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特許7437118改善された押し出し方法および関連の装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】改善された押し出し方法および関連の装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/18 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A21C11/18 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019022856
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2019170369
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】102018000002656
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514008181
【氏名又は名称】バリッラ・ジ・エッレ・フラテッリ・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】Barilla G.eR. Fratelli S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Mantova, 166 I-43100 Parma, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ガッシーナ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ガリアルディ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525885(JP,A)
【文献】実公昭44-030714(JP,Y1)
【文献】国際公開第2016/200254(WO,A1)
【文献】特開2009-233652(JP,A)
【文献】特開2015-160636(JP,A)
【文献】特開2005-237780(JP,A)
【文献】特表2000-509680(JP,A)
【文献】特開平08-228744(JP,A)
【文献】特開平09-238849(JP,A)
【文献】実開平04-077788(JP,U)
【文献】国際公開第01/010744(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/142511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00-15/04
A23P 10/00-30/40
B65D 83/00
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリング状の生地の押し出しおよび堆積による三次元アイテムの製造の方法であって、
a)側壁と、少なくとも1つのノズルを有する底部により閉鎖される第1端部と、第2端部とを備える円筒状管体と、互いに取り外し可能に結合されるロッドおよびピストンヘッドを備えるピストンと、を備える押し出し機を設けるステップと、
b)粘弾性食品生地を前記円筒状管体内に供給するステップと、
c)前記ピストンを前記円筒状管体の側壁の内側に設けるステップであって、前記ピストンヘッドは、前記円筒状管体の前記側壁と接触し、前記円筒状管体の内部を自由に摺動可能であり、前記粘弾性食品生地は、前記ピストンヘッドと前記底部との間に全体的に含まれるステップと、
d)前記ロッドおよび前記ピストンヘッドを漸次前進させることにより前記粘弾性食品生地を押し出すステップであって、前記ピストンヘッドは、前記ロッドと結合され、前記円筒状管体の内部を摺動路に沿って、前記円筒状管体の前記底部に向かって、ロッドにより押され、前記少なくとも1つのノズルから所定の速度で連続的なストリング状の生地の供給に至るステップと、
e)前記ロッドの前記前進を前記摺動路に沿った特定位置にて停止させることによって、および、前記ロッドを前記ピストンヘッドから分離し、前記ピストンヘッドを、前記粘弾性食品生地によって前記円筒状管体の前記第2端部に向かって押させるための、前記ロッドの、前記第2端部へと向かう即座の移動によって、前記粘弾性食品生地の前記押し出しを中断するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記粘弾性食品生地の前記押し出しを中断する前記ステップe)の間、前記ロッドは、前記第2端部に向かって、所定の距離で後退させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粘弾性食品生地の前記押し出しを中断する前記ステップe)の後に、前記粘弾性食品生地の前記押し出しを再開して、前記ロッドを前記摺動路に沿った前記特定位置へと戻し、それによって、前記少なくとも1つのノズルから、連続的なストリング状の生地の前記供給を再開する追加のステップが続く、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記円筒状管体の内部での前記底部へと向かう前記ロッドの前記前進、および前記第2端部へと向かう前記ロッドの前記移動は、前記押し出し機の制御システムにより制御される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粘弾性食品生地の押し出しを中断する前記ステップe)の間、前記摺動路に沿った前記ロッドの前記特定位置は、前記押し出し機の前記制御システムによりあらかじめ保存される所定位置に一致するか、または前記摺動路に沿った前記ロッドの前記特定位置は、前記ロッドが前記ピストンヘッドから分離される際に、前記押し出し機の前記制御システムに記録される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ステップd)の間に押し出される前記連続的なストリング状の生地は、その堆積後に、部分的な表面乾燥の処理を受ける、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記部分的な表面乾燥は、空気の流れの適用によって実行される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記空気の流れは、60℃~90℃の温度の空気である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記空気の流れは、80℃の温度の空気である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記粘弾性食品生地は、食料品に基づく生地である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記粘弾性食品生地は、パスタの製造に適した生地である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
3Dプリント手法によりプリントされた三次元アイテムの製造のための、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
3Dプリント手法は、パスタの製造のためのものである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
3Dプリント手法によりプリントされるアイテムの製造のため、押し出し機(1)を備える、プリンタであって、
粘弾性食品生地を押し出すための前記押し出し機(1)は、
側壁(2a)と、少なくとも1つのノズル(9)を有する底部(8)により閉鎖される第1端部(3)と、第2端部(4)を有する円筒状管体(2)と、ロッド(11)とピストンヘッド(12)とを備えるピストン(10)と、を備え、前記ピストンヘッド(12)および前記底部(8)は、前記ピストンヘッド(12)および前記底部(8)の間に前記粘弾性食品生地を含むように構成され、前記ロッド(11)および前記ピストンヘッド(12)は、互いに取り外し可能に結合可能であり、前記ピストン(11)は、前記ピストンヘッド(12)が前記円筒状管体(2)の前記側壁(2a)と接触して前記円筒状管体の内部を自由に摺動可能であるように、前記第2端部(4)を通して前記円筒状管体(2)の前記側壁(2a)の内側に挿入可能であり、前記ロッド(11)は、ストローク端位置である前記第1端部(3)、および、静止位置である前記第2端部(4)の間で摺動路に沿って移動可能であり、前記ピストンヘッド(12)は、前記円筒状管体(2)の内部で自由に摺動可能であり、前記ピストンヘッド(12)は、前記ロッド(11)が前記第2端部(4)に向かって移動し、前記ロッド(11)と前記ピストンヘッド(12)との結合が解除されたときに、前記粘弾性食品生地により前記第2端部(4)へ向かって押されることが可能であり、
前記押し出し機(1)は、制御システムを備え、
前記制御システムは、あらかじめ保存される所定位置に対応する前記摺動路に沿った特定位置、または、前記ロッドが前記ピストンヘッドから分離される際に記録される前記摺動路に沿った特定位置で前記押し出しを中断することにより、前記円筒状管体(2)における前記ロッド(11)の前記底部(8)に向かう前進を制御し、
前記制御システムは、前記第2端部(4)に向かう前記ロッド(11)の移動を制御する、プリンタ。
【請求項15】
前記3Dプリント手法は、パスタの製造のためのものである、請求項14記載のプリンタ。
【請求項16】
前記ピストンヘッド(12)に加えられる力を測定するための少なくとも1つのロードセルを備え、前記ロードセルは、前記制御システムに接続される、請求項15記載の3Dプリント手法によりプリントされるアイテムの製造のためのプリンタ。
【請求項17】
前記押し出し機(1)は、前記ロッド(11)と前記ピストンヘッド(12)とを取り外し可能に結合するための結合手段を備える、請求項14~16のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項18】
前記結合手段は、係合手段、磁気結合手段または電磁気結合手段である、請求項17記載のプリンタ。
【請求項19】
前記ピストンヘッド(12)は、前記ピストンヘッド(12)と前記底部(8)との間に備えられる前記円筒状管体(2)の空間と、前記ピストンヘッド(12)と前記第2端部(4)との間に含まれる前記円筒状管体(2)の前記空間との流体連通に適した通気弁をさらに備え、前記通気弁は、開モードまたは閉モードで動作する、請求項14~18のいずれか1項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用的ではないが、主に食品産業の部門に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、粘弾性食品生地、好ましくは、食料品(food meal)に基づく生地、たとえばパスタの製造に適した生地から得られるストリング状の生地を分注して押し出しする方法に関する。
【0003】
本発明は、また、円筒状管体と、ピストンとを備えるシステムに関し、このシステムは、ストリング状の生地を分注して押し出すための前述の方法を実施するように設計される。本発明は、また、そのようなシステムを備える3Dプリンタに関する。
【背景技術】
【0004】
三次元(3D)プリント技術による、特定の、または複雑な形状の食品製品の製造がこの数年知られている。例として特許文献1が引用され、この出願は、プリント可能な流体食品のための容器、バインダのための容器、典型的にはアルギン酸、およびディスペンサを備える、二次元または三次元形状の食品をプリントする装置を記載する。記載される装置は、また、ディスペンサ(分注ヘッド)の移動を制御し得る制御ユニットを備える。出願は、また、流体食品およびバインダの滴剤を製造し、各滴剤の堆積後にディスペンサを移動させるステップを含む、三次元食品の製造の方法を記載する。
【0005】
三次元プリントを行うために、押し出し機、および押し出されたストリングが堆積される表面の(3つの軸X、YおよびZに沿った)相対移動は、所望の三次元アイテムが、三次元デジタルモデルからプリントされ得るように慎重に制御されなければならず、軸の移動のためのプログラムに適切に変換される。状況に応じて、押し出し機を固定したままで、3つの軸X、YおよびZに沿った表面の移動を使用すること、または1つ、2つ、または3つの軸に沿って押し出し機を移動させ、その結果、他の軸に沿った堆積表面の移動を制限することは有用となり得る。
【0006】
ディスペンサ/押し出し機は、一括方式の対象である多くの場合で機能し、管体の内部に含まれる流体を、管体のノズルを通して排出させ、ピストンを、さらなる軸(ここでは「軸E」と呼称される)に沿って移動させる、つまりその軸に沿ってピストンが円筒状管体の内部を摺動する。この軸Eの移動は、前述の座標軸(X、YおよびZ)に沿った押し出し機および表面の相対移動と併せて、制御され、調整されなければならない。
【0007】
多くの実際の場合において、X、Y、ZおよびEの移動のプログラミング中にも、円筒状管体の内部に含まれ、ピストンの前進移動により分注される(流体)食品材料の粘度特性、より一般的には、粘度を考慮に入れることなく良好な3Dプリントの結果を得ることは不可能である。実際には、押し出される食品材料の排出の速度の最適な制御が要求され、これは、ピストンの移動(位置、速度および加速)の精巧な制御によってのみ可能である。
【0008】
実際には、通常は、(流体)食品材料は、円筒状管体内に充填され、円筒状管体内でピストンヘッドと一体のロッドを備えるピストンが摺動し、ピストンは、直線軸に沿って移動し、モータによって駆動され、その移動は、制御システムにより制御される。円筒状管体の内部での直線軸に沿ったピストンヘッドの移動(位置、速度および加速)、およびノズルの特性は、円筒状管体の内部に含まれる食品材料(流体)の実際の圧力を決定し、圧力もまた、流体自体の特性に依存する。この圧力は、押し出しが行われるかどうかを決定し、その質に影響を及ぼし、また、ノズルの特性に依存する。
【0009】
円筒状管体の内部に含まれる材料の押し出しは、概して、加速、ならびに動作の起こり得る停止および再開の変化により可変の速度で行われ、その変化は、三次元アイテムをプリントするためのプログラムにより決定される。
【0010】
実際には、プリントプログラムに従い、複雑な三次元形状を得るために、食品材料の分注の速度もまた、調節されなければならず、そして必要であれば、分注は、停止され、再開される。より具体的には、円筒状管体の内部でのピストンの前進移動は、押し出されるストリング状の食品材料の開始および再開を行うために管理されなければならない。
【0011】
押し出される食品材料は、(たとえば、チョコレートグムキャンディーが製造される場合)適切な温度まで加熱され、分注されると即座に冷却される液体材料であってもよいか、または、たとえば、パスタの製造に使用される食事に基づく材料の生地などの、非常に粘性の生地の形態であってもよい。粘性の生地の形態の場合、生地は、通常、粘弾性の挙動を示すペースト状の流体の形態を取る。
【0012】
粘弾性の流体の形態の食品材料が、三次元アイテムのプリント中に押し出されると、連続的なストリング状の材料の分注の制御およびその中断は、特に複雑である。一般に、ピストンヘッドの前進移動の速度に変化がある場合、ストリングの押し出しの可変の速度を正確に制御し、押し出し動作を明確に停止および開始することは不可能である。
【0013】
実際に、ピストンヘッドの前進移動が停止すると、円筒状管体の内部で圧力下にある粘弾性食品生地は、弾性エネルギーを有し、弾性エネルギーによって、ストリング状の食品用生地は、ある一定の期間、システムの分注ノズルから排出され続ける。したがって、ある位置におけるピストンヘッドの停止は、ストリング状の粘弾性食品材料の分注の即座の中断を引き起こさない。この挙動は、三次元アイテムのプリントのために分注されるストリング状の材料の測定が不規則となり、その結果、この種類の物品が精密に製造され得ず、まったく望ましくない。
【0014】
他の場合では、この欠点は、ノズルから生じる過剰の生産物を切断して除去することにより克服されるが、これは、具体的には食品製品のための3Dプリントの間の、連続的かつ急速な停止および再開の動作の場合、明らかに実行可能ではない。
【0015】
より精密に、ピストンヘッドの前進移動の停止と同時に、食品材料の分注を停止することを試みる際、いくつかの三次元プリント方法は、停止の直後に、分注ノズルの方向と反対方向におけるピストンヘッドの後退を想定する。この手段は、一般に、食用クリーム、たとえば詰め物またはドレッシング用クリームの押し出し中に採用され、これらの特定の用途に対する正確な用量を保証する。三次元物品のプリントのための、ストリング状の粘弾性食品材料の押し出し中に、ピストンのロッド(そしてそれに接続されるピストンヘッド)を後退させる手法を適応させることは、停止に続く、加圧された流体の膨張を正確に相殺し得るように、距離および空間に関して、必要とされる正確な後退を前もって決定することを必要とするため、極めて問題となる。この後退は、円筒内部における流体の圧力(計算することは不可能である)に依存し、正確には流体の弾性特性のため、その時点に円筒内部に存在する流体の量にも依存する。ピストンヘッドの不正確または過剰な後退は、空気が(または既に堆積されたストリングですらも)円筒内に引き込まれるという結果をもたらし、一方で、不十分な後退は、押し出されるストリングの流体を正確に停止するという問題を解決しない。
【0016】
したがって、本発明の基礎を形成する技術的課題は、三次元食品アイテムのプリントのための押し出し方法を提供し、その方法は、即座の中断、および必要であれば、その内部に押し出しされる食品材料が含まれる円筒状管体の内部でのピストンの前進移動の停止の際に、ストリング状の材料の押し出しのその後の再開をもたらし、その方法は、所望の用途に対し、単純かつ正確であり、先行技術に関連して遭遇する課題を克服する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2010/151202号
【発明の概要】
【0018】
本発明によると、この技術的課題は、ストリング状の生地の押し出しまたは堆積による三次元アイテムの製造の方法であって、
a)少なくとも1つのノズルを有する底部により閉鎖される第1端部と、第2端部とを備える円筒状管体と、互いに取り外し可能に結合されるロッドおよびピストンヘッドを備えるピストンと、を備える押し出し機を設けるステップと、
b)粘弾性食品生地を円筒状管体内に供給するステップと、
c)ピストンを円筒状管体の側壁の内側に設けるステップであって、それによって、前述のピストンヘッドは、円筒状管体の側壁と接触し、円筒状管体の内部を自由に摺動可能であり、粘弾性食品生地は、ピストンヘッドと底部との間に全体的に含まれるステップと、
d)ロッドおよびピストンヘッドを漸次前進させることにより粘弾性食品生地を押し出すステップであって、ピストンヘッドは、ロッドと結合され、前述の円筒状管体の内部を摺動路に沿って、円筒状管体の底部に向かって、ロッドにより押され、少なくとも1つのノズルから所定の速度で連続的なストリング状の生地の供給に至るステップと、
e)ロッドの前進を前述の摺動路に沿った特定位置にて停止させることによって、およびロッドをピストンヘッドから分離し、ピストンヘッドを、粘弾性生地によって前記円筒状管体の第2端部に向かって押させるための、ロッドの、第2端部へと向かう即座の移動によって、前記粘弾性食品生地の押し出しを中断するステップと、
を含む方法によって解決される。
【0019】
具体的には、少なくとも1つのノズルへと向かうロッドの前進移動の中断の時点に、円筒状管体の第2端部へと向かうロッドの後退が、ピストンヘッドからのロッドの即座の分離をもたらす。このようにして、ピストンヘッドは、円筒状管体の内部で自由に摺動する。
【0020】
したがって、完全に有利な方法で、円筒状管体内に存在したままである粘弾性食品材料は、供給ステップにて、円筒状管体の側壁とピストンヘッドとの間の圧縮中に蓄積され、周囲圧力に達するまで急速に減少する力をピストンヘッドに加える、弾性エネルギーを放出し得る。この力の結果、ピストンヘッドには、少なくともノズルに反対の(押し出し方向に反対の)方向の移動が提供され、円筒状管体の第1端部へと向かう、すなわち、少なくとも1つのノズルの方向の代わりに、円筒状管体の第2端部へと向かう、粘弾性生地の膨張が可能になる。
【0021】
実際には、本発明による方法により、ロッドの後退移動、および円筒状管体の内部でのピストンヘッドからの分離の後の、ストリング状の残りの生地の供給が防止される。
【0022】
実際には、粘弾性材料生地と接触するピストンヘッドの表面は、少なくとも1つの分注ノズルの断面積よりもはるかに大きく、したがって、(ロッドがピストンヘッドから分離する時点に)円筒状管体の内部に存在する加圧された粘弾性生地が、ノズルの反対方向に膨張し、自由に摺動するピストンヘッドに押し当てられることによって蓄積される弾性エネルギーを放出し得る。このようにして、圧力下の生地により付与されるノズルに反対の方向(円筒状管体の第2端部に向かう方向)のピストンヘッドの最小限の急速移動は、ピストンヘッドと底部との間に位置する円筒状管体の部分を即座に、かつ適切に減圧するために十分であり、ピストンヘッドからのロッドの分離の時点における連続的なストリング状の供給が中断される。
【0023】
実際には、本発明によると、「円筒状管体の内部を自由に摺動可能」という表現は、ピストンヘッドが円筒状管体の内部で、受動的に摺動し得ることを意味する。たとえば、ピストンヘッドは、ロッドにより円筒状管体の第1端部に向かって押されると、または粘弾性生地により第2端部の方向へと押し戻されると、摺動し得る。
【0024】
それに応じて、ピストンヘッドは、円筒状管体の内部に完全に篏合し、その側壁に接触するために、作製され、成形される。たとえば、従来の方法で、ピストンヘッドの、円筒状管体の内部での摺動路に沿った移動により、ピストンヘッドと円筒状管体の側壁との間に特定かつ適切な摩擦が生じるように、ピストンヘッドは、円筒状管体の内側部分の直径と実質的に同じ直径を有し得る。
【0025】
好ましくは、ピストンを円筒状管体の側壁の内側に設けるステップc)は、円筒状管体の第2端部を通って、円筒状管体の内部にピストンを挿入することによって、実行される。
【0026】
好ましくは、粘弾性食品生地の押し出しを中断する前述のステップe)の間、ロッドは、第2端部に向かって、所定の距離で後退させる。
【0027】
実際には、ピストンのロッドの最小限の後退は、ピストンヘッドが円筒状管体の第2端部の方向に押されることを許容し、ピストンヘッドの移動は、ストリング状の生地の供給を中断されるが、円筒状管体の内部で、所定の距離だけ(圧力下の生地により第2端部の方向に押されて)ピストンヘッドの摺動を可能にするように、所定の距離分の後退を、ロッドに付与することは便利となり得る。
【0028】
好ましくは、粘弾性食品生地の押し出しを中断する前述のステップe)の後に、粘弾性食品生地の押し出しを再開して、ロッドを摺動路に沿った前述の特定位置へと戻し、それによって、少なくとも1つのノズルから、連続的なストリング状の生地の供給を再開する追加のステップが続いてもよい。
【0029】
この後者の実施形態によると、有利な方法で、粘弾性食品生地の押し出しの中断に続き、押し出しの中断のステップe)の間に、最大膨張の状況から、ロッドがピストンヘッドから分離する時点に存在する圧縮状態への、同時に起こる粘弾性食品生地の再圧縮による、ステップe)中の押し出しの中断の時点にてピストンヘッドが有する同じ特定位置におけるピストンヘッドの再配置により、要求に応じて、正確かつ適時に、好ましくは、所定の速度での粘弾性食品材料の押し出しを再開することが可能である。
【0030】
この種の動作は、具体的には、円筒状管体に単一のアイテムをプリントするために必要とされる以上の量の粘弾性食品材料が充填される(そしてそれによって、パスタのプリントの場合には非常に一般的な状況であるが、あるアイテムがプリントされると、次のアイテムのプリントに進むために、押し出しが中断されなければならない)場合、およびたとえば、特に複雑な形状のアイテムのプリントのために、押し出しの中断が必要とされる、押し出し機および表面の前述の座標軸(X、YおよびZ)に沿った相対移動を行うことが必要である場合、有用である。
【0031】
好ましくは、本発明による方法の特定の実施形態によると、円筒状管体の第1端部へと向かう、つまり底部へと向かう円筒状管体内部でのロッドの前進、およびこのロッドの第2端部へと向かう移動は、押し出し機の制御システムにより制御される。
【0032】
具体的には、この押し出し機を制御するシステムは、円筒状管体の内部におけるロッドの摺動路に沿った、ロッドの位置、速度および加速度を制御することができ、少なくとも1つのノズルからの粘弾性食品材料の押し出しは、ストリング状の材料の押し出しの実際の速度に関して、これらのパラメータに依存する。
【0033】
より好ましくは、粘弾性食品生地の押し出しを中断する前述のステップe)の間、前述の摺動路に沿ったロッドの特定位置は、押し出し機の制御システムによりあらかじめ保存される所定位置に一致するか、または摺動路に沿ったロッドの特定位置は、ロッドがピストンヘッドから分離される際に、押し出し機の制御システムに記録される。
【0034】
有利には、この後者の実施形態は、具体的には、粘弾性食品生地の押し出しを再開する前述の追加のステップが実行され、その間に、ロッドが、これにより、たとえば、押し出し機の制御システムによりあらかじめ記録される、摺動路に沿った特定位置に戻される場合、本発明によるストリング状の生地の押し出しおよび堆積のための方法の効果的な自動化を許容する。
【0035】
具体的には、これらの押し出しの中断および再開の動作は、粘弾性食品生地の科学的/物理的特徴、または(円筒状管体の第1端部へと向かうピストンヘッドの前進移動の進行により変化し得る)その体積のいずれかを知ることなく、反復的かつ適時に行われ得る。
【0036】
本発明による方法の好ましい実施形態によると、ステップd)にて押し出される連続的なストリング状の生地は、堆積直後に、部分的な表面乾燥(「incartamento」)の処理が施される。
【0037】
実際には、当業者に知られるように、生地が少なくとも1つのノズルから分注される時点にて、堆積された連続的なストリング状の生地が、たとえば、堆積すると即座にストリングへと向けられる空気の流れを適用することによって、部分的に表面が乾燥される。好ましくは、空気は、60℃~90℃、より好ましくは80℃で適用される。
【0038】
したがって、前述の部分的な表面乾燥(「incartamento」)は、三次元物品、たとえば(すでに堆積されている生地の同じストリング上への、ストリング状の生地の連続的な堆積により生じる)薄い複数の層からなる物品、の段階的な形成により、その後の、すでに堆積されたストリング部分上へのさらなるストリング部分の堆積を考慮すると特に望ましいその構造の維持の手助けとなるように、ストリングの表面の部分的な硬化をもたらす。
【0039】
好ましい実施形態によると、上記のように製造され、分注される粘弾性食品生地は、食料品に基づく生地、好ましくは、パスタの製造に適した生地であってもよい。
【0040】
好ましい方法では、本発明による方法は、3Dプリント手法によりプリントされる三次元アイテムの製造において、理想的な適用を見出される。
【0041】
本発明による方法の実施は、3Dプリント手法によりプリントされるパスタの製造のための、食料品に基づく生地の押し出しの場合、特に有利となる。
【0042】
有利には、具体的には、粘弾性食品生地の押し出しの中断を伴う前述のステップe)であって、ピストンヘッドが、(押し出しの方向の反対方向、つまり円筒状管体の第2端部へと向かう方向に)円筒状管体の内部で自由に摺動するステップe)のために、また、押し出しを再開する前述の追加のステップのために、本発明による方法が、正確な細部を有するパスタ形状のような、高精度な物品のプリントを許容し、ストリング状の生地の供給が、正しい時点で中断されて再開されることを保証する。
【0043】
このようにして、本発明による方法により、とりわけ、単一のパスタ形状の最も細かな細部をより正確に調節し、最高水準のデジタル三次元モデルにより3Dプリントされた三次元製品を得ることが可能である。
【0044】
本発明によると、この技術的課題は、少なくとも1つのノズルを有する底部により閉鎖される第1端部と、第2端部とを有する円筒状管体と、互いに取り外し可能に結合されるロッドとピストンヘッドとを備えるピストンとを備える押し出し機であって、ピストンヘッドが円筒状管体の側壁と接触して円筒状管体の内部を自由に摺動可能であるように、ピストンは、第2端部を通して、円筒状管体の側壁の内側に挿入され得る押し出し機によっても解決される。
【0045】
より具体的には、ピストンは、静止位置からストローク端位置へ、つまり円筒状管体の第1端部へと向かうロッドの前進移動により、ロッドとピストンヘッドとが互いに結合されるように、一方で、ストローク端位置から静止位置へ、つまり円筒状管体の第2端部へと向かうロッドの前進移動により、ロッドとピストンヘッドとの結合が解除され、ピストンヘッドは円筒状管体の内部で自由に摺動可能であるような構造とされる。
【0046】
円筒状管体が、生地など、粘弾性材料で充填されると、本発明による装置は、ロッドの後退と略同時に、つまりロッドが円筒状管体の第2端部へと向かって移動させられる時点と略同時に、材料の押し出し(連続的なストリング状の生地として押し出される)が中断されることを許容する。
【0047】
具体的には、ロッドとピストンヘッドとは、互いに対して取り外し可能に結合され得るため、押し出しの間、ロッドはピストンヘッドと結合され、ピストンヘッドに圧力が加えられ、次に、ピストンヘッドは、円筒状管体の内部に含まれる粘弾性材料を第1端部に向けて押す。その代わりに、ロッドが円筒状管体の内部で第2端部に向かって後退させると、ロッドとピストンヘッドとは結合されず、ピストンヘッドは、ロッドと共に移動しない。したがって、ロッドが後退すると、ピストンヘッドは、円筒状管体の内部で自由に摺動可能であり、粘弾性材料により加えられる圧力の結果、ピストンヘッドは、粘弾性材料により第2端部に向けて押されてもよく、蓄積された弾性エネルギーの解放を許容し、それによって、上記の段落において説明される結果が達成されることを許容するように、生地内の圧力が除去される。
【0048】
したがって、有利には、本発明による装置は、使用中、非常に精密であり、ロッドの後退移動の後に、取るに足らない、ごくわずかな量の生地が押し出されることになる。
【0049】
上記の押し出し機は、ロッドをピストンヘッドと取り外し可能に結合するためのさらなる結合手段を備え得る。これらの結合手段は、ロッドが第1端部に向かって前進する(押し出し)、つまりロッドとピストンヘッドとが互いに結合すると、ロッドによりピストンヘッドに加えられる力の伝達を促す機能を有するが、しかしながら、ロッドが円筒状管体の内部で第2端部に向かって後退させると(押し出しの中断)、ロッドがピストンヘッドから分離することを妨げることはない。
【0050】
有利には、結合手段は、本発明による方法を定義するステップのサイクルが反復される場合、具体的には、新しいステップb)、すなわち粘弾性食品生地が、必要であれば、円筒状管体からのピストンヘッドの、前の押し出しにより、円筒状管体の内部に再度供給されるステップが実行される場合、特に有用である。
【0051】
好ましくは、ロッドをピストンヘッドと取り外し可能に結合するための前述の結合手段は、係合手段、磁気結合手段または電磁気結合手段である。
【0052】
より正確には、ロッドをピストンヘッドに取り外し可能に結合するための結合手段は、係合手段であり、押し出し機の制御システムの指示の後に必要である場合、ロッドとピストンヘッドとの結合(係合)、または当該2つの構成要素の結合解除(脱係合)をそれぞれ許容する。
【0053】
同様に、詳細な説明および図面を参照してより明確に示すように、ロッドをピストンヘッドに結合するための結合手段は、たとえば、ロッドの内部に配置される電磁石、またはピストンヘッドの内部に配置される磁性板であってもよく、電磁石は、ピストンヘッドに作用する磁界を発生し得る、電磁気結合手段であってもよい。
【0054】
基本的には、ピストンヘッド内に配置される磁性板が、ロッドの内部に配置される電磁石により発生する磁界内に入ると、ピストンヘッドは、ロッドへと向かって回収移動を開始し、実際に、ロッドに実質的に接触して結合するまで円筒内部を第2端部へと向かって摺動する。
【0055】
より好ましくは、ロッドをピストンヘッドに係合するための手段は、たとえば、ロッドが時計回りの方向に回転すると、ロッドとピストンヘッドとを互いに結合し、ロッドが反時計回りの方向に回転すると、ロッドとピストンヘッドとの結合を解除し得る機構により、回転係合を行うための手段であってもよい。
【0056】
好ましくは、このピストンヘッドは、ピストンヘッドと底部との間に含まれる円筒状管体の空間と、ピストンヘッドと第2端部との間に含まれる円筒状管体の空間との間で流体連通させるのに適した通気弁を備えてもよく、通気弁は、開モードおよび閉モードにて動作する。
【0057】
具体的には、ピストンヘッドと結合されたロッドが、静止位置からストローク端位置へと前進移動し、ピストンヘッドが、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間に含まれる空間内に存在し得る粘弾性食品材料と接触する場合、またはピストンヘッドと結合されていないロッドが、円筒状管体の第2端部へと向かって移動し、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間に含まれる空間に含まれ得る材料の圧力の結果、ピストンヘッドが円筒状管体の内部を第2端部に向かって摺動移動を行う場合に、弁は閉モードで動作する。
【0058】
別様に、たとえば、ピストンヘッドと結合されたロッドの、静止位置からストローク端位置への前進移動が実行され、ピストンヘッドが、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間に含まれる空間に含まれ得る粘弾性食品材料と接触していない場合、弁は、開モードである。
【0059】
有利には、装置が開モードの動作状態である場合、(ピストンヘッドと結合されたロッドの同方向への移動の結果の)底部へと向かうピストンヘッドの移動は、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間、具体的には、ピストンヘッドと、同じ空間に含まれ得る粘弾性食品材料との間の空間に含まれる空気の排出を生じさせる。空気の排出は、ピストンヘッドが、粘弾性食品材料と接触するまで底部へと向かう摺動移動を行うことを許容し、それによって、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間の空間に含まれる空気の圧縮の結果、食品材料が制御されずにノズルから排出されること、および/または気泡が材料内に閉じ込められることを防止する。
【0060】
同時に、たとえば、前述の結合手段によるピストンヘッドとロッドとの結合の結果、第2端部へと向かうピストンヘッドの前進移動が引き起こされる場合、弁は、開モードである。
【0061】
有利には、装置が開モードの動作状態にある場合、(ピストンヘッドと結合され、接触しているロッドの、同方向の移動の結果および/またはロッド内に挿入され得る磁石により発生させられる磁界の結果としての)第2端部へと向かうピストンヘッドの移動は、ピストンヘッドと円筒状管体の底部との間の空間内に空気を生じさせる。この入ってくる空気は、ピストンヘッドが第2端部へと向かう摺動移動を行うことを許容し、それによって、ピストンヘッドおよび円筒状管体システムがポンプとして作用し、ノズルからピストンヘッドと底部との間に含まれる空間への望ましくない空気の導入、またはノズルと接触したままであるか、またはノズルの近傍にある、すでに押し出された食品材料の引き込みを引き起こすことを防止する。
【0062】
結果として、この技術的課題は、また、説明したような押し出し機を含む、3Dプリント手法によりプリントされるアイテムの製造のため、好ましくはパスタの製造のための、プリンタにより解決される。
【0063】
好ましくは、本発明による前述のプリンタは、円筒状管体の内部で円筒状管体の第1端部へと向かう、すなわち底部へと向かう、ロッドの前進移動を制御することができ、第2端部へと向かうロッドの移動を制御し得る制御システムを備え得る。
【0064】
本発明による方法に関連して以上で説明したように、押し出し機の制御システムは、ロッドの移動に関するパラメータを制御することができ、少なくとも1つのノズルからの粘性の食品材料の押し出しは、そのパラメータに依存する。
【0065】
より好ましくは、本発明による前述のプリンタは、押し出し機のピストンヘッドに加えられる力を測定するための少なくとも1つのロードセルをさらに備え、ロードセルは、制御システムに接続される。
【0066】
さらに好ましくは、ロードセルは、ロッドに共通に接続され、この機械部品により付与される力を測定する。有利には、ロードセルは、装置のセットアップ、および装置の正確な動作を監視するために有用となり得る。
【0067】
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面を参照して、非制限の例として提供される本発明による方法の実施の形態の、以下において提供される説明により明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】ピストンが第1端部に向かって移動させられる、本発明による方法のステップに関する。
図2】第1端部へと向かうピストンの移動が中断され、ロッドが後退する、本発明による方法のステップに関する。
図3】円筒状管体内に存在する残りの生地により加えられる圧力の結果として、第2端部へと向かうピストンヘッドの移動を示す。
図4】ピストンが第1端部に向かって前進する、押し出しを再開する追加のステップを示す。
図5】磁性板がロッド内に配置され、磁気板がピストンヘッド内に配置される、本発明による押し出し機の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、本発明による押し出し機1を、その単純化された形態で示し、押し出し機1は、
少なくとも1つのノズル9を備える底部8(示されている円筒状管体2のテーパ状の端部部分により識別可能である)により閉鎖される第1端部3と、第2端部4とを有する円筒状管体2と、
第2端部4を通って、円筒状管体2の側壁2aの内側に挿入されるピストン10と、を備え、ピストン10は、取り外し可能に互いに結合されるロッド11およびピストンヘッド12を備え、ピストンヘッド12は、円筒状管体2の側壁2aと接触している。
【0070】
ピストン10は、第1端部3へと向かうロッド11の前進移動により、第1端部3と結合されるピストンヘッド12もまた、第1端部3へと押し出されることになるが、ロッド11とピストンヘッド12とは、互いに結合されないため、ロッド11の、第2端部4へと向かう移動は、ピストンヘッド12の移動を生じないように設計される。
【0071】
ノズル9は、ピストンヘッド12と底部8との間に、外部環境と流体連通する空間(貯水槽7)を設ける。
【0072】
具体的には、ピストンヘッド12は、上面12aおよび下面12bを有する。ピストンヘッド12は、円筒状管体2の側壁2aに沿った良好な密閉作用を有して摺動するように設計され、貯蔵容器7の内部に含まれるいずれの生地も、摺動面、すなわち円筒状管体の側壁2aに沿って漏れることを実質的に防止し、この目的のため、ピストンヘッド12には、必要であれば、適切な材料で作製されるピストンリング(完全に従来型であるため示されない)が設けられ得る。
【0073】
ピストンヘッド12は、円筒状管体2の内部で自由に摺動可能であり、より正確には、ピストンヘッド12と円筒状管体2との間に物理的な制約はなく、上に位置するロッド11により、および/または下に位置する円筒状管体2の貯蔵容器7内に含まれる材料により、ピストンヘッドに加えられる圧力の結果、ピストンヘッド12は、受動的に、容易に移動し得る。
【0074】
さらに図1を参照し、非制限的に、ロッド11は、ロッドの下方に結合されて設置されるピストンヘッド12との接触の力を分散させるように設計される、ロッドの一端部15に向かって、またはこの目的に適切な(完全に従来型であるため示されない)、ロッドの上部に一体的に取り付けられる要素に向かって、わずかに幅広となる円筒形状である。
【0075】
同時に、図1は、要約において説明した、本発明の方法による粘弾性食品生地の押し出しのステップd)を図示する。
【0076】
具体的には、ピストンヘッド12が側壁2aと接触し、食品用生地が、ピストンヘッド12と底部8との間に全体的に含まれるように、粘弾性食品生地が円筒状管体2内に導入され、ピストン10が、第2端部4を通して円筒状管体2の側壁2aの内側に挿入されると、押し出しステップは、円筒状管体2の内部でピストン10が、すなわちピストンヘッド12と結合されるロッド11が、円筒状管体2の長さに対し長手方向である軸E状と重なり得る摺動路に沿って段階的に前進することによって行われる。このステップの間、ピストン10は、(完全に従来型であるため示されない電動モータによって)静止位置からストローク端位置へと、つまり、円筒状管体の第2端部4から第1端部3に向かって押される。
【0077】
矢印で示されるピストン10の下方向移動は、ピストンヘッド12(このステップ中はロッド11と接触している)の段階的な摺動を生じさせ、円筒状管体2の内壁2aに向けて、および底部8に向けて、下に位置する粘弾性生地を圧力Pで圧縮し、連続的なストリング状の生地の供給を生じさせる。
【0078】
図1から、当該ステップ中に、ロッド11およびピストンヘッド12が互いに分離する2つの機械的要素であったとしても、ロッド11の端部15が下に位置するピストンヘッド12の上面12aにどのように押し当てられるかは明白である。
【0079】
図2および3は、本発明による方法の後のステップe)を示し、ステップe)の間は、粘弾性食品生地の押し出しが中断される。
【0080】
具体的には、図2は、ロッド11の前進移動の停止と同時に起こる、その摺動路に沿った第1特定位置(図2において文字「h」で示される)における、粘弾性食品生地の押し出しの中断と、その摺動路に沿って第2特定位置(図2において文字「k」で示される)に達し、ロッド11の下に位置するピストンヘッド12からの分離を実際に生じるまでの、円筒状管体の第2端部42へと向かうロッド11の即座の後退とのステップを示す。後退移動中のロッド11の方向は、上方向に向けられる矢印によって図2に示される。
【0081】
分離動作の結果として、ロッド11およびピストンヘッド12は、もはや互いには結合されておらず、したがって、ピストンヘッド12は、筒状管体2の内部を自由に摺動する。
【0082】
貯蔵容器7の内部に含まれる生地は、依然として圧力下にあり、自由に上方向に膨張することができ、ピストンヘッド12の下面12bに押し当てられ、ピストンヘッド12は、これ以上はロッド11によって制約されないため、第2端部4の方向へと押され、位置「h」から位置「k」へと摺動する。図3に、ピストンヘッド12の移動は、矢印によって示される。
【0083】
粘弾性食品生地の押し出しが、ロッド11の後退により中断される場合、残りの粘弾性材料の生地は、第2端部4に向かって自由に膨張し得るので、残りの粘弾性材料の生地は、ノズル9から排出されない。
【0084】
図4は、さらなる後の生地の押し出しが再開されるステップを示し、ここでは、ロッド11、そしてピストンヘッド12は、位置「k」から、前の停止動作中にあらかじめ記録された位置「h」へと戻るように移動させられる。見られるように、ロッド11は、ピストンヘッド12と結合され、第1端部3に向かって、軸Eに重なり得る摺動路に沿って再び移動(下方向に向けられる矢印により示される移動)する。同時に、生地を前回の圧力Pにまで圧縮することが行われ、必要とされるストリング状の生地の押し出しが再開される。
【0085】
図5は、ロッド11をピストンヘッド12と取り外し可能に結合するための結合手段を備え、より具体的には、ロッドおよびピストンヘッド12は、磁気結合手段により、互いに取り外し可能に結合される、本発明による押し出し機1の具体的な実施形態を示す。
【0086】
具体的には、これらの磁気結合手段は、ロッド11の内部に配置される電磁石13aと、ピストンヘッド12の内部に配置される磁性板13bとを備える。
図1
図2
図3
図4
図5