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  • 特許-エクステンションラック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】エクステンションラック
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B65G1/14 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019203627
(22)【出願日】2019-11-10
(65)【公開番号】P2021075366
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519354854
【氏名又は名称】ジャロックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 力丸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104522(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069907(JP,U)
【文献】特開2004-083143(JP,A)
【文献】実開平03-051707(JP,U)
【文献】特開2015-067387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を保管するための自立式ラックの上段に設置されるエクステンションラックであって、
上記エクステンションラックは、
既存の上記自立式ラックの各支柱に沿わせて配設され、固定プレートにて上記自立式ラックの各支柱に取り付けられる架台支柱と、
該架台支柱の内、ラック奥行方向に隣接する各2本の架台支柱上端部を連結して配設される架台横材と、
上記架台支柱の内、ラック幅方向に隣接する2本の架台支柱上端部の各々を連結して配設される架台ビームと、
上記架台横材の上面全長に配設されるか、または上記ビームの上面に両端部が配設されて、いずれもラック奥行方向の全長に亘って配設される、上記エクステンションラックの上段支柱受皿と、
該上段支柱受皿に底面が配設される上段支柱と、
を具備することを特徴とするエクステンションラック。
【請求項2】
上記ビームの上面に両端部が配設されて、ラック奥行方向に配設される上記上段支柱受皿は、強度部材として上記架台ビーム2本を連結して上記架台横材と平行に配設される、受皿サポート部材の上面に配設されることを特徴とする、請求項1に記載のエクステンションラック。
【請求項3】
上記固定プレートは既存の上記自立式ラックの支柱と、上記架台支柱の各々のラック幅方向の2つの側面を連結する2枚のプレートであって、シムプレートを用いてギャップ調整を行い互いに平行に配設されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエクステンションラック。
【請求項4】
上記架台横材は上記各架台支柱のラック幅方向の両側面に各1本配設されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のエクステンションラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクステンションラックに関する。
【背景技術】
【0002】
戦後の日本のものづくりは米国を手本として自動車、家電製品などを中心として発展し、米国が生産立国から消費立国へと推移するなかで日本は世界の工場と呼ばれるほどの時代を経験した。その後、日本がさらに発展し、消費大国となるにつれてものづくりの生産拠点は海外へ移転され、国内の多くの工場は閉鎖されて跡地に倉庫が建てられ、そこに海外で生産される製品を一時保管・仕分け・配送するという状況が生じた。
【0003】
さらに、近年のネット社会の発展により多くの製品は店舗で販売されるのではなく、eコマースで消費者に届けられる形態が主流となってきており、これに伴って倉庫は今や原材料や製品の置き場ではなく、eコマースによる消費物流のための物流センターとなってきている。倉庫というよりショッピングモールに近いものも出てきている。
【0004】
従来、倉庫として利用される場合は、基本的に人がそこで作業等を行って働く場所ではなく物品を貯蔵する場所であるという前提で、窓や防火区画の設置等に関しての建築基準法上の規定も厳しいものではなかった。高い建物である倉庫内にはパレットラックの高い棚が設置され、フォークリフトによって多量少品種の部品、製品の搬出入が行われていた。
しかしながら、上述したように生産物流から消費物流への変化に伴って、倉庫は同一製品を大量に貯蔵する形態から少量多品種の製品を仮置きする物流拠点として変化してきた。棚の構造にも変化が求められ、多品種の軽量の製品を載置し、人間がピッキングするための奥行きが短く比較的低い軽量ラックが主流となっている。
【0005】
最近では更なる物流の絶対量の増加に伴い、棚の増設が求められる一方、昇降可能なピッキング台車の登場により、高さ方向の増設が可能となり、多くの倉庫において空いている上部空間の活用が求められるようになってきた。
しかしながら既存の棚を撤去して新たな高い棚を設置するのには撤去、新設に伴う工事のみならず、保管されている製品の搬出入にも費用と時間がとられるという問題がある。
特許文献1には、既設倉庫ラックの物品支承棚の増設用部材に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平02-046705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明は既存の支柱を利用してその上限以下の高さに新たな棚板を増設する技術に関するものであり、既存の棚の上段に新たな棚を増設する本発明とは解決しようとする課題が異なり、当然構成も異なるものである。
【0008】
本発明は既存の自立式ラックを利用してその上段に簡易に設置することが可能なエクステンションラックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の商品を保管するための自立式ラックの上段に設置されるエクステンションラックであって、既存の自立式ラックの各支柱に沿わせて配設され、固定プレートにて自立式ラックの各支柱に取り付けられる架台支柱と、架台支柱の内、ラック奥行方向に隣接する各2本の架台支柱上端部を連結して配設される架台横材と、架台支柱の内、ラック幅方向に隣接する2本の架台支柱上端部の各々を連結して配設される架台ビームと、架台横材の上面全長に配設されるか、または上記ビームの上面に両端部が配設されて、いずれもラック奥行方向の全長に亘って配設される、エクステンションラックの上段支柱受皿と、上段支柱受皿に底面が配設される上段支柱を具備することを特徴とする。
請求項2の発明は、さらに、ビームの上面に両端部が配設されて、ラック奥行方向に配設される上段支柱受皿は、強度部材として架台ビーム2本を連結して架台横材と平行に配設される、受け皿サポート部材の上面に配設されることを特徴とする。
請求項3の発明は、さらに、固定プレートは既存の自立式ラックの支柱と、架台支柱の各々のラック幅方向の2つの側面を連結する2枚のプレートであって、シムプレートを用いてギャップ調整を行い互いに平行に配設されることを特徴とする。
請求項4の発明は、さらに、架台横材は各架台支柱のラック幅方向の両側面に各1本配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、既存のラックを設置したままの状態でラックの高さ方向への増設工事が可能となり、設置工事の費用低減と工程の大幅な短縮が図れる。
さらに、エクステンションラックの支柱間隔は既存のラックの支柱間隔によって制限されないため、物品の配置設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のエクステンションラックの自立式ラックへの取付け状態を示す斜視図である。
図2】架台支柱の自立式ラック支柱への取付け方式を示す図である。
図3】上段支柱受皿の取付け方式を示す図である。
図4】エクステンションラックと自立式ラックの取付け状態とピッキング用通路との関係を示す図である。
図5】架台ビームと受皿サポート部材との取付け方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について図1を用いて説明する。
本エクステンションラック1は、既存の自立式ラック2の各支柱2aに沿わせて配設され、固定プレート3にて自立式ラック2の各支柱2aに取り付けられる架台支柱1aと、架台支柱1aの内、ラック奥行方向に隣接する各2本の架台支柱1a上端部1bを連結して配設される架台横材4と、架台支柱1aの内、ラック幅方向に隣接する2本の架台支柱1a上端部1bの各々を連結して配設される架台ビーム5と、架台横材4の上面4aの全長に亘って配設されるか、またはビーム5の上面5aに両端部6c、6dが配設されてラック奥行方向の全長に亘って配設される、エクステンションラックの上段支柱受皿6と、上段支柱受皿6に底面7aが配設される上段支柱7を具備する。
架台横材4は各架台支柱1aのラック幅方向の両側面1c、1dに各1本配設される。
【0013】
上段支柱受皿6には上述のように、架台横材4の上面4aの全長に亘って配設される受皿6aと、ビーム5の上面5aに両端部6c、6dが配設されてラック奥行方向の全長に亘って配設される受皿6bの2種類があって、後者の受皿6bにより、上段支柱7の配置は既存の自立式ラック2の各支柱2aの位置に限定されず、任意の位置とすることができる。
上記の受皿6bは、強度部材として架台ビーム2本を連結して架台横材と平行に配設される、受け皿サポート部材6eの上面に配設される。架台ビーム5と受皿サポート部材6eとは、図5に示すようにL字形の連結プレート6fによりボルト及びナット6gで連結される。
【0014】
既存の各支柱2aとそれに沿わせて配設される架台支柱1aとは、図2に示すように固定プレート3によってボルト、ナット方式にて固定される。固定プレート3は既存の自立式ラック2の支柱2aと、架台支柱1aの各々のラック幅方向の2つの側面1e、1fを連結する2枚のプレート3a、3bであって、シムプレート8を用いてギャップ調整を行い互いに平行に配設される。これにより、架台支柱1aは強固に自立式ラック2に固定される。
また、架台支柱1a上端部1bと2本の架台横材4とは、図3に示すようにボルト、ナット方式にて固定される。
さらに、架台横材4の上面4aには支柱受皿6aが、図3に示すようにボルト、ナット方式にて固定される。
その支柱受皿6a、6bの上面6cには、図4(a)に示すように上段支柱7の底面7aが配設される。
図4(b)のように、中間の通路10を挟んで平行に配設された2台のエクステンションラック1の幅方向両端部の対面する上段支柱7b、7cの上端部7dはつなぎ材9で連結される。
【0015】
架台支柱1aの各底部には床面との接触面にすべり止め機能を有する部材を配設して横からの衝撃荷重への抵抗力を持たせてもよい。また、隣接する架台支柱1aの底部同士をつないで、ピッキング台車の走行時の横ずれに対するガード用ビームとすればピッキング台車の架台支柱1aへの衝突を防止できる。さらに、本実施形態では架台支柱1aと架台横材4、受け皿サポート部材6e、支柱受皿6a、6bは互いにボルト、ナットで取り付けられるが、組立式ラックで用いられるような、各部材に配設された穴に対応する突起部を係止させて組立てる方式を用いてもよい。
【0016】
次に、本実施形態の機能について説明する。
本実施形態のエクステンションラック1は、既存の自立式ラック2の各支柱2aを利用して、これに架台支柱1aを沿わせて設置し、その上端部1bに上段支柱7の底部7aを配設するための架台である、架台横材4及び支柱受皿6a、6bを取付ける方式としている。これにより、エクステンションラック1の新規設置の際、既存の自立式ラック2は撤去したり移設したりする必要はなく、適切な養生を実施すれば載置されている商品を移動させることなく設置工事を行うことができる。
【0017】
また、上述のように架台ビーム5の任意の位置に受皿サポート部材6eを配設して支柱受皿6bを設置することができるため、上段支柱7の間隔は既存の自立式ラック2の各支柱2a間隔に制限されることなく、任意の支柱間寸法すなわち棚幅とすることが可能となる。これにより、上段に設置するラックは下段の既存ラックに対して、図4に示すように、上段、下段の間口L1、L2や奥行きM1、M2が異なるラックの設置が可能である。これを実現するためには図5に矢印で示すように、架台支柱1a上部のラック長手方向の任意の位置にフレキシブルに取り付け可能な受皿サポート部材6eが不可欠なのである。
【0018】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本エクステンションラックを使用することにより、上述のように、既存のラックをそのまま下段のラックとして使用することが可能となり、かつどのようなサイズの棚でも下段ラックの上に設置して上段のラックとして使用することが可能となる。勿論、余っている既存のラックを上段のラックとして使用することも可能である。
【0019】
上記機能により本エクステンションラックは、ラックの高さ方向の増設を実施する場合に、従来のように載置されている商品の移動や、既存のラック自体の撤去、移設を行うことなく、既存のラックを設置したままの状態で、その上段に新たな自立式ラックを増設することを可能とし、設置工事の費用低減、工程の短縮に大きな効果をもたらすと同時に、廃棄物の低減による環境への負担軽減効果をもたらす。
【符号の説明】
【0020】
1 エクステンションラック
1a 架台支柱
1b 上端部
1c、1d 側面(架台支柱上端部)
1e、1f 側面(架台支柱)
2 自立式ラック
2a 支柱(既存)
3、3a、3b 固定プレート
4 架台横材
4a 上面
5 架台ビーム
5a 上面
6、6a、6b 上段支柱受皿
6c、6d 両端部
6e 受皿サポート部材
6f 連結プレート
6g ボルト、ナット
7、7b、7c 上段支柱
7a 底面
7d 上端部
8 シムプレート
9 つなぎ材
10 通路
L1、L2 間口寸法
M1、M2 奥行き寸法
図1
図2
図3
図4
図5