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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20240215BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240215BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019230304
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021097804
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-200339(JP,A)
【文献】特開2004-024735(JP,A)
【文献】特表2018-514322(JP,A)
【文献】特開2004-024438(JP,A)
【文献】特開2008-295586(JP,A)
【文献】特許第4758177(JP,B2)
【文献】特開平11-244433(JP,A)
【文献】特表平06-510689(JP,A)
【文献】特許第5161518(JP,B2)
【文献】実開平06-070754(JP,U)
【文献】特開2005-287529(JP,A)
【文献】特開2008-093268(JP,A)
【文献】特開2004-275751(JP,A)
【文献】米国特許第08007369(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部、クラウン部、ソール部、及びバック部を有する中空のゴルフクラブヘッドであって、
前記クラウン部は、バック側にクラウン厚肉部を有し、
前記ソール部は、バック側にソール厚肉部を有し、
前記バック部は、前記クラウン厚肉部及び前記ソール厚肉部の各々の最厚部の厚さよりも薄いバック端を有し、
前記クラウン厚肉部と前記ソール厚肉部は、前記バック端を含む前記バック部により離間しており、
クラウン-ソール方向に視たときに、前記クラウン厚肉部と前記ソール厚肉部の少なくとも一部が重複してトウ-ヒール方向に伸びる重複部を形成し、
前記クラウン部の一部に開口部が設けられ、
前記開口部に繊維強化樹脂からなるクラウン部材が接合され、
前記クラウン厚肉部及び前記ソール厚肉部は、前記開口部が設けられた本体側に配置されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記中空の部分の容積が300cc以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
クラウン-ソール方向に視たときに、重心Gを中心としフェース-バック方向を6時-12時方向としたときに、前記重複部のトウ側端が9時の方向と12時の方向との間に配置され、ヒール側端が12時の方向と15時の方向との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラウン部のバック側に凹部が設けられ、
前記クラウン厚肉部は、前記クラウン部よりも比重の高い材料から形成され、前記凹部内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ゴルフクラブヘッド全体の重量に対する前記クラウン厚肉部の重量の比率は、0.4%以上20%以下であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記クラウン厚肉部は、平面視において、前記クラウン部のバック側の輪郭形状に沿ってトウ-ヒール方向に延びる湾曲した帯状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッドにおいて、ボールの上がり易さや飛距離性能等のヘッド機能を向上させるための様々な技術が検討されている。ヘッド機能を向上させる技術としては、例えば、特許文献1及び2に記載の技術が挙げられる。ヘッド機能を向上させるためには、ゴルフクラブヘッドの重心の位置を十分に考慮する必要があり、ゴルフクラブヘッドの重心位置の設計自由度が高いことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4758177号
【文献】特許第5161518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ゴルフクラブヘッドの重心位置の設計自由度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本ゴルフクラブヘッドは、フェース部、クラウン部、ソール部、及びバック部を有する中空のゴルフクラブヘッドであって、前記クラウン部は、バック側にクラウン厚肉部を有し、前記ソール部は、バック側にソール厚肉部を有し、前記バック部は、前記クラウン厚肉部及び前記ソール厚肉部の各々の最厚部の厚さよりも薄いバック端を有し、前記クラウン厚肉部と前記ソール厚肉部は、前記バック端を含む前記バック部により離間しており、クラウン-ソール方向に視たときに、前記クラウン厚肉部と前記ソール厚肉部の少なくとも一部が重複してトウ-ヒール方向に伸びる重複部を形成し、前記クラウン部の一部に開口部が設けられ、前記開口部にクラウン部材が接合され、前記クラウン厚肉部及び前記ソール厚肉部は、前記開口部が設けられた本体側に配置されている
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、ゴルフクラブヘッドの重心位置の設計自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図である。
図2】ゴルフクラブヘッド1をフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
図3】ゴルフクラブヘッド1をクラウン-ソール方向に視た平面図(その1)である。
図4】ゴルフクラブヘッド1をクラウン-ソール方向に視た平面図(その2)である。
図5】ゴルフクラブヘッド1をクラウン-ソール方向に視た平面図(その3)である。
図6】ゴルフクラブヘッド1Aをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
図7】ゴルフクラブヘッド1Bをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
図8】ゴルフクラブヘッド1Cをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図、図1(c)は左側面図、図1(d)は右側面図である。
【0010】
図1では、フェース面11f側から視た図を正面図としており、ゴルフクラブヘッド1を水平面H(地面に相当)に基準のライ角θ及び基準のロフト角(図示せず)通りに接地した場合を図示している。なお、Jはホゼル部15の穴の中心軸を示している。また、矢印dはトウ-ヒール方向(左右方向)を、矢印dはクラウン-ソール方向(上下方向)を、矢印dはフェース-バック方向(前後方向)を示している。
【0011】
図1に示すゴルフクラブヘッド1は、ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、例えばユーティリティやフェアウェイウッドであるが、ドライバであってもよい。ゴルフクラブヘッド1は、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等を用いて形成できる。ゴルフクラブヘッド1は、例えば、鋳造により作製される。以下、ゴルフクラブヘッド1について詳説する。
【0012】
ゴルフクラブヘッド1は、フェース部11と、クラウン部12と、ソール部13と、バック部14と、ホゼル部15とを有する中空の構造体である。なお、ゴルフクラブヘッド1の中空の内側の面をヘッド内面、外側の面をヘッド外面と称する場合がある。
【0013】
フェース部11は、打撃面となるフェース面11fを備えた部分である。なお、フェース部11は所定の厚みを有しており、フェース面11fはフェース部11の外面をなしている。クラウン部12は、ゴルフクラブヘッド1の上部を形成する部分である。ソール部13は、ゴルフクラブヘッド1の底部を形成する部分である。バック部14は、フェース部11とは反対側においてクラウン部12とソール部13とを繋ぐ部分である。ホゼル部15は、シャフトと連結される部分である。
【0014】
ソール部13に、ヘッド重量調整用部品(ウェイト)を取り付け可能な取り付け部(ウェイトポート)が配置されてもよい。この場合、ヘッド重量調整用部品を取り付け部に取り付けた際に、ヘッド重量調整用部品がソール部13の外面から突起しないように、ソール部13に凹部を設けることが好ましい。ウェイトを用いたウェイト調整により、ゴルフクラブヘッド1の重心位置の調整が可能となる。
【0015】
図2は、ゴルフクラブヘッド1をフェース-バック方向に切断した縦断面図である。図3図5は、ゴルフクラブヘッド1をクラウン-ソール方向に視た平面図である。図3は、ゴルフクラブヘッド1を平面視した場合のクラウン厚肉部121の位置を示している。また、図4は、ゴルフクラブヘッド1を平面視した場合のソール厚肉部131の位置を示している。また、図5は、ゴルフクラブヘッド1を平面視した場合のクラウン厚肉部121とソール厚肉部131との重複部20の位置を示している。
【0016】
図2及び図3に示すように、クラウン部12は、バック側の内面にクラウン厚肉部121を有している。クラウン厚肉部121は、平面視において、クラウン部12のバック側の輪郭形状に沿ってトウ-ヒール方向に延びる湾曲した帯状に設けられている。
【0017】
図2において、クラウン厚肉部121と接する破線は、便宜上、ゴルフクラブヘッド1の内面との境界を示しているが、クラウン厚肉部121はゴルフクラブヘッド1の内面に他の部分と一体に形成されている。
【0018】
なお、クラウン厚肉部121が形成されている部分のゴルフクラブヘッド1の壁面の厚さは、クラウン部12においてクラウン厚肉部121が形成されていない部分のゴルフクラブヘッド1の壁面の平均厚さと同一であるものとする。
【0019】
クラウン厚肉部121の最厚部の厚さTは、例えば、1.0mm以上6.0mm以下である。ここで、クラウン厚肉部121の最厚部とは、各々の位置においてゴルフクラブヘッド1の外面から外面の法線の延長方向に厚さを測定したときのクラウン厚肉部121の最も厚い部分である。
【0020】
図2及び図4に示すように、ソール部13は、バック側の内面にソール厚肉部131を有している。ソール厚肉部131は、平面視において、ソール部13のフェース側を除く領域に略半円状に設けられている。
【0021】
図2において、ソール厚肉部131と接する破線は、便宜上、ゴルフクラブヘッド1の内面との境界を示しているが、ソール厚肉部131はゴルフクラブヘッド1の内面に他の部分と一体に形成されている。
【0022】
なお、ソール厚肉部131が形成されている部分のゴルフクラブヘッド1の壁面の厚さは、ソール部13においてソール厚肉部131が形成されていない部分のゴルフクラブヘッド1の壁面の平均厚さと同一であるものとする。
【0023】
ソール厚肉部131の最厚部の厚さTは、例えば、0.5mm以上8.0mm以下である。ここで、ソール厚肉部131の最厚部とは、各々の位置においてゴルフクラブヘッド1の外面から外面の法線の延長方向に厚さを測定したときのソール厚肉部131の最も厚い部分である。
【0024】
図2に示すように、バック部14は、クラウン厚肉部121及びソール厚肉部131の各々の最厚部の厚さよりも薄いバック端141を有している。クラウン厚肉部121とソール厚肉部131とは、バック端141を含むバック部14により離間している。
【0025】
クラウン厚肉部121の重量は、例えば、1g以上44g以下である。ソール厚肉部131の重量は、例えば、5g以上70g以下である。ソール厚肉部131の重量に対するクラウン厚肉部121の重量の比率は、5%以上65%以下であることが好ましい。また、ゴルフクラブヘッド1全体の重量に対するクラウン厚肉部121の重量の比率は、0.4%以上20%以下であることが好ましい。このような比率とすることで、高弾道でグリーンに止める効果を奏する。なお、ゴルフクラブヘッド1全体の重量は、例えば、220g以上270g以下である。
【0026】
図5に示すように、クラウン-ソール方向に視たときに(平面視において)、クラウン厚肉部121とソール厚肉部131の少なくとも一部が重複してトウ-ヒール方向に伸びる重複部20を形成している。重複部20は、平面視において、クラウン部12のバック側の輪郭形状に沿ってトウ-ヒール方向に延びる帯状に設けられている。
【0027】
クラウン厚肉部121とソール厚肉部131は、70%以上重複していることが好ましく、80%以上重複していることがより好ましく、90%以上重複していることが更に好ましい。クラウン-ソール方向に視たときに、クラウン厚肉部121とソール厚肉部131の全部が重複して重複部20を形成してもよい。クラウン厚肉部121とソール厚肉部131との重複量が多くなるほど、重心位置の前後方向や左右方向の位置を変えずに、高さ方向の位置を調整することが容易となる。
【0028】
なお、図5の例では、重複部20は、バック側に沿ってトウ-ヒール方向に延びる湾曲した帯状に設けられているが、トウ-ヒール方向に延びる略直線の帯状に設けられてもよい。但し、湾曲した帯状にする方が、重量調整の範囲を広くできる点で好適である。
【0029】
図5において、重複部20のトウ側端21は、平面視において、重心Gを通る線分Lがトウ側で重複部20と接する位置である。また、重複部20のヒール側端22は、平面視において、重心Gを通る線分Lがヒール側で重複部20と接する位置である。つまり、重複部20は、平面視において、線分L及びLよりもバック側の範囲内に配置されている。
【0030】
重複部20は、ヘッド重心Gよりもトウ側及びヒール側に伸びていることが好ましい。例えば、平面視において、重心Gを中心としフェース-バック方向を6時-12時方向としたときに、例えば、トウ側端21は9時の方向よりも12時側に配置され、ヒール側端22は3時の方向よりも12時側に配置される。
【0031】
トウ側端21が9時の方向と12時の方向との間に配置され、ヒール側端22が12時の方向と15時の方向との間に配置されることが好ましい。このように配置することで、M.O.I.(慣性モーメント)を高くする効果が得られる。トウ側端21が9時の方向と12時の方向との間に配置され、ヒール側端22が12時の方向と14時の方向との間に配置されることがより好ましい。このように配置することで、M.O.I.を高くする効果が一層顕著となる。
【0032】
このように、ゴルフクラブヘッド1において、クラウン部12はバック側にクラウン厚肉部121を有し、ソール部13はバック側にソール厚肉部131を有し、バック部14はクラウン厚肉部121及びソール厚肉部131の各々の最厚部の厚さよりも薄いバック端141を有している。
【0033】
そして、クラウン厚肉部121とソール厚肉部131は、バック端141を含むバック部14により離間しており、クラウン-ソール方向に視たときに(平面視において)、クラウン厚肉部121とソール厚肉部131の少なくとも一部が重複してトウ-ヒール方向に伸びる重複部20を形成する。
【0034】
このような構造により、クラウン厚肉部121とソール厚肉部131とが上下方向に分散するため、ゴルフクラブヘッド1の重心位置の設計自由度を向上できる。また、ソール厚肉部131と離間してクラウン厚肉部121を配置したことで、ゴルフクラブヘッド1が低重心になりすぎないような設計が容易となる。また、重複部20を有することで、重心位置の前後方向や左右方向の位置を変えずに、高さ方向の位置を調整することが容易となる。
【0035】
特に、このような構造を、ティーアップせずに打つことが多い中空の部分の容積が300cc以下のユーティリティやフェアウェイウッドに適用すると、ボールを上げやすい設計とすることができる。
【0036】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、フェースまたはクラウンが別部材を有するゴルフクラブヘッドの例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0037】
図6は、ゴルフクラブヘッド1Aをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。図6に示すように、ゴルフクラブヘッド1Aは、クラウン部12の一部に開口部12xが設けられ、開口部12x内にクラウン部材30が接合されている点が、ゴルフクラブヘッド1(図1図2等参照)と相違する。
【0038】
開口部12xの内壁及びクラウン部材30の側壁には、例えば、互いに嵌合して位置決めされる段差が設けられている。クラウン部材30は、開口部12xを塞ぐように開口部12x内に接合され、クラウン部12と共にゴルフクラブヘッド1Aの上部を形成している。クラウン厚肉部121及びソール厚肉部131は、開口部12xが設けられた本体側に配置されている。
【0039】
クラウン部材30の材料としては、例えば、金属材料、非金属材料、金属材料よりも低比重の材料等を用いることができる。具体的な材料としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等が挙げられる。
【0040】
クラウン部材30は、例えば、溶接や接着等により、開口部12xを塞ぐように接合される。必要に応じ、開口部12xにクラウン部材30を接合後、塗装、研磨、機械加工等の処理を行ってもよい。
【0041】
図7は、ゴルフクラブヘッド1Bをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。図7に示すように、ゴルフクラブヘッド1Bは、フェース部に開口部11xが設けられ、開口部11x内にフェース部材31が接合されている点が、ゴルフクラブヘッド1(図1図2等参照)と相違する。
【0042】
開口部11xの内壁及びフェース部材31の側壁には、例えば、互いに嵌合して位置決めされる段差が設けられている。フェース部材31は、開口部11xを塞ぐように開口部11x内に接合され、フェース面31fを有するフェース部を形成している。クラウン厚肉部121及びソール厚肉部131は、開口部11xが設けられた本体側に配置されている。
【0043】
フェース部材31の材料としては、例えば、金属材料、非金属材料、金属材料よりも低比重の材料等を用いることができる。具体的な材料としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等が挙げられる。
【0044】
フェース部材31は、例えば、溶接や接着等により、開口部11xを塞ぐように接合される。必要に応じ、開口部11xにフェース部材31を接合後、塗装、研磨、機械加工等の処理を行ってもよい。
【0045】
図6及び図7に示すように、ゴルフクラブヘッドは複数の部品を接合して組み立てることができる。これにより、クラウン厚肉部121やソール厚肉部131が設けられたゴルフクラブヘッドの本体側を鋳造により作製する際の金型の中子の抜きが容易となる。
【0046】
また、ゴルフクラブヘッド1Aのようにクラウン部材30を別部材とすることで、クラウン部材30の材料や厚さを選択できるため、上下方向の重心設計自由度を更に高めることができる。
【0047】
また、ゴルフクラブヘッド1Bのようにフェース部材31を別部材とすることで、フェース部材31として本体側よりも強度の高い材料を選択できるため、フェース部材31の打球時の反発力を向上できる。
【0048】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、クラウン厚肉部を別部材としたゴルフクラブヘッドの例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0049】
図8は、ゴルフクラブヘッド1Cをフェース-バック方向に切断した縦断面図である。図8に示すように、ゴルフクラブヘッド1Cは、クラウン厚肉部122をクラウン部12と別部材とした点が、ゴルフクラブヘッド1(図1図2等参照)と相違する。
【0050】
クラウン部12のバック側には、ゴルフクラブヘッド1Cの内方に窪む凹部12yが設けられている。凹部12y内には、クラウン厚肉部122が配置されている。クラウン厚肉部122は、クラウン部12よりも比重の高い材料から形成されていることが好ましく、このような材料としては、例えば、タングステン・ニッケル(W-Ni)、銅合金、鉛合金等が挙げられる。
【0051】
クラウン厚肉部122は、例えば、溶接、接着、ろう付け、カシメ等により、凹部12yを埋めるように接合される。必要に応じ、凹部12yにクラウン厚肉部122を接合後、塗装、研磨、機械加工等の処理を行ってもよい。
【0052】
このように、ゴルフクラブヘッド1Cでは、クラウン厚肉部122をクラウン部12と別部材としている。これにより、クラウン厚肉部122の材料としてクラウン部12よりも比重の高い材料を選択できるため、ゴルフクラブヘッド1Cの重心位置の設計自由度を一層向上できる。
【0053】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B、1C ゴルフクラブヘッド
11 フェース部
11f フェース面
11x、12x 開口部
12 クラウン部
12y 凹部
13 ソール部
14 バック部
15 ホゼル部
20 重複部
21 トウ側端
22 ヒール側端
30 クラウン部材
31 フェース部材
31f フェース面
121、122 クラウン厚肉部
131 ソール厚肉部
141 バック端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8