(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造
(51)【国際特許分類】
E01C 1/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
E01C1/00 Z
(21)【出願番号】P 2021009200
(22)【出願日】2021-01-23
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-233019(JP,A)
【文献】特開2013-060710(JP,A)
【文献】中国実用新案第208440964(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき
、前記一対の脚部を互いに離間させようとする押し拡げ力に対する反力が前記基礎コンクリート体から該一対の脚部に作用することによって、前記基礎コンクリート体の載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっていることを特徴とする設備保護カバー。
【請求項2】
基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、
前記一対の脚部の基礎コンクリート側には、前記基礎コンクリート体の載置面に設けられた載置面側凹凸部に係合されるカバー側凹凸部をそれぞれ設けてあり、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記載置面側凹凸部と前記カバー側凹凸部との係合によって、前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっていることを特徴とする設備保護カバー。
【請求項3】
基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、
前記一対の脚部のうち、互いに離隔側に位置する各縁部側面は、
前記基礎コンクリート体の一部として該基礎コンクリート体と連続一体になるよう前記基礎コンクリート体の載置面にそれぞれ突設された肩部に
当接するように構成してあり、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記一対の脚部が前記肩部にそれぞれ当接することによって、
前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっていることを特徴とする設備保護カバー。
【請求項4】
基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体と、
前記一対の脚部の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段とを備え、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき
、前記引張抵抗手段を前記一対の脚部のそれぞれに連結することによって、前記基礎コンクリート体の載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっていることを特徴とする設備保護カバー。
【請求項5】
前記一対の脚部の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段を備えるとともに、該引張抵抗手段を、前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるように該一対の脚部のそれぞれに連結して構成した
請求項2又は請求項3記載の設備保護カバー。
【請求項6】
前記引張抵抗手段を平板で構成するとともに、該平板のカバー側に定着部を突設して該定着部を前記一対の脚部にそれぞれ埋設した
請求項4又は請求項5記載の設備保護カバー。
【請求項7】
前記平板を導電材で形成した
請求項6記載の設備保護カバー。
【請求項8】
前記引張抵抗手段を樹脂製シートで構成するとともに、該樹脂製シートを前記一対の脚部のカバー側にそれぞれ定着した
請求項4又は請求項5記載の設備保護カバー。
【請求項9】
前記カバー本体をプレキャストコンクリート部材として製作した
請求項1乃至請求項8のいずれか一記載の設備保護カバー。
【請求項10】
前記繊維補強セメント複合材料をHPFRCCを用いて構成した
請求項1乃至請求項9のいずれか一記載の設備保護カバー。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のうち、いずれか一の設備保護カバーの上面がその周囲に拡がる舗装体の上面とともに路面を形成するように、該設備保護カバーを前記基礎コンクリート体とともに前記舗装体に埋設したことを特徴とする設備保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として路面直下に埋め込まれる設備機器を走行車両から保護する際に適用される設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止対策として、温室効果ガスの排出量を減らすべく、自動車の駆動機構が内燃機関から電動モータへと急速に移行しつつあるが、電気自動車(以下、EV)が広く普及するためには、EVに関する諸問題を解決せねばならない。
【0003】
EVが抱える問題としては、バッテリーの充電に時間を要する、航続距離が短い、バッテリーのコストが高いといった点が挙げられるが、最近では、自動車のタイヤ内に受電コイルを配置するとともに、複数の給電コイルを自動車の走行方向に沿って路面直下に埋設しておくことで、走行しながらの給電を可能とする発明がなされており、実施化に向けた技術開発も進められている(非特許文献1)。
【0004】
かかる発明によれば、高速道路や交差点などに給電コイルを埋設しておくことにより、充電時間を気にする必要がない、充電機会が増えるので、大容量のバッテリーが不要になる、搭載バッテリーが低容量でよければ、バッテリーのコスト、ひいてはEVのコストも下がるし、バッテリー製造に必要なコバルトなどの資源の枯渇も防止できるといった問題解決が期待できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】東京大学大学院新領域創成科学研究科、「『第3世代 走行中ワイヤレス給電インホイールモータ』の開発に成功 世界初 受電から駆動までのすべてをタイヤのなかに」、[online]、[令和2年6月5日検索]、インターネット<URL : http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry772/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、非特許文献1記載の発明においては、給電コイルがコンクリート舗装体の路面下に埋設されることになるため、該コンクリート舗装体には、走行のために必要な本来の機能に加え、給電コイルを保護する機能も併せ持つ必要があるが、これらの機能を給電コイル直上のコンクリートの厚みを大きくすることで確保しようとすると、その分、受電コイルとの離間距離が大きくなるため、電波法に抵触しない磁場強度で必要十分な給電効率を確保することが難しくなる。
【0007】
しかしながら、給電コイル直上のコンクリートの厚みを小さくすると、車両重量によって曲げひび割れが該コンクリートに生じ、給電コイルを保護する機能が損なわれるとともに、走行のための機能も低下するという問題を生じていた。
【0008】
ちなみに、このような問題は、給電コイルならずとも、さまざまな設備機器をコンクリート舗装体の路面下に埋設するにあたり、保守点検などの観点から、できるだけ埋設深さを小さくしたい場合にも同様に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、舗装体の路面下に非接触給電用コイルをはじめとしたさまざまな設備機器を埋設する場合において、設備機器を保護する機能や走行機能を損なうことなく、コンクリートの厚みを小さくすることが可能な設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る設備保護カバーは請求項1に記載したように、基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記一対の脚部を互いに離間させようとする押し拡げ力に対する反力が前記基礎コンクリート体から該一対の脚部に作用することによって、前記基礎コンクリート体の載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっているものである。
【0011】
また、本発明に係る設備保護カバーは請求項2に記載したように、基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、
前記一対の脚部の基礎コンクリート側には、前記基礎コンクリート体の載置面に設けられた載置面側凹凸部に係合されるカバー側凹凸部をそれぞれ設けてあり、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記載置面側凹凸部と前記カバー側凹凸部との係合によって、前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっているものである。
【0012】
また、本発明に係る設備保護カバーは請求項3に記載したように、基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体を備え、
前記一対の脚部のうち、互いに離隔側に位置する各縁部側面は、前記基礎コンクリート体の一部として該基礎コンクリート体と連続一体になるよう前記基礎コンクリート体の載置面にそれぞれ突設された肩部に当接するように構成してあり、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記一対の脚部が前記肩部にそれぞれ当接することによって、前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっているものである。
【0013】
また、本発明に係る設備保護カバーは請求項4に記載したように、基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体に配置される設備保護カバーにおいて、
前記設備機器が収容される設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と前記設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに、繊維補強セメント複合材料を用いて形成されてなるカバー本体と、
前記一対の脚部の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段とを備え、
前記カバー本体は、それに載荷される車両の重量を前記一対の脚部を介して前記基礎コンクリート体に伝達されるようになっているとともに、前記架け渡し部に前記車両の重量が載荷されたとき、前記引張抵抗手段を前記一対の脚部のそれぞれに連結することによって、前記基礎コンクリート体の載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっているものである。
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記一対の脚部の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段を備えるとともに、該引張抵抗手段を、前記載置面に沿った前記一対の脚部の相対離間移動が拘束されるように該一対の脚部のそれぞれに連結して構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記引張抵抗手段を平板で構成するとともに、該平板のカバー側に定着部を突設して該定着部を前記一対の脚部にそれぞれ埋設したものである。
【0015】
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記平板を導電材で形成したものである。
【0016】
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記引張抵抗手段を樹脂製シートで構成するとともに、該樹脂製シートを前記一対の脚部のカバー側にそれぞれ定着したものである。
【0017】
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記カバー本体をプレキャストコンクリート部材として製作したものである。
【0018】
また、本発明に係る設備保護カバーは、前記繊維補強セメント複合材料をHPFRCCを用いて構成したものである。
【0019】
また、本発明に係る設備保護構造は請求項10に記載したように、請求項1乃至請求項9のうち、いずれか一の設備保護カバーの上面がその周囲に拡がる舗装体の上面とともに路面を形成するように、該設備保護カバーを前記基礎コンクリート体とともに前記舗装体に埋設したものである。
【0020】
本発明に係る設備保護カバーにおいては、基礎コンクリート体との間に配置される設備機器を覆うように該基礎コンクリート体の載置面に配置されるカバー本体を備えるが、該カバー本体は、設備機器用載置スペースが挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部と、設備機器用載置スペースを跨ぐように該一対の脚部に架け渡された架け渡し部とで構成されるとともに繊維補強セメント複合材料を用いて形成してあり、該一対の脚部を介して車両重量を基礎コンクリート体に伝達できるようになっている。
【0021】
また、本発明に係る設備保護構造においては、本発明の設備保護カバーの上面がその周囲に拡がる舗装体の上面とともに路面を形成するように、該設備保護カバーを基礎コンクリート体とともに舗装体に埋設してある。
【0022】
このようにすると、繊維補強セメント複合材料の良好な引張強度特性が発揮されて架け渡し部の靭性が改善されるとともに曲げ変形も抑制されるため、該架け渡し部に過大な曲げひび割れや曲げ撓みが発生するおそれがなくなり、架け渡し部の厚みを大きくすることなく、走行のための路面機能や設備機器の保護機能が維持される。
【0023】
本発明においては、これらに加えて、架け渡し部に車両の重量が載荷されたとき、上述した基礎コンクリート体の載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束されるようになっている。
【0024】
このようにすると、車両の重量が載荷されたとき、架け渡し部に曲げ変形が生じて横断面引張側(設備保護構造では下方)に引張ひずみが生じ、その分、架け渡し部の両端に位置する各脚部が互いに離間する方向に移動しようとするが、一対の脚部の相対離間移動が拘束されているので、架け渡し部には、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、一対の脚部を介してその両側から圧縮力が作用する。
【0025】
そのため、架け渡し部では、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形による引張ひずみの発生が抑制され、あるいはさらに圧縮ひずみへと変化することとなり、かくして上述した架け渡し部の厚みをさらに低減して薄肉化を図ることができるとともに、走行のための路面機能や設備機器の保護機能もより向上させることが可能となる。
【0026】
一対の脚部の相対離間移動を拘束する構成としては、車両の重量が載荷されたときにそれらの相対離間移動が制限される限り、その構成は任意であるが、例えば、
(a) 載置面に設けられた載置面側凹凸部に係合されるカバー側凹凸部を一対の脚部の基礎コンクリート側にそれぞれ設けた構成
(b) 一対の脚部のうち、互いに離隔側に位置する各縁部側面を、載置面にそれぞれ突設された肩部に当接させるようにした構成
(c) 一対の脚部の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段を備えるとともに、該引張抵抗手段を、載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束されるように該一対の脚部のそれぞれに連結した構成
とすることができる。
【0027】
ここで、構成(a)においては、それぞれの脚部に設けられたカバー側凹凸部を、基礎コンクリート体に設けられた載置面側凹凸部に係合してあるので、車両の重量が載荷されたとき、それぞれの脚部は、かかる係合作用によって移動が制限され、それゆえ、載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束される。
【0028】
カバー側凹凸部や載置面側凹凸部は、いずれか一方を凹部、他方を凸部とした構成が典型例となるが、波状や鋸状の凹凸でそれぞれを構成してもかまわない。
【0029】
カバー側凹凸部の構成は任意であるが、例えば載置面側凹凸部が溝であれば、その溝に係合する突条を設けた構成や、載置面側凹凸部が円形凹部であれば、該円形凹部に係合する円形凸部を設けた構成が可能である。
【0030】
カバー側凹凸部には、載置面側凹凸部が、せん断キーとして用いられるコッター、スタッド、ボルト、ピン等のせん断抵抗部材の凸状露出部分である場合に、その凸状露出部分が嵌合されるように形成されてなる凹部が包摂されるし、載置面側凹凸部が凹部であって、その凹部に嵌合されるように構成されてなる上記同様のせん断抵抗部材の凸状露出部分が包摂される。
【0031】
なお、互いに隣り合う2つの部材がそれらの境界面に沿って相対移動する場合にそれらの相対移動を拘束する手段として、従来からせん断キー(シアキー)が知られているが、かかるせん断キーは、2つの部材に作用する荷重が境界面に対して平行であることが前提となるのに対し、構成(a)は、車両重量、すなわち境界面である載置面に直交する方向の荷重を前提としたものであって、従来のせん断キーとは本質的に異なる。
【0032】
構成(b)は、カバー本体に係合のための凹凸が形成されない点で構成(a)とは異なるが、基本的な作用については構成(a)と同様であるので、説明は省略する。
【0033】
構成(c)においては、引張抵抗手段を、載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束されるように該一対の脚部のそれぞれに連結してあるので、車両の重量が載荷されたとき、一対の脚部は、引張抵抗手段によって載置面に沿った相対離間移動が拘束される。
【0034】
引張抵抗手段は、載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束される限り、任意に構成することが可能であるが、平板で構成した上、そのカバー側に定着部を突設して該定着部を一対の脚部にそれぞれ埋設した構成や、樹脂製シートで構成した上、該樹脂製シートを一対の脚部のカバー側にそれぞれ定着した構成が典型例となる。
【0035】
構成(c)は、構成(a)や構成(b)と適宜併用することが可能であり、構成(a)と併用する場合には、引張抵抗手段に貫通開口を設けて該貫通開口に構成(a)の載置面側凹凸部又はカバー側凹凸部が挿通されるようにすればよい。
【0036】
引張抵抗手段を平板で構成する場合において該平板を導電材で形成したならば、かかる平板を電磁シールドとして機能させることが可能となり、外部から設備機器への電磁的影響や外部への電磁的影響を遮断することができる。なお、上記平板を特に、アルミ、銅などの非磁性の導電性材料で形成したならば、非接触給電用コイルから生じる磁束による渦電流損失を抑制することが可能となる。
【0037】
カバー本体は、設置場所でのコンクリート打設という形で現地製作するようにしてもよいし、プレキャストコンクリート部材として製作されたものでもかまわない。
【0038】
繊維補強セメント複合材料は、少なくとも、結合材、繊維及び水が配合されてなる材料であって、細骨材、減水剤、増粘材等が任意に添加されるものとする。
【0039】
繊維補強セメント複合材料には、繊維補強コンクリート(FRC)などの繊維補強セメント系材料も包摂されるが、高靭性セメント複合材料(DFRCC,Ductile Fiber Reinforced Cementitious Composites)がその典型例となる。
【0040】
なお、本明細書では、水和反応前(硬化前)か水和反応後(硬化後)かを特に区別することなく、繊維補強セメント複合材料なる用語を用いる。
【0041】
結合材には、各種セメントのほか、生石灰、フライアッシュ、膨張材、高炉スラグ、シリカフューム等の水硬性又は潜在水硬性を持つ無機質材料(以下、水硬性材料)が包摂される。
【0042】
繊維には、PVA(ポリビニルアルコール)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等で形成された樹脂系繊維のほか、鋼繊維が包摂される。
【0043】
ここで、繊維補強セメント複合材料は、上述したようにDFRCCが主たる典型例となり、その概念には、ECC(Engineered Cementitious Composite)や複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC,High Performance Fiber Reinforced Cement Composite)が包摂されるが、繊維補強セメント複合材料としてHPFRCCを、それに配合される繊維をポリプロピレン繊維とするならば、靭性に関する上述した作用がより確実に発揮される。
【0044】
保護対象である設備機器には、車両内に設置された受電コイルに非接触で電力供給可能な非接触給電用コイルが包摂される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】第1実施形態に係る設備保護カバー2及びそれを用いた設備保護構造1の配置図及び断面図。
【
図2】設備保護カバー2を、一部を省略して描いた全体斜視図。
【
図4】設備保護カバー2の図であり、(a)はA-A線に沿う横断面図、(b)はB-B線に沿う横断面図、(c)はC-C線に沿う横断面図。
【
図5】設備保護カバー2の作用を説明した図であり、(a),(b)は、比較例(設備保護カバー2′の脚部21′,21′を基礎コンクリート体3′に係合させない場合)、(c),(d)は、本実施形態における各設備保護カバーの変形状況と中間位置の横断面における応力状態を示した図。
【
図8】第1実施形態の別の変形例を示した図であり、(a)、(b)は1つめの変形例に係る部分平面図とD-D線に沿う横断面図、(c)、(d)は2つめの変形例に係る部分平面図とD′-D′線に沿う横断面図。
【
図9】第1実施形態の別の変形例に係る設備保護カバー92を用いた設備保護構造の施工手順を示した図。
【
図10】第1実施形態の別の変形例に係る設備保護カバーを、一部を省略して描いた全体斜視図。
【
図11】第2実施形態に係る設備保護カバー112及びそれを用いた設備保護構造111の断面図。
【
図12】第3実施形態に係る設備保護カバー122及びそれを用いた設備保護構造121の配置図及び断面図。
【
図13】設備保護カバー122を、一部を省略して描いた全体斜視図。
【
図15】設備保護カバー122の図であり、(a)はE-E線に沿う横断面図、(b)はF-F線に沿う横断面図。
【
図16】設備保護カバー122の作用を説明した図。
【
図17】設備保護カバー122を用いた設備保護構造の施工手順を示した図。
【
図18】変形例に係る設備保護カバー182を用いた設備保護構造の施工手順を示した図。
【
図19】別の変形例に係る設備保護カバー192の図であり、(a)は、一部を省略して描いた全体斜視図、(b)はG-G線に沿う横断面図。
【
図20】設備保護カバー192を用いた設備保護構造の施工手順を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0047】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る設備保護構造を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係る設備保護構造1は、設備保護カバー2を基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、設備保護カバー2をその上面5が該設備保護カバーの周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように位置決めしてある。
【0048】
設備保護カバー2と基礎コンクリート体3との間には設備機器用載置スペース8を設けてあり、該設備機器用載置スペースに収容される設備機器としての非接触給電用コイル(図示せず)は、路面7を走行する車両としての電気自動車14(以下、EV14)のタイヤ15内に設置された受電コイル16に非接触で電力供給するようになっているが、設備保護カバー2は、この非接触給電用コイルを覆うように、基礎コンクリート体3に配置してある。
【0049】
図2乃至
図4は、本実施形態としての設備保護カバー2を示した図である。これらの図と上述した
図1でわかるように、設備保護カバー2は、設備機器用載置スペース8が挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部21,21と、設備機器用載置スペース8を跨ぐように、一対の脚部21,21に架け渡された架け渡し部22とから構成されたカバー本体23を備える。
【0050】
カバー本体23は、それに載荷されるEV14の重量を一対の脚部21,21を介して基礎コンクリート体3に伝達されるようになっているとともに、該基礎コンクリート体の載置面9に設けられた載置面側凹凸部としての円形凹部24に係合されるカバー側凹凸部としての円形凸部25を、一対の脚部21,21の基礎コンクリート側にそれぞれ設けてあり、かかる構成により、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、載置面9に沿った方向、典型的には水平方向に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が拘束されるようになっている。
【0051】
設備保護構造1は、一例として、幅(
図1における左右方向寸法)が1m程度、奥行(
図3における上下方向寸法)が2.2m程度、基礎コンクリート体3の高さが20cm程度となるように構成することが可能であり、カバー本体23については、一例として、架け渡し部22の厚みが25mm程度、円形凸部25の外径が10cm程度、高さが5cm程度、設備機器用載置スペース8の幅が45cm程度、奥行が1.8m程度、高さが25mm程度となるように構成することが可能である。
【0052】
カバー本体23は、繊維補強セメント複合材料を用いて形成してある。
【0053】
繊維補強セメント複合材料は、公知のものから適宜選択することができるが、これを複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)を用いて構成すれば、カバー本体23の靭性を大幅に向上させることが可能となり、架け渡し部22においては、曲げ変形によるひび割れ発生を抑制することができる。
【0054】
繊維は、ポリプロピレン繊維とするのが望ましい。
【0055】
HPFRCCは具体的には、硬化した状態において、一軸直接引張応力下で、引張終局ひずみの平均値が0.5%以上、かつ、終局時の平均ひび割れ幅が0.2mm以下となるように、水結合材比(W/B)を35重量%以上、細骨材と結合材との重量比(S/B)を0.5~0.95で調合したマトリックスに、270MPa以上の繊維引張強度と、35~70μmの繊維直径と、5~18mmの繊維長さとを有する、ポリオレフィン系合成樹脂からなるポリプロピレン繊維を、2.0~4.0体積%の添加率で配合して構成することが可能であり、この場合、細骨材の粒径は、1.3mm以下で、かつその中央値を10~100μmとするのが望ましい。
【0056】
結合材は、セメント、フライアッシュ、膨張材などの水硬性材料から適宜選択すればよい。
【0057】
また、HPFRCCは、硬化した状態において、一軸直接引張応力下で、引張終局ひずみの平均値が0.5%以上、かつ、終局時の平均ひび割れ幅が0.2mm以下となるように、水結合材比(W/B)を35重量%以上、細骨材と結合材との重量比(S/B)を0.5~0.95で調合したマトリックスに、1.0~2.5体積%の、270MPa以上の繊維引張強度と、35~70μmの繊維直径と、5~18mmの繊維長さとを有するポリプロピレン繊維と、0.5~1.5体積%のポリビニルアルコール系合成樹脂からなるポリビニルアルコール繊維とを配合して構成することが可能である。
【0058】
図5は、本実施形態に係る設備保護カバー2及びそれを用いた設備保護構造1の作用を示した図であって、同図(a),(b)は、比較例(設備保護カバー2′の脚部21′,21′を基礎コンクリート体3′に係合させない場合)における変形状況と中間位置の横断面における各応力状態を、同図(c),(d)は、設備保護カバー2の変形状況と中間位置の横断面における応力状態をそれぞれ示したものである。
【0059】
まず、比較例においては(同図(a))、脚部21′,21′に架け渡された架け渡し部22′にEV14の重量が載荷されたときには、該架け渡し部には、同図(b)に示すように横断面引張側(
図5では下方)で引張ひずみが生じ、同図(a)に示すように曲げ変形が生じるとともに、断面下方で引張ひずみが生じることにより、架け渡し部22′の断面下方が伸びることとなり、その分、脚部21′,21′は、同図矢印に示すように互いに離間する方向に沿って相対移動する。
【0060】
ここで、架け渡し部22′の厚みが小さいと、該架け渡し部の断面下方における引張ひずみが大きくなり、中間点(載荷位置)での撓みが大きくなって、EV14による載荷重量が、架け渡し部22′直下の設備機器用載置スペースに収容された設備機器に及ぶ。
【0061】
そのため、同図(a)の場合には、設備保護カバー2′の損傷とそれに伴う路面機能の低下が懸念されることに加え、EV14による載荷重量が架け渡し部22′を介して設備機器に作用するため、設備機器の損傷も懸念される。
【0062】
ちなみに、EV14による載荷重量は、設備機器を介して基礎コンクリート体3′にも及び、該基礎コンクリート体にも同様のひずみが生じる。
【0063】
一方、設備保護カバー2の脚部21,21を基礎コンクリート体3に係合させた本実施形態の場合(同図(c))、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されると、該架け渡し部には、その断面下方に同様に引張ひずみが生じ、脚部21,21をそれらが互いに離間する方向に押し拡げようとするが、円形凸部25及び円形凹部24の係合作用により、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、上述した押し拡げ力に対する圧縮力が反力として円形凹部24から円形凸部25に作用する(同図(c)の矢印参照)。
【0064】
そのため、架け渡し部22では、引張ひずみの発生が抑制され、さらには逆に圧縮ひずみが発生する状況となり、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形が抑制されるとともに、撓みが小さくなることから、EV14による載荷重量が、架け渡し部22直下の設備機器用載置スペースに収容された設備機器に及んで該設備機器を損傷させるおそれもない。
【0065】
ちなみに、本実施形態の場合、円形凹部24及び円形凸部25の係合作用により、設備保護カバー2と基礎コンクリート体3とが、EV14による載荷荷重に対して一体的に挙動するので、両者が個別に曲げ挙動する同図(a),(b)の場合とは異なり、その断面応力は、同図(d)のような発生状況となり、架け渡し部22では、その全断面で圧縮となる。
【0066】
本実施形態に係る設備保護カバー2を用いて設備保護構造1を構築するには、
図6に示すように、まず、コンクリート舗装体4をその路面6から掘り下げることで、設置スペース61を掘削形成する(同図(a))。
【0067】
なお、コンクリート舗装体4の構築と同時に設備保護構造1を構築する場合には、型枠等を適宜用いて設置スペース61を形成すればよい。
【0068】
次に、設置スペース61に基礎コンクリート体3を構築する(同図(b))。
【0069】
基礎コンクリート体3は、普通コンクリートなどを用いて適宜構成すればよいが、構築の際には、その載置面9に円形凹部24を箱抜き等の手段によって形成しておく。
【0070】
適当な養生期間経過後、基礎コンクリート体3の載置面9に設けられた設備機器用載置スペース8に設備機器としての非接触給電用コイル62を設置する(同図(c))。
【0071】
次に、基礎コンクリート体3の上に繊維補強セメント複合材料63を打設することで設備保護カバー2(カバー本体23)とし、設備保護構造1の構築を完了する(同図(d))。
【0072】
繊維補強セメント複合材料63を打設する際には、該繊維補強セメント複合材料が基礎コンクリート体3の載置面9に設けられた円形凹部24にきちんと充填されるよう留意する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る設備保護カバー2及びそれを用いた設備保護構造1によれば、設備保護カバー2の上面5がその周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように、該設備保護カバーを基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、カバー本体23を繊維補強セメント複合材料63を用いて構成したので、該繊維補強セメント複合材料の良好な引張強度特性が発揮され、架け渡し部22の靭性が改善されるとともに曲げ変形も抑制される。
【0074】
そのため、架け渡し部22に過大な曲げひび割れや曲げ撓みが発生するおそれがなくなり、かくして架け渡し部22の厚みを大きくせずとも、走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能が維持されるとともに、架け渡し部22の厚みを大きくする必要がなくなるため、受電コイル16への給電効率も確保することが可能となる。
【0075】
特に、本実施形態では、基礎コンクリート体3の載置面9に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が、円形凸部25及び円形凹部24の係合作用によって拘束されるようになっているので、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、架け渡し部22には、その断面下方において本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、一対の脚部21,21を介してその両側から圧縮力が作用する。
【0076】
そのため、架け渡し部22では、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形による引張ひずみの発生が抑制され、あるいはさらに圧縮ひずみへと変化することとなり、かくして架け渡し部22の薄肉化を図りつつ、上述した走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能、さらには受電コイル16への給電効率をより高めることが可能となる。
【0077】
本実施形態では、載置面側凹凸部が円形凹部24であることを前提として、カバー側凹凸部を円形凸部25で構成したが、カバー側凹凸部は、載置面側凹凸部に応じて任意に構成することが可能であって、例えば載置面側凹凸部が矩形凹部であれば、
図7(a)に示すように、該矩形凹部に係合する矩形凸部71を設けた構成としてもよいし、載置面側凹凸部が溝であれば、
図7(b)に示すように、その溝に係合する突条72を設けた構成とすることが可能である。
【0078】
また、載置面側凹凸部やカバー側凹凸部が必ずしも基礎コンクリート体やカバー本体とそれぞれ連続一体に形成されている必要はなく、例えば載置面側凹凸部が、
図8(a)、(b)に示すように、係合ピン81の凸状露出部分である場合に、その凸状露出部分が嵌合されるように形成されてなる凹部82でカバー側凹凸部を構成してもかまわない。係合ピン81は、その凸状露出部分の長さが脚部21の厚みよりも小さくなるように、なおかつ埋設部分の長さが基礎コンクリート体3の厚みよりも小さくなるように構成する。
【0079】
なお、この変形例は、カバー側凹凸部が係合ピン81の凸状露出部分である場合に、その凸状露出部分が嵌合されるように形成されてなる凹部82で載置面側凹凸部を構成したケースとみることもできる。
【0080】
また、係合ピン81に代えて、同図(c)、(d)に示すように、場所打ちシアキー81′を採用することが可能であり、載置面側凹凸部が場所打ちシアキー81′の凸状露出部分である場合に、その凸状露出部分が嵌合されるように形成されてなる凹部としての貫通孔82′でカバー側凹凸部を構成してもかまわない。
【0081】
場所打ちシアキー81′は、基礎コンクリート体及び設備保護カバーを構築した後、該基礎コンクリート体に予め設けられている凹部と設備保護カバーに設けられた貫通孔82′に繊維補強セメント複合材料63を現場打ちすることで設置可能である。
【0082】
また、本実施形態では、本発明の設備保護カバーを、現地製作が前提となる設備保護カバー2で構成するようにしたが、これに代えて、
図9に示すように、プレキャストコンクリート部材として製作されてなる設備保護カバー92で構成することが可能である。
【0083】
かかる変形例においては、同図に示すように、まず、コンクリート舗装体4をその路面6から掘り下げることで、設置スペース61を掘削形成し(同図(a))、次いで、設置スペース61に基礎コンクリート体3を構築し(同図(b))、次いで、基礎コンクリート体3の載置面9に設けられた設備機器用載置スペース8に設備機器としての非接触給電用コイル62を設置した後(同図(c))、基礎コンクリート体3の上に設備保護カバー92を重ねる(同図(d))。
【0084】
基礎コンクリート体3の上に設備保護カバー92を重ねる際には、カバー側凹凸部である円形凸部25を、基礎コンクリート体の載置面9に設けられた載置面側凹凸部としての円形凹部24に嵌め込むようにすればよいが、例えば円形凹部24を円形凸部25よりも大きめに形成しておき、嵌め込みの際、両者の隙間にグラウト材を注入することによって、円形凸部25が円形凹部24に確実に係合されるようにするのが望ましい。
【0085】
また、本実施形態では、設備機器を非接触給電用コイル62としたが、本発明においては、路面を走行する車両の荷重から保護されるべき設備機器であれば、これを任意に選択することが可能であり、通信機器なども包摂される。
【0086】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、設備機器を設備機器用載置スペースにどのような状態で配置するのかは任意であって、コンクリートへの直接埋設が可能であれば、設備機器を露出状態で設備機器用載置スペースに配置すればよいし、
図10に示すように、収容ケース101内に非接触給電用コイル62を並べる形で、該非接触給電用コイルを設備機器用載置スペース8に配置するようにしてもかまわない。
【0087】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る本発明の設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
本実施形態に係る設備保護構造111は
図11に示すように、設備保護カバー112を基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、設備保護カバー112をその上面5が該設備保護カバーの周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように位置決めしてある。
【0089】
設備保護カバー112と基礎コンクリート体3との間には設備機器用載置スペース8を設けてあり、該設備機器用載置スペースに収容される設備機器としての非接触給電用コイル(図示せず)は、第1実施形態で説明した受電コイル16に非接触で電力供給するようになっているが、設備保護カバー112は、この非接触給電用コイルを覆うように、基礎コンクリート体3の載置面9に配置してある。
【0090】
設備保護カバー112は、設備機器用載置スペース8が挟み込まれるように互いに離間配置された一対の脚部21,21と、設備機器用載置スペース8を跨ぐように、一対の脚部21,21に架け渡された架け渡し部22とからなるカバー本体115を備えてあり、該カバー本体に載荷されるEV14の重量を一対の脚部21,21を介して基礎コンクリート体3に伝達されるようになっている。
【0091】
カバー本体115は、一対の脚部21,21のうち、互いに離隔側に位置する各縁部側面113,113が、載置面9にそれぞれ突設された肩部114,114に当接されるように構成してあり、かかる構成により、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、載置面9に沿った方向、典型的には水平方向に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が拘束されるようになっている。
【0092】
肩部114,114は、基礎コンクリート体3の一部として該基礎コンクリート体と連続一体になるように形成すればよい。
【0093】
カバー本体115は、第1実施形態で説明したと同様の繊維補強セメント複合材料を用いて形成してある。
【0094】
本実施形態に係る設備保護カバー112においては、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されると、該架け渡し部には、その断面下方に同様に引張ひずみが生じ、脚部21,21をそれらが互いに離間する方向に押し拡げようとするが、肩部114,114による移動制限作用により、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、上述した押し拡げ力に対する圧縮力が反力として肩部114,114から一対の脚部21,21の各縁部側面113,113に作用する(同図矢印参照)。
【0095】
そのため、架け渡し部22では、引張ひずみの発生が抑制され、さらには逆に圧縮ひずみが発生する状況となり、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形が抑制されつつ、EV14による載荷荷重が脚部21,21を介して確実に基礎コンクリート体3に伝達されるとともに、曲げ変形による撓みが小さくなるため、EV14による載荷重量が、架け渡し部22直下の設備機器用載置スペースに収容された設備機器に及ぶおそれがなくなる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る設備保護カバー112及びそれを用いた設備保護構造111によれば、設備保護カバー112の上面5がその周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように、該設備保護カバーを基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、カバー本体115を繊維補強セメント複合材料を用いて構成したので、該繊維補強セメント複合材料の良好な引張強度特性が発揮され、架け渡し部22の靭性が改善されるとともに曲げ変形も抑制される。
【0097】
そのため、架け渡し部22に過大な曲げひび割れや曲げ撓みが発生するおそれがなくなり、かくして架け渡し部22の厚みを大きくせずとも、走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能が維持されるとともに、架け渡し部22の厚みを大きくする必要がなくなるため、受電コイル16への給電効率も確保することが可能となる。
【0098】
特に、基礎コンクリート体3の載置面9に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が、肩部114,114による移動制限作用によって拘束されるようになっているので、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、架け渡し部22には、その断面下方においては、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、肩部114,114を介してそれらの両側から圧縮力が作用する。
【0099】
そのため、架け渡し部22では、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形による引張ひずみの発生が抑制され、あるいはさらに圧縮ひずみへと変化することとなり、かくして架け渡し部22の薄肉化を図りつつ、上述した走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能、さらには受電コイル16への給電効率をより高めることが可能となる。
【0100】
本実施形態では、本発明の設備保護カバーを、現地製作が前提となる設備保護カバー112で構成するようにしたが、これに代えて、第1実施形態と同様、プレキャストコンクリート部材として製作されてなる設備保護カバーで構成することが可能である。
【0101】
かかる変形例において、基礎コンクリート体3の上にプレキャスト製の設備保護カバーを重ねる際には、肩部114,114の内法寸法を上記設備保護カバーの全幅よりも大きめに形成しておき、該設備保護カバーの脚部の縁部側面と肩部114との隙間にグラウト材を注入することによって、設備保護カバーの脚部の縁部側面が肩部114に確実に当接されるようにするのが望ましい。
【0102】
また、本実施形態では、設備機器を非接触給電用コイル62としたが、本発明においては、路面を走行する車両の荷重から保護されるべき設備機器であれば、これを任意に選択することが可能であり、通信機器なども包摂される。
【0103】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、設備機器を設備機器用載置スペースにどのような状態で配置するのかは任意であって、コンクリートへの直接埋設が可能であれば、設備機器を露出状態で設備機器用載置スペースに配置すればよいし、第1実施形態と同様の収容ケース101内に非接触給電用コイル62を並べる形で、該非接触給電用コイルを設備機器用載置スペース8に配置するようにしてもかまわない。
【0104】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る本発明の設備保護カバー及びそれを用いた設備保護構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、第1,2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0105】
図12は、本実施形態に係る設備保護構造を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係る設備保護構造121は、設備保護カバー122を基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、設備保護カバー122をその上面5が該設備保護カバーの周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように位置決めしてある。
【0106】
図13乃至
図15は、本実施形態としての設備保護カバー122を示した図である。これらの図と上述した
図12でわかるように、設備保護カバー122は、互いに離間配置された一対の脚部21,21と、一対の脚部21,21に架け渡された架け渡し部22とで構成されたカバー本体123と、一対の脚部21,21の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段としての引張抵抗板124とを備える。
【0107】
ここで、脚部21,21、架け渡し部22及び引張抵抗板124で囲まれた空間には、それらに外周面が当接される形で収容ケース101を配置してあって、その内部空間は、設備機器を収容するための設備機器用載置スペース8として機能し、一対の脚部21,21は、設備機器用載置スペース8が挟み込まれるように互いに離間配置され、架け渡し部22は、設備機器用載置スペース8を跨ぐように一対の脚部21,21に架け渡される。
【0108】
収容ケース101の内部空間である設備機器用載置スペース8に収容される設備機器としての非接触給電用コイル62は、路面7を走行する車両としてのEV14のタイヤ15内に設置された受電コイル16に非接触で電力供給するようになっているが、設備保護カバー122は、この非接触給電用コイルをカバー本体123で覆うように、基礎コンクリート体3に配置してある。
【0109】
カバー本体123は、それに載荷されるEV14の重量を一対の脚部21,21又はそれに加えて引張抵抗板124を介して基礎コンクリート体3に伝達されるようになっているとともに、引張抵抗板124のカバー側に突設された定着部としてのスタッド125を一対の脚部21,21にそれぞれ埋設することで、引張抵抗板124を一対の脚部21,21にそれぞれ連結してあり、かかる構成により、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、基礎コンクリート体3の載置面9に沿った方向、典型的には水平方向に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が拘束されるようになっている。
【0110】
引張抵抗板124は、導電材、特に非磁性の導電性材料で形成するのが望ましい。かかる材料としては、アルミ、銅などから適宜選択することが可能であるが、本実施形態ではアルミ板で構成するものとする。
【0111】
ここで、RC版における標準的な鉄筋配置構成が、D13鉄筋を100mmピッチで配置した構成であると考えると、このRC版の引張剛性EAは、
EA=200kN/mm2×126.7mm2×10本/m
=253×103kN
となるが、アルミ板で構成した引張抵抗板124の厚みを3mmとすると、その引張剛性は、
EA=70kN/mm2×3mm×1000mm
=210×103kN
となる。すなわち、引張抵抗板124の厚みを3mm程度にすれば、標準的なRC版と同等の引張剛性とすることができる。
【0112】
カバー本体123は、繊維補強セメント複合材料を用いて形成してある。
【0113】
図16は、本実施形態に係る設備保護カバー122及びそれを用いた設備保護構造121の作用を示した図である。
【0114】
本実施形態の場合、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されると、該架け渡し部には、その断面下方に引張ひずみが生じ、脚部21,21をそれらが互いに離間する方向に押し拡げようとするが、引張抵抗板124による引張抵抗作用により、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、上述した押し拡げ力に対する圧縮力が反力として引張抵抗板124のスタッド125からその周囲に拡がるコンクリート領域に作用する(同図矢印参照)。
【0115】
そのため、架け渡し部22では、引張ひずみの発生が抑制され、さらには逆に圧縮ひずみが発生する状況となり、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形が抑制されるとともに、撓みが小さくなることから、EV14による載荷重量が、架け渡し部22直下の設備機器用載置スペースに収容された設備機器に及んで該設備機器を損傷させるおそれもない。
【0116】
本実施形態に係る設備保護カバー122を用いて設備保護構造121を構築するには、
図17に示すように、まず、コンクリート舗装体4をその路面6から掘り下げることで、設置スペース61を掘削形成する(同図(a))。
【0117】
なお、コンクリート舗装体4の構築と同時に設備保護構造1を構築する場合には、型枠等を適宜用いて設置スペース61を形成すればよい。
【0118】
次に、設置スペース61に基礎コンクリート体3を構築する(同図(b))。基礎コンクリート体3は、普通コンクリートなどを用いて適宜構成すればよい。
【0119】
一方、収容ケース101を引張抵抗板124のカバー側(スタッド125が突設された側と同じ側)に先付けするとともに、収容ケース101内に非接触給電用コイル62を並べる形で、該非接触給電用コイルを設備機器用載置スペース8に配置しておく。
【0120】
次に、基礎コンクリート体3を適当な期間養生した後、収容ケース101が取り付けられた引張抵抗板124を、該収容ケース内に非接触給電用コイル62が収納された状態で、基礎コンクリート体3の載置面9に設置する(同図(c))。
【0121】
次に、引張抵抗板124及び基礎コンクリート体3の上に繊維補強セメント複合材料63を打設することにより、それらの上にカバー本体123を設けて設備保護カバー122とし、設備保護構造121の構築を完了する(同図(d))。
【0122】
繊維補強セメント複合材料63を打設する際には、該繊維補強セメント複合材料にスタッド125が良好に埋設されるように留意する。
【0123】
以上説明したように、本実施形態に係る設備保護カバー122及びそれを用いた設備保護構造121によれば、設備保護カバー122の上面5がその周囲に拡がるコンクリート舗装体4の上面6とともに路面7を形成するように、該設備保護カバーを基礎コンクリート体3とともにコンクリート舗装体4に埋設するとともに、カバー本体123を繊維補強セメント複合材料63を用いて構成したので、該繊維補強セメント複合材料の良好な引張強度特性が発揮され、架け渡し部22の靭性が改善されるとともに曲げ変形も抑制される。
【0124】
そのため、架け渡し部22に過大な曲げひび割れや曲げ撓みが発生するおそれがなくなり、かくして架け渡し部22の厚みを大きくせずとも、走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能が維持されるとともに、架け渡し部22の厚みを大きくする必要がなくなるため、受電コイル16への給電効率も確保することが可能となる。
【0125】
特に、本実施形態では、基礎コンクリート体3の載置面9に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が、引張抵抗板124による引張抵抗作用によって拘束されるようになっているので、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、架け渡し部22には、その断面下方において、本来生じるはずの上述の引張ひずみが生じないため、一対の脚部21,21を介してその両側から圧縮力が作用する。
【0126】
そのため、架け渡し部22では、プレストレスト構造の原理と同様の作用によって、曲げ変形による引張ひずみの発生が抑制され、あるいはさらに圧縮ひずみへと変化することとなり、かくして架け渡し部22の薄肉化を図りつつ、上述した走行のための路面機能や非接触給電用コイル62の保護機能、さらには受電コイル16への給電効率をより高めることが可能となる。
【0127】
また、本実施形態に係る設備保護カバー122及びそれを用いた設備保護構造121によれば、引張抵抗板124を、導電材としてのアルミ板で構成したので、該引張抵抗板を電磁シールドとして機能させることが可能となり、外部から設備機器への電磁的影響や外部への電磁的影響を遮断することができる。また、アルミ板が非磁性材料でもあることから、非接触給電用コイル62から生じる磁束による引張抵抗板124での渦電流損失を抑制することも可能となる。
【0128】
本実施形態では、本発明の設備保護カバーを、現地製作が前提となる設備保護カバー122で構成するようにしたが、これに代えて、
図18に示すように、プレキャストコンクリート部材として製作されてなる設備保護カバー182で構成することが可能である。
【0129】
かかる変形例においては、同図(a)に示すように、まず、コンクリート舗装体4をその路面6から掘り下げることで、設置スペース61を掘削形成し、次いで、設置スペース61に基礎コンクリート体3を構築した後、該基礎コンクリート体の載置面9に設備保護カバー182を重ねる(同図(d))。
【0130】
設備保護カバー182は、引張抵抗板124のカバー側(スタッド125が突設された側と同じ側)に収容ケース101を先付けした上、該収容ケース内に非接触給電用コイル62を並べる形で、該非接触給電用コイルを設備機器用載置スペース8に配置するとともに、引張抵抗板124のカバー側に突設されたスタッド125が埋設されるように、該引張抵抗板の上に繊維補強セメント複合材料63を打設してカバー本体183とすることで、カバー本体183及び引張抵抗板124を備えた構成とすればよい。
【0131】
また、本実施形態では、設備機器を非接触給電用コイル62としたが、本発明においては、路面を走行する車両の荷重から保護されるべき設備機器であれば、これを任意に選択することが可能であり、通信機器なども包摂される。
【0132】
また、本実施形態では、設備機器である非接触給電用コイル62を収容ケース101内に収容した状態で設備機器用載置スペース8に配置したが、設備機器をコンクリートに直接埋設してもかまわないのであれば、収容ケース101を省略してもかまわない。
【0133】
また、本実施形態では、引張抵抗板124を導電材であるアルミ板で構成したが、電磁シールドの必要がないのであれば、例えば樹脂板で構成してもかまわない。
【0134】
また、本実施形態では、本発明の引張抵抗手段を平板である引張抵抗板124で構成したが、引張抵抗手段は、基礎コンクリート体の載置面に沿った一対の脚部の相対離間移動が拘束される限り、任意に構成することが可能であり、引張抵抗板124に代えて、樹脂製シートで構成した上、該樹脂製シートを一対の脚部21,21のカバー側にそれぞれ定着した構成とすることが可能である。
【0135】
また、本実施形態やその変形例で説明した本発明の引張抵抗手段、すなわち引張抵抗板124や樹脂板あるいは樹脂製シートは、第1実施形態の構成や第2実施形態の構成に加えることが可能である。
【0136】
図19に示した変形例に係る設備保護カバー192は、本実施形態の構成に第1実施形態の構成を加えた例であって、互いに離間配置された一対の脚部21,21と、一対の脚部21,21に架け渡された架け渡し部22とで構成されたカバー本体193と、一対の脚部21,21の基礎コンクリート側に配置された引張抵抗手段としての引張抵抗板124aとを備え、脚部21,21、架け渡し部22及び引張抵抗板124aで囲まれた空間には、本実施形態と同様、内部空間である設備機器用載置スペース8に非接触給電用コイル62が配置可能な収容ケース101を配置してある。
【0137】
また、カバー本体193は本実施形態と同様、それに載荷されるEV14の重量を一対の脚部21,21又はそれに加えて引張抵抗板124aを介して基礎コンクリート体3に伝達されるようになっているとともに、引張抵抗板124aのカバー側に突設された定着部としてのスタッド125を一対の脚部21,21にそれぞれ埋設することで、引張抵抗板124aを一対の脚部21,21にそれぞれ連結してあり、かかる構成により、架け渡し部22にEV14の重量が載荷されたとき、基礎コンクリート体3の載置面9に沿った方向、典型的には水平方向に沿った一対の脚部21,21の相対離間移動が拘束されるようになっている。
【0138】
カバー本体123は、繊維補強セメント複合材料63を用いて形成してある。
【0139】
ここで、本変形例においては、基礎コンクリート体3の載置面9に設けられた円形凹部24に係合される円形凸部25を一対の脚部21,21の基礎コンクリート側にそれぞれ設けてあるとともに、該円形凸部が挿通される円形の貫通開口194を引張抵抗板124aに設けてある。
【0140】
本変形例に係る設備保護カバー192を用いて設備保護構造を構築するには、
図20に示すように、まず、コンクリート舗装体4をその路面6から掘り下げることで、設置スペース61を掘削形成する(同図(a))。
【0141】
なお、コンクリート舗装体4の構築と同時に設備保護構造を構築する場合には、型枠等を適宜用いて設置スペース61を形成すればよい。
【0142】
次に、設置スペース61に基礎コンクリート体3を構築する(同図(b))。
【0143】
基礎コンクリート体3は、普通コンクリートなどを用いて適宜構成すればよいが、構築の際には、その載置面9に円形凹部24を箱抜き等の手段によって形成しておく。
【0144】
一方、収容ケース101を引張抵抗板124aのカバー側(スタッド125が突設された側と同じ側)に先付けするとともに、収容ケース101内に非接触給電用コイル62を並べる形で、該非接触給電用コイルを設備機器用載置スペース8に配置しておく。
【0145】
次に、基礎コンクリート体3を適当な期間養生した後、収容ケース101が取り付けられた引張抵抗板124aを、該引張抵抗板の貫通開口194が円形凹部24に一致するように基礎コンクリート体3の載置面9に設置する(同図(c))。
【0146】
次に、引張抵抗板124及び基礎コンクリート体3の上に繊維補強セメント複合材料63を打設することにより、それらの上にカバー本体193を設けて設備保護カバー192とし、設備保護構造の構築を完了する(同図(d))。
【0147】
繊維補強セメント複合材料63を打設する際には、該繊維補強セメント複合材料にスタッド125が良好に埋設されるように、なおかつ該繊維補強セメント複合材料が基礎コンクリート体3の載置面9に設けられた円形凹部24にきちんと充填されるよう留意する。
【0148】
本変形例に係る設備保護カバー192及びそれを用いた設備保護構造においては、本実施形態(第3実施形態)による作用効果に第1実施形態による作用効果が相乗されたものとなるが、ここではその説明省略する。
【符号の説明】
【0149】
1,111,121 設備保護構造
2,92,112,122,182,192
設備保護カバー
3 基礎コンクリート体
4 コンクリート舗装体(舗装体)
7 路面
8 設備機器用載置スペース
9 載置面
14 EV(車両)
21 脚部
22 架け渡し部
23,123,183 カバー本体
24 円形凹部(載置面側凹凸部)
25 円形凸部(カバー側凹凸部)
62 非接触給電用コイル(設備機器)
63 繊維補強セメント複合材料
71 矩形凸部(カバー側凹凸部)
72 突条(カバー側凹凸部)
81 係合ピン(載置面側凹凸部)
82 凹部(カバー側凹凸部)
113 縁部側面
114 肩部
125 スタッド(定着部)
124,124a 引張抵抗板(引張抵抗手段)
194 貫通開口