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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】自動車用シール材
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/36 20160101AFI20240215BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20240215BHJP
【FI】
B60J10/36
B60J10/86
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020079159
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021172266
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野下 晴香
(72)【発明者】
【氏名】駒路 知博
(72)【発明者】
【氏名】堀田 与支彦
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071570(JP,A)
【文献】特開平07-195942(JP,A)
【文献】実開昭59-122406(JP,U)
【文献】特開平02-286444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/36
B60J 10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアを構成している部材から突出して車両前後方向に延びるシール材取付板部に対して該シール材取付板部の突出方向先端側から取り付けられる自動車用シール材において、
前記シール材は、前記シール材取付板部に沿って車両前後方向に延びる押出成形されたシール材本体と、前記シール材本体の車両前後方向一側の端部に一体に型成形されるとともに、弾性材で構成された端末部と、前記シール材本体の端部と前記端末部との間に設けられ、前記端末部よりも硬質な材料からなる固定部材とを備え、
前記シール材本体は、前記シール材取付板部よりも上に配置されて車両前後方向に延びる上壁部と、前記シール材取付板部よりも下に配置されて車両前後方向に延びる下壁部と、前記上壁部の車室外側から前記下壁部の車室外側まで延びる外側壁部とを備え、
前記端末部は、端末上壁部を備え、
前記シール材本体の前記上壁部の下面又は/及び前記端末部の前記端末上壁部の下面には、下方へ突出して前記シール材取付板部の上面に当接する突出部が設けられ、
前記固定部材は、前記シール材本体の前記下壁部に固定されて下壁部から車幅方向内側に延出するとともに、前記シール材取付板部の下面に当接する当接面を備え、
前記突出部と、前記固定部材の前記当接面とで前記シール材取付板部を挟持することを特徴とする自動車用シール材。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用シール材において、
前記固定部材は、前記シール材本体の前記下壁部を上下方向に挟持するとともに、前記シール材取付板部の下面に当接する挟持部を備えていることを特徴とする自動車用シール材。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車用シール材において、
前記固定部材は、前記挟持部から前記端末部と反対側へ延びるとともに、前記シール材本体の前記下壁部の下面に当接する当接板部を備えていることを特徴とする自動車用シール材。
【請求項4】
請求項2または3に記載の自動車用シール材において、
前記端末部には、前記上壁部の車両前後方向一側の端部から前記下壁部の車両前後方向一側の端部まで上下方向に延びるとともに、前記外側壁部の車両前後方向一側の端部に連続して車室内側へも延びる端壁部が設けられ、
前記固定部材は、前記端壁部の車両前後方向他側に位置する面に当接する端壁当接部を備えていることを特徴とする自動車用シール材。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の自動車用シール材において、
前記シール材取付板部は、下側に位置する第1板部と、該第1板部の上面に重ね合わされた第2板部とを備え、前記第1板部の車両前後方向一側の端部は、前記第2板部の車両前後方向一側の端部よりも他側に位置しており、
前記固定部材の前記挟持部の上面には、前記第1板部の下面に当接する第1当接面と、前記第2板部の下面に当接する第2当接面とが形成されるとともに、前記第1当接面と前記第2当接面との間には該第2当接面が該第1当接面よりも上に位置するように段部が形成されていることを特徴とする自動車用シール材。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1つに記載の自動車用シール材において、
前記固定部材の前記挟持部の車室内側の面は、上に行くほど車室外側に位置するように傾斜ないし湾曲していることを特徴とする自動車用シール材。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか1つに記載の自動車用シール材において、
前記突出部は、前記シール材取付板部への前記固定部材の当接位置よりも車幅方向内側寄りに設けられていることを特徴とする自動車用シール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に形成された開口部をシールする自動車用シール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の車体に形成されたドア用開口部をシールするシール材として、例えば特許文献1に開示されているウエザーストリップが知られている。特許文献1では、フロントピラーの側面に車室外方へ向けて延出するドリップチャンネルが設けられており、このドリップチャンネルにウエザーストリップが取り付けられている。ウエザーストリップの端末部には、当該端末部をドリップチャンネルに固定しておくための端末クリップが設けられている。
【0003】
端末クリップは、全体としてキャップ状を呈しているとともに、周壁部にはドリップチャンネルに対して差し込まれるスリットが形成されている。また、端末クリップの周壁部の内方には、ドリップチャンネルを厚み方向に挟持する挟持部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-286444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のウエザーストリップの端末部をドリップチャンネルに対して固定する端末クリップのような部材は、硬質樹脂材で構成されているのが一般的である。一方、車体のドリップチャンネルは、鋼板等の硬い部材で構成されている。つまり、硬いドリップチャンネルに対して硬い端末クリップを取り付けることになるので、例えば端末クリップに製造誤差が生じていて挟持部の隙間が狙いとする隙間よりも狭くなっている場合には、端末クリップの挟持部をドリップチャンネルに差し込む際に大きな力が必要となるので、取付作業性の悪化を招くおそれがある。
【0006】
また、製造誤差によって端末クリップの挟持部の隙間が狙いとする隙間よりも広くなっている場には、取付後、端末クリップがドリップチャンネルに対してがたつき易くなり、異音の発生原因となり得る。
【0007】
また、ドリップチャンネルにも製造誤差が発生する事も一般的である。例えば、板厚の大小、板の長さの大小、板の折れ曲がり部の角度の大小等の寸法誤差が発生する事により、ドリップチャンネルに対して端末クリップを差し込む際に、取付性が悪化したり、取付後、端末クリップがドリップチャンネルに対してがたつき易くなったりする。
【0008】
また、がたつき易い状況では、端末の位置ズレも発生しやすく、外観悪化の原因となり得る。
【0009】
したがって、特許文献1の場合、取付作業性・異音の発生・外観悪化の発生等を考慮して、端末クリップ及びドリップチャンネルの製造誤差を極めて小さくしなければならず、車両として成立し難かった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シール材の取り付けに要する力を小さくしながら、取付後のがたつきを無くして異音の発生や外観悪化の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明は、自動車のドアを構成している部材から突出して車両前後方向に延びるシール材取付板部に対して該シール材取付板部の突出方向先端側から取り付けられる自動車用シール材において、前記シール材は、前記シール材取付板部に沿って車両前後方向に延びる押出成形されたシール材本体と、前記シール材本体の車両前後方向一側の端部に一体に型成形されるとともに、弾性材で構成された端末部と、前記シール材本体の端部と前記端末部との間に設けられ、前記端末部よりも硬質な材料からなる固定部材とを備え、前記シール材本体は、前記シール材取付板部よりも上に配置されて車両前後方向に延びる上壁部と、前記シール材取付板部よりも下に配置されて車両前後方向に延びる下壁部と、前記上壁部の車室外側から前記下壁部の車室外側まで延びる外側壁部とを備え、前記端末部は、端末上壁部を備え、前記シール材本体の前記上壁部の下面又は/及び前記端末部の前記端末上壁部の下面には、下方へ突出して前記シール材取付板部の上面に当接する突出部が設けられ、前記固定部材は、前記シール材本体の前記下壁部に固定されて下壁部から車幅方向内側に延出するとともに、前記シール材取付板部の下面に当接する当接面を備え、前記突出部と、前記固定部材の前記当接面の上面とで前記シール材取付板部を挟持することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、シール材取付板部がシール材本体の上壁部と、固定部材の当接面の上面との間に挿入されると、上壁部の下面に設けられている突出部がシール材取付板部の上面に当接し、固定部材の当接面がシール材取付板部の下面に当接し、シール材取付板部を上下方向に挟持する。このとき、突出部が弾性材からなるので、突出部が弾性変形する。一方、固定部材は硬質な材料からなるものなので、シール材取付板部に当接したときに殆ど変形することはなく、シール材の端末部を所定位置に位置決めできる。
【0013】
突出部が弾性材で構成されているので、突出部の先端と固定部材の当接面との間隔をシール材取付板部の厚みよりも狭めに設定していても、突出部が弾性変形することで、シール材取付板部を突出部と当接面との間に容易に挿入することが可能になり、取り付けに要する力が小さくなる。取付後は、突出部が弾性変形していることで、シール材取付板部に対するがたつきは生じにくくなり、異音の発生が抑制される。
【0014】
第2の発明は、前記固定部材は、前記シール材本体の前記下壁部を上下方向に挟持するとともに、前記シール材取付板部の下面に当接する挟持部を備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、固定部材の挟持部がシール材本体の端末部の下壁部を上下方向に挟持することで固定部材がシール材本体に確実に固定される。
【0016】
第3の発明は、前記固定部材は、前記挟持部から前記端末部と反対側へ延びるとともに、前記シール材本体の前記下壁部の下面に当接する当接板部を備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、当接板部がシール材本体の下壁部の下面に当接することで、固定部材の挟持部から離れた部分が当該下壁部によって支持されることになり、固定部材がシール材本体に取り付けられた状態で安定する。
【0018】
第4の発明は、前記端末部には、前記上壁部の車両前後方向一側の端部から前記下壁部の車両前後方向一側の端部まで上下方向に延びるとともに、前記外側壁部の車両前後方向一側の端部に連続して車室内側へも延びる端壁部が設けられ、前記固定部材は、前記端壁部の車両前後方向他側に位置する面に当接する端壁当接部を備えていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、固定部材の端壁当接部をシール材の端壁部に当接させることで、固定部材のシール材に対する車両前後方向の位置決めを行うことができる。
【0020】
第5の発明は、前記シール材取付板部は、下側に位置する第1板部と、該第1板部の上面に重ね合わされた第2板部とを備え、前記第1板部の車両前後方向一側の端部は、前記第2板部の車両前後方向一側の端部よりも他側に位置しており、前記固定部材の前記挟持部の上面には、前記第1板部の下面に当接する第1当接面と、前記第2板部の下面に当接する第2当接面とが形成されるとともに、前記第1当接面と前記第2当接面との間には該第2当接面が該第1当接面よりも上に位置するように段部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、シール材取付板部が第1板部及び第2板部によって構成されている場合に、第1板部の下面に固定部材の第1当接面を当接させ、第2板部の下面に固定部材の第2当接面を当接させることができ、シール材取付板部への接触面積を増やすことができる。このとき、段部によって固定部材のシール材に対する位置決めを行うことができる。
【0022】
第6の発明は、前記固定部材の前記挟持部の車室内側の面は、上に行くほど車室外側に位置するように傾斜ないし湾曲していることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、固定部材を有するシール材をシール材取付板部に取り付ける際に、シール材取付板部が固定部材の挟持部の車室内側の面に当たったとき、当該面が上に行くほど車室外側に位置しているので、当該面によってシール材取付板部を挟持部の上面へ導くことができる。つまり、固定部材の挟持部の車室内側の面がシール材取付板部を挟持部の上面へ導く案内面となる。
【0024】
第7の発明は、前記突出部は、前記シール材取付板部への前記固定部材の当接位置よりも車幅方向内側寄りに設けられていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、シール材の上方への回動を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シール材の上壁部に弾性材からなる突出部を設け、さらに、突出部と当接面とでシール材取付板部を上下方向に挟持するようにしたので、シール材の取り付けに要する力を小さくしながら、取付後のがたつきを無くして異音の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る自動車用ドアを備えた自動車の右側面図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3】右側のリヤドアの上部後側を車室外側から見た図である。
図4】シール材を取り付ける前のリヤドアのウインドフレーム及び固定ガラスを車室外側から見た図である。
図5図4に示すA部の拡大図である。
図6】シール材を車室外側から見た側面図である。
図7】シール材を車室内側かつ後側から見た斜視図である。
図8】固定部材が取り付けられたシール材の後側を下方から見た図である。
図9】固定部材を取り外した状態の図8相当図である。
図10】固定部材を車室内側から見た側面図である。
図11図10のXI-XI線断面図である。
図12図10のXII-XII線断面図である。
図13】シール材を仮想線で示した図3相当図である。
図14図3のXIV-XIV線断面図である。
図15図3のXV-XV線断面図である。
図16図3のXVI-XVI線断面図である。
図17図3のXVII-XVII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車100の右側面図である。この自動車100の側部の左右両側には、それぞれフロントドア101とリヤドア102とが配設されている。フロントドア101は前端部が図示しないヒンジを介して回動可能に車体に取付けられている。また、リヤドア102は後端部が図示しないヒンジを介して回動可能に車体に取付けられている。
【0030】
この実施形態では、本発明を観音開きドアのリヤドア102に適用した場合について説明するが、これに限らず、フロントドア101に適用することも可能である。また、左右いずれのドア101、102に適用することもできる。また、本発明では自動車のサイド観音ドアを例示して説明するが、自動車の後部に設けられる観音開きドアにも適用が可能である。また、観音開きドア以外の通常のヒンジドアにも、本発明の適用が可能である。この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
【0031】
(ドアの構成)
図1に示すように、フロントドア101は、該フロントドア101の略下半部を構成するドア本体203と、略上半部を構成するウインドフレーム204とを有しており、このフロントドア101には、昇降ガラスG1が昇降可能に設けられている。またドア本体203の前端部が上記ヒンジを介して車体に取付けられており、このヒンジの軸周りに回動することによって開閉動作する。
【0032】
ドア本体203の内部には、昇降ガラスG1を昇降動作させるためのウインドレギュレータ(図示せず)が収容されている。昇降ガラスG1は、下降した状態で開状態となり、ドア本体203の内部に収容される。
【0033】
一方、リヤドア102は、後端部が上記ヒンジを介して車体に取付けられており、このヒンジの軸周りに回動することによって開閉動作する。図2に示すように、右側リヤドア102は、車室内側を構成するプレス成型品からなるインナパネル105と、該リヤドア102の車室外側を構成するプレス成型品からなるアウタパネル106とを備えている。インナパネル105及びアウタパネル106は、例えば鋼板等からなるものである。
【0034】
図1及び図2に示すように、リヤドア102の略上半部を構成するウインドフレーム104は、固定ガラスG2の周縁部を支持する枠状のものであり、固定ガラスG2によって閉鎖される固定ガラス用開口部108を形成している。ウインドフレーム104は、前側フレーム縦辺部104aと、後側フレーム縦辺部104bと、フレーム上辺部104cとを有している。前側フレーム縦辺部104aは、リヤドア102の前部において上下方向に延びている。後側フレーム縦辺部104bは、リヤドア102の後部において上下方向に延びている。また、フレーム上辺部104cは、前側フレーム縦辺部104aの上端部から後側フレーム縦辺部104bの上端部まで延びている。フレーム上辺部104cは、後端部が前端部に比べて下に位置するように緩やかに湾曲している。尚、例えばフロントドア101の場合、フレーム上辺部は、前端部が後端部に比べて下に位置するように緩やかに湾曲しており、この湾曲形状にも本発明を適用することができる。
【0035】
図1に示すように、リヤドア102のベルトライン部107は、固定ガラス用開口部108の下縁部に沿って前側フレーム縦辺部104aから後側フレーム縦辺部104bまで前後方向に延びる部分である。
【0036】
また、車体のリヤドア102よりも後側部分には、固定ガラスG3によって閉鎖される後側開口部111を設けている。後側開口部111の大きさはウインドガラス用開口部108よりも小さく設定されているが、これは車両デザイン上の要求によるものであり、後側開口部111と固定ガラスG3は省略して、すべて車体であってもよい。
【0037】
図2に示すように、インナパネル105は、ウインドフレーム104を構成する部分と、ドア本体103を構成する部分とが一体にプレス成型されてなるものである。インナパネル105の上半部であるウインドフレーム104を構成する部分には、車室内側へ膨出する内側フレーム膨出部105aが形成されている。アウタパネル106の上半部であるウインドフレーム104を構成する部分には、車室外側へ膨出する外側フレーム膨出部106aが形成されている。これにより、ウインドフレーム104の周縁部の断面を車室内外方向に拡大させてウインドフレーム104の強度を向上させることができる。
【0038】
インナパネル105の内側フレーム膨出部105aよりも下側部分は上下方向に延びる内側接合板部105bである。アウタパネル106の外側フレーム膨出部106aよりも下側部分は、内側接合板部105bに沿って上下方向に延びる外側接合板部106bである。内側接合板部105bと外側接合板部106bとが重ね合わされた状態で溶接等によって接合されている。
【0039】
インナパネル105の内側フレーム膨出部105aよりも上側部分は車室外側へ向けて突出して前後方向に連続して延びる上側突出板部105cである。アウタパネル106の外側フレーム膨出部106aよりも上側部分は、上側突出板部105cの下面に沿って車室外側へ向けて突出して前後方向に連続して延びる下側突出板部106cである。上側突出板部105cと下側突出板部106cとが重ね合わされた状態で溶接等によって接合されている。上側突出板部105c及び下側突出板部106cにより、ウインドフレーム104の上部には、ウインドフレーム104の上部から車室外側へ突出して前後方向に延びるシール材取付板部112が形成されることになる。つまり、シール材取付板部112は、下側に位置する下側突出板部(第1板部)106cと、該下側突出板部106cの上面に重ね合わされた上側突出板部(第2板部)105cとを備えている。
【0040】
図5に示すように、下側突出板部106cの後端部106cE(車両前後方向一側の端部)は、上側突出板部105cの後端部105cE(車両前後方向一側の端部)よりも前側に位置している。したがって、上側突出板部105cは下側突出板部106cよりも後側まで延びており、シール材取付板部112の下側突出板部106cの後端部106cEよりも後側部分は、上側突出板部105cのみで構成されている。
【0041】
上側突出板部105cには、上方へ突出する複数の切り起こし部105dが前後方向に互いに間隔をあけて設けられている。後述するが、切り起こし部105dはシール材10を固定するための手段である。切り起こし部105dの形状、個数は、任意に設定することができる。図2は、切り起こし部105dが形成された部分の断面であるため、下側突出板部106cと切り起こし部105dとが上下方向に離れているが、切り起こし部105dが形成されない部分の断面(図示せず)では、上側突出板部105cと下側突出板部106cとは車室外側の端部に至るまでの区間で接触している。
【0042】
固定ガラスG2は、接着剤113によりウインドフレーム104に取り付けられている。接着剤113は従来から周知の自動車ガラス用の接着剤を利用することができる。接着剤113は、固定ガラスG2の周縁部近傍において周方向に連続して塗布される。固定ガラスG2の上縁部は、ウインドフレーム104のシール材取付板部112の下面から下方に離れており、後述するシール材10の一部を差し込むことが可能な隙間が固定ガラスG2の上縁部とシール材取付板部112の下面との間に形成されている。
【0043】
(車体のルーフパネル)
図2に示すように、車体のルーフパネル120は、ウインドフレーム104との間に所定の隙間Bを形成した状態で前後方向に延びている。ルーフパネル120の車室外側の端部には上方へ延びる外板部120aが設けられている。ルーフパネル120における外板部120aよりも車室内側に位置する内側部分120bは、車室内側へ向かって下降傾斜するように延びている。さらに、ルーフパネル120における内側部分120bの内端部には、車室外側へ向かって下方へ延びる内板部120cが設けられている。
【0044】
(ウエザーストリップ)
リヤドア102にはウエザーストリップ140が設けられている。ウエザーストリップ140は、リヤドア102のウインドフレーム104の外周面及びドア本体103の外周面を囲むように形成されたゴム等の弾性材からなる長尺状部材である。ウエザーストリップ140には、取付基部140aが設けられている。取付基部140aはウインドフレーム104の外周面及びドア本体103の外周面に固定される部分であり、例えば図示しない両面テープやクリップ等で固定される。ウエザーストリップ140には、中空部140bが設けられている。中空部140bは、リヤドア102が閉状態にあるときにルーフパネル120の内側部分120bに接触して弾性変形する部分である。これにより、ウインドフレーム104の外周面とルーフパネル120との間がシールされる。
【0045】
(シール材)
図2に示すように、シール材10は、ウインドフレーム104と固定ガラスG2との間をシールするとともに、ウインドフレーム104の外周面とルーフパネル120との間もシールするための部材である。シール材10は、ウエザーストリップ140よりも車室外側に配設され、ウインドフレーム104のシール材取付板部112に車室外側、即ちシール材取付板部112の突出方向先端側から取り付けられるようになっている。図1に示すように、ウインドフレーム104のフレーム上辺部104cへの取付状態のシール材10を側面から見たとき、シール材10はフレーム上辺部104cの形状に対応するように、後端部が前端部に比べて下に位置するように緩やかに湾曲している。
【0046】
シール材10は、シール材取付板部112に沿って車両前後方向に延びて押出成形にて作成されるシール材本体10Aと、端末部20、21と、固定部材40(図7に破線で示す)とを備えている。図6に示すように、シール材本体10Aの後部には、後側端末部20が設けられ、シール材本体10Aの前部には、前側端末部21が設けられている。後側端末部20及び前側端末部21は、弾性材からなる型成形部で構成されている。後側端末部20及び前側端末部21の材料としては、後述するリップ部14、15の材料と同様な材料を例示することができる。
【0047】
図7に示すように、固定部材40は、シール材10の端部に設けられ、端末部20よりも硬質な材料からなる部材である。固定部材40の材料としては、後述する芯材10Aaの材料と同様な材料を例示することができる。
【0048】
まず、シール材本体10Aについて説明する。図2に示すように、シール材本体10Aには、上壁部11と、下壁部12と、外側壁部13とが設けられており、これら上壁部11、下壁部12及び外側壁部13は、例えば硬質樹脂等により一体成形されている。上壁部11、下壁部12及び外側壁部13により芯材10Aaが構成されている。芯材10Aaを構成している硬質樹脂は、例えばタルクやガラス繊維を混合した樹脂とすることができ、上壁部11、下壁部12及び外側壁部13がシール材10の芯材10Aaとして機能する。上壁部11、下壁部12及び外側壁部13は、硬質樹脂からなるものなので高い剛性を持っているが、例えばシール材取付板部112への取付時等に作用する比較的大きな外力に対しては弾性変形するように構成されている。
【0049】
上壁部11は、ウインドフレーム104のシール材取付板部112よりも上に配置されて前後方向に延び、シール材取付板部112に固定される部分である。下壁部12は、ウインドフレーム104のシール材取付板部112よりも下に配置されて前後方向に延びる部分である。外側壁部13は、上壁部11の車室外端部から下壁部12の車室外端部まで延びるとともに前後方向に延びており、上壁部11と下壁部12とを連結する部分である。
【0050】
シール材10の上壁部11と下壁部12との間には車室内側に開放する溝部Mが形成されている。ウインドフレーム104のシール材取付板部112に対してシール材10を取付ける際には、シール材取付板部112に対して溝部Mを取り付けることになる。上壁部11の下面における車室内側には、下方へ突出する上側突起部11aが後述する傾斜部12aの直上方に位置するように形成されている。
【0051】
上側突起部11aの車室外側の面は、上下方向に延びる縦面部11bで構成されている。縦面部11bを設けることで、切り起こし部105dに対して上側突起部11aを確実に係合させることができる。上側突起部11aの車室内側の面は、車室内側へ行くほど上に位置するように形成された傾斜面11cで構成されている。
【0052】
図2に示すように、シール材10の上壁部11の車室内側には、内側リップ部14が上方へ突出して前後方向に延びるように形成されている。また、シール材10の上壁部11の車室外側には、外側リップ部15が上方へ突出して前後方向に延びるように形成されている。内側リップ部14及び外側リップ部15は、弾性材からなり、上側へ行くほど車室外側に位置するように傾斜している。内側リップ部14及び外側リップ部15は、上壁部11、下壁部12及び外側壁部13を構成する硬質樹脂よりも軟質な弾性材で構成されている。この弾性材としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマーや、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴムを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
【0053】
図2に示すように、リヤドア102が閉状態になると、内側リップ部14及び外側リップ部15がルーフパネル120の内側部分120bに接触して弾性変形し、これにより、ウインドフレーム104の外周面とルーフパネル120との間がシールされる。
【0054】
上側板部11の車室内側の端部には、上方へ突出して前後方向に延びる上側凸部16aが形成されている。上側凸部16aは、ウエザーストリップ140の車室外側の端部と弾接するように形成されている。上側板部11の車室内側の端部には、下方へ突出して前後方向に延びる下側凸部16bが形成されている。下側凸部16bは、インナパネル105の上側突出板部105cの上面と弾接するように形成されている。上側凸部16a及び下側凸部16bは、内側リップ部14及び外側リップ部15と同様な弾性材で構成されている。
【0055】
シール材10の外側壁部13の下部には、下方へ延びるとともに前後方向にも延びる延長板部17が設けられている。延長板部17は、内側リップ部14及び外側リップ部15と同様な弾性材で構成されている。延長板部17の下端部は、固定ガラスG2の上縁部よりも下に位置している。延長板部17の下端部には、車室内側へ向けて上方へ屈曲し、固定ガラスG2の外面に弾接する外面接触部17aが形成されている。
【0056】
シール材10の下壁部12における車室内側部分には、車室内側へ向けて下降傾斜する傾斜部12aが設けられている。傾斜部12aは湾曲していてもよい。この傾斜部12aは上記硬質樹脂製であるが、シール材取付板部112への取付時等には上下方向に撓み変形可能になっている。傾斜部12aの直上方に上側突起部11aが位置している。傾斜部12aの車室内端部には、傾斜リップ部18が設けられている。傾斜リップ部18は、内側リップ部14及び外側リップ部15と同様な弾性材で構成されており、従って、図2に符号Lで示す線は、硬質材からなる芯材10Aaの一部である傾斜部12aと、軟質材からなる傾斜リップ部18との材料境界となる。
【0057】
傾斜リップ部18は、傾斜部12aと同様に傾斜しながら車室内側へ延びており、その先端部である車室内側の端部には上方へ屈曲する屈曲部18aが一体成形されている。屈曲部18aの先端部は、下壁部12よりも下に位置している。図2に示すように、屈曲部18aは、アウタパネル106に接触して弾性変形するようになっている。傾斜部12aを設けることにより、上壁部11と下壁部12との車室内側の間隔を広く確保することができる。
【0058】
下壁部12には、下方へ突出する弾性材からなる端面シールリップ部19が設けられている。端面シールリップ部19は、内側リップ部14及び外側リップ部15と同様な弾性材で構成されている。下壁部12の下面には、下方へ突出して前後方向に延びるとともに、端面シールリップ部19を支持する支持部12bが一体成形されており、この支持部12bの先端部に端面シールリップ部19の基端部(上端部)が接続されている。端面シールリップ部19の支持部12bを設けることで、端面シールリップ部19の基端部近傍の剛性を向上させることができる。尚、端面シールリップ部19の支持部12bは省略してもよい。
【0059】
図2に示すように、固定ガラスG2の上縁部に接触した端面シールリップ部19の突出方向先端部と、下壁部12の下面との間には隙間Sが形成されている。隙間Sの上下方向の寸法は、車室外側へ行くほど大きくなっている。隙間Sを形成しておくことで、固定ガラスG2の取付位置が公差範囲内で上方向に多少ずれたとしても、端面シールリップ部19が下壁部12の下面に強干渉することはなく、組付作業性を良好にすることができる。
【0060】
図3に示すように、シール材本体10Aの後側端末部20には端壁部22が設けられている。また、固定ガラスG2の後側には樹脂材G2aが取付けられている。図7にも示すように、端壁部22は、上壁部11の後側の端部から下壁部12の後側の端部まで上下方向に延びるとともに、外側壁部13の後側の端部に連続して車室内側へも延びている。端壁部22の下部には、下方へ延長する延長壁部23が設けられている。延長壁部23の下端部は、延長板部17の下端部と連続している。
【0061】
後側端末部20の車室内側には、内側壁部24が設けられている。内側壁部24は、上壁部11の車室内端部から下方へ延びるとともに、前後方向にも延びている。内側壁部24の下端部は延長壁部23の下端部と連続している。また、内側壁部24の後端部は、端壁部22及び延長壁部23の車室内端部と連続している。
【0062】
図9に示すように、シール材10の上壁部11、27の下面には、下方へ突出してシール材取付板部112の上面に当接する後側突出部25及び前側突出部26が設けられている。これら後側突出部25及び前側突出部26は、シール材取付板部112への固定部材40の当接位置よりも車幅方向内側寄りに位置付けられている。後側突出部25及び前側突出部26は上記弾性材からなるものである。後側突出部25は、上壁部11における車室内端部から外端部近傍まで延びる突条部で構成されており、車室外側へ行くほど後に位置するように前後方向に対して傾斜している。図16には、後側突出部25がシール材取付板部112の上面に当接した状態を示しており、後側突出部25はシール材取付板部112の上面に当接した状態で弾性変形するようになっている。
【0063】
前側突出部26は、後側突出部25から車両前側に離れて設けられており、上壁部11における車室内端部から外端部近傍まで延びる突条部で構成されている。この前側突出部26も車室外側へ行くほど後に位置するように前後方向に対して傾斜している。図17には、前側突出部26がシール材取付板部112の上面に当接した状態を示しており、前側突出部26もシール材取付板部112の上面に当接した状態で弾性変形するようになっている。尚、図示しないが、後側突出部25及び前側突出部26の一方のみ設けてもよいし、3つ以上の突出部を設けてもよい。また、後側突出部25及び前側突出部26は車幅方向に延びる突条部で構成されていてもよいし、前後方向に延びる突条部で構成されていてもよい。後側突出部25及び前側突出部26の前後方向に対する傾斜角度は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0064】
次に、図10に示す固定部材40の構成について説明する。固定部材40は、図7に示すように、シール材10の後側端部の内部に挿入された状態で当該後側端末部20に固定される。固定部材40は、全体として前後方向に長い形状をなしている。固定部材40の後側部分には、図15に示すようにシール材本体10Aの後側端末部20の下壁部12を上下方向に挟持する挟持部41が設けられている。また、固定部材40の前側部分には、シール材本体10Aの下壁部12に固定されて下壁部12から車幅方向内側に延出するとともに、シール材取付板部の下面に当接する当接板部42が設けられている。
【0065】
図11にも示すように、挟持部41は、下壁部12の下面に当接する下板部41aと、下壁部12の上面に当接する上板部41bと、下板部41aの車室内端部から上板部41bの車室内端部まで延びる内板部41cとを備えている。下板部41aは、下壁部12の下面に沿って前後方向に延びている。上板部41bは、下壁部12の上面に沿って前後方向に延びており、下板部41aと略平行である。
【0066】
下板部41aと上板部41bとの間隔は、シール材本体10Aの下壁部12の厚みに相当しており、当該下壁部12を下板部41aと上板部41bとの間に差し込んだ状態で下板部41aと上板部41bとによって厚み方向に挟持することができる。下壁部12を挟持した状態では、挟持部41が下壁部12に対してがたつかないようになっている。
【0067】
図10及び図16に示すように、上板部41bの上面の前側には、下壁部12に固定されて下壁部12から車幅方向内側に延出するとともに、シール材取付板部112の下側突出板部106cの下面に当接する第1当接面41dが形成されている。この第1当接面41dは、下側突出板部106cの下面に沿って前後方向に延びている。上板部41bの上面の第1当接面41dよりも後側には、図10及び図15に示すように、下壁部12に固定されて下壁部12から車幅方向内側に延出するとともに、シール材取付板部112の上側突出板部105cの下面に当接する第2当接面41eが形成されている。第2当接面41eは、上側突出板部105cの下面に沿って前後方向に延びている。
【0068】
図5で上述したように、上側突出板部105cの後端部105cEが下側突出板部106cの後端部106cEよりも後に位置しており、また、第1当接面41dの後側に第2当接面41eが形成されることになり、この第2当接面41eは第1当接面41dよりも上に位置している。上板部41bの上面には、第1当接面41dと第2当接面41eとの間に、第2当接面41eが第1当接面41dよりも上に位置するように段部41fが形成されている。段部41fは下側突出板部106cの後端部106cEに沿うように形成されている。この段部41fに下側突出板部106cの後端部106cEが前から当接する状態を図13に示しており、この図13ではシール材10を仮想線で表示している。
【0069】
シール材10の後側突出部25及び前側突出部26と、固定部材40の挟持部41の上面である第1当接面41d及び第2当接面41eとにより、シール材取付板部112を上下方向に挟持する。すなわち、図16に示すように、後側突出部25及び前側突出部26の下端部と、挟持部41の上面との間隔T2は、シール材取付板部112の厚みT1よりも短く設定されている。シール材取付板部112を、後側突出部25及び前側突出部26と、第1当接面41d及び第2当接面41eとの間に差し込むことによって後側突出部25及び前側突出部26が弾性変形してがたつくことなく、固定部材40をシール材取付板部112に固定することができる。
【0070】
図10に示すように、当接板部42は、挟持部41から後側端末部20と反対側(前側)へ延びている。この当接板部42の上面がシール材本体10Aの下壁部12の下面に当接する。これにより、固定部材40の挟持部41から離れた部分がシール材本体10Aの下壁部12によって支持されることになり、固定部材40がシール材10に取り付けられた状態で安定する。
【0071】
図8に示すように、固定部材40の後端部には、端壁当接部43が設けられている。端壁当接部43は、固定部材40をシール材10に取り付けた状態で、端壁部22の前側に位置する面に当接する部分であり、上下方向及び車室内外方向に延びている。端壁当接部43をシール材10の端壁部22に当接させることで、固定部材40のシール材10に対する車両前後方向の位置決めを行うことができる。
【0072】
図11図15等に示すように、固定部材40の挟持部41の車室内側の面は、シール材1をシール材取付板部112に取り付けるときにシール材取付板部112に対して挟持部41をその上面へと導く案内面44とされている。案内面44は、当該案内面44の上に行くほど車室外側に位置するように傾斜しており、傾斜面で構成されている。尚、図示しないが、案内面44は、当該案内面44の上に行くほど車室外側に位置するように湾曲した湾曲面で構成されていてもよい。
【0073】
(シール材10の取付要領)
次に、上記のように構成されたシール材10のシール材取付板部112への取付要領について説明する。まず、図9図14図8に示すように、固定部材40をシール材10に取り付けて一体化する。この工程では、固定部材40をシール材10の延長板部17と内側壁部24との間から当該シール材10の内方へ取付けていく。そして、図15に示すように、シール材10の後側端末部20の下壁部12に対して固定部材40の挟持部41を挿入する。
【0074】
また、その次に、図8に示すように、固定部材40の端壁当接部43をシール材10の端壁部22に当接させる。さらに、当接板部42をシール材10の下壁部12の下面に当接させる。また、ここで、固定部材40は、挟持部41に対して当接板部42の方が車両内外方向の幅が狭くなるように、段差部45を設定している。このような構造にしておく事で、当接板部42をシール材本体10Aの下壁部12の下面に当接させる際、支持部12bに干渉しない。
【0075】
また、段差部45を支持部12bの後端部に当節させる位置に設定する事で、シール材10に対する固定部材40の、前後方向の位置決めをする事ができる。更に、当接板部42をシール材本体10Aの下壁部12の下面に当接させた後、当接板部42を端面シールリップ部19で、下方向から支持する事もできるので、固定部材40がより強固にシール材10に固定される。図2には、当接板部42の位置関係を破線で記載している。
【0076】
これにより、固定部材40がシール材10に取り付けられ、前後方向及び車室内外方向の位置決めがなされた状態で保持されるので、固定部材40がシール材10から脱落することはない。
【0077】
その後、図2に示すように、シール材10をシール材取付板部112に取り付ける。まず、シール材10をシール材取付板部112よりも車室外側に配置し、そこからシール材10を車室内側へ移動させていき、シール材取付板部112をシール材10の溝部Mに挿入する。
【0078】
すると、図15図16に示すように、シール材10の後側突出部25及び前側突出部26と、固定部材40の挟持部41の第1当接面41d及び第2当接面41eとの間にシール材取付板部112が差し込まれる。シール材取付板部112の上面に後側突出部25及び前側突出部26が当接し、シール材取付板部112の下面に固定部材40の第1当接面41d及び第2当接面41eが当接し、これにより、シール材取付板部112を挟持した状態でシール材10がシール材取付板部112に取り付けられる。
【0079】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、後側突出部25及び前側突出部26が弾性材からなるので、後側突出部25及び前側突出部26を弾性変形させることができる。一方、固定部材40は硬質な材料からなるものなので、シール材取付板部112に当接したときに殆ど変形することはなく、シール材1の後側端末部20を所定位置に位置決めできる。
【0080】
特に、シール材10の後端部が前端部に比べて下に位置するように当該シール材10が緩やかに湾曲している場合、シール材10の後端部が上に変位しようとすることがあるが、この実施形態では、シール材取付板部112の下面に硬質樹脂からなる固定部材40が当接しているので、シール材10の後端部の上への変位が抑制されて正規の位置で保持できる。
【0081】
一方、図16に示すように、後側突出部25及び前側突出部26の下端と固定部材40の挟持部41の上面との間隔T2をシール材取付板部112の厚みT1よりも狭めに設定していても、突出部25、26が弾性変形することで、シール材取付板部112を突出部25、26と挟持部41との間に容易に挿入することが可能になり、取り付けに要する力が小さくなる。取付後は、突出部25、26が弾性変形していることで、シール材取付板部112に対するがたつきは生じにくくなり、異音の発生や外観悪化の発生が抑制される。
【0082】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、例えば自動車のウインドフレーム等に取り付けるシール材に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 シール材
10A シール材本体
10Aa 芯材
11 上壁部
12 下壁部
13 外側壁部
20 後側端末部
22 端壁部
40 固定部材
41 挟持部
41d 第1当接面
41e 第2当接面
41f 段部
42 当接板部
43 端壁当接部
44 案内面
102 リヤドア
104 ウインドフレーム
112 取付板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17