(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 19/02 20060101AFI20240215BHJP
A45D 24/22 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A45D19/02 B
A45D24/22 D
A45D24/22 B
(21)【出願番号】P 2020074137
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉井 朋与
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-252834(JP,A)
【文献】特開2018-016317(JP,A)
【文献】特開平08-196334(JP,A)
【文献】特開平08-026307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00-20/52
B65D 35/00-35/42
B65D 35/56-37/00
A45D 24/22
B65D 35/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器の口部に装着可能な、前記チューブ容器に収容された毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具であって、
前記チューブ容器の前記口部に接続され、前記チューブ容器から吐出される前記毛髪化粧料を毛髪に塗布可能に構成された塗布部と、
前記塗布部に連結され、前記チューブ容器の胴部を使用者が把持した状態において、前記塗布部から離れる方向へ動く前記使用者の指が引っ掛かるように構成された指掛け部と、
を備え
、
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記チューブ容器の前記胴部から離れる方向に、前記胴部に隣接する位置から前記塗布部側の位置まで回動可能に構成されている、塗布具。
【請求項2】
前記塗布部は、前記口部を挟んで前記チューブ容器と反対側に向けて立設する複数の突起を有し、
前記複数の突起の先端を下に向けて前記塗布具を置く場合に、前記指掛け部が前記塗布部側の位置にある状態で、前記塗布具が前記塗布部と前記指掛け部とによって自立するように構成されている、請求項
1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記チューブ容器の前記胴部を押圧する方向に回動可能に構成されている、請求項1
又は請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記指掛け部は、前記チューブ容器の前記胴部と前記使用者の前記指との間に位置して前記胴部を前記指で押圧可能に構成された押圧部を有し、
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記胴部を折り曲げて前記胴部を前記押圧部と前記チューブ容器の肩部とで挟む位置に回動可能に構成されている、請求項
3に記載の塗布具。
【請求項5】
チューブ容器の口部に装着可能な、前記チューブ容器に収容された毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具であって、
前記チューブ容器の前記口部に接続され、前記チューブ容器から吐出される前記毛髪化粧料を毛髪に塗布可能に構成された塗布部と、
前記塗布部に連結され、前記チューブ容器の胴部を使用者が把持した状態において、前記塗布部から離れる方向へ動く前記使用者の指が引っ掛かるように構成された指掛け部と、
を備え
、
前記指掛け部は、前記チューブ容器の前記胴部と前記使用者の前記指との間に位置して前記胴部を前記指で押圧可能に構成された平板状の押圧部を有し、
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記チューブ容器の前記胴部を押圧する方向に回動可能に構成されている、塗布具。
【請求項6】
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記胴部を折り曲げて前記胴部を前記押圧部と前記チューブ容器の肩部とで挟む位置に回動可能に構成されている、請求項
5に記載の塗布具。
【請求項7】
チューブ容器の口部に装着可能な、前記チューブ容器に収容された毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具であって、
前記チューブ容器の前記口部に接続され、前記チューブ容器から吐出される前記毛髪化粧料を毛髪に塗布可能に構成された塗布部と、
前記塗布部に連結され、前記チューブ容器の胴部を使用者が把持した状態において、前記塗布部から離れる方向へ動く前記使用者の指が引っ掛かるように構成された指掛け部と、
を備え
、
前記指掛け部は、前記チューブ容器の前記胴部と前記使用者の前記指との間に位置して前記胴部を前記指で押圧可能に構成された押圧部を有し、
前記指掛け部は、前記塗布部側の端部を回動中心として、前記チューブ容器の前記胴部を押圧する方向に回動可能であって、前記胴部を折り曲げて前記胴部を前記押圧部と前記チューブ容器の肩部とで挟む位置に回動可能に構成されている、塗布具。
【請求項8】
前記押圧部は、折り曲げられた前記胴部を前記押圧部と前記肩部とで挟んだ状態で、前記肩部内に残存している前記毛髪化粧料を押し出すための突出部を有する、請求項
4、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛料、染毛剤などの毛髪化粧料を収容した容器の口部に塗布具を装着し、容器から吐出される毛髪化粧料を、塗布具で毛髪に塗布できるようにする場合がある。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、容器本体をスクイズすることにより毛髪化粧料を吐出可能であり、容器本体から手を離せば容器本体の復元力によって元の形状に戻るスクイズ容器に、塗布具として櫛歯を有する櫛体を設けた櫛付き容器が記載されている。また、特許文献3には、圧縮ガス等の噴射剤の圧力によって毛髪化粧料を吐出可能なエアゾール容器、又はチューブ容器に、櫛体を設けた櫛付き容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-159323号公報
【文献】特開2008-237693号公報
【文献】特開平8-196334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、毛髪化粧料が収容されたチューブ容器に対して装着可能な塗布具の構成について検討した。その結果、以下のような課題が新たに見出された。
スクイズ容器及びエアゾール容器では、毛髪化粧料の使用に伴い容器内の毛髪化粧料の量が少なくなったとしても容器本体自体の形状が変わることはあまりない。一方、チューブ容器では、容器内の毛髪化粧料の量が少なくなるにつれてチューブ容器が薄くなっていく。そのため、チューブ容器を把持して塗布具で毛髪化粧料を塗布するようにチューブ容器を動かすと、塗布具が毛髪からの抵抗を受けることにより、チューブ容器が途中で折れ曲がるように変形してしまい、塗布しにくい場合がある。
【0005】
特に、カラートリートメントなどの比較的大容量の毛髪化粧料が収容されたチューブ容器では、毛髪化粧料の使用開始当初の、チューブ容器に毛髪化粧料が充填されている場面ではチューブ容器に安定感があり塗布操作を行いやすい。しかし、容器内の毛髪化粧料の量が少なくなると使用開始当初と比べて大幅にチューブ容器が薄くなっており、チューブ容器を把持した状態での塗布操作がしにくくなっている。
【0006】
本開示の一局面は、チューブ容器内の毛髪化粧料の量が少なくなった場面でもチューブ容器を把持して塗布操作を行いやすい塗布具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、チューブ容器の口部に装着可能な、チューブ容器に収容された毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具であって、塗布部と、指掛け部と、を備える。塗布部は、チューブ容器の口部に接続され、チューブ容器から吐出される毛髪化粧料を毛髪に塗布可能に構成される。指掛け部は、塗布部に連結され、チューブ容器の胴部を使用者が把持した状態において、塗布部から離れる方向へ動く使用者の指が引っ掛かるように構成される。このような構成によれば、チューブ容器内の毛髪化粧料の量が少なくなった場面でもチューブ容器を把持して塗布操作を行いやすい。
【0008】
本開示の一態様では、指掛け部は、塗布部側の端部を回動中心として、チューブ容器の胴部を押圧する方向に回動可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、チューブ容器内の毛髪化粧料の量が少なくなるにつれて薄くなっていくチューブ容器の形状に指掛け部が追従することができ、チューブ容器の把持性が維持され塗布操作を行いやすい。
【0009】
本開示の一態様では、指掛け部は、チューブ容器の胴部と使用者の指との間に位置して胴部を指で押圧可能に構成された押圧部を有してもよい。また、指掛け部は、塗布部側の端部を回動中心として、胴部を折り曲げて胴部を押圧部とチューブ容器の肩部とで挟む位置に回動可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、残りわずかになったチューブ容器内の毛髪化粧料を押し出すことができる。
【0010】
本開示の一態様では、押圧部は、折り曲げられた胴部を押圧部と肩部とで挟んだ状態で、肩部内に残存している毛髪化粧料を押し出すための突出部を有してもよい。このような構成によれば、チューブ容器内の毛髪化粧料の量が残りわずかになった場面で、チューブ容器内の肩部に残存している毛髪化粧料を突出部で押し出すことができる。
【0011】
本開示の一態様では、指掛け部は、塗布部側の端部を回動中心として、チューブ容器の胴部から離れる方向に、胴部に隣接する位置から塗布部側の位置まで回動可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、指掛け部をフック等に引っ掛けることにより、塗布部及びチューブ容器の口部が上を向く状態で塗布具付きチューブ容器を保管することができる。
【0012】
本開示の一態様では、塗布部は、口部を挟んでチューブ容器と反対側に向けて立設する複数の突起を有してもよい。また、複数の突起の先端を下に向けて塗布具を置く場合に、指掛け部が塗布部側の位置にある状態で、塗布具が塗布部と指掛け部とによって自立するように構成されていてもよい。このような構成によれば、複数の突起の先端を下向きにして塗布具付きチューブ容器を一時的に置いたり保管したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】塗布具付きチューブ容器の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】塗布具単体を突起列の並びが見える方向から示した図である。
【
図3】塗布具単体を指掛け部の湾曲部側から示した図である。
【
図4】指掛け部がチューブ容器側にある状態の塗布具付きチューブ容器の側面図である。
【
図5】指掛け部が塗布具側にある状態の塗布具付きチューブ容器の側面図である。
【
図6】指掛け部が塗布具側にある状態の塗布具付きチューブ容器の斜視図である。
【
図7】チューブ容器の胴部を折り曲げて胴部を塗布具の押圧部とチューブ容器の肩部とで挟んだ状態を示す、塗布具付きチューブ容器の斜視図である。
【
図8】チューブ容器の口部及び肩部に残存している毛髪化粧料を塗布具の突出部で押し出す様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す塗布具付きチューブ容器100は、チューブ容器10に対して、塗布具20が装着されたものである。
【0015】
チューブ容器10の内部には毛髪化粧料が収容される。チューブ容器10は、胴部11と、口部13と、肩部15と、裾部17と、を備える。胴部11は、チューブ容器10の本体を構成する円筒状の部分である。胴部11は、比較的大容量の毛髪化粧料を収納可能に構成されている。具体的には、胴部11の胴径(外径)が25mm以上55mm以下であることが好ましい。口部13は、チューブ容器10の一端において、チューブ容器10内の毛髪化粧料が吐出される吐出口を形成する円筒状の部分である。口部13は、カラートリートメント等の粘度が比較的高い毛髪化粧料を吐出しやすくするため、また、塗布具20を装着しやすくするため、比較的大きく構成されている。具体的には、口部13の口径(内径)が10mm以上であることが好ましい。肩部15は、胴部11と口部13とを連結する円錐台状の部分である。裾部17は、胴部11における口部13と反対側の端部を板状につぶして折り曲げた形状の部分である。
【0016】
チューブ容器10の材質としては、一般的なチューブ容器の材質、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)等のオレフィン系樹脂等が挙げられる。チューブ容器10は、単層で構成されていてもよく、別の層、例えば、毛髪化粧料に含まれている染料等の成分の透過を抑制する機能を有する、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、アルミニウム等の層が、積層されたものであってもよい。
【0017】
塗布具20は、チューブ容器10に収容された毛髪化粧料を毛髪に塗布するための塗布具である。塗布具20は、チューブ容器10の口部13に装着可能である。
塗布具20は、具体的には、
図1及び
図2に示すように、接続部21と、塗布部23と、連結部25と、指掛け部27と、を備える。
【0018】
接続部21は、チューブ容器10の口部13に対する塗布具20の接続部分である。接続部21は、チューブ容器10の口部13よりも径が大きい円筒状の形状を有する。接続部21の内周面には、チューブ容器10の口部13の外周面に形成された雄ネジ部に対して螺合可能な雌ネジ部が形成されている。
【0019】
塗布部23は、毛髪を梳かしながら、チューブ容器10から吐出される毛髪化粧料を毛髪に塗布可能に構成された部分である。塗布部23は、上述のとおり接続部21を介してチューブ容器10の口部13に接続される。
【0020】
塗布部23は、複数の突起31が一列に並んだ突起列33a~33cと、これらの突起31が立設する基台部35と、を有する。各突起列33a~33cは、櫛歯状になっている。
【0021】
各突起列33a~33c内では、
図3に示すように、複数の突起31が所定のピッチで並んでいる。各突起列33a~33c内の突起31は、チューブ容器10の口部13を挟んでチューブ容器10と反対側に向けて基台部35から垂直に立設する。
【0022】
図2に示すように、両端の突起列33a,33c内の突起31は、先端31aに向かってすぼまった形状を有する。一方、両端の突起列33a,33cの間にある突起列33b内の突起31は、突起列33a~33cの並びが見える方向から見て、先端31aに向かう途中で部分的に細くなったひょうたん状の形状を有する。突起列33bの突起31がこのような形状を有するのは、細くなった部分に毛髪化粧料が入り込むことにより、毛髪化粧料が安定的に塗布部23に保持され、毛髪化粧料が落ちにくくなるためである。また、突起31を部分的に細くすることにより、塗布部23が毛髪から受ける抵抗を減らすことができ、塗布操作が行いやすくなるためである。
【0023】
チューブ容器10の口部13を基準とする突起31の高さを各突起列33a~33c内で比較すると、両端側が高くなっている。言い換えれば、各突起列33a~33c内の突起31の先端31aを結ぶ線は、中央部分においてチューブ容器10側に凸となる円弧状である。塗布部23がこのような形状を有するのは、各突起列33a~33c内の突起31の高さが同じである場合と比べて、基本的に球状に近い外形を有する人の頭部に対して、塗布部23が良好にフィットしやすくなるためである。塗布部23が頭部に対してフィットしにくいと、塗布部23と頭部の隙間から毛髪化粧料が漏れ落ちたり、塗布ムラが生じたりしやすい。また、使用者による塗布具20の使い心地が低下し、頭全体に毛髪化粧料を塗布する場合の操作回数も増える傾向にある。塗布部23が良好にフィットすることにより、このような状況が改善される。
【0024】
塗布部23は、毛髪化粧料を頭全体に塗布することを想定し比較的多量の毛髪化粧料を塗布可能に構成されている。そのため、例えば、塗布部23における、突起列33a~33c内で突起31が並ぶ方向Xに沿った長さは、チューブ容器10の当該方向Xに沿った長さよりも長い。
【0025】
チューブ容器10の口部13を基準とする突起31の高さを突起列33a~33cごとに比較すると、
図2に示すように、片方の端の突起列33aからもう片方の端の突起列33cにかけて高くなっている。具体的には、突起列33a~33cが並ぶ方向Yに沿って突起31の先端31aを結ぶ線が、指数関数曲線状である。塗布部23がこのような形状を有するのは、突起列33a~33cごとの突起31の高さが同じである場合と比べて、基本的に球状に近い外形を有する人の頭部に対して、塗布部23が良好にフィットしやすくなり、上記で述べたとおり毛髪化粧料の漏れ落ち等が改善されるためである。
【0026】
突起列33a,33c内の突起31の内部には、チューブ容器10の口部13と連通し毛髪化粧料が通る流通路が形成されており、当該流通路を通じて突起31の先端31a側の部分から毛髪化粧料が吐出される。
【0027】
基台部35は、複数の突起31が立設する台座部分である。基台部35は、
図2に示すように、突起列33a~33cが並ぶ方向Yに沿って、中央部分において突起31の先端31a側に凸となる山なりの形状である。基台部35がこのような形状を有するのは、基台部35が平坦である場合と比べて、突起列33a~33c間の隙間において突起31の根元側に毛髪化粧料が残存しにくいためである。
【0028】
連結部25は、接続部21から延出し、指掛け部27と接続部21とを連結するように構成された部分である。言い換えれば、指掛け部27は、連結部25及び接続部21を介して塗布部23と連結されている。
【0029】
連結部25は、
図1及び
図2に示すように、接続部21の、突起列33a~33cが並ぶ方向Yにおける一端側である突起列33a側の部分から、チューブ容器10の胴部11と肩部15との境界付近に向けて、肩部15に沿って延びている。連結部25における、塗布具20の接続部21側と反対側であるチューブ容器10の胴部11側の端部には、後述する指掛け部27の端部に設けられた軸受け部55と係合する回動軸41が設けられている。
【0030】
指掛け部27は、チューブ容器10の胴部11を使用者が手で把持した状態において、使用者の指、例えば親指に取り付け可能に構成された部分である。指掛け部27は、具体的には、押圧部51と、湾曲部53と、軸受け部55と、を有する。
【0031】
押圧部51は、指掛け部27に取り付けられた使用者の指とチューブ容器10の胴部11との間に位置して胴部11を押圧可能に構成された、平板状の部分である。押圧部51が平板状であることにより、押圧部51がチューブ容器10の胴部11と面で接触し接触面積が稼げるため、安定的に胴部11を把持でき、しかも胴部11を押圧する時に加える力が少なくて済む。湾曲部53は、押圧部51における連結部25側の端部から押圧部51における連結部25と反対側の端部に架け渡される、湾曲した板状の部分である。押圧部51及び湾曲部53は一体となって、使用者の指の周囲を囲う形状となっている。
【0032】
このような構成により、指掛け部27は、塗布部23から離れる方向Z(
図4参照)へ動く使用者の指が引っ掛かるように構成されている。すなわち、指掛け部27の湾曲部53における連結部25と反対側の端部側の部分で、塗布部23から離れる方向Zへ動く指が係合して止まる。以下、湾曲部53における連結部25と反対側の端部側の部分を「係合部53a」という。
【0033】
軸受け部55は、指掛け部27における塗布部23側の端部に設けられた、連結部25の回動軸41に係合する軸受け部分である。指掛け部27は、回動軸41周りに、チューブ容器10の胴部11から離れる方向P及びチューブ容器10の胴部11を押圧する方向Qの双方向に回動可能に構成されている。なお、チューブ容器10の胴部11を押圧する方向Qは、チューブ容器10の胴部11から離れる方向Pと反対方向である。
【0034】
まず、
図4に示す状態では、指掛け部27は、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が多い状態のチューブ容器10の胴部11に隣接する位置にある。
図4に示す状態から、チューブ容器10の胴部11から離れる方向Pに指掛け部27を回動させると、
図5に示すように、指掛け部27が塗布部23側に位置する状態、具体的には、指掛け部27の係合部53aが塗布部23の複数の突起31側に位置する状態となる。塗布具20は、複数の突起31の先端31aを下に向けて塗布具20を置く場合に、
図5に示すような状態で、塗布部23と指掛け部27とによって自立するように構成されている。具体的には、塗布具20は、塗布部23の突起列33cの両端にある2つの突起31の先端31aと、係合部53aの外側の当接面57とが、塗布具20が置かれる平面Aと接触し、これらの平面Aとの接触部分で塗布具付きチューブ容器100が支えられる。
【0035】
また、指掛け部27の押圧部51には、
図6に示すように、押圧部51を貫通する、フック用の孔51aが形成されている。孔51aは、具体的には、後述する突出部51bを挟む位置に2つ形成されている。孔51aをフック等に引っ掛けると、
図5及び
図6に示す状態を上下に反転させた状態、すなわち、塗布部23の複数の突起31の先端31aを上に向けた状態で塗布具付きチューブ容器100を保管することができる。
【0036】
一方、指掛け部27は、
図4に示す状態から、チューブ容器10の胴部11を押圧する方向Qにも回動可能であるため、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなるにつれて薄くなっていくチューブ容器10の胴部11の形状に指掛け部27が追従することができる。そして、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が残りわずかになった場面では、チューブ容器10の胴部11を、押圧部51で押圧して折り曲げることができる。これにより、
図7に示すように、胴部11を押圧部51とチューブ容器10の肩部15とで挟んで毛髪化粧料を押し出すことができる。
【0037】
指掛け部27の押圧部51は、折り曲げられたチューブ容器10の胴部11を押圧部51とチューブ容器10の肩部15とで挟んだ状態で、肩部15内に残存している毛髪化粧料を押し出すための突出部51bを有する。これにより、
図8に示すように、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が残りわずかになった場面で、肩部15に残存している毛髪化粧料を突出部51bで押し出すことができる。
【0038】
突出部51bは、具体的には、押圧部51において、チューブ容器10の胴部11と向き合う面から、
図8に示す状態において口部13及び肩部15へ向けて突出する突起である。突出部51bは、押圧部51の横幅、すなわち押圧部51における回動軸41に沿った方向の幅と同じ横幅を有し、当該横幅方向に細長い形状である。また、突出部51bの当該横幅は、肩部15における胴部11側の位置における内径、すなわち胴部11の内径と、同程度である。そのため、肩部15に突出部51bがフィットし、肩部15内に残存している毛髪化粧料を効果的に押し出すことができる。
【0039】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)塗布部23に連結され、チューブ容器10の胴部11を使用者が把持した状態において、塗布部23から離れる方向Zへ動く使用者の指が引っ掛かるように構成された指掛け部27を、塗布具20は備える。このような構成によれば、以下に述べるようにチューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなった場面でもチューブ容器10を把持して塗布操作を行いやすい。
【0040】
例えば、
図4に示す状態において、指掛け部27に親指を入れてチューブ容器10の胴部11を把持し、
図4における右方向、具体的には突起31の先端31aの形状に沿ってやや右上の方向に塗布具付きチューブ容器100を動かしながら塗布操作を行う場合を考える。この場合において、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなりチューブ容器10が薄くなると、塗布操作時に塗布部23が毛髪からの抵抗を受けることにより、
図4におけるやや左下の方向に塗布部23が引っ張られる。その結果、薄くなったチューブ容器10の胴部11における、把持している手よりも塗布部23側にある部分で、チューブ容器10が折れ曲がる可能性がある。
【0041】
上記実施形態では、指掛け部27の係合部53aで親指が引っ掛かるように構成されているため、塗布部23の動きと反対方向に近い方向Zに親指で力を加えることにより、塗布部23の動きを抑えることができる。すなわち、チューブ容器10を手で把持した状態のまま、チューブ容器10の折れ曲がりを抑制することができる。よって、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなった場面でもチューブ容器10を把持して塗布操作を行いやすい。
【0042】
特に、カラートリートメントなどの毛髪化粧料は風呂場でシャンプーをした後に使うなど、毛髪が濡れた状態又は手が濡れた状態で塗布具20を使用する場面が想定される。毛髪が濡れている状態だと、毛髪同士が絡まりあうことにより毛髪から受ける抵抗が大きくなるため、チューブ容器10が一層折れ曲がりやすい。また、手が濡れている状態だとチューブ容器10を把持している手の指がチューブ容器10上をすべってしまい、塗布具20に上手く力を加えることができない。
【0043】
これに対し、上記構成によれば、毛髪が濡れており塗布部23が受ける毛髪からの抵抗が大きい場合でも、チューブ容器10の折れ曲がりを十分に抑制でき、チューブ容器10を安定して把持したまま塗布操作を行うことができる。また、手が濡れている状態でも、チューブ容器10の指掛け部27で指が引っ掛かって止まるため、チューブ容器10上を指がすべりにくく、塗布具20に力を加えやすい。
【0044】
(2b)指掛け部27は、塗布部23側の端部を回動中心として、チューブ容器10の胴部11を押圧する方向に回動可能に構成されている。このような構成によれば、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなるにつれて薄くなっていくチューブ容器10の形状に、指掛け部27が追従することができる。特に、上記実施形態のように胴部11の胴径が比較的大きく、毛髪化粧料の量が少なくなるにつれて大幅に胴部11が薄くなる場合であっても、チューブ容器10の形状に指掛け部27が追従することができる。その結果、指掛け部27が回動できない場合と比較して、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が少なくなっていっても、上記(2a)で述べたようなチューブ容器10の把持性が維持され、塗布操作を行いやすい。
【0045】
(2c)指掛け部27は、塗布部23側の端部を回動中心として、チューブ容器10の胴部11を折り曲げて胴部11を押圧部51とチューブ容器10の肩部15とで挟む位置に回動可能に構成されている。このような構成によれば、残りわずかになったチューブ容器10内の毛髪化粧料を押し出すことができる。
【0046】
(2d)押圧部51は、折り曲げられた胴部11を押圧部51とチューブ容器10の肩部15とで挟んだ状態で、肩部15内に残存している毛髪化粧料を押し出すための突出部51bを有する。このような構成によれば、チューブ容器10内の毛髪化粧料の量が残りわずかになった場面で、チューブ容器10の肩部15内に残存している毛髪化粧料を突出部51bで押し出すことができる。
【0047】
(2e)指掛け部27は、塗布部23側の端部を回動中心として、チューブ容器10の胴部11から離れる方向に、チューブ容器10の胴部11に隣接する位置から塗布部23側の位置まで回動可能に構成されている。このような構成によれば、指掛け部27の押圧部51に形成されたフック用の孔51a又は指掛け部27の係合部53a等をフック等に引っ掛けることにより、塗布部23及びチューブ容器10の口部13が上を向く状態で塗布具付きチューブ容器100を保管することができる。
【0048】
(2f)複数の突起31の先端31aを下に向けて塗布具20を置く場合に、指掛け部27が塗布部23側の位置にある状態で、塗布具20が塗布部23と指掛け部27とによって自立するように構成されている。このような構成によれば、複数の突起31の先端31aを下向きにして塗布具付きチューブ容器100を一時的に置いたり保管したりすることができる。
【0049】
すなわち、上記実施形態では、チューブ容器10を垂直に立たせた状態の水平面に対し、塗布部23における複数の突起31の先端31aで形成される面が傾き湾曲しているため、塗布部23だけでチューブ容器10を安定的に立たせることが困難である。これに対し、上記構成では、塗布部23から離れた点で塗布部23とともに指掛け部27がチューブ容器10を支えるため、チューブ容器10を安定的に立たせることができる。
【0050】
[3.他の実施形態]
(3a)上記実施形態では、指掛け部27が、突起列33a~33cが並ぶ方向Yにおける突起列33a側の位置、すなわち、チューブ容器10の口部13を基準とする突起31の高さが最も低い突起列33a側の位置に設けられている。しかし、指掛け部27は、チューブ容器10の口部13を基準とする突起31の高さが最も高い突起列33c側の位置に設けられていてもよい。また、指掛け部27の位置を突起列33a側の位置と突起列33c側の位置とで使用者が自由に変えられるように構成されていてもよい。
【0051】
(3b)塗布操作方法は上記実施形態に示したものに限定されない。
例えば、上記実施形態では、指掛け部27に親指を入れて突起列33a~33cが並ぶ方向Yに沿って
図4における右方向に塗布具付きチューブ容器100を動かしながら塗布操作を行う場合を主として説明している。しかし、指掛け部27に、親指ではなく、人差し指、中指、人差し指と中指の両方等の、他の指を入れて塗布操作を行ってもよい。また、突起列33a~33cが並ぶ方向Yに沿って
図4における左方向に塗布具付きチューブ容器100を動かしてもよい。
【0052】
また例えば、使用者は、チューブ容器10を押圧して毛髪化粧料を吐出させながら塗布操作を行ってもよく、チューブ容器10から毛髪化粧料を一度吐出させた後に塗布操作を別途行ってもよい。
【0053】
(3c)上記実施形態では、塗布部23の突起31の先端31aと指掛け部27とで、塗布具20が自立するように構成されている。しかし、塗布部23に突起31の先端31aを覆うカバーが取り付けられた状態で、塗布部23と指掛け部27とで塗布具20が自立するように構成されていてもよい。
【0054】
(3d)上記実施形態では、チューブ容器10の口部13に対して塗布具20の接続部21が螺合により装着されているが、チューブ容器10の口部13に対する塗布具20の装着方法はこれに限定されない。例えば、装着方法は、片方に対して片方が押し込まれて嵌まるいわゆる打栓式の方法、ロック式の留め具によって固定する方法等であってもよい。
【0055】
(3e)上記実施形態では、連結部25に回動軸41が、指掛け部27に軸受け部55がそれぞれ設けられているが、連結部25側に軸受け部55が、指掛け部27側に回動軸41が設けられていてもよい。
【0056】
(3f)突出部51bの形状は上記実施形態に示したものに限定されない。例えば、上記実施形態では、突出部51bが、押圧部51と同じ横幅を有する細長い突起であるが、突出部51bは、丸い突起であってもよく、肩部15の形状に合わせた円錐台状の突起であってもよい。また、上記実施形態では、肩部15内に残存している毛髪化粧料を効果的に押し出すことができるように、突出部51bが肩部15にフィットするように構成されているにとどまっているが、口部13内に残存している毛髪化粧料も押し出せるように、突出部51bが口部13にもフィットするように構成されていてもよい。例えば、上記突出部51bを構成する細長い突起の上に更に、
図8に示す状態において口部13に入り込むような、当該細長い突起よりも小さな突起が設けられていてもよい。
【0057】
(3g)指掛け部27の形状は上記実施形態に示したものに限定されない。例えば、押圧部51は厳密に平板状である必要はなく、わずかに湾曲した形状等であってもよい。また例えば、指掛け部27における湾曲部53が、押圧部51の連結部25側の端部と繋がっておらず、指掛け部27が全体として概ねU字状の形状となっていてもよい。さらに、指掛け部27の内部の空間の大きさは特に限定されず、1本の指が入る程度の大きさであっても、複数の指が入る大きさであってもよい。
【0058】
(3h)塗布部23の形状は、上記実施形態に示したものに限定されない。例えば、塗布部23は、上記実施形態のように櫛歯状の突起列が複数並んだ構成の代わりに、複数の突起31がブラシ状に配置された構成であってもよい。また、基台部35の形状、複数の突起31の数、複数の突起31の配置、複数の突起31が基台部35から立設する向き、複数の突起31の先端31aで形成される面の形状、塗布部23のチューブ容器10に対する大きさ等も、適宜変更することができる。
【0059】
(3i)毛髪化粧料は上記実施形態に例示したカラートリートメントに限定されない。例えば、毛髪化粧料は、ヘアマニキュア等の他の染毛料、酸化染毛剤、毛髪脱色剤、パーマネントウェーブ剤、ヘアコンディショナー、トリートメント、整髪料等であってもよい。
【0060】
(3j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…チューブ容器、11…胴部、13…口部、15…肩部、17…裾部、20…塗布具、21…接続部、23…塗布部、25…連結部、27…指掛け部、31…突起、31a…突起の先端、33a~33c…突起列、35…基台部、41…回動軸、51…押圧部、51a…孔、51b…突出部、53…湾曲部、53a…係合部、55…軸受け部、57…当接面、100…塗布具付きチューブ容器。