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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240215BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240215BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240215BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020151324
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045632
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】栗田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 孝信
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 政幸
(72)【発明者】
【氏名】相沢 吉昭
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-212729(JP,A)
【文献】特開2007-123650(JP,A)
【文献】特開2007-067057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00
H01L 25/065
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜中に設けられた第1コイルと、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の一部に接した第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜中に、前記第1コイルと磁気結合するように設けられた第2コイルと、
前記第1コイルに電気的に接続された第1接続導体と、
前記第2コイルに電気的に接続された第2接続導体と、
を備え、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気結合される領域において、相互に直接接合され
前記第1接続導体は、前記第1絶縁膜の前記第2絶縁膜に接する表面側において、前記第1コイルにつながり前記第1絶縁膜の表面に露出した第1端子に接続され、
前記第2接続導体は、前記第1絶縁膜の前記表面側において前記第2絶縁膜と接しない前記第1絶縁膜の表面に露出して位置し前記第2コイルにつながった第2端子に接続される電子デバイス。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜中に設けられた第1コイルと、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の一部に接した第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜中に、前記第1コイルと磁気結合するように設けられた第2コイルと、
前記第1コイルに電気的に接続された第1接続導体と、
前記第2コイルに電気的に接続された第2接続導体と、
を備え、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気結合される領域において、相互に直接接合され
前記第1接続導体は、前記第1絶縁膜の前記第2絶縁膜に接する表面側において、前記第1コイルにつながった第1端子に接続され、
前記第2接続導体は、前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜に接する表面側において、前記第2コイルにつながった第2端子に接続される電子デバイス。
【請求項3】
前記第2絶縁膜上に設けられた第2基板をさらに備え、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と前記第2基板との間に位置する部分を含む請求項1または2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を封じた樹脂部材と、
前記第1接続導体に電気的に接続された第1外部端子と、
前記第2接続導体に電気的に接続された第2外部端子と、
をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を封じた樹脂部材と、
前記第1接続導体に電気的に接続された第1外部端子と、
前記第2接続導体に電気的に接続された第2外部端子と、
をさらに備え
前記樹脂部材は、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に設けられ、
前記第1接続導体および前記第2接続導体は、前記樹脂部材中に延在し、
前記第1接続導体は、前記第1端子と前記第1外部端子とを電気的に接続し、
前記第2接続導体は、前記第2端子と前記第2外部端子とを電気的に接続する請求項記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記樹脂部材は、前記第1基板から前記第2絶縁膜に向かう方向と交差する表面を有し、
前記第1外部端子および前記第2外部端子は、前記樹脂部材の前記表面上に設けられ、
前記第1接続導体および前記第2接続導体は、前記樹脂部材中に延在し、
前記第1接続導体は、前記第1端子と前記第1外部端子とを電気的に接続し、
前記第2接続導体は、前記第2端子と前記第2外部端子とを電気的に接続する請求項記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第1外部端子および前記第2外部端子を含む第3基板をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記第3基板上に設けられ、
前記第1接続導体および前記第2接続導体は、前記樹脂部材中に延在し、
前記第1接続導体は、前記第1端子と前記第1外部端子とを電気的に接続し、
前記第2接続導体は、前記第2端子と前記第2外部端子とを電気的に接続する請求項記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第2絶縁膜を覆う第1樹脂部材をさらに備え、
前記第1樹脂部材は、前記第1絶縁膜上において、前記第2絶縁膜、前記第1および第2接続導体を覆い、
前記第1接続導体および前記第2接続導体は、前記第1樹脂部材から露出された端面を有する請求項1または2に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記第1基板を覆う第2樹脂部材をさらに備え、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材との間に位置し、
前記第1基板は、第1部分と、前記第1部分から離間した第2部分と、を含み、
前記第1絶縁膜は、前記第1基板の第1部分と前記第1接続導体との間に位置する部分と、前記第1基板の第2部分と前記第2接続導体との間に位置する別の部分と、を含み、
前記第2樹脂部材は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する部分を含み、
前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気結合される領域は、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材の前記部分との間に設けられる請求項記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
低コストで製造可能な電子デバイスが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9431379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、低コストで製造可能な電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電子デバイスは、第1基板と、前記第1基板上に設けられた第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜中に設けられた第1コイルと、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の一部に接した第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜中に、前記第1コイルと磁気結合するように設けられた第2コイルと、前記第1コイルに電気的に接続された第1接続導体と、前記第2コイルに電気的に接続された第2接続導体と、を備える。前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記第1コイルと前記第2コイルとが磁気結合される領域において、相互に接する。前記第1接続導体は、前記第1絶縁膜の前記第2絶縁膜に接する表面側において、前記第1コイルにつながった端子に接続される。前記第2接続導体は、前記第1絶縁膜の前記表面側、もしくは、前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜に接する表面側において、前記第2コイルにつながった端子に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図2】第1実施形態に係る電子デバイスを示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図4】第1実施形態に係る電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6】第1実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す模式断面図である。
図7】第1実施形態に係る電子デバイスの別の製造過程を示す模式断面図である。
図8】第1実施形態の変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図9】第1実施形態の別の変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図10】第1実施形態に係る電子デバイスの別の製造過程を示す模式断面図である。
図11】第2実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図12】第2実施形態に係る電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。
図13】第2実施形態の第1変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図14】第2実施形態の第2変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図15】第2実施形態の第3変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図16】第2実施形態の第4変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図17】第3実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図18】第3実施形態に係る電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。
図19図18に続く製造過程を示す模式断面図である。
図20】第3実施形態の変形例に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図21】第4実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。
図22】第4実施形態に係る電子デバイスを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子デバイス1を示す模式断面図である。電子デバイス1は、例えば、磁気カップラである。電子デバイス1は、例えば、第1インダクタチップCi1と、第2インダクタチップCi2と、を備える。
【0010】
第1インダクタチップCi1は、第1基板10と、第1絶縁膜13と、第1コイル15と、を含む。第1基板10は、例えば、シリコン基板である。第1絶縁膜13は、第1基板10上に設けられる。第1絶縁膜13は、例えば、シリコン酸化膜である。第1コイル15は、第1絶縁膜13中に設けられる。第1コイル15は、例えば、平面コイルである。第1コイル15は、例えば、銅を含む。
【0011】
第2インダクタチップCi2は、第2基板20と、第2絶縁膜23と、第2コイル25と、を含む。第2基板20は、例えば、シリコン基板である。第2絶縁膜23は、第2基板20上に設けられる。第2絶縁膜23は、例えば、シリコン酸化膜である。第2コイル25は、第2絶縁膜23中に設けられる。第2コイル25は、例えば、平面コイルである。第2コイル25は、例えば、銅を含む。
【0012】
第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とを磁気結合させるように接合される。例えば、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合される部分において、相互に接する。
【0013】
第1絶縁膜13は、その裏面側において、第1基板10に接し、表面側において、第2絶縁膜23に接する。第2絶縁膜23は、その裏面側において、第2基板20に接し、表面側において、第1絶縁膜13に接する。
【0014】
電子デバイス1は、第1接続導体30と、第2接続導体40と、第1外部端子50と、第2外部端子60と、樹脂部材70と、をさらに備える。
【0015】
第1接続導体30は、第1コイル15および第1外部端子50に電気的に接続される。第2接続導体40は、第2コイル25および第2外部端子60に電気的に接続される。
【0016】
図1に示すように、第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2は、樹脂部材70により、第1外部端子50と第2外部端子60との間に封じられる。第1外部端子50および第2外部端子60は、例えば、銅を含む金属板である。樹脂部材70は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0017】
第1インダクタチップCi1は、第2外部端子60と第2インダクタチップCi2との間に位置する。第2インダクタチップCi2は、第1外部端子50と第1インダクタチップCi1との間に位置する。
【0018】
第1インダクタチップCi1は、第1接続端子17をさらに有する。第1接続端子17は、第1絶縁膜13の第2絶縁膜23に接しない部分の表面側に設けられる。第1コイル15は、第1絶縁膜13中に設けられた接続部材を介して第1接続端子17に電気的に接続される。第1接続導体30は、樹脂部材70中に延在し、第1接続端子17に電気的に接続される。第1接続導体30は、例えば、銅を含むコンタクトプラグである。
【0019】
第2インダクタチップCi2は、第2接続端子27をさらに有する。第2接続端子27は、第2絶縁膜23の第1絶縁膜13に接しない部分の表面側に設けられる。第2コイル25は、第2絶縁膜23中に設けられた接続部材を介して第2接続端子27に電気的に接続される。第2接続導体40は、樹脂部材70中に延在し、第2接続端子17に電気的に接続される。第2接続導体40は、例えば、銅を含むコンタクトプラグである。
【0020】
図2(a)および(b)は、第1実施形態に係る電子デバイス1を示す模式図である。図2(a)は、第1コイル15を表す平面図である。図2(a)は、図2(b)中に示すA-A線に沿った断面を表している。図2(b)は、第1インダクタチップCi1を示す断面図である。
【0021】
図2(a)に示すように、第1コイル15は、例えば、渦巻状の平面コイルである。第1コイル15は、コイル部15m、接続線路15a、15b、接続パッド15cおよび15dを有する。接続線路15aおよび15bは、コイル部15mの2つの端にそれぞれ接続される。接続パッド15cは、接続線路15aを介してコイル部15mに電気的に接続される。接続パッド15dは、接続線路15bを介してコイル部15mに電気的に接続される。コイル部15m、接続線路15aおよび接続パッド15cは、例えば、第1絶縁膜13中のZ方向における同じレベルに設けられ、接続線路15bおよび接続パッド15dは、それよりも下のレベルに設けられる。
【0022】
コイル部15mの形状は、円形に限定される訳ではなく、例えば、多角形であっても良い。また、コイル部15mは、平面コイルに限定されず、多段コイルであっても良い。
【0023】
図2(b)に示すように、第1接続端子17aは、第1絶縁膜13の表面側に露出される。第1接続端子17aは、例えば、コンタクトプラグ19aを介して、第1コイル15に電気的に接続される。コンタクトプラグ19aは、例えば、接続パッド15cに接続される。
【0024】
第1インダクタチップCi1は、例えば、第1コイル15に電気的に接続された2つの第1接続端子17aおよび17b(図示しない)を有する。図2(b)に示すように、第1接続端子17aは、例えば、コンタクトプラグ19aを介して、第1コイル15の接続パッド15cに電気的に接続される。第1接続端子17b(図示しない)は、別のコンタクトプラグ19b(図示しない)を介して、第1コイル15の接続パッド15dに電気的に接続される。なお、コンタクトプラグ19aおよび19bは、例えば、下方に設けられた図示しない回路にさらに接続されても良い。
【0025】
第2インダクタチップCi2は、図2(a)および(b)に示す第1インダクタチップCi1と同じ構成を有する。第2コイル25のコイル径は、第1コイル15のコイル径D1と同じであっても良いし、異なっても良い。実装時のバラツキの観点から、いずれか一方のコイル径が他方より大きいことが好ましい。
【0026】
図3(a)および(b)は、第1実施形態に係る電子デバイス1を示す模式断面図である。図3(a)および(b)は、電子デバイス1の実装形態を例示する模式断面図である。
【0027】
図3(a)は、図3(b)中に示すB-B線に沿った断面図である。なお、図3(a)では、第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2の図示を省略している。
【0028】
図3(a)に示すように、電子デバイス1は、回路基板80上に横向きに実装される。第2外部端子60から第1外部端子50に向かう方向は、例えば、回路基板80の上面に平行である。第1外部端子50は、接続部材91、例えば、はんだ材を介して、マウントパッド81に接続される。第2外部端子60は、接続部材95、例えば、はんだ材を介して、マウントパッド85に接続される。
【0029】
図3(b)に示すように、電子デバイス1は、回路基板80上に設けられたマウントパッド81、83、85および87の上に、はんだ材等の接続部材91、93、95、97を介してマウントされる。電子デバイス1は、例えば、第1外部端子50a、第1外部端子50b、第2外部端子60aおよび第2外部端子60bを有する。なお、本明細書では、便宜上、第1外部端子50aおよび50bの一方を、第1外部端子50として説明するが、第1コイル15および第2コイル25は、それぞれ、1対の外部端子に接続される。第1コイル15および第2コイル25に係る他の構成要素についても同様である。
【0030】
第1外部端子50aは、第1接続導体30(図1参照)を介して、第1インダクタチップCi1の第1接続端子17a(図2(b)参照)に電気的に接続される。また、第1外部端子50aは、接続部材91およびマウントパッド81を介して、配線81iに電気的に接続される。
【0031】
第1外部端子50bは、図示しない第1接続導体を介して、第1インダクタチップCi1の第1接続端子17b(図示しない)に電気的に接続される。また、第1外部端子50bは、接続部材93およびマウントパッド83を介して、配線83iに電気的に接続される。
【0032】
第1インダクタチップCi1の第1コイル15は、第1外部端子50aおよび50bを介して、配線81iおよび配線83iに電気的に接続される。また、第1コイル15は、配線81iおよび配線83iを介して、図示しない1次側回路に電気的に接続される。
【0033】
第2外部端子60aは、第2接続導体40(図1参照)を介して、第2インダクタチップCi2の第2接続端子27a(図1参照)に電気的に接続される。また、第2外部端子60aは、接続部材95およびマウントパッド85を介して、配線85iに電気的に接続される。
【0034】
第2外部端子60bは、図示しない第2接続導体を介して、第2インダクタチップCi2の第2接続端子27b(図示しない)に電気的に接続される。また、第2外部端子60bは、接続部材97およびマウントパッド87を介して、配線87iに電気的に接続される。
【0035】
第2インダクタチップCi2の第2コイル25は、第2外部端子60aおよび60bを介して、配線85iおよび配線87iに電気的に接続される。また、第2コイル25は、配線85iおよび配線87iを介して、図示しない2次側回路に電気的に接続される。
【0036】
このように、電子デバイス1は、第1コイル15に電気的に接続された1対の第1外部端子50と、第2コイル25に電気的に接続された1対の第2外部端子60と、を備える。以下の説明では、便宜上、第1コイル15および第2コイル25のそれぞれに接続される一対の端子の一方のみに言及し、他方の説明は省略する。
【0037】
次に、図4(a)~図5(c)を参照して、電子デバイス1の製造方法を説明する。図4(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造過程を示す模式断面図である。
【0038】
図4(a)に示すように、第1基板10上に複数の第1コイル15を形成する。第1コイル15は、例えば、半導体プロセスを用いて形成される。第1コイル15は、第1基板10上に絶縁膜13aを形成した後、例えば、絶縁膜13aに形成された渦状の凹部内に銅材を埋め込むことにより形成される。さらに、第1コイル15を埋め込むように、絶縁膜13bを形成した後、第1接続端子17を形成する。
【0039】
絶縁膜13aおよび13bは、例えば、シリコン酸化膜であり、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成される。第1コイル15は、例えば、メッキ法を用いて形成される。以下、第1絶縁膜13は、一体化された絶縁膜13aおよび13bを含む。
【0040】
図4(b)に示すように、第1絶縁膜13上に樹脂シート103を貼り付ける。樹脂シート103は、例えば、ダイシングシートである。
【0041】
図4(c)に示すように、樹脂シート103上において、第1基板10および第1絶縁膜13を分断し、複数の第1インダクタチップCi1を形成する。第1基板10および第1絶縁膜13は、第1基板10の裏面側から、例えば、ダイシングブレードを用いて切断される。
【0042】
図4(d)に示すように、樹脂シート103を拡張し、隣り合う第1インダクタチップCi1間に、スペースSP1を設ける。
【0043】
図5(a)に示すように、複数の第1インダクタチップCi1を樹脂シート103上に保持した状態において、樹脂シート105を第1基板10の裏面に貼り付ける。
【0044】
図5(b)に示すように、樹脂シート103を剥離し、複数の第1インダクタチップCi1のそれぞれにおいて、第1絶縁膜13の表面を露出させる。続いて、複数の第1インダクタチップCi1を樹脂シート105上に保持した状態において、第1絶縁膜13の表面を、例えば、酸素プラズマなどにより洗浄する。これにより、第1絶縁膜13の表面に付着した粘着剤など有機物を除去する。
【0045】
図5(c)に示すように、複数の第1インダクタチップCi1のそれぞれに、第2インダクタチップCi2を接合する。第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように、第1インダクタチップCi1に接続される。第2インダクタチップCi2は、例えば、図4(a)~(d)の過程を通して、別途、形成される。
【0046】
第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とを接触させることにより接合される。また、第1インダクタチップCi1に対して、第2インダクタチップCi2を水平方向にずらして接合することにより、第1接続端子17および第2接続端子27(図1参照)を露出させる。
【0047】
図6は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を示す模式断面図である。図6は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23との接合方法を示す模式図である。
【0048】
図6に示すように、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23との接合は、例えば、仮接合および本接合の2段階の過程により実施される。すなわち、第1絶縁膜13および第2絶縁膜23のそれぞれの表面の未結合手につながった水酸基を介して、第1絶縁膜13および第2絶縁膜23を仮接合する。続いて、熱処理により水分を除き、第1絶縁膜13の未結合手と第2絶縁膜23の未結合手を酸素を介して重合させる(本接合)。
【0049】
図7(a)~(f)は、第1実施形態に係る電子デバイス1の別の製造過程を示す模式断面図である。図7(a)~(f)は、第2インダクタチップCi2を第1インダクタチップCi1に接合する過程を表している。
【0050】
図7(a)に示すように、樹脂シート106上に保持された第2インダクタチップCi2を、樹脂シート105上に保持された第1インダクタチップCi1に対向するように配置する。樹脂シート105および106は、拡張リングER1およびER2によりそれぞれ保持される。
【0051】
第2インダクタチップCi2は、第1インダクタチップCi1の第1絶縁膜13に第2絶縁膜23を対向させるように配置される。第1絶縁膜13の表面および第2絶縁膜23の表面は、例えば、プラズマ活性化処理を施されている。第1絶縁膜13の表面および第絶縁膜23の表面を、例えば、プラズマ励起されたアルゴンもしくは酸素に晒すことにより、表面の異物を除去し、表面原子の未結合手を活性化させる。
【0052】
第2インダクタチップCi2は、それぞれ、第1インダクタチップCi1に対して、所定の相対位置に配置される。例えば、図示しないアライメント機構を用いて、拡張リングER1の位置を調整し、接合対象の第2インダクタチップCi2を、第1インダクタチップCi1の上方の所定の位置に移動させる。
【0053】
図7(b)に示すように、樹脂シート106の第2インダクタチップCi2を保持した面とは反対側の面を押圧機構HJおよび圧着機構PJにより押し下げ、第1インダクタチップCi1と第2インダクタチップCi2との間隔を狭める。
【0054】
圧着機構PJは、押圧機構HJの中心に設けられる。例えば、押圧機構HJは、複数の第2インダクタチップCi2の裏面側を押圧し、複数の第1インダクタチップCi1との間隔をそれぞれ狭める。圧着機構PJは、接合対象の第2インダクタチップCi2の裏面に圧力を加える。圧着機構PJは、押圧ピンPJ1と、押圧部PJ2とを含む。押圧ピンPJ1は、第2インダクタチップCi2のチップサイズよりも小面積の先端を有し、押圧部PJ2の中心に位置する。
【0055】
図7(c)に示すように、圧着機構PJが押圧機構HJよりも下方に降下し、接合対象の第2インダクタチップCi2を第1インダクタチップCi1に接触させる。圧着機構PJの樹脂シート106に接触する下面において、例えば、押圧ピンPJ1の先端は、押圧部PJ2の下面よりも上に位置する。
【0056】
第1インダクタチップCi1と第2インダクタチップCi2とを接触させることにより、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とが仮接合される。例えば、第1絶縁膜13の活性化された表面と、第2絶縁膜23の活性化された表面とが、水酸基と水分子との間の水素結合を介して、接合される。
【0057】
図7(d)に示すように、圧着機構PJの押圧ピンPJ1を、接合対象の第2インダクタチップCi2を押圧するように降下させた後、押圧部PJ2を上昇させる。これにより、押圧ピンPJ1の先端により押圧された部分を除いて、第2インダクタチップCi2の裏面から樹脂シート106が剥離される。
【0058】
図7(e)に示すように、圧着機構の押圧ピンPJ1を上昇させ、第2インダクタチップCi2の押圧を除く。樹脂シート106は、その張力により、第2インダクタチップCi2から剥離される。この際、押圧ピンPJの先端により押圧された部分を除いて、第2インダクタチップCi2の裏面から樹脂シート106が剥離されているため、第1インダクタチップCi1と第2インダクタチップCi2との間の仮接合を分離させることなく、樹脂シート106を容易に剥離することができる。
【0059】
図7(f)に示すように、上記の接合過程を繰り返し、全ての第1インダクタチップCi1上に第2インダクタチップCi2を接合する。その後、第2インダクタチップCi2の裏面に圧力を加えた状態で熱処理を施し、第1インダクタチップCi1と第2インダクタチップCi2とを本接合させる。例えば、仮接合状態の第1インダクタチップCi1と第2インダクタチップCi2とを保持した樹脂シート105をホットプレート上に載置し、250℃以下の温度で熱処理を施すことにより、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23との間の接合界面から水分を除去する。
【0060】
このように、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とを直接接合することにより、磁気カップラを容易に得ることができる。また、実施形態では、第1コイル15と第2コイル25との間の絶縁膜を厚くすることが容易であり、磁気カップラの絶縁耐圧を大きくすることができる。
【0061】
例えば、第1コイル15および第2コイル25を連続して基板10上に形成する方法では、製造工程が増え、製造コストが高くなる。また、第1コイル15と第2コイル25との間の絶縁膜を厚くすると、絶縁膜の応力によるウェーハの反りが大きくなり、製造歩留りが低下する。すなわち、実施形態に係る製造方法では、製造コストを低減し、製造歩留りを向上させることができる。
【0062】
さらに、第1接続端子17および第2接続端子27を第1絶縁膜13および第2絶縁膜23の表面に露出させることにより、第1外部端子50と第1コイル15との間、および、第2コイル25と第2外部端子60との間の接続が容易になる。
【0063】
図8は、第1実施形態の変形例に係る電子デバイス2を示す模式断面図である。電子デバイス2は、第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2を接合し、第1コイル15と第2コイル25とを磁気結合させた構成を有する。
【0064】
第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2は、例えば、リード53M上にマウントされた状態で、樹脂部材73により封じられる。第1外部端子53および第2外部端子63は、樹脂部材73から延出するように設けられる。第1外部端子53は、リード53Mにつながるように設けられる。第1外部端子53、第2外部端子63およびリード53Mは、例えば、銅を含む金属板である。樹脂部材73は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0065】
例えば、第1基板10の裏面側をリード53M上にマウントする。第1接続導体33は、第1インダクタチップCi1の第1接続端子17(図1参照)と第1外部端子53とを電気的に接続する。第2接続導体43は、第2インダクタチップCi2の第2接続端子27(図1参照)と第2外部端子63とを電気的に接続する。また、第1接続端子17、第2接続端子27、第1外部端子53および第2外部端子63は、それぞれ、複数設けられ、例えば、Y方向に並ぶ。複数の第1接続端子17は、複数の第1外部端子53にそれぞれ接続される。複数の第2接続端子27は、複数の第2外部端子63にそれぞれ接続される。第1接続導体33および第2接続導体43は、例えば、金属ワイヤである。
【0066】
図9(a)および(b)は、第1実施形態の別の変形例に係る電子デバイス3を示す模式断面図である。図9(a)は、電子デバイス3の構成を示す模式断面図である。図9(b)は、電子デバイス3の実装形態を例示する模式図である。
【0067】
図9(a)に示すように、電子デバイス3は、第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2を接合し、第1コイル15と第2コイル25とを磁気結合させた構成を有する。第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2は、樹脂部材75中に封じられる。樹脂部材75は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0068】
電子デバイス3は、第1外部端子50と、第2外部端子60と、第1接続導体35と、第2接続導体45と、接続配線37と、第3接続導体39と、放熱板65と、をさらに備える。
【0069】
第1接続導体35、第2接続導体45および第3接続導体39は、例えば、銅を含むコンタクトプラグであり、樹脂部材75中に延在する。第1外部端子50、第2外部端子60、接続配線37および放熱板65は、例えば、銅を含む金属板であり、樹脂部材75の外面上に設けられる。
【0070】
樹脂部材75は、例えば、第1インダクタチップCi1から第2インダクタチップCi2に向かう方向(Z方向)と交差する上面および下面を有する。第1外部端子50および第2外部端子60は、樹脂部材75の下面に設けられる。接続配線37および放熱板65は、樹脂部材75の上面に設けられる。
【0071】
第1接続導体35は、樹脂部材75中をZ方向に延在し、第1インダクタチップCi1の第1接続端子17と接続配線37とを電気的に接続する。第3接続導体39は、樹脂部材75中をZ方向に延在し、接続配線37と第1外部端子50とを電気的に接続する。この例では、第1外部端子50は、第1接続導体35、接続配線37および第3接続導体39を介して、第1接続端子17に電気的に接続される。
【0072】
第2接続導体45は、樹脂部材75中をZ方向に延在し、第2インダクタチップCi2の第2接続端子27と第2外部端子60とを電気的に接続する。
【0073】
図9(b)に示すように、電子デバイス3は、回路基板80上に水平に実装される。第1外部端子50から第2外部端子60に向かう方向(X方向)は、例えば、回路基板80の上面に平行である。第1外部端子50は、例えば、接続部材91を介して、マウントパッド81に接続される。第2外部端子60は、接続部材95を介して、マウントパッド85に接続される。
【0074】
電子デバイス1~3では、例えば、第1基板10と第2基板20のそれぞれが、電子回路を有する(図21参照)。電子回路は、第1コイル15および第2コイル25にそれぞれ電気的に接続される。また、電子回路は、それぞれ、第1接続導体30を介して外部端子50に電気的に接続され、第2接続導体40を介して外部端子60に電気的に接続される。
【0075】
次に、図10(a)~(d)を参照して、第1実施形態に係る電子デバイス1~3の別の製造方法を説明する。図10(a)~(d)は、電子デバイス1~3の別の製造過程を示す模式断面図である。
【0076】
図10(a)に示すように、第1基板10上に複数の第1コイル15を形成する。第1コイル15は、第1絶縁膜13中にそれぞれ形成される。第1絶縁膜13は、相互に離間して設けられ、隣り合う第1絶縁膜13の間には、例えば、ダイシング領域DRが形成される。
【0077】
図10(b)に示すように、ダイシング領域DRにおいて、第1基板10をハーフカットする。第1基板10は、例えば、ダイシングブレードを用いて部分的に切断される。第1基板10には、溝状のダイシングラインDLが形成される。
【0078】
図10(c)に示すように、複数の第1絶縁膜13のそれぞれに、第2インダクタチップCi2を接合する。第2インダクタチップCi2の第2絶縁膜23は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように、第1絶縁膜13に直接接合される。第1絶縁膜13および第2絶縁膜23は、例えば、図6に示す方法を用いて接合される。
【0079】
図10(d)に示すように、第1基板10を分離し、第1インダクタチップCi1を形成する。第1基板10は、例えば、裏面側を研削もしくは研磨し、所定の厚さに薄層化することにより分離される。すなわち、第1基板10は、ダイシングラインDLにより複数の部分に分離される。
【0080】
第1実施形態に係る電子デバイス1~3では、第1コイル15および第2コイル25は、第1基板10と第2基板20との間に設けられる。第1基板10および第2基板20が導電性を有する場合、第1コイル15および第2コイル25は、外部の電磁波に対して遮蔽される。すなわち、電子デバイス1~3では、電磁波による外乱を抑制することができる。
【0081】
(第2実施形態)
図11(a)および(b)は、第2実施形態に係る電子デバイス4Aおよび4Bを示す模式断面図である。
【0082】
図11(a)に示すように、電子デバイス4Aは、第1コイル15を含む第3インダクタチップCi3上に、第2インダクタチップCi2が接合された構造を有する。電子デバイス4Aは、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように構成される。
【0083】
第3インダクタチップCi3は、第1絶縁膜13と、第3基板100と、ボンディング層107と、第1接続端子113と、第2接続端子115と、第3接続端子117と、接続線路119と、をさらに含む。
【0084】
第3基板100は、例えば、シリコン基板である。第1絶縁膜13は、第3基板100の表面上に設けられる。ボンディング層107は、第3基板100の裏面側に設けられる。ボンディング層107は、例えば、チタニウム、ニッケル、金などを含む金属層である。
【0085】
第1接続端子113は、第1絶縁膜13の表面側に設けられる。第1コイル15は、第1絶縁膜13中に設けられ、例えば、接続線路15bおよび接続パッド15d(図2(a)参照)を介して、第1接続端子113に電気的に接続される。
【0086】
第2接続端子115および第3接続端子117は、第1絶縁膜13の表面側に設けられる。第2接続端子115および第3接続端子117は、例えば、接続線路119を介して電気的に接続される。第3接続端子117は、第1接続端子113と第2接続端子115との間に設けられる。第1接続端子113、第2接続端子115、第3接続端子117および接続線路119は、例えば、銅を含む。接続線路119は、例えば、第1コイル15と同じ材料を含む。
【0087】
第2インダクタチップCi2は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とを接合することにより、第3インダクタチップCi3上に設けられる。さらに、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3との間において、第2接続端子127と第3接続端子117とが接合される。第2コイル25は、第2接続端子127、第3接続端子117および接続線路119を介して、第3インダクタチップCi3の第2接続端子115に電気的に接続される。
【0088】
第1接続端子113および第2接続端子115は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とを接合した領域の外側において、第1絶縁膜13の表面に露出される。
【0089】
図11(b)に示す電子デバイス4Bでは、第3インダクタチップCi3上に、第2コイル25を含む第4インダクタチップCi4が接合される。電子デバイス4Bも、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように構成される。
【0090】
第4インダクタチップCi4は、第2基板120と、第2絶縁膜123と、を含む。第2基板120は、例えば、シリコン基板である。第2絶縁膜123は、第2基板120上に設けられ、第2コイル25を含む。第2絶縁膜123は、例えば、シリコン酸化膜である。第2絶縁膜123は、第2基板に接した裏面と、その反対側の表面と、を有する。第2コイル25は、第2絶縁膜123の表面側に設けられた第2接続端子127に電気的に接続される。
【0091】
第4インダクタチップCi4は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜123とを接合することにより、第3インダクタチップCi3上に設けられる。さらに、第4インダクタチップCi4と第3インダクタチップCi3との間において、第2接続端子127と第3接続端子117とが接合される。
【0092】
この例では、第3インダクタチップCi3の第1絶縁膜13は、Z方向の厚さT1を有する。第4インダクタチップCi4の第2絶縁膜123は、Z方向の厚さT2を有する。第2絶縁膜123は、例えば、厚さT2が厚さT1とは異なるように設けられる。第2絶縁膜123のZ方向の厚さT2は、例えば、第1絶縁膜13のZ方向の厚さT1よりも薄い。
【0093】
次に、図12(a)~(c)を参照して、第2実施形態に係る電子デバイス4A、4Bの製造方法を説明する。図12(a)~(c)は、電子デバイス4Aの製造過程を示す模式断面図である。電子デバイス4Bも同様に形成される。
【0094】
図12(a)に示すように、第1基板100上に、第1コイル15および接続線路119を含む第1絶縁膜13を形成する。さらに、第1絶縁膜13上に、第1接続端子113、第2接続端子115および第3接続端子117を形成する。
【0095】
第1接続端子113は、例えば、コンタクトプラグ19bを介して、第1コイル15の接続パッド15dに電気的に接続される(図2(a)参照)。第1コイル15は、コンタクトプラグ19bを介して、第1接続端子113に電気的に接続される。
【0096】
第2接続端子115は、例えば、コンタクトプラグ19cを介して、接続線路119に電気的に接続される。また、第3接続端子117は、例えば、コンタクトプラグ19dを介して、接続線路119に電気的に接続される。
【0097】
第1コイル15、第1接続端子113、第2接続端子115、第3接続端子117および接続線路119は、例えば、半導体プロセスを用いて、第1基板100の上に形成される。
【0098】
図12(b)および(c)に示すように、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように、第2インダクタチップCi2を第3インダクタチップCi3の上方に位置合わせした後、両者を接合する。
【0099】
この場合、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23とを接合し、且つ、第2接続端子127と第3接続端子117とを接合することにより、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合する。第2インダクタチップCi2の第2接続端子127および第3インダクタチップCi3の第3接続端子117は、共に銅を含む金属層であり、それぞれの表面を清浄化した後、接触させることにより、両者を接合することができる。
【0100】
続いて、第1基板100および第1絶縁膜13を、例えば、ダイシングブレードを用いて分断し、複数の第3インダクタチップCi3に分離する。
【0101】
図13は、第2実施形態の第1変形例に係る電子デバイス5を示す模式断面図である。電子デバイス5は、第2インダクタチップCi2および第3インダクタチップCi3を含む。第2インダクタチップCi2および第3インダクタチップCi3は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように接合される。
【0102】
第3インダクタチップCi3は、例えば、裏面のボンディング層107およびはんだ材等の接続部材121を介して、誘電体基板130上にマウントされる。例えば、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合した状態で、第3インダクタチップCi3を誘電体基板130上にマウントする。
【0103】
誘電体基板130は、ボンディングパッド131、133、第1外部端子135および第2外部端子137を有する。第1外部端子135および第2外部端子137は、誘電体基板130の裏面側に設けられる。ボンディングパッド131および133は、第3インダクタチップCi3がマウントされる誘電体基板130の表面側に設けられ、第1外部端子135および第2外部端子137にそれぞれ電気的に接続される。
【0104】
第3インダクタチップCi3の第1接続端子113は、第1接続導体125を介して、ボンディングパッド131に電気的に接続される。また、第2接続端子115は、第2接続導体129を介して、ボンディングパッド133に電気的に接続される。第1接続導体125および第2接続導体129は、例えば、金(Au)、銀(Ag)もしくは銅(Cu)を含む金属ワイヤである。
【0105】
さらに、第2インダクタチップCi2、第3インダクタチップCi3、第1接続導体125および第2接続導体129は、樹脂部材160により誘電体基板130上に封じられる。樹脂部材160は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0106】
この例でも、第1コイル15は、第1接続端子113および第1接続導体125を介して、第1外部端子135に電気的に接続される。また、第2コイル25は、第2接続端子115および第2接続導体129を介して、第2外部端子137に電気的に接続される。
【0107】
図14(a)および(b)は、第2実施形態の第2変形例に係る電子デバイス6Aおよび6Bを示す模式断面図である。電子デバイス6Aおよび6Bは、第2インダクタチップCi2と、第3インダクタチップCi3と、制御チップCCと、を備える。第2インダクタチップCi2、第3インダクタチップCi3および制御チップCCは、樹脂部材160により、誘電体基板130上に封じられる。制御チップCCは、例えば、MOSFETである。
【0108】
図14(a)に示す電子デバイス6Aでは、第3インダクタチップCi3および制御チップCCは、誘電体基板130上にそれぞれマウントされる。第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように第3インダクタチップCi3上に接合される。
【0109】
例えば、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合した状態で、第3インダクタチップCi3を誘電体基板130上にマウントする。制御チップCCは、誘電体基板130上に、第3インダクタチップCi3と並べてマウントされる。
【0110】
第3インダクタチップCi3の第1接続端子113は、第1接続導体141を介して制御チップCCの入力端子151に電気的に接続される。また、第2接続端子115は、第2接続導体143を介して、第2外部端子137に電気的に接続される。制御チップCCの出力端子153は、第3接続導体145を介して、第1外部端子135に電気的に接続される。第1接続導体141、第2接続導体143および第3接続導体145は、例えば、金属ワイヤである。
【0111】
図14(b)に示す電子デバイス6Bでは、制御チップCCは、誘電体基板130上にマウントされる。第3インダクタチップCi3は、制御チップCC上にマウントされる。第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように第3インダクタチップCi3上に接合される。例えば、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合した状態で、第3インダクタチップCi3は、制御チップCC上にマウントされる。
【0112】
第3インダクタチップCi3の第1接続端子113は、第1接続導体141を介して制御チップCCの入力端子151に電気的に接続される。また、第2接続端子115は、第2接続導体143を介して、第2外部端子137に電気的に接続される。制御チップCCの出力端子153は、第3接続導体145を介して、第1外部端子135に電気的に接続される。第1接続導体141、第2接続導体143および第3接続導体145は、例えば、金属ワイヤである。
【0113】
上記の実施例では、入力信号は、第2外部端子137から送信側の第2インダクタチップCi2に入力される。入力信号は、第2インダクタチップCi2の第2コイル25と第3インダクタチップCi3の第1コイル15との間の磁気結合を介して伝送され、第1接続端子113から入力信号に対応した制御信号を出力する。制御信号は、制御チップCCに入力され、入力信号に対応した出力信号が、制御チップCCに電気的に接続された第1外部端子135から出力される。
【0114】
電子デバイス6Aおよび6Bは、例えば、リレーとして動作する。例えば、MOSFETなどのスイッチング素子を制御チップCCとして用い、第2インダクタチップCi2を送信側、第3インダクタチップを受信側として動作させる。すなわち、第2インダクタチップCi2から第3インダクタチップCi3へ送信される信号を、制御チップCCのゲート入力とし、制御チップCCを制御する。これにより、入力側と出力側とを電気的に絶縁分離したリレーを構成することができる。
【0115】
図15は、第2実施形態の第3変形例に係る電子デバイス7を示す模式断面図である。電子デバイス7は、第2インダクタチップCi2と、第3インダクタチップCi3と、を備える。第2インダクタチップCi2および第3インダクタチップCi3は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように接合され、樹脂部材165により封止られる。放熱用の基材170は、第3インダクタチップCi3裏面に接続される。
【0116】
第3インダクタチップCi3は、第2インダクタチップCi2と接合された状態で、接続部材173を介して、基材170上にマウントされる。基材170は、例えば、銅もしくはアルミニウムなどを含む金属板である。接続部材173は、ハンダ材もしくは熱伝導率の高い絶縁性のペースト等である。
【0117】
樹脂部材165は、例えば、基材170に接する表面と、その反対側の裏面と、を有し、第1外部端子193および第2外部端子195は、裏面側に設けられる。樹脂部材165は、基材170上にマウントされた第2インダクタチップCi2および第3インダクタチップCi3を覆うように成形される。樹脂部材165は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0118】
第1接続導体183は、樹脂部材165中に延在し、第3インダクタチップCi3の第1接続端子113と第1外部端子193とを電気的に接続する。また、第2接続導体185は、樹脂部材165中に延在し、第3インダクタチップCi3の第2接続端子115と第1外部端子195とを電気的に接続する。第1接続導体183および第2接続導体185は、例えば、銅を含むコンタクトプラグである。
【0119】
図16(a)および(b)は、第2実施形態の第4変形例に係る電子デバイス8Aおよび8Bを示す模式断面図である。電子デバイス8Aおよび8Bは、第2インダクタチップCi2と、第3インダクタチップCi3と、制御チップCCと、を備える。第2インダクタチップCi2、第3インダクタチップCi3および制御チップCCは、樹脂部材165により、基材170上に封じられる。制御チップCCは、MOSFETである。第2インダクタチップCi2および第3インダクタチップCi3は、例えば、送受信チップとして機能し、相互に絶縁された状態において、信号の送信と、出力側回路のON/OFF制御を行う。
【0120】
図16(a)に示す電子デバイス8Aでは、第3インダクタチップCi3および制御チップCCは、それぞれ、はんだ材、熱伝導性の良い絶縁ペースト等の接続部材173および175を介して基材170上にマウントされる。第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように第3インダクタチップCi3上に接合される。
【0121】
例えば、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合した状態で、第3インダクタチップCi3を基材170上にマウントする。制御チップCCは、基材170上に、第3インダクタチップCi3と並べてマウントされる。
【0122】
樹脂部材165は、基材170上において、第2インダクタチップCi2、第3インダクタチップCi3および制御チップCCを覆うように成形される。樹脂部材165は、基材170に接する表面と、その反対側の裏面を有する。樹脂部材165の裏面側には、接続パッド213、215および217が設けられる。
【0123】
電子デバイス8Aは、第1接続導体201~第4接続導体207をさらに含む。第1接続導体201~第4接続導体207は、例えば、銅を含むコンタクトプラグであり、樹脂部材165中に延在する。
【0124】
第1接続導体201は、樹脂部材165中に延在し、第3インダクタチップCi3の第1接続端子113と接続パッド213とを電気的に接続する。また、第2接続導体203は、樹脂部材165中に延在し、第3インダクタチップCi3の第2接続端子115と接続パッド215とを電気的に接続する。
【0125】
第3接続導体205は、制御チップCCの入力端子151と接続パッド213とを電気的に接続する。すなわち、第3インダクタチップCi3の第1接続端子113は、第1接続導体201および接続パッド213および第3接続導体205を介して、制御チップCCの入力端子151に電気的に接続される。また、第4接続導体207は、制御チップCCの出力端子153と接続パッド217とを電気的に接続する。
【0126】
電子デバイス8Aは、樹脂部材165の裏面側に接合される誘電体基板220をさらに含む。誘電体基板220は、例えば、エポキシ樹脂などを含む複合基板である。誘電体基板220は、樹脂部材165に接する表面と、その反対側の裏面と、を有する。
【0127】
第1外部端子223および第2外部端子225は、例えば、誘電体基板220の裏面側に設けられる。誘電体基板220は、樹脂部材165に接合される。第1外部端子223および第2外部端子225は、それぞれ接続パッド217および215に電気的に接合される。すなわち、第1外部端子223は、第4接続導体207を介して、制御チップCCの出力端子153に電気的に接続される。また、第2外部端子225は、第2接続導体203を介して、第3インダクタチップCi3の第2接続端子115に電気的に接続される。
【0128】
制御チップCCが上下導通の素子の場合、追加の接続導体を設け、外部接続端子223および225側に新たな端子を設けることも可能である。このような場合、基材170は、金属、セラミックもしくは樹脂であっても良い。制御チップCCの裏面電極と新たな外部接続端子が接続導体によって結合される。
【0129】
図16(b)に示す電子デバイス8Bでは、制御チップCCは、基材170上にマウントされる。第3インダクタチップCi3は、制御チップCC上にマウントされる。第2インダクタチップCi2は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように第3インダクタチップCi3上に接合される。例えば、第2インダクタチップCi2と第3インダクタチップCi3とを接合した状態で、第3インダクタチップCi3を制御チップCC上にマウントする。
【0130】
制御チップCCは、例えば、基材170上において、樹脂部材165により封止られる。さらに、樹脂部材165の基材170とは反対側の表面から、樹脂部材165中に延在し、第3インダクタチップCi3の第1接続端子113および第2接続端子115、制御チップCCの入力端子151および出力端子153にそれぞれ電気的に接続された第1接続導体201、第2接続導体203、第3接続導体205および第4接続導体207が設けられる。
【0131】
さらに、樹脂部材165の表面上に、第1接続導体201と第3接続導体205とを電気的に接続する接続パッド213を形成した後、樹脂部材165の表面上に誘電体基板220を接続する。接続パッド213は、樹脂部材165と誘電体基板220との間に設けられる。
【0132】
誘電体基板220の樹脂部材165とは反対側の表面上に、第1外部端子223および第2外部端子225が設けられる。第1外部端子223は、例えば、誘電体基板220を貫通して、第4接続導体207に電気的に接続される。第2外部端子225は、例えば、誘電体基板220を貫通して、第2接続導体203に電気的に接続される。
【0133】
第3インダクタチップCi3の第1接続端子113は、第1接続導体201、接続パッド213および第3接続導体205を介して、制御チップCCの入力端子151に電気的に接続される。また、第2接続端子115は、第2接続導体203を介して、第2外部端子225に電気的に接続される。
【0134】
上記の実施例では、第2外部端子225から入力される入力信号は、第2接続端子115を介して第2コイル25に入力され、さらに、第1コイル15と第2コイル25との間の磁気結合を介して、第1接続端子113から出力される。制御チップCCは、入力端子151において、第1接続導体201、接続パッド213および第3接続導体205を介して入力される第1接続端子113の出力を受け、それに対応した出力信号を、出力端子153から出力する。制御チップCCの出力信号は、第4接続導体207を介して第1外部端子223へ出力される。
【0135】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る電子デバイス9Aを示す模式断面図である。
図17に示すように、電子デバイス9Aは、第1基板100と、第1絶縁膜13と、第1コイル15と、第2絶縁膜23と、第2コイル25と、第1接続導体233と、第2接続導体235と、を備える。
【0136】
第1基板100は、例えば、シリコン基板である。第1基板100は、相互に離間した第1部分100aと第2部分100bとを有する。第1絶縁膜13は、第1基板100上に設けられる。第2絶縁膜23は、第1絶縁膜13上に設けられる。
【0137】
第1絶縁膜13は、第1コイル15を含む。第2絶縁膜23は、第2コイル25を含む。第2絶縁膜23は、第1コイル15と第2コイル25とが磁気結合されるように、第1絶縁膜13に接合される。
【0138】
第1絶縁膜13は、第1基板100に接する裏面と、第2絶縁膜13に接する表面と、を有する。第1絶縁膜13は、接続線路119と、接続端子117と、をさらに含む。接続線路119は、第1絶縁膜13中に設けられ、第1絶縁膜13の表面に沿った方向に延在する。接続端子117は、第1絶縁膜13の表面側に設けられ、コンタクトプラグ19dを介して、接続線路119に電気的に接続される。
【0139】
第2絶縁膜23は、第1絶縁膜13に接する表面と、その反対側の裏面と、を有する。第2絶縁膜23は、その表面側に設けられ、コンタクトプラグ28を介して第2コイル25に電気的に接続される第2接続端子127をさらに有する。
【0140】
第1絶縁膜13および第2絶縁膜23は、それぞれの表面を接触させると共に、接続端子117と第2接続端子127とを接触させるように接合される。接続端子117および第2接続端子127は、第1絶縁膜13と第2絶縁膜23との間において、接合される。
【0141】
第1絶縁膜13の表面に沿った方向(例えば、X方向)における第1絶縁膜13の長さは、第2絶縁膜23の同方向における長さよりも長い。第1接続導体233および第2接続導体235は、第1絶縁膜13の第2絶縁膜23に接しない部分の表面上に設けられる。第1接続導体233および第2接続導体235は、例えば、銅を含む金属ピラーである。第2絶縁膜23は、例えば、第1接続導体233と第2接続導体235との間に設けられる。
【0142】
第1接続導体233は、例えば、コンタクトプラグ19bを介して、第1コイル15に電気的に接続される。第2接続導体235は、例えば、コンタクトプラグ19c、接続線路119、コンタクトプラグ19d、接続端子117、第2接続端子127およびコンタクトプラグ28を介して、第2コイル25に電気的に接続される。
【0143】
図17に示すように、第1絶縁膜13は、第1基板100の第1部分100aと第1接続導体233との間に位置する第1領域と、第1基板100の第2部分100bと第2接続導体235との間に位置する第2領域と、を含む。第1コイル15は、第1領域と第2領域との間に設けられる。また、第1基板100の第1部分100aと第2部分100bとの間隔WSは、例えば、第1コイル15のコイル径D1(図2(a)参照)よりも広い。
【0144】
電子デバイス9Aは、第1樹脂部材243と、第2樹脂部材245と、をさらに備える。第1樹脂部材243は、第1絶縁膜13の裏面側に設けられ、第1基板100を覆う。第1樹脂部材243は、第1基板100の第1部分100aと第2部分100bとの間に設けられる部分を含む。第2樹脂部材245は、第1絶縁膜13の表面側において、第2絶縁膜23を覆うように設けられる。第1接続導体233および第2接続導体235は、第2樹脂部材245中に延在し、それぞれ、第2樹脂部材245から露出した端面を有する。
【0145】
次に、図18(a)~図19(c)を参照して、第3実施形態に係る電子デバイス9Aの製造方法を説明する。図18(a)~図19(c)は、第3実施形態に係る電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。
【0146】
図18(a)に示すように、第1基板100上に、第1コイル15および接続線路119を含む第1絶縁膜13を形成した後、第4インダクタチップCi4を、第1絶縁膜13上に接合する(図12(a)~(c)参照)。
【0147】
図18(b)に示すように、第4インダクタチップCi4の第2基板20を選択的に除去する。第2基板20は、例えば、ウェットエッチングにより除去される。
【0148】
図18(c)に示すように、第1絶縁膜13上の第1接続端子113および第2接続端子115の上に、第1接続導体233および第2接続導体235をそれぞれ形成する。第1接続導体233および第2接続導体235は、例えば、メッキ法を用いて形成される。
【0149】
例えば、第1接続導体233および第2接続導体235の材料に、第1接続端子113および第2接続端子115と同じ材料を用いることにより、第1接続導体233と第1接続端子113とを一体に形成し、第2接続導体235と第1接続端子115とを一体に形成する。
【0150】
図19(a)に示すように、第1絶縁膜13の表面側に、第2絶縁膜23、第1接続導体233および第2接続導体235を覆うように第2樹脂部材245を設ける。さらに、第2樹脂部材245の表面を研削し、第1接続導体233および第2接続導体235のそれぞれの端面を露出させる。第2樹脂部材245は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0151】
図19(b)に示すように、第1基板100を、その裏面側において、選択的に除去し、第1絶縁膜13の一部を露出させる。第1基板100は、例えば、図示しないエッチングマスクを用いたウェットエッチングにより選択的に除去される。
【0152】
図19(c)に示すように、第1絶縁膜13の裏面側において、第1基板100を覆うように、第1樹脂部材243を形成する。第1樹脂部材243は、例えば、エポキシ樹脂である。
【0153】
図20は、第3実施形態の変形例に係る電子デバイス9Bを示す模式断面図である。電子デバイス9Bは、第1基板100と、第1絶縁膜13と、第1コイル15と、第2絶縁膜23と、第2コイル25と、第1接続導体233と、第2接続導体235と、を備える。
【0154】
第1基板100は、例えば、シリコン基板である。第1絶縁膜13は、第1基板100上に設けられ、第1絶縁膜13の表面上に、第2絶縁膜23が接合される。第2絶縁膜23は、第1コイル15と第2コイル25とを磁気結合させるように接合される。第1絶縁膜13の表面側には、第1接続導体233と第2接続導体235とが設けられる。この例に示すように、第1基板100は、第1絶縁膜13の裏面側に一体に設けられても良い。
【0155】
実施形態に係る電子デバイス9Aおよび9Bは、例えば、回路基板上にフリップチップ実装され、その低背高化を実現する。
【0156】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る電子デバイスを示す模式断面図である。図21は、第1インダクタチップCi1の断面を表している。
【0157】
図21に示すように、第1インダクタチップCi1は、第1基板10の表面側に設けられた回路部310を有しても良い。第1コイル15は、回路部310に電気的に接続される。第1接続端子17aは、コンタクトプラグ19aを介して回路部310に電気的に接続される。
【0158】
回路部310は、例えば、第1接続端子17aを介して入力される信号に応じた電流を、第1コイル15に流す。また、第1コイル15に流れる電流に応じた信号を、第1接続端子を介して出力するように構成される。
【0159】
図示しない第2インダクタチップCi2も、第2基板20の表面側に設けられた回路部を有するように構成されても良い。なお、本実施形態に示す第1インダクタチップCi1は、他の実施形態における第1インダクタチップCi1に適用することもできる。
【0160】
図22は、第4実施形態に係る電子デバイス300を例示する回路図である。電子デバイス300は、第1インダクタチップCi1および第2インダクタチップCi2を含む(以下、図1参照)。
【0161】
この例では、第1インダクタチップCi1は、第1コイル15-1と、別の第1コイル15-2と、を含む。第2インダクタチップCi2は、第2コイル25-1と、別の第2コイル25-2を含む。第1コイル15-1および第1コイル15-2は、第1絶縁膜13の内部に設けられる。第2コイル25-1および第2コイル25-2は、第2絶縁膜23の内部に設けられる。
【0162】
図22に示すように、第1コイル15-1は、第2コイル25-2と磁気結合するように配置される。第1コイル15-2は、第2コイル25-1と磁気結合するように配置される。
【0163】
電子デバイス300は、例えば、第1回路320と、第2回路330と、をさらに含む。第1回路320は、差動ドライバ回路315、容量C1および容量C2を含む。第2回路330は、差動受信回路325、容量C3および容量C4を含む。
【0164】
第1回路320は、例えば、第1基板10の表面側に設けられる。第1回路320は、第1基板10と第1絶縁膜13との間に設けられる。第2回路330は、例えば、第2基板20の表面側に設けられる。第2回路330は、例えば、第2基板20と第2絶縁膜23との間に設けられる。
【0165】
第1コイル15-1の一端は、第1の定電位に接続される。第1コイル15-1の他端は、容量C1に接続される。第1コイル15-2の一端は、第2の定電位に接続される。第1コイル15-2の他端は、容量C2に接続される。
【0166】
差動ドライバ回路315の一方の出力は、容量C1に接続される。差動ドライバ回路315の他方の出力は、容量C2に接続される。容量C1は、差動ドライバ回路315と第1コイル15-1との間に接続される。容量C2は、差動ドライバ回路315と第1コイル15-2との間に接続される。
【0167】
第2コイル25-1の一端は、第3の定電位に接続される。第2コイル25-1の他端は、容量C4に接続される。第2コイル25-2の一端は、第4の定電位に接続される。第2コイル25-2の他端は、容量C3に接続される。
【0168】
第1の電位、第2の電位、第3の電位および第4の電位は各々同一電位であってもよい。また、第1および第2の電位とが同一電位であり、第3および第4の電位とが同一電位であり、第1および第2電位は、第3および第4電位とは別電位であることが望ましい。
【0169】
差動受信回路325の一方の入力は、容量C3に接続される容量C3は、差動受信回路325の入力と第2コイル25-2との間に接続される。差動受信回路325の他方の入力は、容量C4に接続される。容量C4は、差動受信回路325の入力と第2コイル25-1との間に接続される。
【0170】
次に、電子デバイス300の動作について説明する。図22中のVinは、変調された入力信号を表す。入力信号の変調には、例えば、エッジトリガ方式、または、ON/OFF Keying方式が用いられる。いずれの方法においても、Vinは、元の信号を高周波変調した信号である。
【0171】
差動ドライバ回路315は、Vinに応じて第1コイル15-1及び第1コイル15-2に互いに逆方向の電流i0を流す。第1コイル15-1及び15-2は、互いに逆向きの磁界(H1)を発生する。第1コイル15-1の巻数が第1コイル15-2の巻数と同じときは、発生する磁界の大きさが互いに等しくなる。
【0172】
磁界H1によって第2コイル25-1に生じる誘導電圧の方向は、磁界H1によって第2コイル25-2に生じる誘導電圧の方向と逆である。第2コイル25-1および25-2に電流i1が流れる。また、第2コイル25-1に生じる誘導電圧の大きさは、第2コイル25-2に生じる誘導電圧の大きさと同じである。差動受信回路325には、正負の電圧が入力される。すなわち、差動受信回路325の入力には、第2コイル25-1及び25-2において発生した誘導電圧のそれぞれが印加される。そして、入力された誘導電圧の一方が反転され、2倍の復調された信号Voutが出力される。
【0173】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0174】
1、2、3、4A、4B、5、6A、6B、7、8A、8B、9A、9B、300…電子デバイス、 10、100…第1基板、 13…第1絶縁膜、 13a、13b…絶縁膜、 15…第1コイル、 15a、15b、119…接続線路、 15c、15d…接続パッド、 15m…コイル部、 17、17a、17b、113…第1接続端子、 19a、19b、19c、19d、28…コンタクトプラグ、 20、120…第2基板、 23、123…第2絶縁膜、 25…第2コイル、 27、27a、27b、115、127…第2接続端子、 30、33、35、125、141、183、201、233…第1接続導体、 37…接続配線、 39、145、205…第3接続導体、 40、43、45、129、143、185、203、235…第2接続導体、 50、50a、50b、53、135、193、223…第1外部端子、 53M…リード、 60、60a、60b、63、137、195、225…第2外部端子、 65…放熱板、 70、73、75、160、165、243、245…樹脂部材、 80…回路基板、 81、83、85、87…マウントパッド、 81i、83i、85i、87i…配線、 91、93、95、97、121、173…接続部材、 100a…第1部分、 100b…第2部分、 103、105、106…樹脂シート、 107…ボンディング層、 117…第3接続端子、 130、220…誘電体基板、 131、133…ボンディングパッド、 151…入力端子、 153…出力端子、 170…基材、 207…第4接続導体、 213、215、217…接続パッド、 310…回路部、 320…第1回路、 315…差動ドライバ回路、 330…第2回路、 325…差動受信回路、 CC…制御チップ、 Ci1、Ci2、Ci3、 Ci4…インダクタチップ、 D1…コイル径、 DL…ダイシングライン、 DR…ダイシング領域、 ER1、ER2…拡張リング、 SP1…スペース、 PJ…圧着機構、 PJ1…押圧ピン、 PJ2…押圧部、 HJ…押圧機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22