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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】通信装置及び位置推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240215BHJP
   G01S 13/79 20060101ALI20240215BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240215BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
G01S5/14
G01S13/79
B60R25/24
E05B49/00 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020051716
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021148739
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】古田 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕己
(72)【発明者】
【氏名】新田 繁則
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0304226(US,A1)
【文献】特開2014-084595(JP,A)
【文献】国際公開第2018/148687(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0007507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 7/00- 7/42
G01S 11/00-11/10
G01S 13/00-13/95
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
E05B 49/00-49/04
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される通信装置であって、
前記車両のユーザに携帯される装置である他の通信装置との間で無線通信を行う2つの第1の無線通信部と、
前記他の通信装置との間で無線通信を行う2つの第2の無線通信部と、
前記他の通信装置が存在すると想定される空間を示す情報である空間情報と、2つの前記第2の無線通信部の各々により行われた無線通信により得られた、2つの前記第2の無線通信部の各々と前記他の通信装置との間の距離を示す複数の測距値と、に基づいて、前記他の通信装置が存在する位置を推定する制御部と、
を備え、
前記空間情報は、2つの前記第1の無線通信部により行われた無線通信により得られた、2つの前記第1の無線通信部のうちいずれか一方に近い方向に前記他の通信装置が存在することを示す情報を含み、
2つの前記第1の無線通信部は、前記車両の左右方向に離隔して配置され、
2つの前記第2の無線通信部は、前記車両の前後方向に離隔して配置される、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記測距値に基づいて推定した前記他の通信装置が存在し得る複数の位置のうち、前記空間情報により示される前記他の通信装置が存在すると想定される前記空間に属する位置を、前記他の通信装置が存在する位置として推定することを、前記他の通信装置が存在する位置を推定することとして行う、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の無線通信部が準拠する無線通信規格と、前記第2の無線通信部が準拠する無線通信規格とは、異なる、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記空間情報は、前記通信装置が存在する位置において過去に推定された、前記他の通信装置が存在した位置に対応する方向を、前記他の通信装置が存在すると想定される空間として示す情報である、請求項1~3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記空間情報は、前記車両の車室内又は車室外を、前記他の通信装置が存在すると想定される前記空間として示す情報を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両の車室外における前記他の通信装置が存在する位置を推定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
車両のユーザに携帯される装置である他の通信装置との間で無線通信を行う2つの第1の無線通信部により行われた無線通信により得られた、2つの前記第1の無線通信部のうちいずれか一方に近い方向に前記他の通信装置が存在することを示す情報を含む、前記他の通信装置が存在すると想定される空間を示す情報である空間情報と、
前記他の通信装置との間で無線通信を行う2つの第2の無線通信部の各々により行われた無線通信により得られた、2つの前記第2の無線通信部の各々と前記他の通信装置との間の距離を示す複数の測距値と、
に基づいて、前記他の通信装置が存在する位置を推定すること、
を含み、
2つの前記第1の無線通信部は、前記車両に搭載され、前記車両の左右方向に離隔して配置され、
2つの前記第2の無線通信部は、前記車両に搭載され、前記車両の前後方向に離隔して配置される、
位置特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、装置間の距離を測定(以下、測距とも称し得る)するための様々な技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、信号が送信されてから受信されるまでにかかる時間(以下、伝搬時間とも称する)に基づいて、装置間の距離を測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9566945号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置間の距離を測定することは、一方の装置を基準とする他方の装置の位置を推定することとも捉えられる。しかしながら、装置の位置は、より詳細に推定されることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、装置の位置をより詳細に推定することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、他の通信装置との間で無線通信を行う複数の無線通信部と、前記複数の前記無線通信部の各々により行われた無線通信により得られた、前記複数の前記無線通信部の各々と前記他の通信装置との間の距離を示す複数の測距値に基づいて、前記他の通信装置が存在する位置を推定する制御部と、を備える通信装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の通信装置との間で無線通信を行う複数の無線通信部の各々により行われた無線通信により得られた、前記複数の前記無線通信部の各々と前記他の通信装置との間の距離を示す複数の測距値に基づいて、前記他の通信装置が存在する位置を推定すること、を含む、位置推定方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、装置の位置をより詳細に推定することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るシステムにおいて実行される測距処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】本実施形態に係る第1の無線通信部及び第2の無線通信部の配置の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る位置推定処理の一例を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る位置推定処理の一例を説明するための図である。
図6】本実施形態に係るシステムにおいて実行される位置推定処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて第1の無線通信部210A及び210Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、第1の無線通信部210A及び210Bを特に区別する必要が無い場合には、単に第1の無線通信部210と称する。
【0012】
<1.構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、携帯機100、及び通信ユニット200を含む。本実施形態における通信ユニット200は、車両202に搭載される。車両202は、ユーザの利用対象の一例である。
【0013】
本発明には、被認証者側の通信装置(第1の通信装置とも称する)と、認証者側の通信装置(第2の通信装置とも称する)と、が関与する。携帯機100は、第1の通信装置の一例である。通信ユニット200は、第2の通信装置の一例である。
【0014】
システム1においては、ユーザ(例えば、車両202のドライバー)が携帯機100を携帯して車両202に近づくと、携帯機100と通信ユニット200との間で認証のための無線通信が行われる。そして、認証が成功すると、車両202のドア錠がアンロックされたりエンジンが始動されたりして、車両202はユーザにより利用可能な状態になる。システム1は、スマートエントリーシステムとも称される。以下、各構成要素について順に説明する。
【0015】
(1)携帯機100
携帯機100は、通信ユニット200との間で無線通信を行う通信装置である。携帯機100は、ユーザに携帯して使用される任意の装置として構成される。任意の装置の一例として、電子キー、スマートフォン、及びウェアラブル端末等が挙げられる。図1に示すように、携帯機100は、第1の無線通信部110、第2の無線通信部120、記憶部130、及び制御部140を備える。
【0016】
第1の無線通信部110は、第1の無線通信規格に準拠した通信を行う機能を有する。例えば、第1の無線通信部110は、通信ユニット200との間で無線通信を行う。第2の無線通信部120は、第2の無線通信規格に準拠した通信を行う機能を有する。例えば、第2の無線通信部120は、通信ユニット200との間で無線通信を行う。
【0017】
第1の無線通信規格の一例として、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))が挙げられる。BLEは、低消費電力な無線通信規格として知られている。なお、BLEでは、2.4GHz帯の信号が送受信される。
【0018】
第2の無線通信規格の一例として、UWB(Ultra-Wide Band)を用いた信号を送受信するものが挙げられる。UWBを用いた信号の無線通信において、インパルス方式を利用すれば、ナノ秒以下の非常に短いパルス幅の電波を使用することで電波の伝搬時間を高精度に測定することができ、伝搬時間に基づく測距を高精度に行うことができる。なお、UWBは、約3GHz~約10GHzの周波数帯域を指すことが多い。
【0019】
ここで、無線通信においては、搬送波の周波数が高いほど受信側の消費電力が高くなることが知られている。搬送波の周波数が高いほど受信側のサンプリング周波数が高くなるためである。よって、BLEは、UWBを用いる無線通信規格と比較して、受信側の消費電力が低い、と言える。
【0020】
以下では、第1の無線通信規格はBLEであるものとする。即ち、第1の無線通信部110は、BLEでの通信が可能な通信インタフェースとして構成されるものとする。また、第2の無線通信規格はUWBを用いる無線通信規格であるものとする。即ち、第2の無線通信部120は、UWBでの通信が可能な通信インタフェースとして構成されるものとする。
【0021】
記憶部130は、携帯機100の動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部130は、携帯機100の動作のためのプログラム、並びに認証のためのID(identifier)、パスワード、及び認証アルゴリズム等を記憶する。記憶部130は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶媒体、及び記憶媒体への記録再生を実行する処理装置により構成される。
【0022】
制御部140は、携帯機100における処理を実行する機能を有する。例えば、制御部140は、第1の無線通信部110及び第2の無線通信部120を制御して通信ユニット200との間で通信を行う。また、制御部140は、記憶部130からの情報の読み出し及び記憶部130への情報の書き込みを行う。また、制御部140は、通信ユニット200との間で行われる認証処理を制御する。制御部140は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって構成される。
【0023】
(2)通信ユニット200
通信ユニット200は、携帯機100との間で無線通信を行う通信装置である。通信ユニット200は、車両202に対応付けて設けられる。ここでは、通信ユニット200が、車両202の車室内に設置される、又は通信モジュールとして車両202に内蔵される等、通信ユニット200は車両202に搭載されるものとする。
【0024】
図1に示すように、通信ユニット200は、複数の第1の無線通信部210、複数の第2の無線通信部220、記憶部230、及び制御部240を備える。
【0025】
第1の無線通信部210は、第1の無線通信規格に準拠した通信を行う機能を有する。例えば、第1の無線通信部210は、携帯機100との間で無線通信を行う。以下では、第1の無線通信部210は、BLEでの通信が可能な通信インタフェースとして構成されるものとする。
【0026】
第2の無線通信部220は、第2の無線通信規格に準拠した通信を行う機能を有する。例えば、第2の無線通信部220は、携帯機100との間で無線通信を行う。以下では、第2の無線通信部220は、UWBでの通信が可能な通信インタフェースとして構成されるものとする。
【0027】
記憶部230は、通信ユニット200の動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部230は、通信ユニット200の動作のためのプログラム、及び認証アルゴリズム等を記憶する。記憶部230は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶媒体、及び記憶媒体への記録再生を実行する処理装置により構成される。
【0028】
制御部240は、通信ユニット200、及び車両202に搭載された車載機器の動作全般を制御する機能を有する。一例として、制御部240は、第1の無線通信部210及び第2の無線通信部220を制御して携帯機100との間で通信を行う。また、制御部240は、記憶部230からの情報の読み出し及び記憶部230への情報の書き込みを行う。制御部240は、携帯機100との間で行われる認証処理を制御する認証制御部としても機能する。また、制御部240は、車両202のドア錠を制御するドアロック制御部としても機能し、ドア錠のロック及びアンロックを行う。また、制御部240は、車両202のエンジンを制御するエンジン制御部としても機能し、エンジンの始動/停止を行う。なお、車両202に備えられる動力源は、エンジンの他にモータ等であってもよい。制御部240は、例えばECU(Electronic Control Unit)として構成される。
【0029】
<2.技術的特徴>
(1)測距処理
携帯機100及び通信ユニット200は、測距処理を行う。測距処理とは、携帯機100と通信ユニット200との間の距離を測定する処理である。測距処理において測定された距離を、以下では測距値とも称する。
【0030】
測距処理においては、信号が無線で送受信され得る。
【0031】
測距処理において送受信される信号の一例は、測距用信号である。測距用信号は、装置間の距離を測定するために送受信される信号である。測距用信号は、計測の対象となる信号でもある。例えば、測距用信号の送受信にかかる時間が計測される。典型的には、測距用信号は、データを格納するペイロード部分を有さないフレームフォーマットで構成される。もちろん、測距用信号は、データを格納するペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成されてもよい。
【0032】
測距処理においては、装置間で複数の測距用信号が送受信され得る。複数の測距用信号のうち、一方の装置から他方の装置へ送信される測距用信号を第1の測距用信号とも称する。そして、第1の測距用信号を受信した装置から、第1の測距用信号を送信した装置へ送信される測距用信号を、第2の測距用信号とも称する。
【0033】
測距処理において送受信される信号の他の一例は、データ信号である。データ信号は、データを格納して搬送する信号である。データ信号は、データを格納するペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成される。
【0034】
測距処理において信号を送受信することを、以下では測距通信とも称する。本実施形態では、第2の無線通信部120及び第2の無線通信部220が測距通信を行うものとする。測距処理においては、携帯機100と通信ユニット200との間の距離として、測距通信を行った第2の無線通信部120と第2の無線通信部220との間の距離が、測定される。
【0035】
測距処理の一例を、図2を参照しながら説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係るシステム1において実行される測距処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、携帯機100及び通信ユニット200が関与する。
【0037】
図2に示すように、まず、携帯機100の第2の無線通信部120は、第1の測距用信号を送信する(ステップS12)。例えば、第1の測距用信号は、UWBを用いた信号として送信されてもよい。
【0038】
次いで、通信ユニット200の第2の無線通信部220は、携帯機100から第1の測距用信号を受信すると、第1の測距用信号の応答としての第2の測距用信号を送信する(ステップS14)。例えば、第2の測距用信号は、UWBを用いた信号として送信されてもよい。
【0039】
このとき、通信ユニット200の制御部240は、通信ユニット200における第1の測距用信号の受信時刻から第2の測距用信号の送信時刻までの時間ΔT2を計測しておく。他方、携帯機100の制御部140は、通信ユニット200から第2の測距用信号を受信すると、携帯機100における第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT1を計測しておく。
【0040】
次に、携帯機100の第2の無線通信部220は、時間ΔT1を示す情報を含むデータ信号を送信する(ステップS16)。例えば、データ信号は、UWBを用いた信号として送信されてもよい。
【0041】
そして、通信ユニット200の制御部240は、第2の無線通信部220が携帯機100からデータ信号を受信すると、受信されたデータ信号により示されるΔT1と計測したΔT2とに基づいて、携帯機100と第2の無線通信部220との間の距離を示す測距値を取得する(ステップS18)。例えば、まず、制御部240は、ΔT1-ΔT2を2で割ることで伝搬時間を計算する。ここでの伝搬時間とは、携帯機100と第2の無線通信部220との間の片道の信号送受信にかかる時間である。そして、制御部240は、伝搬時間に信号の速度を掛けることで、携帯機100と第2の無線通信部220との間の距離を示す測距値を計算する。
【0042】
ここで、測距通信では、UWBを用いた信号が送受信されることが望ましい。少なくとも測距用信号は、UWBを用いた信号として送受信されることが望ましい。かかる構成によれば、UWBに関して上記説明したように、測距を高精度に行うことが可能となる。
【0043】
(2)無線通信部の配置
第1の無線通信部210及び第2の無線通信部220は、車両202との相対的な位置が固定される。例えば、第1の無線通信部210及び第2の無線通信部220は、車両202の所定の位置に配置される。
【0044】
図3は、本実施形態に係る第1の無線通信部210及び第2の無線通信部220の配置の一例を示す図である。図3に示す例では、車両202には、第1の無線通信部210A及び第1の無線通信部210B、並びに第2の無線通信部220A~第2の無線通信部220Dが設けられている。図3に示すように、車両202の進行方向は前方向とも称される。車両202の進行方向の逆方向は後方向とも称される。そして、車両202の進行方向に直交する方向は、右方向及び左方向とも称される。
【0045】
第1の無線通信部210A及び第1の無線通信部210Bは、それぞれ異なる位置に配置される。図3に示す例では、第1の無線通信部210A及び第1の無線通信部210Bは、車両202の前後方向の中央付近の、左右に離隔した位置にそれぞれ配置されている。詳しくは、第1の無線通信部210Aは、車両202の中央右側に配置されている。第1の無線通信部210Bは、車両202の中央左側に配置されている。例えば、第1の無線通信部210A及び第1の無線通信部210Bは、車室内に配置されてもよい。車室とは、ユーザが車両202に搭乗するために車両202に設けられた空間である。
【0046】
第2の無線通信部220A~第2の無線通信部220Dは、それぞれ異なる位置に配置される。図3に示すように、第2の無線通信部220A~第2の無線通信部220Dは、車両202の車室外に配置されている。詳しくは、第2の無線通信部220A~第2の無線通信部220Dは、車両202の前後方向の端部であって、左右方向の端部に、それぞれ配置されている。例えば、第2の無線通信部220Aは、車両202の前側端部であって右側端部に配置されている。第2の無線通信部220Bは、車両202の後側端部であって右側端部に配置されている。第2の無線通信部220Cは、車両202の後側端部であって左側端部に配置されている。第2の無線通信部220Dは、車両202の前側端部であって左側端部に配置されている。一例として、第2の無線通信部220A~第2の無線通信部220Dは、車両202のバンパーに配置されてもよい。なお、バンパーとは、車両202が他の物体と接触したときの衝撃及び振動を和らげる緩衝装置である。
【0047】
(3)位置推定処理
制御部240は、位置推定処理を行う。位置推定処理とは、携帯機100が存在する位置を推定する処理である。
【0048】
位置推定処理により推定された携帯機100の位置は、携帯機100と通信ユニット200との間で行われる認証に用いられる。例えば、推定された携帯機100の位置が、規定の範囲に含まれる場合に認証が成功し、規定の範囲に含まれない場合に認証が失敗する。
【0049】
-複数の測距値に基づく位置推定処理
制御部240は、複数の第2の無線通信部220の各々により行われた無線通信により得られた、複数の第2の無線通信部220の各々と携帯機100との間の距離を示す複数の測距値に基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する。ここでの無線通信とは、上述した測距通信である。制御部240は、複数の第2の無線通信部220の各々により測距通信を行わせることで、複数の第2の無線通信部220の各々と携帯機100との間の距離を示す複数の測距値を取得する。そして、制御部240は、取得した複数の測距値に基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する。とりわけ、本実施形態に係る制御部240は、2つの異なる第2の無線通信部220により得られた2つの測距値に基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する。
【0050】
本実施形態において推定される、携帯機100が存在する位置とは、通信ユニット200を基準とする、携帯機100の相対的な位置である。詳しくは、携帯機100が存在する位置は、第1の座標系における携帯機100の座標である。第1の座標系とは、通信ユニット200(より正確には、複数の第2の無線通信部220の各々)との相対的な位置が固定された任意の位置を、原点とする座標系である。第1の座標系の一例は、複数の第2の無線通信部220のうちいずれか1つの位置を原点とする座標系である。第1の座標系の他の一例は、車両202の任意の位置を原点とする座標系である。車両202の任意の位置の一例は、車両202の中心点である。
【0051】
記憶部230は、複数の第2の無線通信部220の各々の位置を示す情報を記憶する。かかる位置を示す情報は、第1の座標系における座標であってもよい。制御部240は、複数の第2の無線通信部220の各々の位置にさらに基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する。
【0052】
複数の測距値に基づく位置推定処理の一例を、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る位置推定処理の一例を説明するための図である。図4では、第2の無線通信部220A、及び第2の無線通信部220Bの各々により行われた測距通信により得られた複数の測距値に基づいて、携帯機100が存在する位置が推定される例が示されている。測距値Lは、携帯機100の第2の無線通信部120及び通信ユニット200の第2の無線通信部220Aにより行われた測距通信により得られた測距値である。測距値Lは、携帯機100の第2の無線通信部120及び通信ユニット200の第2の無線通信部220Bにより行われた測距通信により得られた測距値である。
【0053】
制御部240は、第1の座標系において、第2の無線通信部220Aの座標からの距離が測距値Lであり、第2の無線通信部220Bの座標からの距離が測距値Lである、という条件を満たす座標を、携帯機100が存在する位置として推定する。例えば、制御部240は、第2の無線通信部220Aの座標を中心とする半径が距離Lである円10Aと、第2の無線通信部220Bの座標を中心とする半径が距離Lである円10Bと、の交点V及び交点Vを、携帯機100が存在する位置として推定する。
【0054】
上記説明した、複数の測距値に基づく位置推定処理によれば、携帯機100が交点V及び交点Vのいずれかに存在することを、推定することができる。従って、本実施形態によれば、単なる測距値よりも、携帯機100の位置を詳細に推定することが可能となる。
【0055】
-複数の測距値及び空間情報に基づく位置推定処理
制御部240は、複数の測距値に加えて、携帯機100が存在すると想定される空間を示す情報である空間情報にさらに基づいて、携帯機100が存在する位置を推定することを、位置推定処理として行ってもよい。つまり、制御部240は、位置推定処理において、測距値に加えて、さらに空間情報に基づいて、携帯機100が存在する位置を推定してもよい。かかる構成により、位置推定精度を向上させることが可能となる。
【0056】
制御部240は、複数の測距値に基づいて推定した携帯機100が存在し得る複数の位置のうち、空間情報により示される携帯機100が存在すると想定される空間に属する位置を、携帯機100の位置として推定することを、位置推定処理として行ってもよい。図4を参照しながら上記説明したように、制御部240は、複数の測距値に基づく位置推定処理により、携帯機100が存在する位置として複数の位置を推定し得る。そこで、制御部240は、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された複数の位置を、空間情報に基づいてより少ない位置(例えば、1つの位置)に絞り込む。かかる構成により、携帯機100が存在する位置をより詳細に推定することが可能となる。
【0057】
空間情報は、携帯機100が存在する方向を、携帯機100が存在すると想定される空間として示す情報であってもよい。一例として、空間情報は、車両202の右側に携帯機100が存在すると想定されることを示していてもよい。他の一例として、空間情報は、車両202の左側の携帯機100が存在すると想定されることを示していてもよい。かかる構成によれば、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された複数の位置のうち、空間情報により示される方向の位置を、携帯機100が存在する位置として推定することが可能となる。
【0058】
空間情報は、測距値を得るために複数の第2の無線通信部220の各々により行われた測距通信において使用された無線通信規格とは異なる無線通信規格を使用して行われた無線通信により取得されてもよい。一例として、空間情報は、第1の無線通信部210がBLEを使用して行った無線通信により取得されてもよい。例えば、空間情報は、複数の第1の無線通信部210の各々が携帯機100の第1の無線通信部110からの信号を受信した際の、複数の第1の無線通信部210における電波強度の大小関係により示される、携帯機100が存在する方向であってもよい。電波強度の一例は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)である。RSSIが大きい第1の無線通信部210ほど、携帯機100からの距離が近い。そのため、複数の第1の無線通信部210のうち、RSSIが最も大きい第1の無線通信部210に近い方向に、携帯機100が存在すると想定される。かかる構成によれば、UWBよりも受信側の消費電力が低いBLEを用いて、空間情報を取得することが可能となる。即ち、通信ユニット200の消費電力を抑制することが可能となる。
【0059】
記憶部230、複数の第1の無線通信部210の各々の位置を示す情報を記憶する。かかる位置を示す情報は、第1の座標系における座標であってもよい。制御部240は、複数の第1の無線通信部210の各々の位置にさらに基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する。
【0060】
複数の測距値及び空間情報に基づく位置推定処理の一例を、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る位置推定処理の一例を説明するための図である。図4を参照しながら上記説明したように、複数の測距値に基づく位置推定処理により、交点V及び交点Vが、携帯機100が存在する位置として推定される。図5に示した例では、RSSI及びRSSIの大小関係が、空間情報として取得されたものとする。RSSIは、第1の無線通信部210Aにより得られたRSSIである。RSSIは、第1の無線通信部210Bにより得られたRSSIである。
【0061】
RSSIがRSSIよりも大きい場合、第1の座標系における第1の無線通信部210Aの座標と第1の無線通信部210Bの座標との中央を通る軸11よりも第1の無線通信部210Aの方向に、携帯機100が存在すると想定される。より簡易には、RSSIがRSSIよりも大きい場合、車両202の右側に携帯機100が存在すると想定される。従って、RSSIがRSSIよりも大きい場合、制御部240は、交点V及び交点Vのうち、車両202の右側である交点Vに携帯機100が存在すると推定する。
【0062】
他方、RSSIがRSSIよりも大きい場合、第1の座標系における第1の無線通信部210Aの座標と第1の無線通信部210Bの座標との中央を通る軸11よりも第1の無線通信部210Bの方向に、携帯機100が存在すると想定される。より簡易には、RSSIがRSSIよりも大きい場合、車両202の左側に携帯機100が存在すると想定される。従って、RSSIがRSSIよりも大きい場合、制御部240は、交点V及び交点Vのうち、車両202の左側である交点Vに携帯機100が存在すると推定する。
【0063】
上記説明した、複数の測距値及び空間情報に基づく位置推定処理によれば、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された交点V及交点Vのうちどちらに携帯機100が存在するかを、絞り込むことができる。従って、本実施形態によれば、単なる測距値よりも、また、複数の測距値に基づく位置推定処理よりも、携帯機100の位置を詳細に推定することが可能となる。
【0064】
(4)処理の流れ
図6は、本実施形態に係るシステム1において実行される位置推定処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、携帯機100及び通信ユニット200が関与する。なお、本シーケンスでは、第2の無線通信部220A及び第2の無線通信部220Bが測距通信を行う例を説明する。
【0065】
図6に示すように、まず、携帯機100の第1の無線通信部110は、無線信号を送信する(ステップS102)。無線信号は、例えばBLEを用いて送信される。第1の無線通信部210Aにより無線信号が受信されると、通信ユニット200の制御部240は、第1の無線通信部210Aにより無線信号が受信された際の電波強度としてのRSSIを取得する(ステップS104)。
【0066】
同様に、携帯機100の第1の無線通信部110は、無線信号を送信する(ステップS106)。無線信号は、例えばBLEを用いて送信される。第1の無線通信部210Bにより無線信号が受信されると、通信ユニット200の制御部240は、第1の無線通信部210Bにより無線信号が受信された際の電波強度としてのRSSIを取得する(ステップS108)。
【0067】
次いで、携帯機100の第2の無線通信部120と通信ユニット200の第2の無線通信部220Aとは、測距通信を行う(ステップS110)。測距通信においては、例えばUWBを用いた信号が送信される。通信ユニット200の制御部240は、第2の無線通信部220Aによる測距通信において得られた情報に基づいて、携帯機100と第2の無線通信部220Aとの間の距離を示す測距値Lを取得する(ステップS112)。
【0068】
同様に、携帯機100の第2の無線通信部120と通信ユニット200の第2の無線通信部220Bとは、測距通信を行う(ステップS114)。測距通信においては、例えばUWBを用いた信号が送信される。通信ユニット200の制御部240は、第2の無線通信部220Bによる測距通信において得られた情報に基づいて、携帯機100と第2の無線通信部220Bとの間の距離を示す測距値Lを取得する(ステップS116)。
【0069】
そして、通信ユニット200の制御部240は、測距値L及び測距値L、並びに空間情報としてのRSSI及びRSSIの大小関係に基づいて、携帯機100が存在する位置を推定する(ステップS118)。例えば、まず、制御部240は、第2の無線通信部220Aの座標を中心とする半径が距離Lである円10Aと、第2の無線通信部220Bの座標を中心とする半径が距離Lである円10Bと、の交点V及び交点Vの座標を特定する。そして、制御部240は、RSSIがRSSIよりも大きい場合、交点V及び交点Vのうち、車両202の右側である交点Vに携帯機100が存在すると推定する。他方、制御部240は、RSSIがRSSIよりも大きい場合、交点V及び交点Vのうち、車両202の左側である交点Vに携帯機100が存在すると推定する。
【0070】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、上記実施形態では、空間情報の一例として、複数の第1の無線通信部210の各々におけるRSSIにより示される携帯機100が存在する方向を示す情報を挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。
【0072】
一例として、空間情報は、通信ユニット200が存在する位置において過去に推定された、携帯機100が存在した位置を含む空間を、携帯機100が存在すると想定される空間として示す情報であってもよい。詳しくは、通信ユニット200は、通信ユニット200の位置を示す位置情報と、位置推定処理により推定された携帯機100の位置を示す位置情報とを、対応付けて記憶しておく。そして、通信ユニット200は、過去に位置推定処理を行った位置で位置推定処理を再度行う場合には、過去に行った位置推定処理において推定された携帯機100の位置を含む空間に、同様に携帯機100が存在すると推定する。例えば、車庫の右側にユーザの自宅がある場合、車庫に駐車された車両202に対し、ユーザは車両202の右側から接近することが多い。そこで、通信ユニット200は、車両202が車庫に位置する場合、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された位置のうち車両202の右側の位置に、携帯機100が存在すると推定する。かかる構成によれば、通信ユニット200は、第1の無線通信部210による無線通信を行わずとも、空間情報に基づく位置推定処理を実行することが可能である。
【0073】
他の一例として、空間情報は、車両202の車室内又は車室外を、携帯機100が存在すると想定される空間として示していてもよい。例えば、通信ユニット200は、車室内の様子を撮像する撮像部をさらに有していてもよい。そして、撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、空間情報が得られてもよい。
【0074】
詳しくは、通信ユニット200は、車室内にユーザが映っている場合に、車室内を携帯機100が存在すると想定される空間として示す、空間情報を取得する。その場合、通信ユニット200は、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された位置のうち車室内の位置に、携帯機100が存在すると推定する。つまり、通信ユニット200は、車室内における携帯機100が存在する位置を推定してもよい。
【0075】
他方、通信ユニット200は、車室内にユーザが映っていない場合に、車室外を携帯機100が存在すると想定される空間として示す、空間情報を取得する。その場合、通信ユニット200は、複数の測距値に基づく位置推定処理により推定された位置のうち車室外の位置に、携帯機100が存在すると推定する。つまり、通信ユニット200は、車室外における携帯機100が存在する位置を推定してもよい。
【0076】
他にも例えば、上記実施形態では、複数の測距値及び空間情報に基づいて、携帯機100が存在する位置が推定される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、1つの測距値及び空間情報に基づいて、携帯機100が存在する位置が推定されてもよい。その場合、制御部240は、空間情報により示される携帯機100が存在すると想定される空間のうち、第2の無線通信部220からの距離が測距値である円弧上のいずれかの位置に、携帯機100が存在すると推定する。
【0077】
例えば、上記実施形態では、制御部240が測距値の計算を行う例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、第2の無線通信部220が、測距値の計算を行ってもよい。その場合、第2の無線通信部220は、計算した測距値を制御部240に報告する。
【0078】
例えば、上記実施形態では、携帯機100における第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT1を示す情報がデータ信号に含まれるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。データ信号は、第1の測距用信号の送信時刻及び第2の測距用信号の受信時刻に関する情報を含んでいればよい。以下、データ信号に含まれる情報の他の一例を説明する。
【0079】
データ信号に含まれる情報の他の一例は、携帯機100における第1の測距用信号の送信時刻及び第2の測距用信号の受信時刻を示す情報である。つまり、携帯機100は、ΔT1を計算せずに、ΔT1の始期と終期のタイムスタンプを送信してもよい。
【0080】
データ信号に含まれる情報の他の一例は、第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間に基づき計算された携帯機100と通信ユニット200との間の距離を示す測距値である。つまり、携帯機100は、携帯機100と通信ユニット200との間の距離を示す測距値を計算し、計算した測距値を通信ユニット200に送信してもよい。例えばΔT2が固定値である場合、携帯機100は、ΔT1を計測することで、測距値を計算することができる。
【0081】
例えば、上記実施形態では、携帯機100が第1の測距用信号を送信する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、通信ユニット200が第1の測距用信号を送信してもよい。その場合、携帯機100は、第1の測距用信号を受信すると、その応答として第2の測距用信号を送信する。そして、携帯機100は、第1の測距用信号の受信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT2を示す情報を含むデータ信号を送信する。他方、通信ユニット200は、第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT1と、データ信号に含まれる時間ΔT2とに基づいて、測距値を計算する。
【0082】
例えば、上記実施形態では、伝搬時間に基づいて測距値を計算する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、電波強度に基づいて測距値が計算されてもよい。
【0083】
例えば、上記実施形態では、第1の無線通信規格がBLEであり、第2の無線通信規格がUWBを用いる無線通信規格である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、第1の無線通信規格又は第2の無線通信規格として、超短波(UHF:Ultra-High Frequency)及び長波(LF:Low Frequency)帯の信号を使用する無線通信規格が、用いられてもよい。他の一例として、第1の無線通信規格又は第2の無線通信規格として、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、及び赤外線を使用する無線通信規格等が、用いられてもよい。また、第1の無線通信規格と第2の無線通信規格とは、異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0084】
例えば、上記実施形態では特に言及されていないが、第2の無線通信部220と制御部240との接続形態は多様に考えられる。一例として、複数の第2の無線通信部220の各々は、制御部240に直接接続されてもよい。即ち、複数の第2の無線通信部220の各々は、互いに並列した状態で制御部240に接続されてもよい。他の一例として、複数の第2の無線通信部220は、マスタとして機能する第2の無線通信部220と、スレーブとして機能する第2の無線通信部220と、に分類されてもよい。そして、スレーブはマスタを介して間接的に制御部240に接続され、マスタは制御部240に直接接続されてもよい。即ち、ひとつ以上のスレーブの各々は互いに並列した状態でマスタに接続され、マスタは制御部240に接続されてもよい。第1の無線通信部210と制御部240との接続形態に関しても同様である。
【0085】
例えば、上記実施形態では、通信ユニット200が、通信ユニット200を基準とする携帯機100の相対的な位置を推定する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、携帯機100が、通信ユニット200を基準とする携帯機100の相対的な位置を推定してもよい。その場合、携帯機100は、通信ユニット200の第1の無線通信部210及び第2の無線通信部220により行われた無線通信により得られた情報を、通信ユニット200から取得する。そして、携帯機100の制御部140は、上記実施形態において説明した通信ユニット200の制御部240と同様の処理を行う。かかる構成の用途としては、カーファインダが挙げられる。カーファインダとは、駐車中に車両202の位置を確認する機能である。他の一例として、携帯機100及び通信ユニット200以外の他の装置により、通信ユニット200を基準とする携帯機100の相対的な位置が推定されてもよい。
【0086】
例えば、上記実施形態では、通信ユニット200が車両に搭載される通信装置である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。通信ユニット200は、車両以外の、航空機、及び船舶等の任意の移動体に搭載されてもよい。ここで、移動体とは、移動する装置である。
【0087】
例えば、上記実施形態では、本発明がスマートエントリーシステムに適用される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明は、無線通信を行う任意のシステムに適用可能である。例えば、携帯機、車両、スマートフォン、ドローン、家、及び家電製品等のうち任意の2つの装置を含むペアに、本発明は適用可能である。なお、ペアは、2つの同じ種類の装置を含んでいてもよいし、2つの異なる種類の装置を含んでいてもよい。
【0088】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0089】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1:システム、100:携帯機、110:第1の無線通信部、120:第2の無線通信部、130:記憶部、140:制御部、200:通信ユニット、202:車両、210:第1の無線通信部、220:第2の無線通信部、230:記憶部、240:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6