(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】異物除去装置
(51)【国際特許分類】
B03C 1/00 20060101AFI20240215BHJP
B03C 1/14 20060101ALI20240215BHJP
B03C 1/28 20060101ALI20240215BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B03C1/00 A
B03C1/00 B
B03C1/14
B03C1/28 107
B01D29/04 510B
B01D29/04 530A
B01D29/04 510E
B01D29/04 510C
(21)【出願番号】P 2023509822
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2022025783
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502345393
【氏名又は名称】株式会社ワイ・ジェー・エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】亀山 修司
(72)【発明者】
【氏名】米澤 育大
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03449995(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第105508624(CN,A)
【文献】国際公開第2017/216669(WO,A1)
【文献】特開2022-103686(JP,A)
【文献】国際公開第96/004062(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0086247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
B03C 1/00-1/32
B02F 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口(5)と流出口(6)が形成された本体部(2)と、
前記本体部(2)内に流入した流体が、当該本体部(2)の内壁に沿って流れるようにその流動方向を偏向させる、前記本体部(2)の内部に設けられる偏向部材(3)と、
前記偏向部材(3)によって偏向した流体中の異物を除去する異物除去部(4)と、
を有
し、
前記偏向部材(3)が、流入口(5)から流入した流体を前記本体部(2)の内壁に向かって分岐させるとともに、分岐した前記流体が前記本体部(2)の内壁に沿って流れるようにこの流体の流動方向を上下方向に偏向させる、上下方向に延び平面視においてV字形をなすV字板(26)であり、当該V字板(26)の中央突部が前記流入口(5)側を向くように配置されている異物除去装置。
【請求項2】
前記V字板(26)の下端に、V字形の両端部を切り欠いた切り欠き部(27)が形成されている請求項
1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
流体の流入口(5)と流出口(6)が形成された本体部(2)と、
前記本体部(2)内に流入した流体が、当該本体部(2)の内壁に沿って流れるようにその流動方向を偏向させる、前記本体部(2)の内部に設けられる偏向部材(3)と、
前記偏向部材(3)によって偏向した流体中の異物を除去する異物除去部(4)と、
を有し、
前記偏向部材(3)が、前記流入口(5)から当該流入口(5)と対向する壁面に向かって延設された短絡管(46)と、前記本体部(2)の内部を上下に区画するとともに前記短絡管(46)を通った流体を下向きに偏向させる偏向板(47)と、を有しており、前記偏向板(47)によって偏向された流体が、前記本体部(2)の下端部でターンして前記流入口(5)側を通って上方に向かうように構成され、
前記短絡管(46)の出口側の外周縁部に、この外周縁部を流れる流体を前記短絡管(46)の出口側に導く還流通路(51)が形成されている異物除去装置。
【請求項4】
前記本体部(2)の内部に設けられるフィルタ(20)と、前記フィルタ(20)の表面から脱落する異物を捕集する、前記流体の流動範囲外に設けられた捕集部(9)を有する請求項1
または3に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記フィルタ(20)が、流体の全量が当該フィルタ(20)を通過するように、または、当該フィルタ(20)を通過する流路と当該フィルタ(20)の表面に沿って下向きに流れる流路に流体を分岐させるように配置されている請求項
4に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記本体部(2)と前記捕集部(9)が、前記本体部(2)よりも水平断面積が小さい細管部(43)によって接続されている、または、前記フィルタ(20)から落下する異物を下方に向かって通す貫通孔(23、24)が形成された仕切部材(16)によって仕切られている請求項
5に記載の異物除去装置。
【請求項7】
前記捕集部(9)に当該捕集部(9)を開放状態として異物を排出するコック弁(10)が設けられており、当該コック弁(10)がピンファスナ(11)によって前記捕集部(9)に取り付けられている請求項
6に記載の異物除去装置。
【請求項8】
流体の流入口(5)と流出口(6)が形成された本体部(2)と、
前記本体部(2)内に流入した流体が、当該本体部(2)の内壁に沿って流れるようにその流動方向を偏向させる、前記本体部(2)の内部に設けられる偏向部材(3)と、
前記偏向部材(3)によって偏向した流体中の異物を除去する異物除去部(4)と、
を有し、
前記異物除去部(4)が、前記偏向部材(3)によって偏向した流体の流れに沿うように前記本体部(2)の外壁に設けられる磁石(28)である異物除去装置。
【請求項9】
前記異物除去部(4)が、前記偏向部材(3)によって偏向した流体の流れに沿うように前記本体部(2)の外壁に設けられる磁石(28)である請求項1から
3のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項10】
前記磁石(28)が、少なくとも一部分が磁性体からなる磁石ホルダ(29)に磁力で吸着しており、前記磁石ホルダ(29)が前記本体部(2)の外壁に固定されている請求項
8に記載の異物除去装置。
【請求項11】
前記磁石(28)が電磁石である請求項
8に記載の異物除去装置。
【請求項12】
前記異物除去部(4)が、前記本体部(2)の内壁に沿う流体に流動抵抗を与える抵抗部材(34)であって、当該抵抗部材(34)によって流動抵抗を付与されて流速が低下した流体中の異物が下方に向かって落下するように構成されている請求項1から
3のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項13】
前記抵抗部材(34)が、前記本体部(2)の内壁に沿って流動する流体を取り込む取り込み口(35)と、前記取り込み口(35)から取り込んだ流体が突き当たる当接壁(36)と、を有し、前記当接壁(36)によって流動抵抗を与えられた流体中の異物が下向きに落下するように構成されている請求項
12に記載の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体内の異物を除去する異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水を熱媒体として利用する暖房装置においては、温水が循環する暖房回路を鉄管で構成することが多く、この鉄管の内壁から鉄粉や錆などの異物が温水中に混入することがある。鉄粉は、温水を循環させるポンプの故障を引き起こし、錆などはポンプの故障に加えて暖房回路の詰まりを引き起こす問題があるため、これらの異物の除去が必要となる。
【0003】
この異物を除去するための装置として、下記特許文献1~3に示すものが提案されている。
【0004】
特許文献1に示す装置においては、流入口から流入した流体が、第一のチャンバ11内に設けられたフィルタカートリッジ14を通過する際に分散するとともにその流速が弱められるよう構成されている。そして、第一のチャンバ11の下側に設けられた第二のチャンバ15の外壁に設けられた磁石18で流体中の磁性体を吸着するとともに、非磁性体を第二のチャンバ15に沈殿させている。
【0005】
特許文献2に示す装置においては、インレット15から流入した流体がシャットオフバルブ11を通ってセントラルチャンバ27に至り、このセントラルチャンバ27の中央に設けられた磁石34で流体中の磁性体を吸着するとともに、非磁性体をフィルタ25で捕捉している。非磁性体は、通水停止時にセントラルチャンバ27の下部に沈殿するようになっている。
【0006】
特許文献3に示す装置においては、3か所に形成された口11、12、13のいずれかから流入した流体が、チャンバ10A内に設けられたフィルタエレメント20および磁石21が設けられたカートリッジ22を通って再びいずれかの口11、12、13から流出するように構成されており、磁石21で流体中の磁性体を吸着するとともに、非磁性体をフィルタエレメント20で捕捉している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2014/0367341号明細書
【文献】国際公開第2018/207083号
【文献】欧州特許出願公開第3159313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に係る構成においては、フィルタカートリッジ14によって磁性体が流体内で分散するため、第二のチャンバ15の外壁に設けた磁石18では、この第二のチャンバ15の内壁に近い磁性体は吸着されやすい一方で、それ以外の磁性体を吸着しにくい問題がある。また、第二のチャンバ15の底に沈殿した非磁性体が水流によって巻き上げられやすく、非磁性体の除去も不十分となるおそれがある。
【0009】
また、特許文献2に係る構成においては、インレット15からシャットオフバルブ11への流入時に流体がある程度撹拌されるため、磁性体が流体内で分散する。このため、一部の磁性体しかセントラルチャンバ27の中央に設けられた磁石34に接近することができず、磁性体の吸着効率が低くなる問題がある。また、セントラルチャンバ27の下部に沈殿した非磁性体が再通水時に舞い上がり、非磁性体の除去も不十分になるおそれがある。
【0010】
さらに、特許文献3に係る構成においては、チャンバ10A内に設けられたフィルタエレメント20および磁石21が各口11、12、13を直接結ぶ流路からやや離れているため、磁性体および非磁性体の吸着・除去効率が低下するおそれがある。
【0011】
そこで、この発明は、流体内の異物を効率よく除去することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明においては、
流体の流入口と流出口が形成された本体部と、
前記本体部内に流入した流体が、当該本体部の内壁に沿って流れるようにその流動方向を偏向させる、前記本体部の内部に設けられる偏向部材と、
前記偏向部材によって偏向した流体中の異物を除去する異物除去部と、
を有する異物除去装置を構成した。
【0013】
このようにすると、流体(一般的には水)よりも比重が大きい異物は、慣性力によって主に本体部の内壁に沿って流れるため、その異物を異物除去部によって効率的に除去することができる。
【0014】
前記構成においては、
前記偏向部材が、前記流入口から流入した流体を前記本体部の内壁に向かって分岐させるとともに、分岐した前記流体が前記本体部の内壁に沿って流れるようにこの流体の流動方向を上下方向に偏向させる、上下方向に延び平面視においてV字形をなすV字板であり、当該V字板の中央突部が前記流入口側を向くように配置されている構成とすることができる。
【0015】
このようにすると、流入口から流入する流体を本体部の内壁に向かってスムーズに分岐させることができ、異物除去部による異物の除去を効率的に行うことができる。
【0016】
前記偏向部材をV字板とした構成においては、
前記V字板の下端に、V字形の両端部を切り欠いた切り欠き部が形成されているのが好ましい。
【0017】
このようにすると、切り欠き部が流体のバイパス路として機能し、偏向部材の下端近傍の流速を一定程度低下させることができる。このため、異物除去部による異物の除去効率をさらに向上することができる。
【0018】
あるいは、
前記偏向部材が、前記流入口から当該流入口と対向する壁面に向かって延設された短絡管と、前記本体部の内部を上下に区画するとともに前記短絡管を通った流体を下向きに偏向させる偏向板と、を有しており、前記偏向板によって偏向された流体が、前記本体部の下端部でターンして前記流入口側を通って上方に向かうように構成することもできる。
【0019】
このようにすると、短絡管によって、流入口から流入した流体に、対向する壁面に向かう直進性が与えられるとともに、偏向板によって、流体に含まれる異物が壁面付近に集約される。このため、流体中の異物をより効率的に除去することができる。
【0020】
前記短絡管を有する構成においては、
前記短絡管の出口側の外周縁部に、この外周縁部を流れる流体を前記短絡管の出口側に導く還流通路が形成されているのが好ましい。
【0021】
このようにすると、異物除去部によって除去されにくい短絡管の出口側、すなわち、本体部の内壁から少し離れた領域を流れる流体を、還流通路を通って本体部内で還流させることができる。このため、異物をさらに効率的に除去することができる。
【0022】
また、上記の課題を解決するため、この発明においては、
流体の流入口と流出口が形成された本体部と、
前記本体部の内部に設けられたフィルタと、
前記フィルタの表面から脱落する異物を捕集する、前記流体の流動範囲外に設けられた捕集部と、
を有する異物除去装置を構成した。
【0023】
また、本体部と偏向部材と異物除去部を有する前記各構成において、
前記本体部の内部に設けられるフィルタと、前記フィルタの表面から脱落する異物を捕集する、前記流体の流動範囲外に設けられた捕集部を有するのが好ましい。
【0024】
このようにすると、捕集部には本体部の流動の影響が及ばないため、フィルタの表面から脱落した異物が流体によって舞い上がるのを防止することができるとともに、流体内の異物を効率よく除去することができる。
【0025】
前記フィルタを有する構成においては、
前記フィルタが、流体の全量が当該フィルタを通過するように、または、当該フィルタを通過する流路と当該フィルタの表面に沿って下向きに流れる流路に流体を分岐させるように配置されているのが好ましい。
【0026】
このように、流体の全量が当該フィルタを通過するようにフィルタを配置すると、異物の除去効率を向上することができる。また、流体を分岐させるようにフィルタを配置すると、フィルタを通過する流動成分によってフィルタの表面近傍に異物を集めつつ、フィルタ表面に沿って下方に向かう流動成分によって、フィルタの表面近傍の異物を捕集部に逐次落下させることができるため、流体の流動を途中で停止することなくフィルタの目詰まりを防止しつつ異物を捕集することができる。
【0027】
前記フィルタと前記捕集部を有する構成においては、
前記本体部と前記捕集部が、前記本体部よりも水平断面積が小さい細管部によって接続されている、または、前記フィルタから落下する異物を下方に向かって通す貫通孔が形成された仕切部材によって仕切られているのが好ましい。
【0028】
このように、本体部と捕集部を細管部で接続すると、捕集部には本体部の流動の影響が及ばないため、フィルタの表面から下方に向かって捕集部で捕集された異物が流体によって舞い上がるのを防止することができる。また、本体部と捕集部を仕切部材によって仕切ることによっても、これと同様の効果を発揮させることができる。
【0029】
前記フィルタと前記捕集部を有する構成においては、
前記捕集部に当該捕集部を開放状態として異物を排出するコック弁が設けられており、当該コック弁がピンファスナによって前記捕集部に取り付けられているのが好ましい。
【0030】
このようにすると、捕集部へのコック弁の取り付けを容易に行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0031】
前記各構成においては、
前記異物除去部が、前記偏向部材によって偏向した流体の流れに沿うように前記本体部の外壁に設けられる磁石であるのが好ましい。
【0032】
このようにすると、異物中の磁性体をこの磁石で容易に吸着するとともに、この磁石を本体部の外壁から取り外すことによって磁性体の吸着状態を解除して回収することができる。
【0033】
前記異物除去部を磁石とした構成においては、
前記磁石が、少なくとも一部分が磁性体からなる磁石ホルダに磁力で吸着しており、前記磁石ホルダが前記本体部の外壁に固定されているのが好ましい。
【0034】
このようにすると、磁石ホルダに磁石を保持するためのポケットを形成する必要がなく、この磁石を本体部の外壁に直接接触させることができる。このため、本体部の内側に磁力を効率的に作用させることができる。また、磁石ホルダの少なくとも一部分を磁性体とするとこの磁石ホルダがヨークとして作用し、外向きに磁力線が拡がるのを防止する。このため、本体部の内側の磁束密度が高まって、一層効率的に異物中の磁性体を吸着することができる。
【0035】
前記異物除去部を磁石とした構成においては、
前記磁石が電磁石である構成とすることもできる。
【0036】
このようにすると、電磁石への通電を遮断することによって、この電磁石に吸着された磁性体を容易に離脱させて捕集することができ、メンテナンス作業をスムーズに行うことができる。
【0037】
前記各構成においては、
前記異物除去部が、前記本体部の内壁に沿う流体に流動抵抗を与える抵抗部材であって、当該抵抗部材によって流動抵抗を付与されて流速が低下した流体中の異物が下方に向かって落下するように構成されているのが好ましい。
【0038】
このようにすると、磁石を用いることなく異物中の磁性体および非磁性体の両方を除去することができるため、材料コストを削減することができる。
【0039】
前記異物除去部を前記抵抗部材とした構成においては、
前記抵抗部材が、前記本体部の内壁に沿って流動する流体を取り込む取り込み口と、前記取り込み口から取り込んだ流体が突き当たる当接壁と、を有し、前記当接壁によって流動抵抗を与えられた流体中の異物が下向きに落下するように構成することができる。
【0040】
このようにすると、異物中の磁性体および非磁性体の両方を簡便な構造で効率よく除去することができる。
【発明の効果】
【0041】
この発明の上記構成によると、流体内の異物を効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】この発明に係る異物除去装置の第一実施形態を示す断面図
【
図3】
図1に示す異物除去装置の磁石および磁石ホルダを示す斜視図
【
図4】
図1に示す異物除去装置の第一変形例を示す断面図
【
図5】
図4に示す異物除去装置の仕切部材を示す斜視図
【
図6】
図1に示す異物除去装置の第二変形例を示す断面図
【
図9】
図6に示す異物除去装置の仕切部材を示す斜視図
【
図10】
図1に示す異物除去装置の第三変形例を示す断面図
【
図12】
図1に示す異物除去装置の第四変形例を示す断面図
【
図13】
図1に示す異物除去装置の第五変形例を示す断面図
【
図14】この発明に係る異物除去装置の第二実施形態を示す断面図
【
図19】
図14に示す異物除去装置の第一変形例を示す要部断面図
【
図20】
図14に示す異物除去装置の第二変形例を示す要部断面図
【
図21】
図14に示す異物除去装置の第三変形例を示す要部断面図
【
図22】この発明に係る異物除去装置の第三実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
この発明に係る異物除去装置1の第一実施形態を図面に基づいて説明する。この異物除去装置1は、流体である温水(暖房水)を熱媒体として利用する暖房装置において、温水が循環する暖房回路中の異物を除去するための装置であって、
図1および
図2に示すように、本体部2、偏向部材3、および、異物除去部4を主要な構成要素としている。
図1中に示す矢印は、流体の流動経路を示し、その太さの差は流量の差に概ね対応している。
【0044】
本体部2は、上端部に流体の流入口5と流出口6が形成され下部が開口した円筒状の部材である。流入口5と流出口6は、円筒の高さ方向中央よりも上側、かつ円筒の円周方向の対向する側にあり、流入口5と流出口6は円筒のほぼ同じ高さに形成されている。流入口5の内径は、流出口6の内径よりも若干大径となっている。流入口5には入口配管接続部7が、流出口6には出口配管接続部8がそれぞれ形成されており、暖房回路を構成する他の配管と接続可能となっている。なお、流入口5と流出口6の上下位置関係はこの実施形態に限定されず、変更できる可能性がある。また、本体部2の形状は円筒状に限定されず、楕円筒状、角筒状などに適宜変更される可能性がある。
【0045】
本体部2の下端側には、上部が開口した有底筒状で、本体部2とほぼ同一の直径の捕集部9が設けられている。本体部2と捕集部9は、両者を軸方向に互いに挿入した上で周方向に所定の小角度だけ回転させてロック状態とする、いわゆるスナップロック機構によって連結されている。捕集部9には、六角レンチ用の挿入穴が形成されたコック弁10がピンファスナ11によって取り付けられている。また、捕集部9の下部に形成された排水口12には、栓13がピンファスナ14によって固定されている。排水口12から栓13を取り外した上でコック弁10を開放状態とすると、捕集部9によって捕集された異物とともに本体部2内の流体を排出することができる。コック弁10および栓13は、捕集部9の流出口6側の壁面に設けられている。この実施形態では、本体部2および捕集部9の素材として樹脂材を採用しているが、非磁性体からなる他の素材を採用できる可能性がある。捕集部9の底面には、コック弁10側に向かうほど下向きに傾斜する傾斜面15が形成されている。なお、コック弁10などの配置を最適化することによって、傾斜面15を省略できる可能性がある。
【0046】
本体部2と捕集部9の間には、両者の間を仕切る仕切部材16が設けられている。この仕切部材16は下に向かって縮径するコーン部17と、コーン部17の上端から軸方向下向きに延設された筒部18と、を有する。本体部2の内面にはリブ19が形成されており、リブ19が仕切部材16と接触することにより、仕切部材16の上下方向の位置決めがなされる。また、本体部2の内壁には、後述するフィルタ20を保持するためのリブ21が形成されており、リブ21が仕切部材16に形成されたスリット22に嵌まり込むことにより、仕切部材16の周方向の位置決めがなされる。コーン部17の流入口5寄りには矩形の貫通孔23が、および、コーン部17の中央部には円形の貫通孔24が、それぞれ本体部2と捕集部9を連通するように形成されている。矩形の貫通孔23の上流側一辺には、下流側一辺に向かって突出する突片25が形成されている。
【0047】
矩形の貫通孔23、円形の貫通孔24、および、排水口12は、一方向にこの順序で並んでいる。矩形の貫通孔23は、コーン部17の中央部に形成された円形の貫通孔24に対して一方向に偏心しているため、矩形および円形の両貫通孔23、24からの流体排出に伴って、コック弁10および栓13を開けたときに、捕集部9内に排水口12に向かう流動が生じる。
【0048】
偏向部材3は、流入口5から流入した流体を本体部2の内壁に向かって分岐させるとともに、分岐した流体が本体部2の内壁に沿って流れるようにこの流動方向を上下方向に偏向させる、上下方向に延び平面視においてV字形をなすV字板26である。このV字板26は、流入口5から流入した流体が、そのまま水平方向に流動して流出口6から直接流出することがないように、その下端が流入口5および流出口6の内底面よりも下方まで延設されている。V字板26の両端部は、本体部2の内壁に当接している。このV字板26によって、本体部2の円筒状の内部は、平面視において流入口5側と流出口6側に区画されている。V字板26の下端には、V字形の両端部を切り欠いた切り欠き部27が形成されている。
【0049】
異物除去部4としての磁石28は、偏向部材3(V字板26)によって偏向した流体の流れに沿うように本体部2の外壁に設けられる。より具体的には、この磁石28は、V字板26の下端の下方かつ後述するフィルタ20の下流側に、対をなすように2個設けられている。本体部2の外壁における磁石28の取り付け位置は適宜決めることができるが、本体部2の側部(流入口5と流出口6の中間位置)から流出口6の脇部の間とするのが好ましい。なお、フィルタ20の配置によっては、このフィルタ20の上流側に磁石28を設けた構成とすることができる場合もある。
図3に示すように、この磁石28は、磁石ホルダ29によって吸着保持された平板状のネオジム磁石であって、本体部2の外壁に形成されたリブ30に面接触状態で挟まれるとともにピンファスナ31によって固定されている。本体部2の磁石28の当接部分には表面が平坦な平坦部32が形成されている。これにより、本体部2の外壁(平坦部32)と磁石28は面接触している。
【0050】
本体部2を流動する流体の流路中には、フィルタ20が配置されている。このフィルタ20は、略矩形平板状の金網であって、本体部2の内壁に形成されたリブ21にその両端が挟み込まれるとともに、その下端が仕切部材16のコーン部17に形成された矩形の貫通孔23に挿入されてこの貫通孔23の下流側一辺と突片25との間に挿し込まれることによって、所定の取り付け位置に位置決めされている。フィルタ20は、このフィルタ20を通過する流路と、このフィルタ20の表面に沿って下向きに流れる流路に流体を分岐させるように配置されている。
【0051】
以下、第一実施形態に係る異物除去装置1で、流体としての温水の中に含まれる異物(鉄粉などの磁性体や、錆などの非磁性体)を除去する際の作用について説明する。
【0052】
異物を含む流体は、流入口5を通って本体部2に流れ込み、主にフィルタ20を通過する。このフィルタ20の後方にはV字板26が設けられているため、流入口5から流れ込んだ流体は、本体部2の内壁に向かって左右に分岐するとともに下向きに偏向する。このとき、流体に含まれる異物のうち錆などの非磁性体は、フィルタ20を通過する流動成分によってフィルタ20の表面近傍に集められつつ、フィルタ20表面に沿って下方に向かう流動成分によって逐次落下する。この異物は、仕切部材16のコーン部17に形成された矩形の貫通孔23を通って捕集部9によって捕集される。この構成によると、流体の流動を途中で停止することなく、フィルタ20の目詰まりを防止しつつ異物を捕集することができる。
【0053】
V字板26によって本体部2の内壁に向かって左右に分岐された流体中の異物のうち、鉄粉などの磁性体は、本体部2の外壁に設けられた磁石28の磁力によって吸着される。このとき、流体の流速が大きいと磁石28に吸着されにくく、また、一旦吸着されても剥離して流されてしまうおそれがあるが、流体が下向きから上向きにターンする近傍では比較的その流速が小さいため、この近傍に磁石28を設けることによって磁性体からなる異物を効果的に吸着することができる。
【0054】
コーン部17に形成される矩形の貫通孔23および円形の貫通孔24のサイズは、通水時に捕集部9側に流体が極力流入しない程度の適宜のサイズとされ、例えば、本体部2の直径が例えば60mmのときは、矩形の貫通孔23の幅は1.8~12mm、好ましくは3~9mmの範囲内となり、円形の貫通孔24の直径は5~30mm、好ましくは8~20mmの範囲内となる。このように、本体部2と捕集部9を仕切部材16で仕切ることにより、捕集部9には本体部2の流動の影響が及ばないため、捕集部9によって捕集された異物(非磁性体)が通水中に舞い上がるおそれがない。このため、流体中の異物を効率よく除去することができる。
【0055】
また、この実施形態においては、V字板26の下端に切り欠き部27を形成したので、この切り欠き部27が流体のバイパス路として機能し、偏向部材3の下端近傍の流速を一定程度低下させるなど、磁石28近傍の流れの適正化を図ることができる。このため、特に流体の流量が大きい場合に、磁石28に吸着した磁性体が流体によって剥がれ落ちるのを防止することができ、磁性体の吸着効率をさらに向上することができる。また、切り欠き部27を形成することで流体の流動を制御して、磁石28が設けられた高さ近傍に磁性体を偏在させることにより、磁性体の吸着効率の更なる向上を期待できる。なお、各部材の設計変更に伴って流体の流動方向や磁石28の位置を最適化するなどによって、切り欠き部27を省略できる可能性がある。
【0056】
通水停止後に、本体部2から磁石28を磁石ホルダ29ごと取り外すと、この磁石28に吸着されていた鉄粉などの磁性体が脱落し、仕切部材16のコーン部17に形成された円形の貫通孔24を通って捕集部9によって捕集される。そして、通水停止状態で排水口12に設けられた栓13を取り外して捕集部9に設けられたコック弁10を開くと、捕集部9に捕集された異物(磁性体、非磁性体)が、本体部2内の流体とともに排水口12を通って排出される。この構成においては、矩形および円形の両貫通孔23、24からの流体排出に伴って、コック弁10および栓13を開けたときに、捕集部9内に排水口12に向かう流動が生じる。しかも、捕集部9の底面には傾斜面15が形成されているため、異物を流体とともにスムーズに排水口12から排出することができる。
【0057】
この実施形態においては、フィルタ20を通過する流路と、その表面に沿って下向きに流れる流路に流体を分岐させるようにこのフィルタ20を配置する構成としたが、流出口6の直前にフィルタ20を設けて、流体の全量がこのフィルタ20を通過する構成とすることもできる。
【0058】
第一実施形態に係る異物除去装置1の第一変形例を
図4および
図5に示す。この第一変形例は、基本的な構成は上記の第一実施形態と共通するが、仕切部材16の構成が異なっている。すなわち、第一実施形態に係る仕切部材16は、コーン部17の流入口5寄りに矩形の貫通孔23が、および、コーン部17の中央部には円形の貫通孔24がそれぞれ形成されているのに対し、第一変形例に係る仕切部材16は、コーン部17の流入口5寄りに矩形の貫通孔23のみが形成されており、コーン部17の中央部には、矩形の貫通孔23に向かって下向きに傾斜する傾斜部33が形成されている。
【0059】
この第一変形例によると、流体の全量がフィルタ20を通過するため、このフィルタ20による非磁性体の取り逃がしが生じない。また、磁性体は、一旦フィルタ20を通過して磁石28で吸着されるが、通水停止後に、本体部2から磁石28を磁石ホルダ29ごと取り外すと、この磁石28に吸着されていた磁性体が脱落し、仕切部材16のコーン部17に形成された傾斜部33に誘導されてフィルタ20に向かって滑り落ち、このフィルタ20を反対向きに通過して矩形の貫通孔23を通って捕集部9によって捕集される(
図4中の矢印fを参照)。そして、通水停止状態で排水口12に設けられた栓13を取り外して捕集部9に設けられたコック弁10を開くと、捕集部9に捕集された異物(磁性体、非磁性体)が本体部2内の流体とともに排水口12を通って排出される。
【0060】
第一実施形態に係る異物除去装置1の第二変形例を
図6から
図9を用いて説明する。この第二変形例においては、異物除去部4として、磁石28の代わりに本体部2の内壁に沿う流体に流動抵抗を与える抵抗部材34を採用し、この抵抗部材34によって抵抗を付与された流体中の異物が下方に向かって落下するように構成されている。
【0061】
この抵抗部材34は、本体部2の内壁に沿って流動する流体を取り込む取り込み口35と、取り込み口35から取り込んだ流体が突き当たる当接壁36と、を有している。仕切部材16のコーン部17には、当接壁36によって流動抵抗を与えられた流体中の異物を下向きに落下させる落下口37が形成されている。落下口37は、捕集部9に連通する貫通孔である。
【0062】
この第二変形例によると、磁石28を必要としないため部材コストを削減できるとともに、通水を停止することなく捕集部9で異物を常に捕集することができるため、異物の回収に係るメンテナンス作業を軽減することができる。
【0063】
第一実施形態に係る異物除去装置1の第三変形例を
図10および
図11に示す。この第三変形例の基本的な構成は第一実施形態と共通するが、コーン部17に形成された円形の貫通孔24よりも流出口6寄りに、本体部2の上端からコーン部17に至る補助フィルタ38が設けられている点で相違する。この補助フィルタ38は、平板状の金網からなり、流入口5から流出口6に向かう流体の全量がこの補助フィルタ38を通過するように構成されている。
【0064】
このように補助フィルタ38を設けると、捕集部9で捕集された異物が流体の流動に伴って本体部2側に万が一舞い上がったとしても、その舞い上がった異物がこの補助フィルタ38で捕獲されるため、その異物が流出口5から流出するのを防止することができる。また、補助フィルタ38が流出口6から少し離間しており、この補助フィルタ38を通過する流体の十分な通水断面積(フィルタ面積)を確保することができる。このため、多量の異物が流体中に含まれている場合においても、補助フィルタ38の目詰まりを極力防止することができる。
【0065】
通水中にフィルタ20(補助フィルタ38も含む)が目詰まりすると、通水抵抗が上昇してポンプの電流値や電圧値などが影響を受ける。そこで、水圧やポンプの電流値や電圧値などの変動を各種センサで検知して、フィルタ20が目詰まりしたと判定されたときに、通水の遮断および再通水を行うように制御するのが好ましい。
【0066】
第一実施形態に係る異物除去装置1の第四変形例を
図12に示す。この第四変形例も基本的な構成は第一実施形態と共通するが、コーン部17の下端に延長筒部39が連設されており、この延長筒部39に捕集部9の内底面に至る円筒フィルタ40が設けられている点で相違する。延長筒部39の下端は、第一実施形態における貫通孔24に対応する。この円筒フィルタ40は、円筒状に形成された金網からなり、流入口5から流出口6に向かう流体の全量がフィルタ20または円筒フィルタ40を通過するように構成されている。
【0067】
このように円筒フィルタ40を設けると、コーン部17に形成された貫通孔23を通って捕集部9に流入し、さらに延長筒部39に形成された貫通孔24を通って本体部2に戻る流動によって、捕集部9で捕集された異物が舞い上がったとしても、この円筒フィルタ40によってその異物が本体部2に流出するのを防止することができる。
【0068】
第一実施形態に係る異物除去装置1の第五変形例を
図13に示す。この第五変形例は、フィルタ20が設けられておらず、補助フィルタ38のみで異物を除去するように構成されているとともに、コーン部17中央の円形の貫通孔24よりも流入口に近い側に貫通孔41が形成されている点で第二変形例の構成と異なる。この構成によると、通水停止状態で排水口12に設けられた栓13を取り外して捕集部9に設けられたコック弁10を開くと、円形の貫通孔24を通って本体部2内の流体が排出されるとともに、流入口5に近い側に形成された貫通孔41からも同時に流体が排出される(
図13中の矢印fを参照)。この貫通孔41から排出された流体は排水口12に向かって流れるため、捕集部9に捕集された異物(磁性体、非磁性体)を流体とともにスムーズに排出することができる。なお、この貫通孔41は必須の構成ではなく、適宜省略される場合もある。
【0069】
この発明に係る異物除去装置1の第二実施形態を
図14から
図16に示す。この異物除去装置1は、第一実施形態と同様に、本体部2、偏向部材3、および、異物除去部4を主要な構成要素としている。
【0070】
本体部2は、流体の流入口5と流出口6が形成され上部が開口した円筒状の部材である。流出口6は流入口5よりも上側かつ円筒の円周方向の対向する側に形成されている。流入口5の内径は、流出口6の内径よりも若干大径となっている。流入口5には入口配管接続部7が、流出口6には出口配管接続部8がそれぞれ形成されており、暖房回路を構成する他の配管と接続可能となっている。なお、流入口5と流出口6の上下位置関係はこの実施形態に限定されず、逆にすることができる可能性がある。また、本体部2の形状は円筒状に限定されず、楕円筒状、角筒状などに適宜変更される可能性がある。
【0071】
本体部2の下端側は、下に向かって次第に縮径する縮径部42が形成されている。縮径部42の下部には捕集部9が設けられている。本体部2と捕集部9は、縮径部42に形成された細管部43によって接続されている。この捕集部9は、本体部2を流れる流体の流動範囲外に設けられており、流体内の異物を一時的に捕集する機能を有している。
【0072】
捕集部9には、ハンドル付きのコック弁10がピンファスナ11によって取り付けられている。また、捕集部9の下部に形成された排水口12には、栓13がピンファスナ14によって固定されている。排水口12から栓13を取り外した上でコック弁10を開放状態とすると、捕集部9によって捕集された異物とともに本体部2内の流体を排出することができる。この実施形態では本体部2と捕集部9を一体に構成しているが、別部品で構成することもできる。また、この実施形態では、本体部2および捕集部9の素材として樹脂材を採用しているが、非磁性体からなる他の素材を採用できる可能性がある。
【0073】
本体部2の上部の開口には、蓋体44が設けられている。
図17に示すように、蓋体44の下面側には、偏向部材3の上部に当接可能な当接部材45が下向きに延設されている。この当接部材45は、円筒の一部を切断した湾曲形状をなし、本体部2の内壁に沿うように配置される。この当接部材45は、常に偏向部材3の上面に当接していてもよいが、この実施形態では、両者の間には設計上わずかに(0.5mm程度)隙間があり、偏向部材3が所定の設置位置から上向きに前記隙間分だけ変位したときにのみ、偏向部材3と当接部材45が当接するように構成されている。これにより、アセンブリを完了した異物除去装置1の搬送時の振動によって偏向部材3が上向きに跳ね上がったり、通水時の水圧によって偏向部材3が上向きに変位したりして、この偏向部材3が所定の設置位置からずれるのを防止している。
【0074】
偏向部材3は、流入口5側からこの流入口5と対向する壁面に向かって延設された短絡管46と、本体部2の内部を、流体が主に下向きに流れるエリアと、主に上向きに流れるエリアとに大きく区画するとともに、短絡管46を通った流体を下向きに偏向させる偏向板47と、を有している。この偏向板47によって偏向された流体は、本体部2の下端部(縮径部42の近傍)でターンして、流入口5側を通って上方に向かう。
【0075】
偏向板47は、前記対向する壁面に臨み、その先端ほど下に向かって傾斜する傾斜部48と、この傾斜部48と短絡管46を接続する隔壁49と、を有している。前記対向する壁面と傾斜部48の先端(傾斜した下端)との間には、通水停止時に後述するフィルタ20から脱落した異物を捕集部9に向かって脱落させる排出隙間50が形成されている。この実施形態においては、本体部2の直径が60mmのため排出隙間50の大きさを約5mmとしているが、1~20mm程度の範囲で適宜変更することができる。この排出隙間50の大きさは、本体部2の直径に対応して適宜変更することもできる。
【0076】
この実施形態においては、
図18に示すように、偏向部材3(短絡管46と偏向板47)は一体に形成されている。短絡管46の出口側外周縁部には、短絡管46と偏向板47の隔壁49との間を通ってこの外周縁を上方に向かって流れる流体を短絡管46の出口側に導く還流通路51が形成されている。還流通路51には所定間隔で補強リブ52が設けられており、短絡管46と隔壁49との間の剛性を確保している。一体とされた偏向部材3は、本体部2の内部に形成されたリブ53と当接することによって所定の取り付け位置に位置決めされている。
【0077】
異物除去部4としての磁石28は、偏向部材3(短絡管46と偏向板47)によって偏向した流体の流れに沿うように本体部2の外壁に設けられる。より具体的には、この磁石28は、短絡管46の高さ位置よりも下方脇部分に対をなすように2個設けられている。本体部2の外壁における磁石28の取り付け位置は適宜決めることができるが、流入口5の脇部から本体部2の側部(流入口5と流出口6の中間位置)の間とするのが好ましい。
【0078】
この実施形態においては磁石28として、平板状のネオジム磁石を採用している。この磁石28は、磁性体である鋼材からなる磁石ホルダ29に磁力で吸着しており、この磁石ホルダ29が本体部2の外壁に形成されたリブ30に面接触状態で挟まれるとともにピンファスナ31によって固定されている。本体部2の磁石28の当接部分には表面が平坦な平坦部32が形成されている。これにより、本体部2の外壁(平坦部)と磁石28は面接触している。
【0079】
本体部2の流出口6の直前にはフィルタ20が配置されている。このフィルタ20は、本体部2の内部に形成されたリブ53と当接することによって所定の取り付け位置に位置決めされている。この実施形態においては、フィルタ20として金網を採用している。このフィルタ20は、円筒の一部を切断した湾曲形状をなし、本体部2の内壁に沿って流出口6の直前に被さって、流体の全量がこのフィルタ20を通過するように配置されている。このフィルタ20の上端は蓋体44の下面付近に位置し、下端は偏向板47の傾斜部48の下端よりも数mm程度上に位置している。
【0080】
以下、第二実施形態に係る異物除去装置1で、流体(例えば温水)の中に含まれる異物(鉄粉などの磁性体や、錆などの非磁性体)を除去する際の作用について説明する。
【0081】
異物を含む流体は、流入口5に設けられた偏向部材3の短絡管46を通って本体部2に流れ込む。この流体は、直管状の短絡管46によって直進性が与えられ、流入口5と対向する壁面に向かって(
図14では右向きに)流動する。そして、偏向部材3に形成された傾斜部48によって下向きに偏向されて、本体部2の下端部でターンして流入口5側を通って上方に向かう。異物は流体よりも比重が大きいため、本体部2内で流体が偏向する際にこの異物に慣性力が作用する。この異物のサイズは、例えば鉄粉がμmオーダーであるなど非常に微小であるため、流れの途中で停滞することなくスムーズに本体部2の内壁に沿うように流動する。異物のサイズが大きくなるほど慣性力は増大し、より内壁に沿って流れやすくなる。
【0082】
この実施形態においては、偏向部材3の偏向板47にその先端ほど下に向かって傾斜する傾斜部48を形成することによって、流体をスムーズに下向きに偏向して通水抵抗を低減するようにしたが、この傾斜部48を形成しない構成とすることもできる。
【0083】
本体部2の内壁に沿って上向きに流動する異物のうち、鉄粉などの磁性体は、本体部2の外壁に設けられた磁石28の磁力によって吸着される。この磁性体からなる異物は、流体とともに本体部2の内壁面に沿って流動するが、流体の流速が大きいと磁石28に吸着されにくく、また、一旦吸着されても剥離して流されてしまうおそれがある。このため、本体部2への通水量の上限を規制(例えば10L/分以下)することによって、異物が磁石28に安定的に吸着されるようにするのが好ましい。
【0084】
この磁石28は、磁性体からなる磁石ホルダ29によって吸着保持されている。このため、磁石ホルダ29にポケットを形成してこのポケット内に磁石28を収納保持した場合と比較して、磁石28がこの磁石ホルダ29から露出しやすい構成となっている。また、本体部2の外壁に平坦部32が形成されており、この平坦部32に磁石28が面接触しているため、磁石28の磁力が本体部2の内側に直接作用しやすく、磁性体からなる異物を効果的に吸着することができる。また、磁石ホルダ29を磁性体としたので、この磁石ホルダ29がヨークとして作用し、外向きに磁力線が拡がるのを防止することができる。このため、本体部2の内側の磁束密度が高まって、一層効率的に磁性体からなる異物を吸着することができる。また、磁石ホルダ29は、本体部2の外壁に形成されたリブ30と2か所の平坦部の計3平面によって安定的に保持されているため、磁石の位置ずれを防止することができる。
【0085】
この実施形態においては、短絡管46の高さ位置よりも下方脇部分に磁石29を設けたが、その位置は特に限定されず、短絡管46の高さ位置よりも下方であれば、円筒状の本体部2の周方向に沿って任意の位置に設けることができる場合もある。また、本体部2の下端側に形成された縮径部42の下面に設けることができる場合もある。
【0086】
短絡管46の高さ位置よりも下方は、流体中の異物が偏向に伴う慣性力で内壁近傍に集まりやすく、かつ、流速も比較的緩やかなので、異物中の磁性体を磁石28で効率よく吸着することができる。短絡管46と同等高さは、この短絡管46自体によって流路幅が狭くなって流速が高くなるため、また、短絡管46の高さ位置よりも上方は、本体部2の内壁から異物が離れやすくなるため、いずれの場合も吸着効率が低下する場合がある。
【0087】
流体中の磁性体からなる異物の大部分は、この異物に作用する慣性力によって本体部2の内壁に沿って流れるが、一部の異物は内壁から離れた位置(本体部2の中央近傍)を流動する場合もある。この場合、磁石28の磁力が異物に及ばないため吸着することが難しい。そこで、短絡管46の出口側外周縁部に還流通路51を形成しておくと、短絡管46から本体部2に流れ込む流体の流動によって生じるイジェクター効果によって内壁から離れた位置を流動する流体の一部が短絡管46の出口側に引き込まれ、本体部2内で流体を還流させることができる。このため、異物中の磁性体をさらに効率的に吸着して除去することができる。
【0088】
この実施形態においては、還流通路51に所定間隔で補強リブ52を設けることにより、短絡管10と隔壁49との間の剛性を確保しているが、この補強リブ52を還流通路51の上端側に設け、傾斜部48に向かってさらに延設することにより、この補強リブ52による剛性の向上効果をさらに高めることができる。なお、この還流通路51は省略される場合もある。
【0089】
短絡管46側を通って上方に向かう流体は、本体部2の上部開口に設けられた蓋体44によって水平方向(
図14では右向きに)にさらに偏向され、フィルタ20を通って流出口6から流出する。流体に含まれる異物のうち錆などの非磁性体はこのフィルタ20に一旦捕獲される。そして、通水停止時に、非磁性体からなる異物はフィルタ20から脱落し、排出隙間50および細管部43を通って捕集部9によって捕集される。
【0090】
細管部43の直径(内径)は、通水時に捕集部9側に流体が極力流入しない程度の適宜の直径とされ、例えば、本体部2の直径が60mmのときは、細管部43の直径は5~30mm、好ましくは8~20mmの範囲内とすることができる。このように、本体部2と捕集部9を細管部43で接続することにより、捕集部9には本体部2の流動の影響が及ばないため、通水停止時にフィルタ20から脱落してこの捕集部9に捕集された異物(非磁性体)が再通水時に舞い上がるおそれがない。このため、流体内の異物を効率よく除去することができる。
【0091】
通水時においては、流入口5から流入し、傾斜部48によって下向きに偏向された流体の流動によって生じるイジェクター効果によって、排出隙間50の流体が下向きに引き込まれる。このため、流入口5から流入した流体が排出隙間50を上向きに流れて流出口6から直接流出する短絡を防止することができる。
【0092】
通水停止後に、本体部2から磁石28を磁石ホルダ29ごと取り外すと、この磁石28に吸着されていた鉄粉などの磁性体が脱落し、細管部43を通って捕集部9によって一時的に捕集される。通水停止状態で排水口12に設けられた栓13を取り外して捕集部9に設けられたコック弁10を開くと、捕集部9に捕集された異物(磁性体、非磁性体)が、本体部2内の流体とともに排水口12を通って排出される。なお、第一実施形態と同様に、捕集部9の底面にコック弁10側に向かうほど下向きに傾斜する傾斜面15を形成することにより(
図1を参照)、異物を流体とともにスムーズに排水口12から排出することができる。
【0093】
暖房回路を構成する鉄管の内壁に付着している鉄粉や錆などの異物は、暖房器具の取り換え時に配管内の水を抜いたときに内壁から剥がれ落ちて、鉄管の内部に散乱する。この状態で再通水を行うと、散乱した異物が水とともに流動し、異物のうち非磁性体はフィルタ20で捕捉され、フィルタ20が次第に目詰まりすることによって通水量が大幅に減少する。
【0094】
この場合、通水開始から所定時間(例えば5分)の経過時点で一旦通水を遮断し、その遮断からさらに所定時間(例えば5分)の経過時点で再通水を行う通水断続制御を行うこともできる。この通水断続制御は、通水開始から所定時間が経過して、フィルタ20に異物がある程度捕捉されたときに通水を遮断してこのフィルタ20で捕捉された異物を捕集部9に脱落させる。異物が脱落することでフィルタ20の目詰まりが解消され、再通水時におけるフィルタ20の通水量を回復することができる。
【0095】
この通水断続制御は、上記のように配管内の水を抜いたときなど、適宜のタイミングで行うことができる。このタイミングに関し、例えば、暖房器具の起動の度に行う、暖房器具の新設時において、初回の運転から所定時間以内(例えば10時間以内)、あるいは、所定起動回数(例えば10回目)の運転再開までに行う、という種々の制御ルールを定めることもできる。また、通水の遮断および再通水は、鉄管内の異物がある程度除去されるまで、複数回繰り返すこともできる。また、通水の遮断および再通水までの上記所定時間は、水に含まれる異物の量や、フィルタ20からの異物の脱落のしやすさなどを考慮して適宜変更することができる。
【0096】
また、通水中にフィルタ20が目詰まりすると、通水抵抗が上昇してポンプの電流値や電圧値などが影響を受ける。そこで、水圧やポンプの電流値や電圧値などの変動を各種センサで検知して、フィルタ20が目詰まりしたと判定されたときに、通水の遮断および再通水を行うように制御することもできる。
【0097】
第二実施形態においては、本体部2の軸中心に細管部43が形成されており、その細管部43に対して縮径部42の内底面が周方向に均等に傾斜するすり鉢形状となっている構成としたが、第二実施形態の第一変形例を
図19に示すように、フィルタ20を設けた側の縮径部42の内底面に対して、それと反対側の縮径部42の内底面を高くした段差部54を形成した構成とすることもできる。このようにすると、通水停止時にフィルタ20から脱落し、捕集部9に至ることなく縮径部42の内底面(
図19において破線で示すA部)に堆積した異物が、通水再開時に段差部54によって下向きに誘導され、細管部43を通ってスムーズに捕集部9に捕集される。このため、堆積した異物が、通水再開時に流体によって巻き上げられるのを防止することができる。
【0098】
また、第二実施形態の第二変形例を
図20に示すように、細管部43を本体部2の中央よりも壁面側に偏位して設けた構成とすることもできる。具体的には、この細管部43を本体部2の中央よりもフィルタ20側に偏位して設けることができる。このようにすると、通水停止時において排出隙間50を通って脱落する非磁性体からなる異物を、細管部43を通ってスムーズに捕集部9に導くことができる。
【0099】
さらに、第二実施形態の第三変形例を
図21に示すように、細管部43を本体部2の中央部よりもフィルタ20側、および、磁石28側のそれぞれに偏位して複数設けることもできる。このようにすると、通水停止時にフィルタ20から脱落した非磁性体からなる異物、および、磁石28を取り外した際に本体部2の内壁から脱落した磁性体からなる異物の両方を細管部43を通ってスムーズに捕集部9に導くことができる。細管部43の本数は2本に限定されず、例えば、磁石28側とフィルタ20側にそれぞれ2本ずつ設けるなど、必要に応じて適宜増やすこともできる。
【0100】
また、捕集部9、コック弁10、および、排水口12の配置は、
図14に示す配置に限定されず、捕集部9、コック弁10、および、排水口12を垂直に配置して異物を排出しやすくしたり、コック弁10の開弁方向を
図14に示す構成に対して90度回転させるとともに排水口12の排水方向を横向きにして、異物が捕集部9に詰まったときに排水口12側から治具を用いて詰まった異物の取り出しを可能な配置としたりすることもできる。
【0101】
この発明に係る異物除去装置1の第三実施形態を
図22から
図24に示す。この異物除去装置1は、第二実施形態に係る異物除去装置1をベースとしつつ、第一実施形態に係るフィルタ20の構成を採用している。第三実施形態に係る異物除去装置1は、上記の各実施形態と同様に、本体部2、偏向部材3(短絡管46、偏向板47)、および、異物除去部4(磁石28)を主要な構成要素としている。この本体部2、偏向部材3、および、異物除去部4の構成は、第一実施形態または第二実施形態と共通するため、重複する説明は省略する。
【0102】
第三実施形態に係る異物除去装置1は、本体部2と捕集部9の間を仕切る第一実施形態と類似の仕切部材16を有しているが、コーン部17に形成された円形の貫通孔24が、第一実施形態における矩形の貫通孔23と円形の貫通孔24の両方の機能を兼ねている点で相違する。なお、
図24などに示すようにコーン部17には円形の貫通孔24のみ形成されているが、捕集部9に本体部2の流動の影響が及ばない限りにおいて、コーン部17にさらに他の貫通孔を形成することもできる。また、第三実施形態に係る異物除去装置1は、フィルタ20を通過する流路と、その表面に沿って下向きに流れる流路に流体を分岐させるようにこのフィルタ20を配置する構成とした点で第一実施形態と共通するが、フィルタ20が、円形の貫通孔24の中心よりも若干流入口5側に偏った状態でコーン部17に形成された円形の貫通孔24を跨いでいる点で相違する。
【0103】
フィルタ20は、本体部2の内壁に形成されたリブ21にその両端が挟み込まれるとともに、その下端が仕切部材16のコーン部17に形成された円形の貫通孔24の内縁に形成された一対のスリット(図示せず)に挿し込まれることによって、所定の取り付け位置に位置決めされている。
【0104】
以下、第三実施形態に係る異物除去装置1で、流体としての温水の中に含まれる異物(鉄粉などの磁性体や、錆などの非磁性体)を除去する際の作用について説明する。
【0105】
異物を含む流体は、流入口5に設けられた偏向部材3の短絡管46を通って本体部2に流れ込む。この流体は、直管状の短絡管46によって直進性が与えられ、流入口5と対向する壁面に向かって(
図22では右向きに)流動する。そして、偏向部材3に形成された傾斜部48によって下向きに偏向されて、本体部2の下端部でターンして流入口5側に向かう。このとき、流体に含まれる異物のうち錆などの非磁性体は、フィルタ20を通過する流動成分によってフィルタ20の表面近傍に集められつつ、フィルタ20表面に沿って下方に向かう流動成分によって落下する。そして、仕切部材16のコーン部17に形成された円形の貫通孔24(
図24において貫通孔24の右側)を通って捕集部9によって捕獲される。また、本体部2の下端部でターンするとともにフィルタ20を通過して流入口5側に向かった流体中の異物のうち、鉄粉などの磁性体は、本体部2の外壁に設けられた磁石28の磁力によって吸着される。
【0106】
コーン部17に形成される円形の貫通孔24のサイズは、通水時に捕集部9側に流体が極力流入しない程度の適宜のサイズとされ、例えば、本体部2の直径が60mmのときは、円形の貫通孔24の直径は5~30mm、好ましくは8~20mmの範囲内となる。このように、本体部2と捕集部9を仕切部材16で仕切ることにより、捕集部9には本体部2の流動の影響が及ばないため、捕集部9によって捕集された異物(非磁性体)が通水中に舞い上がるおそれがない。このため、流体中の異物を効率よく除去することができる。
【0107】
通水停止後に、本体部2から磁石28を磁石ホルダ29ごと取り外すと、この磁石28に吸着されていた鉄粉などの磁性体が脱落し、仕切部材16のコーン部17に形成された円形の貫通孔24(
図24において貫通孔24の左側)を通って捕集部9によって捕集される。通水停止状態で排水口12に設けられた栓13を取り外して捕集部9に設けられたコック弁10を開くと、捕集部9に捕集された異物(磁性体、非磁性体)が、本体部2内の流体とともに排水口12を通って排出される。なお、第一実施形態と同様に、捕集部9の底面にコック弁10側に向かうほど下向きに傾斜する傾斜面15を形成することにより(
図1を参照)、異物を流体とともにスムーズに排水口12から排出することができる。
【0108】
第三実施形態においては、本体部2と捕集部9の間に仕切部材16を設けた構成としたが、第二実施形態のように、本体部2と捕集部9を細管部43で接続した構成とすることができる可能性もある。
【0109】
上記の各実施形態においては、磁石28としてネオジム磁石を採用したが、電磁石を採用することもできる。このようにすると、電磁石への通電を遮断することによって、この電磁石に吸着された磁性体を容易に離脱させて捕集部9で捕集することができ、メンテナンス作業をスムーズに行うことができる。
【0110】
なお、上記の各実施形態においては、磁石28で磁性体を、フィルタ20で非磁性体をそれぞれ捕獲する構成としたが、磁性体の捕獲のみできれば良い場合はフィルタ20を省略することができ、非磁性体の捕獲のみできれば良い場合、および、磁性体がフィルタ20で十分捕獲することができる程度のサイズの場合は磁石28を、それぞれ省略することができる。
【0111】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 異物除去装置
2 本体部
3 偏向部材
4 異物除去部
5 流入口
6 流出口
7 入口配管接続部
8 出口配管接続部
9 捕集部
10 コック弁
11、14、31 ピンファスナ
12 排水口
13 栓
15 傾斜面
16 仕切部材
17 コーン部
18 筒部
19、21、30、53 リブ
20 フィルタ
22 スリット
23 (矩形の)貫通孔
24 (円形の)貫通孔
25 突片
26 V字板
27 切り欠き部
28 磁石
29 磁石ホルダ
32 平坦部
33 傾斜部
34 抵抗部材
35 取り込み口
36 当接壁
37 落下口
38 補助フィルタ
39 延長筒部
40 円筒フィルタ
41 貫通孔
42 縮径部
43 細管部
44 蓋体
45 当接部材
46 短絡管
47 偏向板
48 傾斜部
49 隔壁
50 排出隙間
51 還流通路
52 補強リブ
54 段差部
【要約】
流体の流入口(5)と流出口(6)が形成された本体部(2)と、本体部(2)内に流入した流体が、本体部(2)の内壁に沿って流れるようにその流動方向を偏向させる、本体部(2)の内部に設けられる偏向部材(3)と、偏向部材(3)によって偏向した流体中の異物を除去する異物除去部(4)と、を有する構成、または、流体の流入口(5)と流出口(6)が形成された本体部(2)と、本体部(2)の内部に設けられたフィルタ(20)と、フィルタ(20)の表面から脱落する異物を捕集する、前記流体の流動範囲外に設けられた捕集部(9)と、を有する構成とする。