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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】保冷保温パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/52 20060101AFI20240215BHJP
   C09K 5/06 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B65D75/52
C09K5/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020166618
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022058050
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 拓嗣
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-046835(JP,U)
【文献】国際公開第02/064445(WO,A1)
【文献】実開平07-032469(JP,U)
【文献】実開平05-069577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
F25D 1/00- 9/00
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備える保冷保温パッケージであって、
前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、
前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、
前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備え
前記第1透明部は、前記第1と第2の対向部の対向方向から見たときに、前記媒体の収容領域の縁部と前記収容領域の縁部から離れた中央部とに重なっている、保冷保温パッケージ。
【請求項2】
液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備える保冷保温パッケージであって、
前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、
前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、
前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備え、
前記第1透明部が、前記第1の対向部に分散配置されている、保冷保温パッケージ。
【請求項3】
液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備える保冷保温パッケージであって、
前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、
前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、
前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備え、
前記第1透明部が、一定パターンで二次元的に繰り返された第1図柄が前記第1の対向部に形成されると共に、前記第2遮蔽部が、前記媒体を挟んで前記第1図柄の全体に対して対向している、保冷保温パッケージ。
【請求項4】
液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備える保冷保温パッケージであって、
前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、
前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、
前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備え、
前記第1の対向部には、前記第1遮蔽部及び前記第1透明部が、一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第1図柄が形成されると共に、
前記第2の対向部には、前記第2遮蔽部及び透明な第2透明部が、前記第1図柄と同じ一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第2図柄が形成され、
前記第1透明部と前記第2遮蔽部とが対向しかつ、前記第1遮蔽部と前記第2透明部とが対向するように配置されている、保冷保温パッケージ。
【請求項5】
液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備える保冷保温パッケージであって、
前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、
前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、
前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備え、
前記収容体は、二つ折り又は二枚重ねにされた樹脂シートの縁部が貼り合わされて、内側に前記媒体の収容領域が形成された袋であり、
前記第1の対向部のうち前記収容領域と対向する部分全体に前記第1透明部が分散配置されている、保冷保温パッケージ。
【請求項6】
前記収容体には、透明な容器本体と、その外側を覆うフィルムとが備えられ、
前記フィルムに前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部とが印刷されている、請求項1から4の何れか1の請求項に記載の保冷保温パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体と固体に状態が変化する媒体が収容体に収容されてなり、媒体を保冷材又は保温材として使用可能な保冷保温パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、保冷保温パッケージとして、媒体を凍結させて保冷材として使用可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-97984号公報(段落[0021]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の保冷保温パッケージに対して、媒体が液体であるか固体であるかを把握し易くすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、液体から固体に状態が変化すると透明から不透明に変化する媒体を、収容体に収容して備え、前記媒体が保冷材又は保温材として使用可能な状態か否かを前記収容体を通して目視確認可能な保冷保温パッケージであって、前記収容体のうち前記媒体を挟んで対向する第1と第2の対向部のうち前記第1の対向部に設けられる不透明な第1遮蔽部と、前記第1の対向部に設けられ、透明な第1透明部と、前記第2の対向部に設けられ、不透明であると共に、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認可能である一方で、前記媒体が固体になると前記第1透明部を通して視認困難になり、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される色の明度が、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色の明度とは異なる第2遮蔽部と、を備える保冷保温パッケージである。
【0006】
発明の第2態様は、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される前記第2遮蔽部と、前記第1遮蔽部と、のコントラストに比べ、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体と、前記第1遮蔽部と、のコントラストの方が小さい、第1態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0007】
発明の第3態様は、前記第1透明部を通して視認される固体の前記媒体の色と、前記収容体の外側から視認される前記第1遮蔽部の色は、白色である、第1態様または第2態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0008】
発明の第4態様は、前記第1透明部及び液体の前記媒体は、無色透明である、第1態様から第3態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0009】
発明の第5態様は、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される前記第2遮蔽部の色は、有彩色である、第1態様から第4態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0010】
発明の第6態様は、前記第1透明部と液体の前記媒体とを通して視認される前記第2遮蔽部の色は、青系統の色である、第1態様から第5態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0011】
発明の第7態様は、前記第1透明部は、前記第1と第2の対向部の対向方向から見たときに、前記媒体の収容領域の縁部と前記収容領域の縁部から離れた中央部とに重なっている、第1態様から第6態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0012】
発明の第8態様は、前記第1透明部が、前記第1の対向部に分散配置されている、第1態様から第7態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0013】
発明の第9態様は、前記第1透明部が、一定パターンで二次元的に繰り返された第1図柄が前記第1の対向部に形成されると共に、前記第2遮蔽部が、前記媒体を挟んで前記第1図柄の全体に対して対向している、第1態様から第8態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0014】
発明の第10態様は、前記第1の対向部には、前記第1遮蔽部及び前記第1透明部が、一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第1図柄が形成されると共に、前記第2の対向部には、前記第2遮蔽部及び透明な第2透明部が、前記第1図柄と同じ一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第2図柄が形成され、前記第1透明部と前記第2遮蔽部とが対向しかつ、前記第1遮蔽部と前記第2透明部とが対向するように配置されている、第1態様から第8態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0015】
発明の第11態様は、前記収容体は、二つ折り又は二枚重ねにされた樹脂シートの縁部が貼り合わされて、内側に前記媒体の収容領域が形成された袋であり、前記第1の対向部のうち前記収容領域と対向する部分全体に前記第1透明部が分散配置されている、第1態様から第10態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【0016】
発明の第12態様は、前記収容体には、透明な容器本体と、その外側を覆うフィルムとが備えられ、前記フィルムに前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部とが印刷されている、第1態様から第10態様の何れか1の態様に記載の保冷保温パッケージである。
【発明の効果】
【0017】
発明の第1態様の保冷保温パッケージでは、媒体が透明な液体状態のときには、第1透明部と媒体を通して第2遮蔽部が視認される一方で、媒体が不透明な固体状態のときには、第1透明部を通して第2遮蔽部を視認することが困難となる。そして、このように媒体の透明度が変化することで、第1透明部を通して視認される収容体内部の色の明度が変化する。これにより、媒体が状態変化したときに、第1透明部を通して視認される収容体内部の色と、第1遮蔽部の色と、のコントラストを変化させることが可能となり、媒体が液体であるか固体であるかを把握し易くすることができる。
【0018】
発明の第2態様では、媒体が固体に変化したときに上記コントラストが小さくなる。即ち、媒体が固体になると、第1透明部を通して見た収容体内部の色の明度が、第1遮蔽部の色の明度に近づく。このように色の明度が近づく基準があるので、媒体の状態変化により上記コントラストが大きくなる(色の明度の差が大きくなる)場合に比べて、媒体が固体になったことを把握し易くすることが可能となる。
【0019】
発明の第3態様では、媒体が固体に変化すると、第1透明部を通して視認される固体の媒体と、第1遮蔽部との両方が、白色になるので、媒体が固体になったことをより把握し易くすることが可能となる。
【0020】
発明の第4態様のように、第1透明部と液体の媒体とが無色透明であってもよい。この場合、第1の対向部側の外部から見たときの第1遮蔽部と第2遮蔽部との色を、異ならせればよい。
【0021】
発明の第5態様では、第1透明部と媒体を通して視認される第2遮蔽部の色が、有彩色になっている。従って、媒体が液体から固体に変化して白くなる場合に、第1透明部を通して視認される収容体の内部の色の明度の変化に加えて、彩度も変化させることが可能となり、媒体の凍結の有無をより把握し易くすることができる。
【0022】
発明の第6態様では、第1透明部と媒体を通して視認される第2遮蔽部の色が青系統の色になっている。青系統の色は、黄、橙、緑等の色相に比べて、明度を低くすることができるので、白色とのコントラストをつけやすくすることが可能となる。これにより、媒体の凍結の有無をさらに把握し易くすることができる。
【0023】
発明の第7態様では、第1透明部が、媒体の収容領域の縁部と中央部に重なる。従って、収容体に収容される媒体のうち、融解し難い(凍結し難い)中央部と、融解し易い(凍結し易い)縁部と、における媒体の状態変化を把握し易くすることができる。
【0024】
発明の第8態様では、第1透明部が、第1の対向部に分散配置されているので、媒体における分散した複数箇所の凍結の有無を把握し易くすることができる。
【0025】
発明の第9態様では、第1透明部が、一定パターンで2次元的に繰り返された配置になっているので、媒体の凍結を確認できる範囲の偏りを生じ難くすることができる。また、これら第1透明部が構成する第1図柄全体に第2の対向部が対向しているので、第1透明部を通して第2の対向部を目視できる角度範囲を広くすることができる。
【0026】
発明の第10態様では、第1の対向部と第2の対向部とを、同じパターンの図柄にすることができ、図柄の形成が容易となる。
【0027】
収容体は、樹脂シートからなる袋であってもよいし(発明の第11態様)、印刷されたフィルムを有する容器であってもよい(発明の第12態様)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の第1実施形態に係る保冷保温パッケージの斜視図
図2】保冷保温パッケージの断面図
図3】(A)媒体が液体のときの保冷保温パッケージの平面図、(B)保冷保温パッケージの底面図
図4】媒体が固体のときの保冷保温パッケージの平面図
図5】第2実施形態に係る保冷保温パッケージにおける(A)媒体が液体のときの平面図、(B)底面図
図6】第2実施形態に係る保冷保温パッケージにおける媒体が固体のときの平面図
図7】第3実施形態に係る保冷保温パッケージにおける媒体が液体のときの(A)平面図、(B)底面図
図8】第3実施形態に係る保冷保温パッケージの断面図
図9】第3実施形態に係る保冷保温パッケージにおける媒体が固体のときの(A)平面図、(B)底面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、本実施形態の保冷保温パッケージ10(以下、適宜、単に「パッケージ10」という。)は、内部に密閉領域を有する収容体20に、媒体30が収容されてなる。媒体30は、収容体20の外部の温度変化により液体と固体とに状態を変化させることが可能になっている。そして、媒体30は、状態変化の潜熱を利用してパッケージ10の周囲の物の温度を一定範囲に保つための保冷材又は保温材として使用される。例えば、パッケージ10は、媒体30を冷却して固体にしてから使用されてもよいし、媒体30を温めて液体にしてから使用されてもよい。
【0030】
媒体30は、液体のときには透明になっていて、冷却されて固体に変化すると、不透明になる。本実施形態の例では、媒体30は、液体から固体になると白色になる。なお、媒体30の材料は、パッケージ10を保冷材又は保温材として用いる温度により、適宜選択することができる。例えば、媒体30としては、パラフィンを主成分としたもの等が挙げられる。
【0031】
収容体20は、袋であってもよいし、容器であってもよい。本実施形態の例では、収容体20は、樹脂シートで構成される袋である。具体的には、収容体20は、長方形状の樹脂シートが二つ折りされて縁部が三方シールされて貼り合わされ、内部に媒体30が封入される密閉領域を形成する。なお、例えば、この樹脂シートとしては、例えば、ナイロンシートとポリエチレンシートとが積層された積層シートが挙げられる。媒体30がパラフィンを含む場合には、ナイロンシートが設けられることで、パラフィンの透過を防ぐことが容易となる。
【0032】
図2に示すように、収容体20には、媒体30を挟んで対向する第1と第2の対向部21,22が設けられている。具体的には、第1と第2の対向部21,22は、それぞれ収容体20を構成する上述の樹脂シートにおいて折り目を境にして分けられた部分からなる。
【0033】
第1の対向部21には、透明で媒体30を透視可能な第1透明部21Tと、不透明な第1遮蔽部21Sと、が設けられている。図3(A)に示すように、本実施形態では、第1透明部21Tは、第1の対向部21に複数設けられて、分散配置されている。これら第1透明部21Tは、一定パターンで二次元的に繰り返された第1図柄を形成している。同図の例では、第1透明部21Tは、例えば、菱形状になっていて、複数の第1透明部21Tは、向きを揃えて千鳥配列された菱形格子状に配置されている。また、第1透明部21Tは、第1と第2の対向部21,22の対向方向から見たときに、媒体30を収容する密閉領域の縁部と、密閉領域の縁部から離れた中央部とに重なるように配置されている。なお、第1透明部21Tは、上記対向方向で、媒体30の縁部の全体に重なるように形成されていてもよい。
【0034】
第1遮蔽部21Sは、第1の対向部21のうち第1透明部21Tを除いた部分全体からなる。なお、本実施形態の例では、収容体20のうち上述の三方シールがなされたシール部29は、第1透明部21Tを含んでおらず、第1遮蔽部21Sのみからなるが、第1透明部21Tがシール部29に設けられていてもよい。
【0035】
図3(B)に示すように、第2の対向部22には、不透明な第2遮蔽部22Sが設けられている。本実施形態の例では、第2の対向部22の全体が、第2遮蔽部22Sとなっている。従って、第2遮蔽部22Sは、第1と第2の対向部21,22の対向方向で、全ての第1透明部21Tと重なっている。
【0036】
本実施形態では、第1透明部21Tが透明になっているので、媒体30を第1透明部21Tを通して視認することができる。また、媒体30が液体のときには、媒体30も透明になっているので、第1透明部21Tと媒体30とを通して、第2遮蔽部22Sも視認可能となっている。一方、媒体30が固体になると、媒体30が不透明になるので、第2遮蔽部22Sは、第1透明部21Tを通して視認することが困難になる。
【0037】
ここで、本実施形態の保冷保温パッケージ10では、媒体30が凍結すると透明から不透明に変わることを利用して、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色を、変化させることができる。即ち、第1透明部21Tと液体状態の媒体30とを通して視認される第2遮蔽部22Sの色と、第1透明部21Tを通して視認される固体状態の媒体30の色とが、異なっている。
【0038】
具体的には、本実施形態の例では、第2遮蔽部22Sは、濃紺色になっていて、液体状態の媒体30と第1透明部21Tは、無色透明になっている。従って、媒体30が液体のときには、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色は、第2遮蔽部22Sの色と同じ濃紺色になっている。また、第1遮蔽部21Sは、白色になっている。従って、図3(A)に示すように、媒体30が液体のときにパッケージ10を第1の対向部21側から見ると、第1透明部21Tが配置された菱形状の部分に濃紺色の第2遮蔽部22Sが視認され、白地に濃紺色の菱形模様が入れられた菱形格子状の第1図柄が形成される。この図柄では、第1遮蔽部21Sの白色と、第1透明部21Tを通して視認される第2遮蔽部22Sの濃紺色とのコントラストが大きく、色の違いが明確である。
【0039】
一方、図4に示すように、媒体30が凍結して固体になると、上述のように媒体30が白くなり、第2遮蔽部22Sを隠して視認困難にする。この状態では、パッケージ10を第1の対向部21側から見ると、白無地のように見える。なお、第1遮蔽部21Sの白色と、第1透明部21Tを通して見た固体状態の媒体30の白色とは、全く同じ白色であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0040】
このように、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色が、濃紺色から白色に変化するので、媒体30が液体であるか固体であるかが把握し易くなる。また、媒体30が固体になると、第1遮蔽部21Sと固体の媒体30との色が同系色になるので、媒体30が液体状態のときに見えていた菱形格子状の模様が視認困難になる。これにより、媒体30の凍結の有無をより把握し易くすることができる。
【0041】
また、媒体30が状態変化するときには、第1遮蔽部21Sは白色のまま変化しないのに対し、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色は、濃紺色と白色とに変化し、明度を変化させる。即ち、第1遮蔽部21Sの色と、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色と、のコントラストが変化する。これにより、媒体30が液体であるか固体であるかをさらに把握し易くすることができる。本実施形態の例では、媒体30が凍結すると、媒体30が白くなって明度が上がり、上記コントラストが無くなるか又はほぼ無くなるまで小さくなる。従って、媒体30の凍結の有無を一層把握し易くなる。
【0042】
なお、本開示におけるコントラストとは、色の明度の比を意味する。明度の変化やコントラストの変化は、媒体30の凍結前後のパッケージ10の画像を撮影し、画像解析ソフト等でその画像の明度を解析することで数値的に確認することもできるが、上記画像をグレースケールで表示又は印刷して、媒体30の凍結有無で見比べると容易に確認できる。
【0043】
なお、第1遮蔽部21Sや第2遮蔽部22Sに着色する場合には、各対向部21,22の外面又は内面に印刷加工で着色してもよい。又は、各対向部21,22を、透明フィルムに着色フィルムを積層して構成してもよい。この場合、透明フィルムの外面又は内面に、部分的に又は全体的に着色フィルムを積層すればよい。
【0044】
以上のように、本実施形態の保冷保温パッケージ10では、媒体30が透明な液体状態のときには、第1透明部21Tと媒体30を通して第2遮蔽部22Sが視認される一方で、媒体30が不透明な固体状態のときには、第1透明部21Tを通して第2遮蔽部22Sを視認することが困難となる。そして、このように媒体30の透明度が変化することで、第1透明部21Tを通して視認される収容体20内部の色の明度が変化する。これにより、媒体30が状態変化したときに、第1透明部21Tを通して視認される収容体20内部の色と、第1遮蔽部21Sの色と、のコントラストを変化させることができ、媒体30が液体であるか固体であるかを把握し易くすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、媒体30が固体に変化したときには上記コントラストが小さくなる。即ち、媒体30が固体になると、第1透明部21Tを通して見た収容体20内部の色の明度が、第1遮蔽部21Sの色の明度に近づく。このように色の明度が近づく基準があるので、媒体30の状態変化により上記コントラストが大きくなる(色の明度の差が大きくなる)場合に比べて、媒体30が固体になったことを把握し易くすることが可能となる。しかも、媒体30が固体に変化すると、第1透明部21Tを通して視認される固体状態の媒体30と、第1遮蔽部21Sとの両方が、白色になるので、媒体30が固体になったことをより把握し易くすることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、第1透明部21Tと媒体30とを通して視認される第2遮蔽部22Sの色が、有彩色になっている。従って、媒体30が液体から固体に変化して白くなったときに、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色について、色の明度の変化に加えて、彩度も変化させることが可能となり、媒体30の凍結の有無をより把握し易くすることができる。
【0047】
また、第1透明部21Tと媒体30とを通して視認される第2遮蔽部22Sの色が青系統の色になっている。青系統の色は、黄、橙、緑等の色相に比べて、明度を低くすることができるので、白色とのコントラストをつけやすくすることが可能となる。これにより、媒体の凍結の有無をさらに把握し易くすることができる。なお、青系統の色とは、例えば、青や紺(濃紺等)等が挙げられる。なお、第2遮蔽部22Sの色を、青系統でない有彩色にしてもよいし、白以外の無彩色にしてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1透明部21Tが、第1と第2の対向部21,22の対向方向から見たときに、媒体30の収容領域の縁部と中央部に重なる。従って、収容体20に収容される媒体30のうち、融解し難い(凍結し難い)中央部と、融解し易い(凍結し易い)縁部と、における媒体の状態変化を把握し易くすることができる。さらに、第1透明部21Tが、第1の対向部21に分散配置されているので、媒体30における分散した複数箇所の凍結の有無を把握し易くすることができる。また、第1透明部21Tが、一定パターンで2次元的に繰り返された配置になっていて、これら第1透明部からなる第1図柄全体に第2の対向部が対向しているので、媒体30の凍結有無を確認できる範囲に偏りが生じ難くなる。
【0049】
また、本実施形態のパッケージ10では、第1の対向部21に不透明な第1遮蔽部21Sが設けられるので、第1の対向部21の全体が透明である場合に比べて、媒体30に気泡や塵芥等が混入した場合でも、それらを目立ちにくくすることが可能となる。
【0050】
[第2実施形態]
図5(A)及び図5(B)には、第2実施形態の保冷保温パッケージ10Vが示されている。本実施形態では、上記第1実施形態に対して、第1遮蔽部21Sの色が異なっている。具体的には、第1遮蔽部21Sが、第2遮蔽部22Sと同じ色になっていて、例えば濃紺色になっている。媒体30は、上記第1実施形態と同様に、液体状態では無色透明であり、固体状態では白色の不透明になる。また、第1透明部21Tも、無色透明になっている。図5(A)に示すように、本実施形態では、媒体30が液体状態のときには、第1の対向部21側から保冷保温パッケージ10Vを見ると、無地(例えば濃紺の無地)に見える。
【0051】
ここで、図6に示すように、媒体30が液体から固体に状態変化すると、媒体30が不透明な白色になり、第1透明部21Tを通して視認される収容体20の内部の色が、白色になる。これにより、第1の対向部21側から見ると、複数の第1透明部21Tの内側部分が白色になって、上記第1実施形態の図3(A)の例と色が逆転した菱形格子状の模様が視認される。本実施形態によっても、媒体30の凍結の有無を把握し易くすることができる。
【0052】
[第3実施形態]
図7(A)及び図7(B)には、第3実施形態の保冷保温パッケージ10Wが示されている。本実施形態では、第1の対向部21に、第1透明部21Tと第2遮蔽部22Sとが、一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第1図柄が形成されている。第2の対向部22には、透明で媒体30を透視可能な第2透明部22Tが設けられている。そして、第2の対向部には、第1の対向部21の第1図柄と同じ一定パターンで二次元的に交互に繰り返された第2図柄が形成されている。
【0053】
図8に示すように、第1図柄の第1透明部21Tは、第2図柄の第2遮蔽部22Sと対向している。また、第1図柄の第1遮蔽部21Sは、第2図柄の第2透明部22Tと対向している。このようにすることで、第1と第2の対向部21,22において、それぞれ透明部21T,22Tと遮蔽部21S,22Sを同じパターンで配列しながら、媒体30を通して遮蔽部21S,22Sの内面を外部から視認させることができる。
【0054】
ここで、本実施形態では、媒体30は上記第1実施形態と同様に無色透明になっているが、第1及び第2遮蔽部21S,22Sの色が、収容体20の外側と内側とで異なっている。例えば、第1及び第2遮蔽部21S,22Sを収容体20の外側から見たときの色(外側色)は、白色になっている。一方、第1及び第2遮蔽部21S,22Sを収容体20の内側から見たときの色(内側色)は、例えば、濃紺色になっている。従って、図7(A)及び図7(B)に示すように、上記第1図柄及び第2図柄は、媒体30が液体のときには、例えば2種類の色の菱形が二次元的に交互に繰り返された市松模様状になっている。
【0055】
図9(A)及び図9(B)に示すように、媒体30が凍結すると、媒体30が不透明な白色となり、第1及び第2遮蔽部21S,22Sの内面が視認困難となる。このとき、第1と第2の対向部21,22のどちら側から見ても、パッケージ10Wは、白色の無地のように見える。本実施形態のパッケージ10Wによっても、媒体30の凍結の有無を把握し易くすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、例えば、収容体20は袋であり、第1と第2の対向部21,22を構成する1対の樹脂シートが2枚重ねにされて、その縁部が四方シールされて形成されている。このような収容体20は、透明な透明部と不透明な遮蔽部とが上記第1図柄と同じ一定パターンで印刷された樹脂シートを用いれば、第1と第2の対向部21,22を両方とも形成することができる。従って、第1と第2の対向部21,22用の樹脂シートを別々に容易する場合に比べて、収容体20の形成を容易にすることが可能となる。
【0057】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、収容体20が袋であったが、例えばブロー成型品等の容器であってもよい。媒体30としてパラフィンを含むものを用いる場合には、収容体20にナイロン樹脂層を設けることが好ましい。例えば、収容体20は、ナイロン樹脂の単層構造であってもよいし、ナイロン樹脂層を含む複数層構造のものであってもよい。また、収容体20が容器である場合、例えば、収容体20を、透明な容器本体の外側をフィルムで覆う構成とし、そのフィルムに不透明な遮蔽部(第1遮蔽部21S、第2遮蔽部22S等)を印刷してもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、媒体30が液体状態のときに、無色透明であったが、有色透明であってもよい。また、第1透明部21Tが有色透明であってもよい。
【0059】
(3)第1透明部21Tの形状は、菱形に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよいし、多角形状であってもよいし、星形であってもよいし、記号や文字の形状であってもよい。例えば、媒体30が液体に変化したときに、第2遮蔽部22Sが第1透明部21Tを通して文字(例えば液体であることを示唆する文字列等)を視認させる構成であってもよい。また、第1透明部21Tを複数設ける場合には、第1透明部21T同士の形状が異なっていてもよいし、第1透明部21T同士の大きさが異なっていてもよい。また、収容体20の透明な透明部と、不透明な遮蔽部との配置パターンは、例えば、市松模様でもよいし、ギンガムチェック等であってもよい。また、上記第1実施形態において、第1透明部21Tと第1遮蔽部21Sとの配置を逆にして、第1遮蔽部21Sが分散配置されていてもよい。
【0060】
(4)上記第2実施形態(図5(A)参照)において、液体の媒体30を有色にして、第1透明部21Tと液体の媒体30とを通して視認される第2遮蔽部22Sの色が、第1遮蔽部21Sと略同じ色になるようにしてもよい。この媒体30としては、凍結すると白色又は青白い色になり、明度が上がるものを使用する。このようにすれば、第1透明部21Tと液体の媒体30とを通して視認される第2遮蔽部22Sの色を、図5(A)と同じように、第1遮蔽部21Sとほぼ同じ色にすることが可能となる。そして、媒体30が凍結すると、図6と同じように、固体状態の媒体30が第1透明部21Tを通して白っぽく見え、上記第2実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0061】
(5)上記実施形態では、第2遮蔽部22Sの内面が無地であったが、柄が形成されていてもよい。例えば、このような柄としては、各種のチェック柄やストライプ柄等が挙げられる。
【0062】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0063】
10 保冷保温パッケージ
20 収容体
21 第1の対向部
21T 第1透明部
21S 第1遮蔽部
22 第2の対向部
22S 第2遮蔽部
30 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9