(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】緑茶入り飲料、緑茶入り飲料の退色抑制方法、及び緑茶入り飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/16 20060101AFI20240215BHJP
A23F 3/14 20060101ALI20240215BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20240215BHJP
【FI】
A23F3/16
A23F3/14
C12G3/04
(21)【出願番号】P 2020550262
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2019036359
(87)【国際公開番号】W WO2020071106
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2018190081
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019030479
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019116633
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302026508
【氏名又は名称】宝酒造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】松山 桃子
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 学
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/136610(WO,A1)
【文献】特開平07-000112(JP,A)
【文献】特開2007-244310(JP,A)
【文献】特公昭39-021643(JP,B1)
【文献】特開2008-161094(JP,A)
【文献】特開2005-333862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F,A23L,C12G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶入り飲料の製造方法であって、前記緑茶入り飲料は、
(A)緑茶、
(B)フィチン酸
及び酒石
酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、及び
(C)アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、
を含有し、銅含量が0.3mg/L以上であ
り、
前記緑茶入り飲料における前記(B)成分の濃度が0.05~2.5g/Lであり、前記(C)成分の濃度が0.2~5g/Lであり、
前記緑茶として、緑茶原料を加熱しながら銅と接触させることを含む方法(緑茶原料を銅と接触させながら水で抽出する方法を除く)によって得られた緑茶を使用する、緑茶入り飲料
の製造方法。
【請求項2】
前記緑茶入り飲料は、さらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%である、請求項
1に記載の緑茶入り飲料
の製造方法。
【請求項3】
前記緑茶が抹茶である、請求項1
又は2に記載の緑茶入り飲料
の製造方法。
【請求項4】
前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の緑茶入り飲料
の製造方法。
【請求項5】
前記(B)成分がフィチン酸であり
、
前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩であり
、
前記緑茶入り飲料は、さらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%であり、
前記緑茶が抹茶である、請求項1に記載の緑茶入り飲料
の製造方法。
【請求項6】
緑茶入り飲料に、
(B)フィチン酸
及び酒石
酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、
を最終濃度0.05~2.5g/Lとなるように含有させること、
(C)アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、
を最終濃度0.2~5g/Lとなるように含有させること、及び
銅を0.3mg/L以上の含量となるように含有させる
こと、を含み、
前記緑茶として、緑茶原料を加熱しながら銅と接触させることを含む方法(緑茶原料を銅と接触させながら水で抽出する方法を除く)によって得られた緑茶を使用する、緑茶入り飲料の退色抑制方法。
【請求項7】
前記緑茶入り飲料がさらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%である、請求項
6に記載の緑茶入り飲料の退色抑制方法。
【請求項8】
前記緑茶が抹茶である、請求項
6又は7に記載の緑茶入り飲料の退色抑制方法。
【請求項9】
前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩である、請求項
6~
8のいずれか1項に記載の緑茶入り飲料の退色抑制方法。
【請求項10】
前記(B)成分がフィチン酸であり
、
前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩であり
、
前記緑茶入り飲料がさらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%であり、
前記緑茶が抹茶である、請求項
6に記載の緑茶入り飲料の退色抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑茶入り飲料、緑茶入り飲料の退色抑制方法、及び緑茶入り飲料の製造方法に関する。本発明の緑茶入り飲料は、従来の緑茶入り飲料に比べて、緑茶色素の退色が抑制され、色鮮やかで、かつ良好な香味を有する高品質のものである。
【背景技術】
【0002】
緑茶等の茶原料を含有させた茶入り飲料が知られている。一般に、飲料の原料として緑茶を用いる場合、緑茶に含まれるクロロフィルが温度、pH、光等の影響により変化し、飲料が変色または退色してしまうという課題がある。
【0003】
茶原料の退色を抑制する技術としては、例えば、特許文献1~3に記載のものが挙げられる。特許文献1には、抹茶にサイクロデキストリンを配合したことを特徴とする保存性の改善された抹茶が開示されている。特許文献2には、表面にマグネシウム化合物を付着させてなる退色や変色を防止した抹茶粉末及び抹茶粉末の製造方法が開示されている。特許文献3には、アルカリ性溶液を添加し、緑茶が本来有する風味及びその他の有効成分を失うことなく、保存時の緑色の色調安定性及び風味安定性に優れた緑茶が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-19051号公報
【文献】特開2012-60928号公報
【文献】特開2014-198039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、緑茶を含有する飲料(緑茶入り飲料)の退色を抑制する技術については、十分に検討されているとはいえない。そこで本発明は、前記した従来技術が抱える問題点を踏まえ、緑茶色素の退色が抑制され、色鮮やかで、かつ良好な香味を有する高品質の緑茶入り飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、フィチン酸、酒石酸、又はグルコン酸((B)成分)と、アスコルビン酸若しくはエリソルビン酸又はそれらの塩((C)成分)とを組み合わせて使用し、さらに銅含量を所定値以上とすることにより、緑茶入り飲料における緑茶色素の緑色を経時的に安定して保持できることを見出した。さらに、この効果は、アルコールを含有した緑茶入りアルコール飲料の形態でも発揮されることを見出した。そして、緑色の見た目が鮮やかで、かつ良好な香味を有する高品質の緑茶入り飲料を提供することに成功した。
【0007】
本発明の1つの様相は、(A)緑茶、(B)フィチン酸、酒石酸、及びグルコン酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、及び(C)アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、を含有し、銅含量が0.3mg/L以上である、緑茶入り飲料である。
【0008】
好ましくは、前記(B)成分の濃度が0.05~2.5g/Lである。
【0009】
好ましくは、前記(C)成分の濃度が0.2~5g/Lである。
【0010】
好ましくは、さらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%である。
【0011】
好ましくは、前記緑茶が抹茶である。
【0012】
好ましくは、前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩である。
【0013】
好ましくは、前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(B)成分の濃度が0.05~2.5g/Lであり、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩であり、前記(C)成分の濃度が0.2~5g/Lであり、さらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%であり、前記緑茶が抹茶である。
【0014】
本発明の他の様相は、緑茶入り飲料に、(B)フィチン酸、酒石酸、及びグルコン酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、及び(C)アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、を含有させ、さらに銅を0.3mg/L以上の含量となるように含有させる、緑茶入り飲料の退色抑制方法である。
【0015】
好ましくは、前記(B)成分を最終濃度0.05~2.5g/Lとなるように含有させる。
【0016】
好ましくは、前記(C)成分を最終濃度0.2~5g/Lとなるように含有させる。
【0017】
好ましくは、緑茶入り飲料がさらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%である。
【0018】
好ましくは、前記緑茶が抹茶である。
【0019】
好ましくは、前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩である。
【0020】
好ましくは、前記(B)成分がフィチン酸であり、前記(B)成分を最終濃度0.05~2.5g/Lとなるように含有させ、前記(C)成分がアスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩であり、前記(C)成分を最終濃度0.2~5g/Lとなるように含有させ、緑茶入り飲料がさらにアルコールを含有し、アルコール濃度が1~60v/v%であり、前記緑茶が抹茶である。
【0021】
本発明の他の様相は、上記の緑茶入り飲料を製造する方法であって、前記緑茶として、緑茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた緑茶を使用する、緑茶入り飲料の製造方法である。
【0022】
好ましくは、前記緑茶が抹茶である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、緑茶色素の退色が抑制された、色鮮やかで、かつ良好な香味を有する緑茶入り飲料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1-2で調製した6種の緑茶入りアルコール飲料の外観を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の緑茶入り飲料は、(A)緑茶、(B)フィチン酸、酒石酸、及びグルコン酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、及び(C)アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、を含有し、銅含量が特定量以上であるものである。また、本発明の緑茶入り飲料の退色抑制方法は、緑茶入り飲料に、上記(B)成分と(C)成分とを含有させ、さらに銅を特定量以上の含量となるように含有させるものである。
【0026】
本発明における「緑茶」とは、チャノキの葉から作った茶のうち、摘み取った茶葉を加熱処理して発酵を妨げたものを指す。緑茶は、不発酵茶(非発酵茶)に分類される。緑茶の例としては、抹茶、煎茶、玉露が挙げられる。本発明では、緑色の見た目が鮮やかな緑茶を採用することが好ましく、抹茶が特に好ましく採用される。
【0027】
本発明における「抹茶」とは、一般的な抹茶の定義と同じであり、遮光条件下で栽培された生茶葉を蒸した後、乾燥して得られる碾茶を、石臼挽き等により微粉砕したものを指す。石臼挽き以外にも、マスコロイダーやコロイドミルによる機械挽き等で微粉砕してもよい。
【0028】
本発明の緑茶入り飲料を製造する際に使用する緑茶の形態としては、特に限定はないが、例えば粉体、液体、ペースト状のものを適宜選択して使用することができる。
【0029】
本発明の緑茶入り飲料における緑茶の含有量としては、特に限定はないが、緑色の見た目が鮮やかである範囲、例えば0.3~20g/Lの範囲から適宜選択することができる。
【0030】
本発明の緑茶入り飲料における所定の銅含量を達成するために、銅を10ppm(mg/kg)以上含有する緑茶を使用することが好ましい。銅を100ppm(mg/kg)以上含有する緑茶を使用することがより好ましい。そのような緑茶は、例えば、緑茶原料(例えば、生茶葉、碾茶)を銅と接触させることを含む方法によって得ることができる。例えば、銅を含む金属で構成された金属製容器内で、必要に応じて加熱しながら、緑茶原料を所定時間処理することを含む方法によって得ることができる。
【0031】
本発明の緑茶入り飲料は、銅含量が0.3mg/L以上である。銅含量が0.3mg/L未満であると、緑茶入り飲料における緑色の見た目が鮮やかでなくなるおそれがある。なお、日本人の食事摂取基準における銅の許容上限量は10mg/日である。そして、緑茶入り飲料における銅含量が20mg/Lまで、緑茶色素の退色抑制効果を発揮できることを確認済みである。
【0032】
(B)成分は、フィチン酸、酒石酸、及びグルコン酸からなる群より選ばれた少なくとも1つ、である。
【0033】
上記(B)成分の1つであるフィチン酸は、myo-イノシトールの六リン酸エステルであり、CAS登録番号83-86-3の物質である。
【0034】
上記(B)成分の1つである酒石酸は、L-酒石酸のことである。酒石酸は、酸味のある果実、特にブドウ、ワインに多く含まれるヒドロキシ酸である。
【0035】
上記(B)成分の1つであるグルコン酸は、グルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸で、CAS登録番号526-95-4の物質である。
【0036】
本発明における上記(B)成分の含有量としては、緑茶色素の退色抑制効果を発揮する範囲であれば特に限定はないが、好ましくは0.05~2.5g/L、より好ましくは0.05~2g/L、さらに好ましくは0.05~1g/Lの範囲である。(B)成分が0.05g/L未満であると、退色抑制効果が小さくなるおそれがある。(B)成分が2.5g/L超であると、酸味が立ちすぎる(強すぎる)おそれがある。
【0037】
(B)成分として酒石酸を用いる場合において、酒石酸の一部を酒石酸の塩に置き換えてもよい。(B)成分としてグルコン酸を用いる場合において、グルコン酸の一部をグルコン酸の塩に置き換えてもよい。
【0038】
上記(B)成分について、官能面からはフィチン酸又は酒石酸を用いることが好ましく、酸味が立ちにくい(強すぎない)フィチン酸を用いることが特に好ましい。
【0039】
(C)成分は、アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、及びエリソルビン酸の塩からなる群より選ばれた少なくとも1つ、である。
【0040】
上記(C)成分の1つであるアスコルビン酸は、L-アスコルビン酸のことであり、水溶性ビタミンの1種で、ビタミンCとも称される物質である。アスコルビン酸の塩としては、例えばアスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0041】
上記(C)成分の1つであるエリソルビン酸は、L-アスコルビン酸の立体異性体であり、酸化防止剤として食品添加物に使われる物質である。エリソルビン酸の塩としては、例えばエリソルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0042】
本発明における上記(C)成分の含有量としては、緑茶色素の退色抑制効果を発揮する範囲であれば特に限定はないが、好ましくは0.2~5g/L、より好ましくは0.2~3g/L、さらに好ましくは0.2~1g/Lの範囲である。(C)成分が0.2g/L未満であると退色抑制効果が小さくおそれがある。(C)成分が5g/L超であると酸味が立ちすぎる(強すぎる)おそれがある。
【0043】
本発明の緑茶入り飲料は、必要に応じて、他の成分、例えば香料、糖類、甘味料、酸味料等の食品添加物を含んでもよい。
【0044】
所定の銅含量を達成するために、本発明の緑茶入り飲料には、銅クロロフィル(銅葉緑素)や銅クロロフィリンナトリウムといった着色料を添加してもよい。例えば、上記した銅を10ppm(mg/kg)以上含有する緑茶と組み合わせて、これらの着色料を用いることができる。
【0045】
本発明の緑茶入り飲料は、そのまま飲む、水で薄めて飲む、炭酸水で割って飲む、などの飲み方ができる、汎用性の高いものである。本発明の緑茶入り飲料は、保存性がよく、緑茶色素の退色が抑制され、緑色の見た目の鮮やかさを安定して保持できる。
【0046】
1つの好ましい実施形態では、本発明の緑茶入り飲料は、さらにアルコールを含有する。以下、本実施形態の飲料を「緑茶入りアルコール飲料」と称することがある。なお、本明細書においては、「アルコール濃度」とはエチルアルコール(エタノール)の濃度をいう。すなわち、本明細書において「アルコール」と記載した場合は、特に断らない限りエチルアルコール(エタノール)を指す。
【0047】
本発明における「緑茶入りアルコール飲料」とは、緑茶を含有するアルコール飲料であり、例えば、アルコール原料に抹茶等の緑茶と水を混合し、必要に応じて、さらに香料、糖類、甘味料、酸味料等の食品添加物、その他の原料を混合したものである。具体例としては、いわゆるチューハイ、カクテル、フィズ、ワインクーラー等のスピリッツ類、リキュール類等であって、緑茶を含有するものが挙げられる。アルコール原料としては特に限定はなく、例えば、醸造アルコール、スピリッツ類(ラム、ウオッカ、ジン等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー又は焼酎(連続式蒸留しょうちゅう、単式蒸留しょうちゅう)等が挙げられ、さらには清酒、ワイン、ビール等の醸造酒類でもよい。これらのアルコール原料については、それぞれ単独又は併用して用いることができるが、その香味を生かすようなアルコール原料を選択することが好ましい。
より好ましい形態としては、緑茶入りアルコール飲料をリキュールやチューハイとすることが挙げられる。
【0048】
本発明の緑茶入りアルコール飲料のアルコール濃度は、例えば、前記形態に合わせて適宜選択すればよいが、代表的には1~60v/v%の範囲である。例えば、リキュールである場合には、アルコール濃度として10~60v/v%の範囲が挙げられる。アルコール濃度が10v/v%以上であると、過剰な加熱殺菌を行わなくてもよいので、緑色の見た目がより鮮やかとなり、特に好ましい。チューハイである場合には、アルコール濃度として1~10v/v%の範囲が挙げられる。なお、チューハイとするには、各原料を混和して得られた混和物にカーボネーションを施して炭酸ガスを含有させることにより、発泡性緑茶入りアルコール飲料を得ることができる。好ましい実施形態では、前記発泡性緑茶入りアルコール飲料のガスボリュームが1.5~3.5である。なお、本発明の緑茶入りアルコール飲料のpHは3.5以上4.0未満が好ましく、より好ましくは3.6以上3.8未満である。pHが4.0未満、より好ましくはpHが3.8未満であると、過剰な加熱殺菌を行わなくてもよいので、緑色の見た目がより鮮やかで、かつ良好な香味を有する緑茶入りアルコール飲料とすることができる。
【0049】
本発明の緑茶入りアルコール飲料には、必要に応じてその他の成分を含有させてもよい。例えば、糖質をさらに含有させてもよい。糖質としては、一般的にリキュール、チューハイ、果実混和酒の製造に用いられている糖質を使用することができる。具体的には、ぶどう糖、果糖、グラニュー糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、蔗糖液糖、氷砂糖、黒糖、蜂蜜等を使用することができる。
【0050】
本発明の緑茶入りアルコール飲料は、例えば、原料用アルコールに抹茶等の緑茶、(B)成分、及び(C)成分を添加し、必要に応じて糖類、香料等の他の原料をさらに添加し、所望のアルコール濃度となるよう水を添加して製造することができる。所定の銅含量を達成するために、上述した、緑茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた緑茶を使用したり、銅クロロフィル等の着色料を使用することができる。
【0051】
なおリキュールの場合、氷を入れてそのまま飲んだり水で薄めて飲む以外に、牛乳(ミルク)を入れてミルク割りとして飲むことがある。本発明の緑茶入りアルコール飲料は、ミルク割りに使用しても沈殿物が生じにくく、見た目を損なうこともない。
【0052】
本発明の緑茶入りアルコール飲料は、氷を入れてそのまま飲む、水で薄めて飲む、などの方法で飲むことができる。さらに、炭酸ガスを含有していない場合は炭酸水で割って飲む、ミルク割りとして飲む、などの方法で飲むことができる。本発明の緑茶入りアルコール飲料は、保存性がよく、緑茶色素の退色が抑制され、緑色の見た目の鮮やかさを安定して保持できる。
【0053】
本発明の緑茶入り飲料は、割り材(割材)としても有用である。焼酎の抹茶割りを例にすると、飲食店が焼酎の抹茶割りを提供する場合、通常は、その場で抹茶粉末を水に溶かし、これに焼酎を混合している。すなわち、抹茶は水に溶かすと1日ほどで退色してしまうので、その都度、抹茶粉末を水に溶かしている。しかし、本発明の緑茶入り飲料(抹茶入り飲料)を割材とし、これに焼酎を混合して焼酎の抹茶割りを調製すれば、抹茶粉末を毎回溶かす必要がなくなる。本発明の緑茶入り飲料は保存性がよく、緑茶色素の退色が抑制され、緑色の見た目の鮮やかさを安定して保持できるので、このような割材としての使用が可能となる。
【0054】
さらに、緑茶入りアルコール飲料の形態で割材とすれば、焼酎等を別途用いる必要もなくなる。例えば、当該割材に氷を入れて、そのまま緑茶入りアルコール飲料として提供することができる。また、当該割材を水で薄めて、緑茶入りアルコール飲料として提供することができる。また、当該割材を炭酸水で割って、発泡性の緑茶入りアルコール飲料として提供することができる。また、この割材をミルクで割って、ミルクを含む緑茶入りアルコール飲料として提供することができる。
【0055】
緑色の見た目の鮮やかさの評価については、分光測色計や色彩色差計を用いて行うことができる。例えば、色彩色差計を用い、L*a*b*表色系によって数値化した値をもって評価することができる。ここでL*値は色の明るさを表す明度であり、0~100の数値をとる。数値が大きいほど明度が高い。a*値とb*値はいずれも色の強弱を表す色度である。a*値がプラス(+)方向であるほど赤色が強くなり、マイナス(-)方向であるほど緑色が強くなる。b*値がプラス(+)方向であるほど黄色が強くなり、マイナス(-)方向であるほど青色が強くなる。本発明の緑茶入り飲料においては、常温で1年相当の保存後であっても、a*値とb*値にほとんど変化がないことを確認済みである。
【0056】
上述のとおり、本発明によれば、緑茶色素の退色が抑制され、色鮮やかとなる。そのメカニズムについては、次のように考察される。すなわち、緑茶色素であるクロロフィルが分解してフェオフィチンとなり退色すること、そして緑茶に含まれる無色のカテキンが酸化してテアフラビン類やテアルビジン類となって赤褐色や黒褐色に変色すること、の2点によるものである。前者については、銅含量を0.3mg/L以上とすることによりクロロフィルの緑色の退色を抑制することができたものと思われる。後者については、フィチン酸、酒石酸、又はグルコン酸のキレート能によりカテキンの酸化反応を大幅に抑制することができたものと思われる。さらに、抗酸化能を有するアスコルビン酸若しくはエリソルビン酸又はそれらの塩により、変色をほとんど起こさないようにすることができたものと思われる。
【0057】
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0058】
〔実施例1-1〕フィチン酸の効果確認
抹茶を使用した緑茶入りアルコール飲料におけるフィチン酸の緑茶色素の退色抑制効果を調べるために、表1に示す配合からなり、フィチン酸の含有量が異なる5種のリキュールを製造した(アルコール濃度:12.4v/v%)。フィチン酸濃度は、0.025g/L、0.05g/L、0.25g/L、0.5g/L、又は2.5g/Lとした。抹茶として、抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた抹茶を使用した。なお、各リキュールの銅含量は2.3mg/Lであった。
【0059】
【0060】
40℃で4日間保存(常温で1ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、各緑茶入りアルコール飲料の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、フィチン酸の濃度が0.05~2.5g/Lの範囲で緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、かつ香味も良好であるという高い評価であった。
【0061】
〔実施例1-2〕フィチン酸とアスコルビン酸の効果確認<1>
抹茶を使用した緑茶入りアルコール飲料におけるフィチン酸とアスコルビン酸による緑茶色素の退色抑制効果を調べるために、表2の「実施例1-2」に示す配合からなり、アスコルビン酸の含有量が異なる6種のリキュール(緑茶入りアルコール飲料)を製造した(アルコール濃度:12.4v/v%)。アスコルビン酸濃度は、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、1.0g/L、又は5.0g/Lとした。抹茶として、抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた抹茶を使用した。なお、各リキュールの銅含量は5.8mg/Lであった。
【0062】
40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、各リキュール(緑茶入りアルコール飲料)の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、アスコルビン酸の濃度が少なくとも0.2~5.0g/Lの範囲で、緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、かつ香味も良好であるという高い評価であった。
【0063】
図1は各リキュールの外観を表す写真であり、無色透明のバイアルに入れた各リキュールの色調を観察したものである。
図1において、左からアスコルビン酸濃度0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、1.0g/L、5.0g/Lの各リキュールを表している。
図1に示すように、特にアスコルビン酸濃度0.2~5.0g/Lの範囲で退色が顕著に抑制され、鮮やかな緑色が保持されていた。
【0064】
〔実施例1-3〕フィチン酸とアスコルビン酸の効果確認<2>
表2の「実施例1-3」に示す配合からなるリキュール(緑茶入りアルコール飲料)を製造した(アルコール濃度:12.4v/v%、pH:3.6)。リキュールの銅含量は2.3mg/Lであった。
【0065】
40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、緑茶入りアルコール飲料の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、かつ香味も良好であるという高い評価であった。
【0066】
〔実施例1-4〕酒石酸とアスコルビン酸の効果確認
抹茶を使用した緑茶入りアルコール飲料における酒石酸とアスコルビン酸による緑茶色素の退色抑制効果を調べるために、表2の「実施例1-4」に示す配合からなり、アスコルビン酸の含有量が異なる6種のリキュール(緑茶入りアルコール飲料)を製造した(アルコール濃度:12.4v/v%)。アスコルビン酸濃度は、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、1.0g/L、又は5.0g/Lとした。抹茶として、抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた抹茶を使用した。なお、各リキュールの銅含量は5.8mg/Lであった。なお、酒石酸の配合量である0.35gは、実施例1-2のリキュールと同じpHとなる値として採用した。
【0067】
40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、各リキュール(緑茶入りアルコール飲料)の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、アスコルビン酸の濃度が少なくとも0.2~5.0g/Lの範囲で、緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、かつ香味も良好であるという高い評価であった。
【0068】
〔実施例1-5〕グルコン酸とアスコルビン酸の効果確認
抹茶を使用した緑茶入りアルコール飲料におけるグルコン酸とアスコルビン酸による緑茶色素の退色抑制効果を調べるために、表2の「実施例1-5」に示す配合からなり、アスコルビン酸の含有量が異なる6種のリキュール(緑茶入りアルコール飲料)を製造した(アルコール濃度:12.4v/v%)。アスコルビン酸濃度は、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、1.0g/L、又は5.0g/Lとした。抹茶として、抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた抹茶を使用した。なお、各リキュールの銅含量は5.8mg/Lであった。なお、グルコン酸の配合量である1.5gは、実施例1-2のリキュールと同じpHとなる値として採用した。
【0069】
40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、各リキュール(緑茶入りアルコール飲料)の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、アスコルビン酸の濃度が少なくとも0.2~5.0g/Lの範囲で、緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、かつ香味も良好であるという高い評価であった。
【0070】
【実施例2】
【0071】
実施例1-3の配合において、アルコール濃度が5v/v%となるように、67v/v%アルコールと脱イオン水の配合量を調整した。これに、常法通りカーボネーションを施して炭酸ガスを含有させ、発泡性緑茶入りチューハイを調製した。得られた発泡性緑茶入りチューハイのガスボリュームは1.8、pHは3.6、銅含量は2.3mg/Lであった。
【0072】
得られた発泡性緑茶入りチューハイを、40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名による官能評価試験を行った。その結果、10名とも、保存前と比較して、緑色の見た目が鮮やかで、緑茶色素の退色が抑制され、味わいもまろやかで、香味良好であるとの高い評価であった。
【0073】
色彩色差計CR5(コニカミノルタ製)を用いて、得られた発泡性緑茶入りチューハイの色彩をL*a*b*表色系で評価した。その結果、保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、22.42、-7.50、及び24.87であった。保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、21.40、-7.62、及び24.83であり、保存前と比較してほとんど変化がなかった。
【実施例3】
【0074】
抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた、銅含量が1150mg/kgである抹茶を用いて、表3に示す配合により、緑茶入り飲料を調製した(実施例3)。対照として、市販の一般的な抹茶を用いた(比較例3)。実施例3の緑茶入り飲料のpHは3.6であり、比較例の緑茶入り飲料pHも3.6であった。また、実施例3の緑茶入り飲料の銅含量は5.8mg/Lであり、比較例の緑茶入り飲料の銅含量は0.03mg/Lであった。
【0075】
【0076】
各々の緑茶入り飲料を40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した。熟練したパネラー10名によって、実施例3の緑茶入り飲料の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、緑茶入り飲料の退色が抑制され、緑色の見た目が鮮やかで香味も良好であるという高い評価であった。一方、比較例3の緑茶入り飲料では、保存後、緑色から茶色がかった色に変化していた。
【0077】
実施例3の緑茶入り飲料の保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、25.45、-8.92、及び28.70であった。実施例3の緑茶入り飲料の保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、23.57、-8.30、及び27.51であり、保存前と比較してほとんど変化はなかった。
【0078】
一方、比較例3の緑茶入り飲料の保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、24.45、-8.07、及び29.70であった。比較例3の緑茶入り飲料の保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、24.43、1.87、及び27.38であり、a*値で赤色が強くなるプラス(+)方向となっていた。
【実施例4】
【0079】
碾茶を、銅と接触させながら温水で抽出して得た、銅含量が12mg/Lである緑茶抽出液を調製した。この緑茶抽出液を用いて、表4に示す配合により、緑茶入り飲料を調製した(実施例4)。対照として、市販の一般的な抹茶を用いて同様の操作を行った(比較例4)。実施例4の緑茶入り飲料のpHは3.6であり、比較例4の緑茶入り飲料のpHも3.6であった。また、実施例4の緑茶入り飲料の銅含量は0.6mg/Lであり、比較例4の緑茶入り飲料の銅含量は0.01mg/Lであった。
【0080】
【0081】
各々の緑茶入り飲料を40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した。熟練したパネラー10名によって、実施例4の緑茶入り飲料の退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、緑茶入り飲料の退色が抑制され、緑色の見た目が鮮やかで香味も良好であるという高い評価であった。一方、比較例4の緑茶入り飲料では、保存後、緑色から茶色がかった色に変化していた。
【実施例5】
【0082】
実施例4で調製した緑茶抽出液(銅含量12mg/L)を用いて、表5に示す配合により、緑茶入りアルコール飲料であるリキュールを製造した(アルコール濃度:10.0v/v%、pH:3.6)(実施例5)。このリキュールの銅含量は0.6mg/Lであった。
【0083】
【0084】
実施例5の緑茶入りアルコール飲料を40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した後、熟練したパネラー10名によって、退色抑制効果と香味を評価した。その結果、10名とも、保存前と比較して、緑茶入りアルコール飲料の退色が抑制され、緑色の見た目が鮮やかで香味も良好であるという高い評価であった。
【0085】
実施例5の緑茶入りアルコール飲料の保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、21.31、-4.68、及び12.72であった。実施例5の緑茶入りアルコール飲料の保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、21.42、-4.94、及び12.73であり、保存前と比較してほとんど変化はなかった。
【実施例6】
【0086】
抹茶原料を銅と接触させることを含む方法によって得られた抹茶を含む、銅含量が250mg/kgである抹茶ペースト(抹茶20w/w%含有)を用いて、表6に示す配合により、緑茶入りアルコール飲料であるリキュールを製造した(アルコール濃度:25.0v/v%、pH:3.7)(実施例6)。このリキュールにおけるリキュールの銅含量は3.8mg/Lであった。実施例6の緑茶入りアルコール飲料は、割り材としての使用を想定したものである。
【0087】
【0088】
実施例6の緑茶入りアルコール飲料を、40℃で13日間保存(常温で4ヵ月相当)した。実施例6の緑茶入りアルコール飲料の、保存前と保存後のそれぞれについて、水で4倍に希釈し、氷を入れたものを調製した。その結果、いずれも、緑色の見た目が鮮やかで香味も良好なものであった。いずれも、料飲店で提供される抹茶割りと比べて全く遜色のないものであった。
【0089】
実施例6の緑茶入りアルコール飲料の保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、20.56、-8.02、及び25.31であった。実施例6の緑茶入りアルコール飲料の保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、18.96、-8.22、及び24.22であり、保存前と比較してほとんど変化はなかった。
【0090】
各4倍希釈物についても同様の検討を行った。保存前のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、21.61、-5.35、及び16.77であった。保存後のL*値、a*値、及びb*値は、それぞれ、21.33、-5.04、及び16.01であり、保存前と比較してほとんど変化はなかった。
【実施例7】
【0091】
実施例6で用いた銅含量が250mg/kgである抹茶ペースト(抹茶20w/w%含有)と、実施例4で調製した緑茶抽出液(銅含量12mg/L)を用いて、表7に示す配合により、緑茶入りアルコール飲料であるリキュールを製造し、900mL容ペットボトルに充填した(アルコール濃度:25.0v/v%、pH:3.6)(実施例7)。このリキュールの銅含量は15.0mg/Lであった。実施例7の緑茶入りアルコール飲料は、割り材としての使用を想定したものである。
【0092】
【0093】
実施例7の緑茶入りアルコール飲料の、保存前、保存後のそれぞれについて、水で4倍に希釈したものを調製した。その結果、いずれも、緑色の見た目が鮮やかで香味も良好なものであった。いずれも抹茶の味を非常に濃く感じることができ、料飲店で提供される抹茶割りと比べて全く遜色のないものであった。本実施例の緑茶入りアルコール飲料は、例えば抹茶の粉を溶かす手間が省け、水で割るだけで簡単に本格的な抹茶割りをつくることができ、料飲店における現場オペレーションを簡略化することができるものである。