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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240215BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20240215BHJP
【FI】
C02F1/00 J
C02F9/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020107659
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002827
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 明李
(72)【発明者】
【氏名】仁田 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】河原 伸哉
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515073(JP,A)
【文献】実開平6-77884(JP,U)
【文献】特開2000-334439(JP,A)
【文献】特開2001-96286(JP,A)
【文献】特開2005-270797(JP,A)
【文献】特開2002-45842(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108640372(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 1/78
C02F 9/00- 9/20
A61L 2/00- 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を処理する排水処理装置であって、
筐体と、
排水処理ユニットを含む本体と、
前記本体に装着可能に設けられ、前記本体とともに前記排水を処理する循環経路を構成し、前記排水処理ユニットで処理される前記排水を蓄えるタンクと、を備え、
前記排水処理ユニットで前記排水の処理時には、前記タンクは前記本体に連結された状態で前記筐体内に収容され、
前記排水処理ユニットで前記排水の非処理時には、前記タンクを前記本体から切り離すことで、前記タンクを前記筐体の外部に移動させることができる、排水処理装置。
【請求項2】
前記本体および前記タンクは、前記排水を前記タンクから排出する第1連結部および前記排水処理ユニットで処理された前記排水を前記タンクに戻す第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記第2連結部が接続されることで前記循環経路が構成される、請求項1に記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記タンクを前記本体の所定位置に固定する誘導部を有する、請求項2に記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記第1連結部および前記第2連結部は、オートカプラを有する、請求項2または請求項3に記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記筐体に収容される荷台をさらに備え、
前記タンクは、前記荷台により、前記筐体内の前記本体に装着される位置と、前記タンクを前記本体から切り離し、前記タンクを前記筐体の外部に移動させた位置との間を移動可能である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記本体は、前記荷台に配設された前記タンクを前記本体に装着する位置に誘導するための経路を含む、請求項5に記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記荷台は、前記荷台を前記本体に固定するための押し付け機構を含み、
前記押し付け機構により、前記荷台が前記本体に近接し前記タンクが前記本体に装着される、請求項5または請求項6に記載の排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水を処理するための排水処理装置として、複数の槽と、各槽へ排水を移すためのポンプと、別途設けられた循環処理のためのポンプと、を備えた構成が、下記特許文献1に開示されている。排水処理装置として、移動可能な処理設備を搭載した搬送車と、既設の排水処理装置とを吸引ラインおよび排出ラインによって接続する構成が、下記特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-103113号公報
【文献】特開2003-190995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各特許文献に開示される排水処理装置は、いずれも大型の設備が必要であった。特許文献2に記載の排水処理装置では、搬送車と排水処理装置との接続に手間を要していた。
【0005】
本開示の目的は、小型かつ接続が容易な排水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係わる排水を処理する排水処理装置は、筐体と、排水処理ユニットを含む本体と、上記本体に装着可能に設けられ、上記本体とともに上記排水を処理する循環経路を構成し、上記排水処理ユニットで処理される上記排水を蓄えるタンクと、を備えている。上記排水処理ユニットで上記排水の処理時には、上記タンクは上記本体に連結された状態で上記筐体内に収容される。上記排水処理ユニットで上記排水の非処理時には、上記タンクを上記本体から切り離すことで、上記タンクを上記筐体の外部に移動させることができる。
【0007】
上記本体および上記タンクは、上記排水を上記タンクから排出する第1連結部および上記排水処理ユニットで処理された上記排水を上記タンクに戻す第2連結部を含む。上記第1連結部および上記第2連結部が接続されることで上記循環経路が構成される。
【0008】
上記第1連結部および上記第2連結部は、上記タンクを上記本体の所定位置に固定する誘導部を有する。
【0009】
上記第1連結部および上記第2連結部は、オートカプラを有する。
上記筐体に収容される荷台をさらに備える。上記タンクは、上記荷台により、上記筐体内の上記本体に装着される位置と、上記タンクを上記本体から切り離し、上記タンクを上記筐体の外部に移動させた位置との間を移動可能である。
【0010】
上記本体は、上記荷台に配設された上記タンクを上記本体に装着する位置に誘導するための経路を含む。
【0011】
上記荷台は、上記荷台を上記本体に固定するための押し付け機構を含む。上記押し付け機構により、上記荷台が上記本体に近接し上記タンクが上記本体に装着される。
【発明の効果】
【0012】
本開示に従えば、小型かつ接続が容易な排水処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】排水処理装置の正面図である。
図2】前面扉および側面扉を開いた状態の排水処理装置を示す図である。
図3】荷台を引き出した状態の排水処理装置を示す図である。
図4】排水処理装置の全体構造を示す回路図である。
図5】押し付け機構を説明するための図である。
図6】連結部を説明するための第1図である。
図7】連結部を説明するための第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態における排水処理装置1について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0015】
図1から図3を参照して、排水処理装置1の全体構成について説明する。図1は、排水処理装置1の正面図、図2は、前面扉2aおよび側面扉2cを開いた状態の排水処理装置1を示す図、図3は、荷台5を引き出した状態の排水処理装置1を示す図である。
【0016】
図1を参照して、排水処理装置1は、筐体2を有する。筐体2は、直方体形状であり、後述する本体10を覆っている。筐体2は、前面側に開放可能な前面扉2aを有する。筐体2は、底面の四隅にキャスター2bを有する。排水処理装置1は、キャスター2bによって移動可能である。なお、排水処理装置1は、移動式ではなく固定式であってもよい。
【0017】
筐体2の右側上部には、タッチパネル式の操作部3が設けられている。操作部3は、使用者が排水処理を実行する際に画面に表示される項目を選択できるようになっている。筐体2の正面右側には、緊急停止用のボタン4が設けられている。排水処理装置1は、稼働時にボタン4を操作することにより緊急停止することができる。
【0018】
図2を参照して、排水処理装置1は、前面側の前面扉2aおよび右側面側の側面扉2cを開放することで内部が視認可能になる。筐体2の正面視右側の内部には、制御盤30が設けられている。側面扉2cは、制御盤30に設けられたブレーカー等の操作をする際に開放する扉である。
【0019】
筐体2の正面視左側の内部には、荷台5とタンク6とが設けられている。タンク6は、荷台5に搭載されている。排水処理装置1は、スロープ7を有する。スロープ7は、前面扉2aを開放することにより前方へ倒すことで、荷台5の通路となる。スロープ7は、両端にガイド部7aを有する。ガイド部7aは、タンク6が搭載された荷台5を筐体2の外部へ移動させる際に荷台5を誘導する。
【0020】
筐体2の上部には、操作部3と薬液投入部2dとが設けられている。操作部3は、使用者がタッチパネルを操作しやすいように画面が後傾するように斜めに配置されている。薬液投入部2dは、内部に薬液を投入できるように開放可能に設けられている。なお、操作部3や薬液投入部2dの位置は、適宜変更してもよい。
【0021】
図3を参照して、荷台5は、底面の四隅にキャスター5aを備えている。荷台5に搭載されたタンク6は、荷台5により筐体2内の位置と、タンク6を筐体2の外部に移動させた位置との間を移動可能である。
【0022】
荷台5は、筐体2の外部に移動させる際にキャスター5aがガイド部7aに誘導されることにより筐体2の外部へ円滑に移動することができる。荷台5は、筐体2の外部から筐体2の内部へ移動する際にもキャスター5aがガイド部7aに誘導されることにより筐体2の内部へ円滑に移動することができる。
【0023】
排水処理装置1の内部には、枠組に後述する排水処理ユニット100が配設された本体10が設けられている。
【0024】
図4を参照して、排水処理装置1の回路構成について説明する。排水処理装置1は、タンク6を含むタンク領域200と、ポンプ11、熱交換器19、第1薬液タンク12、第2薬液タンク13、薬液ポンプ14、およびUV反応器18を含む本体領域300とを含む。
【0025】
タンク6を含むタンク領域200側から第1連結部15を通して本体領域300側に排出する排水の流路を流路L1とする。本体領域300側の排水処理ユニット100で処理された排水を本体領域300側から第2連結部16を通してタンク領域200側に戻す排水の流路を流路L2とする。
【0026】
タンク6と流路L1とが、タンク6の下側の位置にある第1連結部15により連結される。タンク6と流路L2とが、タンク6の上側の位置にある第2連結部16により連結される。排水処理ユニット100は、タンク6と接続されることにより、タンク6内の排水を循環するための循環経路を形成する。
【0027】
第1連結部15には、オートカプラが用いられる。オートカプラは、オス側のプラグの面とメス側のソケットの面とを押し合わせることで、内部に流路が形成される。オートカプラは、面同士が押し合っていない状態では、流路が形成されないため液体が流れることはない。第2連結部16にも、同様にオートカプラが用いられる。
【0028】
タンク6に溜められた排水は、循環経路に排水を循環させるためのポンプ11により流路L1を通って排水処理ユニット100に送られる。排水は、熱交換器19により冷却処理される。その後、排水には、第1薬液タンク12に充填されている過酸化水素(H)が薬液ポンプ14を用いて注入される。
【0029】
その後、図示しないセンサによりpH調整が必要であることが検知された場合に、排水には、第2薬液タンク13に充填されている水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液が注入される。過酸化水素(H)の代わりにオゾン(O)を用いてもよい。過酸化水素(H)の代わりに、過酸化水素(H)とオゾン(O)とを併用して用いてもよい。
【0030】
その後、排水は、UV反応器18を通過する。UV反応器18は、薬液が投入された排水に紫外線を照射させることで化学反応を起こすための機器である。排水は、UV反応器18を通過する際に促進酸化処理(AOP処理(Advanced Oxidation Process)が行われる。促進酸化処理は、過酸化水素(H)に紫外線を照射することによりOHラジカルを発生させ、OHラジカルにより有機物を分解する処理である。OHラジカルは、酸素原子と水素原子との間に不対電子を含む結合形態である。不対電子は、非常に不安定なため強い酸化力を有する。
【0031】
排水には、難分解性物質が含まれていることがある。難分解性物質は、一般的に90日かけても微生物により分解しきれずに残った有機物のことである。促進酸化処理では、難分解性物質を含む排水であってもOHラジカルの働きにより分解が可能である。本実施の形態における排水処理装置1は、促進酸化処理により発がん性物質の無害化、環境負担の低減に寄与することができる。
【0032】
促進酸化処理された排水は、流路L2を通って再びタンク6に戻される。排水は、タンク領域200と本体領域300とから構成される流路L1、流路L2を含む循環経路において徐々に処理されてきれいな状態となる。処理された排水は、排水処理装置1の左側面にある配管(図4中の流路L3)から排出される。
【0033】
次に、図5を参照して、荷台5を本体10に押し付けて固定するための押し付け機構について説明する。図5は、押し付け機構を説明するための図である。図5に示すように、荷台5には、4か所のねじ部17が設けられている。本体10の前面側には、4か所のねじ部17に対応する4か所のねじ穴が設けられている。
【0034】
排水が溜められたタンク6は、筐体2に収容される荷台5により、筐体2内の本体10に装着される位置と、タンク6を本体10から切り離し、タンク6を筐体2の外部に移動させた位置との間を移動可能である。
【0035】
本体10には、荷台5に配設されたタンク6を本体10に装着する位置に誘導するための経路であるスロープ7が設けられている。使用者は、スロープ7の上を本体10側に向けて荷台5を移動させることができる。使用者は、荷台5が本体に近接した位置となったときに押し付け機構である4か所のねじ部17を回転させることにより、ねじ部17が締め込まれることにより、徐々にタンク6が本体10に押し付けられる。これにより、タンク6が本体10に装着される。
【0036】
次に、図6および図7を参照して、第1連結部15および第2連結部16の構成について説明する。図6は、荷台5側から見た第1連結部15および第2連結部16の構成を示す図、図7は、本体10側から見た第1連結部15および第2連結部16の構成を示す図である。
【0037】
タンク6の下側の位置に第1連結部15が設けられ、タンク6の上側の位置に第2連結部16が設けられている。
【0038】
第1連結部15は、本体10側のオートカプラとしてのプラグ15a、荷台5側のオートカプラとしてのソケット15b、プラグ15aの上側に設置された第2誘導部15d、およびソケット15bの上側に設置された第1誘導部15cを含む。
【0039】
第2連結部16は、荷台5側のオートカプラとしてのプラグ16a、本体10側のオートカプラとしてのソケット16b、プラグ16aの下側に設置された第3誘導部16c、およびソケット16bの下側に設置された第4誘導部16dを含む。
【0040】
荷台5を本体10に移動させる際は、第1誘導部15cの突起部が第2誘導部15dの穴部に誘導される。これにより、オートカプラのプラグ15aと、ソケット15bとは、位置ずれすることなく適切な位置に誘導される。プラグ15aの前面と、ソケット15bの前面とが近接した位置になったときに、使用者は、ねじ部17を締め付ける。
【0041】
オートカプラは、ねじ部17が締め付けらることによりプラグ15aおよびソケット15bの面同士が押し付け合うようになる。オートカプラは、面同士が押し合うことにより第1連結部15の中央部に流路が形成される。
【0042】
上記と同様に、荷台5を本体10に移動させる際は、第3誘導部16cの突起部が第4誘導部16dの穴部に誘導される。これにより、オートカプラのプラグ16aと、ソケット16bとは、位置ずれすることなく適切な位置に誘導される。プラグ16aの前面と、ソケット16bの前面とが近接した位置にとなったときに、使用者は、ねじ部17を締め付ける。
【0043】
オートカプラは、ねじ部17が締め付けらることによりプラグ16aおよびソケット16bの面同士が押し付け合うようになる。オートカプラは、面同士が押し合うことにより第2連結部16の中央部に流路が形成される。
【0044】
<作用・効果>
本実施の形態における排水を処理する排水処理装置1は、筐体2と、排水処理ユニット100を含む本体10と、本体10に装着可能に設けられ、本体10とともに排水を処理する循環経路を構成し、排水処理ユニット100で処理される排水を蓄えるタンク6と、を備えている。
【0045】
排水処理ユニット100で排水の処理時には、タンク6は本体10に連結された状態で筐体2内に収容される。排水処理ユニット100で排水の非処理時には、タンク6を本体10から切り離すことで、タンク6を筐体2の外部に移動させることができる。これにより、排水処理装置1は、小型かつ接続が容易な構造とすることができる。
【0046】
本体10とタンク6との間には、排水をタンク6から排出する第1連結部15および排水処理ユニット100で処理された排水をタンク6に戻す第2連結部16を含んでいる。第1連結部15および第2連結部16が接続されることで循環経路が構成される。これにより、タンク6は、2か所の連結部で接続するのみで容易に本体10に接続することができる。
【0047】
第1連結部15は、タンク6を本体10の所定位置に固定する第1誘導部15cおよび第2誘導部15dを有している。第2連結部16は、タンク6を本体10の所定位置に固定する第3誘導部16cおよび第4誘導部16dを有している。これにより、タンク6を本体10に適切に誘導することができる。
【0048】
第1連結部15は、オートカプラとしてのプラグ15aおよびソケット15bを有している。第2連結部16は、オートカプラとしてのプラグ16aおよびソケット16bを有している。これにより、オートカプラは、排水を外部に漏らすことなくタンク6と本体10とを容易に接続することができる。
【0049】
排水処理装置1は、筐体2に収容される荷台5をさらに備えている。タンク6は、荷台5により、筐体2内の本体10に装着される位置と、タンク6を本体10から切り離し、タンク6を筐体2の外部に移動させた位置との間を移動可能である。これにより、タンク6は、容易に移動可能であるので、様々な場所で排出される排水をタンク6に容易に回収することができる。
【0050】
本体10は、荷台5に配設されたタンク6を本体10に装着する位置に荷台5を誘導するための経路であるスロープ7を含む。これにより、タンク6を円滑に本体10側に移動させることができる。
【0051】
荷台5は、荷台5を本体10に固定するためのねじ部17により構成される押し付け機構を含んでいる。ねじ部17により構成される押し付け機構により、荷台5が本体10に近接しタンク6が本体10に装着される。これにより、荷台5を本体10に容易に接続することができる。
【0052】
病院等の施設においては、診察室、検査室、病室等の各部屋から排水が不定期に排出される可能性がある。大規模な病院では、各部屋から専用の配管を整備し、排出される排水を常時大型の処理装置に設けられた槽に回収することも可能である。しかしながら、小規模な病院では、スペースの問題により大型の処理装置を設置することができない。後から排水設備が必要となる場合にも、大型の処理装置を導入することは困難である。
【0053】
本実施の形態における排水処理装置1は、設置スペースが小さく、排水処理装置1自体を移動することも可能であるため、設置場所を選ばず容易に設置できる。このように、本実施の形態における排水処理装置1は、装置が小型であるため、たとえば小規模病院のような延べ床面積の小さい施設にも好適に用いることができる。なお、本実施の排水処理装置1は、小型の排水処理装置1が必要な病院以外の様々な施設において用いることができる。
【0054】
排水処理装置1のタンク6は、使用者による移動を容易にするために荷台5に搭載した状態で移動することもできる。このため、タンク6は、各部屋を自在に行き来することができる。タンク6は、各部屋に設置することで複数設置されている状態にすることも可能である。これにより、排水が溜まった部屋のタンク6を回収し、すぐに回収した部屋に空のタンク6を設置することができる。排水処理して空となったタンク6は、回収した部屋とは別の部屋に設置することもできるため、設置のバリエーションを増やすことができる。
【0055】
排水処理装置1のタンク6は、排水を溜める槽の機能と排水を処理する槽の機能とを同じ1つのタンク6で共有することができる。これにより、槽から槽への移動のためのポンプの設置は不要になるため、初期費用の低下、運転時の電気代の節約に寄与することができる。
【0056】
<他の実施の形態>
上記実施の形態においては、押し付け機構としてねじ部17を用いたものを説明した。押し付け機構は、ねじ式以外の機構であってもよい。たとえば、押し付け機構として、空圧式、電磁式の押し付け機構を採用してもよい。空圧式、電磁式の押し付け機構は、たとえば、使用者が操作部3を操作することにより、作動する機構であればよい。押し付け機構の作動部は、本体10側または荷台5側の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
【0057】
荷台5あるいはタンク6には、どの施設からの排水かを見分けるしるしが付されていてもよい。しるしを見分けることにより容易にどの施設から排出された排水であるかを確認することができる。
【0058】
タンク6を本体に装着する位置に誘導するための経路は、スロープではなく、昇降式の電動の機器であってもよい。電動の機器は、荷台5側に設けられてもよいし、本体10側に設けられてもよい。
【0059】
上記実施の形態においては、排水の処理方法として、促進酸化処理(AOP処理)を例に説明した。排水の処理方法は、促進酸化処理以外の処理方法を用いてもよい。例えば、オゾン処理、UV処理、オゾンと二酸化塩素とを用いた処理、フィルターを用いた処理、イオン交換樹脂を用いた処理等どのような処理方法を適用してもよい。
【0060】
上記実施の形態における排水処理装置1は、小型の形状であればよく内部構造や全体形状は、適宜変更してもよい。例えば、操作部3は、筐体2に対して画面を後傾するような位置ではなく、筐体2の正面、上面、側面のいずれかの位置に水平に配置されるようにしてもよい。また、上述の各処理方法により排水処理ユニット100の内部構造を適宜変更してもよい。この場合であっても、タンク6は、荷台5に搭載されて筐体2内部の位置と、筐体2外部の位置とを移動可能であればよい。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 排水処理装置、2 筐体、2a 前面扉、3 操作部、5 荷台、6 タンク、7 スロープ、10 本体、15 第1連結部、16 第2連結部、15a,16a プラグ、15b,16b ソケット、15c 第1誘導部、15d 第2誘導部、16c 第3誘導部、16d 第4誘導部、17 ねじ部、100 排水処理ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7