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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240215BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240215BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240215BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240215BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240215BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20240215BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240215BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240215BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240215BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240215BHJP
【FI】
H02J3/38 170
G06Q50/06
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04955
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J3/38 130
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020057553
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158808
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037352(JP,A)
【文献】特開2006-294399(JP,A)
【文献】特開2015-107041(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015225(WO,A1)
【文献】特開2005-038753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/06
H01M8/00-8/2495
H02J3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池と、
前記燃料電池の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記燃料電池には連続発電時間の上限である最大連続発電時間が定められており、
前記制御部は、
前記発電部で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する余剰電力を予測し、
前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日を、前記燃料電池を停止させる発電停止日に設定する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日のうち最も遅い日を、前記発電停止日に設定する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発電停止日において、前記余剰電力が発生すると予測される時間帯に、前記燃料電池を停止させる発電停止時間を設定する、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
電力を充放電可能な蓄電池を具備し、
前記制御部は、
前記発電停止日における前記余剰電力の合計である余剰電力量で前記蓄電池を満充電にできないと予測される場合、前記発電停止時間の前に深夜電力を用いて前記蓄電池に充電する、
請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
電力を充放電可能な蓄電池を具備し、
前記制御部は、
前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも多い場合、又は前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも多い場合、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池へ発電の指示を行う、
請求項3又は請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
電力を充放電可能な蓄電池を具備し、
前記制御部は、
前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも少ない場合、前記発電再開予定時刻よりも後の深夜時間帯に前記燃料電池へ発電の指示を行う、
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
電力を充放電可能な蓄電池を具備し、
前記制御部は、
前記発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも少ない場合であっても、前記燃料電池に蓄えられた熱が最大容量に達していない場合、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池へ発電の指示を行う、
請求項6に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を有する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池を有する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、太陽光を利用して発電する太陽電池と、水素等の燃料を用いて発電可能であるとともに発電時に発生する排熱を用いて湯を沸かすことができる燃料電池と、電力を充放電可能な蓄電池を具備する電力供給システムが記載されている。当該電力供給システムにおいては、これら燃料電池等からの電力が電力負荷に供給される。
【0004】
ここで、燃料電池は、機器の特性や安全面等の理由により最大連続発電(運転)時間(連続発電時間の上限)が定められており、一定時間連続運転させると、必ず発電を停止させる必要がある。このため、例えば燃料電池の発電を停止させる日の天気が雨である場合、燃料電池の発電電力がなくなる分、太陽光発電の発電電力だけでは電力需要を賄えず、その結果購入電力が増加してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-48992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃料電池の発電を停止させることによる購入電力の増加を抑制することができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池と、前記燃料電池の動作を制御する制御部と、を具備し、前記燃料電池には連続発電時間の上限である最大連続発電時間が定められており、前記制御部は、前記発電部で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する余剰電力を予測し、前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日を、前記燃料電池を停止させる発電停止日に設定するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日のうち最も遅い日を、前記発電停止日に設定するものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記発電停止日において、前記余剰電力が発生すると予測される時間帯に、前記燃料電池を停止させる発電停止時間を設定するものである。
【0011】
請求項4においては、電力を充放電可能な蓄電池を具備し、前記制御部は、前記発電停止日における前記余剰電力の合計である余剰電力量で前記蓄電池を満充電にできないと予測される場合、前記発電停止時間の前に深夜電力を用いて前記蓄電池に充電するものである。
【0012】
請求項5においては、電力を充放電可能な蓄電池を具備し、前記制御部は、前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも多い場合、又は前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも多い場合、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池へ発電の指示を行うものである。
【0013】
請求項6においては、電力を充放電可能な蓄電池を具備し、前記制御部は、前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも少ない場合、前記発電再開予定時刻よりも後の深夜時間帯に前記燃料電池へ発電の指示を行うものである。
【0014】
請求項7においては、電力を充放電可能な蓄電池を具備し、前記制御部は、前記発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力よりも少ない場合であっても、前記燃料電池に蓄えられた熱が最大容量に達していない場合、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池へ発電の指示を行うものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、燃料電池の発電を停止させることによる購入電力の増加を抑制することができる。
【0017】
請求項2においては、燃料電池の有効活用を図ることができる。
【0018】
請求項3においては、燃料電池を停止させることによる購入電力の増加をより抑制することができる。
【0019】
請求項4においては、蓄電池の充電に要するコストを低減することができる。
【0020】
請求項5においては、燃料電池の起動時の消費電力を、余剰電力及び放電電力で賄うことができる。
【0021】
請求項6においては、燃料電池の起動に要する電力のコストを低減させることができる。
【0022】
請求項7においては、熱の確保を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】燃料電池及び蓄電池の運転計画制御を示したフローチャート。
図3】燃料電池及び蓄電池の運転計画制御を示したフローチャート。
図4】燃料電池及び蓄電池の運転計画制御を示したフローチャート。
図5】(a)発電停止時間の修正前における電力需要及びPV発電電力等を示した図。(b)発電停止時間の修正後における電力需要及びPV発電電力等を示した図。(c)運転計画制御実行後の蓄電池の放電電力及び充電電力等を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。なお、本明細書においては、「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力供給方向を基準とするものとする。
【0025】
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、発電された電力を負荷Hへと供給するものである。電力供給システム1は、住宅に設けられ、当該住宅の負荷H(例えば、住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として蓄電システム10、分電盤20、燃料電池30、第一センサ40、第二センサ50及びEMS60を具備する。
【0026】
蓄電システム10は、電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。蓄電システム10は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられる。蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
【0027】
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0028】
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。
【0029】
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を配電線L(負荷H)に出力可能であると共に、配電線Lを流れる電力(系統電源Kからの電力及び後述する燃料電池30で発電された電力)を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の性能や運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kと負荷H(分電盤20)とを繋ぐ配電線Lの中途部(接続点P)に対して、電路A1を介して接続される。蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述する第一センサ40の検出結果等に基づいて、放電(出力)する電力を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0030】
分電盤20は、負荷Hへと電力を分配するものである。分電盤20は、蓄電システム10(接続点P)よりも下流側に設けられ、負荷Hと接続される。なお、図1においては1つの負荷Hしか示していないが、分電盤20は複数の負荷に接続され、各負荷に電力を分配する。分電盤20は、系統電源Kからの電力、蓄電池12から放電された電力及び後述する燃料電池30からの電力を負荷Hへと供給する。
【0031】
燃料電池30は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池30は、発電ユニット31及び貯湯タンク32を具備する。
【0032】
発電ユニット31は、燃料電池30の発電部である。発電ユニット31は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)又は固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)や制御部等により構成される。発電ユニット31は、後述する第二センサ50によって検出された電力量(住宅の負荷Hの消費電力の合計)に応じて負荷追従運転を行う。また、燃料電池30は、住宅の負荷Hの消費電力や給湯需要に関する情報を学習する学習機能を有する。こうして、燃料電池30は、学習機能により学習した情報に基づいて発電計画を作成することができる。また、燃料電池30は、後述するEMS60からの指示に応じて、前記作成した発電計画に従って発電を行うことができる。
【0033】
貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)を、温水として蓄熱するものである。貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)によって加熱された上水(温水)を貯湯する。
【0034】
このように構成された燃料電池30は、貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達すると(貯湯タンク32が満タンになり、これ以上蓄熱ができない状態となると)、発電ユニット31による発電を停止させる場合がある。また、燃料電池30は、給湯需要の発生時間帯までに貯湯タンク32の貯湯量が最大容量になるように、発電を開始させる。
【0035】
第一センサ40は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第一センサ40は、蓄電システム10(接続点P)よりも上流側(接続点Pの直ぐ上流側)に設けられる。第一センサ40は、当該第一センサ40が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
【0036】
第二センサ50は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第二センサ50は、蓄電システム10(接続点P)と分電盤20との間に設けられる。第二センサ50は、当該第二センサ50が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
【0037】
EMS60は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS60は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS60の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS60の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
【0038】
EMS60は、ハイブリッドパワコン13と電気的に接続される。EMS60は、所定の信号をハイブリッドパワコン13に送信し、蓄電池12の運転(例えば、蓄電池12の充放電等)を制御することができる。また、EMS60は、ハイブリッドパワコン13から所定の信号が入力可能に構成され、各種の情報(蓄電池12の蓄電残量等)を取得することができる。
【0039】
また、EMS60は、燃料電池30に電気的に接続され、当該燃料電池30の動作を制御することができる。
【0040】
上述の如く構成された電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力や、太陽光発電部11及び燃料電池30で発電された電力を、蓄電池12に充電することができる。また、当該電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力、太陽光発電部11及び燃料電池30で発電された電力、及び蓄電池12に充電された電力を、住宅の負荷Hへと供給することができる。また、当該電力供給システム1において、太陽光発電部11で発電された電力の余剰分(余剰電力)は、系統電源Kへと逆潮流させて売却することもできる。
【0041】
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
【0042】
電力供給システム1は、電力の供給態様として第一モード及び第二モードを有する。以下に示す第一モードは、第一センサ40及び第二センサ50の検出結果に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。また、以下に示す第二モードは、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。
【0043】
第一モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部11からの電力を負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11からの電力が負荷Hの消費電力に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池12に充電する。ハイブリッドパワコン13は、蓄電池12を最大充電電力(蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量)で充電しても太陽光発電部11からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Sへと逆潮流させる。
【0044】
上記負荷Hへの電力の供給において、ハイブリッドパワコン13は、第一センサ40の検出結果に基づいて蓄電池12の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
【0045】
一方、第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行う。第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて、例えば系統電源Sからの電力(深夜電力)を蓄電池12に充電させることができる。
【0046】
ここで、前述の燃料電池30は、機器の特性やガス燃料の保安等の安全面を考慮して、連続発電時間の上限である最大連続発電時間が決められており、一定時間連続運転させると、必ず発電を一旦停止させる必要がある。通常は、この最大連続発電時間を考慮して(連続発電時間が最大連続発電時間を超えないように)、燃料電池30の発電を停止させる日(発電停止日)が予め設定されている。以下、説明の便宜上、最大連続発電時間を考慮して予定(設定)されている燃料電池30の発電停止日を、「発電停止予定日」と称する。一方、詳細は後述するが、修正(再設定)後の発電停止日を単に「発電停止日」と称する。
【0047】
一方で、天気が悪い等の理由により発電停止予定日において太陽光発電部11の余剰電力が見込めない場合、発電停止予定日においては、燃料電池30が発電しない分、電力需要を賄うために系統電源Kからの購入電力量が増加してしまうおそれがある。系統電源Kからの購入電力量の増加は、経済的に好ましくない場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態に係る電力供給システム1においては、図2から図4に示す蓄電池及び燃料電池の運転計画制御を実行する。当該運転計画制御は、必要に応じて発電停止日を発電停止予定日から前倒しする(発電停止日を修正(再設定)する)とともに、修正した発電停止日における燃料電池及び蓄電池の運転(動作)を計画するものである。
【0049】
以下、図2から図4を用いて、燃料電池及び蓄電池の運転計画制御について具体的に説明する。
【0050】
なお、図2から図4に示す燃料電池及び蓄電池の運転計画制御は、発電停止予定日の前(例えば、発電停止予定日の1週間前)に開始される。また、本実施形態においては、発電停止予定日は、前回の発電停止日から27日目であるものとする。また、発電停止日の前倒し(修正)を行わない場合、次の日に再び燃料電池及び蓄電池の運転計画制御を実行する。
【0051】
図2に示すステップS10において、EMS60は、天気予報等の情報を取得する。この処理において、EMS60は、任意の方法で、後述するステップS11の予測を行うための情報(天気予報等)を取得する。天気予報は、現時点の次の日(以下、単に「翌日」という)から発電停止予定日までの天気予報である。また、当該情報には、天気予報の他、太陽光発電部11及び燃料電池30の過去の発電電力のデータや、過去の購入電力のデータ等を含むことができる。EMS60は、当該ステップS10の処理を行った後、ステップS11に移行する。
【0052】
図2に示すステップS11において、EMS60は、電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力を予測する。この処理において、EMS60は、ステップS10で取得した天気予報等の情報に基づいて当該予測を行う。EMS60は、翌日から発電停止予定日まで燃料電池30が全く発電しない想定で、翌日から発電停止予定日までの電力需要等を予測する。
【0053】
ここで、「PV発電電力」とは、太陽光発電部11による発電電力を示すものである。また、「余剰電力」とは、電力需要に対する太陽光発電部11及び燃料電池30による発電電力の余剰分を示すものである。なお、燃料電池30が全く発電しない想定であるので、ステップS11で予測される「余剰電力」は、電力需要に対するPV発電電力の余剰分となる。EMS60は、当該ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
【0054】
図2に示すステップS12において、EMS60は、最終余剰日を算出する。ここで、「最終余剰日」とは、翌日から発電停止予定日(前回の発電停止日から27日目)までの日のうち、最後に余剰電力が発生する日を示すものである。仮に前回の発電停止日から25日目、26日目及び27日目に余剰電力が発生しないと予測される場合、最終余剰日は前回の発電停止日から24日目となる。この処理において、EMS60は、ステップS11における予測結果に基づいて最終余剰日の算出を行う。
【0055】
なお、ステップS12において、EMS60は、余剰電力量>αである日を「余剰電力が発生する日」と判断する。ここで、「余剰電力量」とは、1日の余剰電力の合計を示すものである。また、αは、0以上の任意の閾値である。また、αを0より大きい値とすることで、ステップS11における予測が多少ずれても、購入電力の増加を抑制することができる。EMS60は、当該ステップS12の処理を行った後、ステップS13に移行する。
【0056】
図2に示すステップS13において、EMS60は、翌日が最終余剰日又は発電停止予定日であるか否かを判定する。EMS60は、翌日が最終余剰日又は発電停止予定日であると判定した場合(ステップS13で「YES」)、ステップS14に移行する。一方、EMS60は、翌日が最終余剰日又は発電停止予定日でないと判定した場合(ステップS13で「NO」)、図4に示すステップS28に移行する。
【0057】
図2に示すステップS14において、EMS60は、発電停止時間を設定する。ここで、「発電停止時間」とは、燃料電池30の発電(運転)を停止させる時間を示すものである。この処理において、EMS60は、翌日(最終余剰日または発電停止予定日)の余剰発生時間に発電停止時間を設定する。ここで、「余剰発生時間」とは、余剰電力が発生する時間帯を示すものである。EMS60は、燃料電池30の発電停止の開始を、翌日の余剰開始時刻(余剰電力が発生し始める時間、例えば9時)となるように、発電停止時間を設定する。例えば、発電停止時間は翌日の9~12時と設定される。
【0058】
なお、翌日が発電停止予定日であって余剰発生時間がない場合、任意の時間帯に発電停止時間を設定することができ、例えば最大連続発電時間直後の時間帯に発電停止時間を設定することができる。また、余剰発生時間の長さが発電停止時間の長さよりも短い場合、発電停止時間が余剰発生時間の全てを含むように設定することができる。EMS60は、当該ステップS14の処理を行った後、ステップS15に移行する。
【0059】
図2に示すステップS15において、EMS60は、余剰電力及び購入電力の予測を更新する。この処理において、EMS60は、ステップS11で得られた電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力の予測のうち余剰電力及び購入電力の予測を更新する。具体的には、EMS60は、ステップS14で設定した発電停止時間(例えば9~12時)に燃料電池30が発電せず、発電停止の開始までの時間(すなわち、余剰開始時間)までの時間帯(例えば0~9時)には燃料電池30が発電する想定で当該更新を行う。EMS60は、当該ステップS15の処理を行った後、ステップS16に移行する。
【0060】
図2に示すステップS16において、EMS60は、深夜電力単価がある(設定されている)か否かを判定する。この処理において、EMS60は、深夜電力単価(深夜時間帯の電力単価)がその他の時間帯の電力単価よりも安価に設定されている場合、深夜電力単価があると判定する。一方、EMS60は、深夜電力単価がその他の時間帯の電力単価よりも安価に設定されていない場合、深夜電力単価がないと判定する。EMS60は、深夜電力単価があると判定した場合(ステップS16で「YES」)、ステップS17に移行する。一方、EMS60は、深夜電力単価がないと判定した場合(ステップS16で「NO」)、ステップS20に移行する。
【0061】
図2に示すステップS17において、EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量である(翌日の余剰電力量が、蓄電容量から余剰開始時刻における蓄電残量(の予測値)を減算した値よりも少ない)か否かを判定する。また、「蓄電容量」とは、蓄電池12に蓄電可能な最大容量を示すものである。また、「蓄電残量」とは、蓄電池12に蓄えられている(残っている)電力量を示すものである。EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量であると判定した場合(ステップS17で「YES」)、ステップS18に移行する。一方、EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量でないと判定した場合(ステップS17で「NO」)、ステップS20に移行する。
【0062】
なお、ステップS17で「YES」の場合とは、翌日の余剰電力で蓄電池12を満充電にすることができないことを示している。一方、ステップS17で「NO」の場合とは、翌日の余剰電力で蓄電池12を満充電にすることができることを示している。
【0063】
図2に示すステップS18において、EMS60は、蓄電池12を深夜時間帯(深夜電力単価が設定されている時間帯)に満充電させる。この処理において、EMS60は、ステップS14で設定した発電停止時間より前の深夜時間帯において、ハイブリッドパワコン13を第二モードに設定し、系統電源Kからの深夜電力を用いて蓄電池12を満充電とする。EMS60は、当該ステップS18の処理を行った後、ステップS19に移行する。
【0064】
図2に示すステップS19において、EMS60は、深夜終了時刻に蓄電池12(ハイブリッドパワコン13)を第一モードに設定する。ここで、「深夜終了時刻」とは、深夜時間帯(深夜電力単価が設定されている時間帯)が終了する時刻を示すものである。EMS60は、当該ステップS18の処理を行った後、ステップS19に移行する。
【0065】
図2に示すステップS20において、EMS60は、余剰開始時刻まで発電要請指示を行う。この処理において、EMS60は、翌日の余剰開始時刻までの時間(例えば0~9時)において、燃料電池30に対して発電要請指示を行う。ここで、「発電要請指示」とは、EMS60から燃料電池30に対して発電時間を指示するものである。発電要請指示を受けた燃料電池30は、指示された発電時間において所定の条件を満たす場合に、発電を行うこととなる。すなわち、燃料電池30は、発電要請指示を受けても必ず発電を行うわけではなく、例えば貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達していれば(貯湯タンク32が満タンであれば)発電を行わない。EMS60は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS21に移行する。
【0066】
図2に示すステップS21において、EMS60は、余剰開始時刻に発電停止指示を行う。この処理において、EMS60は、翌日の余剰開始時刻(例えば9時)に、燃料電池30に対して発電停止指示(発電を停止させる指示)を行う。発電停止指示を受けた燃料電池30は、発電を停止する。EMS60は、当該ステップS21の処理を行った後、ステップS22に移行する。
【0067】
図3に示すステップS22において、EMS60は、発電再開予定時刻に余剰電力>βである(余剰電力がβより多い)か否かを判定する。ここで、「発電再開予定時刻」とは、発電停止指示によって燃料電池30が発電を停止した後に発電を再開する時刻を示すものである。また、βは、燃料電池30の起動時に消費される(起動に要する)電力(例えば500W)を示すものである。EMS60は、発電再開予定時刻に余剰電力>βであると判定した場合(ステップS22で「YES」)、ステップS26に移行する。一方、EMS60は、発電再開予定時刻に余剰電力>βでないと判定した場合(ステップS22で「NO」)、ステップS23に移行する。
【0068】
なお、ステップS22で「YES」の場合とは、燃料電池30の起動時に消費される電力βを余剰電力で賄えることを示している。一方、ステップS22で「NO」の場合とは、燃料電池30の起動時に消費される電力βを余剰電力で賄えないことを示している。
【0069】
図3に示すステップS23において、EMS60は、発電再開予定時刻に放電可能電力+余剰電力-購入電力>βである(蓄電池12の放電可能電力と余剰電力との合計から購入電力を減算した値が、燃料電池30の起動時に消費される電力βよりも多い)か否かを判定する。ここで、「放電可能電力」とは、蓄電池12から放電可能な最大電力を示すものである。EMS60は、放電可能電力+余剰電力-購入電力>βであると判定した場合(ステップS23で「YES」)、ステップS26に移行する。一方、EMS60は、放電可能電力+余剰電力-購入電力>βでないと判定した場合(ステップS23で「NO」)、ステップS24に移行する。
【0070】
なお、ステップS23で「YES」の場合とは、蓄電池12から放電される電力(蓄電池12に蓄えられた電力)と余剰電力とで燃料電池30の起動時に消費される電力βを賄えることを示している。一方、ステップS23で「NO」の場合とは、蓄電池12から放電される電力(蓄電池12に蓄えられた電力)と余剰電力とで燃料電池30の起動時に消費される電力βを賄えないことを示している。
【0071】
図3に示すステップS24において、EMS60は、深夜電力単価がある(設定されている)か否かを判定する。この処理において、EMS60は、深夜時間帯の電力単価がその他の時間帯の電力単価よりも安価に設定されている場合、深夜電力単価があると判定する。一方、EMS60は、深夜時間帯の電力単価がその他の時間帯の電力単価よりも安価に設定されていない場合、深夜電力単価がないと判定する。EMS60は、深夜電力単価があると判定した場合(ステップS24で「YES」)、ステップS25に移行する。一方、EMS60は、深夜電力単価がないと判定した場合(ステップS24で「NO」)、ステップS26に移行する。
【0072】
図3に示すステップS25において、EMS60は、燃料電池30の貯湯タンク32が満タンであるか(貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達しているか)否かを判定する。EMS60は、貯湯タンク32が満タンであると判定した場合(ステップS25で「YES」)、ステップS27に移行する。一方、EMS60は、貯湯タンク32が満タンでないと判定した場合(ステップS25で「YES」)、ステップS26に移行する。
【0073】
図3に示すステップS26において、EMS60は、発電再開予定時刻に燃料電池30に発電指示を行う。発電指示を受けた燃料電池30は、発電再開予定時刻に発電を再開させる。EMS60は、当該ステップS26の処理を行った後、運転計画制御を終了させる。
【0074】
一方、図3に示すステップS27において、EMS60は、深夜開始時刻に燃料電池30に発電指示を行う。発電指示を受けた燃料電池30は、深夜開始時刻に発電を再開させる。ここで、「深夜開始時刻」とは、深夜時間帯(すなわち、深夜電力単価が設定されている時間帯)が開始される時刻を示すものであり、例えば23時である。この処理において、EMS60は、発電再開予定時刻では燃料電池30の発電を再開させず、ステップS14で設定された発電停止時刻の後の最初の深夜開始時刻(その日の23時)に、当該発電指示を行う。EMS60は、当該ステップS27の処理を行った後、運転計画制御を終了させる。
【0075】
一方、前述の如く、図2に示すステップS13でNOの場合、図4に示すステップS28に移行する。図4に示すステップS28に移行した場合、発電停止日の修正を行わない。なお、図2から図4に示す運転計画制御は、発電停止予定日の前(例えば、発電停止予定日の1週間前)に実行されるが、それ以外の日においては、図4に示すステップS28からS34までの処理が行われる。
【0076】
図4に示すステップS28において、EMS60は、余剰電力及び購入電力の予測を更新する。この処理において、EMS60は、ステップS11で得られた電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力の予測のうち余剰電力及び購入電力の予測を更新する。具体的には、EMS60は、翌日に燃料電池30が発電する想定で当該更新を行う。EMS60は、当該ステップS28の処理を行った後、ステップS29に移行する。
【0077】
図4に示すステップS29において、EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量である(翌日の余剰電力量が、蓄電容量から余剰開始時刻における蓄電残量を減算した値よりも少ない)か否かを判定する。EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量であると判定した場合(ステップS29で「YES」)、ステップS30に移行する。一方、EMS60は、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量でないと判定した場合(ステップS29で「NO」)、ステップS34に移行する。
【0078】
図4に示すステップS30において、EMS60は、深夜電力単価がある(設定されている)か否かを判定する。EMS60は、深夜電力単価があると判定した場合(ステップS30で「YES」)、ステップS31に移行する。一方、EMS60は、深夜電力単価がないと判定した場合(ステップS30で「NO」)、ステップS33に移行する。
【0079】
図4に示すステップS31において、EMS60は、蓄電池12を深夜時間帯(深夜電力単価が設定されている時間帯)に満充電させる。この処理において、EMS60は、直近の深夜時間帯において、ハイブリッドパワコン13を第二モードに設定し、系統電源Kからの深夜電力を用いて蓄電池12を満充電とする。EMS60は、当該ステップS31の処理を行った後、ステップS32に移行する。
【0080】
図4に示すステップS32において、EMS60は、深夜終了時刻に蓄電池12(ハイブリッドパワコン13)を第一モードに設定する。EMS60は、当該ステップS32の処理を行った後、ステップS33に移行する。
【0081】
図4に示すステップS33において、EMS60は、燃料電池30に対して発電要請指示を行わない。そうすると、燃料電池30は、発電を停止することなく、継続することとなる。EMS60は、当該ステップS33の処理を行った後、運転計画制御を終了させる。
【0082】
一方、図4に示すステップS34において、EMS60は、余剰発生時間以外に燃料電池30に対して発電要請指示を行う。そうすると、燃料電池30は、余剰発生時間以外において発電を行うこととなる。EMS60は、当該ステップS34の処理を行った後、運転計画制御を終了させる。
【0083】
以下、燃料電池30の発電停止時間の設定の具体例を示す。なお、図5に示す例においては、燃料電池30の最大発電電力は700Wであるものとする。
【0084】
図5(a)は、ステップS11で予測した(発電停止時間の修正前における)電力需要及びPV発電電力等(の予測)を示した図である。ここでは、燃料電池30の発電は行われないと想定されている。この例においては、前回の発電停止日からd日目が発電停止予定日となっており、d日目(発電停止予定日)の10時に発電停止時間が開始されると予定されている。この例においては、d日目(発電停止予定日)において余剰電力は発生していない。
【0085】
図5(b)は、ステップS14で設定した(発電停止時間の修正後における)電力需要及びPV発電電力等(の予測)を示した図である。前述の如く、d日目(発電停止予定日)において余剰電力が発生していないので、余剰電力が発生する前日(前回の発電停止日から(d-1)日目)に、発電停止日を前倒ししている。また、(d-1)日目の10時から余剰電力が発生しているので、(d-1)日目の10時に発電停止時間を開始している。そうすることで、燃料電池30の発電を停止してもPV発電電力で電力需要を賄うことができるので、発電停止時間において購入電力の発生を抑制することができている。
【0086】
図5(c)は、運転計画制御の実行後における電力需要及びPV発電電力等(の予測)を示した図である。図5(c)に示す例においては、余剰電力で蓄電池12が満充電とならないので、深夜電力を用いて蓄電池12を満充電としている。また、燃料電池30の再起動は、貯湯タンク32が満タンであるため、深夜電力時間まで燃料電池30の再起動を待機している。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る電力供給システム1においては、余剰電力が発生すると予測される日(時間)に燃料電池30の発電停止予定日(時間)を設定(前倒し)する。これにより、燃料電池30を停止させることによる購入電力の増加を抑制することができる。
【0088】
また、発電停止時間においては、燃料電池30の発電が停止されることで、電力需要に消費されるPV発電電力が増加する。このため、PV発電電力を蓄電池12の充電に回せない可能性がある。よって、発電停止時間において余剰電力で蓄電池12を満充電にできないと予測される場合(図2に示すS17でYES)、予め深夜電力を蓄電池12に充電しておくことで、蓄電池12の充電にかかるコストを低減しつつ、発電停止時間後に蓄電池12に蓄えられた電力の活用が可能となる。
【0089】
また、発電再開予定時刻において、余剰電力(及び蓄電池12の放電可能電力)で燃料電池30の起動時の消費電力(β)を賄える場合(図3に示すS22又はS23でYES)に燃料電池30の発電を再開するため、燃料電池30の起動時の消費電力のための購入電力を抑制することができる。また、発電再開予定時刻において余剰電力及び蓄電池12の放電可能電力で燃料電池30の起動時の消費電力(β)を賄えない場合(図3に示すS23でNO)、かつ、貯湯タンク32が満タンである場合(図3に示すS25でYES)には、発電再開予定時刻には燃料電池30の発電を再開させず、深夜時間帯(深夜開始時刻)まで待って燃料電池30の発電を再開するため、単価の安い深夜電力で燃料電池30の起動に要する電力を賄うことができ、ひいてはコストの低減を図ることができる。また、燃料電池30で製造される熱の有効利用が図れなくなるのを防止することができる。
【0090】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部11(発電部)と、燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池30と、前記燃料電池30の動作を制御するEMS60(制御部)と、を具備し、前記燃料電池30には連続発電時間の上限である最大連続発電時間が定められており、前記EMS60は、前記太陽光発電部11で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する余剰電力を予測し、前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日を、前記燃料電池30を停止させる発電停止日に設定する(図2に示すステップS12からS14)ものである。
【0091】
このように構成されることにより、燃料電池30の発電を停止させることによる購入電力の増加を抑制することができる。
具体的には、例えば燃料電池の発電の停止を予定している日(発電停止予定日)の天気が雨で余剰電力が見込めない場合であっても、発電停止日を余剰電力が発生すると予測される日(すなわち、太陽光発電部11の発電電力(PV発電電力)で電力需要の多くを賄えると見込める日)に前倒しすることにより、購入電力の増加を抑制することができる。
【0092】
また、前記EMS60は、前記燃料電池の前記連続発電時間が前記最大連続発電時間を超えず、かつ、前記余剰電力が発生すると予測される日のうち最も遅い日(最終余剰日)を、前記発電停止日に設定する(図2に示すステップS12からS14)ものである。
【0093】
このように構成されることにより、購入電力の増加を抑制しつつ、燃料電池30の有効活用を図ることができる。
具体的には、最大連続発電時間に近い時間、燃料電池30を運転させることができるため、燃料電池30によって発電される電力が低減するのを抑制することができる。
【0094】
また、前記EMS60は、前記発電停止日において、前記余剰電力が発生すると予測される時間帯に、前記燃料電池を停止させる発電停止時間を設定する(図2に示すステップS14)ものである。
【0095】
このように構成されることにより、燃料電池30を停止させることによる購入電力の増加をより抑制することができる。
具体的には、発電停止時間において太陽光発電部11によって発電される電力によって電力需要を賄うことができるので、燃料電池30を停止させることによる購入電力の増加をより抑制することができる。
また、燃料電池30は、貯湯タンク32が満タンになると発電することができない場合がある。このため、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)に燃料電池30を発電させていると貯湯タンク32が早期に満タンになり、余剰電力が発生しない時間帯にいざ燃料電池30を発電させようとしても、発電することができない場合がある。本実施形態に係る電力供給システム1においては、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)には燃料電池30の発電を停止させることにより、早期に貯湯タンク32が満タンになるのを抑制することができ、ひいては余剰電力が発生しない時間帯に燃料電池30が発電できなくなるのを抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記発電停止時間において前記余剰電力で前記蓄電池12を満充電にできないと予測される場合(図2に示すステップS17でYES)、前記発電停止時間の前に深夜電力を用いて前記蓄電池12に充電する(図2に示すステップS18)ものである。
【0097】
このように構成されることにより、蓄電池12の充電に要するコストを低減することができる。
具体的には、予め深夜電力を蓄電池12に充電しておくことで、発電停止時間後に蓄電池12に蓄えられた電力の活用が可能となり、かつ、蓄電池12の充電にかかるコストを低減することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力が前記燃料電池30の起動時の消費電力βよりも多い場合(図3に示すステップS22でYES)、又は前記余剰電力と前記蓄電池12の放電可能電力との合計が前記燃料電池の起動時の消費電力βよりも多い場合(図3に示すステップS23でYES)、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池30へ発電の指示を行う(図3に示すステップS26)ものである。
【0099】
このように構成されることにより、燃料電池30の起動時の消費電力を、余剰電力及び放電電力で賄うことができる。
具体的には、余剰電力及び蓄電池12の放電電力で燃料電池30の起動時の消費電力を賄うことができるので、コストの低減を図ることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記発電停止時間の後に設定される発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池12の放電可能電力との合計が前記燃料電池30の起動時の消費電力βよりも少ない場合(図3に示すステップS23でNO)、前記発電再開予定時刻よりも後の深夜時間帯に前記燃料電池30へ発電の指示を行う(図3に示すステップS27)ものである。
【0101】
このように構成されることにより、燃料電池30の起動に要する電力のコストを低減させることができる。
具体的には、単価の安い深夜電力で燃料電池30の起動に要する電力を賄うことができるので、コストの低減を図ることができる。
【0102】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記発電再開予定時刻において、前記余剰電力と前記蓄電池12の放電可能電力との合計が前記燃料電池30の起動時の消費電力βよりも少ない場合(図3に示すステップS23でNO)であっても、前記燃料電池30(貯湯タンク32)に蓄えられた熱が最大容量に達していない場合、前記発電再開予定時刻に前記燃料電池30の発電を再開させる(図3に示すステップS26)ものである。
【0103】
このように構成されることにより、熱の確保を図ることができる。
具体的には、発電再開予定時刻に燃料電池30の発電を再開させることにより、貯湯タンク32に蓄えられる熱が不足するのを抑制することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、本実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
【0106】
また、本実施形態において発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部11であるものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0107】
また、本実施形態においては、図3に示すステップS22において発電再開予定時刻に燃料電池30の起動時に消費される電力βより余剰電力が多い(余剰電力>β)か否かを判定するものとしたが、余剰電力がβ以上である(余剰電力≧β)か否かを判定するものとしてもよい。
【0108】
また、本実施形態においては、図3に示すステップS23において発電再開予定時刻に放電可能電力と余剰電力との合計から購入電力を減算した値が、燃料電池30の起動時に消費される電力βよりも多い(放電可能電力+余剰電力-購入電力>β)か否かを判定するものとしたが、当該減算した値がβ以上である(放電可能電力+余剰電力-購入電力≧β)か否かを判定するものとしてもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、図2に示すステップS17及び図4に示すステップS29において、余剰電力量<蓄電容量-蓄電残量であるか否かを判定する際に余剰開始時刻における蓄電残量の予測値を用いるものとしたが、現時点(当該ステップの処理時点)の蓄電残量を余剰開始時刻における蓄電残量とみなしてもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、図2から図4に示す全てのステップは、燃料電池30及び蓄電池12の運転を計画するものとしたが、ステップS18からS26までの処理及びステップS31からS34までの処理は、燃料電池30及び蓄電池12の運転を実行するものとしてもよい。
【0111】
なお、運転計画制御による計画に基づいて燃料電池30の発電を行う場合(すなわち、計画された時間に発電を行う場合)、燃料電池30は、負荷追従運転に基づいた大きさの電力を発電してもよく、また学習機能により作成した発電計画に従った大きさの電力を発電してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 電力供給システム
11 太陽光発電部
12 蓄電池
30 燃料電池
32 貯湯タンク
60 EMS
図1
図2
図3
図4
図5