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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20240215BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20240215BHJP
   H01S 5/02208 20210101ALI20240215BHJP
   H01S 5/02325 20210101ALI20240215BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H01S5/026 616
H01S5/02208
H01S5/02325
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020160832
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053932
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519283819
【氏名又は名称】CIG Photonics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-036008(JP,A)
【文献】特開2020-098837(JP,A)
【文献】特開2016-162962(JP,A)
【文献】特開2020-127168(JP,A)
【文献】特開2019-134056(JP,A)
【文献】特開2007-286454(JP,A)
【文献】特開2011-238858(JP,A)
【文献】特開2018-156032(JP,A)
【文献】特開2021-036583(JP,A)
【文献】特開2020-149990(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087524(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0264535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ及び光変調器が集積されており、前記半導体レーザのアノード電極、前記光変調器のアノード電極、並びに前記半導体レーザ及び前記光変調器に共通のカソード電極を有する光半導体素子と、
下電極及び上電極を有して前記半導体レーザに並列接続されたバイパスコンデンサと、
上面及び下面を有し、前記光半導体素子及び前記バイパスコンデンサが前記上面に表面実装され、前記カソード電極及び前記下電極が接合される導体パターンを前記上面に有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記下面を支持する導体ブロックと、
を有し、
前記バイパスコンデンサの前記下電極は、前記誘電体基板の前記上面に重なるオーバーラップ領域と、前記誘電体基板の前記上面から突出するオーバーハング領域と、を含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記導体パターンは、前記カソード電極に接合されるボンディング部と、前記ボンディング部から前記バイパスコンデンサへの方向に延びて少なくとも部分的に前記下電極に重なる延長部と、を含み、
前記延長部の、前記下電極の外側にある部分は、前記下電極の前記オーバーハング領域よりも面積において小さいことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載された光モジュールであって、
前記延長部は、前記オーバーラップ領域に接合されるパッドと、前記ボンディング部と前記パッドを接続するラインと、を含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された光モジュールであって、
前記下電極の前記オーバーラップ領域と前記導体パターンの前記延長部との間に介在して、前記オーバーラップ領域と前記延長部を電気的に接続するスペーサをさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
半導体レーザ及び光変調器が集積されており、前記半導体レーザのアノード電極、前記光変調器のアノード電極、並びに前記半導体レーザ及び前記光変調器に共通のカソード電極を有する光半導体素子と、
下電極及び上電極を有して前記半導体レーザに並列接続されたバイパスコンデンサと、
上面及び下面を有し、前記光半導体素子及び前記バイパスコンデンサが前記上面に表面実装され、前記カソード電極及び前記下電極が接合される導体パターンを前記上面に有する誘電体基板と、
前記バイパスコンデンサと前記導体パターンとの間に介在して、前記バイパスコンデンサと前記導体パターンを電気的に接続するスペーサと、
前記誘電体基板の前記下面を支持する導体ブロックと、
を有し、
前記導体パターンは、前記カソード電極に接合されるボンディング部と、前記下電極に接合されるパッドと、を含み、
前記下電極は、前記パッドよりも面積において大きいことを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された光モジュールであって、
前記スペーサは、絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通する導電体と、を含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項4又は5に記載された光モジュールであって
前記スペーサは、側面に凹部を有する絶縁基板と、前記凹部にあるキャスタレーション電極と、を含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載された光モジュールであって、
前記キャスタレーション電極は、金錫はんだによって、前記導体パターンに接合されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記誘電体基板の前記下面の全体が、前記導体ブロックに対向して固定されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記誘電体基板の第1部分が、前記導体ブロックに固定され、
前記誘電体基板の第2部分が、前記導体ブロックからオーバーハングしていることを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載された光モジュールであって、
前記誘電体基板の前記第1部分及び前記第2部分は、1つの方向にのみ隣り合うことを特徴とする光モジュール。
【請求項12】
請求項10に記載された光モジュールであって、
前記誘電体基板の前記第1部分及び前記第2部分は、交差する少なくとも2方向に隣り合うことを特徴とする光モジュール。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記導体ブロックは、上面に第1領域及び第2領域を有し、前記第2領域は前記第1領域よりも低くなっており、
前記誘電体基板の前記第1部分は、前記第1領域に固定され、
前記誘電体基板の前記第2部分は、前記第2領域に間隔をあけて対向することを特徴とする光モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載された光モジュールであって、
前記下電極の前記オーバーハング領域は、前記第1領域に対向せず、前記第2領域に間隔をあけて対向することを特徴とする光モジュール。
【請求項15】
請求項10から12のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記誘電体基板の前記第2部分は、前記導体ブロックに対向しないことを特徴とする光モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載された光モジュールであって、
前記下電極の前記オーバーハング領域は、前記導体ブロックに対向しないことを特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光モジュールには、高速化のみならず低消費電力化が要求されている。50Gbit/s級の高速動作には、電界吸収型変調器集積レーザ(EML)が適している。EMLは、レーザーダイオード(LD)と電界吸収型(EA)変調器が集積された光半導体素子であり、LD及びEA変調器はカソード電極を共有している(特許文献1)。低消費電力化のためにEMLを差動信号で駆動すると、変調電気信号がカソード電極からLDに流入するので、波形品質が劣化する。これを防止するため、LDのアノードとカソードの間にはバイパスコンデンサが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-134056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面実装を適用してバイパスコンデンサを基板に実装するには、配線パターンの面積を広くしなければならないので、特性インピーダンスが低下して波形品質が低下する。
【0005】
本発明は、特性インピーダンスの低下を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る光モジュールは、半導体レーザ及び光変調器が集積されており、前記半導体レーザのアノード電極、前記光変調器のアノード電極、並びに前記半導体レーザ及び前記光変調器に共通のカソード電極を有する光半導体素子と、下電極及び上電極を有して前記半導体レーザに並列接続されたバイパスコンデンサと、上面及び下面を有し、前記光半導体素子及び前記バイパスコンデンサが前記上面に表面実装され、前記カソード電極及び前記下電極が接合される導体パターンを前記上面に有する誘電体基板と、前記誘電体基板の前記下面を支持する導体ブロックと、を有し、前記バイパスコンデンサの前記下電極は、前記誘電体基板の前記上面に重なるオーバーラップ領域と、前記誘電体基板の前記上面から突出するオーバーハング領域と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バイパスコンデンサの下電極のオーバーハング領域と、導体ブロックの間に、誘電体基板が介在しない。そのため、寄生容量が小さくなり、特性インピーダンスの低下を抑えることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光モジュールであって、前記導体パターンは、前記カソード電極に接合されるボンディング部と、前記ボンディング部から前記バイパスコンデンサへの方向に延びて少なくとも部分的に前記下電極に重なる延長部と、を含み、前記延長部の、前記下電極の外側にある部分は、前記下電極の前記オーバーハング領域よりも面積において小さいことを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された光モジュールであって、前記延長部は、前記オーバーラップ領域に接合されるパッドと、前記ボンディング部と前記パッドを接続するラインと、を含むことを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(2)又は(3)に記載された光モジュールであって、前記下電極の前記オーバーラップ領域と前記導体パターンの前記延長部との間に介在して、前記オーバーラップ領域と前記延長部を電気的に接続するスペーサをさらに有することを特徴としてもよい。
【0011】
(5)本発明に係る光モジュールは、半導体レーザ及び光変調器が集積されており、前記半導体レーザのアノード電極、前記光変調器のアノード電極、並びに前記半導体レーザ及び前記光変調器に共通のカソード電極を有する光半導体素子と、下電極及び上電極を有して前記半導体レーザに並列接続されたバイパスコンデンサと、上面及び下面を有し、前記光半導体素子及び前記バイパスコンデンサが前記上面に表面実装され、前記カソード電極及び前記下電極が接合される導体パターンを前記上面に有する誘電体基板と、前記バイパスコンデンサと前記導体パターンとの間に介在して、前記バイパスコンデンサと前記導体パターンを電気的に接続するスペーサと、前記誘電体基板の前記下面を支持する導体ブロックと、を有し、前記導体パターンは、前記カソード電極に接合されるボンディング部と、前記下電極に接合されるパッドと、を含み、前記下電極は、前記パッドよりも面積において大きいことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、バイパスコンデンサの下電極が、導体ブロックから離れるので、寄生容量が小さくなり、特性インピーダンスの低下を抑えることができる。
【0013】
(6)(4)又は(5)に記載された光モジュールであって、前記スペーサは、絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通する導電体と、を含むことを特徴としてもよい。
【0014】
(7)(4)又は(5)に記載された光モジュールであって、前記スペーサは、側面に凹部を有する絶縁基板と、前記凹部にあるキャスタレーション電極と、を含むことを特徴としてもよい。
【0015】
(8)(7)に記載された光モジュールであって、前記キャスタレーション電極は、金錫はんだによって、前記導体パターンに接合されていることを特徴としてもよい。
【0016】
(9)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記誘電体基板の前記下面の全体が、前記導体ブロックに対向して固定されていることを特徴としてもよい。
【0017】
(10)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記誘電体基板の第1部分が、前記導体ブロックに固定され、前記誘電体基板の第2部分が、前記導体ブロックからオーバーハングしていることを特徴としてもよい。
【0018】
(11)(10)に記載された光モジュールであって、前記誘電体基板の前記第1部分及び前記第2部分は、1つの方向にのみ隣り合うことを特徴としてもよい。
【0019】
(12)(10)に記載された光モジュールであって、前記誘電体基板の前記第1部分及び前記第2部分は、交差する少なくとも2方向に隣り合うことを特徴としてもよい。
【0020】
(13)(10)から(12)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記導体ブロックは、上面に第1領域及び第2領域を有し、前記第2領域は前記第1領域よりも低くなっており、前記誘電体基板の前記第1部分は、前記第1領域に固定され、前記誘電体基板の前記第2部分は、前記第2領域に間隔をあけて対向することを特徴としてもよい。
【0021】
(14)(13)に記載された光モジュールであって、前記下電極の前記オーバーハング領域は、前記第1領域に対向せず、前記第2領域に間隔をあけて対向することを特徴としてもよい。
【0022】
(15)(10)から(12)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記誘電体基板の前記第2部分は、前記導体ブロックに対向しないことを特徴としてもよい。
【0023】
(16)(15)に記載された光モジュールであって、前記下電極の前記オーバーハング領域は、前記導体ブロックに対向しないことを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図2図1に示す光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。
図3図2に示す構造の一部拡大側面図である。
図4】導体パターンの平面図である。
図5】光モジュールの等価回路図である。
図6】第2の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。
図7図6に示すスペーサの拡大斜視図である。
図8】変形例で使用されるスペーサの斜視図である。
図9】変形例の接合プロセスを説明するための図である。
図10】変形例の接合プロセスを説明するための図である。
図11】変形例の接合プロセスを説明するための図である。
図12】変形例の接合プロセスを説明するための図である。
図13】第3の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。
図14図13に示す構造の一部拡大側面図である。
図15】第4の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。
図16】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。光モジュールは、光サブアセンブリ100を有する。光サブアセンブリ100は、TO-CAN(Transistor Outline-Can)型パッケージであり、発光素子を内蔵する送信光サブアセンブリ(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)又は発光素子及び受光素子の両方を内蔵する双方向光サブアセンブリ(BOSA;Bidirectional Optical Sub-Assembly)のいずれであってもよい。光サブアセンブリ100は、フレキシブル基板102に接続されている。フレキシブル基板102は、プリント基板104に接続されている。
【0027】
[光半導体素子]
図2は、図1に示す光サブアセンブリ100の内部構造を示す斜視図である。図3は、図2に示す構造の一部拡大側面図である。光モジュールは、光半導体素子10を有する。光半導体素子10には、半導体レーザ12及び光変調器14が集積されている。光半導体素子10は、半導体レーザ12のアノード電極16を有する。光半導体素子10は、光変調器14のアノード電極18を有する。光半導体素子10は、半導体レーザ12及び光変調器14に共通のカソード電極20(図3)を有する。
【0028】
[バイパスコンデンサ]
光モジュールは、バイパスコンデンサ22を有する。バイパスコンデンサ22は、平行平板コンデンサであり、下電極24及び上電極26を有する。上電極26は、1つ以上のワイヤW1によって、半導体レーザ12のアノード電極16に接続されている。
【0029】
[誘電体基板]
光モジュールは、誘電体基板28を有する。誘電体基板28は、熱伝導率に優れていることが好ましい。誘電体基板28は、上面及び下面を有する。誘電体基板28は、導体パターン30を上面に有する。光半導体素子10は、誘電体基板28の上面に表面実装される。バイパスコンデンサ22は、誘電体基板28の上面に表面実装される。
【0030】
図4は、導体パターン30の平面図である。導体パターン30は、光半導体素子10が搭載されるボンディング部32を含む。図3に示すカソード電極20が導体パターン30(ボンディング部32)に接合される。接合には、図3に示す溶加材34(はんだ、ろう材)が使用される。
【0031】
バイパスコンデンサ22は、部分的に誘電体基板28からはみだすようになっている。図4に示すように、下電極24は、誘電体基板28の上面に重なるオーバーラップ領域36と、誘電体基板28の上面から突出するオーバーハング領域38を含む。
【0032】
導体パターン30は、ボンディング部32からバイパスコンデンサ22への方向に延びる延長部40を含む。延長部40は、少なくとも部分的に下電極24に重なる。下電極24(オーバーラップ領域36の少なくとも一部)は、導体パターン30に接合される。接合には、溶加材42(はんだ、ろう材)が使用される。延長部40は、オーバーラップ領域36に接合されるパッド44と、ボンディング部32とパッド44を接続するライン46と、を含む。延長部40の、下電極24の外側にある(下電極24と重ならない)部分は、下電極24のオーバーハング領域38よりも面積において小さい。下電極24は、パッド44よりも面積において大きい。
【0033】
導体パターン30は、ボンディング部32から延びる第1ライン部48を含む。第1ライン部48は、バイパスコンデンサ22(下電極24)とは反対側に端部を有する。導体パターン30は、ボンディング部32に接近するが接続されない第2ライン部50を有する。第2ライン部50も、バイパスコンデンサ22(下電極24)とは反対側に端部を有する。第1ライン部48の端部及び第2ライン部50の端部は、それぞれ、隣り合っている。導体パターン30は、ボンディング部32から延びるスタブ52とランド54を含む。スタブ52とランド54の間に終端抵抗器56が接続されている。終端抵抗器56は、表面実装されている。終端抵抗器56が接続されるランド54は、ワイヤW2によって、光変調器14のアノード電極18に接続される。終端抵抗器56は、光変調器14に並列接続される。
【0034】
[導体ブロック]
光モジュールは、導体ブロック58を有する。誘電体基板28は、下面で導体ブロック58に支持(接着)される。誘電体基板28の下面の全体が、導体ブロック58に対向して固定されている。導体ブロック58は、基準電位(例えばグランド)に接続される。導体ブロック58は、図示しないペルティエ素子を有する熱電冷却器に搭載されてもよい。
【0035】
導体ブロック58には、ガラスなどの誘電体からなる誘電体ブロック60が搭載されている。誘電体ブロック60には、導電層62が形成されている。バイパスコンデンサ22の上電極26は、ワイヤW3によって、誘電体ブロック60の導電層62に接続されている。
【0036】
導体ブロック58に、間隔をあけて、サブ導体ブロック64が並んでいる。導体ブロック58とサブ導体ブロック64は、熱的に分離されている。サブ導体ブロック64も、基準電位(例えばグランド)に接続される。導体ブロック58は、1つ以上のワイヤW4によって、サブ導体ブロック64に接続されている。
【0037】
サブ導体ブロック64には、サブ誘電体基板66が搭載されている。サブ誘電体基板66には、第1導電層68及び第2導電層70が形成されており、両者は隣同士に並んでいる。導体パターン30の第1ライン部48は、1つ以上のワイヤW5によって、第1導電層68に接続されている。導体パターン30の第2ライン部50は、1つ以上のワイヤW6によって、第2導電層70に接続されている。さらに、第2ライン部50は、ワイヤW7によって、光変調器14のアノード電極18に接続されている。
【0038】
[等価回路]
図5は、光モジュールの等価回路図である。半導体レーザ12には、電流源72から定電流が入力される。光変調器14には、一対の同軸線路74を介して、差動信号(正相信号及び逆相信号)が入力される。半導体レーザ12と光変調器14はカソード電極20を共有しているが、半導体レーザ12にバイパスコンデンサ22が並列接続されている。これにより、差動信号は、バイパスされて半導体レーザ12に混入しない。
【0039】
本実施形態では、バイパスコンデンサ22の下電極24のオーバーハング領域38と、導体ブロック58の間に、誘電体基板28が介在しない。オーバーハング領域38と導体ブロック58の間にある空気は、誘電率において、誘電体基板28の材料(例えばセラミック)よりも小さい。そのため、寄生容量が小さくなり、特性インピーダンスの低下を抑えることができる。
【0040】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。光モジュールは、スペーサ76を有する。本実施形態は、スペーサ76を除いて、第1の実施形態と同じである。スペーサ76は、下電極24(オーバーラップ領域36)と導体パターン30(延長部40)との間に介在して、両者を電気的に接続する(図3及び図4参照)。
【0041】
図7は、図6に示すスペーサ76の拡大斜視図である。スペーサ76は、絶縁基板78と、絶縁基板78を貫通する導電体80と、を含む。導電体80は、絶縁基板78の上面及び下面の上で広がっている。導電体80は、下電極24のオーバーラップ領域36よりも小さい。
【0042】
スペーサ76によってバイパスコンデンサ22が高くなり、下電極24のオーバーラップ領域36(パッド44からはみ出す部分)が導体ブロック58からさらに離れる。したがって、寄生容量がさらに小さくなり、特性インピーダンスの低下をさらに抑えることができる。
【0043】
[変形例]
図8は、変形例で使用されるスペーサの斜視図である。スペーサ176は、側面に凹部182を有する絶縁基板178を有する。スペーサ176は、凹部182にあるキャスタレーション電極184を含む。キャスタレーション電極184は、絶縁基板178の上面及び下面で広がっている。
【0044】
図9図12は、変形例の接合プロセスを説明するための図である。図9に示すように、パッド44に、蒸着によって、金錫はんだを設ける。
【0045】
図10に示すように、蒸着された金錫はんだ186で、パッド44にスペーサ176を接合する。金錫はんだ186は、加熱によって溶けて、凹部182に形成されたキャスタレーション電極184の側面に広がる。したがって、パッド44とスペーサ176との電気的接続部を目視で確認することができるので、不良発生の抑制が可能になる。また、溶融した金錫はんだ186は、キャスタレーション電極184に沿って上方に拡がるので、誘電体基板28の上面に沿った拡がりを抑え、寄生容量の増加を抑えることができる。
【0046】
金錫はんだ186は、蒸着で形成することで、溶融したときの流動性が抑えられる。したがって、スペーサ176を吸着するコレット(図示せず)が、溶融はんだを吸い込むことがなく、コレットの損傷を防止することができる。キャスタレーション電極184は、フラックス無しで、金錫はんだ186によって、導体パターン30の延長部40(パッド44)に接合される。
【0047】
図11に示すように、スペーサ176に導電性接着剤188を設ける。導電性接着剤188は、絶縁基板178の上面でキャスタレーション電極184に設ける。図12に示すように、スペーサ176にバイパスコンデンサ22を接合する。
【0048】
[第3の実施形態]
図13は、第3の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。図14は、図13に示す構造の一部拡大側面図である。誘電体基板328の第1部分390は、導体ブロック358に固定されている。誘電体基板328の第2部分392は、導体ブロック358からオーバーハングしている。誘電体基板328の第1部分390及び第2部分392は、1つの方向にのみ隣り合う。
【0049】
導体ブロック358は、上面に第1領域394及び第2領域396を有する。第2領域396は第1領域394よりも低くなっている。誘電体基板328の第1部分390は、第1領域394に固定されている。誘電体基板328の第2部分392は、第2領域396に間隔をあけて対向する。バイパスコンデンサ22の下電極24のオーバーハング領域38は、第1領域394に対向せず、第2領域396に間隔をあけて対向する。
【0050】
本実施形態では、第2領域396が低いので、下電極24のオーバーラップ領域36が導体ブロック358からさらに離れている。したがって、寄生容量がさらに小さくなり、特性インピーダンスの低下をさらに抑えることができる。
【0051】
導体パターン30のパッド44(図4参照)は、第1領域394との重なりを避けて、第2領域396の上方にある。また、バイパスコンデンサ22の下電極24も、第1領域394との重なりを避けて、第2領域396の上方にある。パッド44及び下電極24が、導体ブロック358から離れている。また、パッド44と導体ブロック358の間に空気が介在する。したがって、寄生容量がさらに小さくなり、特性インピーダンスの低下をさらに抑えることができる。
【0052】
[第4の実施形態]
図15は、第4の実施形態に係る光サブアセンブリの内部構造を示す斜視図である。誘電体基板428の第1部分490は、導体ブロック458に固定されている。誘電体基板428の第2部分492は、導体ブロック458からオーバーハングしている。誘電体基板428の第2部分492は、導体ブロック458に対向しない。バイパスコンデンサ22の下電極24のオーバーハング領域38(図4参照)は、導体ブロック458に対向しない。したがって、寄生容量がさらに小さくなり、特性インピーダンスの低下をさらに抑えることができる。
【0053】
誘電体基板428の第1部分490及び第2部分492は、交差する少なくとも2方向(図15に示す第1方向D1及び第2方向D2)に隣り合う。したがって、誘電体基板428が傾きにくくなっている。この点、第3の実施形態では、第1部分490と第2部分492の境界線が一直線であるため、誘電体基板328が傾きやすい。その他の内容は、第3の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0054】
図16は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた周波数特性を示す図である。周波数特性は、差動信号の伝送特性である。比較例では、バイパスコンデンサの下電極の全体が誘電体基板に重なる。寄生容量が小さいほど、伝送特性に優れていることが分かる。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 光半導体素子、12 半導体レーザ、14 光変調器、16 アノード電極、18 アノード電極、20 カソード電極、22 バイパスコンデンサ、24 下電極、26 上電極、28 誘電体基板、30 導体パターン、32 ボンディング部、34 溶加材、36 オーバーラップ領域、38 オーバーハング領域、40 延長部、42 溶加材、44 パッド、46 ライン、48 第1ライン部、50 第2ライン部、52 スタブ、54 ランド、56 終端抵抗器、58 導体ブロック、60 誘電体ブロック、62 導電層、64 サブ導体ブロック、66 サブ誘電体基板、68 第1導電層、70 第2導電層、72 電流源、74 同軸線路、76 スペーサ、78 絶縁基板、80 導電体、100 光サブアセンブリ、102 フレキシブル基板、104 プリント基板、176 スペーサ、178 絶縁基板、182 凹部、184 キャスタレーション電極、186 金錫はんだ、188 導電性接着剤、328 誘電体基板、358 導体ブロック、390 第1部分、392 第2部分、394 第1領域、396 第2領域、428 誘電体基板、458 導体ブロック、490 第1部分、492 第2部分、D1 第1方向、D2 第2方向、W1 ワイヤ、W2 ワイヤ、W3 ワイヤ、W4 ワイヤ、W5 ワイヤ、W6 ワイヤ、W7 ワイヤ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16