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特許7437294光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出
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  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図1
  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図2
  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図3
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  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図7
  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図8A
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  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図9
  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図10
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  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図12
  • 特許-光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】光干渉断層撮影画像等の1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240215BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20240215BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/01 512
A61B1/045 610
A61B1/045 618
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020201493
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2021102049
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】62/944,064
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/098,042
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505669(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047713(WO,A1)
【文献】特開2014-158619(JP,A)
【文献】特表2015-535723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071404(US,A1)
【文献】Hyeong Soo Nam, et al.,Automated detection of vessel lumen and stent struts in intravascular optical coherence tomography to evaluate stent apposition and neointimal coverage,Medical Physics,2016年03月14日,Vol. 43, No. 4,pp. 1662-1675
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出するための光干渉断層撮影(「OCT」)システムであって、1つ以上のプロセッサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
フィルタリングされたOCT極座標画像データを用いて、前記1つ以上の画像における前記管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトのうち1つ以上を検出し、
前記OCT極座標画像データからシースを検出し、除外又は除去し、
前記OCT極座標画像データの各1次元(1D)データ又はAラインにおいて最大ピーク又は最大パルスである主要ピーク及びエッジを発見し、前記主要ピーク及びエッジを用いて、前記主要ピーク及びエッジが有効な管腔エッジに対応するかどうかを少なくとも決定し、
ガイドワイヤを検出及び除去し、
前記主要ピークに基づいて、1つ以上のステント候補を検出及び処理し、
ステント領域をマージ及び拡張し、
陰影プロファイルを計算し、前記ステント若しくはステントストラット、及び/又は前記ステント若しくはステントストラットの中心を発見又は確認し、
管腔と前記1つ以上のステント若しくはステントストラットとの境界の近くの管腔エッジを抽出し、
欠測データ、又は、抽出された前記管腔エッジの1つ以上の部分を補間し、
1つ以上の埋没ステント又はステントストラットを見つけ、
前記管腔エッジを出力又は保存し、ステントストラットの情報、及び/又は、前記ステント若しくはステントストラットの前記中心の位置を出力又は保存する
ように動作する、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記1Dデータ又は前記Aラインのデータから、1つ以上のピーク及び関連エッジを検出すること、
前記1Dデータ又は前記Aラインのデータ上の1つ以上のピーク幅と、前記1Dデータ又は前記Aラインのデータの勾配とを計算すること、
同じAライン上の1つ以上のオブジェクトを受け付けること、
近傍のAライン間の接続性に基づいて、前記1つ以上のオブジェクトを一緒にグループ化すること、及び、
ピーク値、ピークとエッジの位置、及び異なる幅値に基づいて、異なるオブジェクトを区別すること、
のうち1つ以上を実行するように更に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、前記管腔エッジ及び前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの検出の成功率を向上させるために、前記シース及び/又はガイドワイヤの1つ以上の特性を用いて、前記シースを除外又は除去し、前記ガイドワイヤを除去するように更に動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、エッジ位置ジャンプ及び狭いピーク幅パターンを用いて、前記ステント候補を検出するように更に動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、局所領域で前記1つ以上のステント候補の各々を処理し、前記ガイドワイヤ及び/又は前記1つ以上のステントストラットの両側の近傍の管腔エッジを検索するように更に動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、前記管腔エッジの前記補間を用いて、前記陰影プロファイルを計算し、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの陰影を確認又は発見し、かつ/又は、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの前記中心の位置を確認又は発見するように更に動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記管腔と前記1つ以上のステント若しくはステントストラットとの前記境界の近くの2次ピークから、前記管腔エッジ又は前記管腔エッジの部分を抽出すること、
1つ以上の有効な管腔エッジ、又は前記境界の領域の近くの前記ステントのピークの後ろに2次ピークとして存在する前記管腔エッジの部分を識別すること、及び/又は
管腔エッジ結果の質を向上させるために、抽出された前記1つ以上の有効な管腔エッジを前記管腔エッジ結果に含めること、
のうち1つ以上を実行するように更に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記管腔エッジ又は前記管腔エッジの前記部分の抽出は、前記2次ピークのうち、非管腔ピークとして識別済みであるか又は識別される前記Aライン上の前記主要ピークの外側の2次ピークを検索することにより、現在の前記管腔エッジの接続性に基づき、かつ/又は、
前記抽出プロセスは、更なるピークが見つからなくなるまで、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの両側を検索する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記管腔エッジの欠落部分又は前記欠落している管腔エッジと前記管腔のピークの両方を補間して、前記管腔エッジの完全な閉曲線を形成すること、及び/又は、
補間された前記ピークのプロファイルに基づいて、前記陰影プロファイルを計算して、埋没した前記ステント領域を識別し、ピーク幅パターンを用いて前記ステント若しくはステントストラットを検索すること、
のうち1つ以上を実行するように更に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、
各Aライン上の前記情報に基づいて、極座標画像又は前記極座標画像データにおける前記管腔エッジ、前記ガイドワイヤ、前記1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上の他のアーチファクトを検出し、次に、近傍Aライン情報を用いて、検出された前記管腔エッジ、ガイドワイヤ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上の他のアーチファクトを、オブジェクト又はオブジェクトタイプにグループ化又は分類すること、
層のレベルが識別され、次のレベルの結果では、処理する関心領域が少ないか又は小さく、グループ化又は分類されたオブジェクト又はオブジェクトタイプの信用又は追加の信用があるような方式で、前記極座標画像から前記オブジェクトを抽出すること、及び/又は、
反復的な方法で処理を実行するか、又は反復的な方法を採用して、抽出されたオブジェクトに関する情報を各Aラインに追加し、前記極座標画像において検出することのできる全てのAライン及びオブジェクトを完全にカバーすること、
のうち1つ以上を実行するように更に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
光を発するように動作する光源、
干渉光学系であって、(i)前記光源からの前記光を受け取り、オブジェクト又はサンプルを照射する第1の光と第2の参照光とに分割し、(ii)前記干渉光学系の参照ミラーで反射するように前記第2の参照光を送り、(iii)前記オブジェクト又はサンプルを照射した前記第1の光の反射光又は散乱光と、反射された前記第2の参照光とを互いに結合又は再結合させ、かつ干渉させることにより、1つ以上の干渉縞を生じる干渉光を生成するように動作する干渉光学系、及び/又は、
前記画像における前記1つ以上の管腔エッジ、前記1つ以上のステント及び/又は前記1つ以上のアーチファクトが検出され、前記1つ以上の画像から前記1つ以上のステント及び/又は前記1つ以上のアーチファクトが除去されるように、前記干渉光及び/又は前記1つ以上の干渉縞を連続して取得するように動作する1つ以上の検出器、
のうち1つ以上を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出する方法であって、前記方法は、1つ以上のプロセッサを有する画像処理装置によって実行され、
前記1つ以上のプロセッサが、フィルタリングされた光干渉断層撮影(「OCT」)極座標画像データを用いて、前記1つ以上の画像における前記管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトのうち1つ以上を検出するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記OCT極座標画像データからシースを検出し、除外又は除去するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記OCT極座標画像データの各1次元(1D)データ又はAラインにおいて最大ピーク又は最大パルスである主要ピーク及びエッジを発見し、前記主要ピーク及びエッジを用いて、前記主要ピーク及びエッジが有効な管腔エッジに対応するかどうかを少なくとも決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、ガイドワイヤを検出及び除去するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記主要ピークに基づいて、1つ以上のステント候補を検出及び処理するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、ステント領域をマージ及び拡張するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、陰影プロファイルを計算し、前記ステント若しくはステントストラット、及び/又は前記ステント若しくはステントストラットの中心を発見又は確認するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記管腔と前記1つ以上のステント若しくはステントストラットとの境界の近くの管腔エッジを抽出するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、欠測データ、又は、抽出された前記管腔エッジの1つ以上の部分を補間するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、1つ以上の埋没ステント又はステントストラットを発見するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記管腔エッジを出力又は保存し、ステントストラットの情報、及び/又は、前記ステント若しくはステントストラットの前記中心の位置を出力又は保存するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、前記1Dデータ又は前記Aラインのデータから、1つ以上のピーク及び関連エッジを検出するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1Dデータ又は前記Aラインのデータ上の1つ以上のピーク幅と、前記1Dデータ又は前記Aラインのデータの勾配とを計算するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、同じAライン上の1つ以上のオブジェクトを受け入れるステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、近傍のAライン間の接続性に基づいて、前記1つ以上のオブジェクトを一緒にグループ化するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、ピーク値、ピーク位置とエッジの位置、及び異なる幅値に基づいて、異なるオブジェクトを区別するステップと、
のうち1つ以上を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シースの前記除外又は除去と、前記ガイドワイヤの前記除去は、前記管腔エッジ及び前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの検出の成功率を向上させるために、前記シース及び/又はガイドワイヤの1つ以上の特性を用いるステップを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ステント候補の検出は、エッジ位置ジャンプ及び狭いピーク幅パターンを用いることを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサによる前記1つ以上のステント候補の前記処理は、前記1つ以上のプロセッサが、局所領域で前記1つ以上のステント候補の各々を処理するステップと、前記1つ以上のプロセッサが、前記ガイドワイヤ及び/又は前記1つ以上のステントストラットの両側の近傍の管腔エッジを検索するステップとを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサによる前記管腔エッジの前記補間は、前記1つ以上のプロセッサが前記陰影プロファイルを計算し、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの陰影を確認又は発見し、かつ/又は、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの前記中心の位置を確認又は発見するために用いられる、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサが、前記管腔と前記1つ以上のステント若しくはステントストラットとの前記境界の近くの2次ピークから、前記管腔エッジ又は前記管腔エッジの部分を抽出するステップ、
前記1つ以上のプロセッサが、1つ以上の有効な管腔エッジ、又は前記境界の領域の近くの前記ステントのピークの後ろに前記2次ピークとして存在する前記管腔エッジの部分を識別するステップ、及び/又は、
前記1つ以上のプロセッサが、管腔エッジ結果の質を向上させるために、抽出された前記1つ以上の有効な管腔エッジを前記管腔エッジ結果に含めるステップ、
のうち1つ以上を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサによる前記管腔エッジ又は前記管腔エッジの前記部分の抽出は、前記1つ以上のプロセッサが、前記2次ピークのうち、非管腔ピークとして識別済みであるか又は識別される前記Aライン上の前記主要ピークの外側の2次ピークを検索することにより、現在の管腔のエッジの接続性に基づき、かつ/又は、
前記抽出プロセスでは、前記1つ以上のプロセッサが、更なるピークが見つからなくなるまで、前記1つ以上のステント若しくはステントストラットの両側を検索する、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサによる前記欠測データ、又は、抽出された前記管腔エッジの前記1つ以上の部分の前記補間は、抽出された前記管腔エッジの欠落部分又は前記欠落している管腔エッジと前記管腔のピークの両方を補間して、前記管腔エッジの完全な閉曲線を形成するステップを含む、及び/又は、
前記1つ以上のプロセッサによる前記陰影プロファイル又は陰影蓄積プロファイルの前記計算は、補間された前記ピークのプロファイルに基づいて、前記陰影プロファイルを計算して、埋没した前記ステント領域を識別し、ピーク幅パターンを用いて前記ステント若しくはステントストラットを検索するステップを含む、
のうち1つ以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のプロセッサが、各Aライン上の前記情報に基づいて、極座標画像又は前記極座標画像データにおける前記管腔エッジ、前記ガイドワイヤ、前記1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上の他のアーチファクトを検出し、次に、近傍Aライン情報を用いて、検出された前記管腔エッジ、ガイドワイヤ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上の他のアーチファクトを、オブジェクト又はオブジェクトタイプにグループ化又は分類するステップ、
層のレベルが識別され、次のレベルの結果では、処理する関心領域が少ないか又は小さく、グループ化又は分類されたオブジェクト又はオブジェクトタイプの信用又は追加の信用があるような方式で、前記1つ以上のプロセッサが、前記極座標画像から前記オブジェクトを抽出するステップ、及び/又は、
前記1つ以上のプロセッサが、反復的な方法で処理を実行するか、又は反復的な方法を採用して、抽出されたオブジェクトに関する情報を各Aラインに追加し、前記極座標画像において検出することのできる全てのAライン及びオブジェクトを完全にカバーするステップ、
のうち1つ以上を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの画像内の撮像されている標的又はオブジェクトは、組織、軟部組織、血管、生物学的管状構造、動脈、腸、静脈、器官、及び/又は、撮像されている患者の生物学的構造のうちの1つ以上である、及び、
前記1つ以上のアーチファクトは、1つ又は複数のステント、1つ又は複数のステントストラット、1つ又は複数のガイドワイヤ、及び/又は、前記少なくとも1つの画像のイメージング手順に用いられる任意のツール若しくはコンポーネント、のうち1つ以上を含む、
のうち1つ以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのプログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記少なくとも1つのプログラムは、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つの画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出する方法を実行させるように動作し、前記方法は、
フィルタリングされた光干渉断層撮影(「OCT」)極座標画像データを用いて、前記1つ以上の画像内の前記管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトのうち1つ以上を検出するステップと、
前記OCT極座標画像データからシースを検出し、除外又は除去するステップと、
前記OCT極座標画像データの各1次元(1D)データ又はAラインにおいて最大ピーク又は最大パルスである主要ピーク及びエッジを発見し、前記主要ピーク及びエッジを用いて、前記主要ピーク及びエッジが有効な管腔エッジに対応するかどうかを少なくとも決定するステップと、
ガイドワイヤを検出及び除去するステップと、
前記主要ピークに基づいて、1つ以上のステント候補を検出及び処理するステップと、
ステント領域をマージ及び拡張するステップと、
陰影プロファイルを計算し、前記ステント若しくはステントストラット、及び/又は前記ステント若しくはステントストラットの中心を発見又は確認するステップと、
前記管腔と前記1つ以上のステント若しくはステントストラットとの境界の近くの管腔エッジを抽出するステップと、
欠測データ、又は、抽出された前記管腔エッジの1つ以上の部分を補間するステップと、
1つ以上の埋没ステント又はステントストラットを発見するステップと、
前記管腔エッジを出力又は保存し、ステントストラットの情報、及び/又は、前記ステント若しくはステントストラットの前記中心の位置を出力又は保存するステップと、
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年12月5日に提出された米国特許出願第62/944,064号に関連し、それに対する優先権を主張し、その開示全体は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して医用イメージングの分野に関し、特に、OCT又は他(例えば血管内超音波検査(IVUS)、他の管腔画像等)の画像等の画像の管腔検出、ステント検出及びアーチファクト検出を達成するための、1つ以上の光学装置、システム、(使用及び/又は製造のための)方法及び記憶媒体(光ファイバカテーテル、内視鏡、並びに/又は、光干渉断層撮影法(OCT)及び/若しくは蛍光の装置及びシステムと、それに用いられる方法及び記憶媒体等)に関する。そのような用途の例として、心臓及び/又は眼での用途等の生体オブジェクトのイメージング、評価及び診断と、1つ以上の光学機器(光学プローブ、カテーテル、内視鏡、移相ユニット(例えば検流計スキャナ)及びベンチトップシステム等)による取得が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
光ファイバのカテーテル及び内視鏡は、内臓にアクセスするために開発された。例えば心臓病学では、カテーテルを用いて管の深さ分解画像を確認するために、OCTが開発された。カテーテル(シース、コイル及び光学プローブを含み得る)を、冠動脈へとナビゲートすることができる。
【0004】
光干渉断層撮影法(OCT)は、組織や材料の高解像度の断面画像を取得する技術であり、リアルタイムの可視化を可能にする。OCT技術の目的は、フーリエ変換やマイケルソン干渉計等の干渉光学系や干渉法を用いて、光の時間遅延を測定することである。光源からの光は、スプリッタ(例えばビームスプリッタ)によって分離され、参照アームとサンプル(又は測定)アームに送られる。参照ビームは、参照アームの参照ミラー(部分反射要素又は他の反射要素)から反射され、サンプルビームは、サンプルアームのサンプルから反射又は散乱される。両ビームは、スプリッタで結合(又は再結合)され、干渉縞を生成する。干渉計の出力は、分光計(例えばフーリエ変換赤外分光計)等の1つ以上のデバイスにおいて、フォトダイオードやマルチアレイカメラ等の1つ以上の検出器によって検出される。干渉縞は、サンプルアームの経路長が参照アームの経路長と光源のコヒーレンス長の範囲内で一致する場合に、生成される。出力ビームを評価することにより、入力放射線のスペクトルを周波数の関数として導出することができる。
【0005】
干渉縞の周波数は、サンプルアームと参照アームの間の距離に対応する。周波数が高いほど、経路長の差が大きくなる。OCT光学プローブには一般にシングルモードファイバが使用され、蛍光及び/又は分光法には一般にダブルクラッドファイバが使用される。
【0006】
OCT画像から血管の幾何学的測定結果を取得するために、OCT画像から管腔エッジが検出される。しばしば、管腔エッジ検出のための画像処理アプローチでは、画像処理アルゴリズムが管腔エッジ検出を確実に実行するために、いくつかの最適な大域的閾値を決定することができるように、画像のほぼ均一な照明が必要となる。検出された管腔エッジの精度を更に向上させるために、近傍のOCT画像からの管腔エッジ検出の結果を相関させて、外れ値を除去し、管腔エッジ全体を平滑化する。
【0007】
しかしながら、画像の大域的閾値の最適性は、基礎となる画像画素強度分布の特定の仮定に基づき、画像が必ずしもそのような仮定を満たすとは限らない。したがって、画像処理アルゴリズムから得られる閾値は、最適ではない場合がある。
【0008】
血管の様々な湾曲とサイズを考えると、OCT画像は不均一な照明を表示することが多い。よって、最適な大域的閾値を見つけることは、画素強度ベース及び/又は勾配ベースのエッジ検出を伴う画像処理アルゴリズムでは、不可能であるか又は有り得ないことになりがちである。例えば、画像セグメンテーションベースのエッジ検出では、最適な大域的又は局所的な閾値を、画像全体の画素の強度値に適用して、領域の境界から管腔エッジを決定する前に画像を異なる領域にセグメント化することができる。別の例として、勾配ベースのエッジ検出では、大域的閾値を、勾配方向とともに画像全体の画像の画素の勾配値に適用し、管腔エッジの周りに有意な明るさの変化がある境界を検出することができる。しかしながら、どちらのアプローチ(すなわち画像セグメンテーションベースと勾配ベースのエッジ検出)も、管腔エッジ検出結果に影響を与える(例えば結果を不正確にする)おそれのある不均一な照明を考慮しておらず、又は対処していない。更に、セグメンテーション法は、最終的な管腔エッジの輪郭を形成するために、画像全体又は個々のAラインに適用される。しかしながら、実際には、管腔と他のオブジェクト(ステント等)との間の幾何学的位置が異なると、紛らわしい或いは間違った結果が生じるおそれがある。言い換えれば、従来のアプローチは、現実世界の複雑さや環境条件、又はそのような紛らわしく或いは間違った結果に繋がるおそれのある他の要因を考慮せずに、最適な画質とレイアウト条件を重視している。
【0009】
画像の大域的閾値の最適性は、基礎となる画像画素強度分布の特定の仮定に基づく。通常、前景と背景を区別するために、各画像で統計的に計算される。実際には、収集された画像は、ノイズの多い信号や、前述したむらのある照明、様々なアーチファクト、ステント及びガイドワイヤからの明るい金属反射を被る。画像は、閾値に用いられるそのような仮定を常に満たすとは限らないので、これらのアルゴリズムからの閾値は、常に最適であるとは限らない。全体的な画質は、管腔エッジ点の識別を成功させる上で重要な役割を果たし得る。少なくとも一例として、血管の様々な湾曲とサイズを考えると、OCT画像は不均一な照明を表示することが多い。これにより、画素強度ベースと勾配ベースのエッジ検出アルゴリズムの両方において最適な大域的閾値を見つけることが不可能になるので、標準の画像処理アプローチを用いた検出結果が信頼性のないものになってしまう。
【0010】
一般に、OCT画像を使用する管腔及びステントストラットの検出アルゴリズムの従来のアプローチは、理想的な画質が存在し、単純な管腔形状が含まれ、ステント、シース、ガイドワイヤ及び管腔の間に分離された相対位置が発生又は存在することを前提としている。しかしながら、実際には、OCT画像は、ノイズが多く、不均一に照明されているおそれがある。ガイドワイヤ及びステントによって生成される金属反射信号は、特にそのような構造が光源に非常に近いときに非常に強くなる可能性があり、これにより、Aライン全体で信号の上昇が生じるか、又は、陰影エリアに2次反射スポットが現れる。管腔エッジとステントが互いに非常に近いとき、従来のセグメンテーションアルゴリズムでは、それらを区別して正しい管腔エッジを選択するのが難しい場合がある。各Aライン上の単一のエッジ点を検出する方法では、常に正しい管腔エッジ点を生成することが保証されておらず、このような方法では、近傍エッジ点の接続性をチェックして、外れ値を回避したり、通常の仮定又は事前設定された/所定の仮定に従わない特別なパターンを識別したりすることはできない。また、従来のアルゴリズムは、特に、カテーテルシースが管腔エッジに付着しているエリア、及び/又は残留血液がシースと血管壁の間に存在するか、若しくはそれらの両方に付着しているエリアにおいて、正しい管腔エッジを推定するために用いることのできる特別な処理を欠いているか無視している。
【0011】
したがって、高効率に、かつ合理的な製造及び保守のコストで、一貫した信頼性の高い検出結果を達成するために、少なくとも1つの光学デバイス、アセンブリ又はシステムに用いられる1つ以上のOCT技術を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0012】
OCTイメージングにおける管腔エッジ検出は、ステントストラット、ガイドワイヤ、イメージング角度による画像明度の変動、シース反射、血管断面の不規則な形状等を含む多くの特徴に対応するアーチファクトの影響を受けやすい場合がある。OCTの特定の用途(マルチモダリティOCT(MMOCT)システム/装置等)は、管腔エッジ検出を用いて、近赤外自家蛍光(NIRAF)信号又は近赤外蛍光(NIRF)信号の距離減衰を修正することができる。好ましくは、正確なリアルタイムのNIRAF又はNIRFイメージングでは、OCT画像の単一フレームに基づくリアルタイムの正確な管腔エッジ検出が用いられる。例えば、米国特許公開第2019/0298174号、米国特許出願第16/131,662号(2020年3月19日に2020/0085285として公開され、2020年8月18日に米国特許第10,743,749号として発行された)及び米国特許出願第62/925,655号を参照(各々が、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。単一のOCTフレームを用いて管腔エッジを正確に検出することにより、後処理を含む、血管等のオブジェクト又は標的の全体の測定精度を改善することができる。
【0013】
1つ以上の実施形態では、管腔エッジ検出及びステントストラット検出のために、範囲ベースのピーク検索を、極座標における画像の各1次元(1D)信号(例えばAライン)に適用することができる。1つ以上の実施形態は、画素強度値とAライン値に沿った分離した勾配とを組み合せて、有意なエッジを管腔エッジとして定め、異なるピーク形状について複数のピークエッジのペアを計算することができる。1つ以上の実施形態は、近傍エッジ点の位置(例えば近傍のピーク、近傍の画像/Aライン等)及び特性をチェックし、そのような情報を分離可能なオブジェクトにグループ化することにより、1回目に得られるピークの性質を適切に識別することができる。1つ以上の実施形態は、強度値、ピーク位置及びピーク幅の値に基づいて、分離可能なオブジェクトを検出することができ、また、1つ又は複数のピークをそれぞれの近傍Aラインへと成長させて、局所ピークを見つけることができる(利用可能な場合)。1つ以上の実施形態は、陰影プロファイルの形状を調べ、ステントストラットの中心を見つけるために、ガイドワイヤ又はステントの候補を求める局所的な計算を用いることにより、大域的陰影プロファイルを回避することができる。1つ以上の実施形態では、データの補間を用いることができる。例えば、1つ以上の実施形態は、結果を改善するために、Aライン遷移効果を考慮して、正確に識別された近傍オブジェクトに基づいて、欠測データ又はオブジェクト分離を補間することができる。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態では、OCT画像は、Aラインから極座標系に形成される。各Aラインは、狭い信号幅並びに/又は鋭い立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのような、金属オブジェクト(例えばステント、ステントストラット、ガイドワイヤ等)からのアーチファクトを明確に示すもの;広い信号幅や緩やかな立ち下がりエッジのような、シース反射や他のアーチファクトと比較した場合の、遮るもののない軟部組織の信号の強度及び形状における有意差等、イメージングされたオブジェクトに関する多くの情報を含む。各Aラインは、特定の視野角に沿った、血管等の標的、サンプル、オブジェクト等の断面1Dサンプリングを表す。イメージングプローブ又はデバイスが回転すると(例えば約0度から約360度、約180度から約360度、約360度等)、対応するAラインが、極座標において標的、サンプル、オブジェクト等(例えば血管)の完全な2次元(2D)断面を形成し、次いでそれがデカルト座標に変換されて、標的、サンプル、オブジェクト等(例えば血管)の断面の断層撮影ビュー(トモビュー)画像が形成される。
【0015】
1つ以上の実施形態では、個々のAラインを処理して、最も有意な信号源を決定することができる。各Aラインから1次元(1D)エッジ位置を決定することができる。Aラインにおける有意差を用いて、信号源のタイプを決定することができる。アーチファクトからのエッジ点は除去することができ、ギャップは補間することができる。1Dエッジ結果から2次元(2D)管腔エッジを形成することができる。よって、1D処理は対応する2D処理よりも高速である場合があるので、1つ以上の実施形態では、処理速度が改善される可能性がある。
【0016】
1つ以上の実施形態は、管腔エッジ検出を確実に実行するために1つ以上の最適な大域的閾値を決定することができるように、画像のおおよそ均一な、実質的に均一な、又は均一な照明を提供することができる。検出された管腔エッジの精度を更に向上させるために、近傍のOCT画像からの管腔エッジ検出の結果を相関させて、外れ値を除去し、管腔エッジ全体を平滑化する。
【0017】
血管の湾曲と、屈曲と、イメージングプローブに対する距離とに応じて、イメージングプローブから出る光が血管壁にほぼ垂直に入射する場合に、一部のAラインはより強い画素強度値をもち得るが、一方、イメージングプローブから血管壁への光の入射が通常の入射から逸脱した場合に、他の一部のAラインは弱めの信号をもち得る。更に、イメージングプローブが血管の中心に位置していないとき、光がプローブから血管まで進む距離は、イメージングプローブが回転するにつれて変化し、1つの画像フレーム内で明るさの変化を生じる。したがって、血管のトモビューは、対応するイメージング角度と血管壁までのイメージング距離とに応じて、1つの画像内の領域ごとに異なる画素強度を表示する場合がある。
【0018】
1つ以上の実施形態において、血管内で回転するイメージングプローブを用いてOCT画像が形成されると考えると、有意なエッジ点又は関心管腔エッジは、撮像される血管の内壁に対応し得る。そのような構成は、1つ以上の実施形態では、1つの完全に囲まれた管腔エッジを有するものとして、各トモビューOCT画像を制限し得る。そのような構成は、1つ以上の実施形態では、各Aラインに1つの関心ピクセル(1つの関心管腔エッジ画素、1つの関心エッジ画素、1つの関心画素、管腔エッジ以外のエッジであるエッジの関心画素等)のみが存在し得る状況に転換し得る。1つ以上の実施形態では、ステントストラット及びガイドワイヤが存在する場合、軟部組織の管腔エッジ点は、完全に又は部分的に遮られる場合がある。各Aラインには、1つ以上の実施形態では、管腔エッジ画素が1つだけあるか、又は何もない(少なくとも1つの金属アーチファクトが存在する場合)ことが好ましい。
【0019】
追加又は代替として、1つ以上の実施形態では、このような構成(例えば、血管内でイメージングプローブが回転する、撮像される血管の内壁に対応する有意なエッジ点又は関心管腔エッジ、完全に囲まれた管腔エッジが1つある、等)は、検出された主要ピークエッジを有効な管腔エッジ画素として確認することにより、異なる関心領域を伴う単一のAラインに提示される複数のピークが検出可能となるか又は検出され得るプロセスに転換する場合があり、近傍のオブジェクトへの有効な接続性により、抽出されたピークは一緒に結合可能となるか又は結合することができ、空間内で分離されたオブジェクトを形成することができる。
【0020】
1つ以上の実施形態では、最初のピーク抽出は、極座標系の断面画像における各Aラインの関心領域上で得ることができる。位置(例えば各Aラインの、各エッジの、各エッジ位置の、等)及び幅のパラメータのジャンプをチェックすることにより、管腔エッジを超えて外部オブジェクト(ガイドワイヤやステント等)の候補を検出することができる。1つ以上の実施形態では、第1つのステップは、ガイドワイヤ領域を確認又は検出し、管腔エッジセグメントからガイドワイヤを除去することであってよい。除去されたガイドワイヤは、近傍の管腔エッジ画素間の補間によって置換することができる。次に、本開示の1つ以上の実施形態は、反復アプローチを用いて、ステント候補を1つずつ処理して、陰影プロファイル計算に用いられる(又は陰影プロファイル計算のための)正しい範囲又はステント領域を定めることができる。異なるオブジェクトの境界において個々のAライン上の複数のピークを見つけることにより、画像から管腔エッジを可能な限り多く抽出することができる。他のオブジェクトからの影が管腔エッジを完全にブロックする場合、管腔エッジは、近傍の管腔エッジ画素から局所的に補間され、画像から得られる最良の推定値で表される。1つ以上の実施形態では、他の全てのオブジェクトを結果から除外することにより、管腔エッジの完全なカーブを抽出することができる。
【0021】
本開示の1つ以上の実施形態では、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体が参照により全体として本明細書に組み込まれる)で論じられているような1つ以上の管腔、ステント若しくは他のオブジェクトの検出技術及び/又はプロセス等の、1つ以上の管腔、ステント若しくは他のオブジェクトの検出技術及び/又はプロセスを用いることができる。例えば、本開示の1つ以上の実施形態は、極座標の断面画像における各Aラインに関心管腔エッジ画素を1つだけもつというこの制約を利用することができる。各Aラインのこの単一のエッジ画素を決定するために1D信号処理技術を利用することにより、本開示の1つ以上の実施形態は、管腔エッジ検出アルゴリズムを単純化し、断面2D画像の大域的な最適閾値を見つける必要性を完全に排除する。これにより、各Aラインは、最良の検出結果を得るための独自の最適な閾値をもつことができる(つまり、Aラインの総数は、1つの画像内の異なる閾値の数に対応する)。
【0022】
別の例として、本開示の1つ以上の実施形態は、更に、ガイドワイヤ及びステントからのアーチファクトに起因する顕著なAライン形状変化を利用することができ、管腔エッジ検出中にステントストラットや金属からの他の画像アーチファクトを識別するのに役立つ不透明度と反射率の尺度として、立ち下がり‐立ち上がり勾配比(FRGR)を導入することができる。
【0023】
少なくとも1つの手順の本開示の1つ以上の実施形態は、少なくとも1つ以上のフローチャートを用いて説明することができる。本開示は、Aラインの管腔エッジ画素を検出する方法、Aラインのピークに対応する最初の管腔エッジ画素候補を検出する方法(例えば近傍接続性を用いてピークを1つ以上のオブジェクトに結合する)、OCT画像において画像アーチファクトによって生じたエッジ画素を識別する方法、撮像された血管の最終的な管腔エッジを形成する方法等、方法の1つ以上の実施形態の1つ以上の特徴を詳細に記述する。
【0024】
更に、ガイドワイヤやステントストラット等の特定のオブジェクトは、1つ以上の実施形態において、局所的に計算された陰影プロファイルを用いて識別及び確認される。各ステント陰影が確認されると、その中心位置も計算される。最後に、1つ以上の実施形態では、管腔エッジ全体が接続され、画像全体について補間されると、埋没ステントストラットも同じか又は同様の方法を用いて抽出され、撮像された血管の最終的な管腔エッジとステントストラットの位置の両方が出力される(例えば、メモリに格納される、ディスプレイに表示される、媒体(例えば紙)に印刷される等)。
【0025】
本開示の1つ以上の実施形態は、近傍のピークを一緒に接続することにより、更に、関連情報(ピーク値、ピーク位置及びピーク幅等)を用いて正しいオブジェクトタイプを決定することにより、2D画像(3Dに拡張可能)における異なるオブジェクトを、それらの幾何学的分離に基づいてモデル化する。オブジェクトの検索と成長は、絶えず精緻化される関心領域に対して局所的に実行することができるので、重要であり関連性のある情報を利用して、より信頼性の高い、或いは正確な結果が生成される。画像に提示される管腔エッジは、他のオブジェクト(シース、ガイドワイヤ、ステント及び/又は金属反射等)を適切に除外することで、抽出することができる。1つ以上の実施形態では、管腔エッジに影を落とす全てのステントを繰り返し除去した後、結果を補間及び平滑化することにより、完全な管腔エッジ及び管腔ピークの完全な接続性を保証することができる。このような情報により、埋没ステントをより正確に検出するのに役立つ、より優れた大域的陰影プロファイルの更なる計算が可能となる。
【0026】
したがって、本開示の少なくとも1つの広範な目的は、高効率、合理的な製造及び保守コスト等、一貫性のある信頼性の高い検出結果を達成するために、1つ以上の光学装置、システム、(使用及び/又は製造のための)方法及び記憶媒体(光ファイバカテーテル、内視鏡並びに/又は光干渉断層撮影(OCT)装置及びシステム、それと併用される方法及び記憶媒体等)を提供することである。
【0027】
管腔エッジ検出のための2つの画像処理アプローチは、以下のとおりである:(i)最適な大域的又は局所的な閾値を、OCT画像の画素の強度値に適用して、領域の境界から管腔エッジを決定する前に画像を異なる領域にセグメント化する、画像セグメンテーションベースのエッジ検出;及び(ii)いくつかの大域的閾値を、勾配方向とともに画像全体の画像の画素の勾配値に適用し、管腔エッジの周りに有意な明るさの変化がある境界を検出する、勾配ベースのエッジ検出。1つ以上の実施形態では、近傍の画像間の相互相関を用いて、管腔エッジ検出結果を改善することができる。結果は、ステント等のデバイスの検出に用いることができる。これらのアプローチは1つ以上の実施形態で用いることができるが、本明細書で論じられる他のアプローチは、当該2つのアプローチよりも有利である。
【0028】
本開示の1つ以上の追加の目的は、以下のうちの1つ以上である:(i)1つ以上の実施形態において、2次元(2D)画像において大域的閾値の使用を回避すること;及び(ii)1つ以上の実施形態において、エッジ検出のために、画素強度値と、Aライン値に沿った分離した勾配及びAライン値にわたる勾配の値とを組み合せて、管腔エッジ検出の正確性を改善すること。例えば、大域的閾値の使用を回避する1つ以上の実施形態では、2D画像処理を、分離した1D信号処理に切り離すことができ、管腔エッジ検出のために、極座標の画像の各1次元(1D)信号(すなわちAライン)に適応閾値を用いることができる。
【0029】
1つ以上の実施形態では、1次元Aライン信号により、基礎となる信号についてより多くの情報が明らかになる。管腔エッジ画素とアーチファクト画素は、Aライン信号を用いて容易に識別することができる。好ましくは、1つ以上の実施形態では、各1次元データ(Aライン)には、管腔エッジ検出のための独自の最適閾値がある。このような特徴により、2D画像において大域的な最適閾値を見つける必要性がなくなり、計算の複雑さが低減される。また、当該特徴の1つ以上により、局所的な画像強度の変動に対するアルゴリズムの感度が低減され、かつ/又は、イメージング角度及び距離の変化に起因する強度変動に対して耐性が提供される。
【0030】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出するための光干渉断層撮影システムは、以下を含んでよい:光を発するように動作する光源;干渉光学系であって、(i)光源からの光を受け取り、オブジェクト又はサンプルを照射する第1の光と第2の参照光とに分割し、(ii)干渉光学系の参照ミラーで反射するように第2の参照光を送り、(iii)オブジェクト又はサンプルに照射された第1の光の反射光又は散乱光と、反射された第2の参照光とを互いに結合又は再結合させ、かつ/又は干渉させることにより、1つ以上の干渉縞を生じる干渉光を生成するように動作する干渉光学系;及び、画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント及び/又は1つ以上のアーチファクトが検出され、1つ以上の画像から1つ以上のアーチファクト及び/又は1つ以上のステントが除去されるように、干渉光及び/又は1つ以上の干渉縞を連続して取得するように動作する1つ以上の検出器。
【0031】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出するための方法は、以下を含んでよい:フィルタリングされた光干渉断層撮影(「OCT」)極座標画像データを用いて、1つ以上の画像における管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトのうち1つ以上を検出するステップ;OCT極座標画像データからシースを検出し、除外又は除去するステップ;OCT極座標画像データの各1次元(1D)データ又はAラインにおいて、主要ピーク及びエッジを発見するステップ;ガイドワイヤを検出及び除去するステップ;1つ以上のステント候補を検出及び処理するステップ;ステント領域をマージ及び拡張するステップ;陰影プロファイルを計算し、ステント若しくはステントストラット、及び/又はステント若しくはステントストラットの中心を発見又は確認するステップ;管腔と1つ以上のステント若しくはステントストラットとの境界の近くの管腔エッジを抽出するステップ;欠測データ、又は管腔エッジの1つ以上の部分を補間するステップ;1つ以上の埋没ステント又はステントストラットを発見するステップ;及び、管腔エッジ及びステントストラットの情報、並びに/又は、ステント若しくはステントストラットの中心位置を出力又は保存するステップ。
【0032】
1つ以上の方法実施形態は、以下を含んでよい:2次元(2D)画像データをフィルタリングして、標的又はオブジェクトの少なくとも1つの画像を平滑化すること;少なくとも1つの画像の垂直勾配及び水平勾配を計算すること;1次元(1D)フィルタリングを実行して、Aラインデータと、各Aラインに沿った各方向の勾配とを平滑化すること;各Aラインについて有意なパルスを決定又は検出し、有意なパルスから各Aラインの管腔エッジ点を検出すること;及び、少なくとも1つの画像から、1つ以上の完全な管腔エッジを形成すること。
【0033】
1つ以上の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は少なくとも1つのプログラムを格納し、少なくとも1つのプログラムは、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つの画像における1つ以上の管腔エッジ、1つ以上のステント及び/又は1つ以上のアーチファクトを検出する方法を実行させるように動作し、該方法は、以下を含んでよい:フィルタリングされた光干渉断層撮影(「OCT」)極座標画像データを用いて、1つ以上の画像における管腔エッジ、1つ以上のステント若しくはステントストラット、及び/又は1つ以上のアーチファクトのうち1つ以上を検出するステップ;OCT極座標画像データからシースを検出し、除外又は除去するステップ;OCT極座標画像データの各1次元(1D)データ又はAラインにおいて、主要ピーク及びエッジを発見するステップ;ガイドワイヤを検出及び除去するステップ;1つ以上のステント候補を検出及び処理するステップ;ステント領域をマージ及び拡張するステップ;陰影プロファイルを計算し、ステント若しくはステントストラット、及び/又はステント若しくはステントストラットの中心を発見又は確認するステップ;管腔と1つ以上のステント若しくはステントストラットとの境界の近くの管腔エッジを抽出するステップ;欠測データ、又は管腔エッジの1つ以上の部分を補間するステップ;1つ以上の埋没ステント又はステントストラットを発見するステップ;及び、管腔エッジ及びステントストラットの情報、並びに/又は、ステント若しくはステントストラットの中心位置を出力又は保存するステップ。
【0034】
1つ以上の実施形態は、以下を含んでよい:2次元(2D)画像データをフィルタリングして、標的又はオブジェクトの少なくとも1つの画像を平滑化すること;少なくとも1つの画像の垂直勾配及び水平勾配を計算すること;1次元(1D)フィルタリングを実行して、Aラインデータと、各方向の勾配とを平滑化すること;各Aラインについて有意なパルスを管腔エッジとして決定又は検出し、又は、有意なパルスから各Aラインの管腔エッジ点を検出すること;及び、少なくとも1つの画像から、1つ以上の完全な管腔エッジを形成すること。
【0035】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、1つ以上の画像における管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出のための装置及びシステム、並びに方法及び記憶媒体は、血液や粘液、組織等の生体オブジェクトを特性評価するように動作することができる。
【0036】
なお、本開示の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出方法の1つ以上の実施形態は、走査型プローブを用いて組織サンプル内の信号の反射及び散乱から画像が形成される他のイメージングシステム、装置又はデバイスにおいて用いることができる。例えば、OCT画像に加えて、又はOCT画像の代わりに、IVUS画像を処理することができる。
【0037】
本開示の1つ以上の実施形態は、血管内イメージング、動脈硬化プラーク診断、心臓ステント評価、バルーンシナプラスティ(Balloon Sinuplasty)、副鼻腔ステント留置、関節鏡検査、眼科、耳の研究、獣医学での使用及び研究等の臨床用途に用いることができる。
【0038】
本開示の少なくとも別の態様によれば、光学部品の数を削減又は最小化することにより、また、1つ以上の装置、デバイス、システム及び記憶媒体の使用/製造のコストを削減するための効率的な技術のおかげで、本明細書で論じられる1つ以上の技術を採用して、当該装置、デバイス、システム及び記憶媒体の製造及び保守のうち少なくとも1つのコストを削減することができる。
【0039】
本開示の他の態様によれば、本明細書では、1つ以上の管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を用いる(又はそれと併用される)1つ以上の追加のデバイス、1つ以上のシステム、1つ以上の方法及び1つ以上の記憶媒体が論じられる。本開示の更なる特徴は、以下の説明から、かつ添付の図面を参照して、一部は理解可能であり、一部は明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本開示の様々な態様を図示する目的で(同様の数字は同様の要素を示す)、図面には、採用され得る単純化された形態が示されている。しかし、当然のことながら、本開示は、図示されている精確な配置及び手段によって限定されず、又はそれに限定されない。当業者が本明細書の主題を作製及び使用することを支援するために、添付の図面及び図を参照する。
【0041】
図1図1は、本開示の1つ以上の態様に係る、1つ以上の管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を利用することのできるシステムの実施形態を示す図である。
図2図2は、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための装置又はシステムの少なくとも1つの実施形態と併用することのできるカテーテルの実施形態の図である。
図3図3は、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出プロセスの少なくとも1つの実施形態を示すフロー図である。
図4図4A図4Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置又はシステムを用いて標的(例えばステント留置された血管)から撮影された、極座標におけるOCT画像の少なくとも1つの実施形態の例を示す図である。
図5図5は、本開示の1つ以上の態様に係る、標的(例えば軟部組織)からの平滑化されたAライン及び勾配を示すグラフである。
図6図6A図6Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置又はシステムを用いて取得された、ガイドワイヤからのAラインと、ステントストラットからのAラインをそれぞれ示すグラフである。
図7図7A図7Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置又はシステムを用いた、標的(例えばステント留置された血管)から撮影された極座標におけるOCT画像と、デカルト座標におけるOCT画像とのペアをそれぞれ示す図である。
図8A図8Aは、本開示の1つ以上の態様に係る、少なくとも2つの管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出プロセスのそれぞれの実施形態を示すフロー図である。
図8B図8Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、少なくとも2つの管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出プロセスのそれぞれの実施形態を示すフロー図である。
図9図9は、本開示の1つ以上の態様に係る、1つ以上の管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を利用することのできる少なくとも第2のシステムの実施形態を示す図である。
図10図10は、本開示の1つ以上の態様に係る、1つ以上の管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を利用することのできる少なくとも第3のシステムの実施形態を示す図である。
図11図11は、本開示の1つ以上の態様に係る、1つ以上の管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を利用することのできる少なくとも第4のシステムの実施形態を示す図である。
図12図12は、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置、システム、方法及び/又は記憶媒体の1つ以上の実施形態と併用することのできるコンピュータの実施形態の概略図を示す。
図13図13は、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置、システム、方法及び/又は記憶媒体の1つ以上の実施形態と併用することのできるコンピュータの別の実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書では、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を用いたイメージングのための1つ以上のデバイス/装置、光学系、方法及び記憶媒体が開示される。
【0043】
ここで図面の詳細に目を向けると、図1は、本開示の1つ以上の態様に係る光学プローブ用途とともにOCT技術(本明細書で論じられる管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術の1つ以上の実施形態等)を利用するように動作するOCTシステム100(本明細書では「システム100」とも呼ばれる)を示す。システム100は、光源101、参照アーム102、サンプルアーム103、スプリッタ104(本明細書では「ビームスプリッタ」とも呼ばれる)、参照ミラー(本明細書では「参照反射」とも呼ばれる)105及び1つ以上の検出器107を備える。システム100は移相デバイス又はユニット130を含んでよく、1つ以上の実施形態では、移相デバイス又はユニットは省略することができる。1つ以上の実施形態では、システム100は、患者インタフェースデバイス又はユニット(「PIU」)110及びカテーテル120(図1図2に図式的に示される)を含んでよく、システム100は、サンプル又は標的106とインタラクトすることができる(例えばカテーテル120及び/又はPIU110を介して)。1つ以上の実施形態では、システム100は干渉計を含み、又は、干渉計は、少なくとも光源101、参照アーム102、サンプルアーム103、スプリッタ104及び参照ミラー105等の、システム100の1つ以上のコンポーネントによって画成される。
【0044】
光源101はスプリッタ104への光を生じるように動作し、スプリッタ104は、光源101からの光を、参照アーム102に入る参照ビームとサンプルアーム103に入るサンプルビームとに分離する。ビームスプリッタ104は、参照ミラー105、1つ以上の検出器107及びサンプル又は標的106に対して、角度を成して位置付け又は配置される。参照ビームは移相ユニット130(システムに含まれる場合、システム100に示される)を通過し、参照ビームは参照アーム102の参照ミラー105に反射される。一方、サンプルビームは、サンプルアーム103のPIU(患者インタフェースユニット)110及びカテーテル120を通して、サンプル106から反射又は散乱される。参照ビームとサンプルビームの両方は、スプリッタ104で結合(又は再結合)し、干渉縞を生成する。システム100及び/又はその干渉計の出力は、1つ以上の検出器107(例えばフォトダイオードやマルチアレイカメラ等)で連続的に取得される。1つ以上の検出器107は、結合又は再結合された2つの放射線又は光ビーム間の干渉又は干渉縞を測定する。1つ以上の実施形態では、フリンジ効果が作り出され、1つ以上の検出器107によって測定することができるように、参照ビームとサンプルビームは、異なる光路長を進む。システム100及び/又はその干渉計の出力から得られる電気アナログ信号は、デジタル信号に変換されて、コンピュータ1200,1200´(それぞれ後述される図12又は図13に示される)等のコンピュータによって解析される。1つ以上の実施形態では、光源101は、放射線源、又は広帯域の波長で放射される広帯域光源であってよい。1つ以上の実施形態では、ソフトウェア及び電子機器を含むフーリエ解析器を用いて、電気アナログ信号を光スペクトルに変換することができる。
【0045】
光源101は、複数の光源を含んでもよいし、単一の光源であってもよい。光源101は、1つ以上の実施形態において、広帯域レーザ光を発生する。光源101は、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱灯、レーザによって励起される超連続光源、及び/又は蛍光灯のうち1つ以上を含んでよい。光源101は、少なくとも3つのバンドに分離することのできる光を提供する任意の光源であってよく、各バンドは更に分散されて、空間情報のスペクトル符号化に用いられる光を提供する。光源101は、本明細書で論じられる1つ又は複数のシステム(システム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)の他のコンポーネントにファイバ結合されてもよいし、自由空間結合されてもよい。
【0046】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、OCTシステムの機能は、光ファイバを用いて実装される。前述したように、本開示のOCT技術の1つの用途は、図1図2に概略的に示されるように、カテーテル120とともにOCTを使用することである。
【0047】
図2は、シース121、コイル122、プロテクタ123及び光学プローブ124を含むカテーテル120の実施形態を示す。図1図2に概略的に示されるように、カテーテル120は、プルバックでコイル122をスピンさせるために、PIU110に接続されることが好ましい(例えば、PIU110の少なくとも1つの実施形態は、プルバックでコイル122をスピンさせるように動作する)。コイル122は、その近位端から遠位端へ(例えば、PIU110の回転モータを介して、又はそれによって)トルクを送達する。1つ以上の実施形態では、評価されている生体器官、サンプル又は物質(血管や心臓等の中空器官等)の全方向ビューを見るために光学プローブ124の遠位端もスピンするように、コイル122は光学プローブ124とともに/光学プローブ124に固定される。例えば、光ファイバのカテーテル及び内視鏡は、アクセスするのが困難な内臓器官(血管内画像や消化管、その他の狭域等)へのアクセスを提供するために、OCT干渉計のサンプルアーム(図1に示されるサンプルアーム103等)内に存在してよい。カテーテル120又は内視鏡の内部の光学プローブ124を通る光のビームが関心表面にわたって回転すると、1つ以上のサンプルの断面画像が得られる。3次元データを取得するために、光学プローブ124は、回転スピン中に長手方向に同時に並進されて、らせん状のスキャンパターンをもたらす。この並進は、プローブ124の先端を近位端に向かって引き戻すことによって行うことができるので、プルバックと呼ばれる。
【0048】
1つ以上の実施形態では、患者ユーザインタフェース110は、1つ以上のコンポーネント(プローブ(例えばカテーテル120(例えば図1図2)を参照)、針、カプセル、患者インタフェースユニット(例えば患者インタフェースユニット110)等のうち1つ以上のコンポーネント)を、1つ以上の他のコンポーネント(光学コンポーネント、光源(例えば光源101)、偏向部(例えば、光源からの光を干渉光学系へ偏向し、次に干渉光学系から受け取った光を少なくとも1つの検出器に向けて送るように動作するコンポーネントである偏向部又は被偏向部;1つ以上の干渉計、サーキュレータ、ビームスプリッタ、アイソレータ、カプラ、溶融ファイバカプラ、穴のある部分切断ミラー、及びタップ付き部分切断ミラー等のうち少なくとも1つを含む偏向部又は被偏向部、等)、サンプルアーム102、接続コンポーネント及び/又は患者ユーザインタフェース110に電力を供給するように動作するモータ等)に接続するために、回転接合部等の接続コンポーネント(又はインタフェースモジュール)を備える又は含むことができる。例えば、接続部材又はインタフェースモジュールが回転接合部である場合、回転接合部は後述するように動作することが好ましい)。1つ以上の他の実施形態では、回転接合部は、接触型回転接合部、レンズレス回転接合部、レンズベース回転接合部、又は当業者に既知の他の回転接合部のうち少なくとも1つであってよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、PIU110は、光ファイバ回転接合部(FORJ)と、回転モータ及び並進電動ステージ(例えばPIU110の一部)と、カテーテルコネクタ(例えばPIU110の一部)とを含んでよい。FORJにより、ファイバをファイバ軸に沿って回転させながら、光信号を途切れることなく伝送することができる。FORJは、ロータ及びステータを含む自由空間光ビームコンバイナを有してよい。
【0050】
システム100´に存在し既に前述された(システム100について等)同じ番号の要素の説明は繰り返さないこととし、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、コンソール1200,1200´は、モータ及び並進電動ステージ(以降、「モータ」又は「モータ及びステージ」と呼ぶ)の動きを制御し、少なくとも1つの検出器107から強度データを取得し、スキャンされた画像を表示する(例えば、以下で更に論じられる図12のコンソール1200及び/又は図13のコンソール1200´に示されるディスプレイ、スクリーン又はモニタ1209等のモニタ又はスクリーンに)ように動作する。1つ以上の実施形態では、コンソール1200,1200´は、モータの速度を変更し、かつ/又はモータを停止するように動作する。モータは、速度を制御して位置の精度を高めるために、ステッピング又はDCサーボモータであってよい。
【0052】
1つ以上の実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200,1200´は、システム100(及び、以下で更に後述されるステム100´、システム100´´、システム100´´´等の他のシステム)、カテーテル120、及び/又は、システム100の1つ以上の前述した他のコンポーネントを制御するように動作する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200,1200´は、OCTシステム/デバイス/装置の少なくとも1つの検出器107から強度データを取得し、画像を表示する(例えば、以下で更に論じられる図12のコンソール1200及び/又は図13のコンソール1200´に示されるディスプレイ、スクリーン又はモニタ1209等のモニタ又はスクリーンに)ように動作する。システム100(及び、以下で更に後述されるステム100´、システム100´´、システム100´´´等の他のシステム)の1つ以上のコンポーネントの出力は、例えばフォトダイオードや光電子増倍管(PMT)、ラインスキャンカメラ、マルチアレイカメラ等、OCTシステム/デバイス/装置の少なくとも1つの検出器107によって取得される。システム100(及び/又は後述されるシステム100´、システム100´´、システム100´´´等の他のシステム)又はその1つ以上のコンポーネントの出力から得られる電気アナログ信号は、デジタル信号に変換されて、コンピュータ1200,1200´(例えば図1図9図11及び図12図13に示される)等のコンピュータによって解析される。1つ以上の実施形態では、光源101は、放射線源、又は広帯域の波長で放射される広帯域光源であってよい。1つ以上の実施形態では、ソフトウェア及び電子機器を含むフーリエ解析器を用いて、電気アナログ信号を光スペクトルに変換することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの検出器107は、3つの異なる帯域の光を検出するように構成された3つの検出器を含む。
【0053】
1つ以上の実施形態では、管腔エッジ検出及びステントストラット検出のために、範囲ベースのピーク検索を、極座標における画像の各1次元(1D)信号(例えばAライン)に適用することができる。1つ以上の実施形態は、画素強度値と、Aライン値に沿った分離された勾配とを組み合せて、有意なエッジを管腔エッジとして定め、異なるピーク形状について複数のピーク/エッジのペアを計算することができる。1つ以上の実施形態は、近傍エッジ点の位置(例えば近傍のピーク、近傍のAライン等)及び特性をチェックし、そのような情報を分離可能なオブジェクトにグループ化することにより、1回目に得られるピークの性質を適切に識別することができる。1つ以上の実施形態は、強度値、ピーク位置及びピーク幅の値に基づいて、分離可能なオブジェクトを検出することができ、また、1つ又は複数のピークを近傍のAラインへと成長させて、局所ピークを見つけることができる(利用可能な場合)。1つ以上の実施形態は、陰影プロファイルの形状を調べ、ステントストラットの中心を見つけるために、ガイドワイヤ又はステントの候補を求める局所的な計算を用いることにより、大域的陰影プロファイルを回避することができる。1つ以上の実施形態では、データの補間を用いることができる。例えば、1つ以上の実施形態は、結果を改善するために、Aライン遷移効果を考慮して、正確に識別された近傍オブジェクトに基づいて、欠測データ又はオブジェクト分離を補間することができる。
【0054】
本開示の1つ以上の実施形態では、OCT画像は、Aラインから極座標系に形成される。各Aラインは、狭い信号幅並びに/又は鋭い立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのような、金属オブジェクト(例えばステント、ステントストラット、ガイドワイヤ等)からのアーチファクトを明確に示すもの;広い信号幅や緩やかな立ち下がりエッジのような、シース反射や他のアーチファクトと比較した場合の、遮るもののない軟部組織の信号の強度及び形状における有意差等、イメージングされたオブジェクトに関する多くの情報を含む。各Aラインは、特定の視野角に沿った、血管等の標的、サンプル、オブジェクト等の断面1Dサンプリングを表す。イメージングプローブ又はデバイスが回転すると(例えば約0度から約360度、約180度から約360度、約360度等)、対応するAラインが、極座標において標的、サンプル、オブジェクト等(例えば血管)の完全な2次元(2D)断面を形成し、次いでそれがデカルト座標に変換されて、標的、サンプル、オブジェクト等(例えば血管)の断面の断層撮影ビュー(トモビュー)画像が形成される。
【0055】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述のように、本明細書では、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出のための1つ以上の方法が提供される。例えば、1つ以上の方法は、以下のうち1つ以上を含んでよい:(i)OCT画像の前処理を実行すること(例えば、フィルタリングされたOCT画像、勾配画像、二値画像等を準備することによって);(ii)極座標におけるフィルタリングされたOCT画像上で、血管の管腔及び組織が観察できるように、シースエッジプロファイル及び視野(FOV)を見つけること;(iii)個々のAライン上の半値(half-max)、最大勾配及びゼロ勾配について、主要ピーク及び対応するエッジを見つけること;(iv)ピーク値、ピーク幅又はピーク位置の観点から最大の分断領域を検出し、それが有効な陰影プロファイルをもつことを確認すること;(v)主要ピークの位置及びピーク幅を用いて、ステント候補のリストを検出すること;(vi)ステント候補の中の非管腔ピークを成長させて、近傍管腔ピークに到達するまで正しい陰影領域を見つけること;(vii)陰影領域上の陰影プロファイルを局所的に計算すること(また、1つ以上の実施形態では、陰影プロファイル形状を分析して、ステントの存在を確認し、更に、ストラットの中心位置を見つけること);(viii)ステント陰影及び管腔の近くの管腔ピーク及びエッジを抽出すること;(ix)陰影の後ろの管腔ピーク及びエッジの線形補間を実行すること;(x)画像全体の完全な管腔ピークを用いて陰影プロファイルを計算すること(また、1つ以上の実施形態では必要に応じて、管腔エッジの後ろのステントストラットの候補としてプロファイルの谷を見つけ、次に、局所ピークを検索し成長させて、当該局所ピークが埋没ステントストラットであることを確認すること);及び(xi)平滑化された管腔エッジをステントストラットの位置とともに出力すること。
【0056】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述のように、本明細書では、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出のための1つ以上の方法が提供される。図3は、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出の方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートを示す。好ましくは、本方法は、以下のうち1つ以上を含む:(i)OCT画像前処理を実行して、極性画像Aラインデータを取得/処理すること(例えばフィルタリングされたOCT極性画像データを用いて)(例えば図3のステップS200を参照);(ii)シース検出を実行し、かつ/又はシースを除外すること(例えば図3のステップS201を参照);(iii)各Aラインについてピーク及び最大勾配エッジを計算し、かつ/又は、主要ピーク及び/又はエッジを見つけること(例えば図3のステップS202を参照);(iv)管腔エッジ及びアーチファクトについてピーク及び幅のパラメータを見つけ計算すること(例えば図3のステップS203を参照);(v)ガイドワイヤアーチファクトを検出/決定及び除去すること(例えば図3のステップS204を参照;図3のステップS204bも参照、この場合、ガイドワイヤ位置を決定することは、少なくとも部分的に、前のフレームに基づくことができる);(vi)位置及びピーク幅のジャンプを用いて(例えば、エッジジャンプステント検出(例えば図3のステップS205aを参照)、狭いピーク幅ステント検出(例えば図3のステップS205bを参照)、それらの組合せ等を用いて)、ステントストラット候補を識別/検出及び/又は処理すること(例えば図3のステップS205を参照);(vii)ステント領域をマージ及び拡張すること(例えば図3のステップS206を参照);(viii)ステントストラット候補の陰影プロファイルを計算し、ステントストラット中心を見つけ(例えば図3のステップS208を参照)、かつ/又は、ステント中心位置について陰影パターンを確認すること(例えば図3のステップS207及び/又はステップS208を参照);(ix)境界又は境界領域の近くの管腔エッジを抽出すること(例えば図3のステップS209を参照);(x)欠落した管腔エッジ又は欠落した管腔エッジ情報/データを補間すること(例えば線形補間を用いて)(例えば図3のステップS210を参照);(xi)埋没ステント検出を実行すること(例えば埋没したステント及び/又はステントストラット中心を見つけること)(例えば図3のステップS211を参照);及び(xii)管腔エッジ及び/又はステントストラット中心位置を出力及び/又は保存すること(例えば図3のステップS212を参照)。1つ以上の実施形態では、埋没ステント検出を実行するステップ(例えば図3のステップS211を参照)は、以下のうち1つ以上を含んでよい:(a)大域的陰影プロファイルを計算すること(例えば図3のステップS211aを参照);(b)管腔エッジの後ろのステントピーク/エッジを見つけること(例えば図3のステップS211bを参照);(c)ピーク幅を計算すること(例えば図3のステップS211cを参照);(d)ステント領域をマージ及び拡張すること(例えば図3のステップS211dを参照);及び/又は(e)埋没ステントを確認し、ストラット中心位置を見つけること(例えば図3のステップS211eを参照)。
【0057】
画像前処理(例えばOCT画像前処理)を実行して、極性画像Aラインデータを取得/処理すること(例えばフィルタリングされたOCT極性画像データを用いて)(例えば図3のステップS200を参照)の少なくとも1つの実施例として、図4Aを参照されたい。図4Aに示されるように、極座標でのステント留置された血管のOCT画像の少なくとも1つの実施形態では、イメージングプローブの中心は、画像の上端に位置し得る。画像の各列は、Aラインを構成することができる。
【0058】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述したように、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出のための1つ以上の追加の方法は、本明細書に提供され、また、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられている。いくつかの例として、前処理は、限定ではないが、以下のステップのうち1つ以上を含んでよい:(1)極座標における2D画像を平滑化すること(例えば後述するように、ガウシアンフィルタを用いて等)、(2)ソーベル演算子を用いて垂直勾配及び/又は水平勾配を計算すること(以下で説明するように)、及び/又は、(3)大津法を用いて二値画像を計算すること。例えば、大津法は、画素を前景と背景の2つのクラスに分類する自動画像閾値化技術であり、該方法は、2つのクラス間のクラス内分散を最小化し、大域的に最適なk平均法と同等である(例えばhttps://en.wikipedia.org/wiki/Otsu%27s_methodを参照)。当業者には当然のことながら、1つ以上の実施形態では、大津法に加えて、又は大津法の代わりに、大津法以外の前処理法(Jenks最適化法等)を用いることができる。
【0059】
シース検出の少なくとも1つの実施例として(例えば図3のステップS201を参照)、極座標画像(例えばOCT極座標画像、例えば図4AのOCT画像等)は、(図4Aの上面から下面へ、OCT極座標画像の上面から下面へ等)シースエリアと正常視野(FOV)を含んでよい。1つ以上の実施形態では、管腔エリア及びエッジはFOV内にある。シースの1つ以上の形状は(通常想定されるように)円ではない場合があり、シース(したがってシース形状)は管腔又はガイドワイヤに付着しているか又は重なっている場合があるので、シースを他の形状(例えば管腔、ガイドワイヤ等)から事前に分離することが有用である場合がある。
【0060】
ピークと主要又は最大の勾配エッジとを計算/発見すること(例えば各Aラインについて)(例えば図3のステップS202を参照)の少なくとも1つの実施例として、例えば管腔OCT画像(例えば通常の管腔OCT画像)の1つ以上の実施形態では、軟部組織及び他のアーチファクトが、異なる特性をもつ1つ以上のピークにより、各Aライン上に提示される場合がある。例えば、軟部組織は、管腔エッジを越えて広く明るい領域を有する場合があり、一方、アーチファクトは、エッジを越えて急激に暗い陰影エリアを生成する場合がある。1つ以上のOCT画像の高解像度の性質に起因して、近傍Aライン間の移行部分には両方のピークの信号が含まれる場合がある。そのような信号により、1つ以上の方法の実施形態又はプロセスは、アーチファクトオブジェクト及び/又は管腔エッジのより正確な位置を取得することが可能になり得る。
【0061】
アプローチに関係なく、1つ以上の実施形態では、特定のAラインにおいて、所定の又は決められた閾値を用いて、管腔エッジに対応している可能性のある最も有意なパルスを検出することができる(1つ以上の実施形態では、最も有意なパルスは、「主要ピーク/エッジ」とも呼ばれる最大ピークとそれに関連するフロントエッジを示す;そのようなデータは、アーチファクトエッジ画素を包含するか含む場合がある)。閾値を超えるパルスは、オブジェクト候補のエッジパルスである。パルス下の面積に関して全ての候補の中で最大であるパルスが、最大ピークであるとみなされる(本明細書では、「最も有意なパルス」又は「主要ピーク/エッジ」等とも呼ばれる)。
【0062】
図4Bに示されるように、管腔エッジ、ステント、ガイドワイヤ及び他のアーチファクトのオブジェクトは、近傍ピークを接続することによって形成することができる。最も有意なパルスが接続され、比較的厚い範囲44を有する管腔エッジオブジェクトのセグメントを形成する。影を落としながら比較的範囲が限られている他のピークは、42として示されているステントストラットである可能性が高い。管腔エッジに比べて(又はそれと比較して)位置と陰影の両方で異なる有意なパルスによって形成されたガイドワイヤは、43として示されている。主要ピーク/エッジペアオブジェクトに加えて、他のピークがまだ存在し、管腔エッジの前又は後にオブジェクトを形成する場合がある。例としては(限定ではないが)、ステントストラット45の後ろの金属反射アーチファクトオブジェクトや、強い影を落とさない血液オブジェクト46等がある。全てのオブジェクトは、各Aライン上のピーク及びエッジパルスの結果に基づいて集約され、シースオブジェクト41が事前に検出される。
【0063】
図5は、1次元信号としてプロットされ得る軟部組織からのAライン強度プロファイルの少なくとも1つの実施形態を示す。Aライン信号61(すなわち青色のAライン、図5の上の線等)は、より信頼性が高く正確なピーク検出のために、2Dガウシアンフィルタによって平滑化されている。Aラインに沿った対応する勾配62(すなわち黒色の勾配線、図5の下の線等)も、1つ以上の実施形態では、更なる平滑化のために1Dフィルタを用いてフィルタリングすることができる。好ましくは、1つ以上の実施形態では、パルス位置がシフトしないように、フィルタリングによって導入される位相遅延を回避するために、特別な配慮又はステップを取ることができる。そのようなフィルタリングの後、図5に示されるように、はるかに滑らかなAライン信号を得ることができる。画素強度とAラインに沿った1次元勾配との対応を示すために、Aラインに沿った平滑化された1次元勾配も同図にプロットされている。図5の実施例に示されるように、管腔エッジ画素は強度信号の立ち上がりエッジに位置し、これは、1次元勾配信号の最大ピーク位置に対応する。カテーテルシースからの信号は、平滑化されたAライン信号でも見られる場合があり、シースエッジ信号は、図5の実施形態の管腔エッジ信号の振幅と比較してはるかに低い振幅を有する。
【0064】
1つ以上の方法実施形態では、AラインとAラインに沿った勾配とを平滑化するために、追加のフィルタリング(例えば1Dフィルタリング)を実行することができる(以下で更に論じる図8AのステップS302を参照)。なお、少なくとも1つの実施形態では、軟部組織は、管腔エッジを越えて広く明るい領域を有し、一方、アーチファクトは、エッジを越えて急激に暗い陰影エリアを生成する。軟部組織からの典型的なAラインは、1次元信号としてプロットすることができる。1次元信号のパルスは、血管壁に対応し得る。パルスの立ち上がりエッジは、Aラインのエッジ画素が存在する場所であり得る。各Aラインにおいてエッジ画素を検出することにより、2次元エッジ検出の問題が、より単純な1次元パルス検出の問題に変換される。言い換えれば、本開示の1つ以上の実施形態は、管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出アプローチを単純化し、同時に解決策を提供する。
【0065】
1つ以上の実施形態では、管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトのピーク及び幅のパラメータを見つけて計算する追加のステップを実行することができる(例えば図3のステップS202及び/又はS203を参照)。1つ以上の実施形態では、各Aライン信号について、前述のステップS201の1つ以上の実施例で得られた適切なFOV範囲内で、最高ピークが検出される。少なくとも1つの実施形態では、検出されたピークに対して定義される幅には、3つのタイプがある。1つ目は、平滑化されたAラインの平均値と最大値に基づく適応閾値を用いて検出することのできる、半値幅であり得る。少なくとも1つの実施例として、閾値は以下のように計算することができる。
閾値=(平均+ピーク)/2
式中、「平均」は平滑化されたAラインの平均であり、「ピーク」は平滑化されたAラインの最大値である。この閾値を用いて、特定のAラインにおける管腔エッジに対応する最も有意なパルスを検出することができる。1つ以上の実施形態では、閾値を超えるパルスは、エッジパルス候補であり得る。パルス下の面積に関して全ての候補の中で最大であるパルスを、最大ピークであるとみなすことができる。最高ピークの2つ目の幅は、最大ピーク付近のAラインに沿った1次元勾配信号として定義することができ、平滑化されたAラインの管腔エッジ点の正確な位置を特定するために用いることができる。同ピークの3つ目の幅は、2つ目の幅と同様にAラインに沿って定義することができる。ただし、3つ目の幅では、勾配値はピーク値からゼロに低下し、これは、値の変化が停止し方向が反転し始めるポイントを示す。1つ以上の実施形態では、全てのAラインからこのように検出された全ての管腔エッジ点を一緒に配置することにより、血管の管腔エッジは、最大ピーク位置対Aラインインデックスの関数として形成される。
【0066】
1つ以上の実施形態では、ガイドワイヤアーチファクトを決定/検出及び除去することができる(例えば図3のステップS204及び/又はS204bを参照)。ステントストラット及びガイドワイヤが存在する場合、軟部組織の管腔エッジ点は、完全又は部分的に遮られる場合がある。したがって、前述のステップ(ステップS202及び/又はS203等)のうちの1つ以上から検出された管腔エッジ点は、OCT画像内のアーチファクトからのエッジ点を含む場合がある。このようなエッジ点は、管腔の幾何学的パラメータの計算を歪めるおそれがあり、1つ以上の実施形態では、そのような歪みを回避し正確なパラメータを取得するために、除去することができる(好ましくは、1つ以上の実施形態では、当該エッジ点は、正確なパラメータを取得する前に除去される)。
【0067】
図6Aは、ガイドワイヤの実施例からのAライン71(すなわち図6Aの青い線、上の線等)を示している。注目すべきこととして、1次元勾配信号72(すなわち図6Aの黒い線、下の線等)は急勾配の最小ピークを有し、これは、イメージングレーザビームに対するガイドワイヤの不透明性と、比較的大きいガイドワイヤのサイズとに起因する、Aライン信号71の急激な立ち下がり強度に対応する。また、注目すべきこととして、1次元パルスの幅は、軟部組織からのパルス信号と比較してはるかに狭い。
【0068】
図6Bは、ステントストラットの実施例からのAライン81(すなわち図6Bの青い線、上の線等)を示している。注目すべきこととして、ステントストラットに対応するパルス信号は、1次元勾配信号82(すなわち図6Bの黒い線、下の線等)の立ち上がりピークと比較して比較的大きな立ち下がりピークも生成するが、該ピークは、図6Aのガイドワイヤ信号72からのピークに比べて、それほど顕著ではない。
【0069】
図6A図6Bの両方の場合において、ガイドワイヤ又はステントの範囲内の近傍Aラインの中で、ピークの第1の幅と第2の幅は、等しいか又は非常に近い。幅の値も小さく、管腔組織の近傍Aラインの幅に比べて比較的変化していない。したがって、近傍Aライン間の位置及びピーク幅のジャンプは、アーチファクトオブジェクトから管腔エッジへの切替えを示す場合がある。それらの間の移行領域では、両方のオブジェクトが存在する場合がある。主要ピーク以外のオブジェクトに近い追加の局所ピークは、ステップS204及び/又はS204bの前述の詳細/条件と同様のピーク検索プロセスによって抽出することができる(しかし、より限定されたFOV領域上で)。
【0070】
1つ以上の例では、ガイドワイヤ領域には強い反射がある場合があり、これは、より高いピーク値に対応する。また、ガイドワイヤ領域は、Aラインに関してより広い範囲をカバーする場合もあり、中央のAラインで強い反射を示す場合が多い。1つ以上の実施形態では、ガイドワイヤとステントが両方とも存在するか又は用いられる場合、一部のステントストラットはガイドワイヤと重なる場合があり、陰影領域はステントによって拡張される場合がある。このような状況では、ガイドワイヤを正しく識別することが、他のステントを抽出する更なるプロセスの助けとなる。
【0071】
ステップS204及び/又はS204bに用いられるガイドワイヤ検索プロセスの1つ以上の実施形態は、以下のうち1つ以上として定義することができ、又は以下のうち1つ以上を含むことができる:a)全てのAラインの最大ピーク値から開始すること;b)位置又は幅のジャンプのいずれかが境界点を見つけるまで、近傍エッジを成長させること;c)組織のみのピーク/エッジペアに到達するまで、境界の周りで成長を続けること;d)終わりに達するまで、組織のみのピーク/エッジペアから元の状態に戻ること;e)両方向でプロセスを実施すること;f)Aラインの範囲を定めて、両側の組織のみのピークを陰影範囲として含めること;g)組織ピークの後ろの陰影プロファイルを計算して、影が実際に存在することを確認すること;h)影が確認された場合、ガイドワイヤ領域を確認すること;それ以外の場合、次の最大ピーク値を用いてプロセスステップ(a)から(h)を反復するか又は繰り返す。
【0072】
ガイドワイヤ領域が識別された後、1つ以上の実施形態では、エッジ点は管腔エッジとはみなされない場合があり(1つ以上の実施形態では、みなされないことが好ましい)、後続のステント検出ステップのために除去される場合がある。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ステント検出を実行することができる(例えば図3のステップS205を参照)。例えば、ステントは、エッジジャンプステント検出(例えば図3のステップS205aを参照)、狭いピーク幅ステント検出(例えば図3のステップS205bを参照)等、1つ以上の技術を用いてステントストラット候補を識別することによって、検出することができる。少なくとも1つの更なる例として、ステントストラット候補は、位置及びピーク幅のジャンプを用いて識別することができる。ステントストラットに遮られた管腔エッジ点の確認及び除去は、シース及び/又はガイドワイヤの検出及び除去のために行われるのと同様のステップを共有することができるが、1つ以上の実施形態では、より反復的なアプローチである。第1に、少なくとも1つの実施形態では、ガイドワイヤが除去された状態で、管腔全体の主要ピーク及びエッジプロファイルを取得することができる。管腔エッジの前にステントが存在する場合、エッジ位置のジャンプは、可能なステント候補を示す場合がある。片側又は両側のいずれかで管腔エッジに非常に近いステントの場合、ステント及び/又はステント候補は、ピーク幅のプロファイルを調べることによって識別することができる。ステントストラットのピークは、近傍の管腔ピーク及び対応するエッジに比べて、小さくて等しいピーク幅をもつ傾向がある。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ステント領域をマージ及び拡張することによって、ステント検出を実行することができる(例えば図3のステップS206を参照)。前述のステントストラット候補のリスト又はリスティングに続いて、1つ以上の実施形態では、各候補に対して局所的に検索プロセスを実行して、ステントストラットの両側にある近傍の管腔エッジを見つけることができる。少なくとも1つの実施形態では、接続されたピークとエッジが有効な管腔エッジであることが確認されなくなるまで、近傍の管腔エッジが更に拡張される。カバーされた領域は、確認されたエッジとしてマークされてよい。プロセスの1つ以上の実施形態の間、異なる検出方法に由来する候補には、候補のセットが重複するように複製がある場合がある。よって、次のステップに進む前に、重複条件と複製をチェックすることができる。全ての候補が処理されると、管腔エッジの円全体を確認済みエッジとしてマークすることができる。壊れたセグメントを特定することができ、そのようにする理由が、候補と壊れたセグメントが全て有効な結果であることを少なくとも確認するために説明される。
【0075】
1つ以上の実施形態では、ステントストラット候補の陰影プロファイルを計算することができ(例えば図3のステップS207を参照)、かつ/又は、識別又は発見されたステント中心位置について、陰影パターンを確認することができる(例えば図3のステップS208を参照)。1つ以上の実施形態では、各ステントについて、各側の管腔エッジの間には補間された管腔エッジが存在し、これは、ステントの検出されたピーク及びエッジの後ろにある。補間された管腔ピーク位置に基づいて、陰影蓄積プロファイルを計算することができる。少なくとも1つの実施形態では、陰影蓄積プロファイル又は陰影プロファイルの通常の形状は、谷の中心に、実質的に谷の中心に、又は谷の中心の近くに天底(例えば下部、基部、最低点等)を有する単一の谷であり得る。最小値の位置は、影を落とすステントストラットの中央に対応するステント中心として識別することができる。1つ以上の実施形態では、ステントの影の後ろに第2の反射が存在する場合があり、これにより、本当の陰影プロファイルが歪むおそれがある。追加のプロセスを採用して、陰影内の補間された管腔エッジの後ろの狭い幅のピークを識別し、それらを元の画像から差し引くことにより、ステントの影の後ろのそのような第2の反射の影響を除去することができる。
【0076】
1つ以上の実施形態では、境界の近くの管腔エッジを抽出することができる(例えば図3のステップS209を参照)。各ステントストラット候補を処理する際の追加のステップとして、境界領域近くのステントピークの後ろに2次ピークとして存在する1つ以上の有効な管腔エッジが存在する場合がある。ステントピークの後ろに2次ピークとして存在する1つ以上の有効な管腔エッジを適切に抽出して含めると、管腔エッジの結果の品質が向上する。そのようなAラインの結果は全て捨てられることが多いので、これは、他の方法と比較して、本開示のいくつかの独特な態様又は特徴又は改善のひとつである。そのような管腔エッジの抽出は、非管腔ピークとして識別済みであるか又は識別される近傍Aライン上の主要ピークの外側の2次ピークを検索することにより、現在の管腔エッジの接続性に基づくことができる。1つ以上の実施形態では、プロセスは、更なるピークが見つからなくなるまで、ステント近傍Aラインの両側を検索することができる。
【0077】
1つ以上の実施形態では、管腔エッジの欠落部分を補間して、欠測データを埋めることができる(例えば図3のステップS210を参照)。確認されたステントの位置ごとに、線形補間を用いて、管腔エッジの間又は中のギャップを埋めることができる。1つ以上の実施形態では、管腔のピークとエッジ両方の情報が保持され、補間される。プロセスの後、管腔の円全体が処理され、管腔エッジの閉じた円のような曲線を形成する場合がある。
【0078】
埋没ステントの検出(例えば図3のステップS211を参照)の1つ以上の実施形態では、ピーク曲線は、類似している場合があり、画像全体の陰影蓄積プロファイル又は陰影プロファイルを計算するために用いることができる(例えば図3のステップS211aを参照)。1つ以上の実施形態では、埋没ステント及び/又はステントストラットの中心を見つけることは、前述のステップS209及び/又はS210で生成された管腔ピーク曲線に基づくことができる。1つ以上の実施形態では、陰影蓄積プロファイル又は陰影プロファイルは、各AラインのFOV内で利用可能な管腔ピーク位置と最大厚さに基づいて生成することができる。このような陰影蓄積プロファイル又は陰影プロファイルでは、1つ以上の実施形態では、有意な谷が、埋没ステントストラットであり得る陰影領域を示す場合がある。埋没ステント検出(例えば図3のステップS211を参照)の1つ以上の実施形態では、管腔エッジの後ろのステントピーク及び/又はエッジを発見することができる(例えば図3のステップS211bを参照)。埋没ステント検出(例えば図3のステップS211を参照)の1つ以上の実施形態では、ピーク幅及び/又は厚さを計算することができる(例えば図3のステップ211cを参照)。埋没ステント検出(例えば図3のステップS211を参照)の1つ以上の実施形態では、ステント領域をマージ及び拡張することができる(例えば図3のステップ211dを参照)。埋没ステント検出(例えば図3のステップS211を参照)の1つ以上の実施形態では、埋没ステントを確認及び抽出することができ、ストラット位置情報を決定/識別することができる。前述のステップに続いて、例えば、ステントストラットを識別及び確認するために、有効な埋没ステントを抽出及び確認することができ、その位置情報(ストラット中心位置等)も識別することができる。
【0079】
1つ以上の実施形態では、管腔エッジを出力することができ、かつ/又は、ステントストラット中心位置(及び/又は他のステントストラット位置情報)を出力することができる(例えば図3のステップS212を参照)。管腔エッジ結果に1D平滑化フィルタを適用した後、管腔エッジ及び/又はステントストラット中心位置の情報(及び/又は他のステントストラット位置情報)は、例えば所望のフォーマットに出力することができ、メモリに格納することができ、印刷することができ、ディスプレイに表示することができる。
【0080】
1つ以上の実施形態は、各1次元データ(Aライン)において、3つのタイプのピーク幅を有するピーク及びエッジを検出することができる。1つ以上の実施形態では、各々のAラインの最大ピークを検出することができる。1つ以上の実施形態では、最も有意なパルスは、「主要ピーク/エッジ」とも呼ばれる、各々のAラインにおける最大ピークとそれに関連するフロントエッジを示す。1つ以上の実施形態では、1次元データ(Aライン)の勾配を用いて、各ピークに関連付けられたエッジ位置を決定することができる。1つ以上の実施形態では、各ピークは、次の3種類の幅に関連付けることができる:(1)半値幅、(2)最大勾配幅及び(3)最小値幅(Aラインのピーク範囲を定める)。1つ目の幅である半値幅は、近傍ピーク間の接続性をテストする際に用いることができる。2つ目の幅である最大勾配幅は、オブジェクトの厚さを示すのに用いることができる。3つ目の幅である最小値幅は、ピーク範囲を定めるのに用いることができる。1つ以上の実施形態では、現在のピーク範囲外に、他のピークが存在する場合がある。1つ以上の実施形態は、異なる近傍Aライン上の接続されたピークを一緒にグループ化して、2D空間内に幾何学的に別個のオブジェクトを形成することができる。
【0081】
1つ以上の実施形態は、管腔エッジピークをガイドワイヤ及びステントストラットと区別することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、近傍Aラインの分断された主要ピークは、管腔エッジピークとガイドワイヤ又はステントストラット等の、別個のオブジェクトを示す場合がある。ステントストラットのピークエッジが近傍Aラインの管腔エッジに非常に近い場合、ピーク位置の接続性が存在する場合がある。このような場合、管腔とステントは、ピーク幅のジャンプによって分離される場合がある。1つ以上の実施形態では、ステントストラットの後ろの影が原因で、ステントストラットのピーク幅は小さく、第1、第2及び第3の幅を含めてほぼ一定である。したがって、ピーク位置とピーク幅の値の両方を用いて、管腔エッジピークとガイドワイヤ又はステントストラット等のオブジェクトを分離する。
【0082】
本開示の1つ以上の実施形態は、主要ピークを、管腔とステントストラット又はガイドワイヤとの間の境界領域の周りの近傍Aラインに成長させることができる。現在のAライン上の主要ピークの外側にある局所ピークを検索することによって、近傍Aラインからのピークが成長する場合、複数のピークが存在する場合がある。管腔エッジ領域とステントストラットオブジェクトの両方は、管腔とステントストラット又はガイドワイヤとの間の境界の改善された、最適な、かつ/又は正しい決定につながる、より完全なオブジェクトに成長することができる(これは、いくつかの困難なケース等を含む1つ以上の状況で役立つ場合がある)。
【0083】
本開示の1つ以上の実施形態は、ガイドワイヤ及び/又はステントストラットの両側の管腔ピークの補間に基づいて、局所的に陰影蓄積プロファイル(又は陰影プロファイル)を計算することができる。1つ以上の実施形態では、補間は、ガイドワイヤとステントストラットの両側で発生する場合がある。1つ以上の実施形態では、蓄積計算の開始点が重要である場合があり、かつ/又は精度を大幅に改善する場合があるので、管腔エッジピークの補間を用いて、陰影プロファイルを計算することができる。陰影プロファイルの形状を用いて、その領域が有効な陰影を含むか又は包含することを確認又は保証することができる。前述したように、単一の谷の陰影を用いて、ステントストラットの中心位置を見つけることができる。
【0084】
1つ以上の実施形態は、ステント候補を反復して処理して、画像全体の管腔プロファイルを完成させることができる。精度を高めるために、ガイドワイヤ領域を最初に処理し、次に各ステント候補を局所的に処理することができる。結果を確認するために、管腔ピークと管腔エッジの両方のカーブを生成することができる。
【0085】
本開示の1つ以上の実施形態は、大域的な管腔ピーク曲線を用いて、陰影プロファイルを計算し、埋没ステントを検出することができる。1つ以上の実施形態では、補間されたピーク曲線を用いて大域的な陰影プロファイルを計算することができ、かつ/又は、大域的な陰影プロファイルを用いて、埋没ステントストラットを識別することができる。1つ以上の実施形態では、埋没ステントストラットは、2次ピーク幅パターンを用いて抽出することができる。
【0086】
追加又は代替として、1つ以上の実施形態では、主成分分析法及び/又は局所共分散記述子を用いて、ステント等のオブジェクトを検出することができる。近傍の画像間の相互相関を用いて、管腔エッジの検出結果を改善することができる。1つ以上の実施形態は、検出結果を改善するために、セグメンテーションベースの画像処理及び/又は勾配ベースのエッジ検出を採用することができる。
【0087】
図7Aに示されるように、本開示の1つ以上の態様に係る、管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出技術を実行するための少なくとも1つの装置又はシステムを用いて、極座標におけるOCT画像(例えばステント留置された血管の)は、垂直に表示することができ(例えば図4Aに示されるものと同じ)、かつ/又は、デカルト座標における対応するOCT画像とともに表示することができる(例えば図7Bを参照)。
【0088】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述したように、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出のための1つ以上の追加の方法は、本明細書に提供され、又は本開示の特徴又は態様のうち1つ以上と併用することができ、また、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられている。例えば、図8Aは、OCT画像の管腔、ステント及び/又はアーチファクトの検出の方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートを示す。好ましくは、本方法は、以下のうち1つ以上を含む:(i)2次元(2D)画像平滑化を実行すること(例えば、ローパスフィルタを用いて、ガウスフィルタを用いて等)(図8AのステップS300を参照);(ii)画像の垂直勾配及び水平勾配を計算すること(図8AのステップS301を参照);(iii)Aライン及びAラインに沿った勾配を平滑化すること(例えば1次元(1D)フィルタリングを用いて)(図8AのステップS302を参照);(iv)最も有意なパルスから、各Aラインにおける管腔エッジ点を検出すること(例えば、最も有意なパルスは、最高振幅をもつパルス、又は、サイズ基準(例えば幅基準、パルス下の面積基準等)を適用することによって決定された最大の基礎面積をもつパルスであってよく、異なるサイズ基準から同様の結果が得られる場合もある)(図8AのステップS303を参照);(v)大きな立ち下がり‐立ち上がり勾配比(FRGR)(例えば、立ち上がりエッジに比べて急勾配の立ち下がりエッジをもち、より大きなFRGR値を生成する、Aラインの最も有意なパルス等)と、サイズの小さいパルス(例えば、パルス振幅又はパルス下の面積が閾値を下回っているAラインの最も有意なパルス等)とに対応するエッジ点を除去すること(図8AのステップS304を参照);(vi)マルチピークパルスに対応するエッジ点を除去すること(図8AのステップS305を参照);(vii)マルチパルスAラインに対応するエッジ点を除去すること(図8AのステップS306を参照);(viii)補間を用いて管腔エッジのギャップを埋めて(例えば、管腔エッジをメディアンフィルタリングすることによって)、管腔エッジを形成すること(例えば、全てのAラインの最も有意なパルスの位置から管腔エッジを形成する)(図8AのステップS307を参照);(ix)管腔エッジをフィルタリング又は平滑化すること(例えば、1Dローパスフィルタリング等のローパスフィルタリング及び/又はメディアンフィルタリング等を用いて)(図8AのステップS308を参照);及び、(x)管腔エッジをデカルト座標に変換すること(図8AのステップS309を参照)。
【0089】
ステント留置された血管の極座標における1つ以上のOCT画像において(図7Aの画像を含む、異なる管腔検出、ステント検出及び/又はアーチファクト検出の実施例で最もよく示されている)、イメージングプローブの中心は、画像の上端に位置する場合がある。1つ以上の実施形態では、画像の各列はAラインを構成する。とはいえ、前述したように、1つ以上の実施形態では、イメージングプローブの中心は、画像の各行がAラインを構成する画像の側端に位置する場合がある(例えば前述の図4Aを参照)。好ましくは、少なくとも1つの実施形態では、画像の全体的なノイズを低減及び/又は除去するために、極座標におけるOCT画像は、2次元ローパスガウシアンフィルタを用いてフィルタリングされて(例えば図8AのステップS300を参照)、Aライン間ノイズとAライン内ノイズの一部が平滑化される。
【0090】
1つ以上の実施形態では、画像の垂直勾配及び水平勾配が計算されることが好ましい(図8AのステップS301を参照)。1つ以上の実施形態では、
【数1】
になるように、畳み込み演算の演算子カーネル(K)を用いることができ、式中、
【数2】
は畳み込み演算を示す。少なくとも1つの実施形態では、画像の垂直勾配は、例えば、ステップS300から得られた平滑化された画像に垂直ソーベル演算子を適用することによって(例えば、カーネルKの一実施形態として)、計算することができる。
【数3】
式中、Aは[ステップ1]から平滑化された画像であり、GxとGyは水平勾配と垂直勾配であり、
【数4】
は2D畳み込み演算を示す。少なくとも1つの実施形態では、画像の水平勾配は、例えば、ステップS300から得られた平滑化された画像に水平ソーベル演算子を適用することによって(例えば、カーネルKの一実施形態として)、計算することができる。
【数5】
式中、Aは[ステップ1]から平滑化された画像であり、GxとGyは水平勾配と垂直勾配であり、
【数6】
は2D畳み込み演算を示す。Gyの各列はAラインに沿った勾配を提供し、Gxの各行はAラインにわたる勾配を提供する。画像の垂直勾配及び水平勾配は、低次のソーベル演算子を用いて計算することもできる。
【数7】
式中、Aは平滑化された少なくとも1つの画像であり、GxとGyは水平勾配と垂直勾配であり、
【数8】
は2次元(2D)畳み込み演算を示し、Gyの各列はAラインに沿った勾配を提供し、Gxの各行はAラインにわたる勾配を提供する。ここで用いることのできる他の可能な演算子は、以下のようなPrewitt演算子である。
【数9】
式中、Aは平滑化された少なくとも1つの画像であり、GxとGyは水平勾配と垂直勾配であり、
【数10】
は2次元(2D)畳み込み演算を示し、Gyの各列はAラインに沿った勾配を提供し、Gxの各行はAラインにわたる勾配を提供する。
【0091】
1つ以上の方法実施形態では、AラインとAラインに沿った勾配とを平滑化するために、追加のフィルタリング(例えば1Dフィルタリング)を実行することができる(図8AのステップS302を参照)。なお、少なくとも1つの実施形態では、軟部組織は、管腔エッジを越えて広く明るい領域を有し、一方、アーチファクトは、エッジを越えて急激に暗い陰影エリアを生成する。軟部組織からの典型的なAラインは、1次元信号としてプロットすることができる。1次元信号のパルスは、血管壁に対応する。パルスの立ち上がりエッジは、Aラインのエッジ画素が存在する場所である。各Aラインにおいてエッジ画素を検出することにより、2次元エッジ検出の問題が、より単純な1次元パルス検出の問題に変換される。言い換えれば、本開示の1つ以上の実施形態は、管腔エッジ及びアーチファクトの検出アプローチを単純化し、同時に解決策を提供する。
【0092】
1D信号処理における柔軟性を利用して、1つ以上の実施形態では、ローパス及びハイパス1DフィルタリングをAライン信号に適用して、信号オフセットを除去するとともに、より信頼性の高いパルス検出のために更にAライン信号を平滑化することができる。Aラインに沿った対応する勾配は、更なる平滑化のために、1Dフィルタを用いてフィルタリングすることができる。好ましくは、パルス位置がシフトしないように、フィルタリングによって導入される位相遅延は回避される。例えば、各Aラインは、1Dハイパスフィルタリングを適用してバックグラウンドを除去し、ローパスフィルタリングを適用してノイズを低減することにより、個別に処理することができる。
【0093】
そのようなフィルタリングの後、はるかに滑らかなAライン信号を得ることができる(例えば図5の線61を参照)。画素強度とAラインに沿った1次元勾配との対応を示すために、Aラインに沿った平滑化された1次元勾配もプロットされている(図5の線62を参照)。1つ以上の実施形態では(例えば図5図6Bを参照)、Y軸は任意単位(A.U.)で示すことができ、X軸には画素インデックス(例えば画素あたり約7ミクロン、画素あたり約5ミクロン等)を用いることができる。図5に示されるように、管腔エッジ画素は強度信号の立ち上がりエッジに位置し、これは、1次元勾配信号の最大ピーク位置に対応する。カテーテルシースからの信号は、平滑化されたAライン信号にも見られることがあり(図5のシースエッジ指定を参照)、カテーテルシース信号は、管腔エッジ信号の振幅と比較してはるかに低い振幅をもつ。
【0094】
1つ以上の方法実施形態では、管腔エッジデータを作成するために、最も有意なパルスからの各Aラインの管腔エッジ点の検出を実行することができる(図8AのステップS303を参照)。1つ以上の実施形態では、管腔エッジデータは、アーチファクトエッジ画素を包含するか又は含むことができる。このステップを実行する方法は多数存在する。例えば、各Aライン信号について、その中の最も有意なパルスは適応閾値を用いて検出することができる。平滑化されたAラインの平均及び最大値に基づいて、単純な閾値は以下のように計算することができる。
閾値=(平均+ピーク)/2,
式中、「平均」は平滑化されたAラインの平均であり、「ピーク」は平滑化されたAラインの最大値である。
【0095】
更なる例として、閾値を見つける別のアプローチは、最大ピークと最小ピークの間の平均を以下のように見つけることである:
閾値=(最小+ピーク)/2。
【0096】
更に代替のアプローチは、最大ピークに基づいて以下のように閾値を見つけることである:
閾値=(ピーク)×2/3。
【0097】
アプローチに関係なく、特定のAラインにおいて、管腔エッジに対応する最も有意なパルスを検出するために、所定の又は決定された閾値が用いられる(1つ以上の実施形態では、管腔エッジデータは、アーチファクトエッジ画素を包含するか又は含むことができる)。閾値を超えるパルスは、エッジパルス候補である。パルス下の面積に関して全ての候補の中で最大であるパルスが、最大ピーク(又は「最も有意なパルス」)であるとみなされる。最大ピーク付近のAラインに沿った1次元勾配信号の最高ピークの位置は、平滑化されたAラインの管腔エッジ点の正確な位置を特定するために用いられる。繰り返しになるが、1つ以上の実施形態では、管腔エッジデータは、アーチファクトエッジ画素を包含するか又は含むことができる。
【0098】
全てのAラインからこのように検出された全ての管腔エッジ点を一緒に配置することにより、最大ピーク位置対Aラインインデックスの関数として、血管の管腔エッジ(1つ以上の実施形態では、管腔エッジデータは、アーチファクトエッジ画素を包含するか又は含むことができる)が形成される。
【0099】
1つ以上の方法実施形態では、大きなFRGR及び小さいサイズのパルスに対応するエッジ点を除去することができる(図8AのステップS304を参照)。言い換えれば、管腔エッジ画素に包含されるか又は含まれるアーチファクトエッジ画素は、FRGRを用いて除去することができる。
【0100】
例えば、ステントストラット及びガイドワイヤが存在する場合、軟部組織の管腔エッジ点は、完全又は部分的に遮られる場合がある。ステップS303から検出される管腔エッジ点は、OCT画像のアーチファクトからのエッジ点を包含する場合がある。1つ以上の実施形態では、このようなエッジ点は、管腔の幾何学的パラメータの計算を歪めることになるので、正確な又はより正確なパラメータが得られる前に除去されることが好ましい。
【0101】
図6Aは、ガイドワイヤからの例示的なAラインを示す(滑らかな線71を参照;ガイドワイヤからのAラインの勾配は、線72によって示される)。図6Aから分かるように、注目すべきこととして、1次元勾配信号(線72を参照)は急勾配の最小ピークを有し、これは、イメージングレーザビームに対するガイドワイヤの不透明性と、比較的大きいガイドワイヤのサイズとに起因する、Aライン信号(線71を参照)の急激な立ち下がり強度に対応する。1次元パルスの幅は、図5に示されるような軟部組織からのパルス信号と比較して、図6Aに示されるようにはるかに狭い。
【0102】
図6Bは、ステントストラットからの例示的なAラインを示す(滑らかな線81を参照;ステントからのAラインの勾配は、線82によって示される)。図6Bから分かるように、注目すべきこととして、ステントストラットに対応するパルス信号は、1次元勾配信号の立ち上がりピークと比較して比較的大きいな立ち下がりピークも生成するが、該ピークは、図6Aに示されるようなガイドワイヤからのピークに比べて、それほど顕著ではない。
【0103】
これらの特徴(図6A図6Bに示される)に基づいて、立ち下がり-立ち上がり勾配比(FRGR)は、撮像されたオブジェクト又は標的の不透明度及び反射率の尺度として導入することができる。ガイドワイヤからのAライン信号は立ち下がりと立ち上がりの比率が大きく、ステントストラットからのAラインも同様である。一方、軟部組織からのAラインは、立ち下がり-立ち上がり勾配比が比較的小さい。
【0104】
立ち下がり-立ち上がり勾配比は、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、検出された管腔エッジとその対応する立ち下がり-立ち上がり勾配比が一緒にプロットされている場合、ステントストラット及びガイドワイヤの存在の指標として用いることができる。
【0105】
なお、アーチファクトと軟部組織からのAライン信号の立ち下がり-立ち上がり勾配比の値の顕著な違いに加えて、軟部組織からのパルスサイズとアーチファクトからのパルスサイズは、顕著な違いを示すことに留意されたい。1つ以上の実施形態では、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、信号パルスサイズの尺度として、パルス幅又は1D信号パルス下の面積のいずれかを用いることができる。
【0106】
立ち下がり-立ち上がり勾配比の顕著な違いとAラインパルスのサイズの違いを用いて、検出された管腔エッジにおけるガイドワイヤ及びステントストラットに対応するアーチファクト領域の位置は、単純な閾値化を用いて識別することができ、閾値は、例えば以下のように設定することができる:
パルスサイズ閾値=平均-シグマ*k1
又は
FRGR閾値=平均+シグマ*k2。
式中、「平均」と「シグマ」は、対応する信号の平均と標準偏差であり、k1,k2は、好ましくは1から2の間で選択されるがこれに限定されない経験的パラメータである。
【0107】
閾値を計算するための代替アプローチは、以下のとおりであってよい:
パルスサイズ閾値=平均+(ピーク-平均)/3
又は
FRGR閾値=平均+(ピーク-平均)/3。
【0108】
更に、別の代替として、閾値は以下のように計算することもできる:
パルスサイズ閾値=ピーク-(ピーク-平均)/2
又は
FRGR閾値=ピーク-(ピーク-平均)/2。
好ましくは、1つ以上の実施形態では、これらの識別されたエッジ点は管腔エッジとはみなされず、管腔パラメータの計算には用いられない。
【0109】
1つ以上の方法実施形態では、マルチピークパルスに対応するエッジ点を除去することができる(図8AのステップS305を参照)。本明細書では、このステップを実行するための少なくとも2つの例が論じられる。例えば、軟部組織とステントストラット又は他のアーチファクトとの間の境界領域に対応する管腔エッジデータは、マルチピークパルスを用いて除去することができる。しかしながら、このようなマルチピークパルスは、非境界領域を表す場合があり、又は非境界領域に存在する場合がある。このような場合、次に、平均の水平勾配を用いて、非境界領域を識別する/識別することができる。
【0110】
ステントストラットとガイドワイヤのエッジの周りには、回折と散乱が存在する場合がある。回折及び散乱の効果により、軟部組織とアーチファクトの間にいくつかの境界領域が生じ、ここでは検出された管腔エッジが歪むおそれがある。更に、管腔エッジの生成に用いられるAラインは、ステップS300において2Dフィルタを用いてフィルタリングされることが好ましいので、境界領域は更に不鮮明になり、拡張されるおそれがある。管腔エッジに対するアーチファクトの影響を完全に除去するために、このような境界領域は、検出された管腔エッジから除去されることが好ましい。
【0111】
管腔エッジ検出に1次元Aライン信号処理を利用する利点のひとつは、ステントと管腔エッジのピークの両方がAライン信号に存在することが原因で、Aライン信号からこのような境界領域のマルチピークパターンが存在する場合があることである。例えば、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、境界領域は、Aライン信号においてクラスター化されたマルチピークパルスを生成する場合がある。マルチピークパルスは、前述したように、最大ピーク検出ステップS303で用いられるのと同じ閾値を用いて検出することができ、結果として本明細書では繰り返されない。立ち下がりエッジが閾値を下回る前にピークの立ち下がりエッジが再び上昇した場合、少なくとも1つの実施形態では、マルチピークパルスが識別されたとみなされる。好ましくは、パルスがマルチピークパルスとして検出された場合、そのAラインからの管腔エッジデータは、ステントストラットとガイドワイヤの境界領域とみなすことができ、管腔エッジ検出から除去することができる。1つ以上の実施形態では、境界領域にないマルチピークは保持することができ、1つ以上の実施形態では保持されることが好ましい。
【0112】
ピークの立ち下がりエッジが閾値を下回り、その後再び上昇して別のピークを形成した場合でも、それは依然としてマルチピークパルスとみなすことができる。少なくとも1つの実施形態では、管腔エッジの正しい識別は、主要ピーク検出とフロントピークのサイズに依存する場合がある。フロントピークがステント又はガイドワイヤ等のアーチファクトとして識別される場合、第2のピークは管腔エッジであり得る。1つ以上の実施形態では、血管壁の下の組織に小さな血管枝が存在する場合があり、これは、単一のAラインに2つの別々のピークとして同じように現れる場合がある。このような場合、狭い幅を伴わないフロントピークは管腔エッジである場合がある。有効な管腔エッジと1つ以上のアーチファクトの影響との間のマルチピークパルスを区別する少なくとも1つの方法は、それらが境界領域内にあるかどうかを判断することである。したがって、マルチピークの場合は、非境界領域と境界領域の場合に更に分類することができ、それらは、境界領域でのみ、検出された管腔エッジから除去することができる。
【0113】
前述の例の別の例及び代替として、水平勾配を用いて、軟部組織と狭いアーチファクトとの間の境界領域に対応する管腔エッジデータを識別及び除去することができる。少なくとも1つの実施形態では、境界領域を識別する別の方法は、例えば図7A(極座標の図面)(Aラインにわたる)において、検出された管腔エッジの後ろの領域において、水平方向に沿った勾配変動を利用する(追加又は代替として、例えば図4Aにおける、垂直方向に沿った勾配変動を用いることができる)。米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、Aラインにわたる勾配は、遮光アーチファクトによって引き起こされる多くの陰影(1つ以上のアーチファクト陰影を含み得る)のパターンを表示する場合がある。
【0114】
米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、検出された管腔エッジポイントごとに、エッジ点より下のAラインにわたる勾配の平均値を計算することができる。このような平均値は、遮光アーチファクトによって引き起こされた陰影の位置を反映する。Aラインにわたる勾配の方向特性を考えると、明るいエッジから暗いエッジは立ち上がりピークを生じ、暗いエッジから明るいエッジは立ち下がりピークを生じる。ステントストラットによって生じる暗い陰影ごとに、一方の側の立ち上がりピークによって、もう一方の側の立ち下がりエッジによって、陰影は縁取られる。
【0115】
したがって、境界領域は、ステップS304で識別された直近のアーチファクト領域の隣のAラインにわたる勾配の平均値の立ち上がりピーク及び立ち下がりピークによって囲まれた領域として、識別することができる。ステップS304では、閾値を用いてアーチファクトの中心位置を識別することができ、ステップS305で立ち下がり及び立ち上がりのピークによって線引きされた境界領域は、アーチファクト領域をより完全に又は完全に除去するのに役立つ場合がある。平均水平勾配の立ち下がり及び立ち上がりのピークによって識別される境界領域を用いて、境界領域に関連付けられている場合と関連付けられていない場合があるマルチピークパルスを区別することができ、1つ以上の実施形態では、境界領域内にあるこのようなマルチピークパルスのみを、管腔エッジ検出から除去することができる。
【0116】
1つ以上の方法実施形態では、マルチパルスAラインに対応するエッジ点を除去することができる(図8AのステップS306を参照)。例えば、生成されたゴースト信号(例えば、ステントの反射から、標的信号以外の信号、輝度信号等)に対応する管腔エッジデータは、複数のパルスを検出することによって識別及び除去することができる。
【0117】
ステントストラット又はガイドワイヤによって生じる強い反射がある場合、検出されたマルチパス信号に起因して、Aライン信号にゴースト信号が存在する場合がある。管腔エッジ検出に1次元Aライン信号処理を用いる別の利点として、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、このゴースト信号(又は複数のゴースト信号)は、Aライン信号の追加のパルス信号として現れる。例えば、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられるように、Aラインプロットは、右のピークがゴースト信号に対応し、左のピークがステントストラットに対応する2つのピークを示す場合がある。Aライン信号の全ての有意なパルスのピークを決定することができる。
【0118】
強い反射の最も可能性の高い源がステントストラット及びガイドワイヤであることを考えると、ゴースト信号(又は複数のゴースト信号)を伴うAラインに対応する検出された管腔エッジポイントは、管腔のパラメータ計算から除外されることが好ましい。
【0119】
1つ以上の方法実施形態では、管腔エッジを形成することができる(図8AのステップS307を参照)。例えば、検出された管腔エッジから全てのアーチファクトを除去した後(例えば、狭いパルス幅を伴うエッジ点(ガイドワイヤ及びステントからのエッジ点に対応)を除去することができる;大きなFRGRを伴うエッジ点(弱いステントからのエッジ点に対応)を除去することができる;分離された複数の大きいパルスを伴うエッジ点(反射像を伴うステントに対応)を除去することができる;クラスター化された複数のパルスを伴うエッジ点(軟部組織とステントの境界に対応)を除去することができる;等)、管腔エッジのギャップは、近傍のエッジ点を用いた単純な補間(例えば線形補間)を用いて埋めることができる。これを行うための一実施例は、管腔エッジにメディアンフィルタリングを受けさせることである。
【0120】
1つ以上の方法実施形態では、管腔エッジを平滑化することができる(図8AのステップS308を参照)。例えば、管腔エッジはローパスフィルタリングを受けることができる。1つ以上の実施形態では、いくつかの単純なメディアンフィルタリングとローパスフィルタリングを管腔エッジに適用して(エッジ位置対Aライン画素)、最終的な管腔エッジを平滑化し、滑らかにすることができる。
【0121】
1つ以上の方法実施形態では、管腔エッジをデカルト座標に変換することができる(図8AのステップS309を参照)。
【0122】
管腔エッジ及びアーチファクトを検出するための方法の少なくとも1つの実施形態は、以下のように要約することができる。極座標のOCT画像は、画像のノイズを低減するために、2次元ガウスフィルタを用いてフィルタリングすることができる。垂直方向と水平方向の個別の勾配は、フィルタリングされた画像からソーベルフィルタを用いて計算することができる。Aライン信号を更に平滑化し、信号オフセットを除去するために、各Aラインについて1次元フィルタリングが適用される。Aライン方向に沿った勾配は、ローパスフィルタを用いて更に平滑化することができる。各Aラインについて、Aライン信号の全ての有意なパルスを見つけることができ、最も有意なパルス及びその位置は、検出閾値と、パルス幅又はパルス下の面積のいずれかを用いるパルスサイズとに基づいて、管腔データとして決定することができる。各Aラインにおける最も有意なパルス(管腔データ)の立ち下がり-立ち上がり勾配比を計算することができる。立ち下がり-立ち上がり勾配比が閾値よりも大きい場合、管腔データを除去することができ、ギャップを識別することができる。パルスサイズが閾値パルスサイズよりも小さい場合、管腔データを除去することができ、ギャップを識別することができる。検出されたパルスがマルチピークパルスである場合、又は、前のステップで検出されたアーチファクト領域が、Aラインにわたる勾配の立ち上がりと立ち下がりのピークによって線引きされている場合、管腔データを除去することができ、ギャップを識別することができる。Aライン信号に同等のパルスが複数ある場合、管腔データを除去することができ、ギャップを識別することができる。その後、線形補間を用いて、管腔エッジのギャップが埋められる。管腔エッジにメディアンフィルタリング及び/又はローパスフィルタリングを適用することができる。管腔エッジは、表示用にデカルト座標に変換することができる。
【0123】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の実施形態は、管腔エッジのフィルタリングを伴って、又は伴わずに、実施することができる(例えば、図8Aのステップ307及び/又はステップ308は、図8Bに示されるように省略することができる)。例えば、管腔エッジをメディアンフィルタリング及び/又はローパスフィルタフィルタリングすることは、1つ以上の実施形態において任意である。1つ以上の実施形態では、管腔エッジをメディアンフィルタリング及び/又はローパスフィルタリングする代わりに、管腔エッジを平滑化する代替方法を用いることができる。
【0124】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の代替実施形態は、各1次元データ(Aライン)から信号エッジ画素を検出することによって、実施することができる。有意なパルスピークをもつAラインを選択することができる。各1次元データ(Aライン)は、パルス検出のための独自の検出閾値をもつことができ、それぞれの閾値は、画像内の異なるAライン間で変化し得る。1次元データ(Aライン)の勾配を用いて、管腔エッジ画素位置を更に決定することができる。
【0125】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の代替実施形態は、FRGRを導入して、標的又はオブジェクト(例えば軟部組織)、ガイドワイヤ、ステント、及び/又は手順で使用されているその他のコンポーネントのエッジを区別することによって、実施することができる。1次元データのパルスサイズは、標的又はオブジェクト(例えば軟部組織)、ガイドワイヤ、ステント、及び/又は手順に関するその他のコンポーネント若しくはアーチファクトを区別するために導入される。
【0126】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の代替実施形態は、標的又はオブジェクト(例えば軟部組織)とステントストラット、ガイドワイヤ又は他のアーチファクトとの間の境界領域を識別することによって、実施することができる。Aラインの複数のピークは、標的又はオブジェクト(例えば軟部組織)とステントストラット、ガイドワイヤ又は他のアーチファクトとの間のぼやけた境界を表すことができる。マルチピークは、境界を識別するためのサインとして用いることができる。
【0127】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の代替実施形態は、標的又はオブジェクト(例えば軟部組織)と狭いステントストラットとの間の境界領域を識別することによって、実施することができる。検出された管腔エッジの後ろの領域における水平方向に沿った(A線にわたる)勾配の変動を利用して、アーチファクト領域の位置の決定を改善することができる。
【0128】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の代替実施形態は、ステントの反射から生じたゴースト信号を識別することによって、実施することができる。ゴースト信号は、Aライン信号に複数のピークを生じる場合がある。これを処理するひとつの方法は、複数のパルス/ピークが検出されたエリアを除去することである。
【0129】
管腔及びアーチファクトを検出する方法の1つ以上の実施形態について前述したように、補間を用いて、除去されたデータをサンプリングし、管腔エッジを形成することができる。前述のように、フィルタを用いて、最終エッジを平滑化し、又は滑らかにすることができる。
【0130】
コンピュータ(コンソール又はコンピュータ1200,1200´等)は、製造又は使用されている任意のシステム(システム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)について、前述のステップ(例えば図3のステップS200~S212;図8AのステップS300~S309;図8BのステップS300~S306及びS309等)のいずれかを実行してよい。
【0131】
本開示の1つ以上の更なる態様によれば、本明細書で開示される管腔エッジ、ステント及びアーチファクト検出のOCT技術とともに、ベンチトップシステムを利用することができる。図9は、眼科用途等のベンチトップ用の、管腔エッジ及びアーチファクト検出のOCT技術を利用することのできるシステムの例を示す。光源101からの光は、偏向部108により、参照アーム102とサンプルアーム103へ送達及び分割される。参照アーム102では、参照ビームが長さ調整部904(1つ以上の実施形態では任意である)を通過し、参照ミラー(図1に示される参照ミラー又は参照反射105等)から反射され、サンプルアーム103では、サンプルビームが、サンプル、標的又は物体106から反射又は散乱される(例えばPIU110及びカテーテル120を介して)。一実施形態では、両ビームは偏向部108で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、ビームはコンバイナ903に進み、コンバイナ903は、サーキュレータ901及び偏向部108を介して両ビームを結合する。結合されたビームは、好ましくは、1つ以上の検出器(1つ以上の検出器107等)へ送られる。ビームスプリッタ(例えば図1のビームスプリッタ104を参照)、偏向部108及び/又は干渉計の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって、継続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換されて、コンピュータ(コンピュータ1200(図1を参照;以下で更に論じられる図9~11及び図12にも示されている)、コンピュータ1200´(例えば以下で更に論じられる図13を参照)等)によって解析される。
【0132】
1つ以上の実施形態では、サンプルアーム103は、図10のシステム100´´に示されるベンチトップシステムでは、移相ユニット103を含んでよい。サンプル106は、移相ユニット130と併用されるミラー105の場所に配置することができる(例えば図1に示されるように)。光源101からの光は、スプリッタ104により、参照アーム102とサンプルアーム103へ送達及び分割される。参照ビームは、長さ調節部904を通過し、参照アーム102の参照ミラー(図9図11に示される参照ミラー105等)から反射される。一方、サンプルビームは、サンプルアーム103の移相ユニット(移相ユニット130等)を介して、サンプル、標的及び/又はオブジェクト106から反射又は散乱される。一実施形態では、両ビームはスプリッタ104で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、ビームはコンバイナ903に進み、コンバイナ903は、サーキュレータ901及びスプリッタ104を介して両ビームを結合し、結合されたビームは1つ以上の検出器(1つ以上の検出器107等)に送られる。ビームスプリッタ104及び/又は干渉計の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって連続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換され、コンピュータで分析される。
【0133】
回転、強度、又は本明細書で論じられるその他の測定値を計算し、かつ/又はMMOCTデバイス/装置、システム及び/又は記憶媒体を制御及び/又は製造する方法は、デジタルでもアナログでも多数存在する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200,1200´等のコンピュータは、本明細書に記載のOCTデバイス、システム、方法及び/又はそれと併用される記憶媒体を制御及び/又は使用するための専用であってよい。
【0134】
本開示の1つ以上の更なる態様によれば、本明細書に開示される管腔エッジ及びアーチファクトの検出のOCT技術とともに、1つ以上の他のシステムを利用することができる。図11は、眼科用途等の管腔エッジ、ステント及びアーチファクト検出のOCT技術を利用することのできるシステム100´´´の例を示す。光源101からの光は、OCTイメージングエンジン150内部に位置する偏向部108(例えばビームスプリッタ又は本明細書で論じられる他の偏向部又は被偏向部)によって分離され、参照アーム102及びサンプルアーム103に送られる。OCTイメージングエンジン150は、1つ以上の実施形態では、OCT干渉計151(偏向部108を収納又は包含してもよい)及び波長掃引型エンジン152を含んでもよい。参照ビームは、長さ調整部904(参照ミラー(参照ミラー又は参照反射105等;図1にも示される)の距離を変化させるように動作し得る)を通過し、参照アーム102の参照反射105から反射される。一方、サンプルビームは、サンプルアーム103においてサンプル、標的又はオブジェクト106から反射又は散乱される。一実施形態では、両ビームは偏向部108で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、結合されたビームは、1つ以上の検出器に送られる。干渉計151の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって連続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換されて、コンピュータ(コンピュータ1200(例えば図1を参照;以下で更に論じられる図9~12にも示されている)、コンピュータ1200´(例えば以下で更に論じられる図13を参照)等)によって解析される。1つ以上の実施形態では、サンプルアーム103は、サンプルビームが本明細書で論じられるサンプル、標的又は物体106から反射又は散乱されるように、PIU110及びカテーテル120を含む。1つ以上の実施形態では、PIU110は、カテーテル120(又はその1つ以上のコンポーネント)のプルバック動作を制御し、かつ/又は、カテーテル120(又はその1つ以上のコンポーネント)の回転又はスピンを制御するために、1つ以上のモータを含んでよい。例えば、PIU110は、プルバックモータ(PM)及びスピンモータ(SM)を含んでよく、かつ/又は、プルバックモータPM及び/又はスピンモータSMを用いてプルバック機能及び/又は回転機能を実行するように動作する運動制御ユニット112を含んでよい。本明細書で論じられるように、PIU110は、回転接合部(例えば図11に示されるような回転接合部RJ)を含んでよい。回転接合部RJは、カテーテル120がサンプル106の1つ以上のビュー又は画像を取得することができるように、スピンモータSMに接続することができる。コンピュータ1200(又はコンピュータ1200´)を用いて、プルバックモータPM、スピンモータSM及び/又は運動制御ユニット112のうち1つ以上を制御することができる。OCTシステムは、OCTエンジン150、コンピュータ(例えばコンピュータ1200、コンピュータ1200´等)、PIU110、カテーテル120、モニタ等のうち1つ以上を含んでよい。OCTシステムの1つ以上の実施形態は、アンギオシステム、外部ディスプレイ、1つ以上の病院ネットワーク、外部記憶媒体、電源、ベッドサイドコントローラ(例えばBluetooth(登録商標)技術や、無線通信で既知の他の方法を用いてOCTシステムに接続されてよい)等の、1つ以上の外部システムと相互作用することができる。
【0135】
本明細書に別段の記載がない限り、同様の数字は同様の要素を示す。例えば、システム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等のシステム間には変形又は差異が存在するが(例えば、用いるOCTシステム又は方法に応じた参照反射105(及び/又は参照アーム102)の位置の差)、それらの1つ以上の特徴は、その光源101、偏向部108又は他のコンポーネント(例えばコンソール1200、コンソール1200´等)等、互いに同じ又は同様であってよい。当業者には当然のことながら、光源101、少なくとも1つの検出器107、及び/又はシステム100の1つ以上の他の要素は、1つ以上の他のシステム(本明細書で論じられるシステム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)の同様の番号の要素と同じ又は類似の方式で動作してよい。当業者には当然のことながら、システム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´、及び/又は、そのようなシステムのうち1つの1つ以上の同様の番号の要素の代替実施形態は、本明細書で論じられるように他の変形を含むが、本明細書で論じられる他のシステム(又はそのコンポーネント)のうちいずれかの同様の番号の要素と同じ又は類似の方式で動作してよい。実際、本明細書で論じられるシステム100、システム100´、システム100´´及びシステム100´´´の間には特定の違いが存在するが、本明細書で論じられるシステムの間には類似点がある。同様に、1つ以上のシステム(例えばシステム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)においてコンソール又はコンピュータ1200を用いることができるが、1つ以上の他のコンソール又はコンピュータ(コンソール又はコンピュータ1200´等)を追加又は代替として用いることができる。
【0136】
電力を計算し、かつ/又は管腔エッジ及びアーチファクトを検出する方法は、デジタルでもアナログでも多く存在する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200,1200´等のコンピュータは、本明細書に記載のOCTデバイス、システム、方法及び/又は記憶媒体の制御及びモニタリングの専用であってよい。
【0137】
イメージングに用いられる電気信号は、ケーブル又はワイヤ(ケーブル又はワイヤ113(図12を参照)等)を介して、1つ以上のプロセッサ(コンピュータ1200(例えば図1及び図9図12を参照)、以下で更に論じられるコンピュータ1200´(例えば図13を参照)等)に送信することができる。
【0138】
図12には、コンピュータシステム1200(例えば図1及び図9~11に示されるコンソール又はコンピュータ1200を参照)の様々なコンポーネントが提供されている。コンピュータシステム1200は、中央処理装置(「CPU」)1201、ROM1202、RAM1203、通信インタフェース1205、ハードディスク(及び/又は他の記憶装置)1204、スクリーン(又はモニタインタフェース)1209、キーボード(又は入力インタフェース;キーボードに加えてマウス又は他の入力デバイスを含んでもよい)1210、及び前述のコンポーネントのうち1つ以上の間のBUS又は他の接続線(例えば、接続線1213)を含んでよい(例えば図12に示されるように)。加えて、コンピュータシステム1200は、前述のコンポーネントのうち1つ以上を備えてよい。例えば、コンピュータシステム1200は、CPU1201、RAM1203、入出力(I/O)インタフェース(通信インタフェース1205等)及びバスを含んでよく(コンピュータシステム1200のコンポーネント間の通信システムとして1つ以上の配線1213を含んでよい;1つ以上の実施形態では、コンピュータシステム1200と少なくともそのCPU1201は、1つ以上の配線1213を介して、FORJ又はそれを用いるデバイス若しくはシステム(システム100、システム100´、システム100´´及び/又はシステム100´´´等)の1つ以上の前述のコンポーネントと通信してよい)、1つ以上の他のコンピュータシステム1200は、他の前述のコンポーネントの1つ以上の組合せを含んでよい。CPU1201は、記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を読み取って実行するように構成される。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載の方法及び/又は計算の実行のための命令を含んでよい。コンピュータシステム1200は、CPU1201に加えて1つ以上の追加のプロセッサを含んでよく、CPU1201を含む当該プロセッサは、それと併用されるか又は本明細書で論じられる任意の管腔検出、ステント検出及び/又はアーチファクト検出の技術と併用されるデバイス、システム又は記憶媒体の制御及び/又は製造に用いることができる。システム1200は、ネットワーク接続を介して(例えばネットワーク1206を介して)接続された1つ以上のプロセッサを更に含んでよい。CPU1201と、システム1200によって用いられている追加のプロセッサは、同じテレコムネットワーク内に配置されてもよいし、異なるテレコムネットワークに配置されてもよい(例えば、技術の実行、製造、制御及び/又は使用は、リモートで制御することができる)。
【0139】
I/Oインタフェース又は通信インタフェース1205は、入出力デバイス(光源101、RJ、PM、SM、ユニット150、ユニット112、マイク、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)、キーボード1210、マウス(例えば図13に示されるマウス1211を参照)、タッチスクリーン又はスクリーン1209、ライトペン等を含んでよい)に通信インタフェースを提供する。モニタインタフェース又はスクリーン1209は、それに対する通信インタフェースを提供する。
【0140】
本開示の任意の方法及び/又はデータ(本明細書で論じられる、OCT画像に含まれる管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトを検出するためのデバイス、システム、それと併用される記憶媒体及び/又は方法を使用及び/又は製造するための方法等)は、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。本明細書に開示される方法のステップをプロセッサ(前述のコンピュータシステム1200のプロセッサ又はCPU1201等)に実行させるために、一般に使用されるコンピュータ可読及び/又は書込み可能な記憶媒体を用いることができる(例えば、ハードディスク(例えばハードディスク1204、磁気ディスク等)、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(例えばコンパクトディスク(「CD」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、Blu-ray(商標)ディスク等)、光磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(RAM1203等)、DRAM、リードオンリーメモリ(「ROM」)、分散コンピュータシステムのストレージ、メモリカード又は類似のもの(例えば不揮発性メモリカード、ソリッドステートドライブ(SSD)(図13のSSD1207を参照)、SRAM等の他の半導体メモリ)、それらの任意の組合せ、サーバ/データベース等のうち1つ以上)。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体であってよく、かつ/又は、コンピュータ可読媒体は、一時的であり信号を伝搬していることを唯一の例外として、全てのコンピュータ可読媒体を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ等、所定の期間、限定された期間又は短期間に、かつ/又は電源の存在下でのみ、情報を格納するメディアを含んでよい。本開示の実施形態は、記憶媒体(より完全には「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともできる)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステム又は装置のコンピュータによって実現することもできるし、また、システム又は装置のコンピュータが、記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行すること、及び/又は1つ以上の回路を制御して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行することによって実行される方法によって実現することもできる。
【0141】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述の方法、デバイス、システム、及びプロセッサ(前述のコンピュータ1200のプロセッサ、コンピュータ1200´のプロセッサ等)に関連付けられたコンピュータ可読記憶媒体は、図に例示されるような適切なハードウェアを利用して達成することができる。本開示の1つ以上の態様の機能は、図12に示されているような適切なハードウェアを利用して達成することができる。そのようなハードウェアは、標準のデジタル回路、ソフトウェア及び/又はファームウェアプログラムを実行するように動作可能な既知のプロセッサのいずれか、1つ以上のプログラム可能なデジタルデバイス又はシステム(プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、プログラマブルアレイロジックデバイス(PAL)等)のような、既知の技術を利用して実装することができる。CPU1201(図12又は図13に示される)は、1つ以上のマイクロプロセッサ、ナノプロセッサ、1つ以上のグラフィックスプロセシングユニット(「GPU」、ビジュアルプロセシングユニット(「VPU」)ともよればれる)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(「PPG」)、又は他のタイプの処理コンポーネント(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含んでもよく、かつ/又はそれから成ってもよい。更に、本開示の様々な態様は、適切な記憶媒体(例えばコンピュータ可読記憶媒体、ハードドライブ等)又は輸送性及び/又は配布のための媒体(フロッピーディスク、メモリチップ等)に格納することのできるソフトウェア及び/又はプログラムによって実装することができる。コンピュータは、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークク又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。
【0142】
前述のように、図13には、コンピュータ又はコンソール1200´の代替実施形態のハードウェア構造が示されている。コンピュータ1200´は、中央処理装置(CPU)1201、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)1215、ランダムアクセスメモリ(RAM)1203、ネットワークインタフェースデバイス1212、操作インタフェース1214(ユニバーサルシリアルバス(USB)等)及びメモリ(ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ(SSD)1207等)を含む。好ましくは、コンピュータ又はコンソール1200´は、ディスプレイ1209を含む。コンピュータ1200´は、操作インタフェース1214又はネットワークインタフェース1212を介して、回転接合部(例えば図11のRJ等)、モータPM、モータSM、及び/又はシステム(例えばシステム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)の1つ以上の他のコンポーネントと接続することができる。コンピュータ1200,1200´等のコンピュータは、1つ以上の実施形態では、RJ、PM及び/又はSMを含んでよい。操作インタフェース1214は、マウスデバイス1211、キーボード1210又はタッチパネルデバイス等の操作ユニットと接続される。コンピュータ1200´は、各コンポーネントの2つ以上を含んでよい。或いは、CPU1201又はGPU1215は、コンピュータ(コンピュータ1200、コンピュータ1200´等)の設計に応じて、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の処理ユニットによって置換することができる。
【0143】
コンピュータプログラムはSSD1207に格納されており、CPU1201は、プログラムをRAM1203にロードし、プログラムの命令を実行して、基本的な入力、出力、計算、メモリ書込み及びメモリ読出しのプロセスだけでなく、本明細書に記載の1つ以上のプロセスを実行する。
【0144】
コンピュータ(コンピュータ1200,1200´等)は、PIU110、回転接合部(例えばRJ等)、モータPM、モータSM、カテーテル120、及び/又はシステム(システム100,100´,100´´,100´´´等)の1つ以上の他のコンポーネントと通信してイメージングを実行し、取得された強度データから画像を再構成する。モニタ又はディスプレイ1209は、再構成された画像を表示し、また、イメージング条件又はイメージング対象の物体に関する他の情報を表示することができる。また、モニタ1209は、ユーザが例えばOCT又は他のイメージング技術(管腔エッジ及び/又はアーチファクトの検出等)を実行するときに、システム(例えばシステム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)を操作する際に、グラフィカルユーザインタフェースを提供する。操作信号は、操作ユニット(例えばマウスデバイス1211、キーボード1210、タッチパネルデバイス等)からコンピュータ1200´の操作インタフェース1214に入力され、操作信号に対応して、コンピュータ1200´は、システム(例えばシステム100、システム100´、システム100´´、システム100´´´等)に、イメージング条件を設定又は変更し、イメージングを開始又は終了し、かつ/又は、管腔検出、ステント検出及び/又はアーチファクト検出を開始又は終了するように命令する。上記OCTシステムのレーザ源101は、ステータス情報及び制御信号を送受信するために、コンピュータ1200,1200´と通信するインタフェースを有してよい。
【0145】
同様に、本開示並びに/又はそのデバイス、システム及び記憶媒体及び/若しくは方法の1つ以上のコンポーネントは、光干渉断層撮影プローブと併せて用いることもできる。そのようなプローブは、Tearneyらに対する米国特許第7,872,759号、第8,289,522号及び第8,928,889号と、フォトルミネセンスイメージングを促進する構成及び方法(Tearneyらに対する米国特許第7,889,348号に開示されているもの等)と、米国特許第9,332,942号、米国特許公開第2010/0092389号、第2012/0101374号、第2016/0228097号、第2010/0092389号及び第2018/0003481号に開示されたマルチモダリティイメージングを対象とする開示(特許及び特許公報の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)等を含む。前述したように、本開示の任意の特徴又は態様は、OCTイメージングシステム、装置、方法、記憶媒体、又は、米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願、2019年12月12日に米国特許公開第2019/0374109号として公開、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられる他の態様若しくは特徴とともに用いることができる。
【0146】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当然のことながら、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎない(そして、それに限定されない)。したがって、当然のことながら、例示の実施形態には多くの変更を加えることができ、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができる。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
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図4
図5
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図8A
図8B
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図10
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図12
図13