(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】高周波電源システム
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
H05H1/46 R
(21)【出願番号】P 2019212488
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 道夫
(72)【発明者】
【氏名】三好 邦明
(72)【発明者】
【氏名】道下 勝司
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103102(JP,A)
【文献】特表2018-536295(JP,A)
【文献】特開2013-168489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0076344(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0196757(US,A1)
【文献】特開2003-204237(JP,A)
【文献】特開2018-088323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される負荷に対して高周波電力を提供する、高周波電源システムであって、
第1周波数でバイアス電力を出力するバイアス電源と、
前記第1周波数よりも高い第2周波数でソース電力を出力するソース電源と、
前記バイアス電力と前記ソース電力とを取得し、前記ソース電源側のインピーダンスと前記負荷側のインピーダンスとの整合を取るインピーダンス整合回路を含む整合器と、を備え、
前記整合器は、前記バイアス電源に対応したRF回路およびセンサと、前記ソース電源に対応したRF回路およびセンサと、制御装置と、を含み、前記ソース電力と前記バイアス電力とを重畳して前記負荷に供給し、
前記ソース電源は、
前記バイアス電源または前記整合器から前記第1周波数の情報を取得するとともに、前記負荷からの電力反射係数の絶対値あるいは反射波電力値を取得し、
前記第1周波数の情報と前記負荷からの電力反射係数の絶対値あるいは反射波電力値とに基づいて、前記ソース電力に対する周波数変動処理の開始のタイミングを示す遅延設定値と前記周波数変動処理を実行する際の変調度とを決定し、
前記第1周波数の情報と前記遅延設定値と前記変調度とを用いて
、前記遅延設定値を所定幅ずつ変動させながら前記周波数変動処理を実行し、
前記遅延設定値を変動させて得られる前記電力反射係数の絶対値あるいは前記反射波電力値が最小となる最適遅延設定値を取得し、
周波数変動されたソース電力を前記整合器に出力する、高周波電源システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ソース電源は、前記遅延設定値に基づく前記周波数変動処理の結果、前記負荷からの電力反射係数の絶対値あるいは反射波電力値が所定基準値よりも大きい場合には、前記変調度を変更して前記周波数変動処理を実行する、高周波電源システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記整合器に含まれる前記ソース電源に対応したRF回路は、2つの可変インピーダンス素子と、インピーダンス位相調整素子と、を含み、
前記変調度を変更して実行した前記周波数変動処理の結果、前記負荷からの前記電力反射係数の絶対値あるいは前記反射波電力値が所定基準値よりも大きい場合に、前記整合器は、前記インピーダンス位相調整素子によって前記整合器の位相を変化させる、高周波電源システム。
【請求項4】
請求項
1において、
前記ソース電源は、前記遅延設定値を前記最適遅延設定値に固定し、さらに、前記変調度を所定幅ずつ変動させながら前記周波数変動処理を実行し、前記変調度を変動させて得られる前記電力反射係数の絶対値あるいは前記反射波電力値が最小となる最適変調度を取得する、高周波電源システム。
【請求項5】
請求項
4において、
前記ソース電源は、前記遅延設定値と前記変調度を、前記最適遅延設定値と前記最適変調度にそれぞれ固定して前記周波数変動処理を実行し、
前記整合器は、さらに、インピーダンス位相調整素子によって前記整合器の位相を所定幅ずつ変化させて、最小となる前記電力反射係数の絶対値あるいは前記反射波電力値を算出する、高周波電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の分野では、電子機器の小型化・高機能化に伴って高密度な実装が要求されており、実装基板への素子の接続は微細化され、より信頼性の高い実装が必要となっている。
【0003】
実装の信頼性を確保する方法の一つに、プラズマによる表面改質方法がある。例えば、被処理基板にプラズマ処理を施すと、基板の表面に付着した有機物による汚染を除去でき、ワイヤーボンディングのボンディング強度の向上が図れ、濡れ性が改善され、基板と封止樹脂との密着性を向上できる。このようなプラズマ処理を施すためには、プラズマリアクタ装置に対して電源装置を接続する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1は、プラズマリアクタ装置に接続される電源装置の構成例について開示する。具体的に、特許文献1は、高周波(ソース)電源と低周波(バイアス)電源を、整合回路を介して重畳させてプラズマリアクタ装置に供給する構成について開示している。整合回路において、電源側とプラズマリアクタンス装置側とのインピーダンス整合を取ることにより、効率的な電源供給を実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で示されるように2周波数電源を供給する場合、プラズマリアクタ装置のプラズマチャンバ内には、プラズマと共に、プラズマシースが発生することが知られている。このプラズマシースは、一般的に電気的に絶縁されているものと見なすことができ、プラズマチャンバの電極間に仮想的なコンデンサが形成されていると見ることができる。そして、低周波(バイアス)電源の電圧が周期的に変化することに連動してプラズマの位置が変動するため、プラズマシースの静電容量も周期的に変動する(例えば、プラズマチャンバの構造によってバイアス周波数と同一あるいは2倍の周期で変動する)。つまり、プラズマインピーダンスがバイアス電源の電圧の変化によって高速に変化することを意味する。
【0007】
しかしながら、整合器は、インピーダンス可変素子をモータで動作させているため、高速なプラズマインピーダンスの変化に対してマッチング動作を追従させることができない。その結果、混変調歪(IMD:Inter-Modulation Distortion)によって、ソース電源の出力端に帰還する反射波電力量が増加してしまう。反射波が増大すると効率的、かつ正確に電源を負荷側に供給できないため、IMDを低減する必要がある。
本開示はこのような状況に鑑み、IMDによる反射波電力(反射係数と同義)の増加を抑える技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は、接続される負荷に対して高周波電力を提供する、高周波電源システムであって、第1周波数でバイアス電力を出力するバイアス電源と、第1周波数よりも高い第2周波数でソース電力を出力するソース電源と、バイアス電力とソース電力とを取得し、ソース電源側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの整合を取るインピーダンス整合回路を含む整合器と、を備え、整合器は、ソース電力とバイアス電力とを重畳して負荷に供給し、ソース電源は、第1周波数の情報を取得し、ソース電力に対する周波数変動処理の開始のタイミングを示す遅延設定値を決定し、当該遅延設定値と第1周波数の値とを用いて周波数変動処理を実行し、周波数変動されたソース電力を整合器に出力する、高周波電源システムを提案する。
【0009】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素および多様な要素の組み合わせ、ならびに以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、2周波数電源を提供する電源装置において、負荷側において発生するIMDを低減して、IMDによる反射波電力(反射係数)の増加を抑えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の構成例1による電源供給システム(高周波電源システムとも言う)100にプラズマ負荷140を接続した状態を示す図である。
【
図2】本実施形態の構成例2による電源供給システム200にプラズマ負荷140を接続した状態を示す図である。
【
図3】ソース電源出力をバイアス周波数(バイアス電源が供給する電圧変動の周波数)に従ってFM変調したときの技術的効果を示す図である。
図3Aは、FM変調前の電力反射係数|γ|の値の変動を示し、
図3Bは、FM変調後の電力反射係数|γ|の値の変動を示している。
【
図4】第1の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4におけるステップ406(遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図6】現在点のtdelayと現在点からtdelayを±10度ずらした点の電力反射係数の絶対値|γ|の関係(例)を示す図である。
【
図7】周波数変調によるIMD低減処理2(
図4におけるステップ407)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図8】現在点の周波数変動幅Δfで変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|とΔf±0.1MHzで変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|との関係(例)を示す図である。
【
図9】IMDによるインピーダンス軌跡の変化901とFM変調によるインピーダンス軌跡の変化902(第1の実施形態)を示すスミスチャートである。
【
図10】HF_RF回路131の内部構成例を示す図である。
図10Aは第1の実施形態によるHF_RF回路131の内部構成例を示し、
図10Bは第2の実施形態によるHF_RF回路131の内部構成例を示している。
【
図11】整合器回路130の内部にサセプタンス回路を設けた場合の技術的効果を示す図である。
図11Aは、
図3Aと同様に、ソース電源の出力をそのまま(FM変調もしない)出力した場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示す。
図11Bは、
図3Bと同様に、ソース電源110の出力をFM変調のみした場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示している。
図11Cは、ソース電源110の出力をFM変調し、かつサセプタンス回路で位相を変化させた場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示している。
【
図12】
図11の各グラフをスミスチャートに表したものである。
【
図13】第2の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図13におけるステップ1301(周波数変調によるIMD低減処理2)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図13におけるステップ1302(インピーダンス調整によるIMD低減処理3)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図16】現在点のサセプタンス値のときの電力反射係数の絶対値|γ|と現在点からサセプタンス値を±5pF変更した場合の電力反射係数の絶対値|γ|の関係(例)を示す図である。
【
図17】第2の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理のシミュレーション結果を示す図(表)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0013】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0014】
更に、本開示の実施形態は、汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良いし専用ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装しても良い。
【0015】
(1)第1の実施形態
<電源供給システム100の構成例>
(i)構成例1
図1は、本実施形態の構成例1による電源供給システム(高周波電源システムとも言う)100にプラズマ負荷140を接続した状態を示す図である。電源供給システム100は、ソース(高周波)電源110と、バイアス(低周波)電源120と、ソース(高周波)電源110およびバイアス(低周波)電源120のそれぞれから出力が供給され、電源装置110および120側とプラズマ負荷140側とのインピーダンス整合を取る整合器130と、を備え、ソース電源110からの電力(ソース電力)とバイアス電源120からの電力(バイアス電力)とを、例えば重畳してプラズマ負荷140に供給するシステムである。
【0016】
ソース電源110は、RF増幅器111と、センサ1_112と、制御装置1_113と、を含む。RF増幅器111は、制御装置1_113から制御信号に応答して所定周波数(例えば、40.68MHz、60MHz、100MHz、120MHzなど)の高周波信号を増幅し、センサ1_112に供給する。センサ1_112は、RF増幅器111からの高周波出力(進行波電力)を検出すると共に、整合器120からの反射波電力および位相信号を検出する。また、センサ1_112は、進行波電力を整合器120に出力すると共に、検出した進行波電力値、反射波電力、および位相信号を制御装置1_113に出力する。
【0017】
制御装置1_113は、例えば、プロセッサと、メモリと、I/Oインタフェースとを含み、センサ1_112から進行波電力値、反射波電力値および位相信号、バイアス電源120から基準信号(同期信号:バイアス電源の周波数で規定され、バイアス電源が整合器に提供される周波数値を示す信号である)を取得する。また、制御装置1_113は、センサ1_112から取得した進行波電力値および反射波電力値を用いて、電力反射係数γ(γ=(Pr/Pf)^0.5:ここで、Prは進行波電力値、Pfは反射波電力値を表す。)を算出する。そして、制御装置1_113は、電力反射係数γの絶対値|γ|が所定の基準値以上か監視し、RF増幅器111に周波数変調を実行させるか否か決定する。電力反射係数γは、無反射波状態のときに0となり、全反射状態のときに1となる。IMD(Inter-Modulation Distortion)の影響が大きければ、電力反射係数|γ|が大きくなるので、電力反射係数γの値を低減させる、つまりは反射波電力値の大きさを低減することができれば、プラズマシース静電容量の変動による影響(IMD)を低減することができたことになる。なお、プラズマシース静電容量は、バイアス周波数に応じて変動する。例えば、プラズマチャンバの構造によってプラズマシース静電容量はバイアス周波数の2倍で振動したり、バイアス周波数で振動したりする。従って、上記電力反射係数γも、バイアス周波数で変動する。
【0018】
このようなIMDの影響を低減させるためには、FM変調が有効であると考えられる。周波数変調をさせると判断した場合、制御装置1_113は、バイアス電源120から取得した基準信号(バイアス電圧の変動を示すバイアス周波数)に応じて、FM変調の変調度と時間tdelayの変更を指示するためのFM変調信号を生成し、RF増幅器111に送信する。RF増幅器111は、制御装置1_113から供給されるFM変調信号に従って、増幅した高周波信号をFM変調する。なお、当該FM変調は、以下の式(1)または式(2)に従って行われる。なお、式(1)あるいは(2)のどちらがIMD発生時に電力反射係数γの低減に有効かは、プラズマチャンバの上部電極および下部電極の構造による。また、後述のように、制御装置1_113は、まずは遅延設定tdelayを変動させてFM変調を行ってIMD低減を図り、それでも十分なIMD低減が得られない場合に周波数を所定幅Δfずつ変動させることによりFM変調を行ってIMD低減を図るようにする。
【0019】
Fm=FHF+Δf×sin(2πFLF×(t+tdelay))・・・(1)
Fm=FHF+Δf×sin(4πFLF×(t+tdelay))・・・(2)
Fm:IMD発生時に出力するソース電源の周波数;
FHF:ソース電源基本周波数;
FLF:バイアス電源の基本周波数;
Δf:周波数変動幅(パラメータ);
tdelay:周波数変動を開始するための遅延設定(パラメータ)
【0020】
さらに、プラズマでは高調波が発生していることを考慮すると、以下の式(3)に変化させることでバイアス電源120の高調波によるプラズマシース静電容量変化(インピーダンス変化)にも対応可能である。
Fm=FHF+Δf1×sin(2πFLF×(t+tdelay1))+
Δf2×sin(4πFLF×(t+tdelay2))+
Δf3×sin(6πFLF×(t+tdelay3))・・・(3)
Fm:IMD発生時に出力するソース電源の周波数;
FHF:ソース電源基本周波数;
FLF:バイアス電源の基本周波数;
Δf1~f3:周波数変動幅(パラメータ);
tdelay1~3:周波数変動を開始するための遅延設定(パラメータ)
【0021】
バイアス電源120は、RF増幅器121と、センサ2_122と、制御装置2_123と、を含む。RF増幅器121は、制御装置2_213から制御信号に応答して所定周波数(例えば、400kHz、800kHz、1.2MHz、2MHz、3.2MHzなど)の低周波信号を増幅し、センサ2_122に供給する。センサ2_132は、RF増幅器121からの低周波出力(進行波電力)を検出すると共に、整合器120からの反射波電力および位相信号を検出する。また、センサ1_112は、進行波電力を整合器130に出力すると共に、検出した進行波電力値、反射波電力、および位相信号を制御装置1_113に出力する。
【0022】
なお、当該位相信号は、進行波電力と反射波電力の位相差になる。詳しくは、センサ1_112およびセンサ2_122として、例えば、方向性結合器が用いられる。そして、センサ1_112およびセンサ2_122は、進行波電力の情報を含む電圧信号と反射波電力の情報を含む電圧信号を検出する。このため、これらの電圧信号に基づいて、進行波電力及び反射波電力の情報を取得することができる。一方、整合器130が備えるセンサ3_132およびセンサ4_134として、例えば、VIセンサを採用することができ、これらによって電圧V、電流I、VとIとの位相差の3つの信号を検出する。そして、これら3つの信号から、電力反射係数、進行波電力、反射波電力が求めることができる。
また、整合器130が備えるVIセンサは、電源側で使用しているセンサ1_112やセンサ2_122で置き換えることも可能である。この場合、進行波電力の情報を含む電圧信号と反射波電力の情報を含む電圧信号から、電力反射係数、進行波電力、反射波電力を求めることもできる。
センサ1_112およびセンサ2_122センサとしてVIセンサタイプを採用する場合は、電圧V、電流I、VとIの位相差から、電力反射係数、進行波電力、反射波電力が求められる。また、センサ1_112およびセンサ2_122センサとして進行波電力・反射波電力(いわゆる、方向性結合器)センサを採用する場合は、進行波電力、反射波電力、進行波電力と反射波電力の位相差から、電力反射係数、進行波電力、反射波電力が求められる。
【0023】
制御装置2_123は、例えば、制御装置1_113と同様に、プロセッサと、メモリと、I/Oインタフェースとを含み、センサ2_122から進行波電力値および反射波電力値、および位相信号を取得する。また、制御装置2_123は、ソース電源110の制御装置1_113に上記基準信号を提供する。
【0024】
整合器130は、HF_RF回路131と、センサ3_132と、LF_RF回路133と、センサ4_134と、制御装置3_135と、を備える。HF_RF回路131は、例えば、可変インピーダンス素子(可変コンデンサ)やインダクタ(コイル)などで構成され、自動的にソース電源110側と負荷140側とのインピーダンス整合を取る動作を行う。センサ3_132は、ソース電源110から供給される進行波電力と負荷140からソース電源110側への反射波電力を検出し、位相信号(V,I位相信号)を検知し、これらを制御装置3_135に提供する。LF_RF回路133は、HF_RF回路131と同様に、例えば、可変インピーダンス素子(可変コンデンサ)やインダクタ(コイル)などで構成され、自動的にバイアス電源120側と負荷140側とのインピーダンス整合を取る動作(可変コンデンサの容量を変更させることにより)を行う。センサ4_134は、バイアス電源120から供給される進行波電力と負荷140からバイアス電源120側への反射波電力を検出し、位相信号(V,I位相信号)を検知し、これらを制御装置3_135に提供する。なお、制御装置3_135は、センサ3_132およびセンサ4_134からの情報(進行波電力値、反射波電力値、および位相信号)に基づいて、HF_RF回路131およびLF_RF回路133における可変コンデンサの制御値を決定し、これらの回路に通知する。HF_RF回路131およびLF_RF回路133は、制御装置3_135からの制御値を用いて、可変コンデンサの容量を調整することにより、インピーダンス整合を取る。しかし、プラズマシース静電容量の変動によってIMDが発生する場合には、HF_RF回路131およびLF_RF回路133による動作だけではインピーダンス整合が取れず、比較的大きな反射波電力がソース電源110側に戻ってしまう。そこで、本実施形態では、ソース電源に対してFM変調を実行することにより、電力反射係数γ(反射波電力、IMDと言い換えてもよい)を低減する。
【0025】
(ii)構成例2
図2は、本実施形態の構成例2による電源供給システム200にプラズマ負荷140を接続した状態を示す図である。電源供給システム200は、構成例1による電源供給システム100と同様の構成を有するが、基準信号をバイアス電源120から取得するのではなく、整合器130の制御装置3_135を介して取得する点が構成例1とは異なっている。
【0026】
図2に示す構成例2において、バイアス電源120は、基準信号を整合器130の制御装置3_135に送信する。制御装置3_135は、センサ3_132で検出した進行波電力値、反射波電力値、および位相信号に加えて、バイアス電源120から取得した基準信号を、ソース電源110の制御装置1_113に送信する。ソース電源110の制御装置1_113は、上記構成例1で説明したように、電力反射係数γの値に応じてFM変調するようにRF増幅器111を制御する。動作は構成例1と同様なので、詳細な説明は省略する。また、ソース電源におけるFM変調処理の更なる詳細については、後述する。
【0027】
<FM変調の効果>
図3は、ソース電源出力をバイアス周波数(バイアス電源が供給する電圧変動の周波数)に従ってFM変調したときの技術的効果を示す図である。
図3Aは、FM変調前の電力反射係数|γ|の値の変動を示し、
図3Bは、FM変調後の電力反射係数|γ|の値の変動を示している。
【0028】
図3Aに示されるように、ソース電源110の出力(電力)供給を一定の周波数(例えば、40.68MHz、60MHz、100MHz、120MHzなど)で行う場合(波形301参照)には、ソース電源110の出力端における電力反射係数の絶対値|γ|(反射波電力値の変動に対応)302は、非常に大きくなる場合があり、電力供給が効率的でないことが分かる。つまり、ソース電源110側から負荷140側に与えた電力のうち、60%程度の電力が反射波電力として戻ってきてしまう(
図3Aの電力反射係数|γ|の値を参照:反射波電力=進行波電力×|γ|^2であるため。)。
【0029】
一方、
図3Bに示されるように、ソース電源110の周波数を変調させて負荷140側に高周波電力を提供すると(波形303参照)、ソース電源110の出力端における、IMDによって発生する電力反射係数の絶対値|γ|304を減少させることができる。つまり、ソース電源110の周波数を変更(FM変調)することによって、IMDを低減する効果が期待できることが分かる。
【0030】
<IMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の内容>
図4は、第1の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図4におけるステップ406(遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1)の詳細を説明するためのフローチャートである。さらに、
図7は、
図4におけるステップ407(周波数変調によるIMD低減処理2)の詳細を説明するためのフローチャートである。なお、当該IMD低減処理は、ソース電源110の制御装置1_113によって実行される。よって、
図4、
図5、および
図7における各ステップの動作主体を制御装置1_113(プロセッサと読み替えてもよい)として当該処理について説明する。
【0031】
A.IMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体(図4)
(i)ステップ401
制御装置1_113は、バイアス電源120あるいは整合器130から、バイアス電源120の動作周波数の情報(基準信号、あるいは同期信号という形態でバイアス電源の動作周波数の情報を取得することができる)を受信する。また、制御装置1_113は、センサ1_112あるいは整合器130の制御装置3_135から進行波電力値、反射波電力値、および位相信号を取得し、電力反射係数の絶対値|γ|(上述のように、γ=(Pr/Pf)^0.5)を算出する。
【0032】
(ii)ステップ402
制御装置1_113は、ステップ401で算出した電力反射係数|γ|が予め設定された所定の基準値以上か判断する。|γ|が基準値未満である場合(ステップ402でNoの場合)、IMDを低減する必要性が低いと判断され、|γ|が基準値の監視が継続される。|γ|が基準値以上である場合(ステップ402でYesの場合)、処理はステップ403に移行する。
【0033】
(iii)ステップ403
制御装置1_113は、例えば内部メモリ(図示せず)に前回の結果(パラメータ値:第1の実施形態では、周波数変動を開始するための遅延設定tdelay、および周波数変動幅Δf)が記憶されているか判断する。前回の結果がメモリに記憶されている場合(ステップ403でYesの場合)、処理はステップ404に移行する。前回の結果がメモリに記憶されていない場合(ステップ403でNoの場合)、処理はステップ405に移行する。
【0034】
(iv)ステップ404
制御装置1_113は、例えば内部メモリから記憶されている前回のパラメータ値を読み込む。
【0035】
(v)ステップ405
制御装置1_113は、予め設定され、メモリに格納されている初期値を取得するか、あるいはユーザによって設定された初期値を取得する。初期値として、例えば、遅延設定tdelayを90度、周波数変動幅Δfを0.1MHz(あるいは、変調割合10%)とすることができる。例えば、これらの初期値を暫定的な値とし、運用途中においてユーザが変更することができるようにしてもよい。
【0036】
(vi)ステップ406
制御装置1_113は、遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1を実行する。当該IMD低減処理1によって|γ|が所定の基準値未満にすることができた場合には、処理はステップ409に移行する。一方、|γ|が所定の基準値以上のままであった場合には、処理はステップ407に移行する。なお、遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1の詳細については、
図5および
図6を用いて後述する。
【0037】
(vii)ステップ407
制御装置1_113は、周波数変調によるIMD低減処理2を実行する。当該IMD低減処理2によって|γ|が所定の基準値未満にすることができた場合には、処理はステップ409に移行する。一方、|γ|が所定の基準値以上のままであった場合には、処理はステップ408に移行する。なお、周波数変調によるIMD低減処理2の詳細については、
図7および
図8を用いて後述する。
【0038】
(viii)ステップ408
制御装置1_113は、前回のループ(前回のIMD低減処理)で得られた結果(電力反射係数の値|γ|)よりも今回の電力反射係数の値|γ|が低下したか判断する。今回の電力反射係数の値|γ|が前回の結果よりも低下していない場合(ステップ408でNoの場合)、処理はステップ409に移行する。今回の電力反射係数の値|γ|が前回の結果よりも低下した場合(ステップ408でYesの場合)、処理はステップ403に移行する。なお、処理がステップ403に戻った場合、ステップ403における「前回の結果」とはステップ407で得られた基準値以上の電力反射係数の値|γ|の基となった各パラメータ値が相当する。
【0039】
(ix)ステップ409
制御装置1_113は、当該IMD低減処理を終了させ、今回の処理によって得られた電力反射係数の値|γ|に対応するパラメータ値をメモリに格納し、次回処理時の初期値とする。
【0040】
B.遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1の詳細
図5は、遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1(ステップ406)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0041】
(i)ステップ501
制御装置1_113は、現在点のtdelayと、そこからtdelayを±所定角度(所定時間)ずらした点の3点について、それぞれ進行波電力および反射波電力を取得し、電力反射係数の絶対値|γ|を算出する。ここで、±所定角度は、ユーザによって調整可能なように構成してもよいが、例えば、1周期当たり360度とした場合、±10度(バイアス周波数が800kHzの場合、±0.035μsに相当)とすることができる。
【0042】
図6は、現在点のtdelayと現在点からtdelayを±10度ずらした点の電力反射係数の絶対値|γ|の関係(例)を示す図である。
図6では、現在点の電力反射係数の絶対値|γ|が極小となっている例が示されている。
【0043】
なお、ここでは、電力反射係数の絶対値|γ|を比較対象としているが、反射波電力値そのものを比較対象としてもよい。また、電力反射係数の算出および比較は、ソース電源110の制御装置1_113ではなく、整合器130の制御装置3_135で実行してもよい。この場合、ソース電源110の制御装置1_113は、当該比較結果を整合器130から取得することになる。
【0044】
(ii)ステップ502
制御装置1_113は、現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が3点のうちで最小であるか判断する。現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が最小である場合(ステップ502でYesの場合)、処理はステップ503に移行する。現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が最小ではない場合(ステップ502でNoの場合)、処理はステップ504に移行する。
【0045】
(iii)ステップ503
制御装置1_113は、現在点の遅延角度(遅延時間)をtdelayに設定し、電力反射係数の絶対値|γ|を取得する。
【0046】
(iv)ステップ504
制御装置1_113は、現在点からtdelayを-10度ずらした点の電力反射係数の絶対値|γ|が3点において最小であるか判断する。現在点からtdelayを-10度ずらした点の電力反射係数の絶対値|γ|が最小である場合(ステップ504でYesの場合)、処理はステップ506に移行する。現在点からtdelayを+10度ずらした点の電力反射係数の絶対値|γ|が3点において最小である場合(ステップ504でNoの場合)、処理はステップ507に移行する。
【0047】
(v)ステップ505
制御装置1_113は、ステップ503で取得した電力反射係数の絶対値|γ|が予め設定された基準値以上であるか判断する。|γ|が基準値以上である場合(ステップ505でYesの場合)、IMD低減処理1によってIMDが十分に低減されたとは言えないため、処理はIMD低減処理2(ステップ407)に移行する。|γ|が基準値未満である場合(ステップ505でNoの場合)、処理はステップ409に移行する。
【0048】
(vi)ステップ506
制御装置1_113は、現在点からtdelayを-10度ずらした点を次のループにおける現在点に変更する。以上のようにして、現在点を変更しながら、電力反射係数の絶対値|γ|が最小の点を特定することになる。
【0049】
(vii)ステップ507
制御装置1_113は、現在点からtdelayを+10度ずらした点を次のループにおける現在点に変更する。以上のようにして、現在点を変更しながら、電力反射係数の絶対値|γ|が最小の点を特定することになる。
【0050】
C.周波数変調によるIMD低減処理2の詳細
図7は、周波数変調によるIMD低減処理2(ステップ407)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0051】
(i)ステップ701
制御装置1_113は、現在点の周波数変動幅Δfと、Δf±所定周波数の場合の3つケースについて、それぞれ進行波電力および反射波電力を取得し、電力反射係数の絶対値|γ|を算出する。ここで、±所定周波数は、ユーザによって調整可能なように構成してもよいが、例えば、±0.1MHzとすることができる。
【0052】
図8は、現在点の周波数変動幅Δfで変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|とΔf±0.1MHzで変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|との関係(例)を示す図である。
図8では、現在点の周波数変動幅Δfで変調した場合の方がΔf±0.1MHzで変調した場合よりも|γ|が小さい場合の例が示されている。ただし、周波数変動幅Δf-0.1MHzが0.0MHzよりも小さくなることはないため、演算上Δf-0.1MHzが0.0MHzとなる場合は現在点と現在点+0.1MHzの2点のみで比較を行い、現在点が最小の場合は現在点の周波数変動幅Δfが採用され、Δf+0.1MHzのときの電力反射係数の絶対値|γ|が現在点の電力反射係数の絶対値|γ|よりも小さくなる場合はΔf+0.1MHzが採用される。
【0053】
(ii)ステップ702
制御装置1_113は、3つの場合において、現在点の周波数変動幅Δfで変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|が3点において最小であるか判断する。現在点の周波数変動幅Δfによる|γ|が最小である場合(ステップ702でYesの場合)、処理はステップ703に移行する。Δf±0.1MHzで変調した場合の方が現在点の変動幅Δfによる|γ|よりも小さい場合(ステップ702でNoの場合)、処理はステップ704に移行する。
【0054】
(iii)ステップ703
制御装置1_113は、現在点の周波数変動幅をFM変調に用いる周波数変動幅Δfに設定する。
【0055】
(iv)ステップ704
制御装置1_113は、現在点のΔf±0.1MHzのうち電力反射係数の絶対値|γ|が小さい方の周波数を次のループにおける現在点の周波数変動幅に変更する。
【0056】
(v)ステップ705
制御装置1_113は、ステップ703で決定したΔfでFM変調した場合の電力反射係数の絶対値|γ|を算出し、当該|γ|が予め設定された基準値(ステップ505の判断で用いた基準値を用いることができる)以上であるか判断する。|γ|が基準値以上である場合(ステップ705でYesの場合)、ステップ408に移行する。|γ|が基準値未満である場合(ステップ705でNoの場合)、処理はステップ409に移行する。
【0057】
<第1の実施形態による技術的効果>
第1の実施形態によれば、電力反射係数の絶対値|γ|が所定値以上になったときに、まず、周波数変動幅の低いFM変調で固定し、かつFM変調を開始するタイミングを決定する遅延設定(遅延パラメータ:tdelay)を変動させながら、|γ|が所定値未満になるようにソース電源出力を制御する。さらに、遅延設定だけで十分なIMD低減(|γ|<所定値)が得られないときには、FM変調の周波数を変動させる。このようにすることにより、IMD(電力反射係数の絶対値|γ|あるいは反射波電力の大きさ)を低減することが可能となり、効率的に負荷に対して電源を供給することができるようになる。
【0058】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、FM変調に加えて、整合器130内に位相変更回路を設けることにより、第1の実施形態よりもさらに電力反射係数の絶対値|γ|を抑制する(さらなるIMD低減を図る)。
【0059】
図9は、IMDによるインピーダンス軌跡の変化901とFM変調によるインピーダンス軌跡の変化902(第1の実施形態)を示すスミスチャートである。当該スミスチャートにおいて、0(原点)が無反射状態(与えた電力が全く戻ってこない状態:電力反射係数|γ|=0)で、1あるいは‐1が全反射状態(与えた電力が全て戻ってきてしまう状態:電力反射係数|γ|=1)を示している。FM変調を掛けない場合のIMDによるインピーダンス軌跡の変化901は、FM変調を掛けた場合のインピーダンス軌跡902よりも大きくなっている。従って、IMD抑制の一定の効果は得られることは分かる。しかし、
図9からも分かるように、IMDによるインピーダンス軌跡の変化901とFM変調によるインピーダンス軌跡の変化902とでは、インピーダンス変化が重ならない点が存在する(FM変調によって位相が変わってしまったことによりインピーダンス軌跡の変化の向きも変わったものである)。つまり、FM変調によるインピーダンス軌跡の変化は多種多様(プラズマインピーダンス軌跡の変化はガス、圧力等の条件にも左右されるため)であり、常に
図9のインピーダンス軌跡の変化902のようになるとは限らず、IMDを低減するためにFM変調で周波数を変動させても電力反射係数|γ|が所定範囲内に収まらない可能性もあり、FM変調を掛けただけでは効果が得られない場合もある。IMD低減の効果を最大限にするには、IMDによるインピーダンス軌跡の変化901とFM変調によるインピーダンス軌跡の変化902とがなるべく重なるようにすることが重要となる。言い換えれば、FM変調によるインピーダンス軌跡の変化902とIMDによるインピーダンス軌跡の変化901とが完全に重なるときには反射は起こらないが、両者の距離が離れており、
図9に示されるベクトル(矢印)の大きさが反射波の大きさに相当することになる。従って、FM変調によるインピーダンスの軌跡の挙動とIMDによるインピーダンス軌跡に挙動を別々に見た場合、同じ挙動となっていればIMDが完全に消去できたことになるが、両者は別々の原理によるため、両者が一致して揃っていなければ完全にIMDによる影響を打ち消すことができない。
【0060】
そこで、第2の実施形態では、FM変調をするだけでなく、整合器130において位相を変更するための回路を設け、FM変調によるインピーダンス軌跡の変化とIMDによるインピーダンスの変化を一致させるようにしている。
【0061】
<電源供給システムの構成例>
第1の実施形態で説明した電源供給システム100あるいは200のどちらの構成を用いてもよい。ただし、第2の実施形態は、整合器130におけるHF_RF回路131の内部構成にサセプタンス回路B(
図10参照)が追加になっている点と、制御装置3_135がインピーダンス調整によるIMD低減処理3を実行する点(
図13および
図15参照)が第1の実施形態とは異なっている。
【0062】
図10は、HF_RF回路131の内部構成例を示す図である。
図10Aは第1の実施形態によるHF_RF回路131の内部構成例を示し、
図10Bは第2の実施形態によるHF_RF回路131の内部構成例を示している。
【0063】
図10Aに示すように、第1の実施形態によるHF_RF回路131は、インピーダンス調整用の第1可変コンデンサ1001および第2可変コンデンサ1002と、高周波電力を負荷140に提供するためのコイル1003と、を備えている。HF_RF回路131は、制御装置3_135からの指示に応答して、第1可変コンデンサ1001および第2可変コンデンサ1002の静電容量を変えることによりインピーダンス整合を行うように構成される。一方、第2の実施形態によるHF_RF回路131は、
図10Bに示されるように、第1可変コンデンサ1001、第2可変コンデンサ1002、およびコイル1003に加えて、電力出力側にインピーダンス位相調整回路1004を備えている。インピーダンス位相調整回路1004として、サセプタンス回路を用いることができる。サセプタンス回路は、例えば、コイルLまたはコンデンサC、あるいはそれら両方を用いて構成することができる。当該サセプタンス回路のサセプタンスBを変化させることにより、整合器130のHF_RF回路131のインピーダンス位相を変化させる。これにより、ソース電源110におけるFM変調(周波数変化)によるインピーダンス軌跡の変化とIMDによるインピーダンス軌跡の変化とを合わせ、|γ|を抑制することができるようになる。なお、回路定数(静電容量可変コンデンサCやインダクタンス可変コイルL)を変化させる必要はない。
【0064】
<電力反射係数の絶対値|γ|の抑制効果>
整合器回路130の内部にサセプタンス回路を設け、シミュレーションを行った結果、
図11のような結果が得られた。シミュレーションの条件は、ソース電源周波数40.68MHz、バイアス電源周波数400kHz、プラズマインピーダンスZ=1-j×5.6と仮定し、バイアス電圧によりバイアス周波数の2倍の周期でプラズマシース静電容量Csが490pFから910pFまで変化した場合、ソース電源の出力端の電力反射係数|γ|は
図11Cのようになった。
図11Aは、
図3Aと同様に、ソース電源の出力をそのまま(FM変調もしない)出力した場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示す。
図11Bは、
図3Bと同様に、ソース電源110の出力をFM変調のみした場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示している。
図11Cは、ソース電源110の出力をFM変調し、かつサセプタンス回路で位相を変化させた場合の電力反射係数の絶対値|γ|の変動を示している。
【0065】
図11Aと比較すると、
図11Bによる電力反射係数の絶対値|γ|は抑制されていることが分かるが、
図11Cによる電力反射係数の絶対値|γ|はさらに抑制されているのが分かる。
【0066】
また、
図12は、
図11の各グラフをスミスチャートに表したものである。
図12からも、電力反射係数の絶対値|γ|の抑制効果が得られていることが理解できる。ソース電源110の出力の周波数変動およびサセプタンス回路挿入によるインピーダンス軌跡の変化1203は、IMDによるインピーダンス軌跡の変化1201は元より、ソース電源110の出力の周波数変動(のみ)によるインピーダンス軌跡の変化1202よりも変化の幅(振幅)および位相が大幅に改善されている。
【0067】
<IMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の内容>
図13は、第2の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体を説明するためのフローチャートである。遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1は第1の実施形態と同様である。
図14は、
図13におけるステップ1301(周波数変調によるIMD低減処理2)の詳細を説明するためのフローチャートである。また、
図15は、
図13におけるステップ1302(インピーダンス調整によるIMD低減処理3)の詳細を説明するためのフローチャートである。なお、当該IMD低減処理3(ステップ1303)は、整合回路130の制御装置3_135によって実行され、それ以外のステップは、ソース電源110の制御装置1_113によって実行されるように構成することができる。
【0068】
A.IMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理の全体(図13)
(i)ステップ401からステップ406の処理は第1の実施形態と同様である。このため、これらのステップについての説明は省略する。
【0069】
(ii)ステップ1301
ソース電源110の制御装置1_113は、遅延パラメータ制御によるIMD低減処理1を実行した後の|γ|が所定の基準値以上のままであった場合に、周波数変調によるIMD低減処理2を実行する。当該IMD低減処理2によって|γ|が所定の基準値未満にすることができた場合には、処理はステップ409に移行する。一方、|γ|が所定の基準値以上のままであった場合には、処理はステップ1302に移行する。ステップ1302に移行する際に、制御装置1_113は、整合回路130の制御装置3_135に対して、IMD低減処理2の結果(|γ|を基準値未満にできなかったこと)を通知する。
【0070】
なお、周波数変調によるIMD低減処理2の詳細は、
図7とほぼ同様であるが、|γ|が所定の基準値以上のままであった場合には、処理はステップ1302に移行する点でステップ407(
図4)と異なっている。ステップ1302の詳細については、
図14に示されている。
【0071】
(iii)ステップ1302
整合回路130の制御装置3_135は、周波数変調によるIMD低減処理2を実行した後の|γ|が所定の基準値以上のままであった場合に、インピーダンス調整によるIMD低減処理3を実行する。当該IMD低減処理3によって|γ|が所定の基準値未満にすることができた場合には、処理はステップ409に移行する。一方、|γ|が所定の基準値以上のままであった場合には、処理はステップ408に移行する。ステップ1302の詳細については、
図15を参照して後述する。
【0072】
(iv)ステップ408
制御装置1_113は、整合器130の制御装置3_135から電力反射係数の絶対値|γ|を取得し、前回のループ(前回のIMD低減処理)で得られた結果(電力反射係数の値|γ|)よりも今回の電力反射係数の値|γ|が低下したか判断する。今回の電力反射係数の値|γ|が前回の結果よりも低下していない場合(ステップ408でNoの場合)、処理はステップ409に移行する。今回の電力反射係数の値|γ|が前回の結果よりも低下した場合(ステップ408でYesの場合)、処理はステップ403に移行する。なお、処理がステップ403に戻った場合、ステップ403における「前回の結果」とはステップ1302で得られた基準値以上の電力反射係数の値|γ|の基となった各パラメータ値が相当する。
【0073】
(v)ステップ409
制御装置1_113は、当該IMD低減処理を終了させ、今回の処理によって得られた電力反射係数の値|γ|に対応するパラメータ値をメモリに格納し、次回処理時の初期値とする。
【0074】
B.周波数変調によるIMD低減処理2の内容
図14は、第2の実施形態における、周波数変調によるIMD低減処理2(ステップ1301)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0075】
図14に示されるように、当該処理は、
図7のフローチャートとほぼ同じ内容となっているが、ステップ1401において、周波数変調によるIMD低減処理2を実行した後の|γ|が所定の基準値以上であった場合に、ステップ408に移行する(ステップ705参照)ではなく、インピーダンス調整によるIMD低減処理3(ステップ1302)に移行する点で
図7とは異なっている。その他のステップは
図7の各ステップと同様なので、説明は省略する。
【0076】
C.インピーダンス調整によるIMD低減処理3の詳細
図15は、第2の実施形態で実行される、インピーダンス調整によるIMD低減処理3(ステップ1302)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0077】
(i)ステップ1501
整合器130の制御装置3_135は、電力反射係数を3点で測定する。例えば、整合器130の制御装置3_135は、現在点(インピーダンス位相調整回路1004における、現時点での可変コンデンサ容量)での電力反射係数の絶対値|γ|と、インピーダンス位相調整回路1004の可変コンデンサ容量を現時点での値から±5pF(ユーザによって適宜設定可能)変化させた場合の電力反射係数の絶対値|γ|を算出する。
【0078】
なお、
図16は、現在点のサセプタンス値のときの電力反射係数の絶対値|γ|と現在点からサセプタンス値を±5pF変更した場合の電力反射係数の絶対値|γ|の関係(例)を示す図である。
図16では、現在点の電力反射係数の絶対値|γ|が極小となっている例が示されている。
【0079】
ここでは、電力反射係数の絶対値|γ|を3点で比較しているが、反射波電力値そのものを比較対象としてもよい。また、インピーダンス位相調整回路1004が可変コンデンサおよび可変コイルで構成される場合には、サセプタンスBを±所定量(S)変更した場合の電力反射係数|γ|を算出することになる。
【0080】
(ii)ステップ1502
制御装置3_135は、現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が3点のうちで最小であるか判断する。現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が最小である場合(ステップ1502でYesの場合)、処理はステップ1503に移行する。現在点における電力反射係数の絶対値|γ|が最小ではない場合(ステップ1502でNoの場合)、処理はステップ1504に移行する。
【0081】
(iii)ステップ1503
制御装置3_135は、現在点のサセプタンスの値をインピーダンス位相調整回路1004のサセプタンスBを設定し、電力反射係数の絶対値|γ|を取得する(ステップ1501で算出した値を取得してもよいし、改めて算出してもよい)。
【0082】
(iv)ステップ1504
制御装置3_135は、現在点からサセプタンス値を-5pFだけ変更した場合の電力反射係数の絶対値|γ|が3点において最小であるか判断する。現在点からサセプタンス値を-5pF変更した点の電力反射係数の絶対値|γ|が最小である場合(ステップ1504でYesの場合)、処理はステップ1506に移行する。現在点からサセプタンス値を+5pF変更した点の電力反射係数の絶対値|γ|が3点において最小である場合(ステップ1504でNoの場合)、処理はステップ1507に移行する。
【0083】
(v)ステップ1505
制御装置3_113は、ステップ1503で取得した電力反射係数の絶対値|γ|が予め設定された基準値以上であるか判断する。|γ|が基準値以上である場合(ステップ1505でYesの場合)、処理はステップ408に移行する。|γ|が基準値未満である場合(ステップ1505でNoの場合)、処理はステップ409に移行する。
【0084】
(vi)ステップ1506
制御装置3_135は、現在点のサセプタンス値を-5pFだけ変更して得られるサセプタンス値を次のループにおける現在点のサセプタンス値に変更する。以上のようにして、現在点のサセプタンス値を変更しながら、電力反射係数の絶対値|γ|が最小の点を特定することになる。
【0085】
(vii)ステップ1507
制御装置3_135は、現在点のサセプタンス値を+5pFだけ変更して得られるサセプタンス値を次のループにおける現在点のサセプタンス値に変更する。以上のようにして、現在点のサセプタンス値を変更しながら、電力反射係数の絶対値|γ|が最小の点を特定することになる。
【0086】
<シミュレーション結果>
図17は、第2の実施形態によるIMD低減(電力反射係数|γ|抑制)処理のシミュレーション結果を示す図(表)である。当該シミュレーションでは、初期値として、遅延パラメータtdelay=90度、周波数変動幅ΔF=0.1MHz、サセプタンスB=50pFとしている。そして、まず、FM変調における遅延パラメータtdelayのみを10度ずつ変動させて最小の電力反射係数の絶対値|γ|を呈するtdelayを求め、これを固定して周波数0.1MHzを変動させ、最小の電力反射係数の絶対値|γ|を呈するΔFを求める。さらに、最小の電力反射係数の絶対値|γ|を呈するtdelayおよびΔFをそれぞれ固定し、サセプタンスBを5pFずつ変動させて最小の電力反射係数の絶対値|γ|を呈するサセプタンスBを求めている。
【0087】
図17に示されるように、遅延パラメータtdelayを10度ずつ変動させると、tdelay=180度のときに電力反射係数の絶対値|γ|(平均値)が0.4254で最小となった。そして、tdelayを180度に固定し、変調周波数を0.1MHzずつ変動させると、ΔF=1.2MHzのときに電力反射係数の絶対値|γ|(平均値)が0.1138で最小となった。さらに、tdelayを180度、ΔFを1.2MHzに固定し、サセプタンスBを50pFから5pFずつ変動させると、B=70pFのときに電力反射係数の絶対値|γ|(平均値)が0.085で最小となった。このように遅延パラメータ、周波数変動幅、およびサセプタンスBを変動させることにより、
図11Aで示されるIMDによる電力反射係数の絶対値|γ|302を
図11Cに示される電力反射係数の絶対値|γ|1102まで低減することができた。
【0088】
(3)まとめ
(i)本実施形態によれば、高周波電源システム(電力供給システム)において、ソース電源が、ソース電力に対する周波数変動処理の開始のタイミングを示す遅延設定値(tdelay)を決定し、当該遅延設定値とバイアス電源の動作周波数(第1周波数)の値とを用いて周波数変動処理(FM変調処理)を実行し、周波数変動されたソース電力を整合器に出力する。このように、FM変調においてまずはtdelayを変動させる(このとき周波数変調周波数(変調度)は初期値に固定される)ことにより、FM変調の効果を最大限引き出すことができるようになる。本実施形態のように、遅延設定値(tdelay)の決定を周波数変動処理(FM変調処理)の前に実行するのは、プラズマインピーダンスが変動(プラズマシース容量が変動)することに対して周波数を変動させ反射波電力を低減させることができればよいが、変動させる周波数の動きがプラズマインピーダンスの動きと逆行していたら、周波数変動幅を大きくし反射波電力を増大させてしまうからである。そこで、周波数は初期値のままで遅延時間設定処理をまず実行して最適な遅延時間設定値を決定し、再度、FM変調処理を実行して最適値を探す。まずは、プラズマインピーダンスの変動と遅延時間設定(+低い周波数変動)による周波数変動向きを合わせることが重要となる。言い換えると、+側から周波数を振り始めるのか、-側から振り始めるのか、またいつから振り始めるためのタイミングを合わせるために遅延時間設定を先に行うのである。
【0089】
また、本実施形態では、遅延設定値(tdelayの変動)に基づく周波数変動処理の結果、負荷からの反射波電力に関連する指標値(例えば、電力反射係数)が所定基準値よりも大きい場合に、ソース電源は、周波数変動幅(Δf)を変更して周波数変動処理を実行する。このようにすることにより、IMDによって発生する反射波電力あるいは電力反射係数を低減することが可能となる。
【0090】
(ii)さらに、本実施形態では、整合器のインピーダンス整合回路に、インピーダンス位相調整素子を設けるようにしてもよい。周波数変動幅(Δf)を変更して実行した周波数変動処理の結果、負荷からの反射波電力に関連する指標値(電力反射係数)が所定基準値よりも大きい場合に、整合器は、インピーダンス位相調整素子によって整合器の位相を変化させる。このようにすることにより、FM変調によるインピーダンス変化の向きとIMDによるインピーダンス変化の向きを一致させることができ、FM変調によるIMD低減効果を著しく改善することが可能となる。
【0091】
(iii)IMD低減の手順として、本実施形態では、まずは、ソース電源が、遅延設定値(tdelay)を所定幅(例えば、±10度:バイアス周波数800kHzの場合に0.035μsの遅延時間)ずつ変動させながら周波数変動処理を実行し、遅延設定値を変動させて得られる指標値が最小となる最適遅延設定値を取得する。そして、ソース電源は、遅延設定値を最適遅延設定値に固定し、さらに、周波数変動幅(Δf)を所定幅(例えば、+0.1MHz)ずつ変動させながら周波数変動処理を実行し、周波数変動幅を変動させて得られる指標値が最小となる最適周波数変動幅を取得する。さらに、ソース電源は、遅延設定値と周波数設定値を、最適遅延設定値と最適周波数変動幅にそれぞれ固定して周波数変動処理を実行し、整合器は、さらに、インピーダンス位相調整素子によって整合器の位相を所定幅(例えば、±5pF)ずつ変化させて、最小となる指標値を算出する。以上のような手順により周波数変調処理を実行して高周波電力を負荷に供給することにより、効率よく、かつ十分にIMDを低減することが可能となる。
【0092】
(iv)本実施形態の機能は、ソフトウェアのプログラムコードによっても実現することができる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそれを記憶した記憶媒体は本開示を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0093】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0094】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0095】
ここで述べたプロセスおよび技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはない。また、汎用目的の多様なタイプのデバイスが本開示の記述に従って使用することができる。なお、本開示の技術を実行する上で、専用の装置を構築するのが有益である場合があるかもしれない。
【0096】
本実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、本実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本開示の技術は、具体例な実施形態に関連して記述したが、これらは、本開示の技術を限定するためではなく、説明のためである。本分野にスキルのある者であれば、本開示の技術を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、およびファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0097】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【符号の説明】
【0098】
100,200 高周波電源システム(電力供給システム)
110 ソース(HF)電源
111 RF増幅器
112 センサ1
113 制御装置1
120 バイアス(LF)電源
121 RF増幅器
122 センサ2
123 制御装置2
130 整合器
131 HF_RF回路
132 センサ3
133 LF_RF回路
134 センサ4
135 制御装置3
140 負荷(プラズマ負荷)