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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240215BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240215BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/08
G10L15/10 200W
G10L15/00 200L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020001081
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021111030
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】井谷 佳史
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082933(JP,A)
【文献】特開2018-049510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G10L 15/10
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査に関する複数の項目に検査情報が入力されることで当該検査が特定される検査システムであって、
検査員の発話の入力を受け、発話内容を認識する音声認識部と、
前記音声認識部で認識した発話内容に基づいて、前記複数の項目に検査情報を入力する入力部と、
を具備し、
前記入力部は、
前記複数の項目の中の一部の項目である第一項目に入力する検査情報を示すキーワードが、前記発話内容に含まれていた場合に、前記キーワードに基づいて前記第一項目に検査情報を入力すると共に、
前記第一項目に入力された検査情報に基づいて、前記複数の項目のうち前記第一項目以外の第二項目にも検査情報を入力可能に構成され、
前記発話内容から検査情報を入力不能な第三項目がある場合に、当該第三項目に入力する検査情報を問い合わせる問合せ部をさらに具備し、
前記問合せ部は、
前記第三項目に入力される可能性がある検査情報のみを問い合わせ可能であり、
前記入力される可能性がある検査情報には、未実施の検査に関する検査情報及び/又は実施結果が不合格と判定された検査に関する検査情報が含まれる、
検査システム。
【請求項2】
前記キーワードには、
前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致する第一キーワードと、
前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致しないもののうち、当該検査情報と関連付けられた第二キーワードと、
が含まれる、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記第二キーワードには、
検査情報に割り当てられた数字が含まれる、
請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記第一項目は、
前記第二項目の下位に属する項目である、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査において用いられる検査システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査において用いられる検査システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載された報告書作成システム(検査システム)は、携帯端末等を具備する。携帯端末は、検査員が所定の検査を行う場合に、まず、検査対象の候補となる複数の物件名等を適宜表示する。検査員は、表示された候補の中から所望の物件を選択(入力)する。次に、携帯端末は、検査箇所の場所及び部位の候補を表示する。検査員は、表示された候補の中から所望の場所及び部位を選択する。そして、検査員は、携帯端末を適宜操作して、検査の結果(例えば、目視観察で得た所見等)を入力する。携帯端末は、当該入力に伴って、物件名等と検査の結果とを関連付けて記憶する。報告書作成システムは、このようにして記憶した情報を適宜抽出して編集することで、建物の検査に関する報告書を作成することができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された報告書作成システムでは、検査の結果を入力するまでに、当該検査に関する複数の項目(物件名、場所及び部位等)を順番に選択する必要があるため、入力に手間がかかって検査員の負担が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-82933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、入力の手間を省いて検査員の負担を低減することが可能な検査システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、検査に関する複数の項目に検査情報が入力されることで当該検査が特定される検査システムであって、検査員の発話の入力を受け、発話内容を認識する音声認識部と、前記音声認識部で認識した発話内容に基づいて、前記複数の項目に検査情報を入力する入力部と、を具備し、前記入力部は、前記複数の項目の中の一部の項目である第一項目に入力する検査情報を示すキーワードが、前記発話内容に含まれていた場合に、前記キーワードに基づいて前記第一項目に検査情報を入力すると共に、前記第一項目に入力された検査情報に基づいて、前記複数の項目のうち前記第一項目以外の第二項目にも検査情報を入力可能に構成され、前記発話内容から検査情報を入力不能な第三項目がある場合に、当該第三項目に入力する検査情報を問い合わせる問合せ部をさらに具備し、前記問合せ部は、前記第三項目に入力される可能性がある検査情報のみを問い合わせ可能であり、前記入力される可能性がある検査情報には、未実施の検査に関する検査情報及び/又は実施結果が不合格と判定された検査に関する検査情報が含まれるものである。
【0009】
請求項2においては、前記キーワードには、前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致する第一キーワードと、前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致しないもののうち、当該検査情報と関連付けられた第二キーワードと、が含まれるものである。
【0010】
請求項3においては、前記第二キーワードには、検査情報に割り当てられた数字が含まれるものである。
【0011】
請求項4においては、前記第一項目は、前記第二項目の下位に属する項目であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、入力の手間を省いて検査員の負担を低減することができる。また発話内容から入力不能な項目を検査員に問い合わせることで、効率的に検査情報を入力することができる。また検査員が問い合わせに対して応対し易くすることができる。
【0016】
請求項2においては、検査情報を入力し易くすることができる。
【0017】
請求項3においては、数字を発話することで速やかに検査情報の入力を済ませることができる。
【0018】
請求項4においては、上位の項目の検査情報を入力する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る検査システムを示すブロック図。
図2】端末の外観を示す図。
図3】検査に関する項目を示す図。
図4】確認画面を示す図。
図5】第一モードにおける検査結果の入力までの流れを示す図。
図6】プロジェクト名を選択する流れを示す図。
図7】(a)工程名を選択する流れを示す図。(b)検査区分を選択する流れを示す図。
図8】検査項目を選択してから検査結果を入力するまで流れを示す図。
図9】第二モードにおける検査結果の入力までの流れを示す図。
図10】発話を受け付ける流れを示す図。
図11】第二モードにおける対話の具体例を示す図。
図12】(a)第二モードにおいて、全ての項目の検査情報を発話した場合の具体例を示す図。(b)第二モードにおいて、不足項目を推定して検査が特定できた場合の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の一実施形態に係る検査システム1について説明する。
【0023】
図1に示す検査システム1は、検査において用いられるシステムである。より詳細には、検査システム1は、検査員B(検査を実施する者)が実施した検査の結果を記録する用途に用いられる。また、検査システム1は、検査員Bと対話することで検査結果を取得し、当該検査結果を記録することができる。なお、検査結果の取得の手順については後述する。また、本実施形態の検査システム1は、建物の建築過程における検査(例えば、コンクリート検査等)を対象としている。また、検査システム1は、後述するように、複数のプロジェクトや現場で使用可能に構築されている。検査システム1は、端末10及びサーバ20を具備する。
【0024】
図1及び図2に示す端末10は、検査員Bが所持する機器である。端末10は、通信機能を具備し、ネットワーク回線を介して後述するサーバ20と通信可能に構成される。端末10は、検査員Bが装着可能な眼鏡型のウェアラブルデバイスによって構成される。端末10は、スピーカ11、マイク12及びカメラ13を具備する。
【0025】
スピーカ11は、音声を出力するためのものである。マイク12は、音声を入力するためのものである。カメラ13は、写真や動画を撮影するためのものである。スピーカ11、マイク12及びカメラ13は、端末10のフレーム10aに適宜設けられる。
【0026】
図1に示すサーバ20は、端末10からの要求に応じて適宜処理を行うものである。サーバ20は、CPU等の演算装置やHDD等の記憶装置を具備する。サーバ20は、プラットフォーム21、検査部22、管理検査データベース23、検査写真ファイルサーバ24、確認画面25及び異常検知部26等を具備する。
【0027】
プラットフォーム21は、端末10の動作の基盤となるものである。プラットフォーム21は、端末10と通信することで、端末10を機能させることができる。具体的には、プラットフォーム21は、端末10に信号を送信してスピーカ11から音声を出力させたり、端末10のマイク12に入力された音声やカメラ13で撮影した写真及び動画等を、端末10から取得することができる。また、プラットフォーム21は、建物の品質管理を担当する担当者A1が使用する端末と通信することで、当該端末にカメラ13で撮影した映像を提供することができる。また、プラットフォーム21は、カメラ13で撮影した映像を適宜解析することで、検査員Bの仕草(例えば、手の動き等)を認識することができる。また、プラットフォーム21は、音声認識機能を有する。
【0028】
音声認識機能は、端末10のマイク12に入力された音声を認識する機能である。プラットフォーム21は、マイク12に入力された音声を端末10から取得し、当該音声(音声ファイル)を解析してテキストファイルへ変換する。プラットフォーム21は、当該テキストファイルを読み込むことで、マイク12に入力された音声を文字列データとして取得(認識)することができる。
【0029】
検査部22は、検査員Bが発した言葉に基づいて検査結果を記録するための処理を行うものである。検査部22は、例えば、サーバ20上で動作するプログラムによって構成される。検査部22は、プラットフォーム21が認識した音声(端末10のマイク12に入力された音声)及び検査員Bの仕草を取得することができる。また、検査部22は、プラットフォーム21を介して端末10に音声ファイルを送信することで、当該端末10のスピーカ11から所定の音声を出力可能に構成される。検査部22は、後述する管理検査データベース23及び検査写真ファイルサーバ24にデータを登録可能に構成される。また、検査部22は、管理検査データベース23からデータを取得可能に構成される。
【0030】
このように構成される検査部22は、プラットフォーム21から取得した音声等を利用して適宜処理を行うことにより、検査結果を記録することができる。なお、検査部22の処理については後述する。
【0031】
管理検査データベース23は、検査に関する情報を管理するためのものである。検査に関する情報は、検査と繋がりがある情報であり、また、複数の検査の中から、ある1つの検査を特定するのに必要な情報である。検査に関する情報としては、例えば、検査対象となる建物を示す情報や検査の内容を示す情報等がある。図3に示すように、管理検査データベース23では、検査に関する情報が、複数の項目に分けて管理されている。複数の項目には、「プロジェクト名」、「工程名」、「検査区分」、「工程部位」及び「管理項目」が含まれる。
【0032】
「プロジェクト名」は、建物を建築するプロジェクトの名称や現場の名称を示す項目である。「プロジェクト名」に登録される情報としては、例えば、プロジェクトの名称を示す文字列(『Aプロジェクト』等)や現場の名称を示す文字列等がある。このように、各項目に登録される情報(各項目の具体的な内容を示す情報)を、以下では「検査情報」と称する。
【0033】
「工程名」は、建物の建築における工程(工事)の名称を示す項目である。「工程名」の検査情報としては、例えば、工程の名称を示す文字列がある。本実施形態において「工程名」には、上位の項目「プロジェクト名」に登録された各検査情報に対して、想定される(選択されうる)1以上の検査情報が関連付けて登録されている。具体的には、例えば、『Aプロジェクト』における工程として、『コンクリート工事』及び『鉄筋工事』等が想定される場合、「プロジェクト名」の検査情報『Aプロジェクト』に対して、「工程名」の検査情報『コンクリート工事』及び『鉄筋工事』等が関連付けて登録されている。このように、本実施形態において「工程名」は、「プロジェクト名」に属する項目(下位の項目)となる。
【0034】
「検査区分」は、検査する区分(建物のどの部分に対して検査を行うのか)を示す項目である。「検査区分」の検査情報としては、例えば、検査する区分を示す文字列がある。本実施形態において「検査区分」には、上位の項目(「プロジェクト名」及び「工程名」)に登録された各検査情報に対して、想定される(選択されうる)1以上の検査情報が関連付けて登録されている。具体的には、例えば、「プロジェクト名」の検査情報『Aプロジェクト』及び「工程名」の検査情報『コンクリート工事』に対して、「検査区分」の検査情報『基礎』及び『1階床』等が関連付けて登録されている。このように、本実施形態において「検査区分」は、「工程名」に属する項目(下位の項目)となる。
【0035】
「工程部位」は、検査する工程部位(「工程名」が示す工程の中で、何を検査するのか)を示す項目である。「工程部位」の検査情報としては、例えば、検査する工程部位を示す文字列がある。本実施形態において「工程部位」には、上位の項目(「プロジェクト名」、「工程名」及び「検査区分」)に登録された各検査情報に対して、想定される(選択されうる)1以上の検査情報が関連付けて登録されている。具体的には、例えば、「プロジェクト名」の検査情報『Aプロジェクト』、「工程名」の検査情報「コンクリート工事」及び「検査区分」の検査情報『基礎』に対して、「工程部位」の検査情報『コンクリート検査』等が関連付けて登録されている。このように、本実施形態において「工程部位」は、「検査区分」に属する項目(下位の項目)となる。
【0036】
「管理項目」は、検査する管理項目(検査の具体的な内容)を示す項目である。「管理項目」の検査情報としては、例えば、管理項目を示す文字列がある。本実施形態において「管理項目」には、上位の項目(「プロジェクト名」、「工程名」、「検査区分」及び「工程部位」)に登録された各検査情報に対して、想定される(選択されうる)1以上の検査情報が関連付けて登録されている。具体的には、例えば、「プロジェクト名」の検査情報『Aプロジェクト』、「工程名」の検査情報『コンクリート工事』、「検査区分」の検査情報『基礎』及び「工程部位」の検査情報『コンクリート検査』に対して、「管理項目」の検査情報『スランプ値』及び『空気量』等が関連付けて登録されている。このように、本実施形態において「管理項目」は、「工程部位」に属する項目(下位の項目)となる。
【0037】
このように、管理検査データベース23によって管理される複数の項目は、上位の項目から順に「プロジェクト名」、「工程名」、「検査区分」、「工程部位」、「管理項目」となるような階層的な構造となっている。また、「プロジェクト名」、「工程名」、「検査区分」、「工程部位」及び「管理項目」の検査情報により、複数ある検査の中から1つの検査が決まることとなる。具体的には、例えば、『Aプロジェクト』(より詳細には、Aプロジェクトで建設する建物)の『コンクリート工事』の『基礎』の『コンクリート検査』の『スランプ値』が正常であるかを確認する検査等が決まることとなる。また、本実施形態では、「プロジェクト名」の検査情報に基づいてプロジェクトや現場を識別できるため、複数のプロジェクトや現場で使用する(検査結果を記録する)ことができる。
【0038】
また、「プロジェクト名」等の項目は、図1に示す管理検査データベース23の管理者A2により適宜管理される。具体的には、例えば、新しく建物を建てるプロジェクトが発足した場合等において、管理者A2によって、当該プロジェクトに対応する「プロジェクト名」等の検査情報が管理検査データベース23に登録される。また、管理検査データベース23に登録された検査情報は、管理者A2により適宜(例えば、建物が取り壊されてから所定の年数が経過した場合等に)削除される。また、管理検査データベース23には、検査員Bが実施した検査の結果等が、検査部22によって適宜登録される。
【0039】
図1に示す検査写真ファイルサーバ24は、検査中に端末10のカメラ13で撮影された結果(図4に示す画像データC1・C2参照)を記憶するためのものである。検査写真ファイルサーバ24には、端末10のカメラ13によって撮影された画像ファイルや動画ファイル等が、どの検査で撮影されたものなのかを特定可能に記憶される。また、検査写真ファイルサーバ24には、プロジェクトや現場毎に画像ファイル等が記憶される。
【0040】
確認画面25は、管理検査データベース23に登録された検査結果を確認するための画面である。確認画面25は、例えば、ブラウザで表示可能なウェブページによって構成される。確認画面25は、管理検査データベース23及び検査写真ファイルサーバ24から取得した情報を適宜表示することで、検査結果を確認可能に構成される。確認画面25は、品質管理を担当する担当者A1の端末からネットワーク回線を介してアクセス可能に構成される。図4は、確認画面25の一例を示すものである。
【0041】
図4に示す確認画面25は、特定の上位の項目に属する下位の項目を一覧で表示する画面である。図4では、上位の項目である「プロジェクト名」、「工程名」及び「検査区分」(図4では『Aプロジェクト』の『コンクリート工事』の『基礎』)に属する下位の項目(「工程部位」及び「管理項目」)の検査情報が一覧で表示された例を示している。また、確認画面25は、上位の項目、すなわち「プロジェクト名」、「工程名」及び「検査区分」の検査情報(図4では『Aプロジェクトのコンクリート工事の基礎の検査結果』との文字列)を表示可能に構成される。また、確認画面25には、下位の項目の検査情報等に加えて、「管理値」、「写真」、「コメント」、「判定結果」及び「検査日時」を表示可能に構成される。
【0042】
「管理値」は、「管理項目」が示す検査の合否判定の基準となる情報を示すものである。「管理値」は、管理検査データベース23に適宜登録されている。「写真」は、検査において撮影された画像データC1・C2(検査写真ファイルサーバ24に登録された画像データ)を表示するものである。「コメント」は、検査に関する検査員Bのコメント(例えば、検査結果についての見解等)を示すものである。「判定結果」は、検査の合否を判定した結果を示すものである。「検査日時」は、検査が行われた日時を示すものである。「コメント」、「判定結果」及び「検査日時」は、検査部22によって管理検査データベース23に適宜登録される。
【0043】
図1に示す異常検知部26は、端末10の異常を検知するためのものである。異常検知部26は、例えば、サーバ20上で動作するプログラムによって構成される。異常検知部26は、端末10に設けられた所定のセンサの結果に基づいて(例えば、端末10が落下してセンサが異常な値を検出した場合に)、端末10に異常があったと判断する。この場合、異常検知部26は、検査員Bの関係者A3等にメール等で通知する。
【0044】
次に、このように構成される検査システム1を用いた検査の概要について説明する。
【0045】
検査システム1は、例えば、実施した検査の結果(例えば、測定値等)を管理検査データベース23に記憶させる場合に用いられる。まず、検査員Bは、端末10のマイク12に向けて適宜発話することで、複数の検査の中から、1つの検査(実施した検査)を選択する。そして、検査員Bは、マイク12に向けて適宜発話することで、検査結果を入力する。これによれば、手を使うことなく検査結果を入力することができ、入力の負担を低減することができる。
【0046】
また、検査システム1は、入力された検査結果を「管理値」(図4参照)と対比することで、検査の合否を判定する。これにより、検査員Bが合否判定を行う手間を省くことができる。こうして検査システム1は、検査員Bの検査を支援して、検査業務の負担を低減することができる。
【0047】
当該検査システム1は、検査結果を入力するモード(態様)として、第一モード及び第二モードを具備する。第一モード及び第二モードは、後述するように、複数の検査の中から、1つの検査を選択する手順が異なっている。検査システム1では、第一モード又は第二モードのいずれかを選択し、検査結果を入力することができる。まずは、図4から図8を参照して、第一モードが選択された場合における検査の流れについて説明する。また、検査の流れの説明の中で、検査部22の処理についても説明する。
【0048】
第一モードは、検査部22と検査員Bとが繰り返し対話することで、上位の項目(「プロジェクト名」)から順に検査情報を選択し、最終的に特定された1つの検査の結果を入力するモードである。まず、図5を参照し、第一モードにおける検査結果の入力までの流れについて説明する。
【0049】
まず、ステップS10において、検査部22と検査員Bとが対話することで、最も上位の項目である「プロジェクト名」が選択される。ステップS10が終了すると、ステップS20へ移行する。
【0050】
ステップS20において、検査部22と検査員Bとが対話することで、「プロジェクト名」の1つ下位の項目である「工程名」が選択される。ステップS20が終了すると、ステップS30へ移行する。
【0051】
ステップS30において、検査部22と検査員Bとが対話することで、「工程名」の1つ下位の項目である「検査区分」が選択される。ステップS30が終了すると、ステップS40へ移行する。
【0052】
ステップS40において、検査部22と検査員Bとが対話することで、残りの「工程部位」及び「管理項目」が選択される。これにより、全ての項目が選択されて最終的に検査結果を入力すべき1つの検査が特定可能となるため、ステップS40においては、検査結果も入力する。なお、図5等においては、「工程部位」及び「管理項目」を総称して、「検査項目」と記載している。ステップS40が終了すると、第一モードによる検査結果の入力作業が完了する。
【0053】
以下では、図6から図8を参照し、第一モードにおける検査結果の入力までの流れ(ステップS10~S40)について具体的に説明する。
【0054】
まず、図6は、プロジェクト名が選択されるステップS10の流れを示すものである。図6に示すように、ステップS10が開始されると、まず、ステップS110が行われる。
【0055】
ステップS110においては、検査員Bにより、検査開始の旨が報知される。具体的には、検査員Bは、例えば、端末10のカメラ13に向けて所定の仕草(ジェスチャー)を行う。ステップS110が終了すると、ステップS120へ移行する。
【0056】
ステップS120において、検査部22(検査システム1)は、プラットフォーム21を介して検査員Bの仕草を認識し、管理検査データベース23から検査に関する情報(全ての項目の全ての検査情報、図3参照)を読み込む。ステップS120が終了すると、ステップS130へ移行する。
【0057】
なお、管理検査データベース23には、管理者A2による事前作業A20によって、プロジェクトや現場での検査に関する情報が、予め(検査前に)登録されている。これにより、管理検査データベース23には、「プロジェクト名」に所定の検査情報(例えば、『Aプロジェクト』等)が追加されることとなる。また、管理検査データベース23には、下位の項目の検査情報(例えば、『Aプロジェクト』に対する「工程名」の検査情報『コンクリート工事』等)も追加されることとなる。検査部22は、こうして追加された情報をステップS120で読み込むこととなる。
【0058】
ステップS130において、検査部22は、ステップS130で読み込んだ情報から、「プロジェクト名」の検査情報(例えば、『Aプロジェクト』等)を抽出して読み上げる。このとき、検査部22は、検査情報を読み上げる音声を端末10のスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば、『プロジェクトを選んで下さい。Aプロジェクト、Bプロジェクト・・・』との音声を出力させる。ステップS130が終了すると、ステップS140へ移行する。
【0059】
ステップS140において、検査員Bは、ステップS140で出力された音声に応じて、選択したい(検査結果を入力したい)「プロジェクト名」に関する検査情報(例えば、『Aプロジェクト』)を発話する。なお、検査部22は、検査員Bの発話を常に受け付けている(認識可能である)。このため、検査員Bは、検査部22が検査情報を読み上げている最中に発話することができる。これは、検査部22の音声出力を受けて検査員Bが発話する他のステップ(例えば、後述するステップS220等)でも同様である。
【0060】
また、検査員Bは、ステップS140において、所定の言葉を発話することで、検査部22が読み上げた検査情報をもう一度聞き直すことができる。具体的には、検査員Bは、もう一度聞き直すことを検査部22が認識可能な言葉(例えば、『もう一度』との言葉等)を発話する。本実施形態の検査部22は、当該発話内容に基づいて1つ前のステップ(ステップS130)へ戻り、検査情報をもう一度読み上げる。これは、検査部22の音声出力を受けて検査員Bが発話する他のステップ(例えば、後述するステップS220等)でも同様である。ステップS140が終了すると、ステップS150へ移行する。
【0061】
ステップS150において、検査部22は、ステップS140で検査員Bが発話した「プロジェクト名」の検査情報を復唱する。具体的には、まず、検査部22は、プラットフォーム21を介してステップS140での発話内容を取得することで、「プロジェクト名」に選択(入力)された検査情報(例えば、『Aプロジェクト』)を判断する。そして、検査部22は、判断した検査情報を復唱する音声をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば『Aプロジェクトですね?』との音声を出力させる。
【0062】
なお、検査部22は、認識した発話内容から以降のステップを実行不能である場合に、検査員Bに発話内容をもう一度問い合わせ、1つ前のステップ(検査員Bが発話するステップ)へ戻る。例えば、検査部22は、ステップS140での発話内容から「プロジェクト名」の検査情報を判断不能である(検査員Bが想定外の言葉を発話した)場合、もう一度検査員Bに発話を促す旨の音声(例えば、『すいません。もう一度お願いします。』等の音声)をスピーカ11から出力させ、ステップS140へ戻る。これは、検査員Bの発話を受けて検査部22が処理を行う他のステップ(例えば、後述するステップS230等)でも同様である。ステップS150が終了すると、検査員Bの発話の有無に応じて、適宜のステップへ移行する。
【0063】
具体的には、復唱された検査情報が違っている場合、検査員Bは、復唱された検査情報が違っていることを検査部22が認識可能な言葉を発話する。本実施形態の検査部22は、当該発話内容に基づいてステップS130へ戻り(図6に示す符号A参照)、「プロジェクト名」の検査情報をもう一度読み上げる。これにより、検査員Bは、検査情報を選択し直すことができる。例えば、検査員Bは、『戻る』と発話することで、検査情報が違っていることを検査部22に認識させて、検査情報を選択し直すことができる。
【0064】
一方、復唱された検査情報が正しい場合、検査員Bは特に発話を行わない。検査部22は、例えば、検査員Bの発話を所定時間認識しなかった場合に、プロジェクト名を選択するステップS10を終了させ、工程名を選択するステップS20へ移行する。
【0065】
図7(a)は、工程名が選択されるステップS20の流れを示すものである。図7(a)に示すように、工程名が選択されるステップS20においては、上述したステップS130~S150と同じようなステップS210~S230により、「工程名」が選択される。
【0066】
具体的には、ステップS210において、検査部22は、「工程名」の検査情報を読み上げる。このとき、検査部22は、ステップS120で読み込んだ情報から、「工程名」の検査情報を抽出する。この際、検査部22は、「工程名」の検査情報のうち、プロジェクト名の選択(ステップS10)で選択された検査情報に関連付けられた検査情報を抽出する。これにより、検査部22は、「工程名」に登録された複数の検査情報の中から、ステップS10で選択されたプロジェクトで実施される(検査員Bが選択する)可能性がある検査情報を抽出することができる。また、検査部22は、抽出した検査情報をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば、図3に示す「プロジェクト名」の検査情報に『Aプロジェクト』が選択された場合、『工程を選んで下さい。コンクリート工事、鉄筋工事・・・』との音声を出力させる。
【0067】
そして、図7(a)に示すように、ステップS220において、検査員Bは、選択したい(検査結果を入力したい)「工程名」に関する検査情報(例えば、『コンクリート工事』)を発話する。その後、ステップS230において、検査部22は、発話内容に基づいて「工程名」に選択された検査情報(例えば、『コンクリート工事』)を判断し、当該検査情報をスピーカ11から出力させる。
【0068】
選択された検査情報が違っている場合、検査員Bは、所定の言葉(『戻る』等の言葉)を発話して検査部22に検査情報が違っていることを認識させる。この場合、検査部22は、ステップS210へ戻る(図7(a)に示す符号B参照)。一方、選択された検査情報が正しい場合、検査員Bは特に発話を行わない。この場合、検査部22は、工程名を選択するステップS20を終了させ、検査区分を選択するステップS30へ移行する。
【0069】
図7(b)は、検査区分を選択するステップS30の流れを示すものである。図7(b)に示すように、検査区分を選択するステップS30においては、プロジェクト名を選択するステップS130~S150と同じようなステップS310~S330により、「検査区分」が選択される。なお、ステップS310において、検査部22は、「検査区分」(ステップS30で選択する項目)よりも上位の項目(「プロジェクト名」及び「工程名」)の検査情報をキーに管理検査データベース23を検索する。これにより、検査部22は、「検査区分」に登録された複数の検査情報の中から、検査員Bが選択する可能性がある検査情報を抽出する。また、ステップS320においては、こうして抽出した検査情報を読み上げる。「検査区分」の選択が完了すると、検査項目(工程部位及び管理項目)の選択等を行うステップS40へ移行する。
【0070】
図8は、検査項目の選択等を行うステップS40の流れを示すものである。図8に示すように、ステップS40が開始されると、まず、ステップS410が行われる。
【0071】
ステップS410において、検査部22は、「工程部位」及び「管理項目」の検査情報を抽出する。このとき、検査部22は、抽出対象となる「工程部位」等の項目よりも上位の項目の検査情報をキーに管理検査データベース23を検索する。これにより、検査部22は、選択されたプロジェクトの工程の検査区分で対象となる(検査員Bが選択する可能性がある)「工程部位」及び「管理項目」の検査情報を抽出する。
【0072】
例えば、検査部22は、図3に示す「プロジェクト名」に『Aプロジェクト』が、「工程名」に『コンクリート工事』が、「検査区分」に『基礎』が選択された場合に、当該『Aプロジェクト』等をキーに管理検査データベース23を検索する。これにより、「工程部位」及び「管理項目」として、『Aプロジェクト』の『コンクリート工事』の『基礎』に対する『コンクリート検査』の『スランプ値』と、『コンクリート検査』の『空気量』と、を抽出する。ステップS410が終了すると、ステップS420へ移行する。
【0073】
ステップS420において、検査部22は、スピーカ11から音声を出力させることで、ステップS410で抽出した「工程部位」及び「管理項目」の検査情報を読み上げる。ステップS420が終了すると、ステップS430へ移行する。
【0074】
ステップS430において、検査員Bは、ステップS420で出力された音声に応じて、選択したい(検査結果を入力したい)「工程部位」及び「管理項目」に関する検査情報(例えば、『コンクリート検査のスランプ値』)を発話する。ステップS430が終了すると、ステップS440へ移行する。
【0075】
ステップS440において、検査部22は、ステップS430での発話内容に基づいて「工程部位」及び「管理項目」に選択された検査情報を判断し、当該検査情報を復唱する(スピーカ11から出力させる)。その後、検査部22は、検査結果を問い合わせる音声(例えば、『値を言って下さい。』等の音声)をスピーカ11から出力させる。
【0076】
ステップS450において、出力された検査情報が違っている場合、検査員Bは、所定の言葉を発話して検査部22に検査情報が違っていることを認識させる。この場合、検査部22は、ステップS420へ戻り(図8に示す符号D参照)、検査情報をもう一度読み上げる。
【0077】
一方、ステップS450において、出力された検査情報が正しい場合、検査員Bは、検査結果を発話(回答)する。検査部22は、発話内容を認識して検査結果を取得し、当該検査結果が値であった場合に、ステップS460へ移行する。一方、検査部22は、検査結果が合否判定の結果であった場合に、ステップS470へ移行する。
【0078】
ステップS460において、検査部22は、ステップS450で発話された検査結果と「管理値」(図4参照)とを対比することで、検査の合否を判定する。その後、検査部22は、検査結果を復唱する音声と、合否判定の結果を報知する音声と、をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば、『15センチですね?合格です。』との音声を出力させる。なお、検査員Bは、復唱された検査結果がステップS450で発話した検査結果と違っていた場合に、所定の言葉(例えば、『戻る』との言葉)を発話して検査部22に検査結果が違っていることを認識させる。これにより、ステップS440へ戻ることができる。ステップS460が終了すると、ステップS480へ移行する。
【0079】
ステップS470において、検査部22は、検査員Bが発話した合否判定の結果を復唱する音声をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば、『OKですね?』との音声を出力させる。検査員Bは、復唱された合否判定の結果がステップS450で発話した検査結果と違っていた場合に、所定の言葉を発話して検査部22に検査結果が違っていることを認識させる。これにより、ステップS440へ戻ることができる。ステップS470が終了すると、ステップS480へ移行する。
【0080】
ステップS480において、検査部22は、検査結果を管理検査データベース23に登録する。検査部22は、検査結果が複数の検査の中のどの検査に該当するのかを判断可能となるように、検査結果をステップS10等で選択された検査情報と関連付けて登録する。また、検査部22は、時計機能等を用いて取得した日時(「検査日時」)も、検査情報と関連付けて登録する。また、検査部22は、ステップS460で合否判定を行った場合、当該合否判定の結果も関連付けて登録する。これにより、検査部22は、図4に示す確認画面25の「判定結果」及び「検査日時」にデータを反映させることができる。ステップS480が終了すると、ステップS490へ移行する。
【0081】
ステップS490において、検査部22は、写真を登録するか否かを問い合わせる音声(例えば、『写真を登録する場合は写真を撮って下さい。』との音声)を、スピーカ11から出力させる。ステップS490が終了すると、ステップS500へ移行する。
【0082】
ステップS500において、検査員Bは、ステップS490で出力された音声に応じて適宜写真を撮影する。このとき、検査員Bは、カメラ13に向けて所定の仕草を行う。プラットフォーム21は、当該仕草を認識すると、カメラ13のシャッターを切って写真を撮影する。端末10は、こうして撮影した写真の画像データ(例えば、図4に示す画像データC1・C2)をサーバ20へ転送する。なお、検査員Bは、写真撮影を行わない場合、所定の言葉を発して写真撮影を行わないことを検査部22に認識させる。具体的には、例えば、『スキップ』と発話する。これにより、検査員Bは、写真撮影を行うことなくステップS500を終了することができる。ステップS500が終了すると、ステップS510へ移行する。
【0083】
ステップS510において、検査部22は、ステップS510で撮影された画像データを検査写真ファイルサーバ24に保存する。これにより、確認画面25の「写真」に画像データを反映させることができる。ステップS510が終了すると、ステップS520へ移行する。
【0084】
ステップS520において、検査部22は、コメントを残すか否かを問い合わせる音声(例えば、『検査内容について所見を述べて下さい。』との音声)を、スピーカ11から出力させる。ステップS520が終了すると、ステップS530へ移行する。
【0085】
ステップS530において、検査員Bは、ステップS520で出力された音声に応じて適宜コメントを発話する。ステップS530が終了すると、ステップS540へ移行する。
【0086】
ステップS540において、検査員Bは、カメラ13に向けて所定の仕草を行うことで、コメントの発話を終了する。ステップS540が終了すると、ステップS550へ移行する。
【0087】
ステップS550において、検査部22は、プラットフォーム21を介して検査員Bの仕草を認識し、コメントの発話が終了したと判断する。このように、検査部22は、検査員Bの発話内容ではなく、仕草によってコメントの終了を認識するようにしている。これによれば、検査部22は、コメントの発話が終了したことを容易に判断することができる。検査部22は、コメントの発話が終了したことを判断すると、ステップS530でのコメントを管理検査データベース23に登録する。このとき、検査部22は、コメントが複数の検査の中のどの検査に該当するのかを判断可能となるように、コメントをステップS10等で選択された検査情報と関連付けて登録する。これにより、確認画面25の「コメント」にデータを反映させることができる。ステップS550が終了すると、ステップS410へ移行する。
【0088】
なお、検査員Bは、コメントを残さない場合、ステップS530で所定の言葉を発してコメントを残さないことを検査部22に認識させる。具体的には、例えば、『スキップ』と発話する。これにより、ステップS540・S550をスキップし、コメントを残すことなくステップS410へ移行することができる。
【0089】
なお、第一モードにおいて、検査部22は、常に検査員Bの仕草を認識可能となっている。また、検査部22は、認識した仕草から、検査員Bが検査を終了させることを報知していると判断可能である。このため、検査員Bは、端末10のカメラ13に向けて所定の仕草(第一モードを終了させることを検査部22が認識可能な仕草)をすることで、第一モードによる検査結果の入力をいつでも終了させることができる。
【0090】
このような第一モードによる検査結果の入力において検査員Bは、検査内容(結果を入力すべき検査)を特定するために全ての項目(「プロジェクト名」等)の検査情報を発話する必要がある(ステップS140・S220・S320・S430)。
【0091】
次に、図9及び図10を参照して、第二モードにおける検査の流れについて説明する。また、検査の流れの説明の中で、検査部22の処理についても説明する。
【0092】
第二モードは、検査の選択において、検査員Bによる検査情報の発話を一部省略するためのモードである。第二モードにおいては、検査員Bが発話したある1つの項目の検査情報に関する言葉から、複数の項目の検査情報を検査部22が自動的に選択することで、検査員Bによる検査情報の発話を省略することができる。以下、具体的に説明する。
【0093】
まず、図9に示すステップS600において、検査部22は、検査員Bの発話を受け付ける。そして、検査部22は、当該発話内容に基づいて、可能であれば複数の項目の検査情報を選択する。図10は、当該ステップS600の流れを示すものである。図10に示すように、ステップS600が開始されると、まず、ステップS610が行われる。
【0094】
ステップS610においては、第一モードのステップS110(図6参照)と同様に、検査員Bによって検査開始の旨が報知される。そして、ステップS620へ移行して、検査部22は、ステップS120と同様に、管理検査データベース23からデータを読み込む。そして、ステップS630へ移行して、検査部22は、発話を受け付ける旨の音声(例えば、『検査の情報を教えて下さい。』との音声)をスピーカ11から出力させる。その後、ステップS640へ移行する。
【0095】
ステップS640において、検査員Bは、検査結果を入力したい検査に関する言葉を発話する。この際、検査員Bは、最上位の「プロジェクト名」の検査情報に限らず、下位の項目の検査情報に関する言葉を発話することがある。また、検査員Bは、1つの項目の検査情報に限らず、複数の項目の検査情報に関する言葉を発話することがある。ステップS640が終了すると、ステップS650へ移行する。
【0096】
ステップS650において、検査部22は、ステップS640での発話内容からキーワードを抽出する。具体的には、検査部22は、まず、プラットフォーム21を介して発話内容を取得して解析することで、発話内容の中から検査に関する文字列(用語)を抽出する。そして、検査部22は、ステップS620で読み込んだデータと抽出した文字列とを比較して、抽出した文字列が複数の項目に登録された検査情報(例えば、図3に示す『Aプロジェクト』等)と一致するかを確認する。
【0097】
検査部22は、抽出した文字列が検査情報と一致した場合に、当該文字列をキーワードとして抽出する。以下では、このような検査情報と一致する文字列を「第一キーワード」と称する。
【0098】
また、検査部22は、抽出した文字列が検査情報と一致しない場合に、抽出した文字列が検査情報と関連する文字列であるか否かを確認する。検査情報と関連する文字列は、検査情報と一致しなくても、当該検査情報を示すものとして判断可能な文字列である。具体的には、例えば、検査情報の略語及び俗語、並びに検査情報に割り当てられた数字等である。例えば、『コンクリート検査』は、『生コン検査』と略して発話されることがある。このような『生コン検査』との文字列は、「工程部位」の『コンクリート検査』であると判断可能である。また、検査においては、検査情報に応じて適宜通し番号が付されることがある。例えば、『スランプ値』の検査情報に対して『1』等の番号が付されることがある。この場合、『1』との文字列は、「管理項目」の『スランプ値』であると判断可能である。以下では、このような検査情報と関連する文字列を「第二キーワード」と称する。
【0099】
本実施形態の管理検査データベース23には、第二キーワード(例えば、『生コン検査』)と、当該第二キーワードにより判断可能な検査情報(例えば、『コンクリート検査』)と、が関連付けて登録されている。ステップS650において、検査部22は、抽出した文字列が検査情報と一致しない場合に、当該文字列をキーとして管理検査データベース23を検索することで、抽出した文字列が第二キーワードであるかを判断する。そして、検査部22は、抽出した文字列が第二キーワードであった場合に、当該文字列を第二キーワードとして抽出する。
【0100】
ステップS650において、検査部22は、発話内容からキーワード(第一キーワード又は第二キーワード)を抽出できた場合に、ステップS650を終了する。ステップS650が終了すると、ステップS660へ移行する。
【0101】
一方、ステップS650において、検査部22は、発話内容からキーワードを抽出できなかった場合に、検査員Bにもう一度発話を促す音声(例えば、「もう一度言って下さい。」等の音声)をスピーカ11から出力させる。この場合、ステップS640へ移行して、検査員Bが検査に関する言葉を発話することとなる。
【0102】
ステップS660において、検査部22は、抽出したキーワードを、複数の項目の中から適切な(選択すべき)1つの項目に当てはめる。検査部22は、抽出したーキーワードが第一キーワードであるのか第二キーワードであるのかに応じて、適宜項目への当てはめを行う。
【0103】
より詳細には、検査部22は、抽出したキーワードが第一キーワードである場合、当該第一キーワードをそのまま1つの項目に当てはめる。このとき、検査部22は、まず、第一キーワードに基づいて、複数の項目の中から第一キーワードと同一文字列の検査情報が登録された1つの項目を特定する。そして、検査部22は、特定した項目の検査情報に第一キーワードが選択(入力)されたと判断する。例えば、第一キーワードとして『Aプロジェクト』を抽出した場合、検査部22は、当該『Aプロジェクト』をキーに管理検査データベース23を検索することで、『Aプロジェクト』が登録された項目「プロジェクト名」を特定する。そして、検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報に『Aプロジェクト』が選択されたと判断する。
【0104】
また、検査部22は、抽出したキーワードが第二キーワード(『1』等)である場合、当該第二キーワードをそのまま1つの項目に当てはめるのではなく、第二キーワードが示す検査情報を当てはめる。このとき、検査部22は、第二キーワードをキーに管理検査データベース23を検索し、当該第二キーワードが示す検査情報(『スランプ値』等)、すなわち第一キーワードを特定する。そして、検査部22は、特定した第一キーワードから選択すべき1つの項目を特定し、当該項目に第一キーワードを当てはめる。
【0105】
なお、検査部22は、ステップS650において複数のキーワードが抽出された場合に、上述した項目の当てはめを複数のキーワードのそれぞれにおいて行う。ステップS660が終了すると、ステップS670へ移行する。なお、以下では、ステップS660において当てはめが行われた項目を「第一項目」と称する。
【0106】
ステップS670において、検査部22は、ステップS660で当てはめた第一項目以外の項目(検査情報が不足する項目)の検査情報を推定する。このとき、検査部22は、例えば、ステップS660で当てはめた下位の項目の検査情報に基づいて、上位の項目の検査情報を推定する。
【0107】
具体的には、下位の項目の中には、上位の項目の検査情報を推定できる検査情報が含まれる。当該検査情報は、1つ上位の項目の検査情報を一意に特定可能な検査情報である。例えば、図3に示す「管理項目」を例に挙げると、下位の「管理項目」の検査情報が『スランプ値』及び『空気量』である場合、2つ以上上位の項目(「検査区分」等)の検査情報が何であったとしても、1つ上位の「工程部位」の検査情報は必ず『コンクリート検査』となる。そこで、検査部22は、このような上位と下位の関係を利用して、ステップS660である項目に当てはめを行った場合に、当該項目よりも上位の項目の検査情報を推定する。
【0108】
例えば、ステップS660で「管理項目」に『空気量』を当てはめた場合、検査部22は、『空気量』をキーに管理検査データベース23を検索する。その結果、「工程部位」の検査情報として『コンクリート検査』のみが抽出されるため(図3参照)、検査部22は、上位の「工程部位」の検査情報が『コンクリート検査』であると判断する。これにより、検査部22は、検査員Bが発話していない項目の検査情報を、当該検査員Bの発話内容から間接的に選択することができる。なお、以下では、このような検査部22により間接的に選択された項目を「第二項目」と称する。
【0109】
なお、ステップS660で当てはめた検査情報によっては、上位の項目の検査情報を推定できないことも想定される。例えば、ステップS660で「工程部位」に『コンクリート検査』を当てはめただけでは、上位の「検査区分」の検査情報が『基礎』であるのか『1階床』であるのか推定できない(図3参照)。そこで、検査部22は、ステップS670において検査情報を推定不能な項目については、ステップS670で検査情報の判断は行わない。ステップS670が終了すると、検査員Bの発話の受付等を行うステップS600が終了し、図9に示すステップS710へ移行する。
【0110】
検査部22は、ステップS710~S800により、ステップS600で検査情報が選択されていない項目について、検査員Bに問い合わせる。以下では、このような検査情報が選択されていない項目を「第三項目」と称する。以下、第三項目の問い合わせについて具体的に説明する。
【0111】
ステップS710において、検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報が選択されているか否かを確認する。検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報が選択されていない場合に、ステップS720へ移行する。一方、検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報が選択されている場合に、ステップS730へ移行する。
【0112】
ステップS720において、検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報について検査員Bに問い合わせる。このとき、検査部22は、第一モードのステップS210~S220(工程名を選択する処理、図7参照)と同じようにして、検査情報を問い合わせる。すなわち、検査部22は、「プロジェクト名」の検査情報を読み上げる。検査員Bは、当該読み上げに応じて選択したい検査情報を発話する。検査部22は、当該発話内容を認識して復唱する。そして、検査部22は、検査員Bが検査情報が違っている旨の発話をしない場合に、「プロジェクト名」の検査情報の選択を完了する。ステップS720が終了すると、ステップS730へ移行する。
【0113】
ステップS730において、検査部22は、「工程名」の検査情報が選択されているか否かを確認する。検査部22は、「工程名」の検査情報が選択されていない場合に、ステップS740へ移行する。一方、検査部22は、「工程名」の検査情報が選択されている場合に、ステップS750へ移行する。
【0114】
ステップS740において、検査部22は、ステップS720と同じようにして「工程名」の検査情報について検査員Bに問い合わせる。これにより、「工程名」の検査情報が選択される。ステップS740が終了すると、ステップS750へ移行する。
【0115】
ステップS750において、検査部22は、「検査区分」の検査情報が選択されているか否かを確認する。検査部22は、「検査区分」の検査情報が選択されていない場合に、ステップS760へ移行し、ステップS720と同じようにして「検査区分」の検査情報について検査員Bに問い合わせる。これにより、「検査区分」の検査情報が選択される。一方、検査部22は、「検査区分」の検査情報が選択されている場合に、ステップS760をスキップし、ステップS770へ移行する。
【0116】
ステップS770において、検査部22は、「工程部位」の検査情報が選択されているか否かを確認する。検査部22は、「工程部位」の検査情報が選択されていない場合に、ステップS780へ移行し、ステップS720と同じようにして「工程部位」の検査情報について検査員Bに問い合わせる。これにより、「工程部位」の検査情報が選択される。一方、検査部22は、「工程部位」の検査情報が選択されている場合に、ステップS780をスキップし、ステップS790へ移行する。
【0117】
ステップS790において、検査部22は、「管理項目」の検査情報が選択されているか否かを確認する。検査部22は、「管理項目」の検査情報が選択されていない場合に、ステップS800へ移行し、ステップS720と同じようにして「管理項目」の検査情報について検査員Bに問い合わせる。これにより、「管理項目」の検査情報が選択される。一方、検査部22は、「管理項目」の検査情報が選択されている場合に、ステップS800をスキップし、ステップS810へ移行する。
【0118】
検査部22は、このようなステップS710~S800により、第三項目の検査情報を選択することができる。これにより、全ての項目の検査情報が選択されて複数の検査の中から、1つの検査を特定可能となる。
【0119】
ステップS810において、検査部22は、検査結果を入力する。このとき、検査部22は、第一モードの検査結果の入力と同じようにして(図8に示すステップS440~S550までを行うことで)、検査結果を入力する。ステップS810が終了すると、第二モードによる検査が終了する。
【0120】
なお、第二モードにおいて、検査部22は、常に検査員Bの仕草を認識可能となっている。また、検査部22は、認識した仕草から、検査員Bが検査を終了させることを報知していると判断可能である。このため、検査員Bは、端末10のカメラ13に向けて所定の仕草(第二モードを終了させることを検査部22が認識可能な仕草)をすることで、第二モードによる検査結果の入力をいつでも終了させることができる。
【0121】
以下では、図11及び図12を参照し、第二モードによる対話の具体例を説明する。
【0122】
まず、検査部22は、検査員Bの発話を受け付ける(ステップS600)。このとき、検査部22は、検査員Bの検査開始の仕草を受けてデータを読み込み、適宜音声を出力する(ステップS610~S630)。そして、検査員Bは、検査に関する言葉を発話する(ステップS640)。具体的には、検査員Bは、例えば、『Aプロジェクトのコンクリート工事のスランプ値の検査を実施』と発声する。検査部22は、当該発声に基づいてキーワードを抽出する(ステップS650)。具体的には、検査部22は、『Aプロジェクト』、『コンクリート工事』及び『スランプ値』という3つの第一キーワードを抽出する。
【0123】
検査部22は、抽出した第一キーワードを「プロジェクト名」等の項目に当てはめる(ステップS660)。具体的には、検査部22は、「プロジェクト名」に『Aプロジェクト』を、「工程名」に『コンクリート工事』を、「管理項目」に『スランプ値』を当てはめる。この場合、「プロジェクト名」、「工程名」及び「管理項目」が検査員Bの発話から直接選択された第一項目となる。
【0124】
検査部22は、当てはめた「プロジェクト名」以外の項目の検査情報を推定する(ステップS670)。上述の如く、「管理項目」の検査情報が『スランプ値』である場合、上位の「工程部位」の検査情報は必ず『コンクリート検査』となる(図3参照)。よって、検査部22は、『スランプ値』をキーに管理検査データベース23を検索すると、上位の「工程部位」の検査情報として『コンクリート検査』のみを抽出することとなる。検査部22は、当該抽出結果に基づいて、「工程部位」に『コンクリート工事』が選択されたと判断する。一方、「検査区分」の検査情報は推定不能であるため、検査部22は、「検査区分」の検査情報についての判断は行わない。この場合、「工程部位」が検査員Bの発話から間接的に選択された第二項目となる。また、「検査区分」が検査員Bの発話から選択不能な第三項目となる。
【0125】
検査部22は、このような第三項目(「検査区分」)の検査情報について検査員Bに質問する(ステップS710~S800)。すなわち、検査部22は、「プロジェクト名」及び「工程名」の問い合わせ(ステップS720・S740)を省略し、検査区分の問い合わせを行う(ステップS710:No、ステップS730:No、ステップS750:Yes、ステップS760)。このとき、検査部22は、例えば、『検査区分を選んで下さい。基礎、1階床・・・』との音声をスピーカ11から出力させる。検査員Bは、当該音声に応答する形で「検査区分」について発話する(例えば、『1階床』と発話する)。検査部22は、当該発話内容(『1階床』)から、「検査区分」に『1階床』が選択されたと判断する。
【0126】
これにより、全ての項目の選択が完了するため(ステップS750:No、ステップS770:No、ステップS790:No)、検査部22は、検査員Bが検査結果を入力する検査が、『Aプロジェクトのコンクリート工事の1階床のコンクリート検査のスランプ値』の検査であることを特定可能となる。当該検査部22は、検査結果を入力する(ステップS810)。このとき、検査部22は、確認のため、特定した検査を復唱する音声をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば『コンクリート工事のスランプ値ですね?』との音声を出力させる。
【0127】
なお、検査部22は、検査員Bが当該音声に応答する形で検査が異なる旨の発話(例えば、『戻る』との発話)をした場合に、検査区分を問い合わせる処理(1つ前のステップS760)へ戻り、もう一度検査区分を問い合わせる。これにより、特定した検査が正しいか否かを確認することができる。また、特定した検査が正しくない(検査員Bが意図しない検査であった)場合に、検査情報を選択し直すことができる。
【0128】
一方、検査部22は、特定した検査を復唱する音声(『コンクリート工事のスランプ値ですね?』との音声)に対して検査員Bが発話しない場合に、検査結果を問い合わせる音声をスピーカ11から出力させる。具体的には、例えば『値を言って下さい。』との音声を出力させる。検査員Bは、当該音声を受けて検査結果(『X2』)を発話する。検査部22は、当該発話内容から、検査結果が『X2』であると判断する。検査部22は、検査結果に対して合否判定を行って、検査結果等と関連付けて管理検査データベース23へ登録する。その後、検査部22は、写真登録の問い合わせやコメントの入力の問い合わせを行い、画像データC1・C2やコメントを適宜登録する。こうして、検査結果の入力が完了する。
【0129】
第二モードによれば、「管理項目」に関するキーワード(『スランプ値』)を発話することで、「工程部位」の検査情報の発話を省略することができる(ステップS670)。これによれば、1つのキーワードで複数の項目の選択(入力)を行うことができるため、選択の手間を省くことができる。また、全ての項目の検査情報を発話する必要がある第一モードと比較して、検査情報を発話する回数を減らすことができる。
【0130】
また、第二モードによれば、1回の発話(『Aプロジェクトのコンクリート工事のスランプ値』との発話)により、複数の項目(「プロジェクト名」、「工程名」及び「管理項目」)をまとめて選択することができる(ステップS650・S660)。これにより、第一モードと比較して、検査部22と検査員Bとの対話回数を減らすことができる。
【0131】
なお、第二モードにおいては、発話内容から全ての項目に関するキーワードを抽出できた場合に(ステップS650・S660)、不足項目の推定(ステップS670)及び検査員Bへの質問(ステップS710~S800)を省略し、検査結果を入力する(ステップS810)。
【0132】
具体的には、例えば、図12(a)に示すように、検査員Bが『Aプロジェクトのコンクリート工事の1階床のコンクリート検査のスランプ値』と発話した場合、検査部22は、当該発話内容から『Aプロジェクト』、『コンクリート工事』、『1階床』、『コンクリート検査』及び『スランプ値』という5つのキーワードを抽出する(ステップS650)。
【0133】
検査部22は、抽出したキーワードを「プロジェクト名」等の項目に当てはめる(ステップS660)。これにより、全ての項目が選択されることとなるため、検査部22は、検査結果を問い合わせる音声(『値を言って下さい。』との音声)等をスピーカ11から出力させる。このような構成によれば、検査員Bが1回発話するだけで検査結果の入力(ステップS810)へと進むことができる。
【0134】
また、第二モードによれば、キーワードから適切な項目を特定するため(ステップS660)、項目の順位の通りに検査情報を発話しなくても、検査情報を適切に選択することができる。例えば、検査員Bが『Aプロジェクトの1階床のコンクリート工事のコンクリート検査のスランプ値』と発話した場合、すなわち、上位の「工程名」の検査情報『コンクリート工事』と下位の「検査区分」の検査情報『1階床』との順番を入れ替えて発話した場合でも、「工程名」に『コンクリート工事』を、「検査区分」に『1階床』を選択することができる。
【0135】
また、検査部22は、発話内容から全ての項目に関するキーワードを抽出できなかった場合であっても、不足項目の推定(ステップS670)によって検査を特定できれば、検査員Bへの質問(ステップS710~S800)を省略し、検査結果を入力する(ステップS810)。
【0136】
具体的には、例えば、図12(b)に示すように、検査員Bが『Aプロジェクトのコンクリート工事の1階床のスランプ値』と発話した場合、すなわち『コンクリート検査』の発話を省略した場合、検査部22は、『スランプ値』から省略された『コンクリート検査』を選択する(ステップS670)。これにより、全ての項目が選択されることとなるため、検査部22は、検査結果の入力を促す音声等をスピーカ11から出力させる。このような構成によれば、一部の項目に関する発話を省略しながらも、検査員Bが1回発話するだけで検査結果の入力(ステップS810)へと進むことができる。
【0137】
以上の如く、本実施形態に係る検査システム1は、検査に関する複数の項目に検査情報が入力されることで当該検査が特定される検査システム1であって、検査員Bの発話の入力を受け、発話内容を認識するプラットフォーム21(音声認識部)と、前記プラットフォーム21で認識した発話内容に基づいて、前記複数の項目に検査情報を入力する検査部22(入力部)と、を具備し、前記検査部22は、前記複数の項目の中の一部の項目である第一項目に入力する検査情報を示すキーワードが、前記発話内容に含まれていた場合に、前記キーワードに基づいて前記第一項目に検査情報を入力する(ステップS660)と共に、前記第一項目に入力された検査情報に基づいて、前記複数の項目のうち前記第一項目以外の第二項目にも検査情報を入力可能に構成される(ステップS670)ものである。
【0138】
このように構成することにより、1つのキーワードを発話することで2つ以上の項目に検査情報を入力可能となるため、入力の手間を省いて検査員Bの負担を低減することができる。
【0139】
また、前記キーワードには、前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致する第一キーワードと、前記第一項目に入力する検査情報と文字列が一致しないもののうち、当該検査情報と関連付けられた第二キーワードと、が含まれるものである。
【0140】
このように構成することにより、検査情報と全く同じ言葉(第一キーワード)を発話するだけではなく、検査情報と関連付けられた言葉(第二キーワード)を発話することでも、検査情報を入力することができる。具体的には、例えば、検査員Bが『生コン検査』と発話した場合、当該発話内容から「工程名」の項目に『コンクリート検査』を入力することができる。これにより、検査情報を入力し易くすることができる。
【0141】
また、前記第二キーワードには、検査情報に割り当てられた数字が含まれるものである。
【0142】
このように構成することにより、数字を発話することで速やかに検査情報の入力を済ませることができる。具体的には、例えば、検査員Bが『1』と発話すれば、「管理項目」の項目に『スランプ値』を入力することができる。
【0143】
また、前記第一項目は、前記第二項目の下位に属する項目である。
【0144】
このように構成することにより、下位の項目の検査情報に関するキーワードを発話することで、上位の項目の検査情報を入力可能となるため、上位の項目の検査情報を入力する手間を省くことができる。
【0145】
また、前記発話内容から検査情報を入力不能な第三項目がある場合に、当該第三項目に入力する検査情報を問い合わせる検査部22及びスピーカ11(問合せ部)をさらに具備するものである。
【0146】
このように構成することにより、検査を特定するのに必要な情報(第三項目の検査情報)を検査員Bに問い合わせることができる。これにより、効率的に検査情報を入力することができる。
【0147】
なお、本実施形態に係るプラットフォーム21は、本発明に係る音声認識部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る検査部22は、本発明に係る入力部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る検査部22及びスピーカ11は、本発明に係る問合せ部の実施の一形態である。
【0148】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0149】
例えば、検査システム1は、建物の建築過程における検査に用いられるものとしたが、これに限定されるものではなく、建物の建築後に行われる検査(定期点検等)に用いられるものであってもよい。また、検査システム1は、建物を検査対象とするのではなく、建物以外の物(外構等)を検査対象としてもよい。
【0150】
また、第二モードにおいて検査部22は、全ての項目の検査情報が選択されていない状態でキーワードを受け付けるものとしたが(ステップS600)、これに限定されるものではなく、一部の項目(例えば、最上位の項目「プロジェクト名」等)が選択された後で、キーワードを受け付けるものであってもよい。
【0151】
また、本実施形態において、検査システム1は、第一モード及び第二モードを具備するものとしたが、これに限定されるものではなく、第一モード及び第二モードを包括する1つのモードを具備するものであってもよい。
【0152】
このようなモードとしては、例えば、上位の項目から検査情報を選択する第一モードをベースとし、キーワードの発話を受けて下位の項目も選択するようなモード等が考えられる。当該モードにおいて、検査部22は、上位の項目から順に検査情報について問い合わせる。また、検査部22は、問い合わせに対する検査員Bの発話内容から問い合わせた項目の検査情報のみを選択するのではなく、発話内容から他の項目に関するキーワードも抽出する。そして、検査部22は、当該キーワードに基づいて他の項目の検査情報を選択する。これにより、上位の項目から検査情報を選択する中で、複数の項目の検査情報を選択可能となり、選択の負担を低減することができる。
【0153】
また、検査部22は、不足項目の推定(ステップS670)において、ステップS660で当てはめを行った項目よりも1つ上位の項目の検査情報を推定するものとしたが、これに限定されるものではなく、2つ以上上位の項目の検査情報を推定してもよい。
【0154】
また、検査部22は、不足項目の推定(ステップS670)において、下位の項目の検査情報に基づいて上位の項目の検査情報を推定するものとしたが、これに限定されるものではなく、上位の項目の検査情報から下位の項目の検査情報を推定してもよい。
【0155】
また、検査部22は、不足項目の推定(ステップS670)において、ステップS660で当てはめを行った1つの項目の検査情報から、他の1つの項目の検査情報を推定したが、これに限定されるものではなく、当てはめを行った複数の項目の検査情報から、他の1つの項目の検査情報を推定してもよい。
【0156】
また、検査部22は、不足項目の推定(ステップS670)を再帰的に行うことで、1つの項目に当てはめた検査情報から2つ以上の項目の検査情報を推定してもよい。具体的には、検査部22は、不足項目の推定(ステップS670)において検査情報を選択できた場合に、当該検査情報を用いてさらに上位の項目の検査情報の推定を試みるという処理を繰り返し行う。このような処理によれば、1つの項目の当てはめにより複数の項目の検査情報を推定可能となって、検査情報の入力をより多く省略することができる。
【0157】
また、本実施形態では、検査員Bへの検査情報の問い合わせ(ステップS710~S800)において、スピーカ11から音声を出力させるものとしたが、検査員Bへ問い合わせる手法はこれに限定されるものではなく、例えば、所定の表示部にメッセージを表示させるもの等であってもよい。
【0158】
また、検査部22は、検査員Bへの検査情報の問い合わせ(ステップS710~S800)を行った後、かつ検査結果の入力(ステップS810)の前に、選択された全ての項目の検査情報を復唱してもよい。具体的には、検査部22は、『Aプロジェクトのコンクリート工事の基礎のコンクリート検査のスランプ値ですね。』との音声をスピーカ11から出力してもよい。
【0159】
ここで、検査員Bが検査結果を入力する検査は、未実施の検査又は不合格となった検査であることが想定される。そこで、検査部22は、検査員Bへの検査情報の問い合わせ(ステップS710~S800)において、未実施の検査等の検査情報(入力される可能性がある検査情報)のみについて問い合わせてもよい。例えば、スランプ値の「検査区分」を問い合わせる場合に、『基礎』のスランプ値が合格済み、『1階床』が未実施、『2階床』が不合格であった場合、『検査区分は1階床と2階床のどちらですか?』との音声を出力させてもよい。
【0160】
以上の如く、前記検査部22及びスピーカ11は、前記第三項目に入力される可能性がある検査情報のみを問い合わせ可能であり、前記入力される可能性がある検査情報には、未実施の検査に関する検査情報及び/又は実施結果が不合格と判定された検査に関する検査情報が含まれるものである。
【0161】
このように構成することにより、検査員Bが入力すると考えられる検査情報(合否判定が行われていない検査又は不合格と判定された検査に関する検査情報)について、検査員Bに問い合わせることができる。これによって、検査員Bが問い合わせに対して応対し易くすることができる。
【0162】
なお、検査員Bが入力すると考えられる検査情報には、未実施の検査及び不合格となった検査以外の検査情報が含まれていてもよい。また、検査部22は、第二モードだけではなく、第一モードでも検査員Bが入力すると考えられる検査情報のみを問い合わせることができる。この場合、例えば、検査部22は、第一モードにおいて「工程部位」及び「管理項目」の検査情報を読み上げる場合に(ステップS420)、検査員Bが入力すると考えられる検査情報のみを読み上げることができる。
【0163】
また、本実施形態では、確認画面25の一例として、図4に示す確認画面25を挙げたが、確認画面25の構成(レイアウト等)は、これに限定されるものではなく、任意の構成とすることができる。
【0164】
また、本実施形態において、端末10は、眼鏡型のウェアラブルデバイスであったが、眼鏡型に限定されるものではなく、他の形式(例えば、ヘッドセット型や腕時計型等)のものであってもよい。また、端末10は、必ずしもウェアラブルデバイスに限定されるものではなく、他の機器(例えば、タブレット端末等)であってもよい。
【0165】
また、サーバ20は、必ずしもHDD等のハードウェアを専有するオンプレミス環境に構築される必要はなく、例えば、ハードウェアを他の仮想サーバと共用するクラウド環境に構築されるものであってもよい。
【0166】
また、本実施形態においては、検査員Bが発話することで「プロジェクト名」を選択するものとしたが、これに限定されるものではなく、端末10の位置情報に基づいて「プロジェクト名」を自動的に選択してもよい。具体的には、検査部22は、GPS(Global Positioning System)機能により端末10の位置情報、すなわち検査が行われる建物の位置情報を取得する。当該検査部22は、取得した位置情報に基づいて検査対象の建物を特定する。検査部は、特定した建物から「プロジェクト名」の検査情報を選択する。
【0167】
また、本実施形態において複数の項目には、「プロジェクト名」、「工程名」、「検査区分」、「工程部位」及び「管理項目」が含まれるものとしたが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0168】
1 検査システム
21 プラットフォーム(音声認識部)
22 検査部(入力部)
B 検査員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12