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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240215BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F25B1/00 385Z
F25B43/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020211389
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098064
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大島 正之
(72)【発明者】
【氏名】上田 真典
(72)【発明者】
【氏名】菅 崇
(72)【発明者】
【氏名】下司 大弥
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-27430(JP,A)
【文献】特開2005-3290(JP,A)
【文献】実開昭51-154458(JP,U)
【文献】実開昭52-31948(JP,U)
【文献】特開2003-222439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 43/00 - 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、四方弁、利用側熱交換器、膨張弁、熱源側熱交換器を冷媒配管でループ状に接続して冷凍サイクルが形成され、この該冷凍サイクル内に冷媒を循環させることで、室内を冷暖房するものにおいて、前記冷凍サイクル内に冷媒を封入する冷媒封入管を前記冷凍サイクルの前記四方弁を介して接続される前記圧縮機と前記利用側熱交換器の間に3方以上に分岐する接続部を用いて接続し、前記接続部は、前記冷媒封入管と前記利用側熱交換器に接続される冷媒配管と前記圧縮機に前記四方弁を介して接続される冷媒配管とが接続され、前記冷媒封入管と前記利用側熱交換器に接続される前記冷媒配管が、前記圧縮機に前記四方弁を介して接続される前記冷媒配管に対して線対称となる形状である内部流路としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記冷媒封入管の容積を前記冷凍サイクルの容積の1~5%としたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記冷凍サイクルの前記利用側熱交換器として水熱交換器を配し、この水熱交換器と室内熱交換器と、循環ポンプとを配管でループ状に接続して循環経路が形成され、この循環経路には前記冷凍サイクルと異なる冷媒を封入して循環させることで、室内を冷暖房する請求項1または、請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記冷媒封入管は、少なくとも1つの、U字型形状を有する調整配管を用いて形成され、
請求項1~3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を冷凍サイクルに封入する冷媒封入管を有した空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に空気調和機に用いられる冷凍サイクルは、圧縮機、四方弁、利用側熱交換器、膨張弁、熱源側熱交換器を冷媒配管でループ状に接続して形成され、この冷凍サイクルに冷媒を循環させることで、室内を冷暖房するようになっており、この冷媒配管の途中に冷媒封入管が接続されている。
【0003】
特許文献1には、圧縮機と熱源側熱交換器の間に配された分流器に冷媒封入管が接続された構成が開示されている。この冷媒封入管が接続されている分流器は、冷房運転時に圧縮機からの高温高圧冷媒を熱源側熱交換器の複数の冷媒管に分流するもので、冷媒封入管は、この分流器の熱源側熱交換器への流出側に接続されているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-222439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、利用側熱交換器を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル内の最適な冷媒量は、利用側熱交換器を凝縮器とする暖房運転時に対して多く、冷暖房共に行う事のできる冷凍サイクルでは、暖房に適した冷媒量とすると、冷房時に冷媒が不足し、逆に冷房に適した冷媒量とすると暖房時に冷媒が過剰となるため、冷暖房効率が悪い。
【0006】
ここで、特許文献1にある冷媒回路の場合、暖房時に冷媒封入管に対して冷媒を吸引する方向に圧力が生じるため、冷媒封入管に貯留された冷媒が冷凍サイクル内に流れ込み、冷凍サイクル内に循環する冷媒量は増加する。また、冷房時に冷媒封入管に対して冷媒が流れ込む方向に圧力が生じるため、冷凍サイクル内に循環する冷媒が冷媒封入管に流れ込み、冷凍サイクル内に循環する冷媒量は減少する。このため、特許文献1にある冷媒回路では、利用側熱交換器を凝縮器とする暖房運転時に対して、利用側熱交換器を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル内の冷媒量が少ないため、冷暖房効率が低下する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
圧縮機、四方弁、利用側熱交換器、膨張弁、熱源側熱交換器を冷媒配管でループ状に接続して冷凍サイクルが形成され、この該冷凍サイクル内に冷媒を循環させることで、室内を冷暖房するものにおいて、前記冷凍サイクル内に冷媒を封入する冷媒封入管を前記冷凍サイクルの前記四方弁を介して接続される前記圧縮機と前記利用側熱交換器の間に3方以上に分岐する接続部を用いて接続し、前記接続部は前記冷媒封入管に接続される冷媒配管と、前記利用側熱交換器に接続される冷媒配管と、前記圧縮機に前記四方弁を介して接続される冷媒配管に接続し、前記冷媒封入管に接続される前記冷媒配管と前記利用側熱交換器に接続される前記冷媒配管は、前記圧縮機に前記四方弁を介して接続される前記冷媒配管に対して線対称となる形状である内部流路とした。
【0008】
次に、前記冷媒封入管の容積を前記冷凍サイクル容積の1~5%とした。
【0009】
さらに、前記冷凍サイクルの前記利用側熱交換器に水熱交換器を配して、この水熱交換器、室内熱交換器、循環ポンプを前記冷媒配管でループ状に接続して冷媒循環経路が形成され、前記冷媒循環経路には前記冷凍サイクルと異なる冷媒を封入して循環させるものとした。
【0010】
また、前記冷媒封入管は、少なくとも1つの、U字型形状を有する調整配管を用いて形成され、前記調整配管のストレート部の長さを延長または短縮した、前記調整配管に変更することで、前記冷媒封入管の容積を変更可能な構成とした。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、冷凍サイクルに3方以上に分岐する接続部を用いて、冷媒封入管に接続される冷媒配管と利用側熱交換器に接続される冷媒配管とが、圧縮機に四方弁を介して接続される冷媒配管に対して線対称となる形状である内部流路とした冷媒封入管を備える。このため、暖房時に冷媒封入管に対して冷媒が流れ込む方向に圧力が生じるため、冷凍サイクル内にある冷媒が冷媒封入管に流れ込み貯留されることで、冷凍サイクル内に循環する冷媒量は減少する。また、冷房時に冷媒封入管に対して冷媒を吸引する方向に圧力が生じるため、冷媒封入管内に貯留された冷媒が冷凍サイクル内に流れ込み、冷凍サイクル内に循環する冷媒量は増加する。このため、利用側熱交換器を凝縮器とする暖房運転時に対して、利用側熱交換器を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル内の冷媒量が多いため、冷暖房効率が向上する。
【0012】
次に、冷媒封入管は冷凍サイクルに対して1~5%の容積を有することで、冷媒封入管に貯留される冷媒の量を適切な量とすることができ、冷暖房時における冷凍サイクル内を循環する冷媒量の差を適切な量とすることができるため、冷暖房共に冷凍サイクルを循環する冷媒の量を適量の状態で循環できる。したがって、冷暖房共に効率の良い運転をすることができる。
【0013】
さらに、冷凍サイクルの利用側熱交換器に水熱交換器を配して、室内熱交換器、循環ポンプを冷媒配管でループ状に接続して冷媒循環経路が形成され、冷媒循環経路には冷凍サイクルと異なる冷媒を封入して循環させることで、室内を冷暖房する室内熱交換器を配設した室内機が単一に限らず複数ある場合や、室内機の種類を単一に限らず複数種類ある場合とを、許容する接続構成とした場合であっても、使用する室内機の接続構成の変化による影響は冷媒循環経路のみとなり、冷凍サイクルの構成は変わらず、冷凍サイクルの容量が変化しないことから、冷暖房時における冷凍サイクル内を循環する冷媒量の差を変化させることが無いため、室内機の接続構成によらず、効率の良い冷暖房を行う事ができる。
【0014】
また、冷媒封入管は、少なくとも1つの、U字型形状を有する調整配管を用いて形成され、調整配管のストレート部の長さを延長または短縮した、調整配管に変更することで、冷媒封入管の容積を変更可能な構成としたことで、冷凍サイクルの接続構成の変更によって、冷凍サイクルの容量が変化した場合や、使用する冷媒を変更した結果、冷暖房に必要な冷媒量の差が変化した場合であっても、冷媒封入管の調整配管のストレート部の長さだけを変更して冷媒封入管の容積を任意の値に変更できるため、蛇行する形状で構成された冷媒封入管の屈曲部の半径や角度、屈曲回数が変化し、容積以外に冷媒の流れやすさも変化してしまい、設けた容積に対して冷媒封入管に貯留される冷媒量が、過剰となったり、不足する事が無く、調整配管のストレート部の長さを延長または短縮するだけで、求める冷暖房に必要な冷媒量の差になるように容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における空気調和機の概略構成図
図2】同一実施形態の室外機の斜視図
図3】同一実施形態の要部の斜視図
図4】同一実施形態の冷媒封入管の概略構成図
図5】比較例の冷媒封入管の概略構成図
図6】別実施形態の接続部の拡大図
図7】別実施形態の接続部の拡大図
図8】本発明の別実施形態における空気調和機の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に関わる実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
次に、この発明の一実施形態の空気調和機1の構成について、図面に基づき説明する。図1に示すように、空気調和機1は主として、圧縮機2、四方弁3、利用側熱交換器4、膨張弁5、熱源側熱交換器6、を冷媒配管でループ状に接続して冷凍サイクル7が形成される。この冷凍サイクル7内にR32単一冷媒を循環させることで、室内を冷暖房する冷暖房運転を行う。
【0018】
冷媒封入管9は室外機外部に露出する終端にある封入口9a、本配管9b、調整配管9cから構成され、調整配管9cの端部は冷媒配管10に接続される。この冷媒封入管9を介して冷凍サイクル7に冷媒を封入する。
【0019】
図2は筐体の配管カバーを取り外した状態の室外機の斜視図であり、冷媒封入管9の終端の封入口9aは室外機筐体の外部に露出して設けられている。
【0020】
図3は、図2の要部である冷媒封入管9とその周辺の構造を示すものである。室外機筐体の外部に露出して設けられる冷媒封入管9の終端には閉止可能な封入口9aが備えられ、封入口9aを介して冷媒が封入される。
【0021】
図4は、接続部8を介して冷凍サイクル7に接続される冷媒封入管9の概略構成図で、接続部8は冷凍サイクル7に対して、冷媒配管12を介して利用側熱交換器4に接続される。また、接続部8は冷媒配管11を介して四方弁3に接続され、冷媒配管10を介して冷媒封入管9に接続される。冷媒配管10は接続部8を介して冷凍サイクル7に接続される。
【0022】
接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製の、Uベンドの曲げ部の中心に導入部8aが設けられている導出部8b、8cを形成する対称形状のU字状分岐管である。
【0023】
接続部8の導入部8aは冷媒配管11と四方弁3を介して圧縮機2が接続され、導出部8bは冷媒配管10を介して冷媒封入管9が接続され、導出部8cは冷媒配管12を介して利用側熱交換器4が接続される。また、接続部8の導入部8aに対して導出部8b、導出部8cが線対称となる内部流路となっている。この接続部8は冷媒を一つの導入部8aから複数の導出部8b、8cに分配する機能を果たすもので、冷媒の循環の向きを逆向きにした場合は、冷媒を複数の導出部8b、8cから一つの導入部8aに合流させるものである。
【0024】
図5は比較例で、利用側熱交換器4を凝縮器とする暖房運転時、接続部8の導入部8aに対して導出部8b、導出部8cが線対称の内部流路になっていない、この場合、導入部8aから導出部8bと、導出部8cとに分配される冷媒量に偏りが生ずる。
【0025】
導出部8bに導出部8cよりも大きい圧力がかかり導出部8bに分配される冷媒量が多い場合、導出部8bに冷媒配管10を介して接続された冷媒封入管9に流れ込む冷媒量が多くなる。そのため、設けた冷媒封入管9の容量に対して過剰に冷媒が貯蔵されることで、冷凍サイクル7を循環する冷媒が不足する。さらに、導出部8cに分配される冷媒量が減少することで利用側熱交換器4への冷媒の流れが悪化し、暖房能力が低下することとなる。
【0026】
そこで、図4に示す本発明の如く、接続部8の導出部8bと、導出部8cと、が導入部8aに対して線対称の内部流路とすることで、暖房運転時の冷媒流れ方向では、導出部8bと、導出部8cと、に同じ圧力が掛かる。
【0027】
このことにより、導出部8bに分配される冷媒量が適量となることで、導出部8bに冷媒配管10を介して接続された冷媒封入管9に流れ込む冷媒量が適量となる。よって、設けた冷媒封入管9の容量に対して適量の冷媒が貯蔵されることで、冷凍サイクル7を循環する冷媒が暖房運転を行う際に適量となる。さらに、利用側熱交換器4への冷媒の流れが悪化し、暖房能力が低下することが無く、効率的な暖房運転が可能となる。
【0028】
一方、図5に示す比較例では、利用側熱交換器4を蒸発器とする冷房運転時に、導出部8bと、導出部8cと、が導入部8aに対して線対称の内部流路になっていない。その場合、導出部8bと、導出部8cと、から導入部8aに合流する冷媒の量に偏りが生ずる。
【0029】
導出部8bに導出部8cよりも大きい負圧がかかり導出部8bから導入部8aに吸引される冷媒量が多い場合、冷媒封入管9から流れ出す冷媒量が多くなる。そのため、設けた冷媒封入管9の容量に対して貯蔵される冷媒量が著しく低下することで、冷凍サイクル7を循環する冷媒が過剰となる。さらに、導出部8cから合流する冷媒量が減少することで利用側熱交換器4からの冷媒の流れが悪化し、冷房能力が低下することとなる。
【0030】
そこで、図4に示す本発明の如く、接続部8の導出部8bと、導出部8cと、が導入部8aに対して線対称の内部流路とすることで、冷房運転時の冷媒流れ方向では、導出部8bと、導出部8cと、に同じ負圧が掛かる。
【0031】
このことにより、導出部8bから合流される冷媒量が適量となることで、導出部8bに冷媒配管10を介して接続された冷媒封入管9から流れ込む冷媒量が適量となる。また、設けた冷媒封入管9の容量に対して適量の冷媒が貯蔵されることで、冷凍サイクル7を循環する冷媒が冷房運転を行う際に適量となる。さらに、利用側熱交換器4からの冷媒の流れが悪化し、冷房能力が低下することが無く、効率的な冷房運転が可能となる。
【0032】
上記により、圧縮機2が発する圧力が、冷媒配管10と冷媒配管12に対して均等に働き、暖房時に冷媒配管10に対して冷媒が流れ込む方向に圧力が生じる。このため、冷凍サイクル7内にある冷媒が冷媒配管10の先にある冷媒封入管9に流れ込み、冷凍サイクル7内に循環する冷媒量は減少する。また、冷房時に冷媒配管10に対して冷媒を吸引する方向に圧力が生じる。このため、冷媒配管10の先にある冷媒封入管9内に貯留された冷媒が冷凍サイクル7内に流れ込み、冷凍サイクル7内に循環する冷媒量は増加する。このことから、利用側熱交換器4を凝縮器とする暖房運転時に対して、利用側熱交換器4を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル7内の冷媒量が多いため、冷暖房効率が向上する。
【0033】
図6(a)は接続部8の別の一例の拡大図であり、接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製の、上端に導入部8a設けた縦配管の下端から左右方向かつ縦配管に対して直角となるように分岐する横配管が備えられる。その横配管の左右端部に導出部8b、8cが設けられている対称形状のT字状分岐管である。
【0034】
図6(b)は接続部8の別の一例の拡大図であり、接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製の、上端に導入部8a設けた縦配管の下端から左右方向かつ縦配管に対して同角に分岐する横配管が備えられる。その横配管の端部に導出部8b、8cが設けられている対称形状のY字状分岐管である。
【0035】
図6(c)は接続部8の別の一例の拡大図であり、接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製の、上端に導入部8a設けた縦配管の下端から左右方向かつ縦配管と横配管の角度が全て同角に分岐する横配管が備えられる。その横配管の端部に導出部8b、8cが設けられている対称形状のY字状分岐管である。
【0036】
図7(a)は接続部8の別の一例の拡大図であり、接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製で、円筒密閉構造の上部に導入部8a設け、下部に導出部8b、8cが設けられている対称形状の円筒状分岐管である。
【0037】
図7(b)は接続部8の別の一例の拡大図であり、接続部8は少なくとも3方に分岐する分岐配管で、例えば金属製で、円筒密閉構造の上部に導入部8a設け、側面部に導出部8b、8cが設けられている対称形状の円筒状分岐管である。
【0038】
なお、本実施形態の接続部8の形状は、図4をもとに説明したが、接続部8の形状は図6図7のような形状でもよい。また、図6図7に限らず、接続部8の複数の接続口の内、導出部8b、8c、が導入部8aに対して線対称の内部流路とすることで、同様の効果が得られるものである。さらに、接続部8の形状は、二次元的な接続に限らず、三次元的な形状であっても良いものである。
【0039】
次に、冷暖房時における、冷凍サイクル7を循環する冷媒量の差は、冷媒封入管9と冷凍サイクル7の容積によって調整する。この容積を冷媒封入管9の容積を冷凍サイクル7容積の1~5%とすることで、冷暖房共に冷凍サイクル7を循環する冷媒量が適量となる冷媒量の差となり、効率の良い冷暖房運転ができる。
【0040】
しかし、利用側熱交換器4を凝縮器とする暖房運転時に対して、利用側熱交換器4を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル7内の冷媒量が多い場合であっても、冷媒量の差が1%未満となると暖房運転時に冷凍サイクル7内の冷媒が過剰となる。一方、冷房時には冷凍サイクル7内の冷媒が不足する。このことにより、冷暖房効率が低下する。
【0041】
また、利用側熱交換器4を凝縮器とする暖房運転時に対して、利用側熱交換器4を蒸発器とする冷房運転時に冷凍サイクル7内の冷媒量が多い場合であっても、冷媒量の差が5%超であると、暖房運転時に冷凍サイクル7内の冷媒が不足する。一方、冷房時には冷凍サイクル7内の冷媒が過剰となる。このことにより、冷暖房効率が低下する。
【0042】
ここで、室内を冷暖房する利用側熱交換器4を配設した室内機が単一に限らず複数ある場合や、室内機の種類を単一に限らず複数種類ある場合と、を許容する接続構成とした場合、使用する室内機の接続構成によって、冷凍サイクル7の容量が変化する。このため、必要とされる最適な冷媒量は変化し、室内機の接続構成によっては、適切な冷媒量で運転できず、冷暖房効率が低下する。
【0043】
そこで、図8に示す本発明の別実施形態の如く、冷凍サイクル7の利用側熱交換器4に水熱交換器13を配して、水熱交換器13、室内熱交換器14、循環ポンプ15を冷媒配管でループ状に接続して冷媒循環経路16が形成される。この冷媒循環経路16には冷凍サイクル7と異なる冷媒を封入して循環させるものとした。
【0044】
そのことにより、室内を冷暖房する室内熱交換器14を配設した室内機が単一に限らず複数ある場合や、室内機の種類を単一に限らず複数種類ある場合と、を許容する接続構成とした場合であっても、使用する室内機の接続構成の変化による影響は冷媒循環経路16のみとなる。さらに、使用する室内機の接続構成の変化によって、冷凍サイクル7の構成は変わらず、冷凍サイクル7の容量が変化しない。このことから、冷暖房時における冷凍サイクル7内を循環する冷媒量の差を変化させることが無いため、室内機の接続構成によらず、効率の良い冷暖房運転を行う事ができる。
【0045】
次に、冷凍サイクル7の接続構成の変更によって、冷凍サイクル7の容量が変化した場合や、ここまでの実施例で使用するR32単一冷媒を用いず、別の冷媒を使用した結果、冷暖房に必要な冷媒量の差が変化することがある。その場合、冷媒封入管9の容積を調整して、冷凍サイクル7と、冷媒封入管9との容積比を冷凍サイクル7の構成と使用する冷媒とに適した値に変更する必要が生じる。
【0046】
このとき、図4に示すように、冷媒封入管9は蛇行する形状で構成され、冷媒封入管9の封入口9aの位置と、調整配管9cの冷媒配管10との接続口の位置を変更せずに冷媒封入管9の配管長で容積を調整する。冷媒封入管9の配管長を調節する際、冷媒封入管9の屈曲部の半径や角度、屈曲回数が変化してしまうと、冷媒封入管9の容積以外に冷媒の流れやすさも変化してしまう。このことで、冷媒封入管9の配管長を調節して設けた冷媒封入管9の容積に対して冷媒封入管9に貯留される冷媒量が、過剰となったり不足することが考えられる。
【0047】
そこで、冷媒封入管9は、少なくとも1つの、U字型形状を有する調整配管9cを用いて形成され、調整配管9cのストレート部の長さを延長または短縮した別の調整配管9cに変更することで、冷媒封入管9の容積を変更可能な構成とした。
【0048】
このことにより、冷媒封入管9に設けた、調整配管9cのストレート部の長さだけを変更して冷媒封入管9の容積を任意の値に変更できる。さらに、蛇行する形状で構成された冷媒封入管9の屈曲部の半径や角度、屈曲回数は変化せず、冷媒封入管9の容積は変化するが、冷媒封入管9の冷媒の流れやすさが変化することがない。このため、設けた冷媒封入管9の容積に対して冷媒封入管9に貯留される冷媒量が、過剰となったり、不足する事が無い。すなわち、調整配管9cのストレート部の長さを延長または短縮するだけで、冷媒封入管9の容積を調整でき、冷媒封入管9に貯留される冷媒の量を容易に調整可能とするものである。
【符号の説明】
【0049】
1 空気調和機
2 圧縮機
3 四方弁
4 利用側熱交換器
5 膨張弁
6 熱源側熱交換器
7 冷凍サイクル
8 接続部
9 冷媒封入管
9c 調整配管
10 冷媒配管
11 冷媒配管
12 冷媒配管
13 水熱交換器
14 室内熱交換器
15 循環ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8