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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】車両用リッドロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20240215BHJP
   E05B 77/34 20140101ALI20240215BHJP
   E05B 85/24 20140101ALI20240215BHJP
   E05B 81/36 20140101ALI20240215BHJP
   E05C 3/24 20060101ALI20240215BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20240215BHJP
   E05B 81/66 20140101ALN20240215BHJP
【FI】
E05B83/34
E05B77/34
E05B85/24
E05B81/36
E05C3/24
B60K15/05 B
E05B81/66
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020034230
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134638
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 雄太
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223256(JP,A)
【文献】特開2018-123475(JP,A)
【文献】特開2018-91109(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0894926(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
E05C 3/24
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口部を開閉するリッドを閉状態でロックする車両用リッドロック装置であって、
前記開口部に固定されたハウジングと、
前記ハウジングの表面側に位置して配設され、前記リッドに固定されたストライカと係合するラッチと、
前記ハウジングの表面に前記ストライカの移動範囲を囲うように配設され、前記ストライカの移動を前記移動範囲内に規制する移動規制手段と、を備え、
前記移動規制手段には、当該移動規制手段内の水を排出する排出口が形成され
前記ハウジングは、前記ハウジング上における前記ストライカの進行方向が鉛直方向下向きに傾くように前記開口部に固定され、
前記移動規制手段は、
前記移動範囲の前記進行方向先側に面して配設されたストッパと、
前記移動範囲の前記進行方向側方側のうちの鉛直方向下側に面して配設された第1規制部材と、
前記移動範囲の前記進行方向側方側のうちの鉛直方向上側に面して配設された第2規制部材と、を有することを特徴とする車両用リッドロック装置
【請求項2】
前記ストッパは、前記進行方向に延在し、前記第1規制部材及び前記第2規制部材との間に、前記排出口を成す間隔が形成される1以上の板状部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項3】
前記ストッパは、前記進行方向に直交する方向に延在し、前記第1規制部材との間に、前記排出口を成す間隔が形成される板状部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記進行方向に直交する方向に延在した板状部材で構成され、
前記ストッパの前記ハウジングの表面に面した部分には、前記排出口を成す開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項5】
前記第1規制部材は、前記移動範囲の前記進行方向側方側のうちの鉛直方向下側に沿って延在した板状部材で構成され、
前記第1規制部材の前記ハウジングの表面に面した部分には、前記排出口を成す開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項6】
前記第1規制部材及び前記第2規制部材の少なくとも一方は、前記移動範囲の前記進行方向側方側に沿って延在すると共に、前記進行方向先端部が前記移動範囲から離れる方向に拡開した形状を有する板状部材で構成され、
前記ストッパは、前記第1規制部材及び前記第2規制部材との間に、前記排出口を成す間隔が形成される板状部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ポート用リッドやフューエルリッド等に適用できる車両用リッドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用リッドロック装置として、例えば、リッド(蓋体)を閉鎖状態で保持すると共にリッドの押し込みに起因してリッドを開放するものがある(特許文献1参照)。この車両用リッドロック装置は、車体に設けられたハウジングと、ハウジングに回動可能に支持され、ストライカと係合することによりリッドを閉鎖位置に保持するラッチ位置、リッドを開放位置に変位させてストライカと非係合となるアンラッチ位置、及び押し込み位置に変位するリッドに押されてラッチ位置からさらに回動する検知位置の各位置の間で変位可能なラッチ(例えば、傾斜となる係合面を有するフォーク)と、ラッチをアンラッチ位置に向けて付勢する付勢手段(第1ねじりコイルばね)と、ラッチがラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することを禁止するブロック位置、及びラッチがラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することを許容するアンブロック位置の間で変位可能なポールと、を含んでいる。
この車両用リッドロック装置では、人の手によってリッドを閉鎖していくと、ストライカがアンラッチ位置のラッチに接触し、ラッチを押圧する。この押圧によって、付勢手段の付勢力に抗してラッチがラッチ位置に回動する。これを受けて、ポールがブロック位置に変位し、ラッチがストライカと係合した状態でラッチの回動が規制される。これにより、リッドが閉鎖位置で保持される。一方、リッドが閉じた状態から押し込み位置に押し込まれると、ストライカに押圧されてラッチが検知位置に到達する。その後、ポールがアンブロック位置に変位し、これにより、付勢手段の付勢力によって、ラッチがストライカを押し出し、ストライカを介してリッドが開放される。
この車両用リッドロック装置によれば、製造コストを下げることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-223256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の車両用リッドロック装置では、ラッチの傾斜状の係合面からストライカに作用する力によってストライカが横(進行方向側方)滑りし、リッドが横ずれしてしまうという問題や、リッドが過度に押し込まれることでストライカからラッチに作用する力を受けて、ラッチ廻りの部品を損傷させてしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、リッドの横ずれを抑制しラッチ廻りの部品の損傷を抑制する機構を有し、且つ当該機構に水や異物が溜まるのを抑制することができる車両用リッドロック装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車体の開口部を開閉するリッドを閉状態でロックする車両用リッドロック装置であって、前記開口部に固定されたハウジングと、前記ハウジングの表面側に位置して配設され、前記リッドに固定されたストライカと係合するラッチと、前記ハウジングの表面に前記ストライカの移動範囲を囲うように配設され、前記ストライカの移動を前記移動範囲内に規制する移動規制手段と、を備え、前記移動規制手段には、当該移動規制手段内の水を排出する排出口が形成され、前記ハウジングは、前記ハウジング上における前記ストライカの進行方向が鉛直方向下向きに傾くように前記開口部に固定され、前記移動規制手段は、前記移動範囲の前記進行方向先側に面して配設されたストッパと、前記移動範囲の前記進行方向側方側のうちの鉛直方向下側に面して配設された第1規制部材と、前記移動範囲の前記進行方向側方側のうちの鉛直方向上側に面して配設された第2規制部材と、を有することを特徴とする車両用リッドロック装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用リッドロック装置は、リッドの横ずれ抑制やラッチ廻りの部品損傷の抑制を行い、且つ、水や異物が溜まるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用リッドロック装置を示した斜視図(a)及び裏面斜視図(b)である。
図2】車両用リッドロック装置の設置状態を示した斜視図(a)及び正面図(b)である。
図3】車両用リッドロック装置を示した分解斜視図である。
図4】ストライカガイド廻りを示した正面図である。
図5】(a)は、ストライカガイドの水捌け構造を示した説明図であり、(b)は、上下反転させて設置したときのストライカガイドの水捌け構造を示した説明図である。
図6】閉塞動作時の車両用リッドロック装置及びハートカムを示した説明図である。
図7】開放動作時の車両用リッドロック装置及びハートカムを示した説明図である。
図8】(a)は、第1変形例のストライカガイドを示した正面図であり、(b)は、第2変形例のストライカガイドを示した正面図である。
図9】(a)は、第3変形例のストライカガイドを示した正面図であり、(b)は、第4変形例のストライカガイドを示した正面図である。
図10】(a)は、第5変形例のストライカガイドを示した斜視図であり、(b)は、第6変形例のストライカガイドを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用リッドロック装置について説明する。この車両用リッドロック装置は、電気自動車(車両)の車体に設けられた充電口(開口部)を開閉する充電ポート用リッド(蓋体)を、閉状態でロック(保持)するものであり、充電ポート用リッドに固定されたストライカを保持することで充電ポート用リッドを閉状態でロックするロック機能と、充電ポート用リッドの開放時にストライカを介して充電ポート用リッドを外方に押し開く(跳ね上げる)押上げ機能とを兼ね備えた装置である。特に、本車両用リッドロック装置は、ストライカの移動を規制するガイド機構を設けると共に、当該ガイド機構に水捌け構造を設けることで、当該ガイド機構内に水、ゴミや埃等の異物が溜まるのを抑制したものである。なお、以下、充電ポート用リッドを単にリッドと呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。
【0010】
(車両用リッドロック装置の概要)
まず、図1及び図2を参照して、車両用リッドロック装置1の概要について説明する。図1に示すように、車両用リッドロック装置1は、ハウジング4と、ハウジング4に対して揺動自在に配設され、リッドLに固定されたストライカ21と係合するラッチ3と、ハウジング4上に設けられ、上記ガイド機構を成すストライカガイド11(移動規制手段)と、を備えている。
【0011】
ハウジング4は、表面側の第1ハウジング41と裏面側の第2ハウジング42との2部材で構成されており、第1ハウジング41と第2ハウジング42とは、スナップフィット方式で接合され一体化されている。また、図1(a)に示すように、第1ハウジング41の表面(図1(a)中手前側の面:前面)には、突出部45が形成されており、ラッチ3及びストライカガイド11は、当該突出部45上に配設されている。詳細は後述するが、この突出部45が、充電口2の内部に突出する部分となる。一方、図1(b)に示すように、第2ハウジング42には、後述するモータ9の給電用、及びスイッチ10の出力信号を外部に出力するケーブル(不図示)を接続するためのコネクタ部43が設けられている。また、第2ハウジング42には、モータ9の故障時に後述するロックギア8を揺動させるための解除レバー12が取り付けられている。
【0012】
図2は、車両用リッドロック装置1の設置状態を示した図である。図2(a)に示すように、車両用リッドロック装置1は、上記突出部45が充電口2内に突出するように、充電口2の側壁2aに固定されている。すなわち、車両用リッドロック装置1のハウジング4が、充電口2の側壁2aに対し、表面側(第1ハウジング41側)を充電口2の内側とする内向きに固定されている。具体的には、車両用リッドロック装置1は、ストライカ21がリッドLの先端側に配設されていることに対応して、充電口2における、リッドLのヒンジ(不図示)側とは逆側の側壁2aに配設されている。
【0013】
また、図2(b)に示すように、車両用リッドロック装置1は、充電口2が鉛直方向上向きに若干傾いて配設されているため、鉛直方向に対し若干傾いて配設されている。具体的には、車両用リッドロック装置1のハウジング4が、ハウジング4上におけるストライカ21の進行方向が鉛直方向下向きに傾くように側壁2aに固定されている。
【0014】
(車両用リッドロック装置の詳細)
次に図1図3ないし図6を参照して、車両用リッドロック装置1の詳細について説明する。図3は、車両用リッドロック装置1を示した分解斜視図である。図3に示すように、車両用リッドロック装置1は、第1ハウジング41及び第2ハウジング42から成るハウジング4と、ハウジング4の表面上に形成され、ストライカ21の移動を規制するストライカガイド11と、ハウジング4の表面側に位置しハウジング4に対して揺動自在に配設され、リッドLを閉状態にするロック位置とリッドLを開状態にするアンロック位置とリッドLを閉状態からさらに押し込んでリッドLを開状態にするための押し込み位置との間を揺動するラッチ3と、ラッチ3の揺動軸と同軸でラッチ3と共に揺動可能な軸状部材5と、ラッチ3がアンロック位置に揺動するように弾性力を付与する弾性部材としてのトーションバネ6と、を備えている。
【0015】
また、車両用リッドロック装置1は、軸状部材5の側面部52に凹設された溝カムであるハートカム54と、基端部72がハウジング4に支持され、先端部71がハートカム54と係合すると共に、ラッチ3の揺動によって先端部71がハートカム54に沿って誘導されるロックピン7と、ロックピン7の先端部71をハートカム54の溝底側に付勢する板バネ13と、を備えている。
【0016】
また、車両用リッドロック装置1は、アクチュエータとしてのモータ9と、モータ9の出力軸に連結されるウォーム91と、ウォーム91に噛み合うことでモータ9によって駆動されリッドLの閉状態から開状態への移動を規制する規制位置とリッドLの閉状態から開状態への移動を許容する非規制位置との間を揺動するロックギア8と、モータ9の故障時にロックギア8を非規制位置に揺動させるための解除レバー12と、軸状部材5及びラッチ3の揺動に伴って第1信号状態としてのオフ、及び第2信号状態としてのオンが切り替えられるスイッチ10と、を備えている。
【0017】
第1ハウジング41には、ラッチ3が取り付けられるラッチ取付穴410bが形成されている。このラッチ取付穴410bを介してラッチ3と軸状部材5とが一体に揺動するように連結されている。ラッチ3は、ネジ35によって軸状部材5に連結されている。ここで、第1ハウジング41とラッチ3との間にはハウジング4の内部を防水するための第1環状弾性体34が配置されている。
【0018】
第2ハウジング42には、解除レバー12が取り付けられる解除レバー取付穴(不図示)が形成されている。この解除レバー取付穴を介して解除レバー12とロックギア8とが一体に揺動するように連結されている。解除レバー12は、ロックギア8の解除レバー固定部82と解除レバー12のロックギア固定部12aとで係合し、ネジ15によりロックギア8に連結されている。
【0019】
軸状部材5は、回転軸と直交する上面55及び底面56と、回転軸方向と平行な側面部52と、を有している。また、軸状部材5は、上面55にトーションバネ6を収容するために設けられた円形の溝形状のトーションバネ収容部57と、上面55から回転軸方向に突出するように設けられ、ラッチ3を固定するラッチ固定部51と、側面部52に設けられ、スイッチ10のボタン部を押圧するスイッチ押圧部(不図示)と、を有している。なお、上記ハートカム54は、軸状部材5の側面部52に凹設されている。
【0020】
ロックピン7は、棒状の部材を略U字形状としたものであって、基端部72と、先端部71と、中間部74と、を有する。そして、先端部71は、軸状部材5上のハートカム54と係合し、基端部72は、ハウジング4に対し進退動自在且つ回転自在に取り付けられている。その結果、ロックピン7は、先端部71が軸状部材5の回転軸方向にハートカム54に沿って移動できると共に、先端部71が軸状部材5の回転軸方向に垂直な方向(軸状部材5に対する離接方向)に移動できるようになっている。
【0021】
板バネ13は、軸状部材5の側面部52に対面するように配設され、ロックピン7をハートカム54の溝底側に付勢する。これにより、ロックピン7の先端部71が、常にハートカム54に押し付けられる状態になる。
【0022】
ラッチ3は、ラッチ3の揺動軸方向に延出し軸状部材5のラッチ固定部51とネジ35とで固定される固定軸部31と、固定軸部31に接続しラッチ3の揺動軸に直交する平面上において揺動軸から離れる方向に延出する第1の爪部32と、固定軸部31に接続し第1の爪部32と同一の平面上において第1の爪部32と離れるように位置すると共にラッチ3の揺動方向に第1の爪部32と向かい合うように延出する第2の爪部33と、を有している。第1の爪部32は、ラッチ3がロック位置にある状態において、ストライカ21が進行方向後方に移動することを規制する保持部である。一方、第2の爪部33は、ラッチ3の揺動に伴って、ストライカ21を進行方向の後方に押し出す押出し部である。なお、ストライカ21は、円柱状の係合部211と、係合部211を両持ちで支持する一対の腕部212と、で構成されており、第1の爪部32及び第2の爪部33は、突出部45の表面に対し並行且つ間隔を空けて配設され、係合部211に接触し係合する構成となっている。
【0023】
本実施形態では、ラッチ3と、軸状部材5と、ロックギア8と、解除レバー12と、の回転軸(揺動軸)が同軸になるように配置されている。そして、解除レバー12とロックギア8とが連動して揺動することができ、またラッチ3と軸状部材5とが連動して揺動することができるようになっている。すなわち、ラッチ3は、軸状部材5を介してハウジング4に揺動自在に取り付けられている。
【0024】
トーションバネ6は、トーションバネ収容部57に収容されると共に、一端が軸状部材5に係止され、他端が第2ハウジング42に係止されている。これによって、トーションバネ6は、軸状部材5を回転付勢している。トーションバネ6は、軸状部材5を介してラッチ3をアンロック位置側に揺動付勢するものであり、第2の爪部33によりストライカ21を押し出すための揺動力をラッチ3に付与する役割を担っている。
【0025】
図6に示すように、ハートカム54は、ラッチ3がアンロック位置にある場合にロックピン7の先端部71が位置する第1位置540aと、ラッチ3がロック位置にある場合にロックピン7の先端部71が位置する第2位置540bと、を有し、第1位置540aと第2位置540bとが、軸状部材5の回転方向において異なる位置に設けられている。また、ハートカム54は、ラッチ3がアンロック位置からロック位置まで揺動する場合にロックピン7の先端部71が誘導される第1経路545と、第1経路545と第2位置540bとの間にある第1押し込み位置546と、ラッチ3がロック位置からアンロック位置まで揺動する場合にロックピン7の先端部71が誘導される第2経路548と、第2経路548と第2位置540bとの間にある第2押し込み位置547と、を有している。すなわち、ハートカム54は、第1位置540aと、第1経路545と、第1押し込み位置546と、第2位置540bと、第2押し込み位置547と、第2経路548と、が環状に接続された略ハート型の形状をなしている。
【0026】
また、ハートカム54は、第1経路545と第1押し込み位置546との間において第1押し込み位置546が第1経路545に対して軸状部材5の回転軸に近づく方向に向かって深くなるようにする第1段差541と、第1押し込み位置546と第2位置540bとの間において第2位置540bが第1押し込み位置546に対して軸状部材5の回転軸に近づく方向に向かって深くなるようにする第2段差542と、第2位置540bと第2押し込み位置547との間において第2押し込み位置547が第2位置540bに対して軸状部材5の回転軸に近づく方向に向かって深くなるようにする第3段差543と、第2経路548と第1位置540aとの間において第1位置540aが第2経路548に対して軸状部材5の回転軸に近づく方向に向かって深くなるようにする第4段差544と、を有している。
【0027】
また、第1経路545は、第1位置540a方向から第1段差541方向に向かうにしたがって軸状部材5の回転軸から遠ざかる方向に浅くなるように傾斜し、第2経路548は第2押し込み位置547方向から第1位置540a方向に向かうにしたがって軸状部材5の回転軸から遠ざかる方向に浅くなるように傾斜している。
【0028】
図3に示すように、ロックギア8は、軸状部材5の底面56と向かい合う位置に設けられた本体部83と、本体部83における軸状部材5の底面56と向かい合う側の面とは反対側であってロックギア8の回転軸と直交する面から突出するように設けられた解除レバー固定部82と、モータ9の出力軸に連結されたウォーム91と噛み合うと共に本体部83におけるロックギア8の回転軸と直交しない面に接続される円弧状のギア部81と、ギア部81から軸状部材5の側面部52に沿って延出し、ハートカム54の一部を覆う抑止部84と、を有している。
【0029】
ロックギア8は、ラッチ3の揺動軸と同軸に揺動可能に配置されるものであって、非規制位置と規制位置との間で揺動可能に配設されている。そして、モータ9を駆動すると、ウォーム91及びギア部81によって、ロックギア8が非規制位置から規制位置に揺動する。これによって、ロックギア8に設けられた抑止部84がハートカム54の一部を覆うことでロックピン7の先端部71が第2位置540bから脱出することを妨げる。これにより、リッドLが閉状態から開状態へ移動することを規制することができる。なお、モータ9の駆動(ロックギア8によるリッドLの移動規制)は、ドアロックの施錠と連動させる構成であっても良いし、リモコンキーに別途設けた操作ボタンで行う構成であっても良い。
【0030】
次に図1(a)及び図4を参照して、ストライカガイド11について説明する。図1(a)及び図4に示すように、ストライカガイド11は、第1ハウジング41の突出部45表面において第1ハウジング41と一体成形されており、ストライカ21の移動範囲Aの下側に面して配設された第1ガイド部材111(第1規制部材)と、ストライカ21の移動範囲Aの上側に面して配設された第2ガイド部材112(第2規制部材)と、ストライカ21の移動範囲Aの右側に面して配設されたストッパ113と、を有している。すなわち、ストライカガイド11は、全体として、ストライカ21の移動範囲Aを囲うように配設され、ストライカ21の移動を当該移動範囲A内に規制する。
【0031】
第1ガイド部材111は、ストライカ21の移動範囲Aの下側に沿って延在した板状部材で構成されている。すなわち、第1ガイド部材111は、ラッチ3からストライカ21に作用した力によってストライカ21が進行方向右側に移動することを規制するものであり、ストライカ21の移動経路R(ストライカ21の移動範囲A)の上記進行方向右側に沿って配設されている。つまり、第1ガイド部材111の上面は、ストライカ21が進行方向右側に移動しようとするときに、ストライカ21が接触し摺動する摺動面となっている。詳細は後述するが、例えば、リッドLの開放動作におけるリッドL押込み時においては、ストライカ21が進行方向右側に移動しようとするが(図7(b)参照)、第1ガイド部材111が、当該進行方向右側への移動を規制する。
また、鉛直方向を考慮すると、第1ガイド部材111は、ストライカ21の移動範囲Aの上記進行方向側方側のうちの鉛直方向下側に沿って延在していると言える。その結果、第1ガイド部材111の上面は、鉛直方向を考慮したとき、ストライカ21の進行方向に向かう下り傾斜となっている(図5(a)参照)。
【0032】
一方、第2ガイド部材112は、ストライカ21の移動範囲Aの上側に沿って延在した板状部材で構成されている。すなわち、第2ガイド部材112は、ラッチ3からストライカ21に作用した力によってストライカ21が進行方向左側に移動することを規制するものであり、ストライカ21の移動経路R(ストライカ21の移動範囲A)の上記進行方向左側に沿って配設されている。つまり、第2ガイド部材112の下面は、ストライカ21が進行方向左側に移動しようとするときに、ストライカ21が接触し摺動する摺動面となっている。詳細は後述するが、例えば、リッドLの閉塞動作におけるストライカ21とラッチ3との接触開始時には、ストライカ21が進行方向左側に移動しようとするが(図6(a)参照)、第2ガイド部材112が、当該進行方向左側への移動を規制する。
また、鉛直方向を考慮すると、第2ガイド部材112は、ストライカ21の移動範囲Aの上記進行方向側方側のうちの鉛直方向上側に沿って延在していると言える。なお、第2ガイド部材112には、ラッチ3の固定軸部31と干渉しないように切り欠いた切欠き部112bが形成されており、第2ガイド部材112は、この切欠き部112bによって、2部材に分割されている。
【0033】
また、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112の左端(上記進行方向後端)は、その内角部に面取り部111a、112aが形成されている。これらの面取り部111a、112aが、ストライカ21をストライカガイド11内に導く誘い斜面として機能する。すなわち、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112の左端部(基端部)は、面取り部111a、112aによってストライカ21をストライカガイド11内に導く導入口としても機能している。
【0034】
ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側に面して配設されると共に、ストライカ21の進行方向に延在した板状部材で構成されている。すなわち、ストッパ113は、ストライカ21が移動範囲Aを超えて進行方向に移動することを規制し且つリッドLを押し込んだときの力を受けるものであり、ストライカ21の移動範囲Aの上記進行方向先側に面して配設されている。
【0035】
また、ストッパ113は、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112との間に、所定の間隔Gを存して配設されている。本実施形態では、この間隔Gが、ストライカガイド11内の水を排出する排出口として機能している(水捌け構造)。図5(a)に示すように、ストライカガイド11内に入った水は、第1ガイド部材111の上面を伝ってストッパ113廻りに至り、第1ガイド部材111とストッパ113との上記間隔Gからストライカガイド11外に排出される。なお、第1ガイド部材111との間のみならず、第2ガイド部材112との間にも間隔Gが形成されていることで、車両における充電口2の位置の関係で、図5(b)に示すように、車両用リッドロック装置1を上下反転させて設置した場合にも、ストライカガイド11内に入った水がストライカガイド11外に排出される。
【0036】
なお、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113の高さ(前後方向の高さ)は、ラッチ3と干渉しない高さに設定されている。そのため、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113は、主に、ストライカ21の係合部211ではなく、ストライカ21の腕部212に接触して、ストライカ21の移動を規制する構成になっている。すなわち、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113は、ラッチ3がストライカ21の係合部211に接触するために作られた間隔(空き空間)に配設されていると言える。なお、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113の高さは、ヒンジを中心とするストライカ21の円軌道の動きを考慮した高さに設定されている。すなわち、リッドLの開閉に際し、ストライカ21は、リッドLのヒンジを中心として円軌道で動くため、ストライカ21は、車両用リッドロック装置1上において、若干前後方向に動く(ピッチングする)構成となるが、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113の高さは、この前後方向の動きがあっても、ストライカ21の腕部212と確実に接触し、ストライカ21の移動を確実に規制できる高さに設定されている。
【0037】
(車両用リッドロック装置の動作)
次に図6及び図7を参照して、車両用リッドロック装置1を用いたリッドLの閉塞動作及び開放動作について説明する。まず、図6を参照して、車両用リッドロック装置1を用いたリッドLの閉塞動作について説明する。本閉塞動作は、使用者がリッドLを閉塞することに起因して、車両用リッドロック装置1が作動し、リッドLを閉状態でロックするものである。
【0038】
図6(a)に示すように、使用者が開状態のリッドLを閉塞していくと、ストライカ21が、アンロック位置にあるラッチ3の第2の爪部33に接触し、ラッチ3を押圧する。このとき、ストライカ21が第2の爪部33の傾斜面に接触して、第2の爪部33からストライカ21に作用する力の分力が、ストライカ21の進行方向左側に作用することで、ストライカ21が進行方向左側に移動しようとするが、当該進行方向左側への移動は、第2ガイド部材112によって規制される。
【0039】
リッドLの閉塞が進むと、ストライカ21の押圧によって、ラッチ3が、トーションバネ6の付勢力に逆らってアンロック位置から揺動していき、ラッチ3が固定された軸状部材5が回転していく。これに伴って、ロックピン7の先端部71が、第1位置540aから第1経路545上を移動していく。そして、図6(b)に示すように、リッドLの閉塞が進み、ラッチ3がロック位置を経て押し込み位置に到達すると、ロックピン7の先端部71が第1段差541を経て第1押し込み位置546に到達し、またストライカ21がストッパ113に突き当たる。このとき、ロックピン7の先端部71が第1押し込み位置546の端に突き当たる前に、ストライカ21がストッパ113に突き当たるため、リッドLを閉塞するときの力をストッパ113が受けることになる。また、このとき、ストライカ21が第2の爪部33の傾斜面に接触して、第2の爪部33からストライカ21に作用する力の分力が、ストライカ21の進行方向右側に作用することで、ストライカ21が進行方向右側に移動しようとするが、当該進行方向右側への移動は、第1ガイド部材111によって規制される。
【0040】
その後、使用者がリッドLから手を放すと、トーションバネ6の付勢力によって軸状部材5が回転する。これによって、図6(c)に示すように、ラッチ3が押し込み位置からロック位置に揺動すると共に、ロックピン7の先端部71が第2段差542を経て第2位置540bに到達する。ロックピン7の先端部71が第2位置540bに到達すると、ロックピン7の先端部71が第2位置540bにおけるハートカム54の内壁に突き当たる。これによって、軸状部材5の回転が規制される。これにより、ラッチ3の揺動が規制されラッチ3がロック位置に維持されることで、ストライカ21を介してリッドLは閉状態でロック(保持)される状態となる。
【0041】
次に図7を参照して、車両用リッドロック装置1を用いたリッドLの開放動作について説明する。本開放動作は、使用者がリッドLを押し込むことに起因して、車両用リッドロック装置1が作動し、リッドLを開放するものである。図7(a)に示すように、本閉塞動作は、ラッチ3がロック位置に位置し、リッドLが閉状態で保持された状態から行われるものとする。
【0042】
図7(b)に示すように、使用者がリッドLを押し込むと、ストライカ21の押圧により、トーションバネ6の付勢力に逆らってラッチ3がロック位置から押し込み位置まで揺動し、これに伴って軸状部材5が回転する。これによって、ロックピン7の先端部71が第3段差543を経て第2押し込み位置547に到達し、またストライカ21がストッパ113に突き当たる。このとき、ロックピン7の先端部71が第2押し込み位置547の端に突き当たる前に、ストライカ21がストッパ113に突き当たるため、リッドLを押し込むときの力をストッパ113が受けることになる。また、このとき、ストライカ21が第2の爪部33の傾斜面に接触して、第2の爪部33からストライカ21に作用する力の分力が、ストライカ21の進行方向右側に作用することで、ストライカ21が進行方向右側に移動しようとするが、当該進行方向右側への移動は、第1ガイド部材111によって規制される。
【0043】
その後、使用者がリッドLから手を放すと、トーションバネ6の付勢力によって軸状部材5が回転する。これによって、図7(c)に示すように、ラッチ3が押し込み位置からアンロック位置に揺動すると共に、ロックピン7の先端部71が第2経路548及び第4段差544を経て第1位置540aに到達する。このとき、揺動するラッチ3がストライカ21を進行方向後方に押し出すことで、ストライカ21を介してリッドLが外方に押し開かれる。これによって、リッドLが開状態となる。なお、この工程の前半では、第2の爪部33からストライカ21に作用する力の分力が、ストライカ21の進行方向右側に作用することで、ストライカ21が進行方向右側に移動しようとするが、当該進行方向右側への移動は、第1ガイド部材111によって規制される。一方、この工程の後半では、第2の爪部33からストライカ21に作用する力の分力が、ストライカ21の進行方向左側に作用することで、ストライカ21が進行方向左側に移動しようとするが、当該進行方向左側への移動は、第2ガイド部材112によって規制される。
【0044】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、ストライカガイド11に、当該ストライカガイド11内の水を排出する排出口(間隔G)を設けたことで、ストライカガイド11内の水をストライカガイド11外に排出することができる。これによって、充電口2内に進入した水がストライカガイド11内に溜まるのを抑制することができる。そして、ストライカガイド11内の水が排出口から排出されることで、排出される水によって、ストライカガイド11内に入ったゴミや埃等の異物を、ストライカガイド11外に流し出すことができる。これにより、異物がストライカガイド11内に堆積することを抑制することができる。
すなわち、電気自動車の充電口2では、充電を行うのに、リッドLを開放して充電用コネクタを接続し、この状態で長時間(場合によっては一晩中)放置する。このため、充電口2内に、ゴミや埃等の異物や、雨水等の水が入りやすい。一方、第1ガイド部材111、第2ガイド部材112及びストッパ113を有するストライカガイド11を採用した車両用リッドロック装置1では、ストライカガイド11が、ストライカ21の移動範囲Aを囲うように設けられていることで、充電口2内に進入した異物がストライカガイド11内に蓄積しやすく、また充電口2内に進入した水がストライカガイド11内に溜まりしやすい。これらによって、ストライカガイド11内に異物が蓄積し、ストライカガイド11内に水が溜まるという問題が生じる。この結果、ストライカガイド11内に溜まった水が凍結し、またはストライカガイド11内に異物が堆積すると、ストライカ21の進行が阻害され、リッドLの開閉ができなくなってしまう。具体的には、ストライカ21の進行の阻害によって、リッドLが押込み位置まで押し込めなくなり、車両用リッドロック装置1を用いたリッドLの開放動作及び閉塞動作が正常に行えなくなってしまう。
これに対し、上記実施形態の構成によれば、ストライカガイド11に、当該ストライカガイド11内の水を排出する排出口を設けたことで、上記したように、異物がストライカガイド11内に蓄積することを抑制することができると共に、水がストライカガイド11内に溜まるのを抑制することができる。これによって、リッドLの開閉ができなくなってしまうといった不具合を防止することができる。
【0045】
また、本来、隅部となる部分に、排出口(間隔G)を設けたことで、水や異物の蓄積をより抑制することができる。特に、第1ガイド部材111とストッパ113とが成す隅部や、第1ハウジング41の表面、第1ガイド部材111およびストッパ113が成す隅部に面して、排出口(間隔G)を設けたことで、当該隅部に水や異物が蓄積をすることを抑制することができる。
【0046】
さらに、ストッパ113が、ストライカ21の進行方向に延在し、第1ガイド部材111との間に、排出口を成す間隔Gが形成される板状部材で構成されていることで、ストッパ113を成型しやすい簡単な構成にすることができ、且つストッパ113の剛性を向上させることができる。また、第1ガイド部材111との間のみならず、第2ガイド部材112との間にも、排出口を成す間隔Gを形成することで、車両用リッドロック装置1が上下反転させた姿勢で取り付けられる場合にも十分な水捌け能力を得ることができる。すなわち、車両用リッドロック装置1は、設置する充電口2が車両の左右どちらに設けられているかによって、図5(b)に示すように、車両用リッドロック装置1が、ストライカ21の進行方向が鉛直方向下向きに傾いていることはそのままに、上下反転させた姿勢で取り付けられるが、このような姿勢で設置された場合にも十分な水捌け能力を得ることができる。
【0047】
また、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112を設けたことで、ストライカ21が進行方向側方に移動することを規制することができる。これによって、ストライカ21の横滑りを抑制することができ、リッドLの横ずれを抑制することができる。これにより、リッドLの開閉時に、リッドLがボディパネル等に接触することを防止することができる。また、ストライカ21の横滑りを抑制したことで、ストライカ21の移動軌跡が異常な軌跡にならず、リッドLを押し閉めるときに生じる抵抗の起伏が不快なものになることがない。よって、リッドLの操作に不快感が生じるのを防止することができる。
【0048】
さらに、ストッパ113を設けたことで、リッドLの閉塞時や押し込み時の力をストッパ113で受けることができる。そのため、リッドLの閉塞時や押し込み時の力によって、ラッチ3廻りの部品(特に軸状部材5の軸)が破損するのを防止することができる。
【0049】
(その他の実施形態について)
次に図8ないし図10を参照して、ストライカガイド11の変形例について、上記実施形態とは異なる部分のみ説明する。図8(a)は、第1変形例のストライカガイド11を示した正面図である。図8(a)に示すように、第1変形例のストライカガイド11では、ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側(ストライカ21の進行方向先側)に面し且つ上記進行方向に直交する方向に延在し、第1ガイド部材111との間に、上記排出口を成す間隔Gが形成される板状部材で構成されている。このような構成によれば、ストッパ113を成型しやすい簡単な構成にすることができる。
【0050】
図8(b)は、第2変形例のストライカガイド11を示した正面図である。図8(b)に示すように、第2変形例のストライカガイド11では、第1変形例と同様、ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側(ストライカ21の進行方向先側)に面し且つ上記進行方向に直交する方向に延在し、第1ガイド部材111との間に、上記排出口を成す間隔Gが形成される板状部材で構成されている。そして、第2変形例のストライカガイド11では、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112の長さ(ストライカ21の進行方向の長さ)を、ストッパ113まで短くしている。このような構成によれば、ストッパ113、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112を簡単な構成にすることができる。
【0051】
図9(a)は、第3変形例のストライカガイド11を示した正面図である。図9(a)に示すように、第3変形例のストライカガイド11では、ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側(ストライカ21の進行方向先側)に面し且つ上記進行方向に直交する方向に沿って並列配置された2個のストッパ部材113aで構成されている。2個のストッパ部材113aは、それぞれがストライカ21の進行方向に延在する板状部材で構成されている。そして、2個のストッパ部材113aは、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112との間、並びに相互間に、上記排出口を成す間隔Gを存して配設されている。このような構成によれば、ストッパ113の剛性を向上させることができる。また、第1ガイド部材111との間のみならず、第2ガイド部材112との間にも、排出口を成す間隔Gを形成することで、車両用リッドロック装置1が上下反転させた姿勢で取り付けられる場合にも十分な水捌け能力を得ることができる。
【0052】
図9(b)は、第4変形例のストライカガイド11を示した正面図である。図9(b)に示すように、第4変形例のストライカガイド11では、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112の先端部が、相互に拡開した形状となっている。すなわち、第4変形例のストライカガイド11では、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112は、ストライカ21の移動範囲Aの左右両側(ストライカ21の進行方向側方両側)に沿って延在すると共に、先端部(ストライカ21の進行方向の先端部)がストライカ21の移動範囲Aから離れる方向に拡開した形状を有する板状部材で構成されている。つまり、第1ガイド部材111の先端部が斜め下方向に延在し、第2ガイド部材112の先端部が斜め上方向に延在している。このような構成によれば、排出口を成す間隔Gを広くすることができるので、水捌け能力をより向上させることができる。なお、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112は、そのストライカ21に対する移動規制能力が損なわないように、ストライカ21の移動範囲Aに面しない部分を拡開した形状としている。なお、本変形例では、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112の両方を、先端部がストライカ21の移動範囲Aから離れる方向に拡開した形状にしたが、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112のいずれか一方のみを、先端部がストライカ21の移動範囲Aから離れる方向に拡開した形状にしても良い。
【0053】
図10(a)は、第5変形例のストライカガイド11を示した斜視図である。図10(a)に示すように、第5変形例のストライカガイド11では、ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側(ストライカ21の進行方向先側)に面し且つ上記進行方向に直交する方向に延在した板状部材で構成されており、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112と一体となっている。そして、第5変形例のストライカガイド11では、ストッパ113のハウジング4の表面(突出部45の表面)に面した部分に、上記排出口を成す開口113bが形成されている。
【0054】
図10(b)は、第6変形例のストライカガイド11を示した斜視図である。図10(b)に示すように、第6変形例のストライカガイド11では、第5変形例と同様、ストッパ113は、ストライカ21の移動範囲Aの右側(ストライカ21の進行方向先側)に面し且つ上記進行方向に直交する方向に延在した板状部材で構成されており、第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112と一体となっている。そして、第6変形例のストライカガイド11では、第1ガイド部材111のハウジング4の表面(突出部45の表面)に面した部分に、上記排出口を成す開口111bが形成されている。
【0055】
なお、上記実施形態においては、車両の充電口2に取り付けられ、充電ポート用リッドを閉状態でロックする車両用リッドロック装置1に、本発明を適用する構成であったが、車両の給油口に取り付けられ、フューエルリッド(給油ポート用リッド)を閉状態でロックする車両用リッドロック装置に、本発明を適用しても良い。
【0056】
また、車体の開口部を開閉するリッドLとして、ボンネットの開口部を開閉するボンネットリッド、トランクの開口部を開閉するトランクリッド、または車体の開口部を開閉する各種ドア等を閉状態でロックする車両リッドロック装置に、本発明を適用しても良い。
【0057】
なお、上記実施形態においては、車両用リッドロック装置1に本発明を適用したが、車両用リッドロック装置1、リッドLおよびストライカ21を備えたリッド開閉機構に、本発明を適用しても良い。かかる場合、車両用リッドロック装置1上にストライカガイド11を設けたことで、充電口2の側壁2aにストライカガイド11を設ける構成に比べ、ストライカガイド11を容易に形成することができる。すなわち、ヒンジ取付け部を含む充電口2を樹脂成型で成形する兼ね合いで、充電口2の側壁2aには、特段の部材を形成しづらいところ、ストライカガイド11を車両用リッドロック装置1上(車両用リッドロック装置1のハウジング4上)に設けたことで、ストライカガイド11を容易に形成することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記に記載した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:車両用リッドロック装置、 2:充電口、 3:ラッチ、 4:ハウジング、 11:ストライカガイド、 21:ストライカ、 111:第1ガイド部材、 111b:開口、 112:第2ガイド部材、 113:ストッパ、 113a:ストッパ部材、 113b:開口、 A:ストライカの移動範囲、 G:間隔、 L:リッド
図1
図2
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図4
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図10