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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】浮上搬送装置、及びレーザ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240215BHJP
   H01L 21/268 20060101ALI20240215BHJP
   B65G 51/03 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/268 G
B65G51/03 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020030105
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021136285
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】521476506
【氏名又は名称】JSWアクティナシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】藤 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】山口 芳広
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-105377(JP,A)
【文献】特開2018-064048(JP,A)
【文献】特開2009-051672(JP,A)
【文献】特開2018-060891(JP,A)
【文献】特開2006-199483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/268
B65G 51/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面に気体を噴射して前記基板を浮上させる浮上ユニットを備える浮上搬送装置であって、
前記浮上ユニットは、
前記基板と対向する面に設けられ、前記気体を噴射する複数の噴射口と、
前記浮上ユニットを鉛直方向に貫通しているスリットと、を備え、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体が前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面側へと排出されるように構成されており
前記スリットの周囲に設けられている前記噴射口の密度が、前記浮上ユニットの他の領域に設けられている前記噴射口の密度よりも高くなるように構成されている、
浮上搬送装置。
【請求項2】
前記浮上ユニットには、前記浮上ユニットの下面から下側に突出している複数のレベリングボルトが設けられており、
前記複数のレベリングボルトが設置面と接触することで、前記浮上ユニットが前記設置面に設置され、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体は、前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面と前記設置面との間の空間に排出される、
請求項1に記載の浮上搬送装置。
【請求項3】
前記浮上ユニットの下面と前記設置面との間の空間に排出された前記気体は更に、前記レベリングボルト間の隙間を通過して外部へと排出される、請求項に記載の浮上搬送装置。
【請求項4】
前記スリットは、当該スリットの長手方向が前記基板の搬送方向と平行になるように設けられている、請求項1に記載の浮上搬送装置。
【請求項5】
基板の下面に気体を噴射して前記基板を浮上させる浮上ユニットを備える浮上搬送装置であって、
前記浮上ユニットは、
前記基板と対向する面に設けられ、前記気体を噴射する複数の噴射口と、
前記浮上ユニットを鉛直方向に貫通しているスリットと、を備え、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体が前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面側へと排出されるように構成されており、
前記浮上ユニットの一辺には、前記基板を保持しながら搬送方向へと搬送する搬送ユニットが設けられており、
前記スリットは、前記浮上ユニットの上面において前記搬送方向と垂直な方向の中心位置よりも、前記搬送ユニット側に設けられている、
浮上搬送装置。
【請求項6】
前記スリットは、前記浮上ユニットの前記搬送ユニット側において前記搬送方向に沿うように設けられている、請求項に記載の浮上搬送装置。
【請求項7】
前記基板が連続して移動する位置よりも前記基板が静止する位置において、前記スリットの密度が高くなるように構成されている、請求項に記載の浮上搬送装置。
【請求項8】
前記基板が静止する位置は、前記基板を面内方向において回転させる回転機構を備える位置である、請求項に記載の浮上搬送装置。
【請求項9】
前記基板が静止する位置は、前記搬送ユニットから次の搬送ユニットに前記基板を受け渡す位置である、請求項に記載の浮上搬送装置。
【請求項10】
基板の下面に気体を噴射して前記基板を浮上させる浮上ユニットを備える浮上搬送装置と、
前記基板に照射するレーザ光を発生させるレーザ発生装置と、を備え、
前記浮上ユニットは、
前記基板と対向する面に設けられ、前記気体を噴射する複数の噴射口と、
前記浮上ユニットを鉛直方向に貫通しているスリットと、を備え、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体が前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面側へと排出されるように構成されており
前記スリットの周囲に設けられている前記噴射口の密度が、前記浮上ユニットの他の領域に設けられている前記噴射口の密度よりも高くなるように構成されている、
レーザ処理装置。
【請求項11】
前記浮上ユニットには、前記浮上ユニットの下面から下側に突出している複数のレベリングボルトが設けられており、
前記複数のレベリングボルトが設置面と接触することで、前記浮上ユニットが前記設置面に設置され、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体は、前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面と前記設置面との間の空間に排出される、
請求項10に記載のレーザ処理装置。
【請求項12】
前記浮上ユニットの下面と前記設置面との間の空間に排出された前記気体は更に、前記レベリングボルト間の隙間を通過して外部へと排出される、請求項11に記載のレーザ処理装置。
【請求項13】
前記スリットは、当該スリットの長手方向が前記基板の搬送方向と平行になるように設けられている、請求項10に記載のレーザ処理装置。
【請求項14】
基板の下面に気体を噴射して前記基板を浮上させる浮上ユニットを備える浮上搬送装置と、
前記基板に照射するレーザ光を発生させるレーザ発生装置と、を備え、
前記浮上ユニットは、
前記基板と対向する面に設けられ、前記気体を噴射する複数の噴射口と、
前記浮上ユニットを鉛直方向に貫通しているスリットと、を備え、
前記浮上ユニットの前記基板と対向する面と前記基板との間に滞留している気体が前記スリットを介して前記浮上ユニットの下面側へと排出されるように構成されており、
前記浮上ユニットの一辺には、前記基板を保持しながら搬送方向へと搬送する搬送ユニットが設けられており、
前記スリットは、前記浮上ユニットの上面において前記搬送方向と垂直な方向の中心位置よりも、前記搬送ユニット側に設けられている、
レーザ処理装置。
【請求項15】
前記スリットは、前記浮上ユニットの前記搬送ユニット側において前記搬送方向に沿うように設けられている、請求項14に記載のレーザ処理装置。
【請求項16】
前記基板が連続して移動する位置よりも前記基板が静止する位置において、前記スリットの密度が高くなるように構成されている、請求項14に記載のレーザ処理装置。
【請求項17】
前記基板が静止する位置は、前記基板を面内方向において回転させる回転機構を備える位置である、請求項16に記載のレーザ処理装置。
【請求項18】
前記基板が静止する位置は、前記搬送ユニットから次の搬送ユニットに前記基板を受け渡す位置である、請求項16に記載のレーザ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浮上搬送装置、及びレーザ処理装置に関し、例えば基板を浮上させながら基板を搬送する浮上搬送装置、及びレーザ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイパネルや有機ELパネルなどの製造プロセスでは、使用する基板が大型であるため、基板を浮上させながら基板を搬送する浮上搬送装置が広く用いられている。特許文献1には、基板に気体を吹き付けて基板を浮上させて搬送する浮上搬送装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板を浮上させながら搬送する浮上搬送装置においては、基板の浮上量のばらつきが生じるという問題がある。特に、基板に対しレーザ照射を行うレーザ処理装置においては、基板の浮上量のばらつきはレーザ処理後の基板上の膜等の品質に大きな影響を与えることから、基板の浮上精度向上が求められる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態にかかる浮上搬送装置は、基板の下面に気体を噴射して基板を浮上させる浮上ユニットを備える。浮上ユニットは、基板と対向する面に設けられ、気体を噴射する複数の噴射口と、浮上ユニットを鉛直方向に貫通しているスリットと、を備える。浮上ユニットの基板と対向する面と基板との間に滞留している気体は、スリットを介して浮上ユニットの下面側へと排出される。
【0007】
一実施の形態にかかるレーザ処理装置は、上述の浮上搬送装置と、基板に照射するレーザ光を発生させるレーザ発生装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、基板の浮上精度を向上させることが可能な浮上搬送装置、及びレーザ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる浮上搬送装置を説明するための断面図である。
図2】浮上搬送装置が備える浮上ユニットの上板の上面図である。
図3】浮上搬送装置が備える浮上ユニットの下板の上面図である。
図4】実施の形態1にかかる浮上搬送装置を説明するための断面図である。
図5】関連技術にかかる浮上搬送装置を説明するための断面図である。
図6】実施の形態2にかかる浮上搬送装置を用いたレーザ処理装置を説明するための上面図である。
図7】実施の形態2にかかる浮上搬送装置を用いたレーザ処理装置を説明するための上面図である。
図8】実施の形態3にかかる浮上搬送装置を用いたレーザ処理装置を説明するための上面図である。
図9】実施の形態3にかかる浮上搬送装置を用いたレーザ処理装置を説明するための上面図である。
図10】実施の形態4にかかる浮上搬送装置を用いたレーザ処理装置を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1にかかる浮上搬送装置を説明するための断面図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1は、基板30の下面に気体を噴射して基板30を浮上させながら、基板30を搬送方向(x軸プラス方向)に搬送する装置である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1は浮上ユニット5を備える。浮上ユニット5は、上板10および下板20を用いて構成されている。上板10は、浮上搬送装置1の上側(z軸方向プラス側)に配置されている。下板20は、上板10の下側(z軸方向マイナス側)に配置されている。例えば、上板10および下板20は、アルミニウム合金等の金属材料(メッキ処理を施してもよい)を用いて構成することができる。
【0012】
図2は、浮上搬送装置1が備える浮上ユニット5の上板10の上面図である。図2に示すように、上板10の表面(基板30と対向する面)には、上側に気体を噴射する複数の噴射口11が設けられている。図1に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1は、複数の噴射口11からz軸方向プラス側に気体を噴射し、この噴射された気体を基板30の下面に衝突させることで、基板30を浮上させる。そして、後述する搬送ユニットを用いて基板30を搬送方向(x軸プラス方向)に移動させることで、基板30を浮上させながら基板30を搬送方向に搬送することができる。
【0013】
図2に示す例では、複数の噴射口11がx軸方向およびy軸方向に所定の間隔で規則的に配置されている例を示した。しかし本実施の形態では、複数の噴射口11の配置は図2に示す配置に限定されることはなく、任意の配置とすることができる。また、上板10には、スリット50が形成されている。スリット50は、浮上ユニット5(上板10)を鉛直方向に貫通するように設けられている。スリット50の詳細については後述する。上板10の外周付近には、レベリングボルト42(図1参照)を挿入するための複数の貫通孔13が形成されている。
【0014】
図3は、浮上搬送装置1が備える浮上ユニット5の下板20の上面図である。図3に示すように、下板20の上面(z軸方向プラス側の面)には、上板10が有する複数の噴射口11に気体を供給するための複数の流路21_1、21_2、22_1、22_2が設けられている。
【0015】
具体的には、図3に示すように、下板20の表面には、第1流路21_1、21_2および第2流路22_1、22_2が設けられている。なお、以下では第1流路21_1、21_2を総称して第1流路21とも記載する。第2流路22_1、22_2、及び気体供給口27_1、27_2についても同様に、第2流路22、及び気体供給口27とも記載する。
【0016】
第1流路21_1は、下板20のy軸方向プラス側において、x軸方向に伸びるように設けられている。第1流路21_1には、2箇所の気体供給口27_1から気体が供給される。同様に、第1流路21_2は、下板20のy軸方向マイナス側において、x軸方向に伸びるように設けられている。第1流路21_2には、2箇所の気体供給口27_2から気体が供給される。
【0017】
第2流路22_1は、下板20のy軸方向プラス側において、気体供給口27_1から第1流路21_1を経由して供給された気体を、上板10に設けられた複数の噴射口11(図2参照)に供給するための流路である。具体的には、第2流路22_1の上流側の端部は第1流路21_1と接続されており、第2流路22_1の下流側の各々の端部23_1は各々の噴射口11(図2参照)とそれぞれ接続されている。
【0018】
同様に、第2流路22_2は、下板20のy軸方向マイナス側において、気体供給口27_2から第1流路21_2を経由して供給された気体を、上板10に設けられた複数の噴射口11(図2参照)に供給するための流路である。具体的には、第2流路22_2の上流側の端部は第1流路21_2と接続されており、第2流路22_2の下流側の各々の端部23_2は各々の噴射口11(図2参照)とそれぞれ接続されている。
【0019】
図3に示す例では、第1流路21の断面積は第2流路22の断面積よりも大きくなるように構成されている。つまり、第1流路21は、気体供給口27から供給された気体を各々の第2流路22に供給する流路としての機能を有するので、第1流路21を通過する気体の量は第2流路22を通過する気体の量よりも多い。したがって、第1流路21の断面積を第2流路22の断面積よりも大きくすることで、気体供給口27から噴射口11までの流路抵抗を低減できるため、気体の圧力損失を低減して、気体供給口27に供給された気体の圧力と同等程度の圧力を保持した気体を噴射口11に供給することができる。
【0020】
なお、図3に示す第1流路21および第2流路22の配置は一例であり、本実施の形態では、第1流路21および第2流路22の数や配置は任意に決定することができる。すなわち、気体供給口27から第1流路21および第2流路22を経由して噴射口11に気体を供給できる構成であれば、第1流路21および第2流路22の数や配置は任意に決定することができる。
【0021】
また、下板20には、スリット50が設けられている。スリット50は、浮上ユニット5(下板20)を鉛直方向に貫通するように構成されている。つまり、下板20のスリット50の位置は、上板10のスリット50の位置と対応している。スリット50の詳細については後述する。また、下板20の外周付近には、後述するレベリングボルト42(図1参照)を挿入するための貫通孔28が形成されている。下板20の貫通孔28の位置は、上板10の貫通孔13の位置と対応している。
【0022】
本実施の形態において、上板10および下板20は、複数の締結用ボルト41(図1図4参照)を用いて互いに締結されている。例えば、上板10および下板20は、下板20側から挿入された複数の締結用ボルト41を用いて互いに締結することができる。
【0023】
また、図1に示すように、浮上ユニット5には、浮上ユニット5の下面から下側に突出している複数のレベリングボルト42が設けられている。本実施の形態では、複数のレベリングボルト42が設置面35と接触することで、浮上ユニット5(浮上搬送装置1)が設置面35に設置される。
【0024】
レベリングボルト42は、浮上ユニット5の上板10および下板20に設けられた貫通孔13、28に設けられており、貫通孔13、28内を上下方向(z軸方向)に変位可能に構成されている。例えば、レベリングボルト42は浮上ユニット5と螺合するように構成されており、レベリングボルト42を回転させることで、浮上搬送装置1の下面からのレベリングボルト42の突出量を変更することができる。
【0025】
上述のように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1は、気体供給口27から供給された気体を、第1流路21および第2流路22を経由して、噴射口11に供給している。したがって、図1に示すように、複数の噴射口11から基板30の下面に気体を噴射して、基板30を浮上させることができる。ここで、基板30は典型的にはガラス基板であるが、浮上搬送装置1を用いて搬送する基板30はガラス基板に限定されることはない。
【0026】
また、下板20の下面には、下板20に設けた流路21、22に気体を供給するための気体供給口27(図3参照)が設けられている。図1に示すように、レベリングボルト42を設置面35と接触させて浮上搬送装置1を設置した場合は、浮上ユニット5(下板20)の下面と設置面35との間に空間が形成される。よって、この空間に配管を配置し、この配管を通して気体供給口27に気体を供給するように構成してもよい。
【0027】
本実施の形態では、1つの浮上ユニット5を用いて浮上搬送装置1を構成してもよく、また複数の浮上ユニット5を組み合わせて浮上搬送装置1を構成してもよい。
【0028】
上述したように、浮上ユニット5を構成している上板10および下板20のそれぞれには、スリット50が形成されている。このスリット50は、図4に示すように、浮上ユニット5を鉛直方向に貫通している。本実施の形態にかかる浮上搬送装置1では、浮上ユニット5にスリット50を設けることで、浮上ユニット5の基板30と対向する面と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット5の下面側へと排出することができる。
【0029】
具体的に説明すると、図4に示すように、浮上ユニット5は複数のレベリングボルト42を用いて設置面35に設置されているので、浮上ユニット5の下面と設置面35との間には空間45が形成される。よって、浮上ユニット5の上面(基板30と対向する面)と基板30との間に滞留している気体は、スリット50を介して浮上ユニット5の下面と設置面35との間の空間45に排出される。また、浮上ユニット5の下面と設置面35との間の空間45に排出された気体は更に、レベリングボルト42間の隙間(図2図4において気体の流れの一例を矢印46で示す)を通過して外部へと排出される。
【0030】
さらに詳細に説明すると、基板30が浮上ユニット5の全面を覆う状態で基板30が浮上している場合は、浮上ユニット5の中央部付近(内部付近)に気体が滞留しやすい。また、基板30が浮上ユニット5の一部を覆う状態で基板30が浮上している場合は、浮上ユニット5の上面のうち、基板30で覆われている箇所の中央部付近(内部付近)に気体が滞留しやすい。本実施の形態にかかる浮上搬送装置1では、このように浮上ユニット5の上面と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット5の下面と設置面35との間の空間45に排出している。なお、浮上ユニット5の端部付近や基板30の端部付近の気体は、浮上ユニット5と基板30との間に形成される空間の側面(xy平面)方向に排出される。
【0031】
このように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1では、浮上ユニット5と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット5の下面側へと排出することができる。よって、基板30に噴射した気体が浮上ユニット5と基板30との間に滞留することを抑制することができるので、浮上している基板30の姿勢を安定にすることができる。したがって、基板30の浮上精度を向上させることが可能な浮上搬送装置1を提供することができる。
【0032】
図5は、関連技術にかかる浮上搬送装置を説明するための断面図である。図5に示す関連技術にかかる浮上搬送装置101は、図4に示した本実施の形態にかかる浮上搬送装置1と比べてスリット50を設けていない点が異なる。関連技術にかかる浮上搬送装置101のこれ以外の構成については、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1と同様である。なお、図5に示す関連技術にかかる浮上搬送装置101では、各構成要素を100番台の符号で示している。つまり、浮上搬送装置101は、上板110と下板120とを備える浮上ユニット105、締結用ボルト141、及びレベリングボルト142を備える。
【0033】
図5に示すように、関連技術にかかる浮上搬送装置101は、浮上ユニット105から基板130の下面に気体を噴射して基板130を浮上させながら、基板130を搬送する。このとき、関連技術にかかる浮上搬送装置101では、基板130に噴射した気体の一部が浮上ユニット105と基板130との間に滞留して、空気溜り133を形成する場合がある。つまり、浮上ユニット105から噴射した気体が外部へ排出される量が少ない場合、基板130と浮上ユニット105の中央部付近(内部付近)に気体が滞留して空気溜り133を形成する場合がある。このように空気溜り133が形成されると、浮上している基板130の姿勢が不安定になる。具体的には、図5に示すように、空気溜り133が形成されている部分(基板130の中央部)において基板130が大きく浮上し、基板130の端部において浮上量が低下する。このように、基板130の端部において浮上量が低下すると、基板130を搬送する際に基板130の一部が浮上ユニット105に接触するなどの問題が生じる。なお、比較のために図5では、図4に示した本実施の形態にかかる浮上搬送装置1で浮上させた場合の基板30を破線で示している。
【0034】
これに対して本実施の形態にかかる浮上搬送装置1では、図4に示したように、浮上ユニット5を鉛直方向に貫通しているスリット50を設け、浮上ユニット5と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット5の下面側へと排出している。したがって、基板30に噴射した気体が浮上ユニット5と基板30との間に滞留して空気溜りが発生することを抑制することができるので、浮上している基板30の姿勢を安定にすることができる。よって、基板の浮上精度を向上させることが可能な浮上搬送装置1を提供することができる。
【0035】
また、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1では、スリット50を設けることで、浮上ユニット5と基板30との間に滞留している気体を排出しているので、滞留している気体を排出するための吸引手段を別途設ける必要がない。したがって、浮上搬送装置1の装置構成を簡略化しつつ、浮上ユニット5と基板30との間に滞留している気体を排出することができる。
【0036】
また、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1は、スリット50の周囲に設けられている噴射口11の密度が、浮上ユニット5の他の領域に設けられている噴射口11の密度よりも高くなるように構成されていてもよい。換言すると、スリット50の周囲に設けられている噴射口11の単位面積当たりの個数が、浮上ユニット5の他の領域に設けられている噴射口11の単位面積当たりの個数よりも多くなるようにしてもよい。例えば、図2に示す構成例では、スリット50の周囲に設けられている噴射口11の単位面積当たりの個数は、スリット50が設けられていない領域における噴射口11の単位面積当たりの個数よりも多くなるように構成している。このような構成とすることで、基板30を搬送した際にスリット50付近において基板30の浮上量が低下することを抑制することができ、基板30の浮上精度をさらに向上させることができる。
【0037】
本実施の形態にかかる浮上搬送装置1において、スリット50を設ける位置は任意に決定することができる。例えば、基板30を搬送した際に浮上ユニット5と基板30との間に空気溜りができやすい場所にスリット50を配置することができる。空気溜りができやすい場所とは、例えば、浮上ユニットの幅方向(図1のy軸方向)の長さが長い場所、浮上ユニット5の上面からxy平面方向に気体が流れにくい場所などである。例えば、浮上ユニット5の側面に搬送ユニット(例えば、搬送用のレール等)が設けられている場合は、浮上ユニット5の搬送ユニット側の側面が、気体が流れにくい場所となる(後述する実施の形態2、3参照)。
【0038】
また、本実施の形態にかかる浮上搬送装置1において、スリット50は、スリット50の長手方向が基板30の搬送方向と平行になるように設けることが好ましい。このような構成とした場合は、基板30の搬送方向下流側の端部において、スリット50の開口部と平面視において重なる部分を少なくすることができるので、基板30の搬送方向下流側の端部とスリット50の開口部とが衝突することを抑制することができる。
【0039】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。図6図7は、実施の形態2にかかる浮上搬送装置を説明するための上面図である。本実施の形態では、実施の形態1にかかる浮上搬送装置をレーザ照射装置に適用した場合について説明する。なお、実施の形態2にかかる浮上搬送装置2の基本的な構成は、実施の形態1で説明した浮上搬送装置1の構成と同様であるので重複した説明は適宜省略する。
【0040】
図6に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置2(レーザ照射装置)は、浮上ユニット6、搬送ユニット61、及びレーザ光源65を備える。なお、浮上ユニット6の構成については、実施の形態1で説明した浮上ユニット5の構成と基本的に同様であるので重複した説明は省略する。
【0041】
本実施の形態にかかる浮上搬送装置2(レーザ照射装置)は、浮上ユニット6を用いて基板30の下面に気体を噴射して基板30を浮上させるとともに、搬送ユニット61を用いて基板30を搬送方向(x軸方向)に搬送するように構成されている。なお、図6図7では、噴射口11の図示を省略している。
【0042】
図6に示すように、搬送ユニット61は、保持機構62および移動機構63を備える。保持機構62は、基板30を保持する。例えば、保持機構62は、吸盤型の真空吸着機構や多孔質体を備える真空吸着機構を用いて構成することができる。移動機構63は保持機構62と連結されている。移動機構63は、保持機構62を搬送方向(x軸方向)に移動可能に構成されている。搬送ユニット61(保持機構62及び移動機構63)は、浮上ユニット6のy軸方向の端部側に設けられており、保持機構62で基板30を保持しつつ、移動機構63が搬送方向に移動することで基板30が搬送される。
【0043】
また、本実施の形態にかかる浮上搬送装置2(レーザ照射装置)は、回転機構68を備える。図7に示すように、回転機構68は、浮上ユニット6のx軸方向プラス側に設けられており、x軸方向プラス側に搬送された基板30を、基板30の水平面(xy平面)を保持しながら180度回転させるように構成されている。つまり、浮上搬送装置2(レーザ照射装置)は、搬送ユニット61を用いて基板30をx軸方向プラス側に搬送し、レーザ光源65を通過する際に基板30にレーザ光を照射する(レーザ光が照射された箇所を符号31で示している)。その後、回転機構68を用いて基板30を180度回転させ、基板30をx軸方向マイナス側に搬送して基板30にレーザ光を照射する。このような動作により、基板30の全面にレーザ光を照射することができる。
【0044】
ここで、浮上ユニット6の上面には、複数の噴射口11(図2参照。図6図7では不図示)が設けられており、複数の噴射口11から基板30の下面に気体を噴射することで、基板30が浮上する。このとき、基板30の下面に衝突した気体は、浮上ユニット6上をxy平面に沿って移動して浮上ユニット6の端部側を通って外部に流れる。しかし、図6図7に示すように、浮上ユニット6のy軸方向プラス側の辺には搬送ユニット61が設けられているので、この部分では基板30の下面に衝突した気体が、y軸方向プラス側に向かって流れにくくなり、空気溜り133(図5参照)ができやすい。換言すると、浮上ユニット6のy軸方向プラス側の辺には搬送ユニット61(例えば、搬送用のレール等)が設けられているので、基板30の下面に衝突した気体が浮上ユニット6の外部に流れ出ることを、搬送ユニット61によって妨げられる。
【0045】
このため、本実施の形態では、図6図7に示すように、浮上ユニット6の搬送ユニット61側において搬送方向(x軸方向)に沿うように複数のスリット50を設けている。換言すると、浮上ユニット6の上面において、搬送方向と垂直な方向(y軸方向)の中心位置よりも搬送ユニット61側にスリット50を設けている。また、スリット50は、スリット50の長手方向が基板の搬送方向(x軸方向)と平行になるように設けられている。
【0046】
このようにスリット50を設けることで、浮上ユニット6と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット6の下面側へと排出することができる。したがって、浮上ユニット6の搬送ユニット61側において空気溜り133(図5参照)が発生することを抑制することができ、基板30の浮上精度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、基板30が連続して移動する位置よりも、基板30が静止する位置において、スリット50の密度が高くなるようにしてもよい。つまり、図7に示すように、基板30を面内方向において回転させる回転機構68を備える位置では、基板30が静止する。このように基板30が静止している位置では、基板30が連続して移動する位置(つまり回転機構68を備える位置よりもx軸方向マイナス側の位置)よりも、空気溜りが発生しやすい。
【0048】
したがって本実施の形態では、基板30が連続して移動する位置51_1よりも、基板30が静止する位置51_2において、スリット50の密度が高くなるように構成している。このような構成により、基板30が静止している位置において空気溜りが発生することを効果的に抑制することができる。
【0049】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。図8図9は、実施の形態3にかかる浮上搬送装置を説明するための上面図である。本実施の形態では、実施の形態1にかかる浮上搬送装置をレーザ照射装置に適用した場合について説明する。なお、実施の形態3にかかる浮上搬送装置3の基本的な構成は、実施の形態1で説明した浮上搬送装置1の構成と同様であるので重複した説明は適宜省略する。
【0050】
図8に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置3(レーザ照射装置)は、浮上ユニット7、搬送ユニット61_1~61_4、及びレーザ光源65を備える。なお、浮上ユニット7の構成については、実施の形態1で説明した浮上ユニット5の構成と基本的に同様であるので重複した説明は省略する。
【0051】
浮上ユニット7は、浮上ユニット7の表面から気体を噴射するように構成されており、浮上ユニット7の表面から噴射された気体が基板30の下面に衝突することで、基板30が浮上する。浮上ユニット7は4つの領域7a~7dを備える。なお、図8図9では、噴射口11の図示を省略している。
【0052】
図8に示すように、浮上ユニット7は平面視した際の形状が矩形状であり、各々の搬送ユニット61_1~61_4は、浮上ユニット7の各々の辺に沿って基板30を搬送するように設けられている。具体的には、搬送ユニット61_1は浮上ユニット7のy軸方向プラス側の辺に設けられており、保持機構62_1と移動機構63_1とを備える。そして、図9に示すように、保持機構62_1で基板30を保持しつつ、移動機構63_1がx軸方向プラス側に移動することで、基板30を領域7aから領域7bに搬送することができる。
【0053】
本実施の形態にかかる浮上搬送装置3(レーザ照射装置)では、レーザ光源65が領域7aと領域7bとの間に設けられている。よって、基板30が領域7aから領域7bに搬送される際にレーザ光が基板30に照射される。図9では、基板30の表面のうち、レーザ光が照射された箇所を符号31で示している。
【0054】
搬送ユニット61_2は浮上ユニット7のx軸方向プラス側の辺に設けられており、保持機構62_2と移動機構63_2とを備える。そして、保持機構62_2で基板30を保持しつつ、移動機構63_2がy軸方向マイナス側に移動することで、基板30を領域7bから領域7cに搬送することができる。
【0055】
搬送ユニット61_3は浮上ユニット7のy軸方向マイナス側の辺に設けられており、保持機構62_3と移動機構63_3とを備える。そして、保持機構62_3で基板30を保持しつつ、移動機構63_3がx軸方向マイナス側に移動することで、基板30を領域7cから領域7dに搬送することができる。
【0056】
搬送ユニット61_4は浮上ユニット7のx軸方向マイナス側の辺に設けられており、保持機構62_4と移動機構63_4とを備える。そして、保持機構62_4で基板30を保持しつつ、移動機構63_4がy軸方向プラス側に移動することで、基板30を領域7dから領域7aに搬送することができる。
【0057】
このように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置3(レーザ照射装置)では、浮上ユニット7が4つの領域7a~7d(実線と破線で囲まれた矩形状の領域)を備えており、基板30がこれらの4つの領域7a~7dを順次搬送されて処理される。本実施の形態にかかる浮上搬送装置3(レーザ照射装置)では、レーザ光源65が領域7aと領域7bとの間に設けられているので、基板30が領域7aから領域7bに搬送される際にレーザ光が基板30に照射される。
【0058】
また、浮上ユニット7の領域7dには、基板30の水平面(xy平面)を保持しながら基板30を180度回転させる回転機構68が設けられている。つまり、搬送ユニット61_1を用いて基板30を領域7aから領域7bに搬送して基板30にレーザ光を照射した後、搬送ユニット61_2~61_4を用いて基板30を搬送させつつ、回転機構68を用いて基板30を180度回転させる。そして、再度、搬送ユニット61_1を用いて基板30を領域7aから領域7bに搬送して基板30にレーザ光を照射することで、基板30の全面にレーザ光を照射することができる。
【0059】
ここで、浮上ユニット7の上面には、複数の噴射口11(図2参照。図8図9では不図示)が設けられており、複数の噴射口11から基板30の下面に気体を噴射することで、基板30が浮上する。このとき、基板30の下面に衝突した気体は、浮上ユニット7の面内方向に向かって流れ出るが、図8図9に示すように、浮上ユニット7の周囲には搬送ユニット61_1~61_4が設けられているので、この部分では基板30の下面に衝突した気体が、外部に向かって流れにくくなり、空気溜り133(図5参照)ができやすい。換言すると、浮上ユニット7の周囲を取り囲むように搬送ユニット61_1~61_4(例えば、搬送用のレール等)が設けられているので、基板30の下面に衝突した気体が浮上ユニット7の外部に流れ出ることを、搬送ユニット61_1~61_4によって妨げられる。
【0060】
このため、本実施の形態では、図8図9に示すように、浮上ユニット7の搬送ユニット61_1~61_4が設けられている側に、基板30の搬送方向に沿うように複数のスリット50を設けている。具体的には、浮上ユニット7の領域7aの外側の位置52_1に複数のスリット50を設けている。同様に、浮上ユニット7の領域7bの外側の位置52_2、浮上ユニット7の領域7cの外側の位置52_3、浮上ユニット7の領域7dの外側の位置52_4のそれぞれに、複数のスリット50を設けている。なお、位置52_1~52_4は、搬送ユニット61_1~61_4が次の搬送ユニット61_1~61_4に基板30を受け渡す位置に対応しており、この位置は基板が一時的に静止する位置でもある。
【0061】
図8図9に示すように、スリット50は、スリット50の長手方向が基板の搬送方向と平行になるように設けられている。
【0062】
このようにスリット50を設けることで、浮上ユニット7と基板30との間に滞留している気体を、スリット50を介して浮上ユニット7の下面側へと排出することができる。したがって、浮上ユニット7の外周付近において空気溜り133(図5参照)が発生することを抑制することができ、基板30の浮上精度を向上させることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、基板30が領域7aから領域7bに搬送される際にレーザ光が基板30に照射される。このため、領域7aから領域7bに搬送される際に基板30を特に精度よく搬送する必要がある。したがって本実施の形態では、浮上ユニット7の領域7aと領域7bの外周付近の位置53に、更にスリット50を設けている。このように位置53にもスリット50を設けることで、基板30がレーザ光源65付近を通過する際に、基板30と浮上ユニット7との間に空気溜りが発生することを効果的に抑制することができる。よって、レーザ光源65付近において基板30を精度よく搬送することができる。
【0064】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。図10は、実施の形態4にかかる浮上搬送装置を説明するための上面図である。本実施の形態では、実施の形態2で説明した浮上搬送装置2(レーザ照射装置)のy軸方向プラス側に、さらに浮上ユニット8_2を追加した構成例を示している。なお、実施の形態4にかかる浮上搬送装置4の基本的な構成は、実施の形態1、2で説明した浮上搬送装置1、2の構成と基本的に同様であるので重複した説明は適宜省略する。
【0065】
図10に示すように、本実施の形態にかかる浮上搬送装置4(レーザ照射装置)は、浮上ユニット8_1、8_2、搬送ユニット61、及びレーザ光源65を備える。本実施の形態では、y軸方向マイナス側に浮上ユニット8_1を設け、y軸方向プラス側に浮上ユニット8_2を設けている。浮上ユニット8_1と浮上ユニット8_2との間には、搬送ユニット61が設けられている。また、浮上ユニット8_1のx軸方向プラス側には、回転機構68が設けられている。なお、搬送ユニット61および回転機構68の構成については、実施の形態2の場合と同様であるので重複した説明は省略する。
【0066】
本実施の形態にかかる浮上搬送装置4(レーザ照射装置)は、浮上ユニット8_1、8_2を用いて基板30の下面に気体を噴射して基板30を浮上させるとともに、搬送ユニット61を用いて基板30を搬送方向(x軸方向)に搬送するように構成されている。なお、図10では、噴射口11の図示を省略している。
【0067】
本実施の形態では、図10に示すように、浮上ユニット8_1の搬送ユニット61側に、複数のスリット50_1を設けている。また、浮上ユニット8_2の搬送ユニット61側に、複数のスリット50_2を設けている。スリット50_1、50_2は、スリット50_1、50_2の長手方向が基板の搬送方向(x軸方向)と平行になるように設けられている。
【0068】
本実施の形態においても、このようにスリット50_1、50_2を設けることで、浮上ユニット8_1、8_2と基板30との間に滞留している気体を、スリット50_1、50_2を介して浮上ユニット8_1、8_2の下面側へと排出することができる。したがって、浮上ユニット8_1、8_2の搬送ユニット61側において空気溜り133(図5参照)が発生することを抑制することができ、基板30の浮上精度を向上させることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、浮上ユニット8_1と浮上ユニット8_2との間に搬送ユニット61を設けた構成について説明したが、このような構成は実施の形態3にかかる浮上搬送装置3(図8参照)にも適用することができる。すなわち、図8に示した実施の形態3にかかる浮上搬送装置3において、搬送ユニット61_1~61_4の外側にも浮上ユニットを設けるようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1、2、3、4 浮上搬送装置
5、6、7、8_1、8_2 浮上ユニット
10 上板
11 噴射口
13 貫通孔
20 下板
21_1、21_2 第1流路
22_1、22_2 第2流路
23_1、23_2 端部
27_1、27_2 気体供給口
30 基板
35 設置面
41 締結用ボルト
42 レベリングボルト
45 空間
50、50_1、50_2 スリット
61、61_1~61_4 搬送ユニット
62、62_1~62_4 保持機構
63、63_1~63_4 移動機構
65 レーザ光源
68 回転機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10