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特許7437350ポリエステルフィルム、その製造方法、およびこれを用いたポリエチレンテレフタレート容器の再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ポリエステルフィルム、その製造方法、およびこれを用いたポリエチレンテレフタレート容器の再生方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240215BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240215BHJP
   C08J 11/06 20060101ALI20240215BHJP
   B65D 65/04 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
C08L67/02
C08J11/06 ZAB
B65D65/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021082651
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022113087
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0009734
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0009735
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョルキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンドク
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-521823(JP,A)
【文献】特開2007-196679(JP,A)
【文献】特開2007-196676(JP,A)
【文献】特開2008-189780(JP,A)
【文献】特開2011-184690(JP,A)
【文献】特開2019-177930(JP,A)
【文献】特表2011-524921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 61/00-61/10
B65D 65/00-65/46
C08J 5/00-5/02
C08J 5/12-5/22
C08J 11/06
C08L 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3種類のジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を含み、
ホモポリエチレンテレフタレート樹脂(HOMO-PET)を含み、
示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、
クランピング分率(clumping ratio)が10%以下であり、
前記共重合ポリエステル樹脂および前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の総重量を基準に、0.5重量%~37重量%のホモポリエチレンテレフタレート樹脂を含み、
前記3種類のジオールは、エチレングリコール、10モル%~30モル%のネオペンチルグリコール及び1モル%~8モル%のジエチレングリコールを含み、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸を含む、ポリエステルフィルム。
【請求項2】
剥離力が150gf/3cm以上である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が190℃~230℃である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率が45%~85%である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向に垂直な第2方向の熱収縮率が7%以下である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
3種類のジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を調製する段階と、
前記共重合ポリエステル樹脂にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を添加した後、250℃~300℃の温度にて溶融押出して未延伸シートを製造する段階と、
前記未延伸シートを延伸した後、70℃~100℃の温度にて熱固定してポリエステルフィルムを製造する段階とを含み、
前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、
前記ポリエステルフィルムのクランピング分率が10%以下であり、
前記共重合ポリエステル樹脂および前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の総重量を基準に、0.5重量%~37重量%のホモポリエチレンテレフタレート樹脂を含み、
前記3種類のジオールは、エチレングリコール、10モル%~30モル%のネオペンチルグリコール及び1モル%~8モル%のジエチレングリコールを含み、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸を含む、ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート(PET)容器を準備する段階と、
前記フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕してフレークを得る段階と、
前記フレークを熱処理して再生ポリエステルチップを製造する段階とを含み、
前記フレークのクランピング分率が10%以下であり、
前記フレークが、前記ポリエチレンテレフタレート容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記ポリエステルフィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む、ポリエチレンテレフタレート容器の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、ポリエステルフィルム、その製造方法、およびこれを用いたポリエチレンテレフタレート容器の再生方法に関するものである。具体的に、実現例は、結晶性が制御され、シーム特性およびリサイクル性に優れたポリエステルフィルム、その製造方法、およびこのようなポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート(PET)容器の再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、飲料や食品の容器が様々な形態で製作されたり、消費者の視線を引くために全面包装を適用する事例が多かったりして、熱収縮性ラベルおよび包装材が注目を集めている。このような熱収縮性ラベルおよび包装材は、延伸配向後、特定温度以上で再び延伸前の形態に収縮しようとする高分子フィルムの特性を利用する。一般的な熱収縮ラベリングまたは包装工程では、熱収縮性フィルムを裁断して所望のデザインに印刷し、丸く巻いて接着性溶剤で両端部を接着した後、容器に緩く被せて熱を加え収縮させている。
【0003】
前記熱収縮工程に適用されるフィルムは、耐熱性、耐薬品性、耐候性、印刷性などの基本的な特性だけでなく、容器密封性、熱収縮均一性、長さ方向の走行特性および耐クラック性などが求められる。このような熱収縮工程には、従来からポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが使用されており、最近では、高い耐熱性と耐候性、焼却の容易性、優れた印刷性などの特性を有するポリエステルフィルムが幅広く利用されている。
【0004】
しかし、通常のポリエステルフィルムは、収縮速度が速く収縮応力が高いため、不均一な収縮による不良やプラスチック容器のいびつなどが発生したりした。そこで、特許文献1は、熱収縮性ポリエステルフィルムにポリエステルエラストマーを5重量%以上配合して、プラスチックボトルの全面包装の際に熱収縮によるシワ、収縮ムラ、歪みなどの発生を抑制すること開示している。
【0005】
このように、熱収縮工程には、ポリエステル樹脂に軟質成分を配合することにより結晶性を下げたポリエステルフィルムが使用されている。さらには、温度別収縮率と収縮応力のような熱的特性とシーム(seaming)工程に適した耐薬品性、および最近の廃プラスチック問題で浮上したリサイクル性までも備えたポリエステルフィルムを開発している。
【0006】
また、近年、環境問題への懸念が増加するにつれ、熱可塑性重合体を用いて製造された製品のリサイクル問題が重要となっている。特に、熱抵抗性、加工性、透明性、および無毒性のような特性に優れた熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)は、フィルム、繊維、ボトル、容器などと、様々な製品の製造に広く利用されており、再生率を向上させようとする研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第2002-0062838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、実現例は、結晶性が制御され、シーム特性に優れながらもリサイクル性にも優れ、再生工程において長時間の熱処理の際にも、不規則に凝集されるクランピング(clamping)がほとんど発生しないポリエステルフィルム、その製造方法、およびこれを用いたポリエチレンテレフタレート容器の再生方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実現例によるポリエステルフィルムは、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を含み、ホモポリエチレンテレフタレート(HOMO-PET)樹脂を選択的に含み、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、クランピング分率(clumping ratio)が10%以下である。
【0010】
他の実現例によるポリエステルフィルムの製造方法は、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を調製する段階と、前記共重合ポリエステル樹脂にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に添加した後、250℃~300℃の温度にて溶融押出して未延伸シートを製造する段階と、前記未延伸シートを延伸した後、70℃~100℃の温度にて熱固定してポリエステルフィルムを製造する段階とを含み、前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、前記ポリエステルフィルムのクランピング分率が10%以下である。
【0011】
また他の実現例によるポリエチレンテレフタレート容器の再生方法は、前記ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を準備する段階と、前記フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕してフレークを得る段階と、前記フレークを熱処理して再生ポリエステルチップを製造する段階とを含み、前記フレークのクランピング分率が10%以下であり、前記フレークが、前記ポリエチレンテレフタレート容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記ポリエステルフィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む。
【発明の効果】
【0012】
実現例によるポリエステルフィルムは、示差走査熱量計で測定した融解エンタルピーが9J/g以上を満たすことにより、結晶性を容易に制御できるので、熱的特性および化学的特性が改善された。したがって、実現例によるポリエステルフィルムは、温度別収縮率に優れるだけではなく、グラビア印刷、UV硬化印刷、可変スリーブオフセット印刷(VSOP)などに適用される場合にも、溶媒による接着力に優れるので、熱収縮工程およびシーム工程に適する。
【0013】
または、実現例によるポリエステルフィルムは、示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が190℃~230℃を満足するとともに、剥離力が150gf/3cm以上を満足することにより、結晶性を容易に制御できるので、熱的特性および化学的特性が改善された。したがって、実現例によるポリエステルフィルムは、温度別収縮率に優れるだけではなく、グラビア印刷、UV硬化印刷、可変スリーブオフセット印刷(VSOP)などに適用される場合にも、溶媒による接着力に優れるので、熱収縮工程およびシーム工程に適する。
【0014】
また、前記ポリエステルフィルムは、長時間の熱処理工程にもクランピング発生が抑制され、リサイクル工程による不良率が低い。したがって、前記ポリエステルフィルムを用いたポリエチレンテレフタレート容器の再生方法により製造される再生ポリエステルチップの品質、収率および生産性を向上させ得る。
【0015】
しかも、実現例によるポリエチレンテレフタレート容器の再生方法は、容器とフィルムを分離する別途の工程が不要なので、時間およびコストが削減され経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、製品に適用されたポリエステルフィルムの熱収縮の前および後を示したものである。
図2図2は、ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器のクランピングを測定する方法を示したものである。
図3図3は、ポリエステルフィルムの剥離力を測定する方法を示したものである。
図4図4は、ポリエステルフィルムの熱収縮率を測定する方法を示したものである。
図5図5は、実施例1-3のポリエステルフィルムの示差走査熱量計(DSC)曲線を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実現例により発明を詳細に説明する。実現例は、以下に開示する内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更されない限り、様々な形態に変形され得る。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
本明細書に記載された構成成分の量、反応条件などを表すすべての数字および表現は、特別な記載がない限り、すべての場合に「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0020】
本明細書において、第1、第2、1次、2次などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ使用される。
【0021】
ポリエステルフィルムからなる熱収縮性ラベルまたは包装材は、熱的特性や耐薬品性に優れていてもリサイクルが難しく、使用後にはほとんど廃棄されていた。現在のリサイクル工程、すなわち、再生工程にポリエステルフィルムが投入される場合、長時間の高温熱処理においてポリエステルフィルムが様々な工程不良を発生させ、リサイクル性が低いからである。そこで、リサイクル性を向上させるために追加の工程を行えるが、コストが増加するという問題があった。
【0022】
また、リサイクル性を向上させるためにポリエステルフィルムの成分を調節する方法が使用され得るが、このような場合ポリエステルフィルムの高い結晶化度に起因して、グラビア印刷、UV硬化印刷、可変スリーブオフセット印刷(VSOP:Variable Sleeve Offset Printing)などに適用する際、溶媒による接着力が低いため、熱収縮工程およびシーム工程に適していない。
【0023】
しかし、実現例によるポリエステルフィルムは、熱的特性と耐薬品性に優れるため熱収縮工程およびシーム工程に適するので、多様な形態の熱収縮性ラベルおよび包装材に適用するにも容易であるとともに、使用済み後のリサイクル性にも優れる。
【0024】
また、一般消費者から回収されたポリエチレンテレフタレート容器は、製品の情報が表示されているラベルが付着されており、従来はこれを洗浄および粉砕した後、粉砕物内に含まれている多量のフィルムを除去するために、液比重分離、脱水乾燥および/または風力比重分離を経た後、ペレタイズ(pelletize )のような追加工程を行って、再生ポリエステルチップを製造してきた。しかし、前記工程を経た後でも、ポリエチレンテレフタレート容器のラベルとして使用されたフィルムを完全に除去することは難しく、フィルムに含まれているインクによって再生ポリエステルチップが着色される問題があった。また、フィルムの熱的特性に起因して再生工程、特に熱処理工程において前記再生ポリエステルチップが不規則に凝集するクランピングが発生する問題があった。
【0025】
そこで、比重分離が容易に行われ得るよう、低比重重合体であるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムをラベルとして使用する比重分離方法が提案された。しかし、比重分離方法は、インク層に起因して低比重が効果的に行われず、依然としてフィルムを完全に分離および除去するのが難しく、残渣インクが再生ポリエステルチップを着色させる問題も解決することができなかった。
【0026】
実現例によるポリエステルフィルムは、結晶性が制御され、収縮特性および様々な印刷方式におけるシーム特性に優れながらもリサイクル性に優れ、再生工程において長時間の熱処理にもクランピングがほとんど発生しない。したがって、前記ポリエステルフィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生方法により製造される再生ポリエステルチップの品質、収率、および生産性を向上させ得る。また、前記実現例によるポリエステルフィルムは、飲料および食品を含む様々な形態の製品の容器に熱収縮性ラベルまたは包装材として有用に適用され得る。
【0027】
[ポリエステルフィルム]
一実現例によるポリエステルフィルムは、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を含み、ホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に含み、示差走査熱量計で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、クランピング分率が10%以下である。
【0028】
他の実現例によるポリエステルフィルムは、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を含み、ホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に含み、示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が190℃~230℃であり、クランピング分率が10%以下であり、剥離力が150gf/3cm以上である。
【0029】
実現例によるポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融解エンタルピー(ΔHm)は、9J/g以上である。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した融解エンタルピーは、9J/g以上、10J/g以上、12J/g以上、または15J/g以上であり、9J/g~33J/g、9J/g~30J/g、9J/g~28J/g、10J/g~33J/g、10J/g~30J/g、10J/g~28J/g、12J/g~33J/g、12J/g~30J/g、12J/g~28J/g、15J/g~33J/g、15J/g~30J/g、または15J/g~28J/gであり得る。
【0030】
ポリエステルフィルムの融解エンタルピーが前記範囲で調節されることによって、前記ポリエステルフィルムは結晶性が効果的に制御され、溶媒による接着力であるシーム特性に優れるとともに、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程時のクランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0031】
具体的に、ポリエステルフィルムの融解エンタルピーが前記範囲の未満であると、熱的特性が良くないため、リサイクルのための再生工程においてクランピング分率が高くなり得る。また、ポリエステルフィルムの融解エンタルピーが前記範囲を超えると、クランピング分率は低くなり得るが、剥離力が低下し得るので、熱収縮フィルムとして使用することが難しくなり得る。
【0032】
前記示差走査熱量計(DSC)は、具体的に変調示差走査熱量計(modulated DSC、MDSC)であり、より具体的に、温度-変調示差走査熱量計(temperature-modulated DSC、TMDSC)であり得る。
【0033】
具体的に、前記融解エンタルピーは、示差走査熱量計(DSC)モードを使用して10℃/分の昇温速度でスキャンして測定され得る。より具体的に、融解エンタルピーは、示差走査熱量計を用いて、1次スキャン(1st scan)または2次スキャン(2nd scan)して測定され得るが、本明細書において前記融解エンタルピーは、DSCを用いて前記ポリエステルフィルムを1次スキャンして測定されたものである。
【0034】
スキャンして得られた熱流(heat flow)曲線から、ガラス転移温度(Tg、Glass Transition Temperature)、結晶化温度(Tc、Crystallization Temperature)および融点(Tm、Meting Temperature)が確認できる。
【0035】
具体的に、スキャンして得られた熱流曲線において、最初の吸熱温度がガラス転移温度(Tg)であり、前記ガラス転移温度(Tg)の後に測定される発熱温度が結晶化温度(Tc)であり、前記結晶化温度(Tc)の後に測定される吸熱温度が融点(Tm)である。
【0036】
この際、前記溶融(Tm)における積分値を融解エンタルピーとして計算した。具体的に、融解エンタルピーは、前記示差走査熱量計の熱流曲線において吸熱が起こる区間がエネルギーであり、溶融開始温度から完全溶融温度までの回帰直線をベースラインに設定し、前記ベースラインによるピークの積分値を換算して計算した。
【0037】
図5は、実施例1-3のポリエステルフィルムの示差走査熱量計(DSC)曲線を示したものである。具体的に、図5を見ると、最初の吸熱温度である73.34℃がガラス転移温度であり、前記ガラス転移温度の後に測定される発熱温度である100.59℃が結晶化温度であり、前記結晶化温度の後に測定される吸熱温度である201.99℃が融点である。この際、前記融点における積分値である25.94J/gが融解エンタルピーである。より具体的に、溶融開始温度(T1)から完全溶融温度(T2)までの回帰直線(TL)をベースラインに設定し、前記ベースベースラインによるピークの積分値を融解エンタルピーとして計算した。
【0038】
前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融点(Tm)は190℃~230℃であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した融点は、193℃~230℃、195℃~228℃、または195℃~225℃であり得る。
【0039】
ポリエステルフィルムの融点が前記範囲で調節されることによって、前記ポリエステルフィルムは結晶性が効果的に制御され、溶媒による接着力であるシーム特性に優れる。また、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程時のクランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0040】
具体的に、ポリエステルフィルムの融点が前記範囲を超えると、ポリエステルフィルムの溶媒による接着力が低下してシーム工程で使用するのに難しくなり、前記融点が前記範囲の未満であると、クランピング分率が高くなり得る。
【0041】
前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定したガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定したガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、65℃以上、または70℃以上であり、60℃~85℃、60℃~80℃、または60℃~78℃であり得る。
【0042】
また、前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した結晶化温度(Tc)は、測定されないか、70℃~130℃であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した結晶化温度(Tc)は、測定されないか、80℃~130℃、85℃~125℃、90℃~125℃、96℃~125℃、または98℃~120℃であり得る。ポリエステルフィルムの結晶化温度が前記範囲に調節されることによって、前記ポリエステルフィルムは結晶性が効果的に制御され、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程時のクランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0043】
前記結晶化温度(Tc)にて測定した前記フィルムの結晶化熱量は0.01J/g~50J/gであり得る。例えば、前記結晶化熱量は、前記結晶化温度における積分値で計算することができ、前記結晶化温度における前記フィルムの結晶化熱量は、0.01J/g~40J/g、0.05J/g~30J/g、0.1J/g~20J/g、0.1J/g~10J/g、0.2J/g~10J/g、0.3J/g~10J/g、または0.5J/g~9J/gであり得る。ポリエステルフィルムの結晶化熱量が前記範囲を満足することにより、前記ポリエステルフィルムは結晶性が効果的に制御され、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程時のクランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0044】
また、前記ポリエステルフィルムのクランピング分率は10%以下である。例えば、前記ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕したフレークに8.7kPaの圧力を加え、210℃の温度にて90分間熱処理したとき、クランピング分率は、9%以下、8.5%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下であり、好ましくは、3%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.8%以下、0.5%以下であり得る。
【0045】
前記クランピングは、再生工程時に形成され得る凝集体のことを意味するもので、前記凝集体の大きさは例えば、前記熱処理前のフレーク粒径の3倍以上であり得る。前記クランピング分率は、最初の混合フレーク、すなわち、前記熱処理前のフレークの総重量を基準に、前記凝集体の重量比のことを意味し、下記式1に基づいて計算され得る。
【0046】
具体的に、フィルムがラベルとして備えられているポリエチレンテレフタレート容器の再生工程の際、これを粉砕したフレークを篩に通過させた後、熱処理工程を経る。この際、前記粉砕されたフレークが互いにくっつき合って凝集体を形成し得るが、このような凝集体をクランピングという。前記凝集体は、再び篩にかけろ過して分離し、重量を測定して、前記熱処理前のフレーク総重量を基準に前記凝集体の重量比を計算することにより、クランピング分率を得ることができる。したがって、このようなクランピング分率の数値が高いほど、リサイクル性が低下する。
【0047】
実現例によるポリエステルフィルムは、結晶性が効果的に制御されることにより、ポリエチレンテレフタレート容器のラベルとして適用する際、しわやポリエチレンテレフタレート容器のいびつが発生しない。また、使用済み後、再生工程の際、ポリエチレンテレフタレート容器と一緒に粉砕されたフレークを熱処理しても、クランピング分率が非常に低いので、リサイクル性を向上させ得るとともに、リサイクルして製造される再生ポリエステルチップの品質、収率および生産性を向上させ得る。
【0048】
再生工程においてプラスチックフレークが融着してクランピングが形成されると、様々な問題を引き起こし得るので、米国のプラスチックリサイクル業者協会(APR)では、クランピング分率(%)を評価するための手引き(APR PET-S-08)を設けている。具体的に、前記クランピング分率は、前記ポリエステルフィルム3重量部およびポリエチレンテレフタレート容器97重量部を、粒径9.5mm以下でそれぞれ粉砕し、210℃の温度にて8.7kPaの圧力(直径6cmの円筒に対して加えられた2.5kgfの荷重)下で90分間熱処理した後、網目11.2mmの篩(0.625''篩)を通過できない比率であり得る。
【0049】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、溶媒による接着性、つまり、シーム特性に優れ得る。
【0050】
具体的に、実現例によるポリエステルフィルムの剥離力は150gf/3cm以上であり得る。例えば、前記剥離力は、150gf/3cm以上、180gf/3cm以上、200gf/3cm以上、230gf/3cm以上、250gf/3cm以上、300gf/3cm以上、または330gf/3cm以上であり、150gf/3cm~3000gf/3cm、180gf/3cm~2800gf/3cm、200gf/3cm~2500gf/3cm、250gf/3cm~2000gf/3cm、300gf/3cm~3000gf/3cm、300gf/3cm~2500gf/3cm、300gf/3cm~2000gf/3cm、330gf/3cm~1500gf/3cm、または330gf/3cm~1300gf/3cmであり得る。剥離力が前記範囲に調節されることによって、ポリエステルフィルムの溶媒による接着力であるシーム特性に優れ、シーム工程で使用するのに適する。
【0051】
前記剥離力は、前記ポリエステルフィルム2枚(第1ポリエステルフィルムおよび第2ポリエステルフィルム)を用いて測定され得る。具体的に、第1ポリエステルフィルムの一面に1,3-ジオキソランを幅2mmおよび長さ30mmの帯状に塗布して接着部を形成し、前記接着部が形成された第1ポリエステルフィルム上に第2ポリエステルフィルムを貼り合わせた。この際、1,3-ジオキソランを塗布しながら、ほぼ同時に第2ポリエステルフィルムを貼り合わせた。前記接着部の位置に160Paの圧力を1時間加えてエージングした後、前記第1および第2ポリエステルフィルムを300mm/分の速度および180°の角度条件で剥離したときに測定される最大の力を剥離力として測定した。
【0052】
また、実現例によるポリエステルフィルムは、各温度別に主収縮方向の収縮率が特定範囲内に調節され得る。具体的に、実現例によるポリエステルフィルムは、熱収縮フィルムであり得る。例えば、前記ポリエステルフィルムをX℃の温度にて10秒間熱処理する際、主収縮方向の収縮率をTと定義すると、T70、T80、T90、およびT100の範囲が調節され得る。前記Tを得るための熱処理は具体的に、前記ポリエステルフィルムをX℃の温水に10秒間浸漬することであり得る。
【0053】
具体的に、前記フィルムを70℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率(T70)は0%~50%であり得る。例えば、T70は、0.1%~50%、0.5%~48%、0.5%~46%、2%~46%、または3.5%~45.5%であり得る。
【0054】
本明細書において、前記第1方向は横方向(TD)または縦方向(MD)であり、前記第1方向に垂直な第2方向は縦方向(MD)または横方向(TD)であり得る。具体的に、前記第1方向が主収縮方向として横方向(TD)であり、前記第2方向が縦方向(MD)であり得る。
【0055】
また、前記フィルムを80℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率(T80)は20%以上であり得る。例えば、T80は、23%以上、25%以上、40%以上、45%以上、50%以上、または55%以上であり、20%~85%、23%~80%、25%~75%であり、40%~85%、45%~80%、50%~78%、または55%~75%であり得る。
【0056】
前記フィルムを、90℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率(T90)は40%以上であり得る。例えば、T90は、50%以上、60%以上、または70%以上であり、40%~85%、50%~80%、60%~78%、または70%~80%であり得る。
【0057】
また、前記フィルムを100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率(T100)は45%~85%であり得る。例えば、T100は、45%~80%、50%~80%、65%~80%、70%~80%、70%~78%、または73%~78%であり得る。
【0058】
100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向の熱収縮率が前記範囲を満足することにより、前記フィルムが容器の少なくとも一部を取り囲むラベル工程をするのに容易である。具体的に、前記フィルムをポリエチレンテレフタレート容器のラベルとして適用する際、しわやポリエチレンテレフタレート容器の歪みが発生しない。
【0059】
一方、前記実現例によるポリエステルフィルムは、各温度別に第1方向および前記第1方向に垂直な第2方向に対する収縮率が特定範囲内に調節され得る。例えば、前記ポリエステルフィルムをX℃の温度にて10秒間熱処理する際、第2方向の収縮率をT'と定義すると、T70'、T75'、T80'、T90'、およびT100'の範囲が特定範囲内に調節され得る。前記T'を得るための熱処理は、前記ポリエステルフィルムをX℃の温水に10秒間浸漬することであり得る。
【0060】
前記ポリエステルフィルムのT70'、T75'、T80'、T90'、およびT100'は、それぞれ独立して-10%~10%であり得る。例えば、前記ポリエステルフィルムのT70'、T75'、T80'、T90'、およびT100'は、それぞれ-10%以上、-8%以上、-6%以上、-4%以上、-2%以上、または0%以上であり、10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、または2%以下であり得る。
【0061】
具体的に、前記フィルムを100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向に垂直な第2方向の熱収縮率(T100')が7%以下であり得る。例えば、前記T100'は、7%以下または6%以下であり、-16%~7%、-10%~7%-7%~7%、-5%~7%、0%~7%、0.5%~7%、または2%~6%であり得る。
【0062】
また、前記ポリエステルフィルムは、550nm波長における光透過率が90%以上であり得る。具体的に、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後の前記フィルムを550nm波長で測定した光透過率は、それぞれ90.5%以上、91%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0063】
また、前記ポリエステルフィルムを85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後の光透過率の変化量は0.7%以下であり得る。例えば、前記浸漬前後のフィルムの光透過率の変化量は、0.6%以下または0.5%以下であり得る。
【0064】
前記光透過率の変化量は、前記浸漬前に550nm波長で測定した前記フィルムの光透過率と、前記浸漬後に550nm波長で測定した前記フィルムの光透過率との差の絶対値のことを意味する。
【0065】
また、前記フィルムを85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後のCol-Lの変化量(△L)は0.7以下であり、Col-aの変化量(△a)は0.5以下であり、Col-bの変化量(△b)は0.5以下であり得る。例えば、前記浸漬前後のCol-Lの変化量(△L)は0.65以下、0.6以下、0.55以下、または0.5以下であり、Col-aの変化量(△a)は0.3以下、0.1以下、0.08以下、0.06以下、または0.05以下であり、Col-bの変化量(△b)は0.3以下、0.1以下、0.08以下、または0.07以下であり得る。
【0066】
前記Col-Lの変化量(△L)は、前記浸漬前のCol-L値と前記浸漬後のCol-L値との差の絶対値のことを意味し、前記Col-aの変化量(△a)は、前記浸漬前のCol-a値と前記浸漬後のCol-a値との差の絶対値のことを意味し、前記Col-bの変化量(△b)は、前記浸漬前のCol-a値と前記浸漬後のCol-a値との差の絶対値のことを意味する。
【0067】
前記Col-L、前記Col-aおよび前記Col-bは、国際照明委員会(CIE(Commission International d'Eclairage)によって確立されたカラーシステムであって、色をL(明度)、a(緑色から赤色の補色)、b(黄色から青色の補色)で表記して色を表現し、UltraScan PRO(HunterLab社)を用いて測定し得るが、これに限定されるものではない。
【0068】
実現例によるポリエステルフィルムは、共重合ポリエステル樹脂を含む。具体的に、前記共重合ポリエステル樹脂は、2種または3種以上のジオールおよびジカルボン酸が重合されたものであり得、より具体的に、共重合ポリエチレンテレフタレート(Co-PET)樹脂であり得る。
【0069】
具体的に、前記ジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、アルキル基で置換または非置換のプロパンジオール、アルキル基で置換または非置換のブタンジオール、アルキル基で置換または非置換のペンタンジオール、アルキル基で置換または非置換のヘキサンジオール、アルキル基で置換または非置換のオクタンジオール、およびその組み合わせからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0070】
例えば、前記ジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-オクタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、および1,1-ジメチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0071】
前記ジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、またはそのエステル化物を含み得る。
【0072】
例えば、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、これらのエステル化物、またはその組み合わせであり得る。具体的に、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸、およびオルトフタル酸からなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0073】
一実施例によると、前記共重合ポリエステル樹脂は、2種または3種の以上のジオール、および芳香族ジカルボン酸が重合されたものであり得る。具体的に、前記共重合ポリエステル樹脂は、エチレングリコールおよび1種以上の共単量体を含むジオール、および芳香族ジカルボン酸が重合されたものであり得る。
【0074】
前記ジオールはエチレングリコールを含み、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールからなる群より選択された1種以上の共単量体を含み得る。また、前記ポリエステルフィルムは、エチレングリコールを含み、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールからなる群より選択された1種以上の共単量体を含み得る。
【0075】
具体的に、前記ポリエステルフィルムは、50モル%~90モル%のエチレングリコールを含み得る。例えば、前記ポリエステルフィルムは、エチレングリコールを60モル%~90モル%、65モル%~88モル%、68モル%~85モル%または70モル%~83モル%で含み得る。
【0076】
また、前記ポリエステルフィルムは、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールからなる群より選択された1種以上の共単量体を10モル%以上で含み得る。例えば、前記ポリエステルフィルムは、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールからなる群より選択された1種以上の共単量体を10モル%以上、13モル%以上、または15モル%以上で含み、10モル%~30モル%、10モル%~29モル%、10モル%~28モル%、15モル%~30モル%、15モル%~29モル%、または15モル%~28モル%で含み得る。共単量体の含有量が前記範囲を満足することにより、主収縮方向の熱収縮率に優れながら、結晶性をより効果的に制御することができる。
【0077】
また、共単量体の含有量が前記範囲の未満であると、前記ポリエステルフィルムの熱収縮特性が低下し得る。具体的に、前記ポリエステルフィルムの主収縮方向に対する熱収縮率が特定温度にて不十分となり得、前記ポリエステルフィルムの主収縮方向に垂直な方向の熱収縮率が特定温度にて過度に高くなり得る。
【0078】
具体的に、前記ポリエステルフィルムは、共単量体としてジエチレングリコールを含み得る。例えば、前記ジエチレングリコールの含有量は、1モル%~10モル%、1モル%~8モル%、3モル%~6モル%、3.5モル%~5.5モル%、または3.8モル%~5.2モル%であり得る。
【0079】
また、前記ポリエステルフィルムは、共単量体としてネオペンチルグリコールを含み得る。例えば、前記ネオペンチルグリコールの含有量は、5モル%~35モル%、7モル%~33モル%、10モル%~30モル%、13モル%~28モル%、または15モル%~25モル%であり得る。
【0080】
ネオペンチルグリコールの含有量が前記範囲を満足することにより、前記ポリエステルフィルムの熱収縮の際、第1方向または前記第1方向に垂直な第2方向の熱収縮率が容易に調節され、フィルムを容器に適用する際、しわが生じたり変形が起きたりすることをさらに効果的に防止し得る。
【0081】
また、前記ポリエステルフィルムは、共単量体としてジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールのいずれも含み得る。前記ポリエステルフィルムが共単量体としてジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールを含む場合、前記ジエチレングリコールに対する前記ネオペンチルグリコールのモル比は、1:3~6、1:3~5、または1:3~4であり得る。
【0082】
また、前記ポリエステルフィルムは、前記ジオール成分以外に1価アルコールをさらに含み得る。例えば、前記1価アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、またはベンジルアルコールであり得る。例えば、前記ポリエステルフィルムは、10モル%~30モル%、13モル%~25モル%、または15モル%~22モル%の1価アルコールをさらに含み得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
前記ジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸を含み得る。例えば、前記ポリエステルフィルムは、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、99モル%以上、または100モル%のテレフタル酸またはジメチルテレフタル酸を含み得る。
【0084】
前記共重合ポリエステル樹脂は、ジオールおよびジカルボン酸がエステル交換反応を経た後、重合されて形成され得る。
【0085】
具体的に、前記エステル交換反応の触媒として、酢酸マンガン(manganese acetate tetrahydrate)、カルシウムおよび亜鉛からなる群より選択された1種以上の触媒を使用し得る。前記触媒の含有量は、前記ジカルボン酸の総重量を基準に、0.02重量部~0.2重量部、0.02重量部~0.1重量部、または0.05重量部~0.1重量部であり得る。
【0086】
また、前記エステル交換反応が終了した後、シリカ、カリウム、およびマグネシウムからなる群より選択された1種以上の添加剤;トリメチルホスフェートのような安定化剤;およびアンチモニトリオキシドまたはテトラブチレンチタネートのような重合触媒等を必要に応じて添加し得る。
【0087】
実現例によるポリエステルフィルムは、ホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に含む。前記ポリエステルフィルムがホモポリエチレンテレフタレート樹脂をさらに含むことにより、フィルムの熱的特性をさらに向上させ得る。
【0088】
前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸(TPA:terephthalic acid)またはジメチルテレフタル酸(DMT:dimethylterephthalic acid)がエチレングリコール(EG:ethylene glycol)と重合されたポリエチレンテレフタレート構造を、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、または98重量%以上で含む樹脂のことを意味する。
【0089】
また、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂は、リサイクルされたものであり得る。
【0090】
具体的に、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂は、ポリエステルフィルム、具体的にポリエステル熱収縮フィルムが付着された容器をリサイクルして得られたものであり得る。または、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂は、ポリエステルフィルムとポリエステル繊維とを一緒にリサイクルして得られたものであり得る。前記容器は、製品を入れたり包装したりし得る形態を有するものであって良く、例えば、ポリエステルボトル、ポリエステルトレイ、ポリエステルパウチ、ポリエステルシート、ポリエステル熱成形品、またはポリエステル包装材であり得る。
【0091】
前記ポリエステルフィルムは、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂を0.5重量%~37重量%で含み得る。例えば、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量は、前記共重合ポリエステル樹脂および前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の総重量を基準に、0.5重量%~37重量%、1重量%~37重量%、2重量%~37重量%、2重量%~35重量%、2重量%~30重量%、2重量%~27重量%、2重量%~25重量%、2重量%~20重量%、3重量%~37重量%、3重量%~35重量%、3重量%~30重量%、または3重量%~25重量%であり得る
【0092】
ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が前記範囲を満足することにより、前記ポリエステルフィルムは、結晶性が効果的に制御され、溶媒による接着力であるシーム特性に優れるとともに、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程の際、クランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0093】
具体的に、前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が前記範囲を超えると、熱的特性を向上させてクランピング現象の防止効果は向上させ得るが、シーム特性が低下し得る。
【0094】
前記ポリエステルフィルムの厚さは10μm~100μmであり得る。例えば、前記ポリエステルフィルムの厚さは、20μm~80μm、30μm~70μm、35μm~65μm、35μm~55μm、40μm~60μm、または35μm~45μmであり得る。
【0095】
[ポリエステルフィルムの製造方法]
他の実現例によるポリエステルフィルムの製造方法は、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を調製する段階と、前記共重合ポリエステル樹脂にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に添加した後、250℃~300℃の温度にて溶融押出して未延伸シートを製造する段階と、前記未延伸シートを延伸した後、70℃~100℃の温度にて熱固定してポリエステルフィルムを製造する段階とを含み、前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融解エンタルピー(ΔHm)が9J/g以上であり、前記ポリエステルフィルムのクランピング分率が10%以下である。
【0096】
また他の実現例によるポリエステルフィルムの製造方法は、ジオールおよびジカルボン酸が共重合された共重合ポリエステル樹脂を調製する段階と、前記共重合ポリエステル樹脂にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に添加した後、250℃~300℃の温度にて溶融押出して未延伸シートを製造する段階と、前記未延伸シートを延伸した後、70℃~100℃の温度にて熱固定してポリエステルフィルムを製造する段階とを含み、前記ポリエステルフィルムを示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が190℃~230℃であり、前記ポリエステルフィルムのクランピング分率が10%以下であり、剥離力が150gf/3cm以上である。
【0097】
前記方法により、最終的に製造されるポリエステルフィルムは、前述の特性(融解エンタルピー、融点、収縮特性など)を満足するように組成および工程条件を調節する。具体的に、最終ポリエステルフィルムが前述の特性を満足するためには、共重合ポリエステル樹脂の組成を調節し、その押出温度、キャスティング温度、延伸時の予熱温度、各方向別の延伸比、延伸温度、延伸速度などを調節するか、延伸後に熱処理および弛緩を行いながら熱処理温度および弛緩率を調節し得る。
【0098】
以下、各段階別により具体的に説明する。
まず、共重合ポリエステル樹脂を調製する。前記共重合ポリエステル樹脂に関する説明は、前述の通りである。
【0099】
具体的に、前記共重合ポリエステル樹脂の重合は、通常のエステル交換反応および重縮合反応により行われてよく、この際に使用されるジオールおよびジカルボン酸の成分、並びにその含有量は前記で例示した通りである。
【0100】
その後、共重合ポリエステル樹脂にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を選択的に添加した後、250℃~300℃の温度にて溶融押出して未延伸シートを製造する。
【0101】
具体的に、前記共重合ポリエステル樹脂またはホモポリエチレンテレフタレート樹脂が添加された前記共重合ポリエステル樹脂を250℃~300℃または260℃~300℃の温度にてT-ダイで溶融押出後、冷却させて未延伸シートを製造し得る。前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂に関する説明は、前述の通りである。
【0102】
前記未延伸シートを10m/分~110m/分、25m/分~90m/分、40m/分~80m/分、または50m/分~60m/分の速度で移送しつつ、チャンバーに通過させながら予熱し得る。
【0103】
前記予熱は、100℃~120℃にて0.01分~1分間行われ得る。例えば、前記予熱温度は100℃~120℃または100℃~117℃であり、前記予熱時間は0.05分~0.5分、または0.05分~0.2分であり得る。
【0104】
その後、前記予熱された未延伸シートは、70℃~95℃の温度にて延伸する。例えば、前記延伸は、70℃~95℃、75℃~95℃、または80℃~90℃にて行われ得る。
【0105】
具体的に、前記延伸は一軸延伸または二軸延伸であり得る。より具体的に、前記延伸は横方向(TD)に行われる一軸延伸であり、縦方向(MD)に行われた後、横方向(TD)に行われる二軸延伸であり得る。
【0106】
前記延伸が一軸延伸の場合、前記延伸は、横方向(TD)に3.5倍~5倍、3.5倍~4.8倍、または3.8倍~4.6倍の延伸比で行われ得る。また、前記延伸が二軸延伸の場合、前記延伸は、縦方向(MD)に1.1倍~2倍または1.1倍~1.5倍の延伸比で行われた後、横方向(TD)に3.5倍~5倍、3.5倍~4.8倍、または3.8倍~4.6倍の延伸比で行われ得る。
【0107】
また、前記延伸後にコーティング工程をさらに行える。具体的に、前記横方向(TD)に一軸延伸する前に、または前記縦方向(MD)に延伸した後、前記横方向(TD)に延伸する前に、コーティング工程を追加で行える。より具体的に、前記フィルムに帯電防止などのような機能性を付与し得る促進層などを形成するコーティング工程を追加で行える。前記コーティング工程は、スピンコーティングまたはインラインコーティングで行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0108】
その後、前記延伸済みのシートを70℃~100℃の温度にて熱固定して、ポリエステルフィルムを製造する。
【0109】
前記熱固定はアニーリングでよく、70℃~100℃または70℃~95℃の温度にて0.01分~1分または0.05分~0.5分間行われ得る。
【0110】
[ポリエチレンテレフタレート容器の再生方法]
また他の実現例によるポリエチレンテレフタレート容器の再生方法は、前記ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を準備する段階と、前記フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕してフレークを得る段階と、前記フレークを熱処理して再生ポリエステルチップを製造する段階とを含み、前記フレークのクランピング分率が10%以下であり、前記フレークが、前記ポリエチレンテレフタレート容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記ポリエステルフィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む。
【0111】
一実現例によるポリエチレンテレフタレート容器を再生するために、まず、前記ポリエステルフィルムが少なくとも一部を取り囲むポリエチレンテレフタレート容器を準備する。
【0112】
従来では、容器、金属、ガラス、プラスチックなどが混在し得る回収済みの廃品を洗浄してポリエステル容器を分類し、容器のリサイクル性および品質を向上させるために、前記容器を包んでいるフィルムなどを除去する工程を行っていた。前記除去工程は、フィルムを機械的に引き裂くか切断して行われたり、液比重分離、脱水乾燥、風力比重分離、またはペレタイズ(pelletize)のような追加工程により行われたりしてきた。
【0113】
しかし、前記除去工程ではフィルムを完全に除去することが難しく、特に、フィルムに形成されたいる残渣インクに起因して、製造される再生ポリエステルチップの品質を向上させるのが難しかった。
【0114】
実現例によるポリエステル容器の再生方法は、ポリエチレンテレフタレート容器を取り囲むフィルムを除去する工程を別途行うことなく再生ポリエステルチップを製造することができるので、コスト削減の効果がある。
【0115】
前記ポリエチレンテレフタレート容器は、外表面に前記ポリエステルフィルムが備えられているものである。具体的に、前記ポリエステルフィルムで前記ポリエチレンテレフタレート容器の外表面を取り囲んだ後、スチームまたは熱風によって前記フィルムが収縮され、前記ポリエチレンテレフタレート容器の外表面の少なくとも一部を包み得る。例えば、前記ポリエステルフィルムは、熱収縮フィルムとして前記ポリエチレンテレフタレート容器のラベルであり得るが、これに限定されるものではない。
前記ポリエステルフィルムに関する説明は、前述の通りである。
【0116】
その後、前記フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕してフレークを得る。
【0117】
具体的に、前記ポリエチレンテレフタレート容器の外表面の少なくとも一部は前記フィルムが取り囲んでおり、前記容器と前記フィルムとを分離する別途の工程もなく、前記容器および前記フィルムを一緒に粉砕してフレークを得る。
【0118】
すなわち、前記フレークは、前記ポリエステル容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記フィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む。
【0119】
前記第1フレークの粒径は0.1mm~25mmであり、前記第2フレークの粒径は0.1mm~25mmであり得る。例えば、前記第1フレークの粒径は、0.3mm~23mm、0.5mm~20mm、1mm~20mm、0.5mm~15mm、0.5mm~13mm、1mm~18mm、1mm~15mm、1mm~13mm、または2mm~10mmであり、前記第2フレークの粒径は、0.3mm~23mm、0.5mm~20mm、1mm~20mm、0.5mm~15mm、0.5mm~13mm、1mm~18mm、1mm~15mm、1mm~13mm、または2mm~10mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0120】
その後、熱処理段階の前に、前記粉砕されたフレークを洗浄する段階をさらに行える。具体的に、前記洗浄段階は、85℃~90℃の温度にて水および/または1重量部の水酸化ナトリウム水溶液を含む洗浄溶液で行われ得る。
【0121】
例えば、前記粉砕されたフレークを水で1次洗浄し、前記洗浄溶液で2次洗浄した後、さらに水で3次洗浄し得る。前記洗浄段階を行うことにより、前記粉砕されたフレークに残り得る不純物を除去できるとともに、インク成分を効果的に除去できるので、製造される再生ポリエステルチップの品質および純度を向上させ、リサイクル性を最大化し得る。
【0122】
また、前記洗浄段階の後に、前記洗浄済みのフレークを60℃~175℃にて10分~90分間乾燥する段階をさらに行える。例えば、前記乾燥段階は、65℃~175℃、70℃~170℃、90℃~165℃、100℃~165℃、120℃~165℃、140℃~165℃、または150℃~165℃にて10分~85分、10分~70分、15分~30分間行われ得る。
【0123】
前記洗浄および乾燥段階は、1回~5回繰り返し行われ得る。例えば、前記洗浄および乾燥段階を順番に2回~5回または3回~5回繰り返し行うことにより、前記フレークに残っている不純物を効果的に除去し得る。
【0124】
最後に、前記フレークを熱処理して再生ポリエステルチップを製造する。
【0125】
具体的に、前記フレークは、前記ポリエチレンテレフタレート容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記ポリエステルフィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む。
【0126】
前記熱処理は、200℃~220℃にて60分~120分間行われ得る。例えば、前記熱処理は、200℃~215℃または205℃~220℃にて70分~120分、または80分~120分間行われ得る。
【0127】
また、前記フレークのクランピング分率が10%以下である。具体的に、前記フレークに8.7kPaの圧力を加え、210℃の温度にて90分間熱処理する際、クランピング分率が10%以下であり得る。例えば、フレークに8.7kPaの圧力を加え、210℃の温度にて90分間熱処理したとき、クランピング分率は、9%以下、8.5%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下であり、好ましくは3%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.8%以下、0.5%以下であり得る。
【0128】
前記第1フレークおよび第2フレークが互いにくっつき合って発生し得るクランピング分率が低いので、製造される再生ポリエステルチップは品質に優れる。具体的に、前記フレークは、実現例によるポリエステルフィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含むので、凝集体の形成を効果的に減少または防止することにより、製造される再生ポリエステルチップの品質を向上させ得る。
【0129】
前記熱処理工程を経た後、再生ポリエステルチップを得られ得る。具体的に、前記熱処理工程を経た後、前記第1フレークおよび前記第2フレークを含む再生ポリエステルチップを得られ得る。例えば、前記フレークを溶融押出した後、これを裁断して再生ポリエステルチップを得られ得るが、これに限定されるものではない。
【0130】
[再生ポリエステルチップ]
また他の実現例による再生ポリエステルチップは、前記ポリエチレンテレフタレート容器の再生方法によって製造される。
【0131】
具体的に、前記再生ポリエステルチップは、ポリエチレンテレフタレートを含む第1フレークおよびポリエステル樹脂を含む第2フレークを含み得る。
【0132】
前記再生ポリエステルチップの固有粘度(IV)は、0.55dl/g以上であり得る。例えば、前記再生ポリエステルチップの固有粘度は0.58dl/g以上、または0.59dl/g以上であり、0.55dl/g~3.0dl/g、0.55dl/g~2.0dl/g、0.55dl/g~1.0dl/g、0.58dl/g~0.85dl/g、または0.58dl/g~0.7dl/gであり得る。
【0133】
また、前記再生ポリエステルチップは、前記再生ポリエステルチップの総重量を基準に、ポリエチレンテレフタレートを70重量%~99重量%で含み、共重合ポリエステル樹脂を1重量%~30重量%で含み得る。例えば、前記再生ポリエステルチップは、前記再生ポリエステルチップの総重量を基準に、80重量%~99重量%、90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%のポリエチレンテレフタレートを含み、1重量%~20重量%、1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%の共重合ポリエステル樹脂を含み得る。
【0134】
(実施例)
前記内容を、下記実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるのみ、実施例の範囲はこれらだけに限定されるものではない。
【0135】
[ポリエステルフィルムの製造]
(実施例1-1)
(1)共重合ポリエステル樹脂の調製
ジカルボン酸としてテレフタル酸(TPA)100モル%を基準に、ジオールとしてエチレングリコール(EG)75.6モル%、ネオペンチルグリコール(NPG)18.8モル%およびジエチレングリコール(DEG)5.6モル%を、撹拌機と蒸留塔が設けられているオートクレーブ(第1反応器)に投入し、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガンをジカルボン酸100重量部に対して0.07重量部で投入した後、220℃まで昇温させながら、副産物であるメタノールを除去して反応を進行させた。
【0136】
エステル交換反応が終了したとき、ジカルボン酸100重量部に対して平均粒径0.28μmのシリカを0.07重量部で投入し、安定化剤としてトリメチルホスフェートを0.4重量部で投入した。5分後に、重合触媒としてアンチモニトリオキシド0.035重量部およびテトラブチルチタネート0.005重量部を投入して、10分間撹拌した。その後、前記反応物を真空設備が設けられている第2反応器に移送した後、285℃に昇温させながら徐々に減圧して、210分間重合して共重合ポリエステル樹脂を得た。
【0137】
(2)フィルムの製造
前記段階(1)で調製された共重合ポリエステル樹脂90重量部に、ホモポリエチレンテレフタレート樹脂(CTF41、SKC(株))10重量部(前記共重合ポリエステル樹脂および前記ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100重量を基準に10重量%)を添加し、これをT-ダイで280℃にて押出した後、冷却して未延伸シートを製造した。
【0138】
その後、前記未延伸シートを55m/分の速度で移送しながら、ロールに通過させて厚さを調節した。前記未延伸シートを55m/分の速度で移送しながら105℃にて0.1分間予熱し、83℃にて横方向(TD)に4.15倍延伸した。その後、延伸済みのシートを75℃の温度にて0.1分間熱固定して、厚さ40μmのポリエステルフィルムを製造した。
【0139】
(実施例1-2~1-9および比較例1-1~1-9)
カルボン酸およびジオールの含有量を変更し、下記表1に記載のように、ホモポリエチレンテレフタレートの添加量および工程条件を変化させたことを除いて、前記実施例1-1と同様の方法によりポリエステルフィルムを製造した。
【0140】
実施例1-1~1-9および比較例1-1~1-9で製造されたポリエステルフィルムの最終成分を下記表2にまとめた。
【0141】
【0142】
【0143】
(実験例1-1:融解エンタルピー(ΔHm))
前記で製造した実施例1-1~1-9および比較例1-1~1-9のポリエステルフィルムの試料4mgを示差走査熱量計(Q2000、TA Instruments社)に投入し、示差走査熱量計(DSC)モードを使用して、10℃/分の昇温速度でスキャンした。
【0144】
スキャンして得られた熱流曲線において、最初の吸熱温度がガラス転移温度(Tg)で、前記ガラス転移温度(Tg)の後に測定される発熱温度が結晶化温度(Tc)で、前記結晶化温度(Tc)の後に測定される吸熱温度を融点(Tm)として測定した。この際、前記融点(Tm)における積分値を融解エンタルピーとして計算した。具体的に、融解エンタルピーは、前記示差走査熱量計の熱流曲線で吸熱が起こる区間がエネルギーであって、溶融開始温度から完全溶融温度までの回帰直線をベースラインに設定し、前記ベースラインによるピークの積分値を換算して計算した。
【0145】
図5は、実施例1-3のポリエステルフィルムの示差走査熱量計(DSC)曲線である。
【0146】
(実験例1-2:融点(Tm))
前記で製造した実施例1-1~1-9および比較例1-1~1-9のポリエステルフィルムの試料4mgを示差走査熱量計(Q2000、TA Instruments社)に投入し、示差走査熱量計(DSC)モードを使用して、10℃/分の昇温速度でスキャンした。
【0147】
スキャンして得られた熱流曲線において、最初の吸熱温度がガラス転移温度(Tg)で、前記ガラス転移温度(Tg)の後に測定される発熱温度が結晶化温度(Tc)で、前記結晶化温度(Tc)の後に測定される吸熱温度が融点(Tm)であるものとして測定した(図5参照)。
【0148】
(実験例1-3:剥離力)
図3は、ポリエステルフィルムの剥離力を測定する方法を示したものである。すなわち、図3は、ポリエステルフィルムの溶媒による接着力であるシーム特性を実験する方法を示したものである。
【0149】
具体的に、まず、前記で製造した実施例1-1~1-9および比較例1-1~1-9のポリエステルフィルムのサンプル2枚(第1ポリエステルフィルムおよび第2ポリエステルフィルム)をA4サイズでそれぞれ用意した。
【0150】
その後、前記第1ポリエステルフィルム100の一面に1,3-ジオキソランを幅2mmおよび長さ30mmの帯状で塗布して接着部110を形成しながら前記接着部が形成された第1ポリエステルフィルム上に第2ポリエステルフィルム200を貼り合わせた(図3(a))。この際、前記接着部110は、前記第1ポリエステルフィルム100の上端から6.5cm(w)離れた位置に形成した。また、前記接着部110の面積は60mmであった。
【0151】
その後、前記貼り合わせた第1ポリエステルフィルムおよび第2ポリエステルフィルムが反ることを防止するために、前記第2ポリエステルフィルム上に押さえ板120を置いた。その後、前記押さえ板120上に2kgの重り130を置き、1時間エージング処理をした(図3(b))。この際、前記重り130は前記接着部110の位置に置いた。
【0152】
その後、前記重り130および前記押さえ板120を除去し、貼り合わせられた前記第1ポリエステルフィルムおよび前記第2ポリエステルフィルムを縦9cmおよび横3cmに裁断して、サンプルA300を得た(図3(c))。
【0153】
その後、前記サンプル300において、第1ポリエステルフィルム100および第2ポリエステルフィルム200を300mm/分の速度と180°の角度で剥離して、測定される最大の力を剥離力として測定した(図3(d))。
前記のような実験を5回実施し、その平均値を下記表3に記載した。
【0154】
(実験例1-4:熱収縮率)
図4は、ポリエステルフィルムの熱収縮率を測定する方法を示したものである。図4を参照して、前記で製造した実施例1-1~1-9および比較例1-1~1-9のポリエステルフィルム100を、それぞれ測定する方向に300mmおよびこれに垂直な方向に15mmに裁断した。この際、前記300mmは、収縮前の第1寸法x1であり、前記15mmは第2寸法yである(図4(a))。
【0155】
前記裁断されたポリエステルフィルム100を加熱された水槽に10秒間浸漬して、収縮後のポリエステルフィルム100aの収縮された寸法、すなわち、収縮後の第1寸法x2を測定し(図4(b))、下記式2に基づいて計算した。本実験例における熱収縮率(%)は、主収縮方向(TD)およびこれに垂直な方向(MD)についてそれぞれ得た。
【0156】
【0157】
【0158】
前記表3および表4に示すように、実施例1-1~1-9のポリエステルフィルムは、融解エンタルピー、融点、剥離力、および各温度別熱収縮率がいずれも好ましい範囲内に含まれている。
【0159】
具体的に、実施例1-1~1-9のポリエステルフィルムは、シーム工程後の接着力が好ましい範囲を満足するので、熱収縮フィルムとして適用するに適することが分かる。また、実施例1-1~1-9のポリエステルフィルムは、融解エンタルピー、融点および剥離力が前記範囲に調節されることによって、前記フィルムまたは前記フィルムを含むポリエチレンテレフタレート容器の再生工程の際、クランピング分率が非常に低いので、環境汚染を防止しながらリサイクル性を向上させ得る。
【0160】
[再生ポリエステルチップの製造]
(実施例2-1)
(1)ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器の製造
図1は、製品に適用されたポリエステルフィルムの熱収縮の前と後を示すものである。図1を参照して、ポリエチレンテレフタレート容器(PET容器、30g)の外表面の一部を、前記で製造した実施例1-1のポリエステルフィルムで包んだ(図1(a))。この際、アクリル系接着剤を用いて固定させた。その後、90℃の温度および熱風条件において、前記実施例1-1のポリエステルフィルムを収縮させ、ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を得た(図1(b))。
【0161】
(2)ポリエチレンテレフタレート容器の再生工程
前記段階(1)で製造されたポリエステルフィルムが備えられている容器を、粉砕機で粉砕してフレークを得た。前記フレークを水で1次洗浄した。その後、88℃にて880rpmの速度で水槽にて撹拌させた洗浄溶液(0.3重量部のTriton X-100溶液および1.0重量部のNaOH溶液の混合液)で15分間2次洗浄した。その後、前記2次洗浄済みのフレークを常温の水で3次洗浄して残留洗浄溶液を除去し、160℃にて20分間乾燥させた。その後、210℃にて90分間熱処理して、再生ポリエステルチップを製造した。
【0162】
(実施例2-2~2-9および比較例2-1~2-9)
実施例1-1のポリエステルフィルムの代わりに、実施例1-2~1-9および比較例1-1~1-9のポリエステルフィルムを使用したことを除いて、前記実施例2-1と同様の方法により再生ポリエステルチップを製造した。
【0163】
(実験例2-1:クランピング分率(clumping ratio))
米国のプラスチックリサイクル業者協会(APR)のポリエチレンテレフタレートフレーククランプ評価(APR PET-S-08)の手続きに準じて、クランピング分率(%)を測定した。
【0164】
図2は、ポリエステルフィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器のクランピングを測定する方法を示したものである。
【0165】
具体的に、ポリエチレンテレフタレート容器20に、ポリエステルフィルムがラベル11aとして備えられている製品1を粉砕機6で粉砕し、網目9.5mmの第1篩(0.374''篩、図示せず)に通過させ、ポリエチレンテレフタレートが粉砕された第1フレーク20aの97gおよびポリエステルフィルムが粉砕された第2フレーク10aの3gからなる混合フレークを得た。この際、前記製品1として、前記で製造した実施例2-1~2-9および比較例2-1~2-9のポリエステル容器を使用した(図1および図2(a))。
【0166】
その後、前記混合フレークを直径6cmおよび高さ8cmの円筒に投入し、その上に2.5kgの錘7を載せて8.7kPaの圧力を加えた。その後、錘が載せられた円筒を210℃の対流式オーブンにて90分間熱処理した後、常温にて冷却した(図2(b))。
【0167】
その後、前記冷却された混合フレークを網目直径dが11.2mmの第2篩8(0.625''篩)を用いてろ過した後、前記第2篩8の上に残っている凝集された混合フレーク10bを得た(図2(c))。前記混合フレークの重量を測定して下記式1に基づいて計算した。
【0168】
【0169】
前記表5に示すように、実施例2-1~2-9の再生ポリエステルチップはクランピング分率が非常に低いので、再生工程の際、長時間の高温工程に有利なので、リサイクル性を向上させ得る。
【0170】
具体的に、前記表3に示すように、特定の融解エンタルピー、融点および剥離力を満足しつつ、機械的物性にも優れたポリエステルフィルムを用いることにより、特にホモポリエチレンテレフタレート樹脂を特定の含有量で含むポリエステルフィルムを用いることにより、実施例2-1~2-9の再生ポリエステルチップはクランピング分率が低かった。
【0171】
それに対して、比較例2-1~2-4、2-8および2-9の再生ポリエステルチップは、クランピング分率が非常に高く再生性が低かった。一方、比較例2-5~2-7の再生ポリエステルチップは、クランピング分率は低いが、前記表3から分かるように、ポリエステルフィルムの熱的特性およびシーム特性が良くないため、多様な製品に適用するのは難しい。
【符号の説明】
【0172】
d:網目直径
x1:収縮前の第1寸法
x2:収縮後の第1寸法
y:第2寸法
w:接着部までの長さ
TL:回帰直線
T1:溶融開始温度
T2:完全溶融温度
1:ラベルが貼り付けられた製品
6:粉砕機
7:錘
8:篩
10a:第2フレーク
10b:凝集された混合フレーク
11:(収縮前の)ラベル
11a:収縮後のラベル
20:製品
20a:第1フレーク
100:(収縮前の第1)ポリエステルフィルム
100a:収縮後のポリエステルフィルム
110:接着部
120:押さえ板
130:重り
200:第2ポリエステルフィルム
300:サンプルA
図1
図2
図3
図4
図5