(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
(21)【出願番号】P 2023130007
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520182718
【氏名又は名称】アーリアフレスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】515143153
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 公一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 公一郎
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3229569(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0379416(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113317573(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0121535(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体開口部を有するマスク本体と、
前記マスク本体の前記マスク本体開口部近傍に取り付けられる異物除去ユニットと、を備え、
前記異物除去ユニットは、外部からの空気を取り込むガイド開口部
と、所定の曲率で凹状に湾曲した湾曲部を有する湾曲ガイド部と前記湾曲部の凹部側に配置され、第1方向に延伸する板状の変向ガイド直材とを含む変向スリットを有し、
前記湾曲部の前記湾曲面が前記第1方向と交差するように、前記湾曲部の前記凹部側の湾曲面と変向ガイド直材の一端側が対向して配置されており、
前記湾曲ガイド部と前記変向ガイド直材とにより、前記ガイド開口部を介して前記マスク本体内部に取り込むための湾曲した流路が形成されることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記
湾曲部は、断面が略半円形状を有し、
前記変向ガイド直材は、
略半円形状を有する前記湾曲部の中心を通り、前記第1方向に延伸する基準線に対し、前記第1方向に交差する第2方向に所定の距離だけ離間して配置されており、
前記流路の出口の幅が、前記流路の入口の幅より小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記異物除去ユニットは、外気整流部を、更に有し、
前記外気整流部が、前記湾曲ガイド部の一端部に、前記変向ガイド直材の延伸する方向に対して傾斜して接続されており、
前記流路の幅が、入口から出口にいくほど徐々に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載のマスク。
【請求項4】
前記異物除去ユニットは、前記流路を通過する間に分離された異物を収納するための異物捕捉部を、更に有し、
前記異物捕捉部は、前記流路の出口側であって、前記湾曲ガイド部の他端部に接続されており、前記湾曲ガイド部と前記異物捕捉部とが接続されている接続点に異物捕捉部開口部を有し、
前記接続点と前記変向ガイド直材の先端部とが、前記第1方向に対して、ほぼ同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載のマスク。
【請求項5】
マスク本体開口部を有するマスク本体と、
前記マスク本体の前記マスク本体開口部近傍に取り付けられる異物除去ユニットと、を備え、
前記異物除去ユニットは、
外部からの空気を取り込むガイド開口部と、所定の曲率で凹状に湾曲した湾曲部を有する第1及び第2湾曲ガイド部と、前記第1及び第2湾曲ガイド部のそれぞれの前記湾曲部の凹部側に対向して配置され、第1方向に延伸する
板状の第1及び第2変向ガイド直材を含む第1、及び第2変向スリットを有し、
前記第1湾曲ガイド部と前記第1変向ガイド直材との間、及び前記第2湾曲ガイド部と前記第2変向ガイド直材との間に
、前記ガイド開口部を介して前記マスク本体内部に取り込むための湾曲した流路が形成されており、
前記第1変向スリットの前記第1変向ガイド直材が、前記第2変向スリットの前記第2湾曲ガイド部に接続されることにより、前記第1変向スリットと前記第2変向スリットとが前記第1方向に接続されていることを
特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔に装着するマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、杉やヒノキの花粉の飛散量が増え、特に春の花粉アレルギーによる生活への影響も大きくなりつつある。
それに対し、従来、大気中に浮遊する異物を体内に取り込まないための個人装着器具として、きめの細かい網目フィルタを用いたマスクを顔に装着する方法が一般的である。
【0003】
特許文献1(特開2020-133041号公報)には、マスク本体部および耳掛部を備え、マスク本体部が不織布のフィルタ層と、フィルタ層を保持し、所定の開口率および所定の剛軟度が設定されたメッシュ構造を持つ網状不織布の形状保持層とから成る立体型マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたマスクのように、網目フィルタを用いたマスクでは、花粉は直径が小さい(20~40μ)為、網目フィルタはよりメッシュの細かいものが要求される。通常、繊維を編んだ網目フィルタは、メッシュを細かくすればするほど、空気の通りが悪くなる。さらに、花粉や粉塵などの異物がメッシュの網目に捕捉され、メッシュの網目に目詰まりが生じることにより、空気の通りがさらに悪くなり、呼吸がだんだん苦しくなる場合があった。
【0006】
呼吸を少しでも楽に保つ方法として、マスクの面積を大きくする方法も採られては来たが、限界があった。
【0007】
求められているのは、網目フィルタを用いたマスクのように目詰まりにより空気の通りが悪くなるようなことがなく、長時間使用しても、空気中に含まれる花粉や異物を除去することができるマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマスクは、マスク本体開口部を有するマスク本体と、前記マスク本体の前記マスク本体開口部近傍に取り付けられる異物除去ユニットと、を備え、前記異物除去ユニットは、外部からの空気を取り込むガイド開口部を有し、前記ガイド開口部を介して前記マスク本体内部に取り込むための湾曲した流路を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るマスクにおいて、異物除去ユニットが、外部からの空気を取り込むガイド開口部を有し、ガイド開口部を介してマスク本体内部に取り込むための湾曲した流路を有することにより、外部から取り込まれた空気がこの湾曲した流路を通過する間に、空気中に含まれる花粉や異物はサイクロン効果により分離される。この結果、空気中に含まれる花粉や異物を除去することができる。また、長時間使用しても、目詰まりにより空気の通りが悪化することを低減することができる。
【0010】
また、本発明に係るマスクにおいて、前記異物除去ユニットは、所定の曲率で凹状に湾曲した湾曲部を有する湾曲ガイド部と、前記湾曲部の凹部側に対向して配置され第1方向に延伸する変向ガイド直材とを含む変向スリットを有し、前記流路が、前記湾曲ガイド部と前記変向ガイド直材との間に形成されることを特徴としてもよい。これにより、湾曲ガイド部と変向ガイド直材との間に、マスク本体内部に取り込むための湾曲した流路を容易に形成することができる。
【0011】
また、本発明に係るマスクにおいて、前記変向ガイド直材は、前記湾曲部の中心を通り、前記第1方向に延伸する基準線に対し、前記第1方向に交差する第2方向に所定の距離だけ離間して配置されており、前記流路の出口の幅が、前記流路の入口の幅より小さくなるように構成されていることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明に係るマスクでは、流入口側から取り込まれた空気の流速は、流路の幅(又は体積)の変化に応じて、流入口側から流出口側の方向にいくほど大きくすることができる。この結果、流入口側から取り込まれた空気は、徐々にその流速を増加させながら湾曲ガイド部に移動し、湾曲ガイド部で急激に方向を変えられる。従い、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物に対する遠心力が、一層大きくなるので、より効果的に異物を空気から分離することができる。
【0013】
また、本発明に係るマスクにおいて、前記異物除去ユニットは、外気整流部を、更に有することができる。前記外気整流部が、前記湾曲ガイド部の一端部に、前記変向ガイド直材の延伸方向に対して傾斜して接続されており、前記流路の幅が、入口から出口にいくほど徐々に小さくなるように構成されていることを特徴としてもよい。
【0014】
本発明に係るマスクでは、湾曲ガイド部の一端部から、流入口側にいくほど、変向ガイド直材との距離が大きくなるように、変向ガイド直材の延伸方向に対して、所定の角度を成すように外気整流部が湾曲ガイド部に取り付けられている。これにより、流路の幅は、流入口側から湾曲ガイド部の方向にいくにしたがって、徐々に小さくなるように構成することができる。この結果、外部から流路に取り込まれた空気は、湾曲ガイド部が設けられた領域に流れ込むまでに、その流速が、流路の幅が狭くなることに対応して、徐々に大きくなるように構成することができる。従い、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物に対する遠心力が一層大きくなるので、より効果的に異物を空気から分離することができる。
【0015】
また、本発明に係るマスクにおいて、前記異物除去ユニットは、前記流路を通過する間に分離された異物を収納するための異物捕捉部を、更に有することができる。前記異物捕捉部は、前記流路の出口側であって、前記湾曲ガイド部の他端部に接続されており、前記湾曲ガイド部と異物捕捉部とが接続されている接続点に異物捕捉部開口部を有し、前記接続点と前記変向ガイド直材の先端部とが、前記第1方向に対して、ほぼ同じ位置に配置されていることを特徴としてもよい。
【0016】
また、本発明に係るマスクでは、空気が流路を通過する間に、分離された花粉、粉塵などの異物を異物捕捉部に集めることができる。また、湾曲ガイド部と異物捕捉部とが接続されている接続点と変向ガイド直材の先端部とが、第1方向に対して、ほぼ同じ位置に配置されていることにより、流路を通過する間に、遠心力により分離された異物を、そのまま異物捕捉部の内表面に沿って効率よく異物捕捉部内に集めることができる。
【0017】
また、本発明に係るマスクにおいて、前記異物除去ユニットは、所定の曲率で凹状に湾曲した湾曲部を有する第1及び第2湾曲ガイド部と、前記第1及び第2湾曲ガイド部のそれぞれの前記湾曲部の凹部側に対向して配置され、第1方向に延伸する第1及び第2変向ガイド直材を含む第1、及び第2変向スリットを有し、前記流路が、前記第1湾曲ガイド部と前記第1変向ガイド直材との間、及び前記第2湾曲ガイド部と第2変向ガイド直材との間に形成され、前記第1変向スリットの前記第1変向ガイド直材が、前記第2変向スリットの前記第2湾曲ガイド部に接続されることにより、前記第1変向スリットと前記第2変向スリットとが前記第1方向に接続されていることを特徴としてもよい。第1変向スリットと第2変向スリットとを第1方向に接続することにより、取り込まれる空気の量と濾過される(除去される)異物の量を増加することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るマスクは、マスク本体のマスク本体開口部近傍に取り付けられる異物除去ユニットとを備える。この異物除去ユニットが、外部からの空気を取り込むガイド開口部を有し、ガイド開口部を介してマスク本体内部に取り込むための湾曲した流路を有することにより、外部から取り込まれた空気がこの湾曲した流路を通過する間に、サイクロン効果による分離される。この結果、空気中に含まれる花粉や異物を除去することができる。また、長時間使用しても、目詰まりにより空気の通りが悪化することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るマスクを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るマスクを概略的に示す斜視図である。
図2において、マスク本体部の異物除去ユニットを取り付ける領域に、マスク本体開口部が設けられていることを示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るマスクに取り付けられる異物除去ユニットを概略的に示す斜視図である。
図3(a)は、異物除去ユニットを概略的に示す斜視図である。また、
図3(b)は、異物除去ユニットを構成する部品を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るマスクの異物除去ユニットの断面図を概略的に示す図である。なお、
図4は、
図3(a)のIV―IV線に沿って切り取った断面図を示している。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るマスクにおける異物除去の原理を詳細に説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るマスクの別の異物除去ユニットの断面図を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るマスクに取り付けられる異物除去ユニットを概略的に示す斜視図である。
図7(a)は、異物除去ユニットを概略的に示す斜視図である。また、
図7(b)は、異物除去ユニットを構成する部品を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る異物除去ユニットの断面図を概略的に示す図である。なお、
図8は、
図7(a)のVIII―VIII線に沿って切り取った断面図を示している。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る異物除去ユニットの変形例を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るマスクを構成するマスク本体部を説明するための図である。
図10において、マスク本体部の異物除去ユニットを取り付ける領域に、マスク本体開口部が設けられていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
いくつかの実施形態に係るマスクを、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」、「右」、「左」、「表面」、「裏面」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。また、
図3、4、5、6、7、8、9には、直交座標系Sが示されている。
【0021】
図1に、第1実施形態に係るマスク1の斜視図を概略的に示す。また、
図2に、本実施形態に係るマスクを構成するマスク本体部を説明するための図を示す。
【0022】
図1に示すように、マスク1は、マスク本体2と、マスク本体2の両側面に取り付けられた異物除去ユニット3を備えることができる。また、マスク本体2の左右後端には、マスク本体2を使用者の顔に装着するための耳掛けひも14が、取り付けられている。
【0023】
マスク1を装着した使用者は、異物除去ユニット3のガイド開口部を介して、外部からの空気をマスク1の内部に取り込むことができる(
図4参照)。異物除去ユニット3を介して外部からの空気を内部に取り込むことによって、空気に混入した花粉、粉塵等の異物を除去又は低減することができる。
【0024】
また、
図1に示すように、本実施形態では、異物除去ユニット3が、マスク本体2の、顔の右左に当たる両側面に1か所ずつ取り付けられている。しかし、異物除去ユニット3の取り付け位置及び数については、これに限らず、顔の右左に当たる両側面に複数個所、あるいはマスク本体部の中央に1か所設けるようにしてもよい。
【0025】
次に、
図2を用いて、マスク本体2について説明する。マスク本体2は、異物除去ユニット3を取り付ける領域に、マスク本体開口部15を有することができる。外部からの空気は、異物除去ユニット3を通過し、さらにマスク本体開口部15を介して、マスク内部に取り込まれる。本実施形態では、マスク本体開口部15の開口の大きさは、異物除去ユニット3よりも小さくなるように設計されている。
【0026】
この結果、マスク本体開口部15の開口は、異物除去ユニット3によって被覆されて、異物除去ユニット3を介して、外部からの空気をマスク1の内部に取り込むように構成されている。異物除去ユニット3を介して外部からの空気を内部に取り込むことによって、空気に混入した花粉、粉塵等の異物を除去又は低減することができる。
【0027】
また、マスク本体2は、例えば、プラスチックなどの樹脂、紙、布、から成り、比較的空気を通しにくい材料から成ることができる。又は、表面に塗料を塗布したものを使用することができる。
【0028】
異物除去ユニット3は
図2に示すようにマスク本体2の外側に設けられ、マスク本体2に設けられたマスク本体開口部15をマスク2の外側から覆うように取り付けることができる。
図3は、本実施形態に係るマスクに取り付けられる異物除去ユニット3を概略的に示す斜視図である。また、
図3(a)は、異物除去ユニット3を概略的に示す斜視図であり、
図3(b)は、異物除去ユニット3を構成する部品を説明するための図である。
【0029】
変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6との固定方法について、詳細に説明する。変向スリット4は、変向ガイド曲材5と、変向ガイド曲材5に対向して配置された変向ガイド直材6を有することができる。変向ガイド曲材5と、変向ガイド曲材5に対向して配置された変向ガイド直材6とは、お互いに所定の相対位置関係を保持されている。間隔保持部材12は、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6とを所定の相対位置関係に固定保持するために設けられており、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6の間隙の上端部及び下端部のみに設けられている。間隔保持部材12の設けられていない中間部では、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6の間を空気が自由に通過できる。
【0030】
本実施形態では、間隔保持部材12は、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6の対向面積の大きな隙間に設けているが、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6の延伸範囲のどこに設けてもよい。
【0031】
次に、
図3を参照しながら、異物除去ユニット3をマスク本体2に取り付けるための構造を、以下に詳細に説明する。取付部材17は、変向ガイド曲材5のマスク本体2に接する側に変向ガイド曲材5の延伸に沿う形で、変向ガイド曲材5の全長にわたって設けられている。また、取付部材18は、変向ガイド直材6のマスク本体2に接する側に変向ガイド直材6の延伸に沿う形で、変向ガイド直材6の全長にわたって設けられている。これにより、組み立てた異物除去ユニット3を、取付部材17及び、取付部材18を介して、例えば接着剤などを用いてマスク本体2のマスク本体開口部15を設けた領域に接着固定することができる。
【0032】
異物除去ユニット3は、上下方向(
図3において、Z方向)に延伸する変向スリット4と、変向スリット4の上端部、及び下端部にそれぞれ取り付けられた上部蓋部材11a、及び下部蓋部材11bを備えることができる。
【0033】
異物除去ユニット3、及び、間隔保持部材12,取付部材17,18の上端は上部蓋部材11aに気密接着されている。また、異物除去ユニット3、及び、間隔保持部材12,取付部材17,18の下端も下部蓋部材11bに気密接着されている。ただし、下部蓋部材11bを弾力のある材料で構成し、下部蓋部材11bの下端のうち、異物収納部の下端に当たる部分を接着せず、内部の気圧に応じて開閉するように構成することができる。
【0034】
次に、異物除去ユニット3について、詳細に説明する。異物除去ユニット3は、マスク本体2にマスク本体開口部15を被覆するように取り付けられて、外部からの空気をマスク1の内部に取り込むと同時に、異物除去ユニット3を空気が通過する際に、空気中に含まれる花粉、粉塵等の異物を除去又は低減する機能を有するものである。本実施形態では、異物除去ユニット3を、マスク本体2の外側に取り付けているが、マスク本体2の内側から覆うように取り付けてもよい。
【0035】
次に、
図4を参照しながら、変更スリット4について詳細に説明する。
図4に、
図3(a)のIV-IV線に沿って切り取った異物除去ユニット3の断面図を概略的に示す。また、
図4には、基準線Ax1が描かれている。
図4を参照すると、変向スリット4の変向ガイド曲材5は、断面が略半円形状を有する湾曲ガイド部7と、湾曲ガイド部7の一端部に接続された外気整流部8と、湾曲ガイド部7の他端部に接続された異物捕捉部9とを有することができる。また、変向ガイド直材6は、変向ガイド曲材5と所定の距離だけ離間して配置されて、変向ガイド曲材5と変向ガイド直材6との間に、空気を通過させるための流路16を形成している。
【0036】
本実施形態において、変向スリット4を構成する変向ガイド曲材5、及び変向ガイド直材6は、プラスチックなどの樹脂、或いは金属材料などから成ることができる。また、変向ガイド曲材5、及び変向ガイド直材6の厚みは、例えば、0.5[mm]~1.5[mm]程度とすることができる。また、変向スリット4の延伸方向(上下方向:
図4において、Z方向)の長さは、約20[mm]~50[mm]程度とすることができる。
【0037】
本実施形態において、湾曲ガイド部7は、断面が略半円形状の湾曲部を有する。空気がマスク1の外部(
図4においてRで示している側)から取り込まれる。その後、空気が、マスク1の内部(
図4においてTで示している側)に取り込まれるときに、流路16を通過する間に、湾曲ガイド部7の湾曲部の内面に沿って流れる。
【0038】
流路16の湾曲ガイド部7が設けられた領域を通過する空気は、その流れる方向が急激に変えられる。空気に含まれる花粉、粉塵などの異物は、空気より比重が大きいので、湾曲ガイド部7を通過する間に、遠心力により湾曲ガイド部7の湾曲部の内面側に移動し、空気と分離される。その後、湾曲ガイド部7の湾曲部の内面に沿って移動し、異物捕捉部9に集められる。
【0039】
また、外気整流部8は、湾曲ガイド部7の一端部に接続されており、流路16の外部から空気を取り入れるための流入口(ガイド開口部10)を形成している。外気整流部8は、本実施形態では、板状部材から成ることができ、湾曲ガイド部7の一端部から、流入口側にいくほど、変向ガイド直材6との距離が大きくなるように、変向ガイド直材6の延伸方向に対して、所定の角度を成すように湾曲ガイド部7に取り付けられている。
【0040】
これにより、流路16の幅は、流入口側から湾曲ガイド部7の方向にいくにしたがって、徐々に小さくなるように構成することができる。この結果、外部から流路16に取り込まれた空気は、湾曲ガイド部7が設けられた領域に流れるまでに、その流速が、流路16の幅が狭くなることに対応して、徐々に大きくなるように構成することができる。なお、外気整流部8は省略することもできる。
【0041】
また、
図4を参照すると、基準線Ax1が描かれている。
図4において、基準線Ax1は、湾曲ガイド部7の湾曲部の両端部から同じ距離にある中間点Eを通り、横方向(X方向)に延伸する線として描かれている。なお、本実施形態では、湾曲ガイド部7の湾曲部は、所定の曲率半径を有し、横断面が略半円の形状を有しており、中間点Eは、この略半円の中心と重なっている。また、横方向(
図4において、X方向)が第1方向に該当する。
【0042】
また、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径は、約2[mm]~5[mm]程度とすることができる。本実施形態では、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径は、約3[mm]程度に設定することができる。
【0043】
また、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径は、一定の値に固定する必要はなく、変化するようにしてもよい。例えば、流路16の流入口側から出口側にいくにしたがって、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径を徐々に小さくなるようにしてもよい。湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径を徐々に小さくすることに対応して、異物に作用する遠心力が大きくなるので、より効果的に異物の分離能力を高めることができる。湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径は、流路16の流入口側から出口側にいくに従って、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径は、例えば、4[mm]から1[mm]に徐々に小さくなるように設定することができる。
【0044】
図4において、変向ガイド直材6は、基準線Ax1から上側方向(
図4におけるY方向)に距離f1だけ移動して配置されている。これにより、流路16の流入口側の幅を、基準線からずれた距離f1だけ大きくすることができる。一方、流路16の流出口側の幅を、基準線からずれた距離f1だけ小さくすることができる。つまり、流路16の流出口側の体積を、流入口側の体積よりも小さくなるように構成されている。
【0045】
これにより、流入口側から取り込まれた空気の流速は、流路16の幅(又は体積)の変化に応じて、流入口側から流出口側の方向にいくほど大きくすることができる。この結果、流入口側から取り込まれた空気は、徐々にその流速を増加させながら湾曲ガイド部7(湾曲部)に移動し、湾曲ガイド部7で急激に方向を変えられる。
【0046】
従い、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物に対する遠心力が、一層大きくなるので、より効果的に異物を空気から分離することができる。例えば、流路の幅が流入口側、流出口側とも2[mm]の場合、距離f1=1.0[mm]とすれば、流路の幅は、流入口側で3[mm]、流出口側で1[mm]となり、流出口側の流路の幅が、流入口側の流路の幅の1/3に狭くなるので、流速が3倍となる。
【0047】
再び
図4を参照すると、異物捕捉部9が、湾曲ガイド部7の他端部に接続されている。異物捕捉部9は、異物を収納するための異物収納部を有し、収納部の開口から、異物収納部内に異物を集めるように構成されている。本実施形態では、異物捕捉部9の異物収納部は、断面が概略「コ」の字型の形状を有することができる。
【0048】
また、異物捕捉部9の異物収納部に一度集められた異物が、開口から流路16に再び出ないようにするために、異物収納部の開口には、延伸方向に湾曲した庇部を設けることができる。異物捕捉部9において、異物収納部の開口の、流路の出口側に庇部を設けることにより、捕捉された異物が再び流路16に出てくるのを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態では、異物捕捉部9の異物収納部の断面形状を略「コ」の字形状としたが、これに限定されず、略円状の弧を用いた形状とすることもできる。
【0050】
図4を参照すると、湾曲ガイド部7の他端部と異物捕捉部9の一端部とが接続されている接続点25と変向ガイド直材6の先端部とは、第1方向(X方向)に対して、ほぼ同じ位置に配置されている。湾曲ガイド部7の他端部と異物捕捉部9の一端部とが接続されている接続点25と変向ガイド直材6の先端部とにより、流路16の出口が形成されている。
【0051】
また、湾曲ガイド部7の他端部と異物捕捉部9の一端部とが接続されている接続点25において、湾曲ガイド部7の他端部と接続している異物捕捉部9の一端部は、接続点25から、湾曲ガイド部7の他端部の延伸方向(
図4において、X方向、又は第1方向)と交差する方向(
図4において、Y方向、又は第2方向)に延伸している。
【0052】
本実施例では、接続点25において異物捕捉部9の延伸方向を湾曲ガイド部7の他端部の延伸方向(
図4において、X方向、又は第1方向)と交差する方向に設けた。例えば、異物捕捉部9の延伸方向と、湾曲ガイド部7の他端部の延伸方向とのなす角度を-10[度]から+40[度]の範囲とすることができる。
【0053】
流路16の湾曲ガイド部7が設けられた領域を通過する空気に含まれる花粉、粉塵などの異物は、遠心力により湾曲ガイド部7の湾曲部の内面側に移動するが、接続点25においては、遠心力により分離された異物は、そのまま異物捕捉部9の一端部からY方向(第2方向)に延伸している内表面に沿って異物捕捉部9内に集められる。
【0054】
本実施形態において、流路16の湾曲ガイド部7の湾曲部を通過する間は、異物に遠心力が働くため、空気から分離することができる。この異物に掛かる遠心力は、湾曲ガイド部7の湾曲部を通過した後は、減少する。このため、湾曲ガイド部7の他端部と異物捕捉部9の一端部とが接続されている接続点25と変向ガイド直材6の先端部とを、第1方向(X方向)に対して、ほぼ同じ位置に配置することで、遠心力が減少する前に、異物を、そのまま異物捕捉部の内表面に沿って効率よく異物捕捉部内に集めることができる。
【0055】
また、空気が流路16の湾曲ガイド部7を通過する間に、湾曲部の内面側に移動した異物も、空気の流れに従って、湾曲部の内面に沿って異物捕捉部9側に移動し、異物捕捉部9内に集められる。
【0056】
また、異物捕捉部9内に集められた異物は、下方(
図4において、Z方向、又は第1方向)に移動し、異物除去ユニット3の外部に排除されるように構成されている。従い、流路16の出口からマスク1の内部(
図4において、Tで示している領域)には、ほぼ異物が除去された空気を導入することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係るマスク1(又は、異物除去ユニット3)によって、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物が除去されることを詳細に説明する。
図5に、マスク1の異物除去ユニット3において、湾曲ガイド部7の流路16近傍における空気の流れと異物の移動の様子を模式的に示す。本実施形態に係るマスク1では、流路16の湾曲ガイド部7が設けられた領域を通過する空気が、その流れる方向を急激に変えられることにより、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物が、遠心力Fにより湾曲ガイド部7の湾曲部の内面側に移動することができる。
【0058】
異物に印加される遠心力の大きさと、空気に印加される遠心力の大きさとの差を利用して、空気から異物が分離され、除去できることを利用している。
【0059】
以下に、マスク1を用いて異物が除去できる原理を、詳細に説明する。
図5において、湾曲ガイド部7の湾曲部を通過する空気に含まれる異物に作用する遠心力Fは、以下の式(1)で示される。
F=M×r×ω
2=M×V
2/r (1)
【0060】
ここで、Mは空気又は異物の質量(単位:[kg])、rは、流路16の曲率半径(単位:[m])、ωは、空気又は異物の角速度(単位:[ラジアン/秒])、Vは空気又は異物の速度(単位:[m/秒])をそれぞれ示している。
【0061】
冬から春にかけて飛散する杉やヒノキの花粉は、平均外径が約30[μm](マイクロメータ)程度であり、重量が12[ng](ナノグラム)程度であるとされる。したがって、その密度(重量/体積)は 850[kg/m3]程度と計算される。一方、空気の密度は、1.29[kg/m3]程度であるから、花粉の密度は、空気の密度の約600倍程度、大きいことが分かる。
【0062】
つまり、空気と空気に混入する花粉などの異物が、所定の曲率半径(r)を有する流路16を同じ速度(V)で通過する場合、異物には、空気に対して、数百倍の遠心力が作用する。この異物と空気とに印加される遠心力の差を利用して、空気から異物を分離し、除去することができる。
【0063】
次に、流路16を通過する空気又は異物の速度についてシミュレーションする。普通の人間の安息時の1回の吸気時間は2[秒]程度である。1回の吸気量を800[cm3]とすると、吸気中の平均流量は約400[cm3/秒]程度となる。本実施形態において、マスク1の流路16の外部から空気を取り入れるための流入口(スリット)の寸法は、幅が約1[mm]程度、異物除去ユニット3の延伸方向(上下方向)の長さが約25[mm]程度とすることができる。したがって、流入口(スリット)の開口面積は25[mm2]となり、また、それが顔の左右に1個ずつ設けられて、流入口(スリット)の開口面積合計は50[mm2](=0.5[cm2])程度とすることができる。
【0064】
このとき、この流入口(スリット)から流路16に流れ込む空気の平均流速Vは、
V=400[cm3/秒]/0.5[cm2]
=800[cm/秒]
=8[m/秒]
と計算できるが、マスク周辺からの漏れが20%あると仮定すれば、流路16に流れ込む空気の平均流速は約6.4[m/秒]程度と見込むことができる。
【0065】
また、一般的なサイクロン効果を利用した小型掃除機(サイクロン掃除機)では、発明者が知る限りでは、流量が2~3[m3/分]程度のものが多く、直径4[cm]程度の吸引パイプを通過して掃除機の集塵部に入る空気の平均流速Vは、
V=3[m3/分]/(2[cm]2×π)
=40[m/秒]
となり、大きくても40[m/秒]程度であることがわかる。
このことから、半径4cmの筒状の集塵部を有する普通のサイクロン掃除機では、式(1)において、1個の花粉の重量を12[ng](ナノグラム:10-9グラム)として、1個の花粉にかかる遠心力Fは以下のように計算される。
F=M×V2/r
=12×10-9([g])×(40[m/秒])2/0.04[m]
=480×10-9[kgm/秒2]
=480[nN](ナノニュートン)
【0066】
一方、本実施形態におけるマスク1(又は、異物除去ユニット3)においては、湾曲ガイド部7の湾曲部の曲率半径rが1[mm](=0.001[m])である。
式(1)において、1個の花粉の重量を12[ng](ナノグラム:10-9グラム)とすれば、1個の花粉にかかる遠心力Fは、以下のように計算される。
F=M×V2/r
=12×10-9([g])×(6.4[m/秒])2/0.001[m]
=768×10-9[kgm/秒2]
=492[nN](ナノニュートン)
以上の計算結果から、質量(M)が同じ花粉に対して、本実施形態におけるマスク1(又は、異物除去ユニット3)では、一般的なサイクロン掃除機の場合と同等の遠心力が得られることが分かる。
【0067】
したがって、本実施形態におけるマスク1(又は、異物除去ユニット3)においては、サイクロン掃除機と同等の遠心力が得られ、これにより、空気中に含まれる花粉、粉塵等の異物を効果的に分離することができる。
【0068】
次に、異物除去ユニット3の変形例について、詳細に説明する。
図6に、変形例における異物除去ユニット103の断面図を概略的に示す。なお、異物除去ユニット103は、
図3の変向スリット4の構成と異なる変向スリット104を有することができる。変向スリット104以外の構成は、異物除去ユニット3と同様であるので、特に必要がない限り説明を省略する。
【0069】
図6に示すように、変向スリット104は、変向ガイド曲材105と、変向ガイド曲材105と所定の距離だけ離間して配置された変向ガイド直材106とを有することができる。変向ガイド曲材105は、所定の曲率で湾曲した形状を有する湾曲ガイド部107と、湾曲ガイド部107の一端部に接続された外気整流部108と、湾曲ガイド部107の他端部に接続された異物捕捉部109とを有することができる。
【0070】
また、変向ガイド曲材105と対向する変向ガイド直材106の先端部には、断面が略円形の円柱部材126が設けられている。変向ガイド曲材105と変向ガイド直材106との間には、空気を通過させるための流路116が形成されている。
【0071】
図6を参照すると、変向ガイド直材106の先端部に設けられた円柱部材126は、断面が略円形の円柱部材であり、異物除去ユニット103の延伸方向(上下方向)に延伸している。また、湾曲ガイド部107は、その周縁部が円柱部材126の外縁部を取り囲むように延伸しており、その断面は、略C字形状となっている。湾曲ガイド部107が円柱部材126の周囲を取り囲むように配置されているので、湾曲ガイド部107と円柱部材126との間に形成される流路116の長さが、相対的に大きくなるように構成されている。これにより、より長い時間、異物に遠心力が作用するので、異物の分離能力を高めることができる。
【0072】
図6においても、
図4と同様に。変向ガイド直材106は、基準線Ax1から上側方向(
図6におけるY方向)に距離f2だけ移動して配置されている。これにより、流路116の流入口側の幅を、基準線からずれた距離f2だけ大きくすることができる。一方、流路116の流出口側の幅を、基準線からずれた距離f2だけ小さくすることができる。つまり、流路116の流出口側の体積を、流入口側の体積よりも小さくなるように構成されている。
【0073】
これにより、流入口側から取り込まれた空気の流速は、流路116の幅(又は体積)の変化に応じて、流入口側から流出口側の方向にいくほど大きくすることができる。この結果、流入口側から取り込まれた空気は、徐々にその流速を増加させながら湾曲ガイド部107(湾曲部)に移動し、湾曲ガイド部107で急激に方向を変えられる。
【0074】
従い、空気に含まれる花粉、粉塵などの異物に対する遠心力が、一層大きくなるので、より効果的に異物を空気から分離することができる。
【0075】
これによって、
図6では
図4に比べて遠心力の作用開始点を早め、また作用終了点を遅くすることができる。このことから、
図6では
図4よりも遠心力の作用する時間を長くとることができる利点がある。
【0076】
次に、第2実施形態に係るマスク201について、詳細に説明する。
マスク201は、第1実施形態に係るマスク1と同様に、マスク本体202と、マスク本体202の両側面に取り付けられた異物除去ユニット203を備えることができる。また、マスク本体202の左右後端には、マスク本体202を使用者の顔につけるための耳掛けひも14が、取り付けられている。
なお、異物除去ユニット203以外は、第1の実施形態に係るマスク1と同様であるので、詳細説明を省略する。以下の説明では、異物除去ユニット203について、詳細に説明する。
【0077】
図7に、第2の実施形態に係るマスク201の異物除去ユニット203の斜視図を概略的に示す。なお、
図7(a)は、異物除去ユニット203の斜視図を概略的に示しており、また、
図7(b)は、異物除去ユニットを構成する部品を概略的に示している。また、
図8に、
図7(a)のVIII-VIII線に沿って切り取った異物除去ユニットを例示して示す。また、
図9に、
図8に示した異物除去ユニットの変形例を説明するための模式図を示す。
【0078】
図7を参照すると、異物除去ユニット203は、上下方向(
図7において、Z方向)に延伸する変向スリット204と、変向スリット204の上端部、及び下端部にそれぞれ取り付けられた上部蓋部材211a、及び下部蓋部材211bを備えることができる。また、上部蓋部材211a及び下部蓋部材211bは、変向スリット204に接着固定されて取り付けられている。
【0079】
また、変向スリット204は、第1変向スリット204aと、第1変向スリット204aに接続される第2変向スリット204bを備えることができる。変向スリット204は、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとが互いに接続されて、第1方向(
図7において、X方向)に延伸している。
【0080】
第1変向スリット204aは、第1変向ガイド曲材205aと、第1変向ガイド曲材205aに対向して配置された第1変向ガイド直材206aを有することができる。また、第2変向スリット204bは、第2変向ガイド曲材205bと、第2変向ガイド曲材205bに対向して配置された第2変向ガイド直材206bを有することができる。
【0081】
次に、
図8を参照しながら、変向スリット204について詳細に説明する。
図8を参照すると、変向スリット204の第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとは、第1変向スリット204aの第1変向ガイド直材206aにより接続されている。より詳しくは、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとは、第1変向スリット204aの第1変向ガイド直材206aが、第2変向スリット204bの第2変向ガイド曲材205bに接続されることにより、互いに連結されている。
なお、
図8には、基準線Ax2が示されている。
【0082】
また、本実施形態において、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとを連結する第1変向ガイド直材206aは、第1方向(X方向)に延伸しており、その他端が第2変向スリット204bの第2変向ガイド曲材205bの外表面に接続されて、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとを接続固定している。
【0083】
また、本実施形態において、第1変向ガイド直材206aは、基準線Ax2から上側方向(
図8におけるY方向)に距離f3だけ移動して配置されている。同様に、第2変向ガイド直材206bは、基準線Ax2から上側方向(
図8におけるY方向)に距離f4だけ移動して配置されている。なお、第1変向ガイド直材206aと第2変向ガイド直材206bとは、基準線Ax2から上側方向(
図8におけるY方向)に同じ距離(例えば、距離f3)だけ移動して配置されることができる。
【0084】
また、第1変向ガイド曲材205aの第1中間点Eaと第2変向ガイド曲材205bの第2中間点Ebとが、基準線Ax2上になるように第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとが配置されて連結されている。従って、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとは、基準線Ax2に沿って、第1方向(X方向)に延伸して連結されている。
【0085】
第1変向スリット204aの第1変向ガイド曲材205aは、断面が略半円形状を有する第1湾曲ガイド部207aと、第1湾曲ガイド部207aの一端部に接続された第1外気整流部208aと、第1湾曲ガイド部207aの他端部に接続された第1異物捕捉部209aとを有することができる。また、第1変向ガイド直材206aは、第1変向ガイド曲材205aと所定の距離だけ離間して配置されて、第1変向ガイド曲材205aと第1変向ガイド直材206aとの間に、空気を通過させるための第1流路216aを形成している。
【0086】
同様に、第2変向スリット204bの第2変向ガイド曲材205bは、断面が略半円形状を有する第2湾曲ガイド部207bと、第2湾曲ガイド部207bの一端部に接続された第2外気整流部208bと、第2湾曲ガイド部207bの他端部に接続された第2異物捕捉部209bとを有することができる。
【0087】
また、第2変向ガイド直材206bは、第2変向ガイド曲材205bと所定の距離だけ離間して配置されて、第2変向ガイド曲材205bと第2変向ガイド直材206bとの間に、空気を通過されるための第2流路216bを形成している。本実施形態では2個連結した例を示したが、これに限らず複数個を連結して設けることもできる。
【0088】
X方向に直線状に連結したことにより、取り込まれる空気の量と濾過される(除去される)異物の量を増加することができる。また、第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとを連結する第1変向ガイド直材206aを自在に変形可能な材料(例えばプラスチックなどの樹脂)で構成する、あるいは連結した部分が自在に可動可能に第1変向スリット204aと第2変向スリット204bとを連結した構成とすることにより、異物除去ユニットを2次元的に顔の凹凸に合わせることができる。これにより、漏れが少なく、フィット感を増すことができる。
【0089】
本実施形態において、第1変向スリット204aを構成する第1変向ガイド曲材205a、及び第1変向ガイド直材206aは、プラスチックなどの樹脂、或いは金属材料などから成ることができる。また、第1変向ガイド曲材205a、及び第1変向ガイド直材206aの厚みは、例えば、0.5[mm]~1.5[mm]程度とすることができる。また、第1変向スリット204aの延伸方向(上下方向)の長さは、約20[mm]~50[mm]程度とすることができる。
【0090】
同様に、第2変向スリット204bを構成する第2変向ガイド曲材205b、及び第2変向ガイド直材206bは、プラスチックなどの樹脂、或いは金属材料などから成ることができる。また、第2変向ガイド曲材205b、及び第2変向ガイド直材206bの厚みは、例えば、0.5[mm]~1.5[mm]程度とすることができる。また、第2変向スリット204bの延伸方向(上下方向)の長さは、約20[mm]~50[mm]程度とすることができる。
【0091】
なお、第1変向スリット204a、及び第2変向スリット204bは、第1実施形態の変向スリット4と同様の構成を有しており、その機能も同様であるので、詳細説明については省略する。
【0092】
次に、
図9を参照しながら、変向スリット304について詳細に説明する。
図9を参照すると、第1変向スリット304aと第2変向スリット304bとは、第1変向スリット304aの第1変向ガイド直材306aが、第2変向スリット304bの第2変向ガイド曲材305bに接続されることにより、互いに連結されている。なお、
図9には、基準線Ax3、基準線Ax4が示されている。
【0093】
図9において、第1変向ガイド曲材305aの中間点Eaは、基準線Ax3上に位置し、一方、第2変向ガイド曲材305bの中間点Ebは、基準線Ax4上に位置するように、第1変向ガイド曲材305aと第2変向ガイド曲材305bが配置されている。
【0094】
第1変向スリット304aと第2変向スリット304bとを連結する第1変向ガイド直材306aは、第1方向(X方向)に延伸しており、その他端が第2変向スリット304bの第2変向ガイド曲材305bの外表面に接続されている。換言すると、第1変向ガイド曲材305aと第2変向ガイド曲材305bとは、基準線Ax3と基準線Ax4のずれ量分だけ下側にずらして配置されている。
【0095】
なお、変向スリット304は、第1変向スリット304aと第2変向スリット304bの配置以外は、変向スリット204と同様であるので、詳細説明を省略する。
【0096】
図9に示すように、変向スリット304は、第1変向ガイド曲材305aと第2変向ガイド曲材305bとは、基準線Ax3と基準線Ax4のずれ量分だけ下側にずらして配置されている。
第1変向スリット304aと第2変向スリット304bとを、X方向に複数連結することにより、変向スリット204と同様に、(量を増やせる、容易に変形)の効果が得られることは言うまでもない。さらに、第1変向ガイド曲材305aと第2変向ガイド曲材305bとをずらして配置することにより、異物除去ユニットを2次元的に顔の凹凸に合わせることができる。これにより、漏れが少なく、フィット感を増すことができる。また、マスク内に流れ込む空気の方向を鼻孔と口に向けることができ、空気の圧損も減少して呼吸がより楽になる。
【0097】
図10に、第2実施形態に係るマスクを構成するマスク本体部を説明するための図を示す。
図10に示すように、変向スリット404をマスク本体に取り付けることにより、顔の形状に合わせて変形させた異物除去ユニットを装着させることにより、漏れが少なく、フィット感を増すことができる。
【0098】
上記で説明したように、変向スリット(異物除去ユニット)は、上下方向(Z方向)に対して同じ形状で延伸している。しかし、これに限定されず、マスク本体の形状にあわせて、例えば外側に膨らむように湾曲しながら延伸してもよい。
【0099】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【符号の説明】
【0100】
1 マスク
2 マスク本体
3,203,403 異物除去ユニット
4,204,304,404 変向スリット
5,105,205,305 変向ガイド曲材
6,106,206,306 変向ガイド直材
7,107,207,307 湾曲ガイド部
8,108,208,308 外気整流部
9,109,209,309 異物捕捉部
10 ガイド開口部
11a,211a 上部蓋部材
11b,211b 下部蓋部材
12,212 間隔保持部材
15 マスク本体開口部
16,116,216,316 流路
17,18,217,218 取付部材
25 接続点
126 円柱部材
【要約】
【課題】目詰まりにより空気の通りが悪くなるようなことがなく、長時間使用しても、空気中に含まれる花粉や異物を除去することができるマスクを提供することである。
【解決手段】本発明に係るマスクは、マスク本体開口部(15)を有するマスク本体(2)と、マスク本体(2)のマスク本体開口部(15)近傍に取り付けられる異物除去ユニット(3)とを備える。異物除去ユニット(3)は、外部からの空気を取り込むガイド開口部(10)を有し、ガイド開口部(10)を介してマスク本体(2)内部に取り込むための湾曲した流路(16)を有する。
【選択図】
図1