(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】保護装置
(51)【国際特許分類】
H02H 7/20 20060101AFI20240215BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20240215BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20240215BHJP
H01C 7/12 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H02H7/20 E
H04L25/02 V
H02H9/04 A
H01C7/12
(21)【出願番号】P 2020117218
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 義晋
(72)【発明者】
【氏名】石川 伸二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤本 裕紀
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0128407(US,A1)
【文献】特開2005-341681(JP,A)
【文献】特開2012-199904(JP,A)
【文献】実開昭59-085044(JP,U)
【文献】特表平11-510996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
H04L 25/02
H02H 9/04
H01C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電圧の差で表される差動信号の伝播経路に配置され、前記差動信号の送信及び受信の両方又は一方を行う通信機器を、絶対値が所定電圧を超える過電圧の印加から保護する保護装置であって、
前記差動信号が伝播する一対の信号線が設けられている第1基板と、
前記一対の信号線に各別に接続され、前記一対の信号線それぞれに印加される電圧の絶対値を前記所定電圧以下に制限する制限回路と、
前記制限回路に含まれる回路素子が配置されている第2基板と、
前記第1基板に取り付けられ、前記第1基板と間隔を隔てて重なるように前記第2基板を支持する複数の支持部材と
を備える保護装置。
【請求項2】
前記一対の信号線は平行に配置され、
前記一対の信号線の長さは同じである
請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
前記複数の支持部材には、前記制限回路に含まれる第2の回路素子が含まれる
請求項1又は請求項2に記載の保護装置。
【請求項4】
導体を備え、
前記制限回路は、
前記一対の信号線それぞれにアノードが接続される2つの第1ダイオードと、
前記一対の信号線それぞれにカソードが接続される2つの第2ダイオードと、
前記2つの第1ダイオードのカソード、前記2つの第2ダイオードのアノード及び導体に接続され、前記一対の信号線それぞれに印加される電圧の絶対値を前記所定電圧以下に制限する制限器と
を有し、
前記一対の信号線の一方に印加されている電圧の絶対値が前記所定電圧となった場合、電流は、前記一対の第1ダイオード及び前記一対の第2ダイオード中の1つと、前記制限器と、導体とを介して流れ、
前記複数の支持部材には、前記第1ダイオード又は第2ダイオードが含まれる
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の保護装置。
【請求項5】
前記複数の支持部材は、前記第1基板に取り外し可能に取り付けられている
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内に配置される通信機器の1つとして、屋外から引き込まれた通信線に接続される通信機器がある。屋外に配置されている通信線の周辺で落雷が発生した場合、絶対値が所定電圧を超える過電圧、所謂サージ電圧が通信線において一時的に発生する可能性がある。単純に通信線が通信機器に接続されている場合において、過電圧が発生したとき、過電圧が通信線を介して通信機器に印加され、通信機器が故障する可能性がある。
【0003】
通信機器を過電圧の印加から保護する保護装置が特許文献1に開示されている。この保護装置は、屋外から通信機器への通信信号の伝播経路において、通信機器の近傍に配置されるとともに、大地に電気的に接続されている。通信線に印加されている電圧の絶対値が所定電圧となった場合、保護装置は、大地を介して放電し、通信線に印加されている電圧が過電圧となることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信信号として、2つの電圧の差で表される差動信号が用いられる可能性がある。この場合、差動信号は、通信線に含まれる一対の信号線を介して伝播する。差動信号は一対の信号線に印加されている2つの電圧の差で表される。差動信号の伝播経路に配置される保護装置では、一対の信号線が基板に設けられており、一対の信号線を介して差動信号が伝播する。
【0006】
一対の信号線には、印加される電圧の絶対値を所定電圧以下に制限する制限回路が接続されている。制限回路は更に大地に接続されている。信号線の電圧の絶対値が所定電圧となった場合、制限回路及び大地を介して放電が行われ、信号線に印加されている電圧が過電圧となることを防止する。
【0007】
一枚の基板上に、差動信号が伝播する一対の信号線と制限回路とを設けた場合、迂回を要する多くの長い配線が必要であるため、面積が大きい基板が用いられる。基板の面積が大きい場合、保護装置のサイズは大きい。建物を建築する場合において、通常、保護装置の配置場所が考慮されることはない。このため、種々の場所に設置を行うことができるように、保護装置は小型であることが好ましい。
【0008】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通信機器を過電圧の印加から保護する小型の保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る保護装置は、2つの電圧の差で表される差動信号の伝播経路に配置され、前記差動信号の送信及び受信の両方又は一方を行う通信機器を、絶対値が所定電圧を超える過電圧の印加から保護する保護装置であって、前記差動信号が伝播する一対の信号線が設けられている第1基板と、前記一対の信号線に各別に接続され、前記一対の信号線それぞれに印加される電圧の絶対値を前記所定電圧以下に制限する制限回路と、前記制限回路に含まれる回路素子が配置されている第2基板と、前記第1基板に取り付けられ、前記第1基板と間隔を隔てて重なるように前記第2基板を支持する複数の支持部材とを備える。
【0010】
上記の態様にあっては、第1基板及び第2基板は間隔を隔てて重なっている。このため、信号線から制限回路の回路素子への接続は短い配線で実現され、迂回を要する長い配線の数は少ない。このため、第1基板及び第2基板の合計面積は小さく、小型の装置を実現することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る保護装置では、前記一対の信号線は平行に配置され、前記一対の信号線の長さは同じである。
【0012】
上記の態様にあっては、一対の信号線が平行に配置され、かつ、一対の信号線の長さが同じであるため、差動信号の伝播経路において、場所に応じた一対の信号線の特性インピーダンスの変動幅は小さい。このため、一対の信号線を介して差動信号が伝播している間に、差動信号が反射する回数は少なく、各反射の反射率は小さい。従って、差動信号の波形が歪みにくく、通信品質が劣化しにくい。
【0013】
本開示の一態様に係る保護装置では、前記複数の支持部材には、前記制限回路に含まれる第2の回路素子が含まれる。
【0014】
上記の態様にあっては、支持部材として、制限回路が有する第2の回路素子が用いられるため、装置の部品点数が少ない。結果、更に小型の装置を実現することができ、製造費用は安価である。
【0015】
本開示の一態様に係る保護装置は、導体を備え、前記制限回路は、前記一対の信号線それぞれにアノードが接続される2つの第1ダイオードと、前記一対の信号線それぞれにカソードが接続される2つの第2ダイオードと、前記2つの第1ダイオードのカソード、前記2つの第2ダイオードのアノード及び導体に接続され、前記一対の信号線それぞれに印加される電圧の絶対値を前記所定電圧以下に制限する制限器とを有し、前記一対の信号線の一方に印加されている電圧の絶対値が前記所定電圧となった場合、電流は、前記一対の第1ダイオード及び前記一対の第2ダイオード中の1つと、前記制限器と、導体とを介して流れ、前記複数の支持部材には、前記第1ダイオード又は第2ダイオードが含まれる。
【0016】
上記の態様にあっては、支持部材として、第1ダイオード又は第2ダイオードが用いられるため、装置の部品点数が少ない。結果、更に小型の装置を実現することができ、製造費用は安価である。
【0017】
本開示の一態様に係る保護装置では、前記複数の支持部材は、前記第1基板に取り外し可能に取り付けられている。
【0018】
上記の態様にあっては、複数の支持部材を第1基板から取り外すことによって、第2基板を第1基板から取り外すことができる。例えば、第2基板上に配置された回路素子によって制限回路が実現されている場合において、制限回路が故障しているとき、第2基板を、正常に動作する制限回路が設けられている新たな第2基板と交換することによって、装置を容易に修理することができる。
【発明の効果】
【0019】
上記の態様によれば、通信機器を過電圧の印加から保護する小型の保護装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1における保護装置の断面図である。
【
図3】
図1のA-A線における保護装置の断面図である。
【
図5】実施の形態2における保護装置の断面図である。
【
図8】実施の形態3における保護装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における保護装置1の断面図である。保護装置1は収容箱10を備える。収容箱10には複数の開口が設けられている。2つの開口それぞれに第1コネクタ11及び第2コネクタ12が配置されている。第1コネクタ11及び第2コネクタ12それぞれには、通信用の第1ケーブル21及び第2ケーブル22の一端部が着脱可能に接続される。例えば、保護装置1は屋内に配置されている。第1ケーブル21は、例えば、屋外から屋内に引き込まれたケーブルである。第2ケーブル22の他端部は、屋内に配置された通信機器に接続される。第1ケーブル21及び第2ケーブル22は、例えばLAN(Local Area Network)用のケーブルである。
【0022】
第1ケーブル21及び第2ケーブル22それぞれには、複数の通信線が含まれている。各通信線には、導電性を有する一対の信号線が含まれている。各通信線に含まれる一対の信号線を介して差動信号が伝播する。差動信号では、1クロック(一定期間)ごとに複数の値中の1つが示される。差動信号が示す複数の値それぞれは、一対の信号線に印加されている2つの電圧の差で表される。
【0023】
通信機器は、例えば、LANの通信規格に従って差動信号の送受信を行う。この場合、通信規格は例えば1000BASE-TXである。通信規格が1000BASE-TXである場合、第1ケーブル21及び第2ケーブル22それぞれに含まれている通信線の数は4本である。また、1クロック中に示される値の数は4であり、1クロック中に2ビットのデータが送信される。1クロックの期間の長さの逆数で表される通信周波数は250MHzである。このため、通信速度は500Mbpsである。
【0024】
第2ケーブル22の長さは短く、保護装置1は通信機器の近傍に配置されている。通信機器は、保護装置1を介して差動信号を送信するとともに、保護装置1を介して伝播した差動信号を受信する。保護装置1は差動信号の伝播経路に配置されている。通信規格が1000BASE-TXである場合、通信機器は、2つの通信線を介して2つの差動信号を送信し、残りの2つの通信線を介して2つの差動信号を受信する。通信機器は、1つの通信線、即ち、一対の信号を介して差動信号の送信又は受信を行う。
なお、通信機器は、1つの通信線、即ち、一対の信号線を介して差動信号の送受信を行ってもよい。
【0025】
保護装置1では、板状のグランド導体13が設けられている。グランド導体13の大部分は収容箱10内に配置されている。グランド導体13の一部分は、収容箱10に設けられた開口を通じて収容箱10の外側に露出している。収容箱10の外側において、グランド導体13はネジ14によって図示しない導電部材に固定されている。グランド導体13は、導電部材を介して大地に電気的に接続される。
【0026】
以下では、第1ケーブル21が屋外から屋内に引き込まれている例を説明する。第1ケーブル21の周辺で落雷が発生した場合、第1ケーブル21内の通信線において、絶対値が所定電圧を超える過電圧、所謂サージ電圧が一時的に発生する可能性がある。過電圧が発生した場合、第2ケーブル22を介して通信機器に電圧が印加される。所定電圧は一定の電圧である。所定電圧は、差動信号を送信するために信号線に印加される信号電圧よりも十分に大きい。過電圧、所定電圧及び信号電圧は、基準電位がグランド導体13、即ち、大地の電位である電圧である。
【0027】
保護装置1は、第2ケーブル22内に含まれている信号線に印加されている電圧の絶対値が所定電圧となった場合、グランド導体13を介して放電し、信号線の電圧が、所定電圧を超える過電圧となることを防止する。結果、保護装置1は、通信機器を過電圧の印加から保護する。通信機器がLANの通信規格に従った通信を行う機器である場合、保護装置1は、LAN用の通信機器を過電圧の印加から保護する。
【0028】
図2は保護装置1の回路図である。
図2では、4つの差動信号が伝播する保護装置1の例が示されている。以下では、1~4中の任意の整数をkと表す。従って、kは、1~4のいずれの整数であってもよい。保護装置1は、第1コネクタ11、第2コネクタ12、グランド導体13及びネジ14に加えて、8本の信号線W1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4a,W4bと、シールド導線W5とを有する。信号線Wka,Wkbは組を構成し、一対の信号線Wka,Wkbは1つの通信線に含まれている。第1コネクタ11及び第2コネクタ12それぞれが第1ケーブル21及び第2ケーブル22に接続された場合、一対の信号線Wka,Wkbそれぞれは、第1ケーブル21及び第2ケーブル22内の一対の信号線に電気的に接続される。一対の信号線Wka,Wkbを介して差動信号が伝播する。
【0029】
なお、保護装置1内を伝播する差動信号の数は、4に限定されず、1、2、3又は5以上であってもよい。保護装置1が有する信号線の数は、差動信号の数に応じて異なる。また、後述する第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれの数も差動信号の数に応じて異なる。保護装置1内を伝播する差動信号の数をNで表した場合、信号線の数は、(2・N)個であり、通信線、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれの数はN個である。「・」は積を表す。差動信号の数がNである場合、kは1~N中の任意の整数である。
以下では、引き続き、保護装置1内を伝播する差動信号の数、即ち、Nが4である例を説明する。
【0030】
第1ケーブル21及び第2ケーブル22内において、4つの通信線は筒状のシールド導体内を通っている。第1コネクタ11及び第2コネクタ12それぞれが第1ケーブル21及び第2ケーブル22に接続された場合、シールド導線W5は第1ケーブル21及び第2ケーブル22のシールド導体に電気的に接続される。
【0031】
保護装置1は、更に制限回路15を有する。制限回路15は、8個の第1ダイオードDc、8個の第2ダイオードDd、第1放電器31及び第2放電器32を有する。第1放電器31及び第2放電器32それぞれは、所謂アレスタであり、2つの放電電極とグランド電極とを有する。一対の信号線Wka,Wkbそれぞれは、第1ダイオードDcのアノードと、第2ダイオードDdのカソードとに接続されている。8個の第1ダイオードDcのカソードは、第1放電器31の一方の放電電極に接続されている。8個の第2ダイオードDdのアノードは、第1放電器31の他方の放電電極に接続されている。
なお、
図2においては、信号線W2a,W2b,W3a,W3bに接続される4個の第1ダイオードDc及び4個の第2ダイオードDdの記載を省略している。
【0032】
シールド導線W5は第2放電器32の一方の放電電極に接続されている。第2放電器32の他方の放電電極は開放されている。第1放電器31及び第2放電器32のグランド電極はグランド導体13に接続されている。前述したように、グランド導体13は大地に接続される。
【0033】
制限回路15は、一対の信号線Wka,Wkbそれぞれに印加される電圧の絶対値を所定電圧以下に制限する。具体的には、基準電位がグランド導体13の電位である信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧となった場合、第1放電器31では、2つの放電電極の一方とグランド電極との間で放電が発生する。信号線Wkaの電圧が正の電圧である場合、電流は、第1ダイオードDc、第1放電器31、グランド導体13及び大地の順に流れる。信号線Wkaの電圧が負の電圧である場合、電流は、大地、グランド導体13、第1放電器31及び第2ダイオードDdの順に流れる。これにより、信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧を超えることはない。
信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧未満である場合、信号線Wkaに接続されている第1ダイオードDc又は第2ダイオードDdを介して電流が流れることはない。
【0034】
信号線Wkbの電圧は信号線Wkaの電圧と同様に制限され、信号線Wkbの電圧も過電圧となることはない。結果、一対の信号線Wka,Wkbと第2ケーブル22の一対の信号線とを介して通信機器に過電圧が印加されず、保護装置1は通信機器を過電圧の印加から保護する。
【0035】
複数の第1ダイオードDc及び複数の第2ダイオードDdを用いているので、複数の信号線を過電圧の印加から保護するために必要な第1放電器31の数は1つである。第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdが用いられない場合、複数対の信号線を過電圧から保護するために、複数の第1放電器31が必要となる。
第1放電器31は、一対の信号線Wka,Wkbそれぞれに印加される電圧の絶対値を所定電圧以下に制限する制限器として機能する。
【0036】
第2放電器32は、シールド導線W5、即ち、第2ケーブル22のシールド導体を過電圧の印加から保護する。具体的には、基準電位がグランド導体13の電位であるシールド導線W5の電圧の絶対値が所定電圧となった場合、第2放電器32では、一方の放電電極とグランド電極との間で放電が発生する。シールド導線W5の電圧が正の電圧である場合、電流は、第2放電器32、グランド導体13及び大地の順に流れる。シールド導線W5の電圧が負の電圧である場合、電流は、大地、グランド導体13及び第2放電器32の順に流れる。これにより、シールド導線W5、即ち、シールド導体の電圧が過電圧となることはない。シールド導線W5の電圧の絶対値が所定電圧未満である場合、第2放電器32を介して電流が流れることはない。
【0037】
以下では、保護装置1の構成部の配置について説明する。
図3は、
図1のA-A線における保護装置1の断面図である。
図1及び
図3に示すように、保護装置1の収容箱10内に矩形板状の第1基板16が収容されている。第1基板16の表側板面において、互いに対向している2辺部それぞれの中央に第1コネクタ11及び第2コネクタ12が配置されている。第1基板16は、例えばプリント基板である。
【0038】
図4は第1基板16の平面図である。
図3及び
図4に示すように、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれは柱状をなす。
図3及び
図4の例では、円柱状の第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdが示されている。第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれについて、一方の端部にカソードが設けられており、他方の端部にアノードが設けられている。第1ダイオードDcは、アノード側の端面が第1基板16の表側板面に接触するように、第1基板16の表側板面に取り付けられている。第2ダイオードDdは、カソード側の端面が第1基板16の表側板面に接触するように、第1基板16の表側板面に取り付けられている。第1基板16の裏側板面には回路素子は配置されていない。
【0039】
図4に示すように、8個の第1ダイオードDcは、第1基板16の短手方向に沿って並べられている。8個の第2ダイオードDdは、第1基板16の短手方向に沿って並べられている。8個の第1ダイオードDcそれぞれは、8個の第2ダイオードDdと対向している。第1ダイオードDcは、第2ダイオードDdの第1コネクタ11側に配置されている。
【0040】
図3に示すように、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdの長さは実質的に一致している。
図1及び
図3に示すように、8個の第1ダイオードDcのカソード側の端面と、8個の第2ダイオードDdのアノード側の端面とに矩形板状の第2基板17が配置されている。第2基板17も収容箱10に収容されている。第2基板17の裏側板面は第1基板16の表側板面に対向しており、第1基板16及び第2基板17は間隔を隔てて重なっている。第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれは、第1基板16と間隔を隔てて重なるように第2基板17を支持しており、支持部材として機能するとともに第2の回路素子としても機能する。第2基板17は例えばプリント基板である。
グランド導体13は、導線によって第1基板16に設けられた配線に接続している。なお、グランド導体13の接続先は、第1基板16の配線に限定されず、例えば、第2基板17に設けられた配線であってもよい。
【0041】
図4に示すように、8本の信号線W1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4a,W4bと、シールド導線W5とが第1基板16の内部に設けられている。一対の信号線Wka,Wkbは、第1コネクタ11及び第2コネクタ12間に配置されている。シールド導線W5も第1コネクタ11及び第2コネクタ12間に配置されている。
【0042】
一対の信号線Wka,Wkbは平行に配置されている。信号線Wkaの長さは信号線Wkbの長さと同じである。信号線Wkaの幅は信号線Wkbの幅と同じである。このため、一対の信号線Wka,Wkbを介して伝播する差動信号の伝播経路において、場所に応じた一対の信号線の特性インピーダンスの変動幅は小さい。このため、一対の信号線Wka,Wkbを介して差動信号が伝播している間に、差動信号が反射する回数は少なく、各反射の反射率は小さい。従って、差動信号の波形は歪みにくく、通信品質が劣化しにくい。一対の信号線Wka,Wkbは平行に配置されており、かつ、信号線Wkaの長さは信号線Wkbの長さと同じであるため、保護装置1の挿入損失は小さく、1つの差動信号から他の差動信号へのクロストークも小さい。
【0043】
なお、一対の信号線Wka,Wkbに関する「平行」は、厳密な平行のみを意味しない。一対の信号線Wka,Wkbが平行である状態には、一対の信号線Wka,Wkbがなす角度が保護装置1の仕様の許容範囲に収まっている状態も含まれる。同様に、一対の信号線Wka,Wkbの長さ及び幅に関して、「同じ」は厳密な同一のみを意味しない。長さが同じである状態には、一対の信号線Wka,Wkbの長さの差が保護装置1の仕様の許容範囲に収まっている状態も含まれる。幅が同じである状態には、一対の信号線Wka,Wkbの幅の差が保護装置1の仕様の許容範囲に収まっている状態が含まれる。
【0044】
第1基板16及び第2基板17それぞれについて、表側板面、内部及び裏側板面の少なくとも1つに配線が設けられている。また、第1基板16及び第2基板17それぞれでは、電子部品用スルーホール又はビアと呼ばれる種々の穴が設けられている。電子部品用スルーホールは、第1ダイオードDc、第2ダイオードDd、第1放電器31又は第2放電器32等の電子部品を挿入するための穴である。ビアは、表側板面の配線を裏側板面の配線に接続するため、又は、基板の表側板面若しくは裏側板面の配線を、基板の内部に存在する配線若しくは信号線に接続するために用いられる穴である。配線及び穴を用いて、
図2に示す保護装置1の回路が実現されている。
【0045】
図1及び
図3に示すように、第2基板17の裏側板面に8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdが配置され、第2基板17の表側板面に第1放電器31及び第2放電器32が配置されている。従って、第2基板17上に配置された回路素子によって制限回路15が実現されている。
【0046】
保護装置1では、第1基板16及び第2基板17は間隔を隔てて重なっている。このため、一対の信号線Wka,Wkbから制限回路15への接続は短い配線で実現され、迂回を要する長い配線の数は少ない。このため、第1基板16及び第2基板17の合計面積は小さく、収容箱10として小さい箱を用いることができる。結果、小型の装置が実現される。また、制限回路15を第2基板17上に配置された回路素子で実現されているので、第1基板16上において、一対の信号線Wka,Wkbが平行であり、かつ、一対の信号線Wka,Wkbの長さ及び幅が一致している構成を容易に実現することができる。
【0047】
一対の信号線Wka,Wkbを介して伝播する差動信号を構成する周波数成分の範囲が狭い場合、例えば、0Hzから数百kHzまでの範囲に属する周波数成分によって差動信号が構成されている場合、許容される特性インピーダンスの変動幅は大きい。一対の信号線Wka,Wkbが平行ではない場合、一対の信号線Wka,Wkbの長さが一致していない場合、又は、一対の信号線Wka,Wkbの幅が一致していない場合であっても、通信品質の劣化は小さい。
【0048】
一対の信号線Wka,Wkbを介して伝播する差動信号を構成する周波数成分の範囲が広い場合、例えば、周波数成分の範囲の上限値がMHzオーダの数値である場合、許容される特性インピーダンスの変動幅は小さい。この場合においては、一対の信号線Wka,Wkbが平行であり、かつ、一対の信号線Wka,Wkbの長さ及び幅が一致していることが要求される。従って、第1基板16及び第2基板17を、間隔を隔てて重ねる構成は、差動信号を構成する周波数成分の範囲の最大値が高い程、有効である。
【0049】
また、第2基板17を支持する支持部材として、制限回路15が有する8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdが用いられている。このため、保護装置1の部品点数が少ない。結果、更に小型の装置を実現することができ、保護装置1の製造費用が安価である。
なお、第1放電器31及び第2放電器32それぞれが配置される場所は、第2基板17の表側板面に限定されず、第2基板17の裏側板面であってもよい。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdが第1基板16に固定されている場合において、制限回路15が故障したとき、修理を行うことができず、装置全体を取り換えなければならない。実施の形態2では、制限回路15を容易に交換することが可能な構成を示す。
【0051】
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施の形態1と共通している。このため、実施の形態1と共通する構成部には、実施の形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。実施の形態2においても、保護装置1内を伝播する差動信号の数、即ち、Nが4である例を説明する。
【0052】
図5は実施の形態2における保護装置1aの断面図である。保護装置1aは、実施の形態1における保護装置1が備える構成部を同様に備える。保護装置1aは、更に、16個の取り付け部材18(
図7参照)を備える。16個の取り付け部材18は、第1基板16の表側板面に固定されている。8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdそれぞれは、取り外し可能に、16個の取り付け部材18に取り付けられている。8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdを、16個の取り付け部材18から取り外すことによって、第2基板17を交換することができる。実施の形態1の説明で述べたように、第2基板17上に配置された回路素子によって制限回路15が実現されている。
【0053】
図6及び
図7は第2基板17の交換の説明図である。
図6には、第1基板16から第2基板17が取り外された状態が示されている。
図7には、16個の取り付け部材18が配置された第1基板16が示されている。
図6に示すように、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれは、柱状の本体部41を有する。本体部41の一方の端面の中央部から、棒状の電極42が本体部41の軸方向に沿って突出している。電極42の断面積は本体部41の断面積よりも小さい。
【0054】
第1ダイオードDcについて、電極42はアノードであり、本体部41の他方の端面はカソード側の端面である。第2ダイオードDdについて、電極42はカソードであり、本体部41の他方の端面はアノード側の端面である。実施の形態1と同様に、第1ダイオードDcについて、本体部41のカソード側の端面は第2基板17の裏側板面に配置されている。第2ダイオードDdについても、本体部41のアノード側の端面は第2基板17の裏側板面に配置されている。
【0055】
図6及び
図7に示すように、取り付け部材18は柱状をなし、取り付け部材18の一方の端面は第1基板16の表側板面に対向している。取り付け部材18の他方の端面の中央部には、取り付け部材18の内側に凹んだ挿入穴18hが設けられている。挿入穴18hの面積は、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれの電極の断面積よりも若干大きく、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれの電極42は、挿入穴18hに挿入される。
【0056】
16個の取り付け部材18それぞれは、第1基板16の表側板面において、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdに対応する位置に配置されている。配線、ビア又はスルーホール等によって、信号線Wka,Wkbそれぞれに取り付け部材18は接続されている。
【0057】
8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdを16個の取り付け部材18に挿入することによって、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdは第1基板16に取り付けられる。これにより、制限回路15が8個の信号線W1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4a,W4bに接続され、保護装置1aの回路が実現される。このとき、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdは、第1基板16と間隔を隔てて重なるように第2基板17を支持する。8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdを16個の取り付け部材18から抜くことによって、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdは第1基板16から取り外される。このように、支持部材として機能する第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdそれぞれは、第1基板16に取り外し可能に取り付けられている。
【0058】
第2基板17を交換する場合、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdを16個の取り付け部材18から取り外すことによって、第2基板17を第1基板16から取り外す。その後、新たな第2基板17に設けられた8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdを16個の取り付け部材18に取り付ける。これにより、第2基板17の交換が完了する。
【0059】
第1放電器31及び第2放電器32それぞれについて、放電の回数が増えるにつれて電気的な特性が低下し、故障が発生する可能性がある。第1放電器31又は第2放電器32が故障した場合、第2基板17を交換することによって、保護装置1aを容易に修理することができる。実施の形態2における保護装置1aは、実施の形態1における保護装置1が奏する効果を同様に奏する。
なお、実施の形態1,2において、一対の信号線Wka,Wkbが設けられる場所は第1基板16の内部に限定されず、第1基板16の表側板面又は裏側板面であってもよい。
【0060】
(実施の形態3)
実施の形態1において、第1放電器31及び第2放電器32それぞれは、3つの電極を有する放電器である。しかしながら、3つの電極を有する放電器の代わりに、電極の数が2である放電器を用いてもよい。
【0061】
以下では、実施の形態3について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施の形態1と共通している。このため、実施の形態1と共通する構成部には、実施の形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。実施の形態3においても、保護装置1内を伝播する差動信号の数、即ち、Nが4である例を説明する。
【0062】
図8は、実施の形態3における保護装置1bの回路図である。実施の形態3における保護装置1bは、実施の形態1における保護装置1が備える構成部の中で制限回路15以外の構成部を同様に備える。保護装置1bは、制限回路15の代わりに、制限回路15bを備える。実施の形態3における制限回路15bは、実施の形態1における制限回路15が有する構成部の中で、第1放電器31及び第2放電器32以外の構成部を同様に有する。制限回路15bは、第1放電器31の代わりに、第1バリスタ51及び第2バリスタ52を有し、第2放電器32の代わりに、第3バリスタ53を有する。
【0063】
第1バリスタ51、第2バリスタ52及び第3バリスタ53それぞれについて、2つの電極間の電圧が一定電圧となった場合、2つの電極を介して電流が流れ、2つの電極間の電圧は一定電圧に維持される。2つの電極間の電圧が一定電圧未満である場合、2つの電極を介して電流が流れることはない。
【0064】
第1バリスタ51の一方の電極は、8個の第1ダイオードDcのカソードに接続されている。第2バリスタ52の一方の電極は、8個の第2ダイオードDdのアノードに接続されている。第3バリスタ53の一方の電極は、シールド導線W5に接続されている。第1バリスタ51、第2バリスタ52及び第3バリスタ53の他方の電極はグランド導体13に接続されている。第1バリスタ51、第2バリスタ52及び第3バリスタ53は、第2基板17の表側板面に配置されている。
【0065】
制限回路15bも、一対の信号線Wka,Wkbそれぞれに印加される電圧の絶対値を所定電圧以下に制限する。具体的には、基準電位がグランド導体13の電位である信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧となった場合において、信号線Wkaの電圧が正の電圧であるとき、第1バリスタ51の2つの電極間の電圧が一定電圧となる。結果、電流が第1ダイオードDc、第1バリスタ51、グランド導体13及び大地の順に流れる。
【0066】
同様の場合において、信号線Wkaの電圧が負の電圧であるとき、第2バリスタ52の2つの電極間の電圧が一定電圧となる。結果、電流は、大地、グランド導体13、第2バリスタ52及び第2ダイオードDdの順に流れる。これにより、信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧を超えることはない。
信号線Wkaの電圧の絶対値が所定電圧未満である場合、信号線Wkaに接続されている第1ダイオードDc又は第2ダイオードDdを介して電流が流れることはない。
【0067】
信号線Wkbの電圧は信号線Wkaの電圧と同様に制限され、信号線Wkbの電圧も過電圧となることはない。従って、第1バリスタ51及び第2バリスタ52は、全体として実施の形態1における第1放電器31と同様に作用し、制限器として機能する。
【0068】
第3バリスタ53は、シールド導線W5、即ち、第2ケーブル22のシールド導体を過電圧の印加から保護する。具体的には、基準電位がグランド導体13の電位であるシールド導線W5の電圧の絶対値が所定電圧となった場合、第3バリスタ53の2つの電極間の電圧が一定電圧となり、第3バリスタ53を介して電流が流れる。シールド導線W5の電圧が正の電圧である場合、電流は、第3バリスタ53、グランド導体13及び大地の順に流れる。シールド導線W5の電圧が負の電圧である場合、電流は、大地、グランド導体13及び第3バリスタ53の順に流れる。これにより、シールド導線W5、即ち、シールド導体の電圧が過電圧となることはない。シールド導線W5の電圧の絶対値が所定電圧未満である場合、第3バリスタ53を介して電流が流れることはない。第3バリスタ53は、実施の形態1における第2放電器32と同様に作用する。
【0069】
実施の形態3における保護装置1bは実施の形態1における保護装置1が奏する効果を同様に奏する。
なお、実施の形態1,2において、第1放電器31の代わりに、第1バリスタ51及び第2バリスタ52を用いてもよい。更に、第2放電器32の代わりに、第3バリスタ53が用いられてもよい。
【0070】
また、第1バリスタ51の代わりに、ツェナーダイオード又はサプレッサを用いてもよい。ツェナーダイオードを用いる場合、ツェナーダイオードのカソードは、8個の第1ダイオードDcのカソードに接続され、ツェナーダイオードのアノードはグランド導体13に接続される。ツェナーダイオード及びサプレッサそれぞれは第1バリスタ51と同様に作用する。
【0071】
同様に、第2バリスタ52の代わりに、ツェナーダイオード又はサプレッサを用いてもよい。ツェナーダイオードを用いる場合、ツェナーダイオードのアノードは、8個の第2ダイオードDdのアノードに接続され、ツェナーダイオードのカソードはグランド導体13に接続される。ツェナーダイオード及びサプレッサそれぞれは第2バリスタ52と同様に作用する。
【0072】
更に、第3バリスタ53の代わりに、2つのツェナーダイオードの直列回路又はサプレッサを用いてもよい。直列回路では、2つのツェナーダイオードのカソードが相互に接続されるか、又は、2つのツェナーダイオードのアノードが相互に接続される。直列回路及びサプレッサそれぞれは、第3バリスタ53と同様に作用する。
【0073】
実施の形態1~3において、8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdの全てで第2基板17を支持しなくてもよい。8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdの一部分が第2基板17を支持してもよい。8個の第1ダイオードDc及び8個の第2ダイオードDdの一部分は、8個の第1ダイオードDcのみ、8個の第2ダイオードDdのみ、又は、一部の第1ダイオードDc及び一部の第2ダイオードDd等である。この場合においても、第2基板17に配置された回路素子によって第2基板17が支持されるので、装置の部品点数は少ない。制限回路15の交換を容易に実現するため、残りのダイオードは、第2基板17に設けられることが好ましい。
【0074】
また、第2基板17を支持する部材は、第1ダイオードDc又は第2ダイオードDdに限定されない。他の回路素子が第2基板17を支持してもよいし、回路素子とは異なる部材が第2基板17を支持してもよい。この場合においても、制限回路15の交換を容易に実現するため、残りのダイオードは、第2基板17に設けられることが好ましい。また、制限回路15の構成は、第1ダイオードDc及び第2ダイオードDdを用いる構成に限定されない。例えば、一対の信号線Wka,Wkbそれぞれに、放電器の一端が接続され、放電器の他端がグランド導体13に接続されてもよい。放電器は、アレスタ、バリスタ、サプレッサ又は2つのツェナーダイオードの直列回路等である。この場合、放電器が第2基板17を支持してもよい。
【0075】
実施の形態1~3で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
開示された実施の形態1~3はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1,1a,1b 保護装置、13 グランド導体、15,15b 制限回路、16 第1基板、17 第2基板、31 第1放電器(制限器)、51 第1バリスタ(制限器の一部)、52 第2バリスタ(制限器の一部)、Dc 第1ダイオード(支持部材、第2の回路素子)、Dd 第2ダイオード(支持部材、第2の回路素子)、W1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4a,W4b 信号線