(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20240215BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B60K15/04 D
B60K13/04 A
(21)【出願番号】P 2018037232
(22)【出願日】2018-03-02
【審査請求日】2021-02-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2017040415
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 正博
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】位田 計人
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】中村 則夫
【審判官】久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0012205(US,A1)
【文献】実開昭55-161720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K15/04,B60K13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載のエンジンに供給される燃料を補充するための給油口と、
前記給油口に隣接して配置され、前記エンジンの排気を浄化する添加剤を補充するための給水口と、
前記給油口が挿入される第一孔及び前記給水口が挿入される第二孔及び前記第一孔と前記第二孔との間に形成される中間部を有し、車体に固定された固定部材と、
前記固定部材の裏側である車両内側に配置されて前記固定部材に対して係止され、前記給油口との間を封止する第一シール部と、
前記固定部材の表側である車両外側に配置されて前記固定部材に対して係止され、前記給水口との間を封止する第二シール部と、
前記第一シール部を有して前記給油口に設けられ、前記車両内側から前記第一シール部よりも前記車両外側に突出した形状の燃料フィラーブーツと、
前記第二シール部を有して前記給水口に設けられ、前記車両外側から前記第二シール部よりも前記車両内側に窪んだ形状の添加剤フィラーブーツと、
を備え、
前記第一シール部及び前記第二シール部の各々
の一部
が、前記中間部を介して互いに向かい合わせて配置
される
ことを特徴とする、車体構造。
【請求項2】
前記給水口の外筒面に形成されたネジ山と螺合するネジ溝を内周面に有し、前記給水口の外側に覆設される添加剤キャップを備える
ことを特徴とする、請求項
1記載の車体構造。
【請求項3】
前記給油口の端面が、前記給水口の端面よりも車両外側に配置される
ことを特徴とする、請求項
1又は2記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の給油口と添加剤の給水口とを備えた車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関を備えた車両においては、排気内の有害成分を還元して浄化すべく、タンク内に貯留された還元剤を排気に噴射する排気浄化システムが使用されている。ディーゼルエンジンにおいては、排気内の窒素酸化物(NOx)を還元すべく還元剤としては尿素やアンモニアが使用されるため、タンクの内部には尿素水溶液やアンモニア水溶液といった添加剤が貯留されている。また、タンクの配設位置は、例えば車両のフロア下に設定することが提案されている(特許文献1参照)。このようなレイアウトにより、車室内のスペースが確保されるとともに、添加剤の漏洩による車室居住性の低下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、引用文献1に記載の車両では添加剤の給水口が車室内の床面に配置されており、添加剤の補充作業は車室内で実施される。しかし、車室内には荷物が積載されていることがあり、良好な作業性が得られないことがある。また、補充作業中における、添加剤のこぼれの可能性を考慮すると、車室外から添加剤の補充作業を実施できるシステムとすることが望ましい。例えば、車両の給油口の近傍に給水口を配置して、給水口とタンクとの間を給水管で接続することが考えられる。
【0005】
一方、給油口や給水口などの配管材と車体との間には、防水性を確保するためのシール部材が介装される。複数の配管材の防水性を確保するには、シール部材が互いに干渉しないように配管材の位置を設定しなければならず、配管材同士を近接した位置に配置することが難しい。これにより、給油口及び給水口の設置場所のダウンサイジングが困難となる。
【0006】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、給油口及び給水口のシール性を確保しつつ、これらの設置場所の小型化が容易となる車体構造を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示する車体構造は、
車載のエンジンに供給される燃料を補充するための給油口と、
前記給油口に隣接して配置され、前記エンジンの排気を浄化する添加剤を補充するための給水口と、
前記給油口が挿入される第一孔及び前記給水口が挿入される第二孔及び前記第一孔と前記第二孔との間に形成される中間部を有し、車体に固定された固定部材と、
前記固定部材の裏側である車両内側に配置されて前記固定部材に対して固定され、前記給油口との間を封止する第一シール部と、
前記固定部材の表側である車両外側に配置されて前記固定部材に対して固定され、前記給水口との間を封止する第二シール部と、
前記第一シール部を有して前記給油口に設けられ、前記車両内側から前記第一シール部よりも前記車両外側に突出した形状の燃料フィラーブーツと、
前記第二シール部を有して前記給水口に設けられ、前記車両外側から前記第二シール部よりも前記車両内側に窪んだ形状の添加剤フィラーブーツと、
を備え、
前記第一シール部及び前記第二シール部の各々の一部が、前記中間部を介して互いに向かい合わせて配置される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第一シール部と第二シール部とを固定部材の表裏のそれぞれに配置することで、シール性を確保しつつ給油口と給水口との距離を近づけることができ、給油口及び給水口まわりの構造,形状をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の車体構造が適用された車両の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、実施形態としての車体構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0011】
[1.構成]
本実施形態の車体構造は、
図1に示す車両10に適用される。車両10は、ディーゼルエンジンを備えた自動車であり、排気内のNOxを還元するための尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムを備えている。車両10の後方側のフロア下には、燃料タンク(不図示)及び添加剤のタンク16が車体に対して固定される。タンク16は、尿素SCRシステムで使用される添加剤(例えば、尿素水溶液,アンモニア水溶液など)を貯留する容器である。また、車両10の側面には、エンジンに供給される燃料を補充するための給油口1と、エンジンの排気を浄化する添加剤を補充するための給水口2とが隣接して配置される。本実施形態では給油口1及び給水口2の総称として、補充口13との表現を用いる。
【0012】
補充口13は、車両10の左リヤフェンダーに取り付けられたケーシング90に内蔵されて、車体に固定される。ケーシング90は、車両10の表面側が開放された箱状に形成され、その表面側の開口部がリッド14によって開閉可能に閉塞される。リッド14は通常時はロック(施錠)されており、燃料,添加剤の補充作業時にロックを解除されて開放される。給油口1の位置は向かって左側(車両10の前方側)に設定され、給水口2の位置は向かって右側(車両10の後方側)に設定される。
【0013】
給油口1と燃料タンクとの間には、互いを連通する注油管(不図示)が接続される。同様に、給水口2とタンク16との間には、互いを連通する注水管15が接続される。注油管は、リヤホイールハウスの内周面に沿って、タイヤの直上方から前方に向かって配索される。一方、注水管15は、リヤホイールハウスの内周面に沿って、タイヤの直上方から後方に向かって配索される。これらの注油管,注水管15は、その上端部近傍で互いに固定される。
【0014】
補充口13の水平断面を、
図2に例示する。給油口1の上流側先端部には、給油時に燃料補充ノズルが挿入される部位となる燃料フィラーネック3が設けられる。同様に、給水口2の上流側先端部には、給水時に添加剤補充ノズルが挿入される部位となる添加剤フィラーネック4が設けられる。これらのフィラーネック3,4は筒状に形成される。燃料フィラーネック3の端面3A(給油口1の端面)は、添加剤フィラーネック4の端面4A(給水口2の端面)よりも車両10の外側に飛び出すように配置される。また、添加剤フィラーネック4の内径は、燃料フィラーネック3の内径よりも小径に形成される。本実施形態では、燃料補充ノズルの誤挿入を防止するために、燃料補充ノズルの外径よりも小径の中空筒状に形成されたインレットアダプタが添加剤フィラーネック4の内側に固定されるものとする。
【0015】
給油口1及び給水口2のそれぞれは、ケーシング90の側壁部分に相当する固定部材9に対して、弾性材料(樹脂やゴム等)のフィラーブーツ5,6を介して弾性的に支持されるとともに、固定部材9を貫通した姿勢で固定される。
図3に示されるように、固定部材9には、給油口1が挿入される第一孔9A及び給水口2が挿入される第二孔9Bが形成されている。なお、固定部材9は、例えば板形状に形成されている。燃料フィラーネック3は第一孔9Aに挿入されて、その上端側には、燃料フィラーブーツ5が装着される。燃料フィラーブーツ5の形状は、底面が開放された略円錐台形状に準えることができる。燃料フィラーネック3は、燃料フィラーブーツ5における円錐台の底面側から頂面を貫通するように配設される。
【0016】
また、燃料フィラーブーツ5のうち、円錐台の錐面と底面との交差部分に相当する部位には第一シール部7が設けられ、この第一シール部7が固定部材9の裏側(車両10の内側)に係止されることによって、燃料フィラーブーツ5が固定部材9に対して固定されると共に両者の間が封止される。これにより、燃料フィラーブーツ5と固定部材9との間の防水性が確保される。第一シール部7を基準にして観察すれば、燃料フィラーブーツ5の形状は、第一シール部7よりも外側に突出した形状であるといえる。
【0017】
添加剤フィラーネック4は固定部材9の第二孔9Bに挿入されて、その上端側には、添加剤フィラーブーツ6が装着される。添加剤フィラーブーツ6の形状も、燃料フィラーブーツ5と同様に、底面が開放された略円錐台形状に準えることができる。しかし、添加剤フィラーブーツ6は、固定部材9に対して燃料フィラーブーツ5とは逆向きの姿勢で取り付けられる。燃料フィラーブーツ5がその頂面側を車両10の外側に向けた姿勢で取り付けられるのに対し、添加剤フィラーブーツ6はその底面側を外側に向けた姿勢で取り付けられる。
【0018】
添加剤フィラーブーツ6のうち、円錐台の錐面と底面との交差部分に相当する部位には第二シール部8が設けられ、この第二シール部8が固定部材9の表側(車両10の外側)に係止されることによって、添加剤フィラーブーツ6が固定部材9に対して固定されると共に両者の間が封止される。これにより、添加剤フィラーブーツ6と固定部材9との間の防水性が確保される。第二シール部8を基準にして観察すれば、添加剤フィラーブーツ6の形状は、第二シール部8よりも内側に窪んだ形状であるといえる。なお、添加剤フィラーブーツ6の内側に水たまりが生じないように、水抜き穴を形成してもよい。
【0019】
燃料フィラーネック3の先端には、燃料キャップ11が取り付けられる。燃料キャップ11は、筒状の燃料フィラーネック3における先端部の内筒面に形成されたネジ山と螺合するネジ溝をその外周面に有する(つまり、雄ネジが形成されている)。したがって、燃料キャップ11は、燃料フィラーネック3の内側に挿入された状態で取り付けられる。これに対し、添加剤フィラーネック4の先端には、添加剤キャップ12が取り付けられる。添加剤キャップ12は、添加剤フィラーネック4における先端部の外筒面に形成されたネジ山と螺合するネジ溝をその内周面に有する(つまり、雌ネジが形成されている)。したがって、添加剤キャップ12は、添加剤フィラーネック4の先端に外側から覆い被さった状態で取り付けられる。そのため、添加剤フィラーブーツ6の窪みのサイズは、添加剤キャップ12の取付け状態でのサイズを考慮して決定される。
【0020】
[2.作用,効果]
[1]上記の車体構造では、第一シール部7と第二シール部8とが固定部材9の表裏のそれぞれに配置される。したがって、
図2中の破線円A内に示すように、固定部材9における第一孔9Aと第二孔9Bとの間の中間部9Cにおいて、第一シール部7及び第二シール部8の各々の少なくとも一部を、中間部9Cを介して互いに向かい合わせて配置することができる。換言すれば、第一シール部7及び第二シール部8の各々の少なくとも一部を、中間部9Cを挟んでオーバーラップさせて配置することができる。したがって、第一シール部7及び第二シール部8のシール性を確保しつつ、燃料フィラーネック3と添加剤フィラーネック4とを可能な限り接近させることが容易となる。これにより、給油口1と給水口2との距離を近づけることができるため、補充口13の設置場所を小型化することができる。
【0021】
[2]給油口1の周囲には、第一シール部7よりも車両10の外側に突出した形状の燃料フィラーブーツ5が取り付けられる。燃料フィラーネック3は、この燃料フィラーブーツ5を介してケーシング90の固定部材9(ひいては車体)に取り付けられる。このように、補充頻度の高い燃料の給油口1の燃料フィラーブーツ5を第一シール部7よりも外側に突出させることで、燃料の補充作業性を高めることができる。また、第一シール部7から給油口1の端面3Aまでの距離が長くなることから、給油作業中に燃料が第一シール部7に飛散するような事態を防止することができ、第一シール部7のシール性,保護性を高めることができる。さらに、燃料フィラーブーツ5が外部に突出した形状であることから、燃料フィラーブーツ5の内側に燃料の吹きこぼれが滞留することも防止でき、給油作業の安全性を高めることができる。
【0022】
[3]上記の車体構造では、第一シール部7が車両10の外側から見て固定部材9の裏側に配置される。これにより、給油口1の艤装作業時には、固定部材9の裏側から燃料フィラーブーツ5を押し出す(あるいは、固定部材9の手前側へと燃料フィラーブーツ5を引き出す)ことで、容易に給油口1を固定部材9に取り付けることができ、シール性及び組み付け作業性を向上させることができる。また、仮に給油作業中に燃料が吹きこぼれたとしても、燃料が第一シール部7に浸入することを防ぐことができるため、第一シール部7のシール性,保護性を高めることができる。
【0023】
[4]給水口2の周囲には、第二シール部8よりも車両10の内側に窪んだ形状の添加剤フィラーブーツ6が取り付けられる。添加剤フィラーネック4は、この添加剤フィラーブーツ6を介してケーシング90の固定部材9(ひいては車体)に取り付けられる。このように、補充頻度の低い添加剤の給水口2の添加剤フィラーブーツ6を第二シール部8よりも車両10の内側に窪ませることで、燃料の補充作業時における作業スペース(燃料補充ノズルの周囲の余裕寸法)を大きくすることができるため、より頻度の高い燃料の補充作業性を高めることができる。また、第二シール部8から給水口2の端面4Aまでの距離をとりやすくなり、給水作業中に添加剤が第二シール部8に飛散するような事態を防止でき、第二シール部8の保護性を高めることができる。
【0024】
なお、給水口2の内側には燃料給油ノズルの誤挿入を防止するためのインレットアダプタが内蔵されることから、一般的な添加剤キャップ12は、給水口2の外側を被覆する雌ねじタイプとされる。そのため、給水口2の端面は給油口1の端面よりも車両10の外側に飛び出した形状に形成されることが多く、給水口2が給油作業の障害となりうる。ただし、本実施形態によれば、第二シール部8よりも内側に窪んだ添加剤フィラーブーツ6を設けることで、給水口2の端面4Aを給油口1の端面3Aよりも内側に配置しやすくすることができ、燃料の補充作業性を高めることができる。
【0025】
[5]上記の車体構造では、第二シール部8が車両10の外側から見て固定部材9の表側に配置される。そのため、給水口2の艤装作業時には、固定部材9の表側から添加剤フィラーブーツ6を奥へと押し込む(あるいは、固定部材9の裏側に手を回して添加剤フィラーブーツ6を引き込む)ことで、容易に給水口2を固定部材9に取り付けることができるため、組み付け作業性を向上させることができる。
【0026】
[6]上記の車体構造では、車両10の内側に窪んだ形状の添加剤フィラーブーツ6が取り付けられ、その窪みの内側に収まるように、添加剤キャップ12が給水口2に取り付けられる。このように、添加剤フィラーブーツ6を窪んだ形状にすることで、添加剤キャップ12を給水口2の外側に覆設することができる。したがって、給水口2の内側にインレットアダプタを形成させることができるため、燃料の誤補充をより確実に防止することができる。また、給油口1に比べて補充頻度が低い給水口2の外側に添加剤キャップ12を覆設することで、仮に給油作業中に燃料が飛散したとしても、燃料が給水口2内に浸入することを防ぐことができる。
【0027】
[7]上記の車体構造では、給油口1の端面3Aが給水口2の端面4Aよりも車両10の外側に配置されている。このように、補充頻度の高い燃料の給油口1を作業者から見て手前側に配置することで、給油作業中に燃料給油ノズルと給水口2との干渉を発生しにくくすることができ、燃料の補充作業性を高めることができる。
【0028】
[3.変形例]
上述の実施形態では、シール部7,8が、固定部材9とフィラーブーツ5,6との間を封止する構造を例示した。しかし、フィラーブーツ5,6をフィラーネック3,4と一体に形成した場合には、シール部7,8が、固定部材9とフィラーネック3,4との間を封止する構成としてもよい。すなわち、第一シール部7は給油口1と車体との間を封止する機能を持つものであればよく、第二シール部8は給水口2と車体との間を封止する機能を持つものであればよい。何れにしても、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0029】
上述の実施形態では、第一シール部7を固定部材9の裏側に配置し、第二シール部8を固定部材9の表側に配置した構造を例示したが、これらの配置関係は逆転させることができる。すなわち、第一シール部7を固定部材9の表側に配置し、第二シール部8を固定部材9の裏側に配置してもよい。この場合であっても両シール部7,8を固定部材9の中間部9Cを介して向かい合わせて配置させることができるため、上述の実施形態の効果の一部を同様に奏する構造を提供することができる。ただし、上述の実施形態のように、燃料フィラーブーツ5を第一シール部7よりも外側に突出した形状とする場合には、上述の実施形態通りに、第一シール部7を固定部材9の裏側に配置し、第二シール部8を固定部材9の表側に配置するのが望ましい。
【0030】
上述の実施形態では、尿素SCRシステムのタンク16について詳述したが、タンク16に貯留される添加剤の種類は尿素水に限定されない。NOx選択還元触媒を利用した排気浄化システムにおいては、尿素の代わりにアンモニアを還元剤として使用することがある。したがって、アンモニア水溶液を貯留する添加剤容器として、上記のタンク16を用いることができる。また、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)を利用した排気浄化システムにおいては、PM(パティキュレート・マター)の燃焼を促進するために、排気管内に炭化水素(HC,未燃燃料)を噴射することがある。この場合、燃料を貯留する添加剤容器として、上記のタンク16を用いることもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 給油口
2 給水口
5 燃料フィラーブーツ
6 添加剤フィラーブーツ
7 第一シール部
8 第二シール部
9 固定部材
12 添加剤キャップ
90 ケーシング