて、
図6(b)に示すように柔軟膜部5が水平方向を向き、針部4が対象物7に対して垂直となるので、対象物7が自然落下して解放動作を行うことができる。
【0032】
図7に示す把持装置12においては、柔軟膜部5の把持本体内部9側に磁性体13を備えており、把持本体内部9の上面側に電磁石14を有している。当該電磁石14に電線15により電気を流すことにより、電磁石14が磁性を有することで電磁石14と磁性体13とが磁力により引き寄せられ、または反発することにより柔軟膜部5を伸縮させることができる。柔軟膜部5が伸縮することにより、上記で述べたように、針部4が外に放射状方向または、一点方向を向いて把持動作を行うことができる。電磁石14でなくても、一時的に磁力を発生させるような部品を有していればよい。
【0033】
さらに、上記記載の把持装置12においては、柔軟膜部5に空気が流通する風圧孔16を有している。ポンプ等から押し出された圧力空気が流体経路管3を通り、把持本体内部9へと伝わり柔軟膜部5に点在する風圧孔16から放出される。これにより、解放動作により対象物7を解放できなかったときに、圧力空気が対象物7を押し出すことにより解放動作を手助けすることができる。把持本体内部9の気圧を変化させて柔軟膜部5の伸縮を行うときは、当該風圧孔16を設けることができないため、圧力変化以外による柔軟膜部5の伸縮手段を用いるときにのみ風圧孔16を設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、食品工場等において検品作業を行う際に、柔軟膜部が有する針部が突刺動作を行うことで、把持できる対象物の形状が限定されずベルトコンベヤで動いている対象物に対しても確実に把持動作を行うことができ、かつ軽量で構造が簡易であるアクチュエータに取り付ける把持装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 把持装置
2 把持本体
3 流体経路管
4 針部
5 柔軟膜部
6 固定プレート
7 対象物
8 把持本体上面
9 把持本体内部
10 ねじ孔
11 略半楕円体の中心
12 把持装置
13 磁性体
14 電磁石
15 電線
16 風圧孔