(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】エマルション粒子、コーティング剤、乾燥物およびエマルション粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/02 20060101AFI20240215BHJP
C08L 57/10 20060101ALI20240215BHJP
C08L 33/26 20060101ALI20240215BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20240215BHJP
C08L 25/08 20060101ALI20240215BHJP
C09D 157/10 20060101ALI20240215BHJP
C09D 133/26 20060101ALI20240215BHJP
C09D 133/10 20060101ALI20240215BHJP
C09D 125/08 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
C08L101/02
C08L57/10
C08L33/26
C08L33/10
C08L25/08
C09D157/10
C09D133/26
C09D133/10
C09D125/08
(21)【出願番号】P 2020062022
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】松本 友孝
(72)【発明者】
【氏名】香川 靖之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 寿洋
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-241448(JP,A)
【文献】特開平06-073138(JP,A)
【文献】特開平06-073139(JP,A)
【文献】特開平04-211411(JP,A)
【文献】特開2018-203871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基含有ビニルモノマーを含有する第1モノマー成分の重合生成物である第1ポリマーと、
前記酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含有しない第2モノマー成分の重合生成物である第2ポリマーとを含み、
前記第1モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、第1モノマー成分に対して、10質量%以上80質量%以下であり、
前記第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上であり、
前記酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部が、塩を形成しており、
前記第1ポリマーが前記第2ポリマーに被覆されて
おり、
前記第2モノマー成分が、(メタ)アクリルアミドを含み、
前記(メタ)アクリルアミドの含有割合が、前記第2モノマー成分に対して、10質量%超過80質量%以下であり、
前記酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含有しない前記第2モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーの含有割合が、0.1質量%以下であることを特徴とする、エマルション粒子。
【請求項2】
前記第1モノマー成分が、メタクリル酸メチルを含み、
メタクリル酸メチルの含有割合が、前記第1モノマー成分に対して、50質量%以上であることを特徴とする、請求項
1に記載のエマルション粒子。
【請求項3】
前記第2モノマー成分が、スチレンを含み、
スチレンの含有割合が、前記第2モノマー成分に対して、10質量%以上であることを特徴とする、請求項1
または2に記載のエマルション粒子。
【請求項4】
第3モノマー成分の重合生成物である第3ポリマーを含み、
前記第1ポリマーが前記第3ポリマーに被覆され、
前記第3ポリマーが前記第2ポリマーに被覆されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載のエマルション粒子。
【請求項5】
前記第3モノマー成分が、前記酸性基含有ビニルモノマーを含み、
前記第3モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、請求項
4に記載のエマルション粒子。
【請求項6】
第4モノマー成分の重合生成物である第4ポリマーを含み、
前記第4ポリマーが、第1ポリマーに被覆されていることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のエマルション粒子。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載のエマルション粒子を含むことを特徴とする、コーティング剤。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか一項に記載のエマルション粒子の乾燥物であることを特徴とする、乾燥物。
【請求項9】
内部が中空であることを特徴とする、請求項
8に記載の乾燥物。
【請求項10】
酸性基含有ビニルモノマーを含有する第1モノマー成分を重合し、第1ポリマーを調製する工程と、
前記酸性基含有ビニルモノマーを
実質的に含有しない第2モノマー成分を重合し、第2ポリマーを調製する工程と、
前記酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部を、中和する工程とを備え、
前記第1モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、第1モノマー成分に対して、10質量%以上80質量%以下であり、
前記第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上であり、
前記第1ポリマーが前記第2ポリマーに被覆されて
おり、
前記第2モノマー成分が、(メタ)アクリルアミドを含み、
前記(メタ)アクリルアミドの含有割合が、前記第2モノマー成分に対して、10質量%超過80質量%以下であり、
前記酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含有しない前記第2モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーの含有割合が、0.1質量%以下であることを特徴とする、エマルション粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルション粒子、コーティング剤、乾燥物およびエマルション粒子の製造方法に関し、詳しくは、エマルション粒子、そのエマルション粒子を含むコーティング剤、そのエマルション粒子の乾燥物、および、そのエマルション粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エマルション粒子は、感熱記録紙、熱転写受容紙などの感熱記録材料、農薬、医薬、香料などの多くの分野において用いられている。
【0003】
このようなエマルション粒子として、例えば、酸性基含有ビニルモノマーを5~80重量%含有するビニル単量体混合物(a)の重合により調製される重合体(A)からなるコア層、酸性基含有ビニルモノマーを0~10重量%含有するビニル単量体混合物(b)の重合により調製される重合体(B)からなる1次シェル層、酸性基含有ビニルモノマーを一切含有しないビニル単量体混合物(c)を、ノニオン性界面活性剤の存在下で重合することにより調製されるガラス転移温度が50℃以上である重合体(C)からなる不揮発性塩基が透過可能な2次シェル層で構成され、不揮発性塩基を添加することにより、塩基がコアを中和、水和膨潤する結果、乾燥時に粒子内部に空隙を有するエマルション粒子が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、エマルション粒子として、粒子内部に芯粒子を有し、芯粒子外層部に空隙層を有する有芯多層構造エマルション粒子が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-73138号公報
【文献】特開平4-211411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなエマルション粒子を、例えば、感熱記録材料における断熱層に配合する場合には、熱による印字の劣化を抑制する観点、および、高温での乾燥に対する耐久性を向上させる観点から、エマルション粒子には、耐熱性が要求される。
【0007】
本発明は、耐熱性に優れるエマルション粒子、そのエマルション粒子を含むコーティング剤、そのエマルション粒子の乾燥物、および、そのエマルション粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、酸性基含有ビニルモノマーを含有する第1モノマー成分の重合生成物である第1ポリマーと、前記酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含有しない第2モノマー成分の重合生成物である第2ポリマーとを含み、前記第1モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、第1モノマー成分に対して、10質量%以上80質量%以下であり、前記第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上であり、前記酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部が、塩を形成しており、前記第1ポリマーが前記第2ポリマーに被覆されている、エマルション粒子である。
【0009】
本発明[2]は、前記第2モノマー成分が、(メタ)アクリルアミドを含み、(メタ)アクリルアミドの含有割合が、前記第2モノマー成分に対して、10質量%超過80質量%以下である、上記[1]に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0010】
本発明[3]は、前記第1モノマー成分が、メタクリル酸メチルを含み、メタクリル酸メチルの含有割合が、前記第1モノマー成分に対して、50質量%以上である、上記[1]または[2]に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0011】
本発明[4]は、前記第2モノマー成分が、スチレンを含み、スチレンの含有割合が、前記第2モノマー成分に対して、10質量%以上である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0012】
本発明[5]は、第3モノマー成分の重合生成物である第3ポリマーを含み、前記第1ポリマーが前記第3ポリマーに被覆され、前記第3ポリマーが前記第2ポリマーに被覆される、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0013】
本発明[6]は、前記第3モノマー成分が、前記酸性基含有ビニルモノマーを含み、前記第3モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、1質量%以上10質量%以下である、上記[5]に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0014】
本発明[7]は、第4モノマー成分の重合生成物である第4ポリマーを含み、前記第4ポリマーが、第1ポリマーに被覆されている、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のエマルション粒子を含んでいる。
【0015】
本発明[8]は、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載のエマルション粒子を含む、コーティング剤を含んでいる。
【0016】
本発明[9]は、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載のエマルション粒子の乾燥物である、乾燥物を含んでいる。
【0017】
本発明[10]は、内部が中空である、上記[9]に記載の乾燥物を含んでいる。
【0018】
本発明[11]は、酸性基含有ビニルモノマーを含有する第1モノマー成分を重合し、第1ポリマーを調製する工程と、前記酸性基含有ビニルモノマーを含有しない第2モノマー成分を重合し、第2ポリマーを調製する工程と、前記酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部を、中和する工程とを備え、前記第1モノマー成分において、前記酸性基含有ビニルモノマーが、第1モノマー成分に対して、10質量%以上80質量%以下であり、前記第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上であり、前記第1ポリマーが前記第2ポリマーに被覆されている、エマルション粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエマルション粒子は、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆される第1ポリマーとを含む。すなわち、エマルション粒子の最表面が、第2ポリマーである。また、第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上である。そのため、このエマルション粒子は、耐熱性に優れる。
【0020】
本発明のコーティング剤は、本発明のエマルション粒子を含むので、耐熱性に優れる。
【0021】
本発明の乾燥物は、本発明のエマルション粒子の乾燥物であるため、耐熱性に優れる。
【0022】
本発明のエマルション粒子の製造方法は、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆される第1ポリマーと含むエマルション粒子の製造方法であり、第2ポリマーのガラス転移温度が、112.0℃以上である。そのため、このエマルション粒子の製造方法により得られるエマルション粒子は、耐熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明のエマルション粒子の製造方法の一実施形態を示す概略図であって、
図1Aは、第4モノマー成分を重合し、第4ポリマーを調製する第4ポリマー調製工程を示し、
図1Bは、第1モノマー成分を重合し、第1ポリマーを調製する第1ポリマー調製工程を示し、
図1Cは、第3モノマー成分を重合し、第3ポリマーを調製する第3ポリマー調製工程を示し、
図1Dは、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部を、中和する中和工程を示し、
図1Eは、第2モノマー成分を重合し、第2ポリマーを調製する第2ポリマー調製工程を示す。
【
図2】
図2は、実施例9の耐熱性試験の結果を示し、
図2Aは、走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図2Bには、透過型電子顕微鏡観測の結果を示す。
【
図3】
図3は、実施例13の耐熱性試験の結果を示し、
図3Aは、走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図3Bには、透過型電子顕微鏡観測の結果を示す。
【
図4】
図4は、比較例2の耐熱性試験の結果を示し、
図4Aは、走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図4Bには、透過型電子顕微鏡観測の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のエマルション粒子は、必須成分として、第1ポリマーおよび第2ポリマーを含み、任意成分として、第3ポリマー、第4ポリマーおよび第5ポリマーを含む。
【0025】
以下の説明では、エマルション粒子が、第1ポリマーと、第2ポリマーと、第3ポリマーと、第4ポリマーとを含む場合について詳述する。
1.第1ポリマー
第1ポリマーは、第1モノマー成分の重合生成物である。
【0026】
第1モノマー成分は、酸性基含有ビニルモノマーを含む。
【0027】
第1モノマー成分が、酸性基含有ビニルモノマーを含めば、中和工程(後述)において、第1ポリマーを膨潤させることができる。
【0028】
酸性基含有ビニルモノマーは、酸性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基)を含有するビニルモノマーである。
【0029】
酸性基含有ビニルモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマー、リン酸基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0030】
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられる。
【0031】
スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などが挙げられる。
【0032】
リン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アシッドホスフォオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0033】
酸性基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0034】
酸性基含有ビニルモノマーとして、好ましくは、カルボキシ基含有ビニルモノマー、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、さらに好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
【0035】
第1モノマー成分において、酸性基含有ビニルモノマーの配合割合は、第1モノマー成分に対して、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
【0036】
酸性基含有ビニルモノマーの配合割合が、上記下限以上であれば、膨潤が向上し、これに伴い、内部空隙率が向上する。
【0037】
一方、酸性基含有ビニルモノマーの配合割合の配合割合が、上記下限未満であれば、膨潤が不足し、コアシェル構造の形成が欠如する。
【0038】
また、酸性基含有ビニルモノマーの配合割合が、上記上限以下であれば、膨潤が向上し、これに伴い、内部空隙率が向上する。
【0039】
一方、酸性基含有ビニルモノマーの配合割合の配合割合が、上記上限を超過すると、粒子安定性の低下し、凝集沈殿が生じる。
【0040】
また、第1モノマー成分は、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。
【0041】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの炭素数1~8のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0042】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0043】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、炭素数2~4のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、より好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、または、それらの併用、さらに好ましくは、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、または、それらの併用、とりわけ好ましくは、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルを併用する。
【0044】
第1モノマー成分において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
【0045】
とりわけ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルを含む場合には(第1モノマー成分が、メタクリル酸メチルを含む場合には)、メタクリル酸メチルの配合割合は、第1モノマー成分に対して、例えば、40質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下である。
【0046】
メタクリル酸メチルの配合割合が、上記下限以上であれば、粒子径の安定化に優れる。
【0047】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルを含む場合には(第1モノマー成分が、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルを含む場合には)、メタクリル酸メチルの配合割合は、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルの総量100質量部に対して、例えば、80質量部以上、好ましくは、85質量部以上であり、また、例えば、95質量部以下であり、また、アクリル酸ブチルの配合割合は、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルの総量100質量部に対して、例えば、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。
【0048】
また、第1モノマー成分は、酸性基含有ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第1共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0049】
第1共重合性モノマーとしては、例えば、官能基含有ビニルモノマー(酸性基含有ビニルモノマーを除く。)、ビニルエステル類、芳香族ビニルモノマー、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類などが挙げられる。
【0050】
官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0051】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0052】
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルなどが挙げられる。
【0053】
グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0054】
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0055】
アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。
【0056】
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
【0057】
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0058】
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0059】
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0060】
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0061】
ジエン類としては、例えば、ブタジエンなどが挙げられる。
【0062】
さらに、第1共重合性モノマーとして、架橋性ビニルモノマーを挙げることもできる。
【0063】
架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなど、2つ以上のビニル基を含有する化合物などが挙げられる。
【0064】
第1共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0065】
第1共重合性モノマーの配合割合は、第1モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下である。
【0066】
第1モノマー成分は、好ましくは、第1共重合性モノマーを含まず、酸性基含有ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、より好ましくは、酸性基含有ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる。
【0067】
そして、第1ポリマーは、後述する方法により、第1モノマー成分を重合することにより得られる。
【0068】
第1ポリマーの配合割合は、第1ポリマー、第2ポリマー、第3ポリマーおよび第4ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。
2.第2ポリマー
第2ポリマーは、第2モノマー成分の重合生成物である。
【0069】
第2モノマー成分は、上記した酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含まない。
【0070】
「酸性基含有ビニルモノマーに含有しない」とは、酸性基含有ビニルモノマーの含有割合が、第2モノマー成分に対して、0.1質量%以下、好ましくは、0.01質量%以下、より好ましくは、0.001質量%以下であることを意味する。
【0071】
第2モノマー成分は、好ましくは、上記した芳香族ビニルモノマーおよび上記した水酸基含有ビニルモノマーを含むか、または、水酸基含有ビニルモノマーを含まず、芳香族ビニルモノマーを含み、より好ましくは、芳香族ビニルモノマーおよび水酸基含有ビニルモノマーを含む。
【0072】
芳香族ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた芳香族ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0073】
第2モノマー成分において、芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、40質量%以上、より好ましくは、50質量%以上、さらに好ましくは、60質量%以上、とりわけ好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下である。
【0074】
とりわけ、芳香族ビニルモノマーがスチレンを含む場合には(第2モノマー成分が、スチレンを含む場合には)、スチレンの配合割合は、第2モノマー成分に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、40質量%以上、より好ましくは、50質量%以上、さらに好ましくは、60質量%以上、とりわけ好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下である。
【0075】
スチレンの配合割合が、上記下限以上であれば、乳化および重合安定性に優れる。
【0076】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた水酸基含有ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、より好ましくは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0077】
第2モノマー成分において、水酸基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下である。
【0078】
また、第2モノマー成分は、第2ポリマーのガラス転移温度(後述)を高くする観点から、好ましくは、(メタ)アクリルアミドおよび/または(メタ)アクリル酸イソボルニルを含み、より好ましくは、メタクリルアミドおよび/またはメタクリル酸イソボルニルを含み、さらに好ましくは、メタクリルアミドおよびメタクリル酸イソボルニルのうち、いずれか一方を含む。
【0079】
第2モノマー成分が、(メタ)アクリルアミドを含む場合には、(メタ)アクリルアミドの配合割合は、第2モノマー成分に対して、例えば、10質量%超過、好ましくは、15質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下である。
【0080】
(メタ)アクリルアミドの配合割合が、上記下限以上であれば、第2ポリマーのガラス転移温度(後述)を高くすることができ、その結果、耐熱性に優れるエマルション粒子を得ることができる。
【0081】
また、(メタ)アクリルアミドの配合割合が、上記上限以下であれば、乳化および重合安定性に優れる。
【0082】
また、第2モノマー成分が、(メタ)アクリル酸イソボルニルを含む場合には、(メタ)アクリル酸イソボルニルの配合割合は、第2モノマー成分に対して、例えば、15質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
【0083】
(メタ)アクリル酸イソボルニルの配合割合が、上記下限以上であれば、第2ポリマーのガラス転移温度(後述)を高くすることができ、その結果、耐熱性に優れるエマルション粒子を得ることができる。
【0084】
また、(メタ)アクリル酸イソボルニルの配合割合が、上記上限以下であれば、重合安定性に優れる。
【0085】
また、第2モノマー成分は、第2ポリマーのガラス転移温度(後述)を高くする観点から、好ましくは、上記した架橋性ビニルモノマー(好ましくは、ジビニルベンゼン)をさらに含むこともできる。
【0086】
架橋性ビニルモノマーの配合割合は、第2モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下である。
【0087】
また、第2モノマー成分は、芳香族ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルと架橋性ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第2共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0088】
第2共重合性モノマーとしては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記した官能基含有ビニルモノマー(酸性基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマーおよび(メタ)アクリルアミドを除く。)、上記したビニルエステル類、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類などが挙げられる。
【0089】
第2共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0090】
第2共重合性モノマーの配合割合は、第2モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下である。
【0091】
第2モノマー成分は、好ましくは、第2共重合性モノマーを含まず、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミドと、必要により、架橋性ビニルモノマーとを含むか、または、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、(メタ)アクリル酸イソボルニルと、必要により、架橋性ビニルモノマーとを含み、より好ましくは、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミドと、必要により、架橋性ビニルモノマーとからなるか、または、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、(メタ)アクリル酸イソボルニルと、必要により、架橋性ビニルモノマーとからなる。
【0092】
そして、第2ポリマーは、後述する方法により、第2モノマー成分を重合することにより得られる。
【0093】
第2ポリマーのガラス転移温度は、112.0℃以上、好ましくは、113.0℃以上、より好ましくは、115.0℃以上、さらに好ましくは、117.0℃以上であり、また、例えば、260℃以下である。
【0094】
第2ポリマーのガラス転移温度が、上記下限以上であれば、耐熱性に優れるエマルション粒子を得ることができる。
【0095】
なお、第2ポリマーのガラス転移温度は、Polymer Handbook, 2 Volumes Set, 4th Edition に記載されている各モノマーのホモポリマーのガラス転移点Tgiと、重合の際に添加した各モノマーのホモポリマー質量分率xiから下式に従って算出できる。
(1/Tg)=Σ(xi/Tgi) (1)
第2ポリマーの配合割合は、第1ポリマー、第2ポリマー、第3ポリマーおよび第4ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。
3.第3ポリマー
第3ポリマーは、第3モノマー成分の重合生成物である。
【0096】
第3モノマー成分は、上記した酸性基含有ビニルモノマーを含む。
【0097】
酸性基含有ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた酸性基含有ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、カルボキシ基含有ビニルモノマー、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、さらに好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
【0098】
第3モノマー成分に対する酸性基含有ビニルモノマーの配合割合は、第1モノマー成分における酸性基含有ビニルモノマーの配合割合よりも低い。
【0099】
これにより、詳しくは後述するが、第1ポリマーが、後述する中和工程において膨潤するときに、急激な粘度上昇を抑制できる。
【0100】
具体的には、第3モノマー成分に対する酸性基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下である。
【0101】
また、第3モノマー成分は、好ましくは、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、上記した芳香族ビニルモノマーとを含む。
【0102】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、第1モノマー成分で挙げた(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは、メタクリル酸メチルが挙げられる。
【0103】
第3モノマー成分において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば、60質量%以上、好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、85質量%以下である。
【0104】
芳香族ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた芳香族ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0105】
第3モノマー成分において、芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
【0106】
また、第3モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、芳香族ビニルモノマーと、酸性基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第3共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0107】
第3共重合性モノマーとしては、例えば、上記した官能基含有ビニルモノマー(酸性基含有ビニルモノマーを除く。)、上記したビニルエステル類、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類、上記した架橋性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0108】
第3共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0109】
第3共重合性モノマーの配合割合は、第3モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下である。
【0110】
第3モノマー成分は、好ましくは、第3共重合性モノマーを含まず、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、芳香族ビニルモノマーと、酸性基含有ビニルモノマーとを含み、より好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、芳香族ビニルモノマーと、酸性基含有ビニルモノマーとからなる。
【0111】
そして、第3ポリマーは、後述する方法により、第3モノマー成分を重合することにより得られる。
【0112】
第3ポリマーの配合割合は、第1ポリマー、第2ポリマー、第3ポリマーおよび第4ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
4.第4ポリマー
第4ポリマーは、第4モノマー成分の重合生成物である。
【0113】
第4モノマー成分は、好ましくは、上記した芳香族ビニルモノマーと、上記した水酸基含有ビニルモノマーと、上記した架橋性ビニルモノマーとを含む。
【0114】
芳香族ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた芳香族ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0115】
第4モノマー成分において、芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、99質量%以下である。
【0116】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた水酸基含有ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、より好ましくは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0117】
第4モノマー成分において、水酸基含有ビニルモノマーの配合割合は、第4モノマー成分に対して、例えば、1質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下である。
【0118】
架橋性ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた架橋性ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0119】
第4モノマー成分において、架橋性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下である。
【0120】
また、第4モノマー成分は、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、架橋性ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第4共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0121】
第4共重合性モノマーとしては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記した官能基含有ビニルモノマー(水酸基含有ビニルモノマーを除く。)、上記したビニルエステル類、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類などが挙げられる。
【0122】
第4共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0123】
第4共重合性モノマーの配合割合は、第4モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下である。
【0124】
第4モノマー成分は、好ましくは、第4共重合性モノマーを含まず、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、架橋性ビニルモノマーとを含み、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーと、架橋性ビニルモノマーとからなる。
【0125】
そして、第4ポリマーは、後述する方法により、第4モノマー成分を重合することにより得られる。
【0126】
第4ポリマーの配合割合は、第1ポリマー、第2ポリマー、第3ポリマーおよび第4ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
5.エマルション粒子の製造方法
エマルション粒子の製造方法は、第4モノマー成分を重合し、第4ポリマーを調製する第4ポリマー調製工程と、第1モノマー成分を重合し、第1ポリマーを調製する第1ポリマー調製工程と、第3モノマー成分を重合し、第3ポリマーを調製する第3ポリマー調製工程と、酸性基含有ビニルモノマーにおける酸官能基の少なくとも一部を、中和する中和工程と、第2モノマー成分を重合し、第2ポリマーを調製する第2ポリマー調製工程とを備える。
【0127】
以下、エマルション粒子の製造方法について、
図1を参照して、説明する。
【0128】
第4ポリマー調製工程では、第4モノマー成分を重合し、第4ポリマーを調製する。
【0129】
具体的には、まず、重合開始剤の水溶液を調製する。
【0130】
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)、過酸化水素、有機ハイドロパーオキサイド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)酸などの水溶性開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤、さらには、レドックス系開始剤などが挙げられ、好ましくは、水溶性開始剤、より好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。
【0131】
重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0132】
重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0133】
そして、重合開始剤の水溶液を調製するには、水に重合開始剤を配合し、例えば、50℃以上、80℃以下に加熱する。
【0134】
これにより、重合開始剤の水溶液を調製する。
【0135】
別途、第4モノマー成分の乳化液を調製する。
【0136】
第4モノマー成分の乳化液を調製するには、乳化剤(界面活性剤)に、第4モノマー成分を、攪拌しながら、配合する。
【0137】
乳化剤(界面活性剤)としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤が挙げられ、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0138】
また、乳化剤(界面活性剤)は、水で希釈することもできる。
【0139】
乳化剤(界面活性剤)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0140】
乳化剤(界面活性剤)の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0141】
これにより、第4モノマー成分の乳化液を調製する。
【0142】
次いで、重合開始剤の水溶液に、第4モノマー成分の乳化液を配合し、第4モノマー成分を重合させる。
【0143】
第4モノマー成分の乳化液は、分割して配合することもでき、または、一括して配合することもできる。
【0144】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、2時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、8時間以下である。
【0145】
これにより、
図1Aに示すように、第4ポリマー(具体的には、第4ポリマーからなる粒子(以下、芯粒子1と称する。))を含む水分散液が得られる。
【0146】
芯粒子1の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上であり、また、例えば、0.3μm以下である。
【0147】
平均粒子径の測定方法は、後述する実施例において詳述する。
【0148】
第1ポリマー調製工程では、第1モノマー成分を重合し、第1ポリマーを調製する。
【0149】
具体的には、まず、第4ポリマーの水分散液に、重合開始剤を配合し、例えば、50℃以上、80℃以下に加熱する。
【0150】
重合開始剤としては、第4ポリマー調製工程で挙げた重合開始剤が挙げられ、好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。
【0151】
これにより、水分散液を調製する。
【0152】
別途、第1モノマー成分の乳化液を調製する。
【0153】
第1モノマー成分の乳化液を調製するには、乳化剤(界面活性剤)に、第1モノマー成分を、攪拌しながら、配合する。
【0154】
乳化剤(界面活性剤)としては、第4ポリマー調製工程で挙げた乳化剤(界面活性剤)が挙げられ、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0155】
これにより、第1モノマー成分の乳化液を調製する。
【0156】
次いで、水分散液に、第1モノマー成分の乳化液を配合し、第1モノマー成分を重合させる。つまり、第4ポリマーの存在下で、第1モノマー成分を重合させる。
【0157】
第1モノマー成分の乳化液は、分割して配合することもでき、または、一括して配合することもできる。
【0158】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、2時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、8時間以下である。
【0159】
これにより、第1ポリマーが得られる。詳しくは、第1ポリマーは、第4ポリマーを被覆するように形成される。つまり、
図1Bに示すように、第1ポリマーからなる層(以下、第1ポリマー層2と称する。)と、第1ポリマー層2に被覆される芯粒子1とを備える第1被覆粒子を含む水分散液が得られる。
【0160】
そして、このような第1ポリマー層2は、後述する中和工程において、中和剤によって膨潤する。
【0161】
第3ポリマー調製工程では、第3モノマー成分を重合し、第3ポリマーを調製する。
【0162】
具体的には、まず、第1被覆粒子を含む水分散液に、重合開始剤を配合し、例えば、50℃以上、80℃以下に加熱する。
【0163】
重合開始剤としては、第4ポリマー調製工程で挙げた重合開始剤が挙げられ、好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。
【0164】
これにより、水分散液を調製する。
【0165】
別途、第3モノマー成分の乳化液を調製する。
【0166】
第3モノマー成分の乳化液を調製するには、乳化剤(界面活性剤)に、第3モノマー成分を、攪拌しながら、配合する。
【0167】
乳化剤(界面活性剤)としては、第4ポリマー調製工程で挙げた乳化剤(界面活性剤)が挙げられ、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0168】
これにより、第3モノマー成分の乳化液を調製する。
【0169】
次いで、水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を配合し、第3モノマー成分を重合させる。つまり、第1被覆粒子(第1ポリマーおよび第4ポリマー)の存在下で、第3モノマー成分を重合させる。
【0170】
第3モノマー成分の乳化液は、分割して配合することもでき、または、一括して配合することもできる。
【0171】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、2時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、8時間以下である。
【0172】
これにより、第3ポリマーが得られる。詳しくは、第3ポリマーは、第1被覆粒子を被覆するように形成される。つまり、
図1Cに示すように、第3ポリマーからなる層(以下、第3ポリマー層3と称する。)と、第3ポリマー層3に被覆される第1ポリマー層2と、第1ポリマー層2に被覆される芯粒子1とを備える第2被覆粒子を含む水分散液が得られる。
【0173】
上記したように、第3モノマー成分に対する酸性基含有ビニルモノマーの配合割合は、第1モノマー成分における酸性基含有ビニルモノマーの配合割合よりも低い。
【0174】
そのため、第1ポリマー層2から第3ポリマー層3に向かって、酸性基含有ビニルモノマーの濃度が低くなっている。これにより、後述する中和工程において、第1ポリマー層2および第3ポリマー層3を膨潤するときに、急激な粘度上昇を抑制することができる。
【0175】
中和工程では、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部を、中和する。
【0176】
具体的には、第2被覆粒子を含む水分散液に、中和剤を添加し、所定温度で所定時間保持する。
【0177】
中和剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アミン類、アンモニアなどが挙げられる。また、中和剤は、好ましくは、含塩水として用いられ、具体的には、アルカリ金属水酸化物の水溶液、アンモニア水などが挙げられる。これら中和剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0178】
中和剤として、好ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニアが挙げられる。
【0179】
中和剤の配合割合は、酸性基含有ビニルモノマー100モルに対して、例えば、20モル以上、好ましくは、25モル以上、より好ましくは、30モル以上であり、例えば、200モル以下、好ましくは、150モル以下、より好ましくは、120モル以下である。
【0180】
中和剤添加後における保持条件としては、保持温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、90℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、保持時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、12時間以下、好ましくは、10時間以下である。
【0181】
これにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成する。その結果、
図1Dに示すように、その塩が、水を取り込みことにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーが膨潤する。
【0182】
第2ポリマー調製工程では、第2モノマー成分を重合し、第2ポリマーを調製する。
【0183】
具体的には、まず、第2被覆粒子を含む水分散液に、重合開始剤を配合し、例えば、50℃以上、95℃以下に加熱する。
【0184】
重合開始剤としては、第4ポリマー調製工程で挙げた重合開始剤が挙げられ、好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。
【0185】
これにより、水分散液を調製する。
【0186】
別途、第2モノマー成分の乳化液を調製する。
【0187】
第2モノマー成分の乳化液を調製するには、乳化剤(界面活性剤)に、第2モノマー成分を、攪拌しながら、配合する。
【0188】
乳化剤(界面活性剤)としては、第4ポリマー調製工程で挙げた乳化剤(界面活性剤)が挙げられ、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0189】
これにより、第2モノマー成分の乳化液を調製する。
【0190】
次いで、水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を配合し、第2モノマー成分を重合させる。つまり、第2被覆粒子(第1ポリマー、第3ポリマーおよび第4ポリマー)の存在下で、第2モノマー成分を重合させる。
【0191】
第2モノマー成分の乳化液は、分割して配合することもでき、または、一括して配合することもできる。
【0192】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、2時間以上であり、また、例えば、12時間以下、好ましくは、8時間以下である。
【0193】
これにより、第2ポリマーが得られる。詳しくは、第2ポリマーは、第2被覆粒子を被覆するように形成される。つまり、
図1Eに示すように、第2ポリマーからなる外層(以下、第2ポリマー層5と称する。)と、第2ポリマー層5に被覆される第3ポリマー層3と、第3ポリマー層3に被覆される第1ポリマー層2と、第1ポリマー層2に被覆される芯粒子1とを備えるエマルション粒子6を含む水分散液が得られる。
【0194】
エマルション粒子6の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、5μm以下、好ましくは、1μm以下である。
【0195】
このようなエマルション粒子6は、第1ポリマー層2(第1ポリマー)に被覆されている芯粒子1(第4ポリマー)を含む。
【0196】
そのため、エマルション粒子6の第1ポリマー層2の重合安定性を向上させることができる。
【0197】
また、このようなエマルション粒子6は、第2ポリマー層5(第2ポリマー)に被覆され、第1ポリマー層2(第1ポリマー)を被覆する第3ポリマー層3(第3ポリマー)を含む。
【0198】
そのため、中和工程において、第1ポリマー層2および第3ポリマー層3を膨潤するときに、中和剤添加時の凝集物発生や粘度上昇を抑制することができる。
【0199】
また、このようなエマルション粒子6は、第1ポリマー層2(第1ポリマー)および第3ポリマー層3(第3ポリマー)を被覆する第2ポリマー層5(第2ポリマー)を含む。
【0200】
詳しくは、このようなエマルション粒子6において、第1ポリマー層2(第1ポリマー)が、第3ポリマー層3(第3ポリマー)を介して、第2ポリマー層5(第2ポリマー)に被覆されている。
【0201】
すなわち、エマルション粒子6の最表面が、第2ポリマー層5(第2ポリマー)である。また、第2ポリマー層5(第2ポリマー)のガラス転移温度は、112.0℃以上である。
【0202】
そのため、このエマルション粒子6は、耐熱性に優れる。
【0203】
このエマルション粒子6は、耐熱性に優れるため、感熱記録材料における断熱層に好適に用いることができる。
6.変形例
上記した説明では、エマルション粒子6は、第4ポリマーを含むが、エマルション粒子6は、第4ポリマーを含まなくてもよい。換言すれば、エマルション粒子6は、芯粒子1を備えなくてもよい。
【0204】
このような場合には、エマルション粒子6は、第2ポリマー層5と、第2ポリマー層5に被覆される第3ポリマー層3と、第3ポリマー層3に被覆される第1ポリマー層2とを備える。
【0205】
また、上記した説明では、エマルション粒子6は、第3ポリマーを含むが、エマルション粒子6は、第3ポリマーを含まなくてもよい。
【0206】
また、上記した説明では、エマルション粒子6は、第2ポリマー層5と、第2ポリマー層5に被覆される第3ポリマー層3と、第3ポリマー層3に被覆される第1ポリマー層2と、第1ポリマー層2に被覆される芯粒子1とを備えるが、第2ポリマー層5と、第3ポリマー層3との間に、さらに、第5ポリマーからなる層を配置することもできる。
【0207】
第5ポリマーは、第5モノマー成分の重合生成物である。
【0208】
第5モノマー成分は、上記した酸性基含有ビニルモノマーを実質的に含まない。
【0209】
「酸性基含有ビニルモノマーに含有しない」とは、酸性基含有ビニルモノマーの含有割合が、第5モノマー成分に対して、0.1質量%以下、好ましくは、0.01質量%以下、より好ましくは、0.001質量%以下であることを意味する。
【0210】
第5モノマー成分は、好ましくは、上記した芳香族ビニルモノマーおよび上記した水酸基含有ビニルモノマーを含む。
【0211】
芳香族ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた芳香族ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0212】
第5モノマー成分において、芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上、より好ましくは、99質量%以上であり、また、例えば、99.5質量%以下である。
【0213】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、第1モノマー成分で挙げた水酸基含有ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、より好ましくは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0214】
第5モノマー成分において、水酸基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、0.5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、1質量%以下である。
【0215】
また、第5モノマー成分は、芳香族ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第5共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0216】
第5共重合性モノマーとしては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記した官能基含有ビニルモノマー(酸性基含有ビニルモノマーおよび水酸基含有ビニルモノマーを除く。)、上記したビニルエステル類、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類、上記した架橋性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0217】
第5共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0218】
第5共重合性モノマーの配合割合は、第5モノマー成分に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下である。
【0219】
第5モノマー成分は、好ましくは、第5共重合性モノマーを含まず、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーとを含み、より好ましくは、芳香族ビニルモノマーと、水酸基含有ビニルモノマーとからなる。
【0220】
そして、第5ポリマーは、上記した第2モノマー成分の重合と同様の方法で、第5モノマー成分を重合することにより得られる。
【0221】
詳しくは、中和工程の後、第2ポリマー調製工程の前に、第5モノマー成分を重合する(第5ポリマー調製工程を実施する)か、または、第3ポリマー調製工程の後、中和工程の前に、第5モノマー成分を重合する(第5ポリマー調製工程を実施する。)。
【0222】
また、上記した説明では、中和工程の後に、第2ポリマー調製工程を実施したが、第2ポリマー調製工程の後に、中和工程を実施することもできる。
7.コーティング剤および乾燥物
本発明のコーティング剤は、上記のエマルション粒子を含む。
【0223】
そのため、このコーティング剤により得られる塗膜は、耐熱性に優れる。
【0224】
このようなコーティング剤が塗布される被塗布物としては、特に限定されず、好ましくは、紙が挙げられる。
【0225】
また、本発明の乾燥物は、上記のエマルション粒子の乾燥物である。そのため、この乾燥物は、耐熱性に優れる。
【0226】
また、乾燥により、エマルション粒子に内部の水を取り除くことにより、この乾燥物を中空粒子とすることもできる。
【0227】
このような乾燥物は、内部が中空であるため、断熱性により一層優れる。
【実施例】
【0228】
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
1.成分の詳細
ST:スチレン
DVB:ジビニルベンゼン
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
BA:アクリル酸ブチル
MAC:メタクリル酸
MAM:メタクリルアミド
AM:アクリルアミド
IBNMA:メタクリル酸イソボルニル
AN:アクリロニトリル
なお、表1および表2には、各モノマー成分(第1モノマー成分~第5モノマー成分)について、各モノマー成分100質量部としたときの各モノマー成分に含まれるモノマーの処方を示している。
2.エマルション粒子の製造
実施例1
(第1ポリマー調製工程)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに水2200質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、80℃まで昇温した。内温を80℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を添加し、溶解した。これにより、重合開始剤の水溶液を調製した。
【0229】
別途、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム0.2質量部および水50質量部)に、メタクリル酸メチル50質量部、アクリル酸ブチル10質量部、メタクリル酸40質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0230】
重合開始剤の水溶液に、第1モノマー成分の乳化液の一部(0.5%)を添加し、30分反応させた後、残部を連続的に3時間かけて添加して、反応させた。添加終了後2時間熟成した。
【0231】
これにより、第1ポリマーの水分散液を得た。
(第3ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、水70質量部および重合開始剤としての過硫酸アンモニウム9質量部を配合した。
【0232】
別途、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム0.6質量部および350質量部)に、メタクリル酸メチル630質量部、スチレン70質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0233】
重合開始剤が配合された水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加して反応させた。そして、添加終了後1時間熟成した。
【0234】
これにより、第3ポリマーを得た。詳しくは、第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーとを備える粒子の水分散液を得た。
(第2ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、水28質量部および重合開始剤としての過硫酸アンモニウム2.8質量部を配合した。
【0235】
別途、界面活性剤(水1600質量部およびラウリル硫酸ナトリウム14質量部)に、スチレン1092質量部、メタクリルアミド280質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0236】
重合開始剤が配合された水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加して反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0237】
これにより、第2ポリマーを得た。詳しくは、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーとを備える粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液に、20%水酸化ナトリウム水溶液80質量部を添加し、さらに、3時間保持した。これにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーおよび第3ポリマーを膨潤させた。これにより、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0238】
水分散液の固形分濃度は、33質量%であった。
【0239】
実施例2
(第1ポリマー調製工程)
実施例1と同様の手順に基づいて、第1ポリマーの水分散液を得た。
(第2ポリマー調製工程)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに、第1ポリマーの水分散液を2350.7質量部仕込み、窒素置換しながら攪拌し、80℃まで昇温した。内温を80℃に保ち、水98質量部および重合開始剤としての過硫酸アンモニウム11.8質量部を添加し、水分散液を調製した。
【0240】
別途、界面活性剤(水1950質量部およびラウリル硫酸ナトリウム14.6質量部)にメタクリル酸メチル630質量部、スチレン1162質量部、メタクリルアミド280質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0241】
上記の水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加して反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0242】
これにより、第2ポリマーを得た。詳しくは、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第1ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液に、28%アンモニア水溶液25質量部を添加し、さらに、3時間保持した。これにより、第1ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーを膨潤させた。そして、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第1ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0243】
水分散液の固形分濃度は、33質量%であった。
【0244】
実施例3
(第4ポリマー調製工程)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに水365質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、80℃まで昇温した。内温を80℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム0.4質量部を添加し、溶解した。これにより、重合開始剤の水溶液を調製した。
【0245】
別途、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム0.05質量部および水40質量部)に、スチレン98質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル2質量部、ジビニルベンゼン5質量部を撹拌しながら加えて、第4モノマー成分の乳化液を調製した。
【0246】
重合開始剤の水溶液に、第4モノマー成分の乳化液の一部(0.5%)を添加し、30分反応させた後、残部を連続的に4時間かけて添加して、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0247】
これにより、第4ポリマーの水分散液(固形分濃度20質量%)を得た。
(第1ポリマー調製工程)
第4ポリマーの水分散液137.5質量部に、水960質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、78℃まで昇温した。内温を78℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、水分散液を調製した。
【0248】
別途、界面活性剤(水9.6質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部)に、メタクリル酸メチル12.4質量部、メタクリル酸4.1質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0249】
水分散液に、第1モノマー成分の乳化液を連続的に30分間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0250】
これにより、第1ポリマーを得た。詳しくは、第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(第3ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム0.9質量部を添加し、溶解した。
【0251】
別途、界面活性剤(水72質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.6質量部)に、メタクリル酸メチル140質量部、スチレン31.5質量部、メタクリル酸3.5質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0252】
水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を連続的に2時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0253】
これにより、第3ポリマーを得た。詳しくは、第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液の温度を、90℃にし、28%アンモニア水13.9質量部を撹拌しながら添加して、そのまま2時間攪拌した。これにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーおよび第3ポリマーを膨潤させた。
(第2ポリマー調製工程)
上記の水分散液の温度を、90℃に保ったまま、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム4.4質量部を添加し、溶解した。
【0254】
別途、界面活性剤(水1056質量部およびラウリル硫酸ナトリウム3.6質量部)に、スチレン704質量部、メタクリルアミド176質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0255】
水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0256】
これにより、第2ポリマーを得、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0257】
水分散液の固形分濃度は、33質量%であった。
【0258】
実施例4
(第4ポリマー調製工程)
実施例3と同様の手順に基づいて、第4ポリマーの水分散液を得た。
(第1ポリマー調製工程)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに、第4ポリマーの水分散液500質量部、水1280質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、80℃まで昇温した。内温を80℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1質量部を添加し、水分散液を調製した。
【0259】
別途、界面活性剤(水80質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.2質量部)に、メタクリル酸メチル110質量部、アクリル酸ブチル10質量部、メタクリル酸80質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0260】
水分散液に、第1モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0261】
これにより、第1ポリマーを得た。詳しくは、第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(第3ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、水3250質量部および過硫酸アンモニウム1.8質量部を添加した。
【0262】
別途、界面活性剤(水350質量部およびラウリル硫酸ナトリウム1.35質量部)に、メタクリル酸メチル675質量部、スチレン180質量部、メタクリル酸45質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0263】
水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後1時間熟成した。
【0264】
これにより、第3ポリマーを得た。詳しくは、第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液に、水8800質量部を仕込み、内温を80℃に保ったまま28%アンモニア水溶液55質量部を添加し、さらに、3時間保持した後、28%アンモニア水溶液25質量部を添加し、さらに、3時間保持した。これにより、第1ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーおよび第3ポリマーを膨潤させた。
(第2ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、過硫酸アンモニウム11質量部を添加した。
【0265】
別途、界面活性剤(水2200質量部およびラウリル硫酸ナトリウム3.6質量部)に、スチレン1738質量部、メタクリルアミド440質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル22質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0266】
水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0267】
これにより、第2ポリマーを得、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0268】
水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0269】
実施例5
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例4と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0270】
第3ポリマー調製工程において、水分散液に、水7790質量部、過硫酸アンモニウム3.8質量部を添加し、界面活性剤(水760質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.85質量部)に、メタクリル酸メチル1425質量部、スチレン380質量部、メタクリル酸95質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0271】
中和工程において、水分散液に、28%アンモニア水溶液77質量部を添加した。
【0272】
第2ポリマー調製工程において、界面活性剤(水2200質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.2質量部)に、スチレン1738質量部、メタクリルアミド440質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル22質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0273】
実施例6
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例4と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0274】
第3ポリマー調製工程において、水分散液に、水7790質量部、過硫酸アンモニウム3.8質量部を添加し、界面活性剤(水760質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.85質量部)に、メタクリル酸メチル1425質量部、スチレン380質量部、メタクリル酸95質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0275】
中和工程において、水分散液に、水4400質量部、28%アンモニア水溶液77質量部を添加した。
【0276】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム22質量部を添加し、界面活性剤(水4400質量部およびラウリル硫酸ナトリウム4.4質量部)に、スチレン3476質量部、メタクリルアミド880質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル44質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0277】
実施例7
(第4ポリマー調製工程)
実施例4と同様の手順に基づいて、第4ポリマーの水分散液を得た。
(第1ポリマー調製工程)
実施例4と同様の手順に基づいて、第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(第3ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、水7790質量部および過硫酸アンモニウム3.8質量部を添加した。
【0278】
別途、界面活性剤(水760質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.85質量部)に、メタクリル酸メチル1425質量部、スチレン380質量部、メタクリル酸95質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0279】
水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後1時間熟成した。
【0280】
これにより、第3ポリマーを得た。詳しくは、第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液に、水3696質量部を仕込み、内温を80℃に保ったまま28%アンモニア水溶液77質量部を添加し、さらに、3時間保持した後、28%アンモニア水溶液25質量部を添加し、さらに、3時間保持した。これにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーおよび第3ポリマーを膨潤させた。
(第5ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、過硫酸アンモニウム6.16質量部を添加した。
【0281】
別途、界面活性剤(水1232質量部およびラウリル硫酸ナトリウム3.08質量部)に、スチレン3049質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル30.8質量部を撹拌しながら加えて、第5モノマー成分の乳化液を調製した。
【0282】
上記の水分散液に、第5モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0283】
これにより、第5ポリマーを得、第5ポリマーと、第5ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを備える粒子の水分散液を得た。
【0284】
水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
(第2ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、過硫酸アンモニウム2.64質量部を添加した。
【0285】
別途、界面活性剤(水4092質量部およびラウリル硫酸ナトリウム1.32質量部)に、スチレン488.4質量部、メタクリルアミド818.4質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル13.2質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0286】
水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0287】
これにより、第2ポリマーを得、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第5ポリマーと、第5ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0288】
水分散液の固形分濃度は、25質量%であった。
【0289】
実施例8
(第4ポリマー調製工程)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに水365質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム0.4質量部を添加し、溶解した。これにより、重合開始剤の水溶液を調製した。
【0290】
別途、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム0.07質量部および水40質量部)に、スチレン98質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル2質量部、ジビニルベンゼン5質量部を撹拌しながら加えて、第4モノマー成分の乳化液を調製した。
【0291】
重合開始剤の水溶液に、第4モノマー成分の乳化液の一部(0.5%)を添加し、30分反応させた後、残部を連続的に4時間かけて添加して、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0292】
これにより、第4ポリマーの水分散液(固形分濃度20質量%)を得た。
(第1ポリマー調製工程)
第4ポリマーの水分散液500質量部に、水80質量部を仕込み、窒素置換しながら攪拌し、80℃まで昇温した。内温を80℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1質量部を添加し、水分散液を調製した。
【0293】
別途、界面活性剤(水80質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.2質量部)に、メタクリル酸メチル110質量部、アクリル酸ブチル10質量部、メタクリル酸80質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0294】
水分散液に、第1モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0295】
これにより、第1ポリマーを得た。詳しくは、第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(第3ポリマー調製工程)
上記の水分散液に、水7790質量部および重合開始剤として、過硫酸アンモニウム3.8質量部を添加し、溶解した。
【0296】
別途、界面活性剤(水760質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.85質量部)に、メタクリル酸メチル1425質量部、スチレン380質量部、メタクリル酸95質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0297】
水分散液に、第3モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後1時間熟成した。
【0298】
これにより、第3ポリマーを得た。詳しくは、第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを含む粒子の水分散液を得た。
(中和工程)
上記の水分散液に、水4400質量部を加え、水分散液の温度を80℃に保ったまま、28%アンモニア水77質量部を撹拌しながら添加して、3時間保持した。これにより、第1ポリマーおよび第3ポリマーにおける酸性基含有ビニルモノマーの酸官能基の少なくとも一部が中和され、塩を形成した。そして、第1ポリマーおよび第3ポリマーを膨潤させた。
(第2ポリマー調製工程)
上記の水分散液の温度を、80℃に保ったまま、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム22質量部を添加し、溶解した。
【0299】
別途、界面活性剤(水4400質量部およびラウリル硫酸ナトリウム4.4質量部)に、スチレン3476質量部、メタクリルアミド880質量部およびメタクリル酸2-ヒドロキシエチル44質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0300】
水分散液に、第2モノマー成分の乳化液を連続的に3時間かけて添加し、反応させた。そして、添加終了後2時間熟成した。
【0301】
これにより、第2ポリマーを得、第2ポリマーと、第2ポリマーに被覆された第3ポリマーと、第3ポリマーに被覆された第1ポリマーと、第1ポリマーに被覆された第4ポリマーとを備えるエマルション粒子の水分散液を得た。
【0302】
水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0303】
実施例9
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例4と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0304】
第1ポリマー調製工程において、攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに、第4ポリマーの水分散液500質量部、水2240質量部および過硫酸アンモニウム2質量部を添加し、水分散液を調製し、界面活性剤(水160質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.4質量部)に、メタクリル酸メチル220質量部、アクリル酸ブチル20質量部、メタクリル酸160質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0305】
第3ポリマー調製工程において、水分散液に、水12710質量部、過硫酸アンモニウム6.2質量部を添加し、界面活性剤(水1240質量部およびラウリル硫酸ナトリウム3.1質量部)に、メタクリル酸メチル2325質量部、スチレン620質量部、メタクリル酸155質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0306】
中和工程において、水分散液に、水7100質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0307】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水7100質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン5609質量部、メタクリルアミド1420質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0308】
実施例10
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例8と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0309】
第1ポリマー調製工程において、攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに、第4ポリマーの水分散液500質量部、水2240質量部および過硫酸アンモニウム2質量部を添加し、水分散液を調製し、界面活性剤(水160質量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.4質量部)に、メタクリル酸メチル220質量部、アクリル酸ブチル20質量部、メタクリル酸160質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0310】
第3ポリマー調製工程において、水分散液に、水12710質量部、過硫酸アンモニウム6.2質量部を添加し、界面活性剤(水1240質量部およびラウリル硫酸ナトリウム3.1質量部)に、メタクリル酸メチル2325質量部、スチレン620質量部、メタクリル酸155質量部を撹拌しながら加えて、第3モノマー成分の乳化液を調製した。
【0311】
中和工程において、水分散液に、水7100質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0312】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水7100質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン5609質量部、メタクリルアミド1420質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0313】
実施例11
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例9と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0314】
中和工程において、水分散液に、水7100質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0315】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水7100質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン5609質量部、メタクリルアミド1065質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部およびジビニルベンゼン444質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0316】
実施例12
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例9と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0317】
中和工程において、水分散液に、水7100質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0318】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水7100質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン5609質量部、メタクリルアミド1065質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0319】
実施例13
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例9と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0320】
中和工程において、水分散液に、水9940質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0321】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水4260質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン4899質量部、メタクリル酸イソボルニル2130質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0322】
実施例14
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例4と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0323】
第1ポリマー調製工程において、攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラスコに、第4ポリマーの水分散液500質量部、水8610質量部および過硫酸アンモニウム10.5質量部を添加し、水分散液を調製し、界面活性剤(水840質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.1質量部)に、メタクリル酸メチル1470質量部、スチレン315質量部、アクリル酸ブチル105質量部、メタクリル酸210質量部を撹拌しながら加えて、第1モノマー成分の乳化液を調製した。
【0324】
中和工程において、水分散液に、水440質量部、28%アンモニア水溶液77質量部を添加した。
【0325】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム11質量部を添加し、界面活性剤(水2200質量部およびラウリル硫酸ナトリウム2.2質量部)に、スチレン1738質量部、メタクリルアミド440質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル22質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0326】
第3ポリマー調製工程を実施しなかった。
【0327】
比較例1
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例1と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、33質量%であった。
【0328】
第2ポリマー調製工程において、界面活性剤(水1600質量部およびラウリル硫酸ナトリウム14質量部)に、スチレン1232質量部、メタクリルアミド140質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0329】
比較例2
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例9と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、34質量%であった。
【0330】
中和工程において、水分散液に、水1420質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0331】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム14.2質量部を添加し、界面活性剤(水2840質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン7029質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
【0332】
比較例3
以下の工程において、手順および処方を変更した以外は、実施例9と同様の手順でエマルション粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分濃度は、26質量%であった。
【0333】
中和工程において、水分散液に、水7100質量部、28%アンモニア水溶液138質量部を添加した。
【0334】
第2ポリマー調製工程において、水分散液に、過硫酸アンモニウム35.5質量部を添加し、界面活性剤(水7100質量部およびラウリル硫酸ナトリウム7.1質量部)に、スチレン4899質量部、アクリロニトリル2130質量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル71質量部を撹拌しながら加えて、第2モノマー成分の乳化液を調製した。
3.評価
<平均粒子径>
粒子径測定装置FPAR1000(大塚電子製)を用いて、平均粒子径を測定した。その結果を表1および表2に示す。
<内部構造>
各実施例および各比較例のエマルション粒子を、40℃12時間で乾燥させ、透過型電子顕微鏡H-7650(日立ハイテク製)を用いて、エマルション粒子の内部を観測した。内部構造について、以下の基準で評価した。その結果を表1および表2に示す。
〇:内部が中空であった。
×:内部が中空ではなかった。
<耐熱性>
直径約5cmのアルミカップに、固形分濃度20%に調整した、各実施例および各比較例のエマルション粒子の水分散液を3g秤量し、150℃の乾燥機にて1時間静置した。
【0335】
その後、エマルション粒子の表面を、走査型電子顕微鏡JSM-6380(日本電子製)を用いて観察し、また、エマルション粒子の内質量部を透過型電子顕微鏡H-7650(日立ハイテク製)を用いて観察した。耐熱性について、以下の基準で評価した。その結果を表1および表2に示す。また、
図2Aには、実施例9の走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図2Bには、実施例9の透過型電子顕微鏡観測の結果を示し、
図3Aには、実施例13の走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図3Bには、実施例13の透過型電子顕微鏡観測の結果を示し、
図4Aには、比較例2の走査型電子顕微鏡観察の結果を示し、
図4Bには、実施例9の透過型電子顕微鏡観測の結果を示す。
◎:粒子の表面において、粒子がほとんど溶融せず、かつ、粒子の内部がほとんど崩壊していなかった。
〇:粒子の表面において、粒子がやや溶融し、かつ、粒子の内部がほとんど崩壊していなかった。
△:粒子の表面において、粒子がやや溶融し、かつ、粒子の内部がやや崩壊していた。
×:粒子の表面において、粒子がほとんど溶融し、かつ、粒子の内部がほとんど崩壊していた。
【0336】
【0337】