IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノアックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-フェンダーライナー 図1
  • 特許-フェンダーライナー 図2
  • 特許-フェンダーライナー 図3
  • 特許-フェンダーライナー 図4
  • 特許-フェンダーライナー 図5
  • 特許-フェンダーライナー 図6
  • 特許-フェンダーライナー 図7
  • 特許-フェンダーライナー 図8
  • 特許-フェンダーライナー 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】フェンダーライナー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20240215BHJP
   G10K 11/175 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B62D25/18 F
G10K11/175
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095205
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187329
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】杉本 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 直邦
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-317179(JP,A)
【文献】特開2004-168174(JP,A)
【文献】特開平07-315252(JP,A)
【文献】特開2010-052660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/18
G10K 11/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドメンバーの外側面に重ねられる内側壁を有するフェンダーライナーであって、
前記内側壁の下端部から前記車両のエンジンまたはモータ側に張り出し、前記サイドメンバーの下面に重ねて配置される騒音反射部と、
前記騒音反射部に形成され、前記エンジンまたはモータから側方に離れるに従って下方に向かうように上下方向に対して傾斜する音反射面とを備え、
前記音反射面で受けたエンジン音またはモータ音を下方に反射して、前記サイドメンバーの下方を通過するエンジン音またはモータ音と干渉させるフェンダーライナー。
【請求項2】
前記音反射面は、曲率半径が20~30[mm]でありかつ周長が30~50[mm]の円弧面である請求項1に記載のフェンダーライナー。
【請求項3】
前記音反射面は、上下方向に対する傾斜角が40~50[DEG]でありかつ上下方向の寸法が20~30[mm]の平坦面である請求項1に記載のフェンダーライナー。
【請求項4】
前記内側壁の下端部からフェンダーライナーの上面に亘って延び、ショックアブソーバーを受容する切り欠きによって前記内側壁が前後に2分割され、
前記騒音反射部は、前記切り欠きを間に挟んで前後に並べて設けられている請求項1から3の何れか1の請求項に記載のフェンダーライナー。
【請求項5】
前記騒音反射部は、前記内側壁の下端部から屈曲して、前記サイドメンバーの下面に重ねられる屈曲突片と、前記屈曲突片の先端部にインテグラルヒンジを介して連なり、前記屈曲突片の下面に重なるように前記インテグラルヒンジを支点にして折り曲げられた音反射板と、を備え、前記音反射板の表裏の一方の面が前記音反射面になっている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のフェンダーライナー。
【請求項6】
前記騒音反射部は、前記内側壁から下方に延長されて、前記サイドメンバーの下面より下方に張り出す延長壁部と、前記延長壁部の下端部にインテグラルヒンジを介して連なり、前記延長壁部のエンジンまたはモータ側を向いた面に重なるように前記インテグラルヒンジを支点に折り曲げられた音反射板と、を備え、前記音反射板の表裏の一方の面が前記音反射面になっている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のフェンダーライナー。
【請求項7】
車両のホイールハウス内に配置されるフェンダーライナーであって、
前記車両のサイドメンバーの下面に重ねて配置される騒音反射部を有し、
前記騒音反射部は、前記車両のエンジンまたはモータから側方に離れるに従って下方に向かうように上下方向に対して傾斜する音反射面を備えるフェンダーライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車外に漏れるエンジン音を低減可能なフェンダーライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフェンダーライナーとして、吸音構造体で車輪の上方を覆うものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-089491号公報(段落[0025]、[0026]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のエンジンルームの側部には、車輪のドライブシャフトやタイロッドを通すために開口が設けられているため、その開口からサイドメンバーの下方を通過して車両の側方にエンジン音が漏れる。しかしながら、そのように側方に漏れるエンジン音を、上述した従来のフェンダーライナーでは抑えることができないため、側方に漏れるエンジン音を抑える技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、車両のサイドメンバーの外側面に重ねられる内側壁を有するフェンダーライナーであって、前記内側壁の下端部から前記車両のエンジン側に張り出し、前記サイドメンバーの下面に重ねて配置される騒音反射部と、前記騒音反射部に形成され、前記エンジンから側方に離れるに従って下方に向かうように上下方向に対して傾斜する音反射面とを備え、前記音反射面で受けたエンジン音を下方に反射して、前記サイドメンバーの下方を通過するエンジン音と干渉させるフェンダーライナーである。ここで、サイドメンバーには、車両の前後方向の略全体に亘って延びるサイドメンバーと、車両のエンジンルームで前後方向に延びるフロントサイドメンバーの両方が含まれる。
【0006】
発明の第2態様は、前記音反射面は、曲率半径が20~30[mm]でありかつ周長が30~50[mm]の円弧面である第1態様に記載のフェンダーライナーである。
【0007】
発明の第3態様は、前記音反射面は、上下方向に対する傾斜角が40~50[DEG]でありかつ上下方向の寸法が20~30[mm]の平坦面である第1態様に記載のフェンダーライナーである。
【0008】
発明の第4態様は、前記内側壁の下端部からフェンダーライナーの上面に亘って延び、ショックアブソーバーを受容する切り欠きによって前記内側壁が前後に2分割され、前記騒音反射部は、前記切り欠きを間に挟んで前後に並べて設けられている第1態様から第3態様の何れか1の態様に記載のフェンダーライナーである。
【0009】
発明の第5態様は、前記騒音反射部は、前記内側壁の下端部から屈曲して、前記サイドメンバーの下面に重ねられる屈曲突片と、前記屈曲突片の先端部にインテグラルヒンジを介して連なり、前記屈曲突片の下面に重なるように前記インテグラルヒンジを支点にして折り曲げられた音反射板と、を備え、前記音反射板の表裏の一方の面が前記音反射面になっている第1態様から第4態様の何れか1の態様に記載のフェンダーライナーである。
【0010】
発明の第6態様は、前記騒音反射部は、前記内側壁から下方に延長されて、前記サイドメンバーの下面より下方に張り出す延長壁部と、前記延長壁部の下端部にインテグラルヒンジを介して連なり、前記延長壁部のエンジン側を向いた面に重なるように前記インテグラルヒンジを支点に折り曲げられた音反射板と、を備え、前記音反射板の表裏の一方の面が前記音反射面になっている第1態様から第4態様の何れか1の態様に記載のフェンダーライナーである。
【0011】
発明の第7態様は、前記反射板には、前記サイドメンバーに固定するための締結部材が通される取付孔が形成されている第6態様に記載のフェンダーライナーである。
【発明の効果】
【0012】
発明の第1態様のフェンダーライナーによれば、エンジンから側方に向かったエンジン音の一部が、サイドメンバーの下面に重ねて備えられた騒音反射部の音反射面で反射して下方に向かい、騒音反射部より下側でエンジンから側方に真っ直ぐ進んだエンジン音と位相がずれた状態で交わって干渉する。これにより、サイドメンバーの下方を通過して側方に漏れるエンジン音が抑えられる。
【0013】
ここで、車両の側方に漏れるエンジン音のうち騒音レベルが最も高い周波数の音の騒音レベルを下げるように騒音反射部で反射させたエンジン音とサイドメンバーの下方を通過するエンジン音との位相をずらすことが好ましい。そのためには、車両が普通自動車の場合に、音反射面は、エンジンから側方に離れるに従って下方に向かうように上下方向に対して傾斜していれば、円弧面でも平坦面でもよい。また、音反射面が円弧面である場合には、曲率半径が20~30[mm]であり、かつ周長が30~50[mm]の円弧面であることが好ましく(発明の第2態様)、音反射面が平坦面である場合には、上下方向に対する傾斜角が40~50[DEG]であり、かつ上下方向の寸法が20~30[mm]の平坦面であることが好ましい(発明の第3態様)。
【0014】
騒音反射部は、フェンダーライナーの内側壁の下端部から屈曲して、サイドメンバーの下面に重ねられる屈曲突片と、屈曲突片の先端部にインテグラルヒンジを介して連なり、屈曲突片の下面に重なるようにインテグラルヒンジを支点にして折り曲げられた音反射板と、を備えて、音反射板の表裏の一方の面が音反射面になっている構造であってもよいし(発明の第5態様)、内側壁から下方に延長されて、サイドメンバーの下面より下方に張り出す延長壁部と、延長壁部の下端部にインテグラルヒンジを介して連なり、延長壁部のエンジン側を向いた面に重なるようにインテグラルヒンジを支点に折り曲げられた音反射板と、を備えて、音反射板の表裏の一方の面が音反射面になっている構造であってもよい(発明の第6態様)。この構造の場合には、発明の第7態様のフェンダライナーのように、音反射板に取付孔を形成し、締結部材を介してサイドメンバーに固定するようにしてもよい。
【0015】
発明の第4態様の構成では、騒音反射部が、ショックアブソーバーを挟んで前側と後側とに分けて配置されているので、騒音反射部とショックアブソーバーとの干渉が回避され、騒音反射部の大きさの自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る騒音反射部を備えた車両前部の正断面図
図2】ホイールハウスを車両上方から見た平面図
図3】フェンダーライナーを除いた状態でホイールハウスを車両前方側から見た斜視図
図4】フェンダーライナーを車両後方側から見た斜視図
図5】側部開口から側方へ向かうエンジン音の流れを示す図
図6】第2実施形態に係る騒音反射部を備えたフェンダーライナーの拡大正断面図
図7】他の実施形態に係る騒音反射部を備えたフェンダーライナーの拡大正断面図
図8】他の実施形態に係る騒音反射部を備えたフェンダーライナーの拡大正断面図
図9】(A),(B)他の実施形態に係る騒音反射部を備えたフェンダーライナーの拡大正断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図1図5を参照して、本開示のフェンダーライナー22を有する車両90に係る第1実施形態を説明する。図1に示した本実施形態の車両90は、例えばフロントにエンジン95が搭載され、前輪91が駆動される乗用車である。この車両90のエンジンルーム93は、両側部と下部とにカバー壁92A,92Bを有して、側方及び下方への音漏れが抑えられている。また、側部のカバー壁92Aの外側には、フロントサイドメンバー20が配置され、そのフロントサイドメンバー20から真下に離れた位置には、サブフレーム21がカバー壁92Bの上面に重ねて配置されている。さらに、フロントサイドメンバー20とサブフレーム21との間には、カバー壁92Aの一部を切除して側部開口92Cが形成され、前輪91のドライブシャフト31とタイロッド32とが、側部開口92Cを介してエンジンルーム93から各前輪91のホイールハウス96へと導出されている。そして、各前輪91のホイールハウス96の内側にフェンダーライナー22が備えられている。
【0018】
本実施形態のフェンダーライナー22は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂の射出成形品であり、図1に示すようにフロントサイドメンバー20の外側面に重ねられる内側壁22Bを備えている。また、フェンダーライナー22のうち前輪91を上方から覆う円弧壁22Aの頂上部には、前輪91のショックアブソーバー33が貫通していて、フェンダーライナー22をホイールハウス96内に組み付ける際にショックアブソーバー33を通すための切り欠き23が、図4に示すように、円弧壁22Aの頂上部から内側壁22Bの下端部まで延びている。
【0019】
内側壁22Bの下端部は、例えば、円弧壁22Aの上下方向の中間に位置し、内側壁22Bの下端面は、切り欠き23を挟んだ両側が互いに面一となって水平に延びている。また、内側壁22Bのうち切り欠き23を挟んだ両側には、内側壁22Bの下端から離れた位置にそれぞれ取付孔24が備えられ、それら取付孔24に通された締結部材Bにより内側壁22Bがフロントサイドメンバー20に固定されている。
【0020】
図1に示すように、内側壁22Bの下端部は、フロントサイドメンバー20から下方に突出しかつドライブシャフト31及びタイロッド32の上方に位置して側部開口92Cに臨んでいる。そして、内側壁22Bのうち切り欠き23Cの両側において側部開口92Cに臨む部分に、1対の音反射板11が重ねて備えられている(図4参照)。以下、内側壁22Bのうち切り欠き23の両側においてフロントサイドメンバー20より下方に突出する部分を1対の延長壁部12と呼ぶこととする。
【0021】
図4に示すように、各音反射板11は、1/4円の断面形状をなして前後方向に延び、その外周面が図1に示すようにフロントサイドメンバー20の下面と延長壁部12のうち側部開口92Cに臨む面とに接するように配置されている。また、音反射板11の下端は延長壁部12の下端にインテグラルヒンジ30を介して接続されている。さらに、図4に示すように、音反射板11の上部には1対の取付孔12Bが備えられている。図5に示すように、各取付孔12Bは、下面側が座ぐられた座ぐり孔構造をなし、取付孔12Bの上部開口縁からは台座部11Dが突出している。そして、取付孔12Bに通された締結部材B(例えば、ボルト、ナット、リベット、ビス、ナイラッチ等)により音反射板11がフロントサイドメンバー20の下面に固定されている。そして、音反射板11とインテグラルヒンジ30と延長壁部12とから特許請求の範囲の騒音反射部10が構成され、音反射板11の内周面である音反射面11Aで、側部開口92Cから側方に漏れる音を受けて下方に反射させる。
【0022】
なお、音反射面11Aの曲率半径は、例えば、20~30[mm]、周長は30~50[mm]が好ましい。また、本実施形態のフェンダーライナー22は、例えば樹脂の射出成形品であるが、真空成形品でもよい。さらには、フェンダーライナー22のフロントサイドメンバー20への固定は、締結部材には限定されず、接着剤であってもよい。
【0023】
次に、本実施形態の騒音反射部10の作用効果について説明する。エンジンルーム91内で発生して側方に向かったエンジン音は、側部開口92Cからフロントサイドメンバー20とサブフレーム21との間を通って車外に漏れる。本実施形態では、フェンダーライナー22に1対の騒音反射部10が備えられて、騒音反射部10の音反射面11Aが、側部開口92C内に臨むようにフロントサイドメンバー20の下面に配置された構造となっている。従って、側部開口92Cから側方へ向かうエンジン音の経路は、図5に示すように、音反射面11Aを経由する第1経路15Rと、音反射面11Aを経由しないで騒音反射部10の下方を通って直進し、車外に放出される第2経路16Rとに分かれる。
【0024】
第1経路15Rを通るエンジン音は、騒音反射部10の音反射面11Aで反射して下方に向かう。そして、第2経路16Rを通って直進するエンジン音と合流する。音反射面11Aで反射したエンジン音の波長は、直進したエンジン音の波長に対して位相がずれるので、合流したときに互いに干渉する。これにより、エンジン音は、車外に漏れる前にフロントサイドメンバー20の下方で低減される。
【0025】
ここで、車外に漏れるエンジン音のうち騒音レベルが最も高い周波数の音の騒音レベルを下げることで、エンジン音全体の騒音レベルを下げることができる。従って、エンジン音のピークとなる周波数帯域800~1250[Hz]の音を低減することが望まれる。本実施形態のように、音反射面11Aの曲率半径を20~30[mm]、周長を30~50[mm]とすると、周波数帯域800~1250[Hz]を中心とした周波数を中心として良好な低減効果を得ることができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、音反射板11と延長壁部12の2部品がインテグラルヒンジ30を介して接続されている。つまり、使用される時には、型抜き方向が異なるこれら2部品を、成形時に同一方向に型抜きすることにより一体成形される。そして、成形後、インテグラルヒンジ30を中心に回転させることで使用時の配置にすることができる。このように、本来的には型抜き方向が異なる2部品を同一方向に型抜きして一体成形することができるので、製造費用をコストダウンすることができる。
【0027】
また、騒音反射部10を、フロントサイドメンバー20よりも内側に配置すると各種の補器類と干渉し、フロントサイドメンバー20よりも外側に配置するとショックアブソーバー33と干渉する虞があるが、本実施形態では、騒音反射部10は、フロントサイドメンバー20の下方に配置されるので、これらの部品と干渉する虞がなく、騒音反射部10の形状の自由度が高くなる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本開示を適用した第2実施形態のフェンダライナー22Vについて説明する。以下の説明では、上記第1実施形態との相違点のみを説明し、共通する構成については重複した説明は省略する。
【0029】
図6に示すように、本実施形態のフェンダライナー22Vは、内側壁22Bの下端から屈曲してフロントサイドメンバー20の下面に重ねられる屈曲突片13を備える。また、音反射板11Vは、屈曲突片13の先端にインテグラルヒンジ30を介して接続され、屈曲突片13の下面に重ねられている。さらに、屈曲突片13には、音反射板11Vの1対の取付孔12Bと対向する位置に1対の取付孔13Bが形成され、それら取付孔12B,13Bに通した締結部材Bにより、屈曲突片13及び音反射板11Vがフロントサイドメンバー20に固定されている。そして、これら屈曲突片13とインテグラルヒンジ30と音反射板11Vとから騒音反射部10Vが構成されている。
【0030】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、騒音反射部10又は10Vの音反射面11Aは、円弧面であったが、図7に示すように、騒音反射部10Wの音反射面11Aは、側部開口92C側を向いて、下方に向かうに従ってエンジン30から離れるように傾斜した平坦面で構成されていてもよい。この平坦面は、配置される上下方向に対する傾斜角が40~50[DEG]であり、かつ上下方向の寸法が20~30[mm]であることが好ましい。
【0031】
(2)上記実施形態(1)において、音反射板11Wは、屈曲突片13と、インテグラルヒンジ30を介して接続される構成であったが、図8に示すように、内側壁22Bの下端部を2箇所で折り曲げて、フロントサイドメンバー20の下面に重ねられる部分と、音反射面11Aを形成する部分とを形成する構成であってもよい。この場合、フロントサイドメンバー20の下面に重ねられる第1壁部14Aの下面と、音反射面11Aを構成する第2壁部14Bの外面とを、相互に連結するリブ部31を備えることで、音反射面11Aの傾斜角を固定することができる。
【0032】
(3)上記実施形態において、騒音反射部10は、フェンダーライナー22に一体形成されていたが、図9(A)に示すように、フェンダーライナー22Xと別体となっていてもよい。この場合、フェンダーライナー22Xの内側壁22XBの下端部が、フロントサイドメンバー20の下面よりも下方に張り出していて、その張り出した部分に騒音反射部10Xが取り付けられる構成であってもよい。
【0033】
また、図9(B)に示すように、フェンダーライナー22Yの内側壁22YBの下端部が屈曲してフロントサイドメンバー20の下面に重ねられ、その重ねられた部分に騒音反射部10Yが取り付けられる構成であってもよい。
【0034】
(4)上記実施形態では、フェンダーライナー22に備えられた騒音反射部10は、フロントにエンジン95が搭載された車両90のエンジンルーム93で前後方向に延びるフロントサイドメンバー20の下方に配置される構成であったが、フロント以外にエンジン95を備えた車両90であって、車両90の前後方向の略全体に亘って延びるサイドメンバーの下面に配置される構成であってもよい。
【0035】
(5)上記実施形態では、エンジン95を備えた車両90に適用されていたが、モータを備えた電気自動車やモータ及びエンジンを備えたハイブリッド車に適用してもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 騒音反射部
11A 音反射面
20 フロントサイドメンバー(サイドメンバー)
22 フェンダーライナー
22B 内側壁
90 車両
95 エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9