IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械搬送システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動倉庫システム 図1
  • 特許-自動倉庫システム 図2
  • 特許-自動倉庫システム 図3
  • 特許-自動倉庫システム 図4
  • 特許-自動倉庫システム 図5
  • 特許-自動倉庫システム 図6
  • 特許-自動倉庫システム 図7
  • 特許-自動倉庫システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B65G1/04 521
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020053239
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151912
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 龍太
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-080107(JP,A)
【文献】特開平04-298402(JP,A)
【文献】特開2005-255348(JP,A)
【文献】特開2019-001655(JP,A)
【文献】特開2015-214381(JP,A)
【文献】特開2019-210069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を保持して列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記荷を保持した前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、
を備え、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段に搭載された状態で、前記第1搬送手段が保持している荷の列方向の保持位置を修正する保持位置修正動作を実行し、
前記保持位置修正動作では、
前記荷を保持した状態で前記第2搬送手段上を移動し、前記荷と前記第2搬送手段とが所定の位置関係にある位置で前記荷を降ろす第1動作と、
前記荷を降ろした状態で前記第2搬送手段上を移動し、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段とが所定の位置関係にある位置で前記荷を保持する第2動作と、がこの順で実行される自動倉庫システム。
【請求項2】
前記保持位置修正動作は、前記第2搬送手段の移動前に実行される請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
荷を保持して列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記荷を保持した前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、
を備え、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段に搭載された状態で、前記第1搬送手段が保持している荷の列方向の保持位置を修正する保持位置修正動作を実行し、
前記保持位置修正動作は、前記第2搬送手段の移動中または移動後に実行される自動倉庫システム。
【請求項4】
行方向および列方向に沿って配置された荷を保管するための複数の保管部を有する棚部を備え、
前記第1搬送手段は、前記棚部を移動可能であり、
前記第2搬送手段は、前記棚部の側を移動可能であり、
前記保持位置修正動作は、前記第1搬送手段および前記第2搬送手段によって、前記複数の保管部の一の保管部から他の保管部に荷を搬送する配替え動作中に実行される請求項1からのいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
行方向および列方向に沿って配置された荷を保管するための複数の保管部を有する棚部を備え、
前記第1搬送手段は、前記棚部を移動可能であり、
前記第2搬送手段は、前記棚部の側を移動可能であり、
前記保持位置修正動作は、前記棚部の外部から入庫した荷を、前記第1搬送手段および前記第2搬送手段によって、前記複数の保管部の一の保管部に搬送する入庫動作中に実行される請求項1からのいずれかに記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1によって複数の物品を収容可能な収容棚を備えた自動倉庫システムを開示している。この自動倉庫システムは、保管棚の間で列方向に移動可能な搬送台車と行方向に移動可能な台車とを用いて物品を搬入・搬出するように構成されている。この自動倉庫システムでは、物品をパレットに載置して搬送および収容が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-160040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の認識を得た。
荷を保持して移動する搬送手段を備えた自動倉庫システムでは、荷は搬送手段における適切な位置に保持されることが望ましい。しかし、荷を保持するときの当該荷の位置の誤差と、搬送手段の停止位置の誤差などの要因により、荷の保持位置の精度は低下する。
これらから、本発明者は、自動倉庫システムには荷の保持位置に関して改善すべき余地があることを認識した。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、搬送手段における荷の保持位置を修正可能な自動倉庫システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保持して列方向に移動可能な第1搬送手段と、荷を保持した第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備える。第1搬送手段は、第2搬送手段に搭載された状態で、第1搬送手段が保持している荷の列方向の保持位置を修正する保持位置修正動作を実行する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送手段における荷の保持位置を修正可能な自動倉庫システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
図2図1の自動倉庫システムを示す側面図である。
図3図1の第1搬送手段の一例を概略的に示す側面図である。
図4図1の第2搬送手段の一例を概略的に示す正面図である。
図5図4の第2搬送手段を示す平面図である。
図6図1の自動倉庫システムの保持位置修正動作の一例を説明する説明図である。
図7図1の自動倉庫システムの入庫動作の一例を示すフローチャートである。
図8図1の自動倉庫システムの配替え動作の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の概要を説明する。荷(パレットと一体的に扱われるものを含む)を保持する搬送手段(以下、「第1搬送手段」という)によって荷を搬送するとき、荷は第1搬送手段の所定位置(例えば、中央位置)に保持されることが望ましい。なお、明細書において、特に説明しない場合の「位置」は、第1搬送手段の移動方向(列方向)の位置をいい、特に説明しない場合の「荷の位置」および「搬送手段の位置」は、荷および搬送手段の列方向全長の中心位置をいう。
【0011】
第1搬送手段は自身に備えられたセンサで、先に置かれた荷の位置を検出できる。このため、第1搬送手段に保持された荷の位置が所定の位置(例えば中心位置)にあることを前提とすれば、先に置かれた荷に対してどの程度近接すれば、保持している荷を降ろしたときに荷同士の間隔が所定隙間になるかを把握できる。すなわち、第1搬送手段の端部と保持している荷の端部との距離がわかり、先に置かれた荷と第1搬送手段との距離がわかるので、第1搬送手段が停止した時点の荷同士の離隔距離がわかるので、荷同士隙間を所定の距離にコントロールできることになる。
【0012】
しかし、先に説明してきた通りの誤差により、第1搬送手段の中心位置に常に保持できるわけではない。第1搬送手段の右端部側に寄っていたり、第1搬送手段の左端部に寄っていたりする。第1搬送手段の右端部側が進行方向の場合は、先に置かれた荷に対して所定の隙間より短い隙間で荷を置いてしまうことを意味するし、その逆だと隙間を開けすぎという状態になり得る。
【0013】
つまり、荷の保持位置は、荷を第1搬送手段に保持する際の当該荷の位置の誤差や第1搬送手段の停止位置の誤差などの要因によって精度が低下する。荷を保管棚に順番に保管する場合、第1搬送手段は、先に保管された荷(端部では壁)と第1搬送手段自体との間に所定の間隔が形成される位置で停止し、その位置で自身が保持していた荷を降ろす。これにより、先に保管された荷と後に保管された荷との間の隙間(以下、「荷の隙間」という)が形成される。この動作は、第1搬送手段に前方の物体との距離を検知するセンサを設け、その検知結果に基づいて制御することで実現できる。
【0014】
しかし、荷が第1搬送手段の中心からシフトしている場合、荷の隙間はそのシフト量によって変動する。特に、荷が中心から後ろ側にシフトしている場合、荷の隙間は、そのシフト量の分だけ拡大する誤差を含む。例えば、シフト量が荷長の10%で10個の荷が保管された場合、累積誤差は100%になるため、10個分の保管スペースに9個しか保管できず、倉庫の保管効率が低下する。
【0015】
第1搬送手段に高価なセンサを設け、荷の保持位置の精度を向上することも考えられる。しかし、長さが異なる荷を扱う場合、センサの位置によっては長さの異なる荷を検出できない場合がある。このため、複数の長さに対応する複数のセンサを設けることも考えられるが、この場合、第1搬送手段が大きくなり、高価になる。
【0016】
これらから、本発明者は、第1搬送手段を搭載して搬送する別の搬送手段(以下、「第2搬送手段」という)上で、第1搬送手段が荷の保持位置を修正する構成を案出した。例えば、第2搬送手段に搭載されている状態で、第2搬送手段に設けたセンサにより第1搬送手段の位置と荷の位置とを検知し、第1搬送手段は、その検知結果に基づいて荷の持ち直しを行う保持位置修正動作をしてもよい。その検知結果は、第2搬送手段から第1搬送手段に送信されてもよい。
【0017】
一例として、荷を保持したまま、荷が第2搬送手段の所定位置(例えば、中央位置)に来るように第1搬送手段を移動させ、その位置で一時的に荷を降ろし、第1搬送手段が第2搬送手段の所定位置(例えば、中央位置)に来るように第1搬送手段を移動させ、その位置で荷を保持するようにしてもよい。保持位置修正動作は、第2搬送手段に設けたセンサの検知結果に基づいて第1搬送手段の移動を制御することにより実現できる。
【0018】
保持位置修正動作は、荷を搬送して保管棚に保管する前に実行されることが望ましい。この意味で、保持位置修正動作は、搬入された荷を入庫する入庫動作の過程や、荷の配替え動作の過程で実行できる。保持位置修正動作により荷の保持位置の精度の低下および荷の隙間の拡大を抑制できる。
以下、実施形態を参照して詳述する。
【0019】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0020】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0021】
[実施形態]
図1図2を参照して実施形態に係る自動倉庫システム100の全体構成を説明する。図1は、実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。図2は、自動倉庫システム100を示す側面図である。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。なお、X軸方向を「行方向」といい、Y軸方向を「列方向」といい、Z軸方向を「上下方向」ということがある。第1搬送手段の進行方向を「前方」、「前」といい、その逆を「後方」、「後」ということがある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0022】
図1に示すように、自動倉庫システム100は、棚部22と、第1搬送手段14と、第2搬送手段16と、中間棚20と、制御部50とを備える。棚部22は、行方向および列方向に沿って配置された荷12を保管可能な複数の保管部24を有する保管棚である。第1搬送手段14は、荷12を保持して棚部22を列方向に沿って移動可能な自走台車である。第2搬送手段16は、荷12を保持した第1搬送手段14を搭載して棚部22の側を行方向に沿って移動可能な自走台車である。中間棚20は、行方向に沿って配置された荷12を収容するための複数の中間収容部21を有する棚部である。中間棚20は、入出庫の際に、外部搬送手段54と第1搬送手段14との間で荷12を受け渡すための中継部として機能する。
【0023】
制御部50は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成される。制御部50は、ユーザからの操作結果に基づき、荷12を移送するために、第1搬送手段14および第2搬送手段16の動作を制御する。
【0024】
本明細書では、1以上の物品が段ボール等のケースに収容されたものをパレット上に1つ以上積まれたものを「荷12」という。荷12は、積層された複数(例えば3)の層から構成されてもよい。荷12は、自動倉庫システム100において、入庫、保管、配替え、出庫される最小単位であってもよい。
【0025】
図1図2を参照して、棚部22を説明する。棚部22の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。前述したように、棚部22は、X軸方向およびY軸方向に沿って配置された複数の保管部24を含む。各保管部24は、荷12を保管可能に構成されている。特に、棚部22は、荷12を各保管部24に保管できる。
【0026】
本実施形態では、保管部24はY軸方向に複数連設されている。具体的には、保管部24は、Y軸方向に延びる後述する第1レール26上に連続的に設けられており、第1レール26の荷12が保管される箇所を保管部24としている。したがって、第1レール26の長さが同じでも、保管する荷12の大きさや、隣接する荷12との隙間の大きさなどにより保管部24の数は変化する。Y軸方向に連設された複数の保管部24を保管列23という。各保管列23の第2搬送手段16の走行路(第2レール28)に面する側には、第1搬送手段14が進入して荷12を出し入れする間口23aが設けられる。間口23aは荷12の出入口として機能する。
【0027】
本実施形態では、上下に層状に配置されたN段(Nは、1以上の整数で、例えば3)の棚部22が設けられている。図1は、フロアFrに最も近い第1段の棚部22を示している。第2段以上において、第N段の棚部22は第N-1段の棚部22の上に配置される。各段の棚部22は、互いに同様の構成を備えてもよい。特に、各段の棚部22には、それぞれ1台以上の第1搬送手段14および第2搬送手段16のセットが設けられている。
【0028】
図1図2を参照して、中間棚20を説明する。中間棚20の構成は、荷12を収容可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、上下に層状に配置されたN段(Nは、1以上の整数で、例えば3)の中間棚20が設けられている。図1は、フロアFrに最も近い第1段の中間棚20を示している。第2段以上において、第N段の中間棚20は第N-1段の中間棚20の上に配置される。各段の中間棚20は、互いに同様の構成を備えてもよい。中間棚20の段数は棚部22の段数と同数である。各段の中間棚20の中間収容部21の数は、1以上であればよい。図1の例では、各段の中間収容部21の数は、各段の棚部22のX軸方向の保管部24の数と同数である。
【0029】
中間収容部21は、内部側に面する内部側間口21aと、内部側間口21aとは反対側で外部側に面する外部側間口21bとを有する。内部側間口21aは、第1搬送手段14が進入して荷12を出し入れする出入口として機能する。外部側間口21bは、外部搬送手段54が、フォークを差し込んで荷12を出し入れする出入口として機能する。
【0030】
棚部22および中間棚20には、第1搬送手段14の走行路としての第1レール26が設けられる。第1レール26は、棚部22および中間棚20においてY軸方向に延設される。第1搬送手段14は、各保管部24および中間収容部21の下部を走行可能な搬送手段である。棚部22と中間棚20との間には、第2搬送手段16の走行路としての第2レール28とが設けられる。第2レール28は、棚部22および中間棚20に隣接してX軸方向に延設される。
【0031】
図3を参照して、第1搬送手段14を説明する。図3は、第1搬送手段14の一例を概略的に示す側面図である。第1搬送手段14は、車体14bと、モータ(不図示)と、複数の車輪14fと、載置台部14cと、リフト機構14dとを備える。第1搬送手段14は、モータによって複数の車輪14fを駆動し、荷12を搭載した状態で第1レール26をY軸方向に走行する。第1搬送手段14は、リフト機構14dによって載置台部14cおよび載置台部14c上の荷12を昇降させる。図3において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、降下状態の載置台部14cを実線で示す。
【0032】
第1搬送手段14は、保管部24および中間収容部21に進入できる。第1搬送手段14は、第2搬送手段16に乗降できる。第1搬送手段14は、荷12を保管部24、中間収容部21、第2搬送手段16に降ろすことができる。第1搬送手段14は、荷12を保管部24、中間収容部21および第2搬送手段16から持上げて保持できる。
【0033】
第1搬送手段14は、前進するときに、進行方向の物体(他の荷12、壁W、障害物など)までの距離を検知可能な第1センサ14sを備える。第1センサ14sは、レーザを投光してその反射光を受信するレーザセンサで実現できる。第1センサ14sは、レーザセンサを上下にスキャンして検知するものであってもよい。第1搬送手段14は、第1センサ14sの検知結果に基づいて、先に保管された荷12を検知しながら棚部22を移動し、その荷12の所定距離手前で停止し、そこに保持していた荷12を降ろす。第1センサ14sは、第1搬送手段14の進行方向の一方側と他方側それぞれに設けられてもよいし、一方側に1つ設けられてもよい。
【0034】
図4図5を参照して、第2搬送手段16を説明する。図4は、第2搬送手段16の一例を概略的に示す正面図であり、第1搬送手段14を搭載した状態を示している。図5は、第2搬送手段16を示す平面図である。第2搬送手段16は、搭載部16cと、ガイド部16jと、モータ(不図示)と、複数の車輪16fとを備える。第2搬送手段16は、モータによって複数の車輪16fを駆動し、第2レール28をX軸方向に走行する。第2搬送手段16は、搭載部16cに第1搬送手段14を搭載できる。第2搬送手段16は、荷12を搭載した状態または空荷の第1搬送手段14を移送できる。搭載部16cにはX軸方向に離れて配置される2つのガイド部16jが設けられる。2つのガイド部16jは、第1搬送手段14が搭乗する際に第1搬送手段14をガイドする。2つのガイド部16jには荷12を置くことができる。
【0035】
第2搬送手段16は、第1搬送手段14の位置と第1搬送手段14に保持された荷12の位置とを検知可能な第2センサ16sを備える。例えば、第2センサ16sは、X軸方向に離れて配置される投光器16hと受光器16kのセットからなる透過型の光センサである。第2センサ16sは、投光器16hから投光された光16nが遮光されたか否かを受光器16kで検知する。図5に示すように、第2搬送手段16には、第1搬送手段14および荷12と干渉しない位置であって、Y軸方向(第1搬送手段14の進行方向)に離れた位置に2セットの第2センサ16sが設けられる。第2センサ16sは、ガイド部16jよりも高位置に配置される。
【0036】
2セットの第2センサ16sは、荷12のはみ出し状態を検知し、且つ、第1搬送手段14のはみ出し状態も検知できる。第1搬送手段14および荷12が第2搬送手段16と所定の位置関係(例えば、互いが相手の中央に位置する関係)にあるときは、2セットの第2センサ16sは両方ともON状態(非遮光状態)となる。第1搬送手段14と荷12のいずれかが所定の位置関係にないとき(例えば、中央からシフトしているとき)は、2セットの第2センサ16sの一方(はみ出し方向側のセンサ)がOFF状態(遮光状態)になる。2セットの第2センサ16sのY軸方向離間距離は、荷12と第1搬送手段14が第2搬送手段16に対して所定の位置関係にあるか否かを判定可能な距離に設定される。
【0037】
(入庫動作)
図1図6図7を参照して自動倉庫システム100の入庫動作S110を説明する。図6は、保持位置修正動作を説明する説明図である。図7は、入庫動作S110のフローチャートである。なお、保持位置修正動作において、位置というときはY軸方向(第1搬送手段14の走行方向)の位置をいう。
【0038】
入庫動作S110では、まず、フォークリフトなどの外部搬送手段54によって、入庫する荷12を中間棚20の中間収容部21に搬入する(ステップS111)。このステップで、フォークリフトは、中間収容部21のY軸方向における所定位置(例えば中央位置)に荷12を載置するが、載置位置は誤差を含む。
【0039】
中間収容部21に荷12が搬入されると、第2搬送手段16は空荷の第1搬送手段14を搭載して、中間収容部21の前に移動する(ステップS112)。
【0040】
中間収容部21に移動したら、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から退出して中間収容部21に進入し、荷12を持ち上げて保持する(ステップS113)。このステップで、第1搬送手段14は、載置台部14cを降ろした状態で荷12の下に移動して停止する。この停止位置は誤差を含む。荷12の下に停止したら、第1搬送手段14は、載置台部14cを上昇させて荷12を保持する。したがって、この状態では、荷12の保持位置は所定の位置に対して誤差を含む。
【0041】
荷12を保持したら、第1搬送手段14は、中間収容部21から退出して第2搬送手段16に搭乗する(ステップS114)。このステップで、第2搬送手段16は第1搬送手段14を搭載する。第1搬送手段14が第2搬送手段16に搭乗したら、第1搬送手段14は、保持位置修正動作を開始する。図6(a)は、保持位置修正動作前の状態を示している。
【0042】
図6において、中心線C12、中心線C14および中心線C16は、荷12、第1搬送手段14および第2搬送手段16のY軸方向(第1搬送手段14の走行方向)の中心位置を示す。図6(a)に示すように、保持位置修正動作前は、中心線C12、中心線C14および中心線C16は、それぞれ離れている。つまり、荷12は第1搬送手段14の中央位置からシフトしている。
【0043】
保持位置修正動作では、まず、荷12および第1搬送手段14が第2搬送手段16に対して所定の位置関係にあるか否かを判定する(ステップS115)。このステップにおける所定の位置関係は、荷12および第1搬送手段14が第2搬送手段16の中央に位置する関係である。つまり、このステップでは、荷12および第1搬送手段14が第2搬送手段16の中央位置にあるか否かが判定される。第1搬送手段14は、第2搬送手段16から2セットの第2センサ16sの検知結果を取得し、両方の第2センサ16sがON状態であるとき、所定の位置関係(中央位置)にあると判定する。
【0044】
所定の位置関係にある場合(ステップS115のY)、ステップS118に進む。
【0045】
所定の位置関係(中央位置)にない場合(ステップS115のN)、第1搬送手段14は、荷12を保持した状態で第2搬送手段16上を移動し、荷12と第2搬送手段16とが所定の位置関係にある位置で荷12を降ろす第1動作を行う(ステップS116)。このステップにおける所定の位置関係は、荷12が第2搬送手段16の中央に位置する関係である。つまり、このステップでは、荷12を第2搬送手段16の中央位置に移動してその位置で荷12を降ろす。第1搬送手段14は、第2搬送手段16から2セットの第2センサ16sの検知結果を取得し、両方の第2センサ16sがON状態であるとき、所定の位置関係にあると判定する。図6(b)はステップS116が終了した状態を示している。この状態では、中心線C12および中心線C16は、略同位置で、中心線C14はこれらと離れている。
【0046】
なお、フローチャートに図示していないが、第1搬送手段14が第2搬送手段16からはみ出す場合の動作を説明する。荷12を第2搬送手段16の中央に移動させる過程で、第1搬送手段14が第2搬送手段16からはみ出す場合が考えられる。この場合、本実施形態では、第1搬送手段14は以下の動作を行う。第1搬送手段14が第2搬送手段16からはみ出したら、第1搬送手段14は、移動を停止し、一旦荷12を第2搬送手段16に降ろし、戻る方向に所定の距離移動し、再び荷12を持ち上げて保持する。この動作により、第1搬送手段14の脱輪を防止できる。
【0047】
第1動作を実行したら、第1搬送手段14は、荷12を降ろした状態で第2搬送手段16上を移動し、第1搬送手段14と第2搬送手段16とが所定の位置関係にある位置で荷12を保持する第2動作を行う(ステップS117)。このステップにおける所定の位置関係は、第1搬送手段14が第2搬送手段16の中央に位置する関係である。つまり、このステップでは、第1搬送手段14は第2搬送手段16の中央位置に移動してその位置で荷12を保持する。第1搬送手段14は、第2搬送手段16から2セットの第2センサ16sの検知結果を取得し、両方の第2センサ16sがON状態であるとき、所定の位置関係にあると判定する。図6(c)はステップS117が終了した状態を示している。この状態では、中心線C12、中心線C14および中心線C16は、略同位置になっている。
保持位置修正動作を実行したらステップS118に進む。
【0048】
ステップS118では、第2搬送手段16は、荷12を保持する第1搬送手段14を搭載して目的の保管部24が属する保管列23に移動する(ステップS118)。このステップで第2搬送手段16は、目的の保管部24が属する保管列23の間口23aに面する位置に停止する。
【0049】
次に、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から退出して目的の保管部24に移動する(ステップS119)。このステップで、第1搬送手段14は、第1センサ14sの検知結果により、先に保管された荷12を検知しながら保管列23を移動し、先に保管された荷12の所定距離手前で停止する。したがって、目的の保管部24は、保管列23における先に保管された荷12の手前領域である。また、先に保管された荷12がない場合は、保管列23における最奥の領域である。
【0050】
次に、第1搬送手段14は、荷12を目的の保管部24に降ろす(ステップS120)。荷12を降ろしたら、入庫動作S110は終了する。第1搬送手段14は、そのまま待機してもよいし、所定の待機場所に移動してもよい。
この動作例は、あくまでも一例であって、種々の変形が可能である。
【0051】
(配替え動作)
図1図6図8を参照して自動倉庫システム100の配替え動作を説明する。図8は、配替え動作を説明する説明図である。図8(a)は、配替え前の状態を示し、図8(b)は、配替え後の状態を示す。配替え動作は、図8(a)の矢印で示すように、棚部22内において、ある保管列23-Pに属する搬送元の保管部24-Pに保管されていた荷12を、別の保管列23-Sに属する搬送先の保管部24-Sに移送する動作である。なお、
【0052】
配替え動作では、第1搬送手段14は、載置台部14cを降ろした状態で、搬送元の保管部24-Pの荷12の下に進入し、載置台部14cを上昇させて荷12を保持し、第2搬送手段16に搭乗する。第2搬送手段16に搭乗したら、第1搬送手段14は、図6に示す保持位置修正動作を実行する。保持位置修正動作およびその後の動作は、ステップS116~S120と同じであり、重複する説明を省く。なお、配替え動作は、荷12を、保管部24-Sとは別の一時的な保管領域に保管した後、一時的な保管領域から、保管部24-Sに荷12を移送するようにしてもよい。この動作例は、あくまでも一例であって、種々の変形が可能である。
【0053】
(出庫動作)
図1図3を参照して自動倉庫システム100の出庫動作を説明する。出庫動作では、まず、第1搬送手段14は、載置台部14cを降ろした状態で、搬送元の保管部24において出庫される荷12の下に進入し、載置台部14cを上昇させて荷12を保持し、第2搬送手段16に搭乗する。第1搬送手段14が搭乗したら、第2搬送手段16は中間収容部21に移動する。中間収容部21に移動したら、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から退出して中間収容部21に進入して荷12を降ろし、中間収容部21から退出する。中間収容部21に降ろされた荷12は、フォークリフトなどの外部搬送手段54によって、外部に出庫される。出庫された荷12は、トラック(不図示)などに積み入れされて出荷されてもよい。
【0054】
保持位置修正動作についてさらに説明する。上述の説明では、保持位置修正動作が、第2搬送手段16が目的の保管部24が属する保管列23に移動前に実行される例を示したが、保持位置修正動作は、第1搬送手段14が第2搬送手段16に搭乗している状態であれば、いつでも実行可能である。例えば、保持位置修正動作は、第2搬送手段16の移動中または移動後に実行されてもよい。第2搬送手段16の移動中に実行される場合、保持位置修正動作の終了を待つ時間ロスを削減できる。また、移動後に実行される場合、移動時の加速度や振動による保持位置の変動が発生しにくい。
【0055】
以上のように構成された自動倉庫システム100の特徴を説明する。本実施形態では、第1搬送手段14は、第2搬送手段16に搭載された状態で、第1搬送手段14が保持している荷12の列方向の保持位置を修正する保持位置修正動作を実行する。この場合、荷12が所定の保持位置からシフトしている場合に保持位置を修正することが可能になる。保持位置を修正することにより、シフト量の蓄積を減らして倉庫の保管効率の面で有利になる。
【0056】
本実施形態の保持位置修正動作では、荷12を保持した状態で第2搬送手段16上を移動し、荷12と第2搬送手段16とが所定の位置関係にある位置で荷12を降ろす第1動作と、荷12を降ろした状態で第2搬送手段16上を移動し、第1搬送手段14と第2搬送手段16とが所定の位置関係にある位置で荷12を保持する第2動作と、がこの順で実行される。この場合、保持位置修正のために特別な装置や機構を追加しなくても、第1搬送手段14と第2搬送手段16との動作により保持位置を修正することが可能になる。
【0057】
本実施形態では、保持位置修正動作は、第2搬送手段16の移動前に実行される。この場合、第2搬送手段16が静止しているので第2搬送手段16の揺れが少なく、揺れに起因する保持位置の修正誤差を小さくできる。
【0058】
保持位置修正動作は、第2搬送手段16の移動中または移動後に実行されてもよい。移動中に実行する場合、保持位置修正動作の終了を待つ時間ロスを削減できる。また、移動後に実行する場合、移動時の加速度や振動による保持位置の変動を小さくできる。
【0059】
本実施形態では、保持位置修正動作は、第1搬送手段14および第2搬送手段16によって、複数の保管部24の一の保管部24から他の保管部24に荷12を搬送する配替え動作中に実行される。この場合、先に保管されていた荷と、配替え動作で後から保管された荷との間の隙間を小さくして、倉庫の保管効率の面で有利になる。
【0060】
本実施形態では、保持位置修正動作は、棚部22の外部から入庫した荷12を、第1搬送手段14および第2搬送手段16によって、複数の保管部24の一の保管部24に搬送する入庫動作中に実行される。この場合、先に保管されていた荷と、入庫動作で保管された荷との間の隙間を小さくして、倉庫の保管効率の面で有利になる。
【0061】
なお、第1搬送手段14を載せた状態で第2搬送手段16が移動する場合に、第1搬送手段14が第2搬送手段16からはみ出すことは好ましくないし、第1搬送手段14がはみ出していなくても、荷12がはみ出すことは好ましくない。例えば、第1搬送手段14に保持している荷12が第1搬送手段14に対して極端に右側に寄っていた場合、第2搬送手段16から荷12がはみ出すことも想定され、この場合は第2搬送手段16が移動する場合に、はみ出した荷12の一端が棚部22の構造物に接触する可能性もあり、好ましくない。
【0062】
また、荷12が第1搬送手段14の中心位置でも、第1搬送手段14が第2搬送手段16からはみ出していると、同様の問題が生じ得る。これに対処すべく、第2搬送手段16には、第1搬送手段14の位置および第1搬送手段14が保持している荷12の位置を検出する第2センサ16sを備えている。第2センサ16sにより、第1搬送手段14が第2搬送手段16に対してずれた位置で停止していないか、荷12が第2搬送手段16に対してずれていないかを検出できる。この検出結果を用いることにより、第1搬送手段14および荷12が第2搬送手段16に対して問題を生じない範囲に収まるように第1搬送手段14の位置を制御できる。
【0063】
本開示は、第2搬送手段16に備えられたセンサを活用し、第1搬送手段14の位置、荷12の位置に基づき、荷12ずれが解消されるように、第2搬送手段16の上で第1搬送手段14が荷12を持ち直すというのがコンセプトである。そもそも荷12が第1搬送手段14の中心位置に無いということは、荷12の重心が第1搬送手段14の前あるいは後ろに偏っていることを意味しており、このことは構造上の負担になるところ、荷12を持ち直すことにより重心位置の偏りの影響を軽減するという別の効果も期待できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0065】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0066】
実施形態の説明では、第2センサ16sが透過型の光センサである例を示したが、これに限定されない。例えば、第2センサ16sは、レーザセンサであってもよいし、画像センサであってもよい。例えば、第2センサ16sは、画像センサの画像データを処理して、荷12と、第1搬送手段14と、第2搬送手段16との相対位置関係を取得するものであってもよい。
【0067】
実施形態の説明では、中間収容部21を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、中間収容部21の代わりに、入庫する荷を受け入れる入庫部と、出庫する荷を保持する出庫部とを備えてもよい。また、各段の荷を昇降するための昇降手段を備えてもよい。
【0068】
実施形態の説明では、第2搬送手段16の走行路に第2レール28が設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、第2搬送手段16は、レールのない走行路を走行するものであってもよい。
【0069】
実施形態の説明では、第2搬送手段16が昇降機構を有しない例を示したが、これに限定されない。例えば、第2搬送手段16は第1搬送手段14を昇降する昇降機構を備えてもよい。第2搬送手段16はスタッカークレーンであってもよい。
【0070】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0071】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0072】
12 荷、 14 第1搬送手段、 16 第2搬送手段、 20 中間棚、 21 中間収容部、 22 棚部、 24 保管部、 26 第1レール、 28 第2レール、 50 制御部、 100 自動倉庫システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8